JP4022043B2 - 縫製縫い目によって作られる通路の張紐を開放することができるミシンおよび縫製方法 - Google Patents

縫製縫い目によって作られる通路の張紐を開放することができるミシンおよび縫製方法 Download PDF

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Description

【0001】
本発明は縫製の方法および縫製用ミシンに関するもので、柔らかいカバーなどの縫製布地片上で、補助糸と呼ぶ糸の作る縫い目が、縫製方向に伸展する通路を形成するタイプのもので(縁かがり縫い、ジグザグ縫いなど)、補助糸が刺し貫きされると同時に縫い目は通路の中に、一本の張紐と呼ぶ紐を導き、置くが、縫い目をつくるとき補助糸は張紐を貫通しないので、張紐は通路の中を縦方向および/または側面方向に滑ることができる。
【0002】
EP-0 223 312およびUS-4 732 097は、補助糸をつかって特にかがり縫いをし、かがり縫いの進行と同時に、このかがり縫いがつくる通路の中に張紐を導き、置いていくことができるミシンおよび方法を記述している。
【0003】
この方法およびこの機械は全く満足されるものであるが、以降、縫製作業の自動化が求められている。これによって包着全工程をロボットで自動化することが可能となろう。
【0004】
ところが、このような縫製作業はとりわけ細かいものなので未だ技能を有する作業者を必要としている。
【0005】
特に、かがり縫い目の開始と終末は明確かつ正確に行われる必要があり、張紐のはみ出し糸先をかがり縫いの端部から十分な長さ、通常10cm以上、残し、はみ出し糸先を引っぱり、それからはみ出し糸先を鉤止めおよび/ないしは結んで固定しなければならない。このため、縫製の当初、終了時、および縫製後に手動で多数の操作をしなければならない(かがり縫いの外にはみ出した張紐糸先の取り出し、かがり縫いの余分な長さを切断)。
【0006】
さらに、縫製の開始と終末では、開放された張紐はみ出し糸先を、縫製布地片(1)の外で、その長さ分にわたって張紐のまわりにかがり縫いをしなければならない。また縫製終了後、この余分で不要なかがりの部分を取出しカットし、縫製布地片(1)をミシンからはずす作業がある。このかがり縫い作業は糸、時間、労力の無駄使い(この方式やこのミシンを使用して大量生産を行う場合には無視できない割合となる)であるほか、縫製布地片(1)がないのにさらにかがり縫いするのは機械の正常な使用法でなく、ミシンの故障、製造速度の低下、調整不良、ときには破損(特に、縫製布地片(1)が無いため送り歯と押さえ金が直接接触する)の原因となる。とりわけ、貫通装置の川下部で張紐をかがり縫いするときの送りは、縫製布地片送りほど正確にはできない。
【0007】
ある種の応用では、例えば滑り抜ける張紐の結び目を作るために、張紐を通常縫製部のかがり縫いからはずすことができるのが望ましい場合もある。
【0008】
他の応用および/または別の縫い目を使う場合に同様な問題が起こる。張紐とは異なる補助糸で、縫い目を作ると同時に、張紐のような一本の紐を縫い付け、この張紐は縫製用補助糸でなく、補助糸に突き刺されない、すなわち補助糸に貫通されない場合である。例えば、ジグザグ縫いで張紐の入る通路がつくられる場合(張紐にテンションが全然かからないかあるいは軽度のテンションがかかるもので、あまり効果的ではないがある種の応用には十分に使える)。
【0009】
本記述にわたって使用される「張紐」という表現は、全て、縫い目を作る補助糸ではなく、弾力性あるなしにかかわらずあらゆる線状の要素(綱、紐、細紐、打ち紐、飾り紐なども含む)を指す。これは、補助糸に突き刺されず、縫い目の貫通と同時に、通路の中に案内され縫いつけられ、従って通路の中を縦方向および/あるいは側面方向に滑ることができる。
【0010】
本発明は上記の問題に対する解答を提案するもので、縫製開始、および/あるいは通常縫製部、および/あるいは縫製終了に、縫い目で作られた通路から開放される張紐の糸先、特に、縫い目で作られた通路の終端を超えてはみ出た糸先を容易く、早急に、確実に始末することのできる縫製方法の提案を目的としている。
【0011】
本発明は特に、プログラム化された制御装置(ロボット、自動制御装置、情報システムなど)で命令され、人間の介入を必要とせず完全自動化運転される縫製方法の提案を目的としている。
【0012】
本発明は、また、縫い目の貫通と同時に張紐が縫いつけられ、縫い目の中で張紐が縦方向および/または側面方向にすべることができる、かがり縫いのような縫い目によってつくられる通路の、その両端の縫製開始部と終端部で、張紐のはみ出し糸先が完全に自動化処置できることを目的としている。
【0013】
本発明は、また上記通常縫製部分の通路から開放された張紐を完全自動化でループにつくれることを目的としている。
【0014】
本発明はとりわけ、例えばEP-0223312および/またはUS-4732097に記述されるように、イスを柔らかいカバーで包着するなど、物体の包着工程を完全に自動化する方法の提案を目的としている。これに関して本発明は生産性向上、省力化、原料節約を目指している。
【0015】
本発明はまた、特にEP-0223312および/またはUS-4732097に記述されているような、かがり機械など従来のミシンに対して、簡単で廉価な変更を加えることによって容易にかつ経済的に上記の目的に達することができることを目指している。
【0016】
従って、本発明はまたこの発明による方法を実施するミシンを提供することを目的とする。
【0017】
本発明は特に、EP-0223312および/またはUS-4732097に記述されているような縁かがりミシンなど周知のミシンに対して、既製品のミシンに簡単な変更をもたらすことによってこのようなミシンが得られることの提案を目的としている。
【0018】
本説明の中で使用される「川上」、「川下」という用語は、機械の貫通装置に対する縫製の方向に関するもので、貫通装置によって縫製布地片が送られる方向が川上から川下であるという。分かりやすくするため、縫製の方向と縫製布地片の送り方向は水平とする。こうした位置は実際上最も多いケースではあるが、本発明は厳密にこうであることを要求するわけではない。同様に、「横方向」の移動は、縫製方向および送り方向に対するすべての移動で、貫通装置による縫製の方向および送り方向に垂直な横平面の少なくともひとつの成分を有する移動を指す。「側面方向」の移動は、すべての横方向の移動で、少なくともひとつの水平方向成分も有する移動、すなわち縫製布地片およびテーブルの面に平行、言いかえると貫通装置上の針の移動方向に直交している移動を指す。同様に、「垂直」移動は、縫製布地片およびテーブルに対して少なくともほとんど直交する少なくともひとつの横方向成分を含むあらゆる移動、すなわち縫製方向と針の移動方向によって決まる平面内の移動を指す。
【0019】
従って、横方向移動は垂直移動のない側面方向移動か、側面方向移動のない垂直移動か、側面方向移動と垂直移動を組み合わせたものである。
【0020】
さらに、「貫通」、「貫通された」あるいはその派生語は全て、特に指示がない限りは明記しなくとも、全ての糸が縫製布地片の厚さを実質的に突き抜けること、広い意味で、糸を使用して縫い目を作ることを指す。「貫通装置」という表現は、一本ないし複数の糸また、特に一本ないし複数の針および/あるいは一本ないし複数の鈎針かループ針を含める、を用いて縫い目を作るあらゆる装置一般を指す。(フランス規格AFNOR NF G05-002で定義される意味で使用される。本請求ではその用語を使用している。)
【0021】
本発明は縫製方法に関するもので、ミシンの貫通装置を使って縫製布地片上を縫製方向に補助糸と呼ぶ糸で縫い目を縫製する方法に関し、この縫い目は縫製方向に伸展する通路を作るタイプであり、補助糸の貫通と同時にこの通路の中に一本の張紐と呼ぶ紐、が案内され縫いこまれ、この通路の中で紐は縦方向および/または側面方向に滑ることができ、貫通装置に対して川上から直ぐに川下に伸展している張紐の少なくとも部分は、張紐を通路に入れる正常位置と上記張紐の部分の開放位置の間で横方向に移動される、この開放位置で張紐部分は縫い目の方向に対して傾斜し、また貫通装置に向かって貫通装置の動作範囲外および上記通路の外を通り、特に、縫い目を作る補助糸および/または張紐を、貫通装置の川上に配置される少なくともひとつのカッターで独立に切断することができ、および/または通常縫製部分で上記通路から開放された張紐をループにすることに特徴づけられるものである。
