JP4018895B2 - 基板移載用ロボットおよびその基板移載方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄く撓み易い大型の基板をカセットから引き出したり収納したりする薄い基板移載用ロボットおよびその基板移載方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶あるいはプラズマディスプレイなどの表示パネルに使用される基板が大型化になり製造工程中における基板の運搬および基板の移載については、設備の自動化し易いように半導体製造におけるカセットツ−カセット方式が採られていた。しかしながら、小型で軽い半導体基板であるウェハと違いガラス基板のような薄くて大型な基板は、基板の重量を支えるア−ムの剛性の問題や重い基板の保持方法および撓んだ基板を隣接する基板とが互いに接触することなくカセットから如何に引き出すかあるいは如何にカセットに収納したりするかの問題を解消する移載用ロボットが必要であった。
【0003】
図4(a)および(b)は従来の一例におけるロボットを説明するための図である。図4(b)に示すように、上流の製造工程より送られて来たカセット29のそれぞれの棚25にはガラス基板30が収納されている。このカセット29から所望の棚25のガラス基板30を取り出す際に、所望の棚25とその下の棚25との間にスライド機構24の動作によりハンド部28が挿入される。そして、上下動機構(図示せず)の動作によりハンド部28が稍持ち上げられ、ガラス基板30の裏面と吸着パッド27と接触しガラス基板30が吸着保持される。
【0004】
そして、ガラス基板30をカセット29の棚25より浮かせてから、スライド板22の移動によりガラス基板30を載せたハンド部28がカセット29から引き出される。そして、このときハンド部28上のガラス基板30が位置ずれをおこさないように、補助吸着パッド26を働かせガラス基板30の保持をより確実にする。このように、カセット29から引き出されたガラス基板30は、ロボットの移動により製造設備の移載用のカセットの前にロボットが停止し、スライド板22の移動によりカセットにガラス基板30を載せたハンド部28が挿入され、ガラス基板30は移載用のカセットの棚に収納された。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したロボットでは、カセット29に収納されたガラス基板30は、自重により下方に撓んでいるので、棚25からガラス基板30を浮かし、ハンド部28が上昇しガラス基板30を持ち上げる際に、図4(b)に示すように、ガラス基板30の両端が下方に垂れ、逆にガラス基板30中央部が上に凸に撓み、上の棚25のガラス基板30の裏面と接触することが多々ある。
【0006】
これによって、カセット29からハンド部28を引き出すとき、ハンド部28上のガラス基板とその上の棚25のガラス基板が干渉し円滑に引き出せなかったり、あるいは、ひきだされるガラス基板30の表面に形成された膜にキズをつけたりする品質上の問題を引き起こすことがある。
【0007】
従って、本発明の目的は、基板をその上の棚の基板に干渉することなく円滑にカセットから引き出せる基板移載用ロボットを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の構成は、複数の基板を、その基板面の両端部を支持してその基板面を水平方向にして収納するカセットから、前記基板面が自重で下方に撓んだ前記基板を取り出す基板移載用ロボットにおいて、前記カセット内に挿入されて前記基板を下面から保持する基板保持手段と、この基板保持手段上でこの基板保持手段の挿入方向中央部に設けられ前記基板を吸着する吸着パッドとを備える基板保持機構と;前記吸着パッドにより前記基板の下面を保持して前記基板保持手段の挿入方向中央部両側に配置された棒部材をその長手方向を水平にして前記基板の下面に接触させて前記基板を支持し、前記棒部材の上下方向の支持位置を調節して前記基板の撓みを調節する撓み調節機構とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記基板保持機構を前記撓み調節機構を伴って前記カセットから挿入または退出させる基板移動機構と、前記基板保持機構と前記撓み調節機構と前記基板移動機構とを上下動させる上下動機構とを有することが望ましい。また、前記基板保持機構は、前記吸着パッドの両側に前記中央部から所定間隔離れて配置され前記基板の下面を吸着保持する補助吸着パッドを備えることが望ましい。また、前記撓み調節機構は、前記補助吸着パッドの両外側に配置され前記基板の下面と接触すると共に前記基板の挿入方向に延長された一対の棒部材と、前記一対の棒部材を突き上げる突き上げ機構とを備えることが望ましい。
