JP5925098B2 - 耐震天井構造 - Google Patents
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天井は、例えば、上階の床躯体から吊り下げられた吊りボルトと、この吊りボルトに支持されて略水平に延びる野縁受けと、略水平でかつ野縁受けに交差する方向に延びるとともに野縁受けに支持される野縁と、この野縁の下面に取り付けられる天井面材と、を備えることが数多くにみられる。
このような構造の天井では、大きな地震荷重が作用すると、クリップが外れたり野縁受けがハンガーから外れたりして、天井材が落下するおそれがあった。
第1の方法として、天井下地を構成する吊りボルトと野縁受けの間や、吊りボルトと床躯体の間に、斜めに延びるブレースを取り付ける方法が提案されている(特許文献1、2参照)。これにより、天井面全体の揺れを抑えて、地震時における天井の挙動を小さくすることで、天井材が落下するのを防止できる。
然しながら、実際の天井材の設計や施工では、地震動がどの程度増幅するかを事前に算定するのは難しく、想定外の地震荷重にも耐えうる天井材を建設するのは困難であった。その結果、耐震補強後の天井であっても、大規模地震や長周期地震動が加わった際に大きな揺れが生じて、天井材が落下するおそれがあった。
また、天井裏空間の全域に亘ってブレース材を配置する耐震補強を計画しても、天井下の居住者が執務を中断出来ないような場合には、確実に施工できない、という問題があった。
また、天井裏空間についても、設備ダクト等が複雑に配置計画されることが多く、耐震補強材を十分に配置できないこと、また、耐震化を実施するのに工事費が高額になる、という課題があった。
天井裏空間の構造体は、上階の床躯体から吊り下げられた吊りボルトと、この吊りボルトに支持されて略水平に延びる野縁受けと、略水平でかつ野縁受けに交差する方向に延びるとともに野縁受けに支持される野縁で構築される。
横架材は、H型鋼材等に比べて、軽量で断面積が比較的に小さなPC鋼材に張力を導入することで、天井面に添わせた建物室内の長い距離間に架設することが可能となり、天井材の落下を防止させるものである。
また、既存建物に本発明の耐震天井構造を設ける場合には、横架材は天井裏空間の空調ダクト等を避けて建物躯体間に張り渡すだけでよいので、天井下で居住者が執務を継続中であっても、簡易かつ確実に施工することができる。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態に係る耐震天井構造であり、天井裏空間に横架材を架設した天井1の拡大斜視図である。
天井1は、上階の床躯体4から吊り下げられた吊りボルト21と、この吊りボルト21に支持されて略水平に延びる野縁受け22と、略水平でかつ野縁受け22に交差する方向に延びるとともに野縁受け22に支持される野縁23と、この野縁23の下面に張り付けられた天井面材6と、を備える。
横架材取付け冶具は、横架材を挟み込んで位置決めを行い、天井の構造体と緊結するための取付け冶具本体51と、冶具本体を野縁受けと連結させるボルト52を、備える。
(1)、天井材に、想定外の地震荷重が作用しても、天井本体の構造体(野縁受けや野縁)とは別に、新たに横架材を架設し、天井裏空間の構造材と緊結させて天井材の耐震性能を向上させることで、天井全体または天井材の一部が落下するのを防止する。
図2は、本発明の第2実施形態に係る耐震天井構造であり、天井面の下端61に横架材を架設された天井1の拡大縦断面図である。図2(a)は横架材3を野縁23と緊結させた場合の実施形態であり、図2(b)は横架材3を野縁受け22と緊結させた場合の実施形態である。図2(C)は、横架材3と横架材取付冶具本体51との取合い部分の模式図である。
天井面材6は、天井面の下方側よりビスを用いて野縁23に固定され、野縁23は野縁受け22にボルト52で連結され、野縁受けは、ハンガー25を介して上階の床躯体に定着された吊りボルト21に支持される。
図2(a)に示す横架材3を野縁23に緊結させる実施形態においては、横架材は、天井面材下端61に添わせて設け、所定間隔毎に横架材取付け冶具本体51で挟み込み、位置決めを行った後、ボルト52を用いて冶具本体を野縁と連結させる。また、図2(b)に示す横架材3を野縁受け22に緊結させた実施形態では、天井面材下端の横架材を横架材取付け冶具本体で挟み込み、位置決めを行った後、横架材取付け冶具本体はボルトを介して野縁受けと連結させる。
横架材は、両端部が定着手段(例えば、後施工アンカー、溶接)により建物躯体に定着される。横架材は、一方の端部に張力導入装置が取付けられており、当該張力導入装置は、金属製の胴の両端部にねじ山が切られていて、一方は右ねじ、他方は左ねじになっている構造である。横架材に導入する張力は、張力導入装置に設けられた両端部のねじ部を、双方反対向きにトルク管理の基で締め付けることで、所定量が導入されている。
STEP1では、建物の壁躯体又は上階の床躯体に、横架材を定着させるために定着手段(例えば、後施工アンカー、溶接など)を取り付ける。STEP2では、上階の床躯体に定着された吊りボルトに、野縁受けと野縁を取り付けた後、天井下地材を設ける。そして、天井下地材に天井面材が取り付いていないこの段階で、天井裏空間に横架材を仮架設し、その後張力を導入した後、横架材用取付け冶具を用いて横架材を野縁受けと緊結する。STEP3では、野縁の下面に天井面材を取り付ける。
STEP1では、建物躯体に定着手段(例えば、後施工アンカー、溶接)を取り付けるために、既存建物の天井材を部分的に撤去する。STEP2では、建物の壁躯体又は上階の床躯体に、横架材を定着させるために定着手段(例えば、後施工アンカー、溶接など)を取り付ける。STEP3では、天井面下端に、張力を導入した横架材を架設した後、横架材用取付け冶具を用いて横架材を野縁受けと緊結させる。
例えば、上述の各実施形態では、横架材として、PC鋼線、PC鋼より線、ワイヤーなどのPC鋼材を用いたが、これに限らず、横架材として、棒状(ロッド)又はより線状(ストランド)に成形された炭素繊維、アラミド繊維、ガラス繊維、エポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂などを組み合せた連続繊維補強材を用いてもよい。
また、上述の各実施形態では、天井1を在来天井としたが、これに限らず、システム天井にも適用できる。
2…既存建物の躯体
3…横架材
4…上階の床躯体
5…横架材取付け冶具
6…天井面材
7…定着手段(後施工アンカー、溶接)
8…張力導入装置(ターンバックル)
9…壁材
10…耐震天井構造
11…天井裏空間
21…ボルト
22…野縁受け
23…野縁
25…ハンガー
31…ワイヤークランプ
32…ワイヤークリップ
51…取付冶具本体(ワイヤークリップ)
52…ボルト
61…天井面材下端
62…天井材の撤去部分
63…天井材の補修部分
Claims (2)
- 天井裏空間に設けられた天井の落下を防止する耐震天井構造であって、
天井面と略水平に設けられ、張力が導入された横架材と
前記天井の天井裏空間の野縁受けに当該横架材を緊結させる横架材取付け冶具と、
建物躯体に当該横架材を定着させる定着手段と、
前記横架材に張力を導入するための張力導入装置と、を備え、
前記横架材は、前記野縁受けに沿って架設されており、当該野縁受けの側面に設けられた前記横架材取付け冶具を介して、前記野縁受けと緊結されていることを特徴とする耐震天井構造。 - 前記横架材は、PC鋼材であり、前記野縁受けを構成する軸材の側面の高さ位置に架設されていることを特徴とする請求項1に記載の耐震天井構造。
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