JP4016686B2 - ハードコート被膜の形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被塗布物に耐擦傷性のハードコート被膜を形成できるハードコート被膜の形成方法及びその方法に用いられるハードコーティング用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックレンズや携帯機器の表示装置を保護する有機カバーガラス等のプラスチック製の光学物品では、ガラス製のものと比べて傷が付きやすいため、ハードコート被膜を形成し、耐擦傷性を与えることが行われる。このハードコート被膜は、耐擦傷性の付与の他、反射防止膜などの蒸着膜との密着性向上、染色性の安定化等多くの機能を付与する加工であるため、プラスチック製の光学物品では極めて有用である。
【0003】
ハードコート被膜の形成方法としては、液状のハードコーティング用組成物(以下、ハードコート液と略称する場合がある)を光学物品に均一に塗布し、その後硬化させるのが一般的である。ハードコート液を光学物品に均一に塗装できる方法として、スピンコート法とディッピング(浸漬)法が知られている。
【0004】
スピンコート法では、光学物品を高速回転させつつ表面に液滴を滴下し、遠心力で液膜を塗り広げる。
【0005】
ディッピング法は、光学物品を治具で保持し、ハードコート液中に浸漬、放置後、引き上げることによりハードコート液膜を形成する。
【0006】
ハードコート液を塗布後、乾燥・焼成工程で液膜の乾燥と硬化を行ってハードコート被膜を光学物品表面に形成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スピンコート法では、滴下したハードコート液の大部分を高速回転による振り切り工程で廃棄してしまう。この廃棄物の回収、再利用も考えられるが、不純物の混入や回収設備の設置による装置コスト上昇等の問題がある。
【0008】
一方、ディッピング法では、多数の光学物品とこれを保持する治具の両方を浸漬できうる大型の浸漬槽と駆動設備が必要になる。また、このような大型の浸漬槽に入ったハードコート液を維持管理するためには、攪拌、フィルタリング、冷却、空調等様々な付帯設備が必要となる。よって必然的に装置は大型化し、コンパクト性が失われると同時に、多くの電力エネルギーを必要とする。さらには、揮発成分の補充、ハードコート液の補充等、繁雑な日常の液管理が必要となる。かつ、ハードコート液を長時間使用すると、液が劣化して耐久品質が低下するため、その時点で液を大量に廃棄しなければならない。
【0009】
以上のように、スピンコート法及びディッピング法では、ハードコート液の利用効率が低い。その一方で、光学物品の高機能化のためハードコート液自体の価格は上昇しており、表面処理工程におけるハードコート液のコストが占める割合が大きくなっている。そのため、ハードコート液の有効利用が強く求められている。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、ハードコート液の利用効率が高いハードコート被膜の形成方法を提供することを目的とする。
【0011】
また、本発明は、かかるハードコート液の利用効率が高いハードコート被膜の形成方法に用いられるハードコーティング用組成物を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、ハードコート液の必要量を被塗布物の必要な場所にだけ塗布できるコーティング技術として、インクジェット方式による塗布方法が有利と考えた。インクジェット方式では、装置を小型化できる上、少ない電力で塗布でき、しかもハードコート液の利用効率が高いことから、生産コストを低減できると共に、溶剤使用量の低減、廃棄物の低減等の環境対策の進歩が期待できる。
【0013】
インクジェット方式による塗布方法は、ハードコーティング用組成物をインクジェットヘッドの10〜100μm径の微小なノズルから液滴として吐出する方法であるため、ディッピング法やスピンコート法で用いられているハードコーティング用組成物をそのまま用いると、乾燥、増粘によるノズルの目詰まりで吐出が不安定であることが認められる。
【0014】
この吐出の不安定性に対しては、乾燥を防止するためにハードコーティング用組成物の水の配合量をディッピング法やスピンコート法よりも多くすることが有効であるが、その一方、吐出を安定させるため、水分量を多くすると、光学物品表面に着弾した微小液滴が、光学物品表面ではじかれて均一な塗膜を形成できず、塗装ムラが発生することが認められる。
