JP4030744B2 - 天井の施工方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、野縁を利用して天井板を取り付ける天井の施工方法に係り、特に、既存天井を撤去せずにその下側に新たな天井を施工する場合に適用しても優れた施工性を確保できる天井の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、住宅等の建物にあっては長寿命化が求められるようになってきており、古くなった家屋に手を加えて新しくするハウスリフォームが注目を集めてきている。建物の内装のリフォームに関しては、例えば壁等は壁紙の張り替え等によって比較的簡単にリフォームできものの、天井に関しては、既存天井を撤去して新たに天井を施工し直すことが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述のように、既存天井を撤去するリフォームでは、工事に伴う騒音や振動の発生が避けられず、近隣の迷惑になるといった問題があった。特に、集合住宅の場合は騒音や振動の影響が大きいため、これが天井のリフォームの普及の妨げになっているといった課題があった。また、工事自体が大掛かりになる上、廃材処理が不可欠になるため、低コスト化が困難であるとった課題もあった。
【0004】
この発明は、騒音や振動が少なく、短期間で簡単に天井を施工できる安価な天井の施工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る天井の施工方法は、天井を施工する領域を介して対向する壁面にそれぞれ固定してほぼ平行に延在配置されたレール状の野縁受けに、これら野縁受けに対してほぼ直交する向きの野縁の両端を前記野縁受けの延在方向に沿ってスライド移動自在に支持し、この野縁を前記野縁受けの延在方向について天井板との固定位置に位置決めした後、天井板との固定位置に位置決めした野縁への天井板の固定を開始するまでに、線状部材を前記野縁に形成されている通過孔に挿通させるとともに、前記線状部材を、前記野縁受けの延在方向に離間して天井を施工する領域を介して対向する壁面間に張設し、前記野縁に掛け止めすることのできる固定部材、もしくは、天井板を突き刺すことのできる固定部材により、野縁に天井板を固定することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の天井の施工方法において、前記野縁が樹脂成形品であることを特徴とする。
【0006】
本発明の天井の施工方法は、既存天井を撤去せずに、既存天井の下側に新たな天井を施工する場合に適用しても、優れた施工性を確保できる。すなわち、本発明に係る施工方法では、既存天井下側での新たな天井の施工に適用する場合、対向する壁面に固定した野縁受けによって野縁の両端をスライド移動自在に支持した状態で、天井板との固定位置に野縁を位置決めできる構成であるので、野縁が長尺であっても円滑に移動させることができ、天井板との固定位置への位置決めも容易である。既存天井下側に新たに天井を施工する場合、出来る限り天井高さを高く確保したい(天井下面がより上方になるようにする)要求があり、野縁の施工では、既存天井下の狭隘な作業スペースで長尺な野縁の移動や位置決め等を行う必要があるが、本発明のように、野縁受けによって野縁の両端をスライド移動自在に支持した状態で野縁の移動、天井板との固定位置への位置決めを行う構成であれば、作業スペースが狭隘であっても、適宜、野縁受けに対して野縁をスライド移動させることで、野縁の移動や天井板との固定位置への位置決めを円滑に効率良く行うことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について詳しく説明する。
図1は、本発明に係る天井の施工方法によって施工した天井(天井板を取り付けた後の状態)を示す下面図である。図2は、本発明に係る天井の施工方法において野縁受け、線状部材、野縁の施工を完了し、天井板の取り付け前を示す下面図である。図3は図1のIII-III線断面矢視図、図4は図1のIV-IV線断面矢視図である。
【0008】
まず、本発明の施工方法によって施工する天井について説明する。
図1〜図4において、符号1は、本発明に係る天井の施工方法によって施工された天井を示す。図3及び図4に示すように、この天井1は既存天井11の下方に施工されており、線状部材2、野縁3、固定金具4、ターンバックル5、野縁受け6、廻縁7、天井板8、固定部材9などから構成されている。
