JP4024138B2 - 弾球遊技機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機、アレンジボール機、雀球遊技機などの弾球遊技機に関し、特に、同一の回路構成であって、パチンコ機にもアレンジボール機にも弊害なく適用できる弾球遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
アレンジボール機は、16個の入球口を横一列に配列した多連入球口を遊技盤の下部に設けると共に、遊技球を遊技盤上に発射させる発射装置を設けて構成されている。そして、発射装置により1ゲーム毎に16個の遊技球を発射させて、入球した入球口に対応する入賞図柄の組み合わせにより入賞役を判定しつつ、16個の遊技球の入球口への入球を確認して1ゲームを終了している。そのため、各ゲーム毎に2秒程度の発射休止時間が発生する。一方、パチンコ機には、アレンジボール機における1ゲームという概念や、発射休止時間の生じるゲームの区切りが存在せず、遊技球を連続的に発射させることが可能となる。
【0003】
但し、遊技球を発射させる発射装置としては、アレンジボール機用もパチンコ機用も全く同一であり、発射モータで打撃槌を間欠的に駆動し、その打撃槌によって発射位置の遊技球を打撃して発射させるよう構成されている。また、賞球の払出動作についても、遊技機の種別に拘わらず共通化されており、遊技動作を中心的に制御する主制御部と、この主制御部からの制御コマンドに基づいて払出動作を実行する払出制御部とで構成されるのが一般的である。そして、払出制御部の制御によって発射装置の作動が許可又は禁止されるのが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の弾球遊技機では、電源投入後、払出制御部の状態に関係なく主制御部が定常動作状態に移行する構成を採っているので、誤動作を生じるおそれがあった。最も顕著な例としては、停電からの復帰時などに主制御部が出力した制御コマンドを、準備が完了していない払出制御部が読み落とすおそれがあった。
【0005】
また、従来の弾球遊技機では、主制御部の状態に関係なく遊技球の発射が可能であったので、極端な場合、発射された遊技球が入賞や入球したにも拘わらず、主制御部の準備が完了していないため、主制御部がこれを検出できないおそれもあった。
【0006】
ここで、上記の弊害を解消できると共に、種類の異なる遊技機で共用できる払出制御部を実現できれば好ましい。本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、払出制御部を共通化できると共に、遊技球の入賞や入球を検出できないなどの誤動作の発生を防止した弾球遊技機を提供することを課題とする。また、制御コマンドの読み落としも防止できるよう構成可能な弾球遊技機を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、遊技動作を中心的に制御する主制御部と、遊技球の発射装置を制御すると共に、前記主制御部から伝送される賞球用コマンドに基づいて遊技球を払出す払出制御部と、を備え、前記発射装置の遊技球の発射速度を、前記払出制御部において設定可能に構成した弾球遊技機であって、前記払出制御部は、電源投入後の初期設定動作を実行した後、前記主制御部に準備完了信号を送信する第1手段と、その後の所定時間、前記主制御部から発射用コマンドを受信するまで待機する第2手段と、前記所定時間内に受信した前記発射用コマンドに対応するか、或いは、前記所定時間内に前記発射用コマンドを受信しなかったことに対応して、前記発射装置の遊技球の発射速度を所定値に設定し、その後、定常動作状態に移行させる第3手段とを備えている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明は、パチンコ機やアレンジボール機に好適に適用されるが、本発明をアレンジボール機に適用した実施例について説明する。図1は実施例に係るアレンジボール機の正面図、図2は同アレンジボール機の遊技盤の正面図である。
【0016】
図1において、前枠1は、アレンジボール機本体2の前面側に開閉自在に枢着されている。前枠1には、ガラス扉3及び前面板4が装着され、これらの後側に遊技盤5が着脱自在に装着されている。前面板4には上皿6が装着され、この上皿6の前縁部に球払いレバー7が設けられている。前枠1の下部には下皿8と発射装置9の発射ハンドル10とが設けられている。
【0017】
