JP4027783B2 - 写真印画紙用支持体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原紙の表面をポリオレフィン樹脂で被覆する写真印画紙用支持体に関するものであり、詳しくはポリビニルアルコール系樹脂を含有する原紙とその原紙表面を被覆するポリオレフィン樹脂との接着性に優れた写真印画紙用支持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、写真の現像・定着処理において印画紙の原紙へ処理液が浸透するのを防止すると共に、印画紙の水洗や乾燥などに費やす時間の短縮を図るために、写真印画紙用支持体としては、原紙の両面をポリエチレンなどのポリオレフィン樹脂により被覆した耐水性写真印画紙用支持体が好んで用いられている。写真乳剤の層をその上に施すべき耐水性写真印画紙用支持体の上部ポリオレフィン被覆層は通常、写真の鮮明さを高めるために白色顔料を含有している。
しかしながら、ポリビニルアルコールによりサイズを施された原紙にポリオレフィン被覆層をラミネートする場合には、原紙に対するポリオレフィン被覆層の接着力が低下するという問題点があった。
【0003】
上記の欠点を解決するために、ポリビニルアルコールによりサイズを施された原紙の表面をコロナ処理した後にポリオレフィン被覆層をラミネートすることにより接着力を向上させる方法(例えば特許文献1および2などを参照)、または疎水性サイズ剤でサイジングした原紙の表面にカルボキシル変性ポリビニルアルコールを塗布する方法(例えば特許文献3などを参照)などが行われているが、何れの方法も原紙に対するポリオレフィン被覆層の接着力は未だ不十分であった。さらには、ポリビニルアルコールによりサイズを施された支持体表面にポリエチレンイミンやポリオレフィンエマルションなどを用いてアンカー処理をする方法(例えば特許文献4などを参照)が知られているが、該方法には工程が複雑化する、コストアップに繋がるなどの問題点があった。また、一般にポリエチレンラミネート工程において、高温加熱によるポリエチレンの酸化を利用してポリエチレン被覆層の接着性の向上を図っているが、環境調和の観点からラミネート工程での揮発分を低減させるため、ポリエチレンの溶融ラミネート温度を下げたいとの要求が強くなっている。
【0004】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特公昭55−12584号公報(第2頁)
【特許文献2】
米国特許第3411908号公報(第1〜2頁)
【特許文献3】
特開昭62−138848号公報(特許請求の範囲、第2〜3頁)
【特許文献4】
特開昭58−156096号公報(特許請求の範囲、第3頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、原紙の表面をポリオレフィン樹脂で被覆した写真印画紙用支持体に関し、ポリオレフィン樹脂と原紙との接着性に優れた写真印画紙用支持体を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、分子内の1,2−グリコール結合量が1.8〜3.5モル%であるポリビニルアルコール系樹脂を含有する原紙の表面をポリオレフィン樹脂で被覆してなる写真印画紙用支持体により上記課題が達成されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明についてさらに詳しく説明する。
本発明の写真印画紙用支持体において、原紙に含有されるポリビニルアルコール系樹脂(以下においてPVA系樹脂と略記することがある)は、分子内に1,2−グリコール結合を1.8〜3.5モル%含有し、好ましくは1.9〜3.1モル%含有し、より好ましくは2.0〜3.0モル%含有する。1,2−グリコール結合の含有量が1.8モル%未満の場合は、原紙とポリオレフィン樹脂との接着力が十分に得られない。また、1,2−グリコール結合の含有量が3.5モル%を越える場合は、PVA系樹脂の結晶性の低下を招き、写真の現像処理時に印画紙の端部裁断面から現像液が原紙に浸透するのが抑制できなくなる。
【0008】
PVA系樹脂の1,2−グリコール結合量はそのプロトンNMRのピークから求めることができる。通常は、PVA系樹脂をけん化度99.9モル%以上にけん化し、十分にメタノール洗浄した後、90℃で2日間減圧乾燥したものをプロトンNMR測定に供する。該PVA系樹脂をDMSO−d6に溶解したものにトリフルオロ酢酸を数滴加えて測定試料を調製し、80℃でプロトンNMR測定を行う。
ビニルアルコール単位のメチン由来のピークは3.2〜4.0ppm(積分値A)、1,2−グリコール結合の1つのメチン由来のピークは3.25ppm(積分値B)に帰属され、次式より1,2−グリコール結合の含有量が算出される。
1,2−グリコール結合含有量(モル%)=B/A×100
【0009】