【0015】
このように、インクジェット方式で微小液滴として吐出されるハードコーティング用組成物では、ノズルでの安定吐出性と被塗布物表面での均一塗布性の相反する性質を兼ね備えなければならない。
【0016】
多くの実験を重ねた結果、吐出性に関しては固形分の影響が大きく、ハードコーティング用組成物の固形分を1〜19重量%の範囲とすることが良いことが分かった。また、ハードコーティング用組成物の水分に関しては、30重量%以上と多く配合することにより安定吐出性を確保できることを見い出した。
【0017】
一方、塗布性に関しては、被塗布物の表面の濡れ性などの影響が大きいこと、濡れ性を改良できる有機溶剤を配合することが有効であること、これらのことから、ハードコーティング用組成物の水分に関しては、水分含有量が0.5〜90重量%の広い範囲で良好な塗布性が得られることを見い出した。
【0018】
水分の配合量を組成物全体の30重量%以上と多く配合して安定吐出性を確保したハードコーティング用組成物を被塗布物表面に均一に塗布できる目安として、ハードコーティング用組成物の被塗布物の表面に対する接触角θの半値θ/2を15°以下にするように調製し、あるいは、そのような濡れ性の被塗布物表面とすることによって、インクジェット方式のノズルから微小液滴として吐出されて被塗布物に着弾したときに被塗布物によってはじかれることなく均一な塗膜を形成できることを見い出した。
【0019】
この場合、ハードコーティング用組成物に含まれる有機溶剤として、有機溶剤を水9に対して1の重量比で希釈した水溶液の被塗布物の表面に対する接触角θの半値θ/2が15°以下である接触角低下溶剤を選定することが望ましいことを見い出した。具体的には、水と相溶性のある沸点が135℃以上の高沸点有機溶剤、とりわけセロソルブ類が好ましい。
【0020】
被塗布物の表面の濡れ性を改良する方法として、紫外線照射による表面改質処理を例示することができる。
【0021】
従って、請求項1記載の発明は、重合性有機化合物、無機微粒子並びに溶媒として水及び有機溶剤を含有するハードコーティング用組成物を、ピエゾ方式のインクジェット方式の微小ノズルから微小液滴として被塗布物に吐出して塗布し、塗布した前記ハードコーティング用組成物を硬化させるハードコート被膜の形成方法であって、前記ハードコーティング用組成物の全組成物に対する前記水の配合量が30〜84重量%であり、かつ、前記ハードコーティング用組成物がセロソルブ類を水9に対して1の重量比で薄めた水溶液の接触角(θ/2)が15°以下の前記セロソルブ類を含有することにより、前記ハードコーティング用組成物そのものの接触角θの半値θ/2が15°以下であることを特徴とするハードコート被膜の形成方法を提供する。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のハードコート被膜の形成方法において、前記被塗布物の前記ハードコーティング用組成物を塗布する表面が紫外線照射による表面改質処理がされていることを特徴とするハードコート被膜の形成方法。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハードコート被膜の形成方法及びハードコーティング用組成物の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0038】
本発明のハードコート被膜の形成方法は、被塗布物にハードコーティング用組成物を塗布し、塗布したハードコーティング用組成物を硬化させてハードコート被膜を形成するものである。
【0039】
本発明のハードコート被膜の形成方法の対象となる被塗布物としては、耐擦傷性が必要なものであれば、全て適用可能であり、例えば、眼鏡レンズ、調光用レンズ、サングラス、カメラレンズ、望遠鏡レンズ、拡大鏡レンズ、プロジェクターレンズ、ピックアップレンズ、マイクロレンズ等の各種光学レンズおよび光学ミラー、光学フィルター、半導体露光用のステッパー、携帯機器の有機カバーガラス等の光学物品に適用することができる。
【0040】
被塗布物の材質としては、特に制限されず、ABS樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、メタクリル樹脂、チオウレタン系樹脂、チオエポキシ樹脂、アリルカーボネート樹脂等、光学物品に用いられている樹脂を例示することができる。
【0041】
ハードコーティング用組成物の塗布方法としては、必要量を被塗布物の必要な場所にだけ塗布できるインクジェット方式のノズルから微小液滴として被塗布物に吐出して塗膜を形成する方法が好ましい。