【0009】
線状部材2は、対向する壁面W1と壁面W3との間及び対向する壁面W2と壁面W3との間に張られたワイヤロープなどであり、図3に示すように一端がターンバックル5を介して固定金具4に固定されており、他端が固定金具4に固定されている。
【0010】
図5は野縁の外観図であり、図5(A)は正面図、図5(B)は平面図、図5(C)は左側面図である。
野縁3は、天井板8を取り付けるための下地骨である。野縁3は、図3〜図5に示すように、線状部材2が通過する通過孔3aを有し、図2〜図4に示すように線状部材2に通過孔3aで支持された状態で線状部材2と交差する方向(略直交方向)に配置されている。野縁2は、具体的には、図5に示すように断面が略コ字状の部材であり、断面「コ」字の開口部を上側に向けて配置されている。前記通過孔3aは、野縁2の断面下側に配置されたウェブ3dから立設された一対の側壁3b,3cに、野縁2の長さ方向に沿って間隔を空けて配列させて多数形成されている。一方の側壁3bに形成された通過孔3aは、他方の側壁3cの通過孔3aと丁度連通する位置関係になっている。野縁3は、施工現場の状況に応じて任意の寸法に切断し使用することができる。
なお、図4、図5では、菱形の通過孔3aを例示したが、通過孔の具体的形状としてはこれに限定されず、例えば円形等、各種形状が採用可能である。但し、菱形等の四角形状や三角形状の通過孔を頂点の一つが最も上側となるように形成することで、この最上部の頂点部分で線状部材2と係合して、線状部材2に対する収まりや位置安定性が確保されるため、この天井1の施工方法における野縁3の位置決め精度を容易に確保できるといった利点がある。
【0011】
図6は固定金具4の外観図であり、図6(A)は正面図、図6(B)は平面図、図6(C)は左側面図である。
固定金具4は、線状部材2及びターンバックル5を固定する部材であり、図3に示すように、既存廻縁11aなどの既存壁部の構成部材にビス4aによって固定される。ここで、既存廻縁11aを利用できない場合には、図2に示す壁面W1〜W6に補強用の木材などを固定した後に固定金具4を取り付ける必要がある。固定金具4は、図6に示すように略L字状の部材であり、固定金具4にはターンバックル5のフック5aや線状部材2を掛け止めするための貫通孔4bと、ビス4aを挿入する挿入孔4cとが形成されている。
【0012】
ターンバックル5は、線状部材2に所定の張力を付与するための部材であり、図3に示すように一方のフック部5aが固定金具4の貫通孔4bに掛け止めされ、他方のフック部5bが線状部材2に掛け止めされている。ターンバックル5は、フック部5a,5bのねじ込み量に応じて線状部材2の張力を調節する。
【0013】
図7は野縁受け6の外観図であり、図7(A)は正面図、図7(B)は下面図、図7(C)は左側面図である。
野縁受け6は、野縁3の両端を受けて支持する部材であり、線状部材2と平行な壁面W4〜W6に固定されている。野縁受け6は、図7に示すように断面が略コ字状の部材であり、図4等に示すように、一対のリブ部6a、6b間を連結するウェブ6cを既設廻縁11aに固定して、断面「コ」字の開口部が天井1の施工領域Sの中央部に向くようにして取り付けられている。
野縁受け6のウェブ6cや上下一対のリブ部6a、6bによって取り囲まれる内側の空間6dには野縁3の端部が収容される。野縁受け6は、野縁3と同様に施工現場の状況に応じて任意の寸法に切断し使用することができ、図2に示すように既存廻縁11aや壁面W1〜W6に固定された補強用の木材などに取り付けられる。
【0014】
廻縁7は、天井板8が壁面W1〜W6に接する部分に設ける見切り部材であり、図3及び図4に示すように天井板8の端面8aを受けて支持する略コ字状に形成されている。廻縁7は、既存廻縁11aや補強用の木材など、既存壁部に固定されている。図4等では、既存壁部に対する廻縁7の固定手段としてステープル71を例示している。
天井板8は、図3及び図4に示すように端面8a同士を接合した状態で野縁3に固定されている。図3及び図4において,野縁3に天井板8を固定する固定部材9は、両面テープや接着剤であるが、野縁3に天井板8を固定する固定部材としてはこれに限定されず各種構成が採用可能である。この固定部材の具体例については、後に詳述する。
【0015】
次に、この天井1の施工方法を説明する。