発射装置9は、発射ハンドル10と、発射部11の遊技球を打撃する打撃槌12と、発射ハンドル10を操作したときに作動して打撃槌12を打撃方向に駆動する発射モータ13とを備えている。そして、遊技者が発射ハンドル10を操作したときに、上皿6から発射部11に1個づつ供給される遊技球を、打撃槌12により打撃して発射するようになっている。この実施例では、発射モータ13(M1)にはステッピングモータが用いられており、この発射モータ13は、取り付け板などを介して前枠1の裏面側に装着されている。取り付け板には、保護ケース内に組み込まれた発射制御基板45が設けられている。
【0018】
遊技盤5の前面には、図2に示すように、発射装置9により発射された遊技球を案内するガイドレール18が設けられると共に、このガイドレール18によって取り囲まれた中央部に上入球口19、変動図柄表示装置20、中央入球口21、下入球口22、左上入球口23、右上の得点増加用入球口24、左右通過口25,26、左下の始動用入球口27、右下入球口28などが配置され、これらの下側に多連入球口29が配置されると共に、この多連入球口29の上側近傍には障害釘群が設けられている。
【0019】
変動図柄表示装置20は3個の図柄表示部30〜32を有し、始動用入球口27に遊技球が入球したときに作動して、その各図柄表示部30〜32の表示図柄が一定時間変動するようになっている。中央入球口21は開閉板33を備える他に、内部が3個の通路に区画されており、その中央の通路が作動領域34に設定されている。多連入球口29は、16個の入球口35を横一列状に備えると共に、前面側から下部カバー36により覆われている。下部カバー36には、16個の入賞図柄を示す「1」から「16」までの数字の他に、入賞図柄表示ランプ38が設けられている。入賞表示部37は、多連入球口29の各入球口35と上下に相対応する16個の入賞図柄表示ランプ38を横一列状に備え、遊技球が何れかの入球口35に入球したときに、その入球口35に対応する入賞図柄表示ランプ38が点灯表示するようになっている。
【0020】
図3は、実施例に係るアレンジボール機の全体構成を図示したブロック図である。図示のアレンジボール機は、遊技動作を中心的に制御する主制御基板40と、ランプ類を点滅動作させるランプ制御基板41と、変動図柄表示装置20の動作を制御する図柄制御基板42と、音声的な遊技演出を実現する音声制御基板43と、払出モータM1を駆動して遊技球を払出す払出制御基板44と、発射モータM2を駆動して遊技球を発射する発射制御基板45と、プリペイドカードを受け付けて遊技球を貸出すカードユニット46と、プリペイドカードの残高表示部などを駆動する度数表示基板47とを中心に構成されている。
【0021】
主制御基板40、ランプ制御基板41、図柄制御基板42、音声制御基板43、及び払出制御基板44は、それぞれワンチップマイコンを備えるコンピュータ回路で構成されており、各サブ制御基板41〜44は、主制御基板40からの16ビット長の制御コマンドCMDに基づいて個別的な制御動作を実現している。
【0022】
この実施例の場合、主制御基板40から各サブ制御基板41〜44に対して、8ビット長のデータを一気に伝送可能な第1信号線がそれぞれ設けられている。一方、制御コマンドCMDは、動作概要を示す8ビット長のMODEデータと、動作詳細を示す8ビット長のEVENTデータとを組合わせた16ビット構成であるので、各サブ制御基板41〜44に対して、8ビット長ごとの二度の伝送処理によって伝送される。
【0023】
主制御基板40から払出制御基板44に伝送される制御コマンドCMDとしては、遊技球の発射を停止させるための「発射停止コマンド」と、発射間隔0.601(秒/個)程度の速度で遊技球を発射させるための「発射再開コマンド1」と、発射間隔0.501(秒/個)程度の速度で遊技球を発射させるための「発射再開コマンド2」と、1個〜16個のいずれか個数の遊技球の払出しを指定する16種類の「賞球数指定コマンド」とで構成されている。
【0024】
この実施例では、払出制御基板44から主制御基板40に対して、5ビット長のデータ(機器情報データ)を伝送可能な第2信号線が設けられている。機器情報データは特に限定されないが、この実施例では、遊技球が払出される毎に出力される左右の球計数信号BCT(R),BCT(L)と、補給切れ信号STOPと、下受け皿満杯信号UNDERと、賞球完了信号CMPLとが設けられており、これらの信号が必要時に払出制御基板44から出力される。
【0025】