【0042】
インクジェット方式は、10〜100μm径の微小なノズル開口部と圧力発生素子とが設けられた圧力室にインクが充填され、圧力発生素子を電子的に制御することによって圧力室内のインクを加圧し、その圧力で、ノズル開口部からインクを微小な液滴として吐出するものである。
【0043】
圧力発生素子の種類により、ピエゾ素子による圧電振動子を用いたピエゾ方式や、発熱素子を用い、インクを加熱して気泡を発生させ、その圧力を利用するいわゆるバブルジェット(登録商標)方式など、種々の方式がある。本発明では、いずれのインクジェット方式も用いることができる。
【0044】
図1は、ピエゾ方式のインクジェットヘッドのノズル部分を示した断面図である。このインクジェットヘッド10は、インクを収納するケース20の先端の収納空間21を閉塞してノズルプレート31と流路形成基板32で構成される流路ユニット30が取り付けられている。流路ユニット30と収納空間21の間は樹脂フィルムで構成されるダイヤフラム40で分離されている。ノズルプレート31には内方へ行くに従い拡径するノズル開口部51が設けられている。ダイヤフラム40と流路形成基板32の間には、ノズル開口部51と共通インク室52とを連通させるノズル連通口53、圧力室54、インク供給口55が設けられている。アクチュエーターとして圧電振動子60が収納空間21に固定され、その自由端面は圧力室54に臨んでおり、ステンレス鋼板41を介してダイヤフラム40に固定されている。圧電振動子60は、圧電体61と内部電極62とが交互に積層され、矢印で示すように、縦方向に伸縮し、ダイヤフラム40を押したり引いたりすることで圧力室54を加圧したり減圧することができるようになっている。そして、圧電振動子60が伸長したときに、圧力室54の中のインクが加圧され、その圧力でノズル開口部51よりインクが液滴として吐出される。なお、ノズルプレート31のノズル開口部51は、目詰まりが起き難くなるように撥水処理がされている。
【0045】
インクジェットヘッド10は、このようなノズルが等ピッチで列状に配置されており、それぞれのノズルの液滴の吐出が間欠的に制御される。
【0046】
このようなインクジェット方式では、ノズル開口部51で、インクが増粘したり、乾燥すると、ノズル開口部51が目詰まりし、安定吐出ができなくなる。
【0047】
吐出されるインクとしてハードコーティング用組成物を用いる場合、このような安定吐出性に加えて、被塗布物の表面に着弾した微小液滴が集合して均一な塗膜を形成する均一塗布性が必要である。吐出された微小液滴が被塗布物の光学物品の表面で均一な塗膜を形成できないと、光学性能に悪影響があるため、ハードコート被膜として好ましくない。
【0048】
そのため、インクジェットヘッド用のハードコーティング用組成物は、微小ノズルで目詰まりを生じにくい吐出性と被塗布物表面で均一な塗膜を形成できる塗布性を両立させる必要がある。
【0049】
インクジェットヘッド用のハードコーティング用組成物は、スピンコート法やディッピング法に用いられているハードコーティング用組成物と同様に、ハードコート被膜を形成するために、重合性有機化合物、無機微粒子並びに溶媒として水及び有機溶剤を含有する。
【0050】
まず、本発明者は、ハードコーティング用組成物の固形分と水分に着目し、図1に示したインクジェットヘッドを用いた吐出性とチオウレタン製のプラスチック眼鏡レンズに対する塗布性とを固形分と水分量を変えて検討した。表1に水分量を一定にして固形分を変えた場合の吐出性と塗布性の結果を示す。また、表2に固形分を一定にして水分量を変えた場合の吐出性と塗布性の結果を示す。表中、ハジキは、吐出された液滴が表面ではじかれて膜を形成しない場合を示す。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
表1より、固形分を多くすると、ノズルで目詰まりしやすくなり、吐出性が低下する。表2より、水分量を多くすると、乾燥し難くなるため吐出性は良好になる一方、塗布性が悪くなり、均一な塗膜を形成できにくくなる傾向が認められる。また、水分量を低くしてもそれほど吐出性に影響を与えないことが分かった。
【0054】
実験結果より、吐出性とチオウレタン製の眼鏡レンズに対する塗布性を両立させるため、インクジェット用のハードコーティング用組成物では、固形分は1〜19重量%、特に5〜15重量%の範囲が好ましいことが分かった。なお、固形分とは、ハードコート被膜を構成する成分であり、具体的には重合性有機化合物、無機微粒子、界面活性剤等の溶媒を除いた成分である。また、重合性有機化合物は、例えばアルコキシ基等の加水分解性基を有する場合、加水分解により配合量よりも実際の固形分となる量が少なくなる場合がある。