まず、図2及び図4に示すように、野縁受け6を既存廻縁11aに固定するとともに、図3に示すように固定金具4及び廻縁7を既存廻縁11aに固定する。
【0016】
次いで、図2に示すように、各野縁受け6の一端からその内側空間6dに野縁3の両端を収容するとともに、野縁受け6の長手方向に沿って矢印A、B方向に1本づつ野縁3を送り出し、適宜間隔をあけて野縁3を並べて配置する。図2において、具体的には、天井1を施工する領域Sは、平面視、壁面W4、W5間の領域S1と、壁面W4、W5間よりも離間距離が大きい壁面W4、W6間の領域S2の二つの領域が連続して形成された構成であり、領域S1では図2中矢印A方向、つまり、該領域S1を介して領域S2と対向する端部(壁面W1付近)から領域S2、S1の境界へ向けて野縁3を送り出し、領域S2では矢印B方向、つまり、該領域S2を介して領域S1と対向する端部(壁面W3付近)から領域S1、S2の境界(壁面W2の位置)に向けて野縁3を送り出す。
【0017】
野縁3の移動(送り出し)は、各野縁3の通過孔3aに挿通させた線状部材2を緊張させた状態で行う。線状部材2は、天井1の施工領域S1又は施工領域S1及びS2を介して野縁受け6の延在方向(長手方向)に沿った方向で対向する対を構成する既存壁部(壁面)間にて張設する。具体的には、線状部材2は、ターンバックル5を介して、天井1の施工領域を介して対向する壁面W1、W3間、壁面W2、W3間に張設し、ターンバックル5のフック部5a,5bのねじ込み量を変化させて線状部材2の張力を調整して、緊張させる。
線状部材2を緊張させた状態で、天井板8との固定位置への野縁3の移動、位置決めを行うようにすると、野縁3の両側の野縁受け6と線状部材2とに支持された状態で、野縁3が移動されることになり、野縁3が長尺であっても円滑な移動を実現でき、固定位置への位置決め作業性を向上できる。また、野縁3の移動を円滑にするための線状部材2の仮張設の後、野縁3の移動が概略完了した後に、ターンバックル5の操作によって線状部材2の張力を高めて、野縁3の垂れ下がり等を防止するための本張設を行うようにすることも可能である。
天井1の施工完了後も線状部材2の緊張状態を維持することで、野縁3の長手方向両端以外の部分が垂れ下がらないように支持する機能を果たす。
【0018】
なお、線状部材2の緊張は、野縁3の移動前に行っておくことに限定されず、例えば、各野縁3の通過孔3aへの線状部材2の挿通完了後、かつ、天井板8との固定前であればいつでも良く、天井板8との固定位置への野縁3の移動後に行っても構わない。野縁3の移動後(正確な位置決めである必要はなく、固定位置付近に仮置きした状態であっても良い)に線状部材2を緊張する場合は、線状部材2は野縁3の移動の円滑化には寄与しないが、野縁3の長手方向両端以外の部分の垂れ下がり防止には効果を発揮する。
【0019】
野縁受け6内面は野縁3端部を滑動させることができる滑動面になっており、図3に示すように、野縁受け6の内側空間6dに収容した野縁3は、野縁受け6内面での滑動によって野縁受け6の長手方向(延在方向)に沿ってスライド移動自在に支持され、このスライド移動によって目的位置まで円滑に移動できる。ここで、目的位置とは天井板8との固定位置である。この固定位置は、使用する天井板8のサイズ等によって決まるものであり、予め計測して野縁3等にマーキングしておくことも可能であるが、現場での実際の天井板8の施工によって生じる誤差等に対応して、概略の予想固定位置に野縁3を移動した後、天井板8との固定時に、さらに野縁3の位置調整を行うことも可能である。この場合の野縁3の位置調整も、野縁受け6に対する野縁3のスライド移動によって行う。
なお、図3に示すように、樹脂成形品の野縁3のウェブ3d外側の平坦面を、野縁受け6の下側のリブ部6b上の平滑面上に配置して、野縁受け6の内側空間6d内に沿って野縁3の端部をスライド移動させる構成であれば、野縁3のより円滑なスライド移動が可能であり、野縁3の位置決めに有利である。また、野縁3が樹脂製で軽量であることも、野縁受け6に対するスライド移動の円滑化に寄与する。
【0020】
次に、野縁3の底面3dに固定部材9を貼り付けるとともに、天井板8の端面8a同士が野縁3の底面3dで固定部材9によって接合するように、図1に示すように天井板8を順次並べて取り付ける。施工する天井1の周囲部に位置する天井板8は、壁面W1〜W6付近に位置する端面8a付近が廻縁7によって固定され、この廻縁7と固定部材9とによって複数箇所が固定されて、安定に取り付けられる。
