JP6154650B2 - 天井構造 - Google Patents
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このため、特に、災害応急対策の実施拠点となる庁舎、避難場所に指定されている体育館等の防災拠点施設、更には、固定防災拠点とされる客席を有する劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場等においては、地震が発生しても、天井部材の床面までの落下を防止し、人に危害を加えない天井構造が求められている。
天井材の落下防止技術には、例えば特許文献1がある。
更に、鉛直体の天部において、四辺の水平体により形成された方形状の枠体内へ、所定の間隔を開けて、複数の横架体(小梁)を取付ける。また、枠体内の横架体の上には、網体を張設させる。これにより、既存の建築物の補強に加え、網体が天井材の落下を受け止める。
本発明は、上記事実に鑑み、吊り天井部材の落下を防止する天井構造を提供することを目的とする。
請求項2に記載の発明によれば、映画館の天井のように傾斜した天井でも、吊り天井部材に沿って、網材、膜材、又はメッシュ金物を展開することができる。また、吊り天井部材に設けられた照明の光の妨げになりにくい。
これにより、網材又は膜材が揺れにくくなる。また、網材又は膜材の支持点が増えるので支持強度が上がる。
これにより、落下防止部材の構成に対応させた連結部材を吊り部材に取付けることができ、落下防止部材の吊り部材への連結を容易にすることができる。
補強部材で天井部材を斜めに吊ることで、地震時等における天井部材の揺れや変形が抑えられ、天井部材の落下や損傷を抑制することができる。
図1、図2を用いて第1実施形態に係る天井構造について説明する。
天井10は、天井スラブ12から吊りボルト14と、吊りボルト14の下端部に接合された連結金具15で吊り下げられた、既存の吊り天井部材16を有している。
また、吊り天井部材16は、天井ボード20(天井パネルを含む)と、天井ボード20を支持する天井下地18とを有している。天井下地18は、軽量鉄骨や木材等で平面視が格子状に構成され、天井スラブ12に固定された吊りボルト14に、連結金具15を介して接合されている。天井ボード20は、石膏ボードや木材等で形成され、室内空間56の天井面を構成している。図1では、天井ボード20は、上下方向に、所定の隙間を開けて2枚重ねた二重構造の例が示されている。ここに、天井スラブ12と吊り天井部材16の間の空間が天井裏空間54であり、吊り天井部材16の下の空間が室内空間56である。
ネット32の吊下げは、後述の施工方法で説明するように、吊り天井部材16の開口部(ダウンライト取付口)34の上方の天井スラブ12に固定されたアンカーボルト(アイボルト)22で吊下げされている。即ち、アンカーボルト22から吊りワイヤー24が吊り下げられ、吊りワイヤー24の下端部には、連結部材である連結パイプ26が支持されている。また、連結パイプ26の下端部には十字金具28が取付けられ、十字金具28には、ネット用ワイヤー30が取付けられている。ネット用ワイヤー30が、ネット32の周囲を支持している。
十字金具28は、天井ボード20の下方に接合され、連結パイプ26から十字状に四方へ突出する平板部を有している。平板部にはそれぞれ貫通孔が設けられ、それぞれの貫通孔には、ネット用ワイヤー30が接続されている。ネット用ワイヤー30は、平面視で格子状に配置され、ネット用ワイヤー30の交差部に十字金具28が配置されている。
また、アンカーボルト22は、天井ボード20に設けられたダウンライト取付口34を通して、天井スラブ12に固定される。即ち、ダウンライト取付口34を通して、アンカーボルト22が天井スラブ12に固定される。このため、天井ボード20に、別途アンカーボルト22施工用の開口部を設けなくてもよい。また、ダウンライト取付口34には、端部を囲む枠材35が設けられ、ダウンライト取付口34の下端部には、開口部を覆う蓋材39が設けられている。これにより、ダウンライト取付口34を保護及び補強し、意匠性を高めることができる。
更に、連結パイプ26の下端部に、取り外した既存照明のダウンライト36を取り付けることができる。これにより、ほぼ、従来と同じ位置にダウンライト36を取り付けることができ、ネット32の影響を受けず、室内の照明環境を維持することができる。このとき、照明用配線37は、連結パイプ26の内部空間を利用して、ダウンライト36に引き込めばよい。
更に、本実施形態では、従来の吊りボルト14に加え、アンカーボルト22を、新たに天井スラブ12に打設し、アンカーボルト22にネット32を支持させている。これにより、より確実に、天井ボード20の落下防止が図れる。なお、アンカーボルト22は、アイボルトを例に説明したが、これに限定されることはなく、他の構造のアンカーボルト22でも良い。