【0055】
表2の結果より、塗布性に対する水分の好ましい範囲は0.5〜30重量%、特に好ましい範囲は5〜26重量%、最も好ましい範囲は18〜24重量%である。但し、塗布性に関しては、被塗布物の表面の影響が大きく、被塗布物の表面の濡れ性が良好であれば、水分量の上限が90重量%までは塗布性を確保できると考えられる。
【0056】
上記結果から、インクジェットヘッド用のハードコーティング用組成物では、一般的には固形分は1〜19重量%、水分量は0.5〜90重量%の範囲とすることが好ましいことが分かった。
【0057】
しかしながら、その後の実験により、有機溶剤の種類を選定することによって、水分量を多くして安定吐出性を確保できると共に、水分量を多くしても塗布性を良好にできることを見い出した。
【0058】
即ち、水分量は組成物全体の30重量%以上とすることが望ましく、水分の配合量を多くすることによって、インクジェット方式のノズル開口部51での乾燥や増粘を抑制し、かつ撥水処理されているノズル開口部51で撥水されることにより、ノズル開口部51での目詰まりを防止し、安定吐出が可能となる。より好ましい水分量の範囲は全組成物に対して38〜84重量%、最も好ましい水分量の範囲は50〜70重量%である。水分量が多すぎると、有機溶剤の配合量が少なくなり、塗布性が悪くなる場合がある。
【0059】
なお、従来のディッピング法やスピンコート法で用いられているハードコーティング用組成物は、固形分が約20〜25重量%程度である。また、溶媒としては、乾燥を速くするために有機溶剤が主であり、水分は重合性有機化合物の加水分解を行えるために十分な20重量%程度である。このようなディッピング法やスピンコート法で用いられているハードコーティング用組成物をインクジェット方式で塗布しようとすると、固形分が多い上に水分量が少ないため、ノズル開口部での目詰まりが激しく、安定吐出は望めない。
【0060】
本発明のハードコーティング用組成物では、水分量を組成物全体の30重量%以上と水分リッチとすることが望ましい。従来このように水分量を多くしたハードコーティング用組成物では、均一塗布性が望めなかったが、本発明のハードコート被膜の形成方法においては、被塗布物に対する接触角に着目して解決している。
【0061】
即ち、水分量を組成物全体の30重量%以上配合し、かつ、被塗布物表面に対する接触角θの半値θ/2が、15°以下となるようにハードコーティング用組成物を調製する。あるいはこのような接触角となるように被塗布物表面の濡れ性を改良する。このようなハードコーティング用組成物とするには、具体的には、水9に対して1の重量比で薄めた水溶液の被塗布物表面に対する接触角θの半値θ/2が15°以下の有機溶剤を用いる。なお、本明細書における接触角の測定では、有機溶剤の接触角を測定する場合は水9に対して1の重量比で薄めた水溶液の接触角を測定し、ハードコーティング用組成物の接触角を測定する場合はハードコーティング用組成物そのものの接触角を測定する。有機溶剤の接触角の測定方法において水の割合を多くしているのは、接触角が小さすぎると測定が困難になるので、水分量を多くして接触角を大きくし、接触角の測定を容易にするためである。また、接触角を測定する固体試料は、実際にハードコーティング用組成物を塗布する表面を有する平板である。
【0062】
接触角の測定方法を図2に示す。図示しない注射器状の液滴調整器に測定する水溶液試料を入れる。(a)に示すように、上下左右に位置を変更可能な図示しない試料台に表面を水平に調整した固体試料を載置し、光学鏡でこの固体試料表面を観察する。光学鏡には回転可能な回転クロスが組み込まれている。固体試料の直上に配置された液滴調整器の針先に液滴を作る。
【0063】
次に、(b)に示すように、固体試料の表面を上昇させ、液滴を固体試料表面に触れさせる。その後、(c)に示すように、元の位置まで固体試料を下降させ、針先より液滴を固定試料表面に移行させ、更に、液滴を回転クロスの中心に合わせる。
【0064】
そして、(d)に示すように、回転クロスを回転させて液滴と固体試料表面の接線を作り、その角度θを読み取る。このθが接触角である。
【0065】
この読み取り方法では個人誤差があるので、液滴が円の一部であるという仮定に基づき、(e)〜(g)に示す接触角の読み取り方法が行われる。
【0066】