天井1を構成する全ての天井板8の施工が完了することで天井1が完成する。
【0021】
図3、図4に示すように、廻縁7は、既存廻縁11a等の既存壁部の構成部材に対してステープル70等によって固定した上フレーム71と、この上フレーム71に対して下側から嵌合される断面L字形の下フレーム72との間に天井板8を挟み込んで固定する構成である。図3、図4等において、符号72aは、下フレーム72の断面L字形の一片を成形して形成された嵌合片であり、この嵌合片72aを上フレーム71の嵌合溝71aに押し込み嵌合することで、下フレーム72の断面L字形の他片である押さえ片72bが上フレーム71のプレート状の押さえ片71bとの間に天井板8を挟み込む固定溝73を形成する。ここで、廻縁7は、既存壁部の構成部材に固定された上フレーム71に対する下フレーム72の嵌合と同時に上下フレーム71、72間(詳細には押さえ片71b、72b間)に天井板8を挟み込んで固定することで、施工現場にて簡単に天井板8を固定できる。
【0022】
この天井の施工方法によれば、既存天井11の撤去の必要が無く、また、新規の天井1の施工自体でも、野縁受け6や固定金具4の既存壁部への固定以外には騒音や振動等を発生する作業が殆ど存在しないため、施工に伴う騒音や振動の発生を非常に少なく抑えることができ、近隣の家屋等に対する影響が少ない。また、既存天井11の撤去に伴う廃材の処理等も不要であるから、廃材処理に伴うコストが掛からない。さらに、建物躯体に影響するような工事を必要としないから、重機等の使用も必要が無く、作業者の人手によって簡単に低コストで施工できるといった利点がある。
【0023】
本発明の掛け止めすることのできる固定部材とは、例えば、図8に示す固定部材19であり、野縁3に天井板8を掛け止めする掛け止め部材である。固定部材19は、図8に示すように外観形状が略L字状であり先端が野縁3の固定用孔3eに挿入されるフック部19aと、このフック部19aの基部19bを天井板8に固定するためのビス19cとから構成されている。なお、固定用孔3eに代えて通過孔3aを利用してもよい。
【0024】
本発明の天井板を突き刺すことのできる固定部材とは、例えば、図9に示す固定部材29であり、野縁3の底面3dから突出する突出部29aと、この突出部29aに形成され天井板8の端面8aに刺さり込む刺さり込み針部29bと、野縁3の底面3dに突出部29aを固定するためのビス29cとを備えている。天井板8としては、例えば低発泡ポリエチレン等の樹脂フォームなど、軽量かつ刺さり込み針部29bの刺さり込みが容易なものを採用し、適宜、天井板8や野縁3を移動させることで、固定部材29の刺さり込み針部29bを天井板8に端面8aから突き刺すようにする。
この固定部材29によって天井板8を野縁3に固定する場合には、天井板8の端面8aに形成した切欠部8bによって、固定部材29の突出部29aを収容して、天井1下面側から突出部29aが見えないようにすることがより好ましい。
切欠部8bは、突出部29aを挟み込むように天井板8の端面8a同士を接合するときに、この突出部29aが天井板8内に隠蔽可能な寸法、つまり、端面8a同士が直接当接される部分を下側を残してその上側に突出部29aを収容可能な大きさの切欠部8bを形成し、天井板8の端面8a同士の突き合わせ時には、端面8a同士が直接当接された部分によって突出部29aが隠蔽されて、下から見えないように形成されている。
【0025】
施工された天井1では、天井板8を交換するだけで簡単にリフォームすることができる。
つまり、天井板8としては強度が高いものを使用する必要が無く、また、天井1中央部の下方への撓み等、長期の使用による変形の防止や、低コスト化、施工性等に鑑みて軽量のものを使用することが好ましく、これらの点から樹脂フォーム等からなるものを採用することが適切である。このような天井板8であれば、天井板8の撤去は引き剥がし等によって簡単に行うことができ、大きい騒音や振動の発生を伴う大掛かりな工事等を行う必要が無い。
天井板8を撤去したら、必要に応じて固定部材も交換して、新しい天井板を固定部材によって野縁3等に固定すれば良い。このとき、新しい天井板のサイズ等によっては野縁3の位置を変更する必要があるが、天井板8との固定が解除された野縁3は野縁受け6長手方向に沿ったスライド移動によって簡単に位置調整できるため、新規の天井板に対する固定位置への移動を容易に行うことができ、リフォーム作業性を向上できる。
【0026】