本発明に用いられるPVA系樹脂の粘度平均重合度(以下において重合度と略記する)には特に制限はないが、通常100〜8000であり、200〜7000であることが好ましく、300〜5000であることがより好ましい。重合度が100未満の場合には該PVA系樹脂によりサイズを施された支持体の表面強度が低下し、耐ピッキング性が低下することがある。重合度が8000を越えると、該PVA系樹脂の水溶液または水分散液を原紙に塗工する際に該PVA系樹脂液の粘度が高く、塗工性が悪くなる場合がある。
【0010】
PVA系樹脂の重合度(P)はJIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVA系樹脂を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求められるものである。
P=([η]×10/8.29)(1/0.62)
【0011】
本発明に用いられるPVA系樹脂のビニルエステル部分のけん化度は特に限定されないが、通常50モル%以上であり、好ましくは60〜99.9モル%、より好ましくは70〜99モル%である。けん化度が50モル%未満になるとPVA系樹脂の水溶性または水分散性が低下する傾向がみられるほか、PVA系樹脂の水溶液または水分散液を塗工する際に該PVA系樹脂液の粘度が不安定化する傾向がみられ、塗工条件が制限される場合がある。
また、本発明において、重合度および/またはけん化度の異なるPVA系樹脂の2種以上を混合して使用してもなんら差し支えない。さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、分子内に1,2−グリコール結合を1.8〜3.5モル%含有するPVA系樹脂と、無変性のPVA系樹脂または他の変性種による変性PVA系樹脂とを混合して使用しても差し支えない。
【0012】
本発明に用いられるPVA系樹脂の製造方法について特に制限はなく、公知の方法が使用可能である。1,2−グリコール結合の含有量が上記範囲内となるようなPVA系樹脂を製造する方法としては、ビニルエステル系単量体とビニレンカーボネートを上記の1,2−グリコール結合含有量になるような割合で共重合した後、得られたビニルエステル系樹脂をけん化する方法;大気圧での重合溶液の沸点よりも高い温度、例えば75〜200℃で加圧下にビニルエステル系単量体を重合した後、得られたビニルエステル系樹脂をけん化する方法などが例示される。後者の方法においては、重合温度は100〜190℃であることが好ましく、110〜180℃であることがより好ましい。
ビニルエステル系単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニルなどが挙げられるが、工業的生産の観点からは酢酸ビニルが好ましい。
【0013】
本発明に用いられるPVA系樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲で、共重合可能なエチレン性不飽和単量体を共重合したものでも良い。ここでエチレン性不飽和単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フマル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類またはその塩または炭素数1〜18のモノもしくはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその酸塩またはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩、炭素数1〜20のヒドロキシアルキル基含有のα−オレフィン、ポリアルキレンオキサイドモノアリルエーテルなどが挙げられる。これらのエチレン性不飽和単量体単位の含有量には特に制限は無いが、0.01〜10モル%が好ましく、0.1〜5モル%がより好ましい。
【0014】
本発明の写真印画紙用支持体に用いられる原紙の種類および厚さは特に限定されるものではないが、その坪量としては50〜250g/mであることが望ましい。また、写真印画紙の平面性の観点から、表面の平滑性および平面性に優れた原紙を使用することが望ましく、マシンカレンダーおよびスーパーカレンダーなどにより熱および圧力を加えて表面処理されたものが好ましい。本発明の写真印画紙用支持体は、その光沢面に写真乳剤層が塗布乾燥されて写真印画紙となるが、他面に、例えば特開昭62−6256号公報に開示されている印字保存層を設けるなど、様々な態様の写真印画紙に適用可能である。
【0015】
本発明に用いられる原紙としては、アクリルアミドまたはメタクリルアミドを主要なモノマー成分とし、アニオン性モノマーとカチオン性モノマーを共重合して得られる両性のポリ(メタ)アクリルアミドを紙力剤として添加したものを使用しても良い。該両性ポリ(メタ)アクリルアミドは、GPC法(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法)によって測定される平均分子量が200万〜500万のものであることが好ましく、200万〜350万のものであることが特に好ましい。