ここで、左右の球計数信号BCT(R),BCT(L)は、払出モータM1の回転に伴って払出される遊技球の通過を検出する左右の計数スイッチからの計数信号である。また、補給切れ検出信号STOPは、遊技機への球技球の補給が途絶えたことを示し、下受け皿信号UNDERは、遊技者に払出された遊技球が下受け皿に詰まったことを示している。
【0026】
左右の計数スイッチからの球計数信号SCTは、そのまま主制御基板40に供給されると共に、払出制御基板44の制御プログラムの減算処理(後述する図6のST14)に用いられ、上記した賞球完了信号CMPLの生成などに寄与している。一方、エラー信号である補給切れ検出信号STOP及び下受け皿信号UNDERは、これらが所定時間(例えば0.2秒)異常レベルを維持することを条件に、主制御基板40に出力される。
【0027】
そして、これらのエラー信号(STOP,UNDER)を受けた主制御基板40では、これをそのまま外部端子48に転送すると共に、エラー信号に対応した適宜な制御コマンドをランプ制御基板41に伝送している。なお、主制御基板40は、左右の球計数信号BCT(L)、BCT(R)については、何ら処理することなく、外部端子48に出力しているが、外部端子48に出力される信号は、例えば、公的機関における遊技機の試射試験の際に参照される。
【0028】
ところで、アレンジボール機の場合には、発射した16個の遊技球が全て何れかの入球口に入球した段階で1ゲームが完了する。したがって、1ゲームで16個目の遊技球の発射を検出した段階で、主制御基板40は、払出制御基板44に対して「発射停止コマンド」を送信する。そして、「発射停止コマンド」を受けた払出制御基板44では、Lレベルの発射信号SGを発射制御基板45に出力して、遊技球の発射動作を禁止するようにしている。
【0029】
また、主制御基板40は、入球口への遊技球の入球を常に監視しており、遊技球が入球する毎に入賞役を判定する判定処理を行い、入賞役の成立に伴う賞球が存在する場合には、払出制御基板44に対して、「賞球数指定コマンド(16個の賞球を意味するもの)」を入賞役に合わせた回数だけ送信している。なお、賞球が存在しない場合には、16個の遊技球の入球口への入球を確認後に、払出制御基板44に対して「発射再開コマンド2」を送信するが、賞球が存在する場合には、最後の「賞球数指定コマンド」を送信した後、払出制御基板44から賞球完了信号CMPL(1ビットデータ)を受けることを条件に「発射再開コマンド2」を送信している。
【0030】
なお、アレンジボール機における1ゲームの完了は、上記の構成に代えて、以下の何れかの条件としても良い。すなわち、(a)遊技球が16個発射されたことを主制御基板で確認した後、2.0秒が経過した場合、(b)遊技球が16個入球したことを主制御基板で確認した後、0.5秒(入賞図柄の確認時間)が経過した場合、(c) 主制御基板が賞球完了信号の受信により賞球の払出を確認した場合である。そして、1ゲームが完了した後は、先ず、入賞図柄を非表示にした後、発射再開コマンドの送信によって遊技球の発射を許可したのでも良い。
【0031】
払出制御基板44では、「賞球数指定コマンド」を受けた場合、払出モータM1を駆動して必要数の遊技球の払出動作を実行する。そして、払出制御基板44は、全ての賞球の払出しを確認すると、主制御基板40に対して賞球完了信号CMPLを送信し、主制御基板40から「発射再開コマンド2」を受信することを条件に、発射制御基板45における遊技球の発射動作を許可するようにしている。発射動作の許可動作は、具体的には、発射信号SGをLレベルからHレベルに戻して発射制御基板45に出力することで実現される。
【0032】
図3に示すように、払出制御基板44から発射制御基板45には、上記した発射信号SGの他に、発射クロック信号Φckが供給されている。発射クロック信号Φckは、ステッピングモータたる発射モータM2を回転させる駆動パルス(ΦA,ΦB,ΦAバー,ΦBバー)を生成する基準クロックであり、遊技動作開始時に、主制御基板40から「発射再開コマンド2」(アレンジボール機用の制御コマンド)を受けた場合には、周波数F2の発射クロック信号Φckが出力されるようになっている。
【0033】
一方、遊技動作開始時に、主制御基板40から「発射再開コマンド1」(パチンコ機用の制御コマンド)を受けた場合、若しくは、動作開始後、所定時間(約96mS)経過後も何れの「発射再開コマンド」を受信しなかった場合には、周波数F1の発射クロック信号Φckが出力される。ここで周波数は、F1<F2に設定されているので、万一、制御コマンドを取りこぼしても、規制以上の速度で遊技球が発射されることが防止される。
