JP4024555B2 - 含フッ素芳香族化合物およびその製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線基板材料、感光材料及び液晶材料などの原料化合物として有用な含フッ素芳香族化合物およびこれを製造するために用いられる原料に関し、より詳しくは、無水フタル酸骨格を有する含フッ素芳香族化合物およびその原料に関する。
【0002】
【従来の技術】
含フッ素芳香族化合物を原料として合成された樹脂は、一般に、耐熱性、耐薬品性、撥水性、低誘電性などに優れることが知られている。また、含フッ素芳香族化合物を原料として合成された樹脂は、耐衝撃性や加工性に優れ、取り扱いも容易であるなどの特徴を有する。このため、含フッ素芳香族化合物を原料として合成された樹脂は、配線基板材料、感光材料及び液晶材料などに用いられてきた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みて完成されたものであり、優れた耐熱性、耐薬品性、撥水性及び低誘電性を有する樹脂を製造するための原料化合物として有用な、含フッ素芳香族化合物を提供することを目的とする。また、前記含フッ素芳香族化合物の製造に用いられる原料を提供することを目的とする。
【0004】
また本発明は、優れた耐熱性、耐薬品性、撥水性及び低誘電性を有する樹脂を製造するための原料化合物として有用な、含フッ素芳香族化合物の製造方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、種々の材料について鋭意検討を行った結果、水素原子の一部がフッ素原子で置換された無水フタル酸部分を有する含フッ素芳香族化合物が上記目的を達成するために好適であることを見出した。かかる知見に基づき本発明は完成されたものであり、本発明の目的は、下記式(3)で表される含フッ素芳香族化合物および下記式(3)の原料化合物である下記式(1)および(2)によって達成される。
【0006】
すなわち本発明は、下記式(1):
【0007】
【化6】
【0008】
(式中、nおよびn’は3であり、Zは下記式(10)で表される基から選択される基である)で表され、少なくとも1つの炭素−水素結合を有する含フッ素芳香族ニトリルである。
【化12】
上記式中、Yはハロゲン原子であり、mは0〜3の整数である。
【0009】
また本発明は、下記式(2):
【0010】
【化7】
【0011】
(式中、nおよびn’は3であり、Zは下記式(10)で表される基から選択される基である)で表され、少なくとも1つの炭素−水素結合を有する含フッ素芳香族カルボン酸である。
【化14】
上記式中、Yはハロゲン原子であり、mは0〜3の整数である。
【0012】
また本発明は、下記式(3):
【0013】
【化8】
【0014】
(式中、nおよびn’は3であり、Zは下記式(10)で表される基から選択される基である)で表され、少なくとも1つの炭素−水素結合を有する含フッ素芳香族化合物である。
【化16】
上記式中、Yはハロゲン原子であり、mは0〜3の整数である。
【0015】
また本発明は、前記式(1)で表され、少なくとも1つの炭素−水素結合を有する含フッ素芳香族ニトリルを加水分解することにより、前記含フッ素芳香族カルボン酸を製造する方法である。
【0016】
さらに本発明は、前記式(1)で表され、少なくとも1つの炭素−水素結合を有する含フッ素芳香族ニトリルを加水分解し脱水することにより、前記含フッ素芳香族化合物を製造する方法である。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記式(3)で表される含フッ素芳香族化合物を提供するものである。また、前記式(3)の化合物の合成原料となる前記式(1)で表される含フッ素芳香族ニトリルおよび前記式(2)で表される含フッ素芳香族カルボン酸、並びにこれらを用いた前記式(3)の化合物の製造方法を提供するものである。前記式(3)で表される含フッ素芳香族化合物を用いて合成される樹脂は、フッ素原子を有するものであるため、耐衝撃性や加工性に優れ、取り扱いも容易であり、優れた耐熱性も有する。耐薬品性、撥水性及び低誘電性などにも優れる。また、少なくとも1つの炭素−水素結合(C−H結合)を有する。少なくとも1つの炭素−水素結合(C−H結合)を有する場合としては、前記式(1)、前記式(2)、および前記式(3)において、▲1▼ZがC−H結合を有する2価の有機基である場合、▲2▼nが1または2である場合、▲3▼n’が1または2である場合、が考えられる。これらが適宜組み合わさっていてもよい。このような特性を有する本発明に係る含フッ素芳香族化合物を用いて合成された樹脂は、種々の用途において有用であり、下記の用途に限定されるものではないが、配線基板材料、感光材料及び液晶材料として好適に使用できる。
【0018】
まず、前記式(1)で表される本発明に係る含フッ素芳香族ニトリルについて詳細に説明する。
【0019】
前記式(1)において、nおよびn’は同一または異なってもよい1〜3の整数である。
【0020】
前記式(1)において、各ベンゼン環に結合しているシアノ基(−CN)の結合位置と、Zとの位置関係は、特に制限されるものではなく、目的物に求める特性やZとして選択する2価の基の大きさなどを考慮して適宜選択される。具体的には、Zとの結合部位を1位とした場合に、(2,3)または(3,4)である。各ベンゼン環でZとの位置関係は異なっていてもよい。