【0022】
本発明による有利な点は、貫通装置で縫い目を縫製する過程で、上記張紐の部分を横方向に移動する、すなわち、補助糸が縫い目を縫製する間、貫通装置を中断することなしに、張紐を通常位置と開放位置の間で移動する。これに関し、上記張紐の部分が、貫通装置の川上に、そして少なくとも直ぐ川下に伸展するので、補助糸は張紐を突き刺さず、その唯一の結果として、張紐が補助糸によって不動にされるリスクをほぼ避けていることに注目されたい。事実、張紐が貫通装置に対面し、直角に通過すると、張紐は通路および貫通装置の動作範囲から開放される。また、貫通装置と上記張紐の部分の横方向移動を同期させ、この移動が貫通針の下降移動と同時に行われるのを妨げる。
【0023】
さらに、縁かがり機、布縁切かがり機など縫製布地片の縁を縫製するミシンは、機械のモーター台枠から側面方向に広がるテーブルを有する。本発明の第一応用例は、特に、縫製の末端部にはみ出している張紐糸先の処置に応用されるもので、本発明による有利な点は、正常位置から開放位置に移動するために、上記張紐の部分をミシンのテーブル側からモーター台枠の反対側に側面方向移動をすることである。
【0024】
本発明の第二の応用例は、前例と組みあわされるもので、特に通常縫製部分 (すなわち両縫製端の間) において、縫い目でつくられた通路の外に開放される張紐をループにする応用で、上記張紐の部分を縫製布地片およびテーブルから上方に離しながら、貫通装置の動作範囲外で垂直方向、特に上方に移動する。特に、少なくともひとつの上部ループ鉤針が装着されている場合は、上部ループ鉤針の上で移動する。
【0025】
さらに、本発明による有利な点は、少なくとも上記張紐の部分を横方向に移動するため、貫通装置の川上に配置される張紐の案内部品の少なくともひとつを横方向に移動することである。
【0026】
本発明の実施法のひとつは、特に、上記通常縫製部分の通路の外に開放される張紐をループにする応用で、押さえ機構でない案内部品を横方向に移動する。例えば、この案内部品は川上押さえ機構の川下側出口に配置され、張紐が通る案内用糸通し穴である。この実施法は上に記述された第二応用例に適用できる利点がある。
【0027】
本発明によるもうひとつの実施法は、前例との組み合わせが可能で、張紐の案内装置を保持している川上押さえ機構を横方向に移動し、そして貫通装置の直ぐ川下に配置される川下送り機構によって縫製布地片を送るもので、それが本発明による有利な点となっている。川下押さえ機構は、特に、押さえ棒および/または特別なモーター機構による回転駆動機構か、あるいは横軸の周りを自由回転する回転機構 (車輪、滑車、円筒等)である。川下送り機構は、特に、川下押さえ金および/または川下回転機構、または川下送り歯である。この実施法は上に記述された第一応用例に適用でき、縫製の両端部で張紐のはみ出し糸先の処置に有利である。本発明は、川上押さえ機構を貫通装置の作動範囲外で、かつ上記通路の外で縦方向に移動させること、また、開放位置でこの川上押さえ機構が縫製布地片との接触を避けるため、川上押さえ機構を垂直かつ上方に移動させることが有利な点である。
【0028】
本発明では、驚くことに、川上押さえ機構が解除されると、縫製布地片の縫製機能が適用不可位置となるにもかかわらず、少なくとも部分的に縫製が実行できる。実際、縫製布地片の送り装置、および/または縫い目を作る補助糸、および/または故障やとりわけ糸止まりを避けている張紐のおかげで、これらが何の困難もなく可能であることは明白である。
【0029】
上に記述した実施法と応用例を組み合わせることができる。本発明では、川上押さえ機構を移動させ、縫製末端に張紐のはみ出し残り糸を作り、押さえ機構と異なる案内部品 (例えば糸通し穴)を上記通常縫製部の通路の外に開放された張紐のループ作るため、垂直方向および/または側面方向に移動させる。
【0030】
本発明によると、上記張紐の部分を側面方向に十分な距離だけ移動し、張紐を、ひとつには貫通装置の作動範囲外に、また特に貫通装置の川上に配置される補助糸カット用第一カッターの作動範囲の外に遠ざけて側面方向に開放することが利点である。第一カッターによって縫い目をつくる補助糸が、同時に張紐を切断してしまうリスクはない。
【0031】
本発明はまた、縫い始めの前部およびの縫い終りの末端における張紐のはみ出し糸端を、縫い目から残しておくに適した方法に関するもので、縫製終了部で、
-貫通装置の川下に配置される補助糸切断用第一カッターから、張紐を側面方向に十分な距離だけ離し、開放するために、上記張紐の部分を側面方向に移動し、
-適当な長さに渡って縫製を継続し、張紐が川下第一切断カッターから側面方向に離れるようにし、
-縫い目を作る補助糸を切断するために第一カッターを作動させ、次に貫通装置によって縫製を止め、
-張紐のはみ出し糸先の長さの和が縫製の始めから終わりになるような距離だけ縫製布地片を川下方向に移動させ、
-縫製布地片の縫製終末後のはみ出し糸先と次に縫製する縫製布地片の先端部はみ出し糸先に分けるために、切断するべき張紐の部分を第二切断カッター内に置き、
-第二切断カッターを作動させ、
-貫通装置、張紐の案内装置、および上記張紐の部分を正常位置に戻し、次の縫製のため縫製布地片を受け取る。
【0032】
本発明は、第二切断カッターを作動させる前に上記張紐の部分を正常位置に戻すことが利点である。
【0033】
本出願において使われる「ミシン」は、頭部と呼ばれる縫製装置 (貫通装置、作業台テーブル、送り装置、糸案内装置、など)を内蔵する少なくともひとつの機構を含む全ての機械を指す。一般にミシンは、構造を支える台枠、台枠に組みつけられる少なくともひとつの縫製頭部、台枠に取り付けられる駆動モーター(一般に少なくとも一個の電動モーター)、および台枠に組みつけられる命令装置(ペダル、スウィッチ、自動制御機器、数値システムおよび/またはコンピュータシステム、等)で構成される。本文中、「ミシン」という用語は、個別の縫製機械頭部か、あるいは少なくともひとつの縫製頭部と前記の関連機構を含むより完全な一体装置を指す。
【0034】
本発明はミシン、特に従来のミシン製品に改造を加え、本発明の方法を実施するようにしたものも含む。
【0035】
従って、本発明はミシンに関するもので、縫製布地片上に補助糸で少なくともひとつの縫い目を作る貫通装置を有し、また縫製方向に沿って縫い目で通路をつくり、補助糸の貫通と同時に、張紐と呼ぶ紐、を通路の中で縦方向および/または側面方向に滑れるように置いていく張紐の案内装置を有するミシンで、張紐の開放装置と呼ぶ装置を有し、少なくとも張紐の部分は貫通装置の川上と直に川下に伸展し、貫通装置に対して、張紐を通路に入れる縫製正常位置と上記張紐部分の開放位置の間を横方向に移動し、開放位置で、張紐の部分は縫製方向に対して傾斜、また貫通装置に向かって貫通装置の作動範囲の外と上記通路の外を通り、少なくとも貫通装置の川下に配置される切断カッターで縫い目の補助糸および/または張紐を独立に切断し、通常縫製部の外に開放された張紐をループにすることができることを特徴とするミシンである。
【0036】
本発明で、張紐の開放装置は、貫通装置で縫い目を縫製する過程で、少なくとも上記張紐の部分が横方向に移動できるようにされるのが利点である。
【0037】
本発明による利点はまた、モーター台枠と、貫通装置からモーター台枠にかけてほぼ広がるテーブルを有する機械で、張紐の開放装置で上記張紐の部分をテーブル側から側面方向に移動し、またモーター台枠の反対側、上記通路の外で、正常位置から開放位置に移動できることを特徴とする機械である。
【0038】
応用例またはそれらの組み合わせでは、本発明による利点は、開放装置によって上記張紐の部分を、縫製布地片の上方へ遠ざけながら貫通装置の作動範囲の外に垂直に、特に上方に移動することである。