上記アニオン性モノマーとしては、例えばアクリル酸、メタクリル酸およびイタコン酸などを挙げることができるが、これらの中でも特にイタコン酸を使用することが好ましい。上記カチオン性モノマーとしては、ジアルキルアミノアルキルメタクリレートおよびその塩、ジアルキルアミノアルキルアクリルアミドおよびその塩が好ましい。
【0016】
本発明に用いられる原紙としては、さらにポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンを湿潤紙力増強剤として、原紙中のパルプ成分に対して0.1〜0.7重量%添加したものを使用することもできる。
【0017】
本発明の写真印画紙用支持体を製造する際に、原紙にPVA系樹脂を含有させる方法としては、原紙にサイズ剤を含浸ないし塗工する公知の方法のいずれもが使用可能であるが、一般に、PVA系樹脂の水溶液または水分散液からなるサイズ液をサイズプレス、タブサイズプレス、エアーナイフコーター、ロールコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、キャストコーターなどの通常のコーティング方法によって原紙中に含浸するか、あるいは原紙の上表面または上表面と下表面との両表面上に塗工層を形成せしめるなどの方法が使用される。
【0018】
上記のPVA系樹脂からなるサイズ液には、PVA系樹脂と共に水溶性または水分散性樹脂を併用することもできる。PVA系樹脂と併用可能な水溶性または水分散性樹脂としては、アルギン酸ナトリウム、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、でんぷん、カチオン化でん粉、アラビヤゴム、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース誘導体、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどのノニオン性水溶性樹脂;カルボキシメチルセルロース、ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性ポリエステルなどのアニオン性水溶性樹脂;SBRラテックス、NBRラテックス、酢酸ビニル系エマルジョン、エチレン/酢酸ビニル共重合体系エマルジョン、(メタ)アクリル酸エステル系エマルジョン、塩化ビニル系エマルジョンなどの水分散性樹脂が挙げられるが、これらに制限されるものではない。また、上記サイズ液に塩化カルシウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウムなどの金属塩を添加してもよい。
【0019】
上記のPVA系樹脂からなるサイズ液には、原紙に強サイズを付与する目的で、PVA系樹脂と共にパラフィンワックス、石油樹脂、スチレンアクリル樹脂、エポキシ化高級脂肪酸アミド、アルキルケテンダイマーなどのサイズ剤を併用することもできる。さらに、上記のPVA系樹脂からなるサイズ液には、必要に応じて染料、蛍光染料、帯電防止剤、粘度調整剤、消泡剤などを添加してもよい。
【0020】
本発明の写真印画紙用支持体において、PVA系樹脂の含有量には特に制限はないが、通常0.1〜200g/mの範囲内であることが好ましく、1〜100g/mの範囲内であることがより好ましい。PVA系樹脂の含有量が0.1g/m未満の場合には、写真の現像処理時に印画紙の端部裁断面から現像液が原紙に浸透するのが抑制できなくなる。また、PVA系樹脂の含有量が200g/m以上の場合にはポリオレフィンの接着力が低下する。
【0021】
本発明の写真印画紙用支持体に使用されるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどが挙げられるが、これらの中でも、原紙に被覆する際の溶融押出し適性および原紙との接着性の観点から、特にポリエチレンを使用することが好ましい。
【0022】
本発明におけるポリオレフィン樹脂の分子量は、ポリオレフィン樹脂からなる被覆層中に白色顔料、着色顔料または蛍光増白剤を含有させることが可能である限り特に制限はないが、通常は分子量が20,000〜200,000の範囲のポリオレフィン樹脂が用いられる。ポリオレフィン樹脂被覆層の厚さについては特に制限はなく、従来の印画紙支持体におけるポリオレフィン樹脂被覆層の厚さに準じて決めることができ、通常、その厚さは15〜50μmである。
【0023】
本発明の写真印画紙用支持体において、ポリオレフィン樹脂被覆層中には、白色顔料、着色顔料および蛍光増白剤の他に、フェノール、ビスフェノール、チオビスフェノール、アミン類、ベンゾフェノン、サリチル酸塩、ベンゾトリアゾールおよび有機金属化合物などの安定化剤を含有させることができる。特に、写真印画紙用支持体において写真乳剤が塗布される面のポリオレフィン樹脂被覆層には、白色顔料および着色顔料を添加することが好ましい。