まず、(e)に示すように、回転クロスを45゜に合わせ、クロスが液滴の両側と左右対称に接するように試料台を調整する。次に、(f)に示すように、試料台を上昇させ、クロスの中心を液滴の頂点に合わせる。そして、(g)に示すように、液滴の頂点と固体試料と液滴の接点を結び、その延長上の角度を測定する。その角度が接触角θの半値θ/2となる。接触角θよりもその半値θ/2の方が一般的に用いられる。
【0067】
表3に、水に溶解性の有機溶剤の種類とその分子量、沸点及び水9に対して1の重量比で薄めた水溶液の接触角θの半値θ/2を示す。接触角測定装置は、協和界面科学株式会社製の接触角計OA−D型を用いた。固体試料は、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板を用いた。
【0068】
【表3】
【0069】
図3に、表3に示した有機溶剤のそれぞれの接触角θの半値θ/2をグラフとして示した。
【0070】
水分を50重量%と60重量%をそれぞれ含み、固形分が10重量%、残りを上述した有機溶剤を含むハードコーティング用組成物を調製し、実際にインクジェット方式のヘッドから吐出させた結果では、ブチルセロソルブが最も良好な塗布性を示し、均一に塗膜を形成することができた。次に、イソプロピルセロソルブ、その次にエチルセロソルブの塗布性が良好であり、それ以外の有機溶剤はそれほど塗布性が良くないことが認められた。なお、セロソルブは、エチレングリコールモノアルキルエーテルの通称である。従って、実用的には、エチルセロソルブの水9に対して1の重量比で薄めた水溶液の接触角(θ/2)が15°であるから、前述した測定方法で測定した接触角θの半値θ/2が15°以下、好ましくは10°以下、最も好ましくはブチルセロソルブの5.3°以下である有機溶剤を用いることによって、水分量を多くしても均一塗布性を確保できることが確認できた。実際のハードコーティング用組成物においても、被塗布物のハードコーティング用組成物を塗布する実際の表面に対するハードコーティング用組成物そのものの接触角θの半値θ/2が15°以下、好ましくは10°以下、最も好ましくは6°以下に調製することにより、良好な塗布性を示すことが認められた。
【0071】
表3より、接触角に対して分子量と沸点とが相関性があり、分子量に関しては90以上、特に100以上、最適には115以上が好ましく、沸点に関しては、135℃以上、特に150℃以上、最適には170℃以上が好ましい。
【0072】
以上の実験結果より、ハードコーティング用組成物においては、被塗布物のハードコーティング用組成物を塗布する表面に対する接触角θの半値θ/2を15°以下とすることにより、塗布性を良好にすることができる。このような塗布性を有するハードコーティング用組成物とするには、被塗布物のハードコーティング用組成物を塗布する表面に対する水9に対して1の重量比で薄めた水溶液の接触角θの半値θ/2が15°以下の接触角低下溶剤を配合することが有効である。具体的には、沸点が135℃以上、特に150℃以上、最適には170℃以上で水と相溶性のある高沸点有機溶剤である。なお、相溶性とは、同時に配合する水と均一な溶液を形成できることを意味する。
【0073】
高沸点有機溶剤としては、上述したエチルセロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類以外の溶剤も使用可能である。高沸点有機溶剤の配合量は、組成物全体の10〜45重量%、特に15〜40重量%の範囲とすることが好ましい。
【0074】
このように、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等の高沸点有機溶剤を用いることによって、塗布性が良好になる理由としては、被塗布物に対する濡れ性が良好なことに加えて、インクジェットヘッドから吐出された微小液滴が、被塗布物の表面に着弾するまでの間の空気中で、微小液滴の表面からの溶媒の蒸発が抑制されることが、良好な塗布性の原因であると考えられる。
【0075】
本発明のハードコーティング用組成物における有機溶剤としては、高沸点有機溶剤の1種を単独で又は2種以上を混合して高沸点の有機溶剤のみを用いることができるが、ハードコーティング用組成物の接触角θの半値θ/2を15°以下となるようにすることができれば、低沸点の有機溶剤を配合することができる。
【0076】