【0039】
本発明による利点は、少なくとも一本の針を含む貫通装置と、縫製布地片の送り装置を含む機械で、川上送り機構と呼ぶ送り装置が針の直ぐ川下に配置される少なくともひとつの機構を持つこと、また張紐の開放装置が、川下送り機構から川上に向かって伸展する少なくとも張紐の部分の横方向移動ができることに特徴がある機械に関する。
【0040】
本発明によると、張紐の案内装置は、貫通装置の川上に配置される少なくともひとつの川上案内部品を有し、またこの案内部品を正常位置または張紐の開放位置に置くための支で支持される。案内部品は張紐を、正常位置で縫い目に対して案内、開放位置で貫通装置に対して横方向に移動する。従って川上案内部品の支え装置は張紐の開放装置として役立っていることが利点である。
【0041】
本発明による利点では、張紐の開放装置が押さえ機構と異なる案内部品の少なくともひとつを横方向に移動できるようにされていることである。
【0042】
本発明による利点では、張紐の案内装置は、少なくともひとつのダブルアクション動作機構 (特に、空圧式あるいは電磁式シリンダー )を有し、よって張紐の部分を開放位置とその反対位置の間で横方向に移動できる。
【0043】
本発明による応用例のひとつで、張紐の案内装置は、張紐を側面に案内する少なくともひとつの部品とこの案内部品を機械の台枠に対して支える装置を有し、案内部品の支持装置は、部品が縫い目に対して張紐を案内する正常位置と、貫通装置に対して案内部品を側方向に移動する張紐の側面方向開放位置とに配置され、従ってこの案内部品の支え装置が張紐の開放装置として役立っていることが利点である。
【0044】
もうひとつの応用例は、前者との組み合わせで、川上案内部品の支え装置が、案内部品を正常位置あるいは張紐の垂直開放位置に配置できるようにされるもので、正常位置ではこの部品が縫い目に対して張紐を案内し、開放位置で案内部品は貫通装置に対して垂直方向、特に上方に移動される。
【0045】
本発明はまた、縫製布地片送り用の川上押さえ機構の一部および/またはそれに保持される張紐部分の案内装置と、機械の台枠に対して川上押さえ機構を支える装置で、作動位置で川上押さえ機構が縫製布地片に当接するに適した機械に関するもので、支え装置は張紐の開放位置に川上押さえ機構を配置できるように作られ、その位置で川上押さえ機構と張紐の案内装置は貫通装置に対して側面方向に移動し、従って川上押さえ機構の支え装置が張紐の開放装置として役立つことに特徴がある機械に関する。
【0046】
本発明は、上記川上押さえ機構の支え装置は以下のものから構成されることが利点で、すなわち、
-機械の台枠の川下端に接続され、垂直軸および水平横軸の周りに旋回が可能、川上先端部は張紐の案内装置とともに川上押さえ機構を保持している関節アーム、
-台枠に保持され、平進可動の操作棒を有するダブルアクション操作機構、
-アームと操作棒を連結するリングロッド。
【0047】
操作機構は台枠上に組立てられ、正常位置で、操作棒は、川上押さえ機構が縫製布地片上に当接する方向の圧力をアームに加える。
【0048】
本発明によると、操作棒が自己回転に重ねて平進運動をすると、垂直軸の周りをアームが旋回し川上押さえ機構が側面方向に移動と、また水平横軸の周りをアームが旋回し川上押さえ機構が垂直方向に移動する運動が作り出されるように連結リングロッドにねじれを与えることが利点である。
【0049】
本発明によると、機械は、貫通装置の川下に配置される補助糸切断第一カッターを有し、また上記張紐開放装置が、少なくとも上記張紐の部分を側面方向に移動して、上記張紐の部分が補助糸切断第一カッターの外の側面方向に充分離れるようにしていることである。
【0050】
本発明によると、機械は二本の糸切断カッターを有し、第一カッターは貫通装置の川下に配置され、かがり縫いの補助糸を切断するため、第二カッターは第一カッターの川下側、次の縫製布地片上で縫製の縫い目開始の前部にはみ出している張紐の糸端、はみ出し糸先と呼ぶ、の長さに相当する距離だけ離れて置かれることが利点である。
【0051】
本発明によると、第一カッターは川上送り装置に接近した直ぐ川上側に置かれることが利点となっている。
【0052】
本発明は、この発明による方法を完全自動化することができる。このためには、本発明によると、機械は縫製布地片の案内装置の代わりに、場合によっては切断カッターに関して、自動案内装置を有し、また張紐の開放装置の自動制御装置を有し、場合によっては切断カッター自動制御装置を有する利点がある。本発明で、縫製布地片の自動案内装置は、縫製布地片を把握し、縫製が進行するに従って機械のテーブル上に縫製布地片を運ぶようにプログラムされた捕捉ロボットハンドを有する利点がある。本発明によると、縫製布地片の自動案内装置と張紐の開放装置の自動制御装置は、貫通装置、縫製布地片の移動、張紐の開放装置、切断カッター等の状態を縫製の進行に従ってコントロールするプログラムを組込んだデジタルシステムを有する利点がある。
【0053】
本発明によると縫製の完全自動化が可能であり、イス用詰め物の着包プロセスの自動化などが含まれる。
【0054】
本発明は、より特殊な場合として、かがり縫い目の実行、とりわけ縫い糸(補助糸)が一、二、三、四または五本あるようなかがり縫いに応用できることが利点である。従って、本発明による機械はかがり縫い機、とりわけ、布縁切かがり縫い機に有効である。
【0055】
本発明は、縫製の過程で、張紐を縫い目の通路の外に自動的にずらせて開放し、つぎに自動的に正常位置に戻して通常縫製の通路からはみ出した張紐をループにするか、通路終端の糸先は張紐の残り糸として始末する。縫製通常部分でつくられるループで、例えばカバーをかけようとする物体の鉤や突起に張紐を引っかけたりおよび/または縫製布地片の縁の通常部分に引っ張りを与えることが出来る。末端の糸先を引いて張紐に牽引力を与え、張力をかけたままで張紐を不動にすることができる。このようにループをつくったりおよび/または終端を糸先で始末しても、張紐が通路の中を滑り抜ける可能性があり得ることに注意しなければならない。本発明は、補助糸が張紐を突き刺して不動にすることを避けている。
【0056】
本発明は、また上記あるいは以下に記述される特質の全体または部分の組み合わせで特徴づけられる機械および方法に関するものも含む。
【0057】
本発明のその他目的、利点、特徴は、以下に示す添付図を参照とする説明によって明らかにされる。
【0058】
第1図は、本発明の機械で張紐が正常位置にある場合の概観部分透視図である。
【0059】
第2図は、張紐が開放位置にある場合の第一図同様の透視図である。
【0060】
第3図から第9図は、発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【0061】
第10図と第11図は、本発明による機械の、張紐の開放装置の正常位置と開放位置をそれぞれ前部から見た概観部分図を示している。
【0062】
第12図と第13図は、本発明による機械の、張紐の開放装置の正常位置と開放位置をそれぞれ下から見た概観部分図を示している。
【0063】
第14図は、本発明による機械の貫通装置および開放装置を側面から見た概観部分図を示している。
【0064】
第15a図は、本発明による機械の、張紐の開放装置の操作棒に固有回転を与える特殊な案内装置の軸方向断面概観図を示している。
【0065】
第15b図は、第15a図と同様な概観図で、操作棒なしを示している。
【0066】
第16図は、本発明による機械の上部から見た概観部分図を示している。
【0067】
第17図は、本発明による自動機械全体の概観透視図を示している。
【0068】
第18図から第20図は、本発明による機械の、張紐の開放装置における二つの応用例で、それぞれ上部から見た概観部分図を示している。
【0069】
第21a、21b、21c図は、第20図の応用例に従って、本発明による機械の張紐の開放装置を、垂直開放位置、正常縫製位置、および側面方向開放位置においてそれぞれ横方向垂直断面から見た概観部分図を示している。
【0070】
第22図は、第20、21a、21b、21c図の応用例に従って、本発明による機械の垂直開放位置における貫通装置と開放装置を示す側面の概観部分図である。