図3、図4等に例示した廻縁7については、これに固定されている天井板8とともに解体撤去して、新しいものに交換する。しかし、この廻縁7の交換も、既存天井11の改修に比べて、騒音や振動の発生が少ない非常に小規模の工事で済み、リフォーム作業性の向上、低コスト化を実現できることは明らかである。
また、天井板8の固定を解除可能な構成の廻縁を採用すれば、廻縁の交換を不要にすることができる。
【0027】
なお、この発明は、以上説明した実施の形態に限定するものではなく、種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。例えば、この発明は、既存の天井を残したまま新たな天井を施工するようなハウスリフォームを例に挙げて説明したが、新築時に天井を施工する場合についてもこの発明を適用することができる。
線状部材の張力を調節する手段としては、前記ターンバックルに限定されず、例えば、巻き上げウィンチ機構等、各種構成が採用可能である。巻き上げウィンチ機構としては、施工現場への搬入容易性(重量、サイズ)、天井の施工完了後に撤去の必要を無くすこと等に鑑みて、手動巻き上げ方式のもの等、構成が簡単で安価なものを採用することがより好ましい。
比較的小規模の天井の施工では、天井板や野縁の経年劣化等による垂れ下がりの可能性が少ないため、線状部材の設置を省略できる。
【0028】
【発明の効果】
この天井の施工方法によれば、既存天井の撤去の必要が無く、また、新規の天井の施工自体でも、野縁受けや固定金具の壁面への固定以外には騒音や振動等を発生する作業が殆ど存在しないため、施工に伴う騒音や振動の発生を非常に少なく抑えることができ、近隣の家屋等に対する影響が少ない。しかも、工期も大幅に短縮できる。また、既存天井の撤去に伴う廃材の処理等も不要であるから、廃材処理に伴うコストが掛からない。さらに、建物躯体に影響するような工事を必要としないから、重機等の使用も必要が無く、作業者の人手によって簡単に低コストで施工できるといった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態に係る天井の施工方法によって施工した天井を示す下面図である。
【図2】 この発明の実施の形態に係る天井の施工方法における天井板を取り付ける前の状態を示す下面図である。
【図3】 図1のIII-III線断面矢視図である。
【図4】 図1のIV-IV線断面矢視図である。
【図5】 本発明の実施の形態の施工方法に適用される野縁の外観図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図である。
【図6】 本発明の実施の形態の施工方法に適用される固定金具の外観図であり、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図である。
【図7】 本発明の実施の形態の施工方法に適用されれる野縁受けの外観図であり、(A)は正面図、(B)は下面図、(C)は左側面図である。
【図8】 本発明の実施の形態の施工方法に適用される固定部材の他の例を示す外観図である。
【図9】 本発明の実施の形態の施工方法に適用される固定部材の他の例を示す外観図である。
【符号の説明】
1…天井、2…線状部材、3…野縁、3a…通過孔、6…野縁受け、8…天井板、9,19,29…固定部材、11…既存天井、11a…既存廻縁、S,S1,S2…天井を施工する領域、W1〜W6…壁面(既存壁部の壁面)。
Claims (2)
- 天井を施工する領域を介して対向する壁面にそれぞれ固定してほぼ平行に延在配置されたレール状の野縁受けに、これら野縁受けに対してほぼ直交する向きの野縁の両端を前記野縁受けの延在方向に沿ってスライド移動自在に支持し、この野縁を前記野縁受けの延在方向について天井板との固定位置に位置決めした後、天井板との固定位置に位置決めした野縁への天井板の固定を開始するまでに、線状部材を前記野縁に形成されている通過孔に挿通させるとともに、前記線状部材を、前記野縁受けの延在方向に離間して天井を施工する領域を介して対向する壁面間に張設し、前記野縁に掛け止めすることのできる固定部材、もしくは、天井板を突き刺すことのできる固定部材により、野縁に天井板を固定することを特徴とする天井の施工方法。
- 前記野縁が樹脂成形品であることを特徴とする請求項1記載の天井の施工方法。
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