【0024】
原紙上にポリオレフィン樹脂を押し出しコーティングする際のコーティング設備としては、通常のポリオレフィン樹脂用押し出し機およびラミネーターが使用される。ポリオレフィン樹脂の溶融押し出し温度としては200〜350℃が好適であり、250〜330℃がより好ましく、280〜310℃がさらに好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中、特に断りのない限り「%」および「部」は重量基準を表す。
【0026】
PVA系樹脂の分析方法については、特に記載のない限りJIS−K6726に従った。また、PVA系樹脂の1,2−グリコール結合含有量およびα−オレフィン単位含有量は、500MHzプロトンNMR測定装置(JOEL製;GX−500)による測定から前述の方法に従って求めた。
【0027】
写真印画紙用支持体の物性の評価方法を以下に示す。
(ポリエチレン被覆層と原紙との間の接着力測定)
引っ張り強さ測定装置(島津製作所製;オートグラフDCS−100)を用いて、幅15mmおよび長さ18cmの試料片について、剥離角180度、剥離速度70mm/分の条件でポリエチレン被覆層と原紙との間の剥離強度を測定した。得られた測定値はmN/15mmで記載した。
【0028】
実施例1
(PVA−1の合成)
攪拌機、窒素導入口、開始剤導入口を備えた5Lの加圧反応槽に酢酸ビニル3000gおよび酒石酸0.090gを仕込み、室温下に窒素ガスによるバブリングを行いながら反応槽圧力を2.0MPaまで上げて10分間放置した後、放圧するという操作を3回繰り返して系中を窒素置換した。開始剤として2,2’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)をメタノールに溶解して濃度が0.1g/Lの溶液を調製し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。次いで上記の反応槽内温を120℃に昇温した。このときの反応槽圧力は0.4MPaであった。上記の開始剤溶液6.0mlを注入し重合を開始した。重合中は重合温度を120℃に維持し、上記の開始剤溶液を23.9ml/hrの割合で連続添加して重合を実施した。重合中の反応槽圧力は0.4MPaであった。4時間後に冷却して重合を停止した。このときの反応液の固形分濃度は35%であった。
【0029】
次いで30℃減圧下にメタノールを時々添加しながら未反応酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液(濃度33%)を得た。得られたポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が25%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液400g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に対して、40℃の条件下、ポリ酢酸ビニル中の酢酸ビニル単位に対するアルカリのモル比が0.10となるようにアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)46.4gを添加し、ポリ酢酸ビニルのけん化を行った。アルカリ添加後約1分でゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、1時間放置してけん化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥させ、PVA(PVA−1)を得た。該PVAのけん化度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ99.2モル%であった。
【0030】
また、重合後に未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液に、アルカリモル比が0.5となるようにアルカリ溶液(水酸化ナトリウムの10%メタノール溶液)を添加し、ポリ酢酸ビニルのけん化を行った。アルカリ添加後にゲル化したものを粉砕し、60℃で5時間放置してけん化を進行させた後、メタノールによるソックスレー洗浄を3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製PVAを得た。該PVAの重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ1700であった。該精製PVAの1,2−グリコール結合量を500MHzプロトンNMR測定装置(JEOL製;GX−500)による測定から前述の方法に従って求めたところ、2.2モル%であった。