【0071】
図示される本発明によるミシンは、かがり縫い縁切りミシン、すなわち縫製布地片1(布、革、合成繊維などの柔らかい袋)の縁を縁切ナイフ2によって切断し、補助糸4によってかがり縫い目3を実行するミシンである。補助糸4として細い透明ナイロン糸(330デニール)またはその他全ての工業用縫製糸を使用できる。
【0072】
EP-0223312およびUS-4735097は、その内容が本出願書類に参照されているが、すでに、このようなミシンの一般的特徴と、例えばイスの着包方法のようなこのようなミシンで実施できる物体着包方法を記述している。従って以下では、本出願の対象となっている本発明独自の特徴についてのみを詳細に説明する。
【0073】
本ミシンは貫通装置5、6、7を有し、それは本例では針5、上位鈎針6、下位鈎針7である。これら貫通装置5から7によって三本糸でかがり縫いを行う。しかし、本発明は、機械が相応した貫通装置を装備している場合、他のすべてのかがり縫い目にも拡張、あるいはより一般的には、補助糸とは別の張紐8(すなわち、上記縫い目を作らない糸)が長さ方向に縫いこまれる通路Pを作るような縫い目の全てに拡張して含む。張紐8は縦方向および/または側面方向に通路Pの中を滑ることが可能で、ナイロン糸、あるいは紐や細紐、あるいは伸縮のある紐などを使用できる。一般には補助糸より太いものが使われるが、その逆の場合も可能である。ミシンは、貫通装置5〜7の内部およびとそれを横切っている縫製布地片1送り装置9〜10を有する。機械は主に、モーター台枠12と、貫通装置5からモーター台枠12側へ全体的に広がるテーブル13とで構成される。縫製布地片1は送り装置9〜11によって縫製方向Dに移動される。縫製方向Dはモーター台枠12横に沿ってテーブル13の側面方向に広がる方向である。送り装置9〜10は、テーブル13を通って空けられた適当な抜け穴を通るモーター駆動下送り歯9(すなわち機械のモーターで駆動される)と、貫通装置5〜7の川上でテーブル13の上方に配置され下方送り歯9に対して縫製布地片を当接する川上押さえ機構10と、貫通装置5〜7の直ぐ川下でテーブル13の上方に配置され貫通後に縫製布地片を送るための川下送り装置11を含む。本例で、川上押さえ機構10は従来の押さえ棒である。図示される川下送り機構11は、モーターで駆動され、貫通装置5〜7の川下に配置される下部送り歯9の一部と同期する上部送り歯である。ここに表示されない応用例では、川下送り装置11は単に、縫製布地片1を下部送り歯9の上に押し付ける押さえ金である。
【0074】
布縁切ナイフ2は貫通装置5〜7の直ぐ川上に置かれ、かがり縫い実行の前に縫製布地片1の縁を切断する。
【0075】
川上押さえ機構10は張紐8の案内部品14を保持する。本例では、この案内部品14は折り曲がったチューブの一部形で、モーター台枠12に向かって押さえ棒10の横に広がる。従って、張紐は貫通装置5〜7の直ぐ川上、かがり縫い目で作られる通路P軸の中に、縫製方向Dに平行になるように案内される。張紐8は、モーター台枠12に結合している少なくともひとつの案内機構15を介して、予備ボビンから案内部品14まで導かれる。
【0076】
機械は第一切断カッター16(例えばフランスC-GEX SYSEM'S社から販売されているカッターC-GEX T07など)を有し、これは貫通装置5〜7と送り装置9〜11の直ぐ川下、すなわち川下送り機構11の直ぐ川下に配置される。
機械は、また第二切断カッター17(例えばフランスC-GEX SYSEMS社から販売されている偏心カッター)を有し、第一カッターの軸上、縫製方向Dに対して川下側、第一カッターからの距離dlは、張紐8ががかがり縫い目3の開始端19の外にはみ出す糸先18の長さに相当する。
【0077】
切断カッター16、17はそれぞれ駆動モーター機構20、21によってモーターで駆動されるが、これは空圧式ピストンシリンダー、電磁石、あるいはその他類似の駆動機構でよい。各カッター16、17は、縫製方向Dに平行な軸の周りを旋回する一本の可動刃物および、テーブル13のレベルで縫製方向Dと交差して横方向に展開する一本の固定刃物で構成される。このように、可動刃物は支点の周りを下方に回転し、可動刃物と固定刃物がはさみのように動いて固定刃物上の糸を切断する。
【0078】
川上押し付け機構10は、案内部品14と共に支え装置22.、23、24に保持される。支え装置は、機械台枠12に自在連結する関節腕22と、本体26が台枠12に保持され、また台枠12に対して軸の両方向に平進できる操作棒25を有するダブルアクション(すなわち両反対方向から動かすことができる)操作機構23と、アーム22と操作棒25を連結するロッド24で構成される。アーム22はテーブル上方にあり、少なくともほとんど水平で縫製方向Dにほぼ平行に伸びる。アーム22の川下側先端29は、アーム22が垂直軸27と水平横軸28の周りの旋回を可能とする関節装置で、機械の台枠12に自在に連結される。操作機構23は、例えばダブルアクション空圧シリンダーで、その本体26は少なくともほとんど垂直な方向で台枠12に保持されるが、本例では下方かつ川上方向に少し傾斜している。アーム22の川上先端30は張紐8の案内部品14と共に川上押さえ機構10保持している。
【0079】
操作機構23の操作棒25の自由端は、正常位置で、川上押さえ機構10が縫製布地片1を押付ける方向に、すなわち下方でテーブル13に向かう方向に、アーム22に圧力をかけるに適している。本体26に対して下方に向いている操作棒25が完全に伸びきった状態で、操作棒25の先端がアーム22を押付ける。操作棒25の先端は、垂直側面に小平面31をがつられていることが利点で、この小平面に対して関節腕22が側面方向から突当たってくる。こうして操作棒25はアーム22が回転するのを制限し、従って川上押さえ機構10が台枠12方向へ水平移動するのを制限する。また小平面31は、アーム22の上部最小面20上に押付けてくる肩状部を決めることによって、上に説明したように、川上押さえ機構を下方に垂直に当接させる。
【0080】
連結ロッド24は、その長さ方向にねじれが与えられており、操作棒25の自己回転(平進移動軸の周り)に伴って平進移動が始まると、垂直軸27の周りにアーム22が旋回し川上押付け機構10が側面方向に移動、および水平横軸28の周りにアーム22が旋回し川上押付け機構10が垂直方向に移動できるようにつくられる。連結ロッド24は、ロッド24上に穿つれた縦方向の抜き穴32を介してアーム22に連結され、この抜き穴の中にアーム22に固定されたスライドを滑り込ませる。スライド33は、例えばアーム22に対応して立てたタップに埋めたビスの頭を単に穴に通したものでよい。一方、連結ロッド24はビス止め閉め環34を介して操作棒25に堅固に固定される。
【0081】
このような機構において、操作棒25がシリンダー本体26の中を上昇すると、連結ロッド24のねじれによってアーム22が、台枠12の反対側面方向に垂直軸27の周りを旋回し、また、水平横軸28の周りを上方垂直状に旋回する。
【0082】
この動きの時に、操作棒25が長さ方向の軸の周りを自転することに注意したい。この自己回転運動および、アーム22の垂直軸27の周りを旋回する運動は、連結ロッド24のねじれにより生じ、および/または平進移動の時に操作棒25を自己回転させる特殊案内装置35、36によって得られる。本例で、継手35は適切な方法(固定用キー、半径方向ビスなど)で操作棒25に堅固に固定され、この継手35には半径方向で外側に突出している少なくともひとつの突起が有り、この突起はソケット36の中に適切な形に作られた斜面52にはめ込まれる。ソケットは台枠12に固定され、操作棒25とその継手35はソケット36を軸方向に貫通している。継手35の突起51とソケット36の面52によって、棒がどちらかの方向に平進移動するとき、棒25がその軸の周りどちらかの方向に自己回転する。
【0083】