【0034】
このように、本実施例では、遊技動作開始時に主制御基板40から受けた制御コマンドに応じて発射クロック信号の周波数が変るよう構成しているので、同一の回路構成(及び制御プログラム)の払出制御基板44によってアレンジボール機でもパチンコ機でも実現できることになる。
【0035】
続いて、図4〜図6のフローチャートに基づいて、実施例に係るアレンジボール機の主制御基板40と払出制御基板44の動作内容を確認的に説明する。先ず、主制御基板40の制御動作から説明すると、主制御基板1の制御プログラムは、電源投入後に実行され通常は無限ループ処理(ST28)で終わるシステムリセット処理プログラム(図4)と、所定時間毎に起動されるタイマ割込み処理(禁止可能割込み)プログラム(図5)と、電源電圧が所定値を下回るとNMI(Non Maskable interrupt)信号によって駆動されてCPUのレジスタ値をバックアップするNMI処理プログラム(不図示)とで構成されている。
【0036】
図4に示すシステムリセット処理プログラム(メインルーチン)では、最初に、CPUは、自らを割込み禁止状態に設定し、CPUコアを含むワンチップマイコンの各部を初期設定する(ST21)。次に、CPU(実施例ではZ80CPU)は自らを割込みモード2に設定した後(ST22)、入力ポートから賞球完了信号CMPLを取得して、そのレベルを判定する。
【0037】
この実施例では、払出制御基板44が正常に初期設定動作を終えると、Hレベルの賞球完了信号CMPLを主制御基板40に向けて出力するようになっている(図6のST5参照)。そこで、主制御基板40では、賞球完了信号CMPLがHレベルに変化することを条件に次の動作に移行するようにしている(ST23)。
【0038】
賞球完了信号CMPLがHレベルになれば、主制御基板40のCPUは、「発射再開コマンド1」か「発射再開コマンド2」の何れかを払出制御基板44に対して出力する。先に説明したように、「発射再開コマンド1」はパチンコ機用であり、「発射再開コマンド2」はアレンジボール機用であるから、この実施例では、「発射再開コマンド2」が払出制御基板44に出力されることになる。
【0039】
そして、「発射再開コマンド2」を受けた払出制御基板44では、周波数F2の発射クロック信号Φckを発射制御基板45に出力するので、発射間隔0.501秒/個程度の発射動作が可能となる。このように、この実施例では、払出制御基板44が正常に立ち上がったことを確認した上で、遊技球の発射速度を設定しているので、払出制御基板44が、遊技球の発射速度の設定を誤ることがない。
【0040】
以上のようにして、ステップST24の処理が終われば、次にCPUは、RAMクリア信号の値を判定する(ST25)。RAMクリア信号とは、RAM領域を初期設定するか否かを示す信号であって、初期化スイッチのON/OFF状態に対応した値を有している。今、初期化スイッチを操作して電源が投入されたと仮定すると、ステップST3の判定がYesとなり、RAMのワークエリアがゼロクリアされると共に、CPUが割込み許可状態(EI)に設定される(ST27)。そして、その後は無限ループ状に乱数発生処理が行われる(ST28)。
【0041】
一方、初期化スイッチを操作することなく電源投入した場合には、ステップST25の判定に続いて、バックアップフラグBFLの内容が判定される(ST26)。バックアップフラグBFLとは、NMI処理においてバックアップデータが正常に退避されたか否かを示すデータであり、この実施例では、NMI処理の最終段階でバックアップフラグBFLが5AHとされ、図4のステップST31の処理においてゼロクリアされるようになっている。
【0042】
したがって、ステップST26の判定において、バックアップフラグBFLの内容が5AHであった場合は、NMI処理が正常に終了していると判断して、RAMのSP記憶エリアから読み出した16ビットデータを、CPUのスタックポインタSPに書き込む(ST29)。次に、電源遮断時のNMI処理においてバックアップされていたRAMエリアのデータを読み出して、処理再開に必要な処理を行う(ST30)。そして、バックアップフラグBFLをゼロクリアした後、電源遮断前の動作を再開する(ST31,ST32)。
【0043】
図5は、図4に示す主制御基板40メインルーチンの無限ループ処理(ST28)の間に2mS毎に生じるタイマ割込みINT(禁止可能割込み)の割込み処理プログラムの内容を示すフローチャートである。但し、本発明に関連する部分だけを記載している。