【0031】
(印画紙用支持体の製造)
LBKPとLBSPの重量比(LBKP/LBSP)が80/20である木材パルプを叩解し、カナディアンフリーネスが250mLのパルプスラリーを得た。得られたパルプスラリーを攪拌しながら、該パルプスラリー中の固形分割合がエポキシ化脂肪族アミド0.3%、アルキルケテンダイマー0.2%、硫酸アルミニウム0.2%、ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン0.3%および両性ポリアクリルアミド(イタコン酸2モル%、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドの硫酸塩5モル%、およびアクリルアミド93モル%からなる平均分子量250万の共重合体)1.5%となるように、上記各物質を加えた後、pHが7となるように水酸化ナトリウムを加えた。得られたパルプスラリーから原紙の坪量が180g/mとなるように抄造した。
次に、表2に記載の組成の塗工液を使用し、原紙に対して該塗工液の付着量が固形分で3g/mとなるようにサイズプレスを行った。サイズ後の原紙の片面上にコロナ放電による表面活性化処理を施した後、該処理面に低密度ポリエチレン樹脂(旭化成製;サンテックL4470;メルトインデックス値7g/10分)を押し出し温度280℃にて塗工量が30g/mとなるようにラミネート塗工し、原紙の表面にポリエチレン被覆層を有する写真印画紙用支持体を作製した。作製した写真印画紙用支持体を前述の評価方法により評価した結果を表2に併せて示す。
【0032】
本実施例で使用するPVA系樹脂を表1に示す。
【表1】
Figure 0004027783
【0033】
実施例2〜5
PVA系樹脂を表2に示したPVAに変更し、ポリエチレンのラミネート条件を表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様の方法で印画紙用支持体を作製し、評価した。評価結果を表2に併せて示す。
【0034】
比較例1
実施例1で用いた変性PVAに代えてPVA117(クラレ製;けん化度98.5モル%、重合度1700、1,2−グリコール結合含有量1.5モル%)を使用し、ポリエチレンのラミネート条件を表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして印画紙用支持体を作製し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0035】
比較例2
実施例1で用いた変性PVAに代えてPVA−CST(クラレ製;けん化度96モル%、重合度1700、1,2−グリコール結合含有量1.5モル%)を使用し、ポリエチレンのラミネート条件を表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして印画紙用支持体を作製し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0036】
比較例3
実施例1で用いた変性PVAに代えてKL−118(クラレ製;けん化度98.5モル%、重合度1700、1,2−グリコール結合含有量1.5モル%、マレイン酸変性1モル%)を使用し、ポリエチレンのラミネート条件を表2に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして印画紙用支持体を作製し、評価した。評価結果を表2に示す。
【0037】
【表2】
Figure 0004027783
【0038】
【発明の効果】
本発明の印画紙用支持体は、ポリオレフィン樹脂と原紙との接着性に優れており、写真印画紙用支持体に好適に使用される。さらに、原紙表面にポリオレフィン樹脂を押し出しラミネートして本発明の写真印画紙用支持体を製造する際に、ポリオレフィン樹脂と原紙との接着性が優れていることからポリオレフィン樹脂の溶融押し出し温度を下げることが可能であり、揮発分やエネルギー損失が少ないなど環境への負荷が小さい。

Claims (3)

  1. 分子内の1,2−グリコール結合量が1.8〜3.5モル%であるポリビニルアルコール系樹脂を含有する原紙の表面をポリオレフィン樹脂で被覆してなる写真印画紙用支持体。
  2. ポリオレフィン樹脂がポリエチレンである請求項1記載の写真印画紙用支持体。
  3. 分子内の1,2−グリコール結合量が1.8〜3.5モル%であるポリビニルアルコール系樹脂を含有する原紙の表面にポリオレフィン樹脂を押し出しコーティングして、原紙の表面をポリオレフィン樹脂で被覆する工程において、ポリオレフィン樹脂の溶融押し出し温度が200〜350℃であることを特徴とする請求項1または2記載の写真印画紙用支持体の製造方法。
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