こうして、川上押さえ機構10の支持装置22、23、24は、案内部品14と共に張紐8の開放装置として役立ち、モーター台枠の反対側で側面横方向に移動できるようにされる。川下送り装置11と案内部品14の間に伸展する張紐8の部分37を垂直に移動する。張紐8の部分37は、一方で、貫通装置5、6、7の直ぐ川下から川下送り機構11まで伸展、また貫通装置5、6、7の直ぐ川上から案内部品14まで伸展する、言い換えると、この張紐8の部分37は貫通装置5、6、7の直ぐ川下から川上に向かって伸展している。この張紐部分37は縫製中の貫通装置5、6、7の作動範囲を通るものである。開放装置14、22、23、24は、上述したように、案内装置14を次の位置に置く。すなわち上記のように、張紐8を縫製方向Dで通路Pの中に案内にする正常位置か、または、張紐8の部分37が、貫通装置5、6、7に対して上方垂直かつ側面方向に移動され、縫製方向Dに対して傾斜しており、貫通装置5、6、7の作動範囲の外で、かがり縫い目によって作られる通路Pの外を通る開放位置かである。
【0084】
第1図から第11図に示される応用例で、張紐の部分で、張紐8の川下送り機構11の川上まで、また台枠12に固定される案内部品15にまで伸展しているの全ての部分は、開放装置22、23、24によって側面方向に移動される。しかし、川下送り機構11から直ぐ川下と貫通装置5、6、7の川上へと伸展している張紐8の少なくとも部分37が移動されて、張紐8を貫通装置の作動範囲の外に、また通路Pおよび第一カッター16の外に開放するという別の応用例も可能である。
【0085】
このような機械に実施される方法が第3図から第11図に示される。
【0086】
第1図、第3図、第10図は正常位置にある川上押さえ機構10と案内部品14を示し、張紐8は通常、縫製布地片1の縁に沿って縫われるかがり縫い目Pの中に置かれる。この正常位置から、縫製中にすなわち貫通装置5〜7を停止せずシリンダー23を駆動し、川上押さえ機構10と案内部品14を開放位置(第2、4、5、11図)に置くことができる。こうして、川下送り機構11と案内部分14の間に伸展する張紐8の部分37は縫製方向Dに対して上方かつ側面方向に傾く。このような配置は、特に針5が張紐8を突き刺すのを回避する。なぜなら、川下送り機構11から川上に向かって伸展している張紐8の全部分37は、側面方向に移動し、縫製方向Dに対して傾斜するため、張紐8は補助糸によって突き刺されない。
【0087】
第5図は追加のかがり縫い後の配置を示し、張紐8の部分37とかがり縫い目3の交点は川下方向に移動されるので、張紐の部分37は川下送り機構11と第一切断カッター16から側面方向に離れる。この位置で張紐8の部分37は第一カッター16から外れるのは明らかだが、第5図に示すように、カッターが作動するとかがり縫い目のみ、すなわち補助糸4のみを切断し、縫製末端で縫製布地片1に対してかがり縫い目3の終端53と、次の縫製布地片1のかがり縫い目3の開始端19を形成する。
【0088】
さらに、かがり縫い目を作る補助糸4が切断される前に終端のかがり縫い目をすると、縫製布地片1は縫製後に貫通装置5、6、7の外に開放され、川上押さえ機構10は縫製布に当接しない。従って第5図の配置で、縫製布地片1は貫通装置5、6、7と川下送り機構11から側面方向に開放される。この配置では、縫製布地片が無くても、川上押さえ機構10と送り歯9の摩擦はなく、いかなる磨耗も回避することができることに注目できる。
【0089】
張紐8をかがり縫い3の外に開放した後も、縫製布地片1上のある長さにわたってかがり縫い3を継続できる。第5図は、縫製布地片1に刺されたいくつかのかがり縫い目と引き続いて縫製布地片外に刺されたいくつかのかがり縫い目を示している。ここに表示されない別の応用例では、通常かがり縫い縫製部(両端部ではなく)が開放位置になるように川上押さえ機構10を保ち、縫製布地片1の上にかがり縫い3を続け、次に、川上押さえ機構10を正常位置に戻しかがり縫い3を継続する。このようにして通常縫製部のかがり縫い3から開放された張紐8の糸先を始末する、すなわち、例えばあるサポート体を覆う縫製布地片1にテンションをかけたり、引っ掛けに使えるような張紐8のループを作る。
【0090】
第6図には、かがり縫い3の通路Pの外に開放された張紐8の川上部分37が第二切断カッター17内に対面して引き寄せられ、次に第二カッター17で切断されるという前の位置を表示した。この第二カッターの中で張紐8が容易に整列されるように、川上押さえ機構10と案内部分14を前もって正常位置(シリンダー23を制御して操作棒25を下降する)に戻す。好ましくは、かがり縫い3の補助糸4が第一カッター16(第5図)で切断されると、貫通装置5、6、7および送り装置9、10、11を停止する。
【0091】
第6図に示されるように、縫製布地片1は、縫製の終わりでかがり縫い3の外に放置される張紐8のはみ出し糸先38を有している。このはみ出し糸先38の長さd2は、第二切断カッター17から川下方向に引っ張った張紐8部分の長さによって決まる。
【0092】
縫製布地片1ははみ出し糸18を含み、この糸先は縫製開始後につくられ、その長さd1は前部カッター16と後部カッターの間の距離による。
【0093】
第二カッター17は、位置調整ができるように機械上に取りつけられる、従ってこの長さd1の調整が出来ることが利点である。
【0094】
このためには、第二カッター17はいずれも(可動刃物および固定刃物)台枠54 (第16図)に保持される。カッターは滑ることができるよう、機械のモーター台枠12から川下に縫製方向Dに平行な方向に展開するスライダー55上に組みつけられる。調整後回転リング付き締め付けボタン56でスライダー55上に台枠54を固定する。カッター17に固定される刃物は刃物板57で作られテーブル13上に配置される。台枠54はカッター17の駆動モーター機構21を保持することも利点である。台枠54をスライド55に沿って移動させて、縫製方向Dで第一カッターの延長上にある第二カッターを保ったまま距離d1を変更する。
【0095】
第6図に示される位置から、新しい縫製布地片1の縫製を始めると、新縫製布地片1は、第7図に示されるように、押さえ棒10に押えられる。
【0096】
案内部品14を正常位置に戻すとき、張紐8が針5の鉛直線を超えて側面方向からモーター台座12の方に確実に超えるには、かがり縫い3の補助糸4のテンションを、とりわけ針の補助糸4のテンションと上部鈎針の補助糸4のテンションを少なくとも同時に緩和する。このために本発明の機械は、二重効果を有する操作機構を備える。例えば空圧式シリンダー39によるもので、その操作棒は少なくともひとつのくさび40を有し、針糸4と上部鉤針 (図1) の張力を調整する糸圧調整リングの間に接続されるようつくられる。正常位置では、くさび40は糸圧調整リングの外に開放されるので、糸のテンションは従来の機械調製で得られるのと同じである。開放装置を操作するシリンダー23を作動して、正常位置で案内部品14を元に戻すと、くさび40を保持しているシリンダー39が同時に作動され厚さを調製するくさび40に連結し、また針糸と上部鈎針糸にテンションをかける糸圧調整リングの中で、補助糸4を完全に緩和する。従って、張紐8はモーター台座12の方に向かって針5を超え、つまり、この針5に突接し、次に再上昇する際に針を超える。このように、針5が張紐8に付き刺さるのを確実に避け、従って、縫製布地片1上で張紐8が阻止され、かがり縫い3の通路Pの中で滑れなくなるのを避けている。
【0097】
新しい縫製布地片1で縫製を開始するときは、第7図に示されるように、張紐8が常に川下送り機構11の下に挿入される必要はない。しかし、テーブルが一般的な形である場合は図のように川下送り機構11の下になることがある。かがり縫い3を始めると、第8図に示すように、はみ出し糸先18は川下送り機構11の下に引き寄せられるか、または第9図に示すように、これを回避して無理なく引っ張られる。こうして、上に説明したようにいかなる場合にも第9図に示される位置で縫製が開始、終了される。
【0098】