【0021】
Zは2価の有機基、酸素原子、硫黄原子または直接結合である。2価の有機基としては、
【0022】
【化9】
【0023】
などが挙げられ、これらから選択することができる。上記式中、Yは、ハロゲン原子であり、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。mは0〜4の整数である。2価の有機基にYが2以上ある場合には、Yは同一であっても異なっていてもよいし、mも同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
Zが2価の有機基である場合の、前記式(1)で表される含フッ素芳香族ニトリルの具体例としては、
【0025】
【化10】
【0026】
が挙げられる。
【0027】
Zが酸素原子、硫黄原子または直接結合である場合の、前記式(1)で表される含フッ素芳香族ニトリルの具体例としては、
【0028】
【化11】
【0029】
が挙げられる。
【0030】
本発明の式(1)の含フッ素芳香族ニトリルは、公知の技術の組み合わせによって製造でき、その製造方法は、特に制限されるものではない。以下、Zを−O−C6H4−O−とする場合における製造方法を代表例として説明する。この場合には、フッ素化フタロニトリル(テトラフルオロフタロニトリル、トリフルオロフタロニトリル、ジフルオロフタロニトリルなど)とヒドロキノン誘導体とを反応させる方法が好ましく使用される。ヒドロキノン誘導体の使用量は、化学量論的には他方の原料であるフッ素化フタロニトリル2モルに対して、1モルであるが、これらの反応効率及び反応選択性を考慮すると、テトラフルオロフタロニトリルが過剰に存在することが好ましい。具体的には、テトラフルオロフタロニトリル100モルに対して、好ましくは1〜50モル、より好ましくは2〜50モルである。
【0031】
フッ素化フタロニトリルとヒドロキノン誘導体との反応は、その反応効率を考慮すると、塩基の存在下で行なわれることが好ましい。この際、塩基としては、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム及び塩化リチウム等のアルカリ金属塩;塩化カルシウム及び塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム及び炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウム等のアルカリ土類金属の炭酸塩;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属の水酸化物;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリベンジルアミン、トリフェニルアミン及びピリジン等の第三級アミンなどが挙げられ、これらのうち、フッ化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、トリプロピルアミン及びピリジンが好ましい。塩基の添加量は、フッ素化フタロニトリルとヒドロキノン誘導体との反応を効率良く進行できる量であれば特に制限されないが、ヒドロキノン誘導体に対して、通常、0.5〜20モル%、好ましくは0.5〜10モル%である。
【0032】
フッ素化フタロニトリルとヒドロキノン誘導体との反応は、無溶媒下でまたは溶媒中のいずれで行なわれてもよいが、その反応効率を考慮すると、溶媒中で行なわれることが好ましい。溶媒を混合して用いてもよい。この際使用できる溶媒としては、アセトニトリル及びベンゾニトリル等のニトリル類;アセトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素、クロロエタン、ジクロロエタン、トリクロロエタン及びテトラクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びヘプタン等の炭化水素類;ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジフェニルエーテル、ベンジルエーテル及びtert−ブチルエーテル等のエーテル類;蟻酸メチル、蟻酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸イソプロピル等のエステル類;ならびにN−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びジメチルアセトアミドなどが挙げられ、これらのうち、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン(MIBK)、N−メチルピロリジノン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)及びジメチルスルホキシド(DMSO)が好ましい。溶媒の量もまた、上記反応を効率良く進行できる量であれば特に制限されないが、例えば、フッ素化フタロニトリルが溶媒中に1〜80質量%、好ましくは5〜50質量%存在するような量である。
【0033】