先ず、天井スラブ12から吊りボルト14で吊下げられた、既存の吊り天井部材16の天井ボード20から、ダウンライト36を取り外す工程を実行する。天井ボード20に設けられた、ダウンライト取付口34の開口を活用するためである。
次に、ダウンライト36が取り外された、天井ボード20のダウンライト取付口34を通して、下方から上方の天井スラブ12に、アンカーボルト22用の取付け穴を開け、アンカーボルト22を天井スラブ12固定する工程を実行する。新たに、天井スラブ12にアンカーボルト22を固定することで、天井ボード20の確実な落下防止を図ることができる。
次に、アンカーボルト22に吊りワイヤー24を取付け、ワイヤー24の下端に連結パイプ26を取付ける工程を実行する。連結パイプ26の下端部には十字金具28が接合されており、十字金具28は、天井ボード20の下面よりも室内空間側56へ突出させる。
最後に、ネット用ワイヤー30を十字金具28に取付け、ネット32の周囲をネット用ワイヤー30に取付ける工程を実行する。これにより、天井ボード20の下方へネット32を展開することができる。このとき、十字金具28が天井ボード20から室内空間側56に突出しているため、ネット用ワイヤー30及びネット32の接合が容易にできる。
また、天井ボード20の開口部は、ダウンライト取付口34を取り外した後の開口で説明した。しかし、これに限定されることはなく、図示は省略するが、他の照明機器やスピーカー等の取付け口でもよい。更に、設備取付口の開口部の上部が、例えばダクト等で塞がれている場合や、適切な位置に設備取付口の開口部がない場合等には、新たに開口部を設け、新たな開口部を利用してアンカーボルト22を天井スラブに固定し、アンカーボルト22でネット32を吊るしてもよい。開口部とは、照明・空調・排気・散水・センサ等の取付口や、既成点検口の他、天井裏の設備配管類との干渉を避けた新たな開口部を総じていう。
図3を用いて、本発明の第2実施形態に係る天井構造について説明する。
本実施形態に係る天井90は、補強部材78を用いて吊り天井部材16を補強する点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
図3に示すように、天井スラブ12に固定されたアンカーボルト22には、吊りワイヤー24に加え、補強ワイヤー78の一端が取り付けられ、補強ワイヤー78の他端は、天井下地材18に取付けられている。
補強ワイヤー78は複数用いられ、互いに対向する方向に、鉛直方向に対して斜めに取付けられる。このとき、補強ワイヤー78と天井下地材18との取付けは、例えば、天井下地材18の交差部を利用して、天井下地材18に巻き付けて、止めベルト79で止めてもよい。また、天井下地材18を吊るす連結部材15に巻き付けて、止めベルト79で止めてもよい。これにより、より確実に、補強ワイヤー78を取付けることができる。
これにより、地震時等における天井ボード20の揺れや変形が抑えられ、揺れや変形に起因する天井ボード20の落下や損傷を抑制することができる。
他は、第1実施形態と同じであり、説明は省略する。
図4〜図7を用いて、本発明の第2実施形態に係る天井構造について説明する。
本実施形態に係る天井80は、網材製のネット32を鋼材製のメッシュ金物60とした点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
図4(A)の鉛直断面図、図4(B)の斜視図、図5(A)の鉛直断面図、図5(B)の下から見上げた平面図に示すように、天井ボード20のダウンライト36を取り外した開口部82には、開口部82を塞いでメインフレーム72が取付けられている。メインフレーム72は、断面視が下方に向けて開放された略コ字状に、鋼板又は樹脂で形成され、ダウンライト36が収容される幅を有し、複数の開口部82が連続する配列方向を長手方向とし、複数の開口部82を連続して塞ぐ長さに形成されている。
メインフレーム72の長手方向の両側面には、全幅に渡り、凹状に内部へ折り曲げられた凹部86が形成されている。凹部86には、所定の間隔で落下防止フレーム50が挿入されている。落下防止フレーム50は鋼製角材で形成され、メインフレーム72と直交する方向に配置されている。落下防止フレーム50の端部は、メインフレーム72とL形金具74を介してビスで固定されている。
落下防止フレーム50の上面には、メッシュ金物60のメッシュ間隔に一致させた複数の溝部64が形成されている。これにより、溝部64に、上方からメッシュ金物60の鋼材部を落とし込むことができる。メッシュ金物60は、天井ボード20を受け止めて保持するため、保持強度を受け止めて、確保できる径の鋼線で格子状に形成されている。また、天井ボード20の下方に、天井ボードと接する位置に、天井ボード20に沿って取り付けられている。
先ず、図6(A)、図6(B)に示すように、既存のダウンライト36を、天井ボード20から、一旦、全て取り外す。ダウンライト36は、天井ボード20に取付けられており、容易に取り外すことができる。