かがり縫い3が第一カッター16で切断された後、張紐8が第二カッター17で切断されるまでの間、縫製開始部と終了部で張紐のはみ出した糸先18、38が、和d1+d2に相当する長さだけ、第一カッター16から川下方向に展開され伸展するように縫製布地片1を移動する。縫製布地片1の、機械に対するこのような動きは、テーブル13の縫製布地片1自動案内装置41〜44による(第17図)。装置41〜44は、例えば、特にテーブルの上側に広がる梁41からなり、この梁は一本の垂直柱42を保持し、その先端下部に縫製布地片1捕捉ハンド装置平板43が固定される。この装置全体の動きは数値プログラム方式(自動制御、情報システムなど)で制御される。梁41は柱42および平板43が水平二方向に移動できる。柱42と平板43は、テーブル13に対して、平板が垂直軸の周りの自己回転と垂直方向の上下移動の制御がされるようにつくられる。従って、その全体は、縫製が進行するに従って、捕捉ハンド装置が縫製布地片一枚をテーブル13上に移動するようプログラムされ、構成される。このロボットは縫製前縫製布地片の堆積山58から縫製布地片1を一枚とり縫製開始に、機械の川上押さえ機構10の下に入れる。また縫製終了後に、ロボットは上に説明したように、第二カッター17内にある張紐8で、縫製済み縫製布地片1をd1+d2の距離だけ移動し、次に縫製済み縫製布地片を山59に堆積するようプログラムされる。その他種々の操作機構23、39や機械の一般機能、とくに送り装置9〜11、貫通装置5〜7の制御プログラムが数値プログラム方システム44に組まれる。
【0099】
平板43には縫製布地片1の捕捉ハンド装置が装備され、縫製前縫製布地片の山58から布を一枚だけ掴み取り、次に縫製後、山59に放し置く。この捕捉ハンド装置は、縫製布地片1の性質に適した方法を使用する。例えば、バキューム(吸気)、布用捕捉爪(例えばドイツのSOMMER AUTOMATIC社で販売されている製品SCH20またはST36などの捕捉ハンド)、位置可変自動接着装置、ループや鉤爪を使った引っ掛け装置(VELCRO、商標)など。
【0100】
上に説明した捕捉ロボットの製作およびそれに付随する数値プログラムシステムのプログラミングはそれ自身充分に知られており、特別な難点はない。特に、パルスモーターを使用し、そこから全体の各動きをコード化する従来の数値制御プログラミングである。
【0101】
本発明は、先に記述した実施方法に対していくつかの応用例を示す。特に、川上押さえ棒10を案内部品14と同時に側面方向に開放するのが便利な場合は、川下送り機構11のおかげで、かがり縫い目3(張紐8も縫製布地片1もなしでも)の次の送りが満足に得られるので、川上押さえ機構10をそれほど移動させずに張紐8を開放することができる。
【0102】
第一応用例 (第18図)では、開放装置は水平方向のシリンダー45でその本体46は台枠12に保持され、その操作棒47に案内糸通し穴48があり張紐8が通っている。この糸通し穴48は、正常位置で、川上押さえ機構10に保持される案内部品(チューブ)14の川下出口に配置されるが糸通し穴48は、貫通装置5、6、7の川上に配置される。こうして、案内糸通し穴48はまた張紐8を側面方向に案内する部品でもあり、川上押さえ機構10とそれに保持される案内部品14の川下、また貫通装置5、6、7の川上に配置される。従ってこの案内糸通し穴48は、川下送り機構11と川上押さえ機構10に保持される案内部品の出口の間に伸展している張紐8の部分を側面方向に移動する。シリンダー45は、糸通し穴48を、案内部品14の出口に向かって正常位置か、あるいは糸通し穴48が台枠12の反対側かつ、川上押さえ機構10の延長上で側面方向に離される開放位置に置くように作られ、これによって張紐8の部分37を側面方向に移動する(第18図)。川上押付け機構10は、シリンダー45の駆動用駆動棒47と糸通し穴48が横方向に平進移動できるように適当な形にされなければならない。特に、川上押付け機構10は、支えアーム49によって保持され、糸通し穴48がこの支えアーム49の川下に充分に移動できる川上側に配置されなければならないが、張紐8はこの支えアーム49の川上を通過しない。
【0103】
本発明のもうひとつの応用例(第19図)は、川上押付け機構10は台枠12の一部である固定支えアーム49に保持され、関節アーム22は、第一応用例の案内部品14に類似した管状の案内部品61を保持する。ただしこれは川上押さえ機構10と分離されている。第一応用例で記述したように、アーム22の動きはシリンダー23と連結ロッド24によって制御される。従って、第19図に示すように、川上押さえ機構10の支えアーム49は案内部品61とモーター台枠12の間に広がり、張紐8の案内部品61が、台枠の反対側にある川上押付け機構に対して側面方向で自由な移動ができる必要がある。縁切ナイフ2がより川上方向に、また台枠12の側面方向に動けるように、川上押付け機構10の形は、先に記述された実施法に比べて少し変更される。
【0104】
第18、19図の応用では、川上押付け機構10が縫製布地片1の案内機能を保ったまま、張紐8を横方向に開放できる。このように川上押付け機構10によって縫製布地片1を確実に案内し、特に、通常縫製部分に張紐でループを作る。操作機構23、45と針5の運動が適当に同期するので、案内部品14、48、61が側面方向に移動するとき、針5によって張紐8が貫通されることはほとんどなく、または避けることができる。
【0105】
第20から22図の応用例では、張紐8が針5によって付き刺されるのを、同期の必要なしに確実に避けることができる追加利点がある。さらに、この応用例では通路Pから開放されたループを前もって縫製布1に対して多少垂直方向に向けることができる。
【0106】
この応用例では、第18図の応用例のように、張紐8の案内糸通し穴48に張紐8が通され、案内糸通し穴は川上押付け機構10に保持される案内部品14の川下出口の川下、かつ貫通装置5、6、7の川上に配置される。
【0107】
この糸通し穴48は、縫い目方向Dに平行な水平軸64の周囲に自由に旋回する関節棒63の自由端側で、ダブルアクションの第一水平シリンダー68の操作棒67に保持されるビス/ナットシステム66の先端65部につくられる。このシリンダー本体69は台枠12に固定される。ビス/ナットシステム66は棒63の関節軸64を保持する末端65と操作棒67に保持される支えアーム70の間の長さを調整する。支えアーム70はダブルアクション第二シリンダー72の本体71を保持する。シリンダー操作棒73は糸通し穴48を有する棒63に結合するロッド74と関節(軸64の周りに回転する)でつながり、ロッドは軸64の周囲を回転する。従って、第二シリンダー72は、第一シリンダー68の操作棒67によって保持され、ロッド74は案内糸通し穴48を有する棒63との角度が約90度となるように上方に伸展する。
【0108】
縫製の正常位置(第21b図)で、第一シリンダー68の操作棒67は収縮し、第二シリンダー72の操作棒73は伸びる。棒63は少なくともかなり水平方向に広がり、案内糸通し穴48と張紐8は正常縫製位置をとる。
【0109】
第二シリンダー72がこの正常位置から作動を始めると、操作棒73が収縮し、棒63は軸64の周りを上方から旋回する。糸通し穴48は上方に移動する(第21a図)がこの移動の振幅は、川下送り機構11と案内糸通し穴48の間にある張紐8の部分37が貫通装置5、6、7作動範囲の上部を、特に上部鈎針6[図22]の上部を完全に乗り越えるに充分なものである。張紐8はすでに係り縫い3の中には縫い込まれず、垂直方向上方に開放される。第二シリンダー72が前もって作動され、その操作棒73が伸ばされる。これによって糸通し穴48は縫製正常位置に戻り、張紐8は再び通路Pの中に入れられる。このように通路Pから開放された張紐8がループ62をつくり、ループ62は針5に通されないため、第一シリンダーの作動するいかなる瞬間にも、張紐8を突き刺してそれを阻止してしまうリスクはない。作られたループ62は、縫製布地片1から少なくともほとんど垂直上方に広がり、あらかじめ与えた方向をとる。この応用例は、張紐8が弾力性である場合に特に適用しやすい。縫製布地片1の縁に沿って規則的に分散されたループ62とこの縫製布地片1をつかうと、縫製布地片1は張紐8によってひっぱられるので鉤または引っ掛け突起を有する物体を着包できる。
【0110】
図1cに示すように、図18に示される応用例のように、縫製の正常位置から、第一シリンダー68の操作棒67を伸ばすように操作し、張紐8を側面方向に開放しながらループや糸先を作ることができる。