フッ素化フタロニトリルとヒドロキノン誘導体との反応条件は、これらの反応を効率良く進行できる条件であれば特に制限されないが、例えば、反応温度は、通常、−50〜300℃、好ましくは−20〜200℃である。また、反応時間は、通常、0.1〜40時間、好ましくは0.1〜20時間である。さらに、上記反応は、減圧下、常圧下または加圧下のいずれで行なわれてもよいが、設備面などを考慮すると、常圧下で反応を行うことが好ましい。
【0034】
前記式(1)で表される含フッ素芳香族ニトリルを、酸を用いて加水分解することによって、前記式(2)で表される含フッ素芳香族カルボン酸を合成することができる。通常、含フッ素芳香族カルボン酸を高純度で得るためには、酸による加水分解工程を複数回行うなど、工程数の増大を招く。この点、本発明に係る前記式(1)で表される含フッ素芳香族ニトリルは、有機溶媒中に溶解した状態で酸により加水分解することによって、酸による1回の加水分解工程で十分な純度の含フッ素芳香族カルボン酸が得られる。この点で、前記式(1)で表される含フッ素芳香族ニトリルは、優れた中間体であるといえる。
【0035】
反応後の目的化合物の取り出し方法は、特に制限されるものではなく公知の方法を用いることができる。例えば反応溶液をろ過後に濃縮する手段や、ろ過・水洗後に濃縮する手段を用いることができる。
【0036】
以上、Zが−O−C6H4−O−とする場合について詳細に説明したが、Zが他の官能基である場合についても、公知方法に基づいて合成することができる。
【0037】
次に、前記式(2)で表される本発明に係る含フッ素芳香族カルボン酸について詳細に説明する。式中、n、n’およびZは前記式(1)について説明した通りであり、説明を省略する。前記式(2)で示される含フッ素芳香族カルボン酸としては、ベンゼン環に結合したシアノ基がカルボキシル基である以外は同様の化合物が挙げられる。
【0038】
前記式(2)で表される含フッ素芳香族カルボン酸は、前記式(1)で表されるシアノ基を有する含フッ素芳香族ニトリルの加水分解によって調製できる。加水分解は、各種公知の方法によって行うことができ、例えば、酸を用いて行うことができる。使用される酸は、硫酸、塩酸、リン酸、シュウ酸などが挙げられる。有機溶媒も併用することができ、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸なども用いることができる。酸によるシアノ基を有する含フッ素芳香族ニトリルの加水分解条件は、シアノ基を十分加水分解できる条件であれば特に制限されるものではない。具体的には、加水分解温度は20〜300℃が好適であり、50〜200℃がより好適である。加水分解時間は、通常、0.1〜40時間、好ましくは0.5〜20時間である。また、加水分解は、加圧下、常圧下または減圧下のいずれの圧力下で行ってもよいが、装置コストを考慮すると、常圧下が好ましい。上述したように、このような酸を用いた加水分解工程によって、前記式(2)で表される含フッ素芳香族カルボン酸を高純度で得ることができる。
【0039】
このようにして得られた加水分解反応液から、簡単な単離方法によって高純度の前記式(2)の含フッ素芳香族カルボン酸が得られる。水と2層状態となる有機溶媒を加水分解反応液に加えて、有機溶媒中に生成物を溶解させた後、有機層を分液し蒸発乾固する方法を用いてもよい。蒸発乾固法で使用される有機溶媒としては、水と2層状態になり、生成物と反応しないものであれば特に限定されるものではないが、具体的には、脂肪酸エステル類、ケトン類、エーテル類、ベンゾニトリル類が好ましく、特に脂肪酸エステル類、ケトン類が好ましい。例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、メチルイソブチルケトンが特に好ましく使用される。また、有機溶媒の使用量は、生成物を溶解し得る量以上であれば特に限定されるものではない。水で希釈後、ろ過により得る方法を用いてもよい。
【0040】
続いて、前記式(3)で表される本発明に係る含フッ素芳香族化合物について詳細に説明する。前記式(3)で示される含フッ素芳香族化合物としては、
【0041】
【化12】
【0042】
で表される含フッ素芳香族化合物が挙げられる。
【0043】
前記式(3)で表される2つの無水フタル酸部分を有する含フッ素芳香族化合物は、前記式(2)で表されるカルボキシル基を有する含フッ素芳香族カルボン酸を脱水し、4つのカルボキシル基部分を二無水物化することによって調製できる。従って、前記式(1)で表される含フッ素芳香族ニトリルおよび前記式(2)で表される含フッ素芳香族カルボン酸は、式(3)で表される含フッ素芳香族化合物の中間体であるともいえる。
【0044】
カルボキシル基部分の脱水方法は、特に限定されるものではなく、公知の脱水方法を用いることができる。例えば、▲1▼塩化チオニル、オキシ塩化リン、無水酢酸、塩化アセチル等の脱水剤中で、0〜200℃で0.5〜50時間、脱水する方法;▲2▼非水溶液または固体の状態で、150〜300℃で加熱する方法等が挙げられる。
【0045】
このようにして得られた式(3)の含フッ素芳香族酸二無水物は、耐熱性、耐薬品性、撥水性及び低誘電性に優れた樹脂の原料として有用である。
【0046】
【実施例】
<実施例1>