【0010】
本発明の他の構成は、複数の基板を、その基板面の両端部を支持してその基板面を水平方向にして収納するカセットから、前記基板面が自重で下方に撓んだ前記基板を取り出す基板移載方法において、前記基板を下面から基板保持手段により保持する際に、前記基板保持手段の挿入方向中央部に設けた吸着パッドにより前記基板を吸着して保持し、前記基板保持手段の挿入方向中央部両側に配置された棒部材を前記基板の下面に接触させて前記基板を支持し、その上下方向の支持位置を調整して前記基板の撓みを調整し、この調整された前記基板の位置を保持して前記基板を取り出すことを特徴とする。
また、前記基板を前記カセットから取り出した後、前記吸着パッドの両側に前記中央部から所定間隔離れて配置した補助吸着パッドにより前記基板の下面を吸着保持することが望ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明について図面を参照して説明する。
【0012】
図1(aは本発明の一実施の形態における基板移載用ロボットを説明するための上面図、図1(b)は図1(a)のAA断面図および図1(c)は図1(a)のBB矢視図である。この基板移載用ロボットは、図1に示すように、棚25に収納され自重で下方に撓むガラス基板30を取り出すためにカセットに挿入されるとともにガラス基板30の撓みを調節するロッド2aを含む撓み調節機構を備えている。
【0013】
この撓み調節機構は、ガラス基板30の中央部が下に凸に撓ませるように支点となるガラス基板30の裏面と接触する一対のロッド2aと、この一対のロッド2aを突き上げて撓んだガラス基板30の中央部が下に凸に撓ませるように調節する突き上げ機構2とを備えている。また、ガラス基板30に傷をつけないように、ロッド2aとガラス基板30と接触する部分に摩擦の小さいポリテトラフルオロエチレン製のスリ−ブ3を設けることが望ましい。
【0014】
さらに、この突き上げ機構2は、図1(c)に示すように、軸9を上下動させるエアシリンダ4と、一端にロッド2aが取付けられ固定される支点軸5を中心にして旋回するリンク10とで構成されている。そして、この突き上げ機構2は、リンク10が旋回させロッド2aを突き上げるので、単純に上方に突き上げる方式よりは、ガラス基板30を効率的に調節できる利点がある。
【0015】
図2(a)および(b)はカセット内におけるロッドとハンド部の動作を説明するための図である。まず、図2(a)に示すように、図1(c)の突き上げ機構2を動作しない状態で、ハンド部1およびロッド2aをカセット29の棚と棚との間に挿入する。次に、図2(b)に示すように、上下動機構(図示せず)によりロッド2aを含むハンド部1全体を上昇させ吸着パッド7をガラス基板30の裏面と接触させ吸着パッド7でガラス基板30を吸着保持する。
【0016】
次に、図1(c)の突き上げ機構2のエアシリンダ4により軸9を下降させロッド2aを2点鎖線で示すように突き上げ、下方に撓むガラス基板30の両端の撓みを調節する。このことによりガラス基板30の両端を上に反らせガラス基板30が上下の基板とほぼ同じ撓み形状になる。そして、上下機構(図示せず)を僅かに上昇させ棚25よりガラス基板30を浮かせ、ガラス基板を棚25より引き離す。このとき上のガラス基板30と下のガラス基板との隙間C1およびC2がガラス基板30とハンド部1が抜き出すのに十分な隙間があるので、スライド板6を移動させ、ガラス基板30を載せたハンド部1を、ロッド2aを含む撓み調節機構を伴ってカセット29から引き出す。
【0017】
そして、引き出された状態で、突き上げ機構2を解除し、ロッド2aとハンド部1とは水平状態にし、補助吸着パッド8と接触させ、ガラス基板30の位置ずれが起きないようにガラス基板30の保持をより確実にする。
【0019】
図3は図1の基板移載用ロボットがカセットから引き出されたガラス基板を製造設備の移載用カセットに収納する動作を説明するための平面図である。また、この基板移載用ロボットは、図3に示すように、ハンド部1と連結するスライド板6を撓み調節機構を伴って移動させるスライド機構11と、スライド機構11を回転させハンド部1の方向を設定する回転機構12と、スライド機構11および回転機構を含む機構全体を上下動させる上下動機構13とを備えている。
【0020】
まず、カセットから引き出されたガラス基板30を載せたハンド部1は、スライド機構11によりロボット本体の手元まで移動させられる。次に、製造設備のカセット29aの位置及び向きをメモリより抽出し制御部(図示せず)の指令により回転機構12が動作し、スライド機構11を含むハンド部1が、例えば、90度旋回し、ハンド部1の向きを移載用のカセットに合わせる。
【0021】