【0111】
本発明の別の応用例では(図示されない)、張紐8案内用部品は川上押さえ金10の支え49とモーター台枠12の間、あるいは川上押さえ金10の直ぐ川上に配置されるもので、川上押さえ金10の上方移動と、この川上押さえ金10の下を通る案内部品が側面方向に同時に移動するようにプログラムを組むことができる。この応用例では、川上押さえ金10を上昇させるため第二操作機構はデジタルシステム44で制御されるので、案内部品移動のための第一操作機構を付ける必要がある。
【0112】
しかしながら、本発明の全ての応用例は、EP-0223312および/または US-4732097に示されるような従来の縁切かがり縫いミシンに簡単な改造や追加をするだけで本発明の機械を得ることができる。川上押さえ金10の支え装置を変更し、その付属装置と伴に川下送り機構11を下部送り歯の駆動装置に接合したものを追加すればよい。
【0113】
その他、本発明は、また別の応用例の対象となる。特に、本発明は、張紐が挿入されるような通路をつくる縫い目をつくるなら、かがり縫い以外の縫い目、従ってかがり縫い機以外の機械にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の機械で張紐が正常位置にある場合の概観部分透視図である。
【図2】 張紐が開放位置にある場合の第一図同様の透視図である。
【図3】 発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【図4】 発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【図5】 発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【図6】 発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【図7】 発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【図8】 発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【図9】 発明による方法の上記異なる段階を、時間順序に従って表した部分的概観図である。
【図10】 本発明による機械の、張紐の開放装置の正常位置と開放位置をそれぞれ前部から見た概観部分図を示している。
【図11】 本発明による機械の、張紐の開放装置の正常位置と開放位置をそれぞれ前部から見た概観部分図を示している。
【図12】 本発明による機械の、張紐の開放装置の正常位置と開放位置をそれぞれ下から見た概観部分図を示している。
【図13】 本発明による機械の、張紐の開放装置の正常位置と開放位置をそれぞれ下から見た概観部分図を示している。
【図14】 本発明による機械の貫通装置および開放装置を側面から見た概観部分図を示している。
【図15】 本発明による機械の、張紐の開放装置の操作棒に固有回転を与える特殊な案内装置の軸方向断面概観図を示している。
【図16】 第15a図と同様な概観図で、操作棒なしを示している。
【図17】 本発明による機械の上部から見た概観部分図を示している。
【図18】 本発明による自動機械全体の概観透視図を示している。
【図19】 本発明による機械の、張紐の開放装置における二つの応用例で、それぞれ上部から見た概観部分図を示している。
【図20】 本発明による機械の、張紐の開放装置における二つの応用例で、それぞれ上部から見た概観部分図を示している。
【図21】 本発明による機械の、張紐の開放装置における二つの応用例で、それぞれ上部から見た概観部分図を示している。
【図22】 第20図の応用例に従って、本発明による機械の張紐の開放装置を、垂直開放位置、正常縫製位置、および側面方向開放位置においてそれぞれ横方向垂直断面から見た概観部分図を示している。
【図23】 第20図の応用例に従って、本発明による機械の張紐の開放装置を、垂直開放位置、正常縫製位置、および側面方向開放位置においてそれぞれ横方向垂直断面から見た概観部分図を示している。
【図24】 第20図の応用例に従って、本発明による機械の張紐の開放装置を、垂直開放位置、正常縫製位置、および側面方向開放位置においてそれぞれ横方向垂直断面から見た概観部分図を示している。
【図25】 第20、21a、21b、21c図の応用例に従って、本発明による機械の垂直開放位置における貫通装置と開放装置を示す側面の概観部分図である。

Claims (27)

  1. 縫製される布(1)上に、ミシンの針貫通装置(5、6、7)によって、縫製の方向に補助糸(4)と呼ばれる複数の糸をつかって縫い目(3)をつくり、この縫い目(3)が張紐(8)と呼ばれる一本の紐と伴に、縫製方向(D)に伸びる通路(P)状のものを形成し、補助糸(4)が刺すと同時に張紐(8)は導かれ、この通路(P)の中に縦方向および/または側面方向に滑ることができるように置かれる縫製方法で、貫通装置(5、6、7)の川上および直ぐ川下に伸展している張紐(8)の少なくとも部分(37)が、通路(P)に入る正常位置と、上記張紐(8)部分(37)が離れる開放位置との間を、貫通装置(5、6、7)に対して横方向に移動され、この開放位置は、縫い目の進行方向(D)に対して傾斜し、貫通装置(5、6、7)に対面し、貫通装置(5、6、7)の動作範囲外、および通路(P)の外を通る位置であることを特徴とする縫製の方法。
  2. 貫通装置(5、6、7)によって縫い目(3)が縫製される過程において、上記張紐(8)の少なくとも部分(37)を横方向に移動することを特徴とする請求項1による縫製方法。
  3. 正常位置から開放位置に換えるために、上記張紐(8)の部分(37)をテーブル(13)横から、ミシンのモーター台枠(8)の反対方向へと側面方向に移動することを特徴とする請求項1および2のいずれかによる方法。
  4. 正常位置から開放位置に換えるために、上記張紐の部分(37)を縫製布地片(1)の上方へ遠ざけながら、貫通装置(5、6、7)の動作範囲の外に垂直に移動することを特徴とする請求項1〜3のいずれかによる方法。
  5. 上記張紐の部分(37)を横方向に移動するために、貫通装置(5、6、7)の川上に配置される張紐(8)の案内部品(14、48)の少なくともひとつを横方向に移動することを特徴とする請求項1〜4のいずれかによる方法。
  6. 押さえ機構とは異なる、案内部品(48、61)の少なくともひとつを横方向に移動することを特徴とする請求項5による方法。
  7. 張紐(8)の案内装置(14)を保持している機械の川上押さえ機構(10)を横方向に移動すること、また貫通装置(5、6、7)の直ぐ川下に配置される川下送り機構(11)によって縫製布地片(1)を送ることを特徴とする請求項1から6のいずれかによる方法。
  8. 貫通装置(5、6、7)の動作範囲外で、かつ通路(P)の外に上記部分(37)を側面方向に離して、川上押さえ機構(10)を側面方向に移動すること、そしてまた、いかなる川上押さえ機構(10)も縫製布地片(1)と接触しないように、川上押さえ機構(10)を垂直方向かつ上方、すなわち開放位置、に移動することを特徴とする請求項7による方法。
  9. 貫通装置(5、6、7)の川下に、第一切断カッター(16)及び第二切断カッター(17)を配置し、
    はみ出し糸先(18、38)と呼ぶ張紐の糸端を、縫い目(3)がつくる縫製の開始端より前および終端より後にはみ出し状態に残すために、縫製の終末部で、
    −貫通装置(5、6、7)の川下に配置される補助糸(4)の切断用の第一切断カッター(16)から張紐(8)を側面方向に離し開放するために、上記張紐(8)の部分(37)を側面方向に十分な距離だけ移動し、
    −張紐(8)が川下第一切断カッター(16)から側面方向に開放されるために、適当な長さにわたって縫い目(3)の縫製を継続し、
    −縫い目(3)の補助糸(4)を切断するために第一切断カッター(16)を作動させ、そして貫通装置(5、6、7)によって縫製を停止し、
    −張紐(8)のはみ出し糸先(18、38)の長さの和(d1+d2)に等しい距離だけ縫製布地片(1)を川下に移動し、縫製の開始と終末をつくり、