【0044】
タイマ割込みが生じると、各レジスタの内容をスタック領域に退避した後(ST40)、必要な制御動作が実行される(ST41)。次に、払出制御基板44から受ける可能性のあるデータ入力処理が実行される(ST42)。先に説明したように、払出制御基板44から受ける可能性のある信号としては、左右の球計数信号BCT、補給切れ検出信号STOP、下受け皿信号UNDER、及び、賞球完了信号CMPLである。但し、左右の球計数信号BCTは外部端子48に転送されるだけであるから、ステップST42の処理で球計数信号BCTが入力されることはなく、その他の信号が入力される。
【0045】
次に、CPUはステップST42における入力データに基づいて適宜な処理を行う(ST43)。例えば、各ゲームにおける最後の「賞球数指定コマンド(16球の賞球)」を送信後に、主制御基板40が賞球完了信号CMPLを受けた場合には、払出制御基板44に対して改めて「発射再開コマンド2」を出力する。なお、この動作によって、「発射再開コマンド2」を受けた払出制御基板44では、遊技球の発射動作を再開して次ゲームに移行することになる。
【0046】
一方、各ゲームの最後の「賞球数指定コマンド(16球の賞球)」を送信した後、所定時間(例えば、30秒)経過しても、賞球完了信号CMPLを受信できない場合には、ランプ制御基板41に対して賞球不足エラーを示す制御コマンドを出力すると共に、外部端子48にもエラー信号を出力する。
【0047】
補給切れ検出信号STOPや、下受け皿信号UNDERを受けた場合も同様であり、ランプ制御基板41に対して適宜な制御コマンドを出力すると共に、外部端子48に対してもエラー信号を出力する。以上のような処理が終われば、他の必要な遊技制御処理を実行した後(ST44)、退避しておいたレジスタを復帰させてタイマ割込み処理を終える(ST45)。
【0048】
図6は、上記のように動作する主制御基板40に対応して動作する払出制御基板44の動作内容を説明するフローチャートである。払出制御基板44の動作は、概説すると、電源投入後に開始されて無限ループ状に繰り返されるメインルーチン(図6(a))と、主制御基板40からのストローブ信号STBによって起動される割込み処理ルーチン(図6(b))と、一定時間(2mS)毎に開始されるタイマ割込みルーチン(図6(c))と、電源電圧降下時に電源基板7からNMI信号を受けて開始されるマスク不能のNMIルーチン(不図示)とで構成されている。
【0049】
図6(b)に示すように、受信割込みルーチンでは、入力ポートから制御コマンドを取得して、これをRAMのコマンドバッファ領域に格納して処理を終える(ST100)。また、図6(c)に示すように、タイマ割込みルーチンでは、割込み確認フラグを5AHに書き換えて処理を終える(ST200)。この割込み確認フラグの値は、メインルーチンのステップST8においてチェックされ、この値が5AHであることを条件にメインルーチンの処理が進行するようになっている。すなわち、メインルーチンの割込み待ち処理(ST8)では、割込み確認フラグが5AHとなるのを待ち、5AHとなれば割込み確認フラグを00Hに書換えた後にステップST9の処理に移行する。したがって、ステップST9以下の処理は2mS毎に繰返し実行されることになる。
【0050】
以上の動作を踏まえてメインルーチン(図6(a))の動作内容を説明する。電源が投入されると、CPUは自らを割込み禁止状態に設定した後(ST1)、ワンチップマイコン各部の初期設定を行う(ST2)。次に、ワンチップマイコンのRAM領域をゼロクリアした上で(ST3)、CPUを割込み許可状態に戻す(ST4)。
【0051】
以上の処理によって払出制御基板44の初期処理が完了するので、CPUは次に賞球完了信号CMPLを出力する(ST5)。具体的には、図7(a)に示す通りであり、賞球完了信号CMPLをLレベルからHレベルに立ち上げる。先に説明したように、Hレベルの賞球完了信号CMPLを受信した主制御基板40では「発射再開コマンド1」か、又は「発射再開コマンド2」を出力するので、払出制御基板44のCPUは、次に「発射再開コマンド」を受信するまで待機する(ST6)。
【0052】