次に、カセット29aのどの棚に収納するかメモリから読みとり、制御部を介して上下機構13に指令する。上下動機構13は、移載すべきカセット29aの棚とその上の棚の間にハンド部1が挿入できるように高さ調整する。そして、2点鎖線で示すように、スライド機構24の動作によりハンド部が伸びカセット29aに挿入される。そして、上下動機構13が下降しガラス基板30が所望の棚に載置される。下降によってガラス基板30から解放されたハンド部1は、スライド機構11によりロボット本体の手元に戻され、回転機構12によりハンド部1は逆回転し元の位置に戻る。
【0022】
そして、再び、図1で説明したように、スライド機構11によりハンド部1が伸びカセットに進入し前述したように、ガラス基板30を載せカセットから引き出し、移載用のカセットの棚に収納する。このような動作を繰り返して行い、上流工程から運び込まれたカセット29のガラス基板30の全てを製造設備の移載用カセット29aに収納する。
【0023】
一方、製造設備で処理され移載用のカセット29aから、空のカセット29にガラス基板30を収納する場合も、図2で説明したように、移載用のカセットから一枚づつガラス基板30を引き出し、図3で説明したように、空のカセット29にガラス基板30を収納すればよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、カセットに収納された基板が撓んでも、この撓みを調節する手段を設けることにより、上下の棚に載置された基板に干渉されることなく基板をカセットから引き出すことができ、薄く大型の基板でも円滑に移載できるとい効果がある。
【0025】
また、基板どうしの接触が無くなることにより、表面に形成された膜の損傷を起こすことが無いので、品質歩留まりの向上が図れるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における基板移載用ロボットを説明するための上面図およびAA断面図並びにBB矢視図である。
【図2】カセット内におけるロッドとハンド部の動作を説明するための図である。
【図3】図1の基板移載用ロボットがカセットから引き出されたガラス基板を製造設備の移載用カセットに収納する動作を説明するための平面図である。
【図4】従来の一例におけるロボットを説明するための図である。
【符号の説明】
1,28 ハンド部
2a ロッド
2 突き上げ機構
3 スリ−ブ
4 エアシリンダ
5 支点軸
6 スライド板
7 吸着パッド
8 補助吸着パッド
9 軸
10 リンク
11 スライド機構
12 回転機構
13 上下動機構
29,29a カセット
30 ガラス基板
Claims (5)
- 複数の基板を、その基板面の両端部を支持してその基板面を水平方向にして収納するカセットから、前記基板面が自重で下方に撓んだ前記基板を取り出す基板移載用ロボットにおいて、
前記カセット内に挿入されて前記基板を下面から保持する基板保持手段と、この基板保持手段上でこの基板保持手段の挿入方向中央部に設けられ前記基板を吸着して保持する吸着パッドとを備える基板保持機構と、
前記吸着パッドにより前記基板の下面を保持して前記基板保持手段の挿入方向中央部両側に配置された棒部材をその長手方向を水平にして前記基板の下面に接触させて前記基板を支持し、前記棒部材の上下方向の支持位置を調節して前記基板の撓みを調節する撓み調節機構とを備えることを特徴とする基板移載用ロボット。 - 前記基板保持機構を前記撓み調節機構を伴って前記カセットから挿入または退出させる基板移動機構と、前記基板保持機構と前記撓み調節機構と前記基板移動機構とを上下動させる上下動機構とを有する請求項1記載の基板移載用ロボット。
- 前記基板保持機構は、前記吸着パッドの両側に前記中央部から所定間隔離れて配置され前記基板の下面を吸着保持する補助吸着パッドを備える請求項1または2記載の基板移載用ロボット。
- 複数の基板を、その基板面の両端部を支持してその基板面を水平方向にして収納するカセットから、前記基板面が自重で下方に撓んだ前記基板を取り出す基板移載方法において、
前記基板を下面から基板保持手段により保持する際に、前記基板保持手段の挿入方向中央部に設けた吸着パッドにより前記基板を吸着して保持し、
前記基板保持手段の挿入方向中央部両側に配置された棒部材を前記基板の下面に接触させて前記基板を支持し、その上下方向の支持位置を調整して前記基板の撓みを調節し、この調整された前記基板の位置を保持して前記基板を取り出すことを特徴とする基板移載方法。 - 前記基板を前記カセットから取り出した後、前記吸着パッドの両側に前記中央部から間隔離れて配置した補助吸着パッドにより前記基板の下面を吸着保持する請求項5記載の基板移載方法。
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