    縫製布地片の縫製終末後のはみ出し糸先(38)と、次に縫製する縫製布地片の開始部はみ出し糸先(18)とを分けるために、切断するべき張紐の部分を第二切断カッター( 17)内に置き、
    −第二切断カッター(17)を作動させ、
    −貫通装置(5、6、7)、張紐の案内装置(14)、および上記張紐の部分(37)を正常位置に戻し、次の縫製布地片を受け取り、縫製する、
    ことを特徴とする請求項1から8のいずれかによる方法。
  10. 第二切断カッター(17)を作動する前に、上記張紐(8)の部分(37)を正常位置に戻すことを特徴とする請求項9による方法。
  11. 縫製布地片(1)上を縫製方向(D)に縫う補助糸(4)によって作られる少なくともひとつの縫い目(3)が、縫製方向(D)に伸展する通路(P)状のものをつくる貫通装置(5、6、7)を有し、また張紐(8)と呼ぶ一本の紐を補助糸(4)の抜き刺しと同時に通路(P)の中に、通路の中で縦方向および/あるいは側面方向に滑れるように置くための張紐(8)の案内装置(14、48、61)を有する縫製用ミシンで、貫通装置(5、6、7)の川上および直ぐ川下に伸展している少なくとも張紐(8)の部分(37)を通路(P)に入れる正常位置と、上記張紐(8)の部分(37)の開放位置との間で横方向に移動させるものであり、この開放位置は、張紐(8)部分(37)が縫い目の進行方向(D)に対して傾斜し、また貫通装置(5、6、7)に対面、貫通装置(5、6、7)の動作範囲外で、通路(P)の外を通ることができる装置を含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかによる方法を実施するための縫製用ミシン。
  12. 張紐(8)の開放装置は貫通装置(5、6、7)による縫い目(3)の縫製の過程で、少なくとも上記張紐(8)部分(37)を横方向に移動することができることを特徴とする請求項11による機械。
  13. モーター台枠(12)と、貫通装置(5、6、7)からモーター台枠(12)側にかけてほぼ広がるテーブル(13)を有する機械で、張紐(8)の開放装置によって、上記張紐の部分(37)を側面方向に、テーブル(13)横から上記通路(P)外でモーター台枠(12)の反対側に、すなわち正常位置から開放位置に、移動できるものであることを特徴とする請求項11〜12のいずれかによる機械。
  14. 開放装置は、上記張紐の部分(37)を縫製布地片(1)を上方へ遠ざけながら貫通装置(5、6、7)の動作範囲の外に垂直に移動するものであることを特徴とする請求項11から13のいずれかによる機械。
  15. 貫通装置(5、6、7)が少なくとも一本の針(5)を有し、また縫製布地片(1)の送り装置(9、10、11)を有する機械で、送り装置(9、10、11)が針(5)の直ぐ川下に配置される少なくともひとつの機構、川下送り機構(11)と呼ぶ、を有すること、また張紐(8)の開放装置は、川下送り機構(11)から川上に伸展している少なくとも張紐の部分(37)を横方向に移動するものであることを特徴とする請求項11〜14のいずれかによる機械。
  16. 張紐の案内装置(14、48、61)が、貫通装置(5、6、7)の川上に配置される少なくともひとつの川上案内部品(14、48、61)を有し、またこの川上案内部品(14、48、61)は、張紐(8)を縫い目(3)に対して案内する正常位置、または張紐(8)を貫通装置(5、6、7)に対して横方向に移動する開放位置に配置するに適した支え装置で保持され、従って川上案内部品(14、48、61)の支え装置が張紐(8)の開放装置の役を果たしていることを特徴とする請求項11から15のいずれかによる機械。
  17. 押さえ機構と異なる案内部品(48、61)の少なくともひとつを、横方向に移動する装置(45、68、72)からなる開放装置を有することを特徴とする請求項16による機械。
  18. 張紐の開放装置が、少なくともひとつのダブルアクション操作機構(23、45、68、72)を有し、これによって上記案内部品(14、48、61)を張紐の正常位置と開放位置の間で、またその逆で、横方向に移動することができることを特徴とする請求項16から17のいずれかによる機械。
  19. 縫製布地片(1)送りの川上押さえ機構(10)の一部および/またはそれによって保持される張紐(8)の案内装置(14)と、機械の台枠(12)に対して川上の押さえ機構(10)を支える装置(22、23、24)で、作動位置において川上押さえ機構(10)が縫製布地片(1)を押さえる機械で、支え装置(22、23、24)が、川上押さえ機構(10)を張紐(8)の開放位置に置くと、そこで川上押さえ機構(10)と張紐の案内装置(14)は貫通装置(5、6、7)に対して側面方向に移動される、従って川上押さえ機構(10)の支え装置(22、23、24)が、張紐(8)の開放装置の役を果たしていることを特徴とする請求項11から18のいずれかによる機械。
  20. 支え装置(22、23、24)に以下のもの:
    −川下側の一端が機械の台枠(12)に接続している関節アーム(22)で、これは垂直軸(27)と水平横軸(28)の周りに旋回でき、またその川上側他端は張紐の案内装置(14)と伴に川上押さえ機構(10)を保持する、
    −台枠(12)によって保持され、平進可動できる操作棒(25)を有するダブルアクション操作機構(23)、
    アーム(22)と操作棒(25)の間を連結するロッド(24)、
    を含む機械で、
    また、操作機構(23)が台枠(12)上に組み付けられるので操作棒(25)は、正常位置で川上押さえ機構(10)が縫製布地片(1)を押さえる方向に、アームに押さえ圧力を加えることができることを特徴とする請求項19による機械。
  21. 連結ロッド(24)にはねじれが与えられ、操作棒(25)が自軸の周りの回転に伴って平進運動すると、アーム(22)は垂直軸(27)の周りを旋回して川上押さえ機構(10)が側面方向に移動する運動と、またアーム(22)が水平横軸(28)の周りを旋回して川上押さえ機構(10)が垂直に移動する運動を作り出すようにされていることを特徴とする請求項20による機械。
  22. 貫通装置(5、6、7)の川下に配置される補助糸(4)の第一切断カッター(16)を有し、また上記張紐(8)の上記開放装置(22、23、24)が、張紐の部分(37)を、正常位置から側面方向に上記補助糸(4)切断第一カッター(16)から充分な距離だけ外に離せることを特徴とする請求項11から21のいずれかによる機械。
  23. 二つの糸切断カッター(16、17)を有し、第一カッター(16)はかり縫い補助糸(4)の切断のため貫通装置(5、6、7)の川下に配置され、第二カッター(17)は、第一カッターの川下で、次に縫製される縫製布地片(1)上の縫い目(3)で作られる縫製開始端の前部にはみだされるはみ出し糸先(18)と呼ぶ張紐の紐先の長さ(d1)に相当する距離に配置されることを特徴とする請求項22による機械。
  24. 第一カッター(16)は、川下送り機構(11)に近接した川下直下に配置されることを特徴とする請求項15と23のいずれかによる機械。
  25. 機械は、縫製布地片(1)の自動的案内装置(41〜44)を有し、また自動制御装置(44)を有することを特徴とする請求項11から24のいずれかによる機械。
  26. 縫製布地片(1)の自動案内装置(41〜44)が、縫製が実行に従って機械のテーブル(13)から縫製布地片(1)を移動するようにプログラムされた捕捉ロボットハンドを有することを特徴とする請求項25による機械。
  27. 張紐の開放装置の自動制御を有し、縫製布地片(1)の自動案内装置(41〜44)と張紐の開放装置の自動制御は、縫製の進行に従って、貫通装置(5、6、7)、縫製布地片(1)の移動、張紐(8)の開放装置、および切断カッター(16、17)をコントロールするためにプログラムされる数値プログラムシステム(44)を有すことを特徴とする請求項25と26のいずれかによる機械。
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