そして、「発射再開コマンド」を受信すれば、発射クロック信号Φckを適宜な値に設定した後、ステップST8に処理を移行させる。一方、所定時間(例えば96mS)経過しても「発射再開コマンド」を受信しない場合には、発射クロック信号Φckをパチンコ機用に設定してステップST8の処理に移行する。したがって、初期動作時にトラブルが生じても、パチンコ機にアレンジボール機用の遊技球発射速度が設定されることはない。なお、アレンジボール機がパチンコ機用の遊技球発射速度に設定される可能性があるが、各ゲーム開始時には改めて「発射再開コマンド2」を受信するので、発射速度の再設定が可能である。
【0053】
以上のような処理の後、ステップST8〜ST16の処理が無限ループ状に繰り返されるが、ST8〜ST16の無限ループ処理は、前述した割込み待ち処理(ST8)によって一定時間毎(2mS)に実行される。無限ループ処理では、先ず、入力ポートを通して、スイッチ入力信号が取得される(ST9)。これは、払出モータM1の回転によって遊技球が払出されたか否かを確認するための処理であるが、エラー発生時には、該当するスイッチ入力信号が得られることになる。
【0054】
続いて、8bit長又は16bit長のタイマの減算処理(−1)が行われる(ST10)。なお、無限ループ処理が2mS毎に実行されることにより、減算タイマの1単位時間は2mSを意味する。
【0055】
タイマ減算処理が終われば、次に、受信割込み処理によって取得される制御コマンドの解析処理が行われる(ST11)。そして、新規に受信した制御コマンドが遊技球の払出個数を規定する「賞球数指定コマンド」であった場合には、全賞球数カウンタTOTALに、新たに指示された賞球数を加える。このように、コマンド解析処理(ST11)によって、遊技機から払出すべき遊技球の総数が、受信した制御コマンドに基づいて順次更新される。
【0056】
次に、プリペイドカードユニット46との通信処理(ST12)と、プリペイドカードで清算される球貸し処理(ST13)とを行った後、賞球処理(ST14)とモータ処理(ST15)とデータ出力処理(ST16)とが行われ、ステップST8の処理に戻る。
【0057】
モータ処理(ST15)とは、払出モータM1を回転させるための準備処理であり、具体的には、払出モータM用の駆動データ(Φ1〜Φ4)を生成してRAMのワークエリアに格納している。また、「賞球数指定コマンド」を受けた結果、遊技球の払出動作を開始させるタイミングでは、賞球完了信号CMPLをHレベルからLレベルに変化させるべく、必要なデータをRAMのワークエリアに格納する。
【0058】
一方、データ出力処理(ST16)とは、上記した駆動データ(Φ1〜Φ4)や賞球完了信号CMPLを含む各種のデータを、出力ポートから出力する処理である。したがって、データ出力処理(ST16)によって、払出モータM1の回転が開始されるタイミングでは、これに合わせて、賞球完了信号CMPLがHレベルからLレベルに変化することになる(図7(b)参照)。なお、この実施例では、全賞球数TOTALを一気に払出すのではなく、25球ずつ多段階に分けて払出している。
【0059】
また、賞球処理(ST14)は、賞球の払出数を管理する処理であり、コマンド解析処理(ST11)で更新された全賞球数カウンタTOTALの値に基づいて遊技球の払出数を決定し、データ出力処理(ST16)によって払出モータM1を回転させると共に、データ入力処理(ST9)で把握される遊技球の払出し状態を参照して全賞球数カウンタTOTALの値を減算し、払出モータM1の動作終了タイミングを決定している。
【0060】
より具体的に説明すると、賞球処理(ST14)では、データ出力処理(ST16)の結果、遊技球が実際に払出されたか否かをデータ入力処理(ST9)の処理結果に基づいて確認し、実際に払出された遊技球の数だけ、全賞球数カウンタTOTALの値を減少させる。そして、全賞球数カウンタTOTALがゼロとなった場合は、払出モータM1の払出動作の終了時であるから、データ出力処理(ST16)では、Hレベルの賞球完了信号CMPLが主制御基板40に対して出力することになる(図7の(b)参照)。なお、主制御基板40では、この賞球完了信号CMPLの受信を条件に払出制御基板44に対して「発射再開コマンド」を送信するのは、先に説明した通りである。
【0061】
以上、本発明の実施例について説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定するのではない。例えば、実施例の場合には、主制御基板40を中心として、サブ制御基板としてランプ制御基板41と図柄制御基板42と音声制御基板43と払出制御基板44と発射制御基板45とを別々に設けたが、各制御基板は適宜にまとめても良い。例えば、払出制御基板44の機能と発射制御基板45の機能とを単一の回路基板で達成することや、発射基板45上に発射クロックΦck生成用の回路を内蔵するワンチップマイコンを設け、主制御基板40からの指定コマンドを直接的又は払出制御基板44経由で間接的に受信することもできる。