次に、図6(C)に示すように、ダウンライト36を取り外したダウンライト取付口82を利用して、下からドリル76で天井スラブ12に、図示しないアンカー孔を開ける。その後、アンカー孔に全ネジボルト84の一端を固定し、一端を天井ボード20の下面から突出させる。
即ち、落下防止フレーム50は、所定間隔で設けられたメインフレーム72とメインフレーム72の間に、メインフレーム72と直交する方向へ渡される。次に、落下防止フレーム50と落下防止フレームの間に、メッシュ金物52を上から落とし込む。
図8〜図11を用いて、本発明の第4実施形態に係る天井構造について説明する。
本実施形態に係る天井40は、既存照明をダウンライト36でなくライン照明42とし、網材製のネット32を鋼材製のメッシュ金物60とした点において、第1実施形態と相違する。相違点を中心に説明する。
図8の斜視図、図9(A)の鉛直断面図、図9(B)の下から見上げた平面図に示すように、天井ボード20のライン照明42を取り外した開口部62を塞いで、メインフレーム48が取付けられている。メインフレーム48は、断面視が下方へ開口する略コ字状とされ、ライン照明42を収納する幅を有し、ライン照明42を取り外した開口部62を長手方向へ連続して塞ぐ長さに形成されている。
メインフレーム48の両側面には、凹状に折り曲げた凹部88が形成され、凹部88には、所定の間隔で、落下防止フレーム50が挿入されている。落下防止フレーム50は、メインフレーム48の側面と直交する方向に配置され、落下防止フレーム50の端部は、メインフレーム48とL形金具74を介してビスで固定されている。
落下防止フレーム50の上面には、落下防止ネットとしてのメッシュ金物60が設けられている。このとき、落下防止フレーム50の上面に、メッシュ金物60のメッシュ間隔に一致させた複数の溝部64が形成され、溝部64には、上方からメッシュ金物60が落とし込まれている。メッシュ金物60は、天井ボード20を受け止めて保持する強度を確保できる径の鋼線で格子状に形成され、天井ボード20の下方に、天井ボード20に沿って、取り付けられている。
先ず、図10(A)、図10(B)に示すように、既存のライン照明42を、天井ボード20から、一旦、全て取り外す。ライン照明42は、2本の吊りボルト44で天井スラブ12から吊り下げられており、ナットを緩めることで容易に取り外すことができる。これにより、ライン照明42を吊り下げていた、2本の吊りボルト44を活用できる。
次に、図10(C)に示すように、ライン照明42を取り外した後に、吊りボルト44の下端部に袋ナット46を装着する。続いて、袋ナット46を利用して、コの字型のメインフレーム48を延長ボルト45で取付ける。メインフレーム48は、上面を天井ボード20の下面と当接させて取り付けられる。メインフレーム48の側面には、内側に折り曲げられた凹部88が形成されている。
次に、図11(E)に示すように、メインフレーム48に下地金物66を取り付け、下地金物66に取り外したライン照明42を取付ける。ライン照明42は、下地金物66とビスで接合される。これにより、天井40の施工が完了する。図11(F)に完成状態を示す。ライン照明42とメッシュ金物52を調和させることができる。
12 天井スラブ
14 吊りボルト(吊下げ部材)
15 連結金具(吊下げ部材)
16 吊り天井部材
18 天井下地(吊り天井部材)
20 天井ボード(吊り天井部材)
22 アンカーボルト(吊り部材、天井スラブ固定具)
24 吊りワイヤー(吊り部材)
26 連結パイプ(連結部材、吊り部材)
30 ネット用ワイヤー(落下防止部材)
32 ネット(網材、落下防止部材)
34 ダウンライト取付口(設備取付口)
48、72 メインフレーム(連結部材)
52 メッシュ金物(落下防止部材)
78 補強ワイヤー(補強部材)
Claims (5)
- 天井スラブから吊下げ部材で吊り下げられ、設備取付用の開口部を有する吊り天井部材と、
前記吊り天井部材の前記設備取付用の開口部を通して前記天井スラブに固定された吊り部材と、
前記吊り部材に支持され、前記吊り天井部材の下方に展開された落下防止部材と、
を有する天井構造。 - 前記落下防止部材は、網材、膜材、又はメッシュ金物である請求項1に記載の天井構造。
- 前記網材又は膜材の外周部は壁に連結されている請求項2に記載の天井構造。
- 前記吊り部材は、前記落下防止部材と連結される連結部材を備えている請求項1〜3のいずれか1項に記載の天井構造。
- 前記吊り部材は、前記天井スラブに固定される天井スラブ固定具を備え、斜めに配置され、前記天井スラブ固定具と前記吊り天井部材を結ぶ補強部材が設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の天井構造。
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