撹拌装置、冷却装置を備えた2L三つ口フラスコに、テトラフルオロフタロニトリル357.08g(1.78mol)、フッ化カリウム11.40g(0.20mol)、メチルイソブチルケトン1200gを加え、テトラフルオロフタロニトリルが溶融するまで撹拌した。4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェノール30.00g(0.089mol)をさらに加えた。100℃まで加熱し、20時間反応を進行させた。冷却後、ろ過し、ろ液を水300mlで3回洗浄した。得られた有機層を濃縮した。トルエン100g、ヘキサン50gで再結晶したところ、下記式(4):
【0047】
【化13】
【0048】
で表される化合物が、51.39g(0.074mol)得られた。収率は82.7%であった。目的物の物性値は、下記のとおりであった。
【0049】
19F−NMR化学シフト(標準物質ヘキサフルオロベンゼン)
28.1ppm、34.9ppm、43.7ppm、100.0ppm
【0050】
<実施例2>
撹拌装置、冷却装置を備えた1L三つ口フラスコに、前記式(4)の化合物45g(0.065mol)、プロピオン酸600g、硫酸186.98g、水69.53gを混合した。これを加熱し、還流条件下で22時間反応を進行させた。冷却後、水2500gで希釈し、ジイソプロピルエーテル1000mlで3回抽出した。得られた有機層を水500mlで3回洗浄した。さらに、得られた有機層を濃縮後、水360gを加え再結晶を行なったところ、下記式(5):
【0051】
【化14】
【0052】
で表される化合物が48.04g(0.062mol)得られた。収率は96.3%であった。目的物の物性値は、下記のとおりであった。
【0053】
19F−NMR化学シフト(標準物質ヘキサフルオロベンゼン)
19.8ppm、24.2ppm、33.2ppm、100.0ppm
【0054】
<実施例3>
撹拌装置、ディーンスタークを備えた500ml三つ口フラスコに、前記式(5)の化合物45g(0.058mol)、メチルイソブチルケトン300gを加えた。還流温度まで加熱し、水を除去しながら6時間反応を進行させた。その後冷却し濃縮したところ、下記式(6):
【0055】
【化15】
【0056】
で表される化合物が、40.46g(0.055mol)得られた。収率は94.2%であった。目的物の物性値は、下記のとおりであった。
【0057】
19F−NMR化学シフト(標準物質ヘキサフルオロベンゼン)
28.0ppm、29.9ppm、37.0ppm、99.9ppm
【0058】
<実施例4>
撹拌装置、冷却装置を備えた300mL三つ口フラスコに、テトラフルオロフタロニトリル28.55g(0.14mol)、フッ化カリウム2.49g(0.043mol)、アセトニトリル144gを加え、テトラフルオロフタロニトリルが溶融するまで撹拌した。4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール5.00g(0.014mol)をさらに加えた。還流温度まで加熱し、7時間反応を進行させた。これを冷却後、ろ過し、ろ物をメチルイソブチルケトン200gで溶解した。メチルイソブチルケトン溶液をろ過後、水500mlで3回洗浄し、濃縮した。これをトルエン100g、ヘキサン50gで再結晶したところ、下記式(7):
【0059】
【化16】
【0060】
で表される化合物が、2.70g(0.0038mol)得られた。収率は26.6%であった。目的物の物性値は、下記のとおりであった。
【0061】
19F−NMR化学シフト(標準物質ヘキサフルオロベンゼン)
27.7ppm、34.6ppm、43.5ppm
【0062】
<実施例5>
撹拌装置、冷却装置を備えた50mL三つ口フラスコに、前記式(7)の化合物2g(2.8mmol)、プロピオン酸26.6g、硫酸8.31g、水3.09gを混合した。加熱し還流条件で24時間反応を行なった。冷却後、水100gで希釈し、ろ物を水で洗浄したところ、下記式(8):
【0063】
【化17】
【0064】
で表される化合物が、1.15g(1.5mmol)得られた。収率は52.0%であった。目的物の物性値は、下記のとおりであった。
【0065】
19F−NMR化学シフト(標準物質ヘキサフルオロベンゼン)
19.4ppm、24.0ppm、33.0ppm
【0066】
<実施例6>
撹拌装置、冷却装置を備えた10ml三つ口フラスコに、前記式(8)の化合物0.5g(0.63mol)、無水酢酸4.5gを加えた。還流温度まで加熱し、6時間反応を進行させた。冷却、次いで濃縮したところ、下記式(9):
【0067】
【化18】
【0068】
で表される化合物が、0.39g(0.52mmol)得られた。収率は81.8%であった。目的物の物性値は、下記のとおりであった。
【0069】
19F−NMR化学シフト(標準物質ヘキサフルオロベンゼン)
27.7ppm、29.5ppm、37.0ppm
【0070】
【発明の効果】
本発明の含フッ素芳香族化合物を用いて合成される樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、撥水性及び低誘電性を有するものとなる。このため、本発明に係る含フッ素芳香族化合物を用いて合成された樹脂は、配線基板材料、感光材料及び液晶材料などの種々の用途において非常に有用である。
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