【0062】
また、実施例では、発射許可信号に発射速度を指定する内容が含まれているが、別々の信号としても良いのは勿論である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、制御コマンドの読み落としや、遊技球の入賞や入球を検出できないなどの誤動作の発生を防止した弾球遊技機を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るアレンジボール機の正面図である。
【図2】同アレンジボール機の遊技盤の正面図である。
【図3】同アレンジボール機の回路構成図である。
【図4】主制御基板のメインルーチンの動作内容を説明するフローチャートである。
【図5】主制御基板のタイマ割込み動作を説明するフローチャートである。
【図6】払出制御基板の制御プログラムを説明するフローチャートである。
【図7】払出制御基板の動作を説明するタイムチャートである。
【符号の説明】
40 主制御部(主制御基板)
44 払出制御部(払出制御基板)
CMPL 準備完了信号
ST23 第1待機手段
ST24 移行手段
Claims (7)
- 遊技動作を中心的に制御する主制御部と、遊技球の発射装置を制御すると共に、前記主制御部から伝送される賞球用コマンドに基づいて遊技球を払出す払出制御部と、を備え、前記発射装置の遊技球の発射速度を、前記払出制御部において設定可能に構成した弾球遊技機であって、
前記払出制御部は、
電源投入後の初期設定動作を実行した後、前記主制御部に準備完了信号を送信する第1手段と、その後の所定時間、前記主制御部から発射用コマンドを受信するまで待機する第2手段と、前記所定時間内に受信した前記発射用コマンドに対応するか、或いは、前記所定時間内に前記発射用コマンドを受信しなかったことに対応して、前記発射装置の遊技球の発射速度を所定値に設定し、その後、定常動作状態に移行させる第3手段とを備えていることを特徴とする弾球遊技機。 - 前記払出制御部は、前記発射速度を所定値に設定したことに合わせて、前記発射装置の動作を許可している請求項1に記載の弾球遊技機。
- 前記第4手段は、前記発射用コマンドを受信した場合には、受信しなかった場合より、前記発射装置の発射速度を高く設定している請求項1又は2に記載の弾球遊技機。
- 前記主制御部には、電源投入後の初期設定動作を実行した後、前記払出制御部から準備完了信号を受けることを条件に、前記払出制御部に前記発射用コマンドを送信する第4手段が設けられている請求項1乃至3の何れかに記載の弾球遊技機。
- 前記主制御部は、電源投入後に前記第4手段の動作を実行する第1システムリセット処理と、所定時間毎に起動されて遊技機の定常動作を実現する第1タイマ割込み処理とを有して構成され、
前記第1タイマ割込み処理では、前記賞球用コマンドを送信した後に前記払出制御部から準備完了信号を受信するのを待つ待機処理と、前記準備完了信号を受ける毎に、前記払出制御部に前記発射用コマンドを繰り返し出力するコマンド出力処理と、が実行されている請求項1乃至請求項4の何れかに記載の弾球遊技機。 - 前記払出制御部は、電源投入後に前記第1手段乃至第3手段の動作を実行する第2システムリセット処理と、所定時間毎に起動されて遊技機の定常動作を実現する第2タイマ割込み処理とを有して構成され、
前記第2タイマ処理では、前記賞球用コマンドに基づく遊技球の払出動作が終了する毎に、前記主制御部に前記準備完了信号を繰り返し出力する信号出力処理が、実行されている請求項1乃至請求項5に記載の弾球遊技機。 - 第2タイマ割込み処理は、
前記賞球用コマンドに基づいて払出すべき賞球の総数を更新する全賞球数算出処理(ST11)と、賞球を払出すべく払出装置を駆動する駆動処理(ST16)と、前記払出装置の動作によって払出された賞球を連続的に把握する払出監視処理(ST9)と、前記全賞球数算出手段が更新した全賞球数から前記払出監視手段の把握した払出賞球数を減算し、減算結果がゼロの場合には、前記準備完了信号を出力すべく動作するデータ出力処理(ST14,ST16)とを備えている請求項1乃至請求項6の何れかに記載の弾球遊技機。
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