低沸点溶剤としては、メタノール、エタノール、IPA、ブタノール等のアルコール類、MEK、2−ペンタノン、MIBK、2−ヘプタノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸secブチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸ブチル、3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、メチルセロソルブ、1,4−ジオキサン等の低沸点溶剤の1種を単独で又は2種以上を高沸点有機溶剤に適宜混合して用いることができる。これらの低沸点有機溶剤は、後述する無機微粒子を分散する分散媒としてハードコーティング用組成物に配合することが好ましい。また、重合性有機化合物中の加水分解性基の加水分解によってもハードコーティング用組成物に配合される場合がある。
【0077】
また、有機溶剤として、沸点が200℃以上の高沸点の水溶性有機溶剤を目詰まり防止の液状湿潤剤として配合することができる。水溶性有機溶剤としては、例えば、エチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜10の2価〜5価アルコール類、ホルムアミド類、イミダゾリジノン類、ピロリドン、アミノ類等の含窒素炭化水素溶媒、あるいは含硫黄炭化水素溶媒の1種を単独で又は2種以上を混合して添加することができる。このような高沸点の水溶性有機溶剤は、接触角低下溶剤として配合することも可能である。
【0078】
以上の結果をまとめると、インクジェット用のハードコーティング用組成物においては、安定吐出性と均一塗布性を両立させるため、固形分の配合量は、上述した通り、組成物全体の1〜19重量%、特に5〜15重量%の範囲が好ましい。固形分を多くすると、ノズルで目詰まりしやすくなり、吐出性が低下する。水分の配合量は、組成物全体の0.5〜90重量%、特に38〜84重量%、最も好ましくは50〜70重量%の範囲である。有機溶剤の配合量は、固形分と水分以外の成分であり、組成物全体の10〜98.5重量%、特に15〜55重量%、最適には20〜50重量%の範囲が好ましい。有機溶剤の配合量が少なすぎると、塗布性が悪くなる場合があり、一方、配合量が多すぎると、水分量が少なくなって吐出性が悪くなる場合がある。また、有機溶剤を構成する接触角低下溶剤又は高沸点有機溶剤の配合量は、組成物全体の10〜45重量%、特に15〜40重量%の範囲とすることが好ましい。接触角低下溶剤又は高沸点有機溶剤を配合することにより、水分リッチとしても良好な塗布性が得られる。
【0079】
このようなハードコーティング用組成物は、従来のディッピング法やスピンコート法に用いられているハードコーティング用組成物と比較して固形分が少ないが、インクジェットによる塗布は、ディッピング法やスピンコート法よりも厚く塗布することができるため、ハードコート被膜として必要な膜厚は確保することができる。
【0080】
上記接触角θは固体の液体による濡れを評価する尺度である。そのため、被塗布物の表面の性質によっても接触角は変化する。被塗布物表面に対して表面改質処理を施すことにより、接触角θを低下させることができる。
【0081】
本発明のハードコーティング用組成物を用いれば、濡れ性が良いため、通常の被塗布物表面にインクジェット方式で均一な塗膜を形成することが可能であるが、被塗布物と被膜の密着性及び更に濡れ性を向上させる目的で、被塗布物表面を予めアルカリ処理、酸処理、界面活性剤処理、無機あるいは有機物の微粒子による研磨処理、酸化剤処理、プライマー処理、紫外線照射処理、アルゴン又は酸素雰囲気下で高周波放電によるプラズマ処理、アルゴン、酸素又は窒素などのイオンビーム処理などによって、表面改質処理を行うことが好ましい。また、超純水による洗浄を行うことが好ましい。
【0082】
上述した表面改質処理の中でも、紫外線照射処理が透明な光学物品の表面に対して良好な濡れ性を付与することができる。紫外線照射処理としては、低圧水銀ランプを用いて、主として波長が185nm及び254nmの紫外線を1〜3000mJ/cm2の光量で照射する方法や、エキシマランプを用いて、主として波長が172nmの紫外線を1〜3000mJ/cm2の光量で照射する方法を例示することができる。
【0083】
このような紫外線は、活性酸素やオゾンを生成し、被塗布物表面の有機物を分解して清浄化することが可能であり、また、被塗布物表面に直接作用して被塗布物表面にヒドロキシル基、カルボキシル基、カルボニル基等の親水性基を生成し、濡れ性を向上させることができる。
【0084】
前述したハードコーティング用組成物の溶媒を構成する有機溶剤の種類や組成だけでなく、被塗布物に表面改質処理を施すことによって、接触角θの半値θ/2を低下させることが可能である。例えば、実施例1と実施例2に示すように、アセトンで洗浄したチオウレタン系の平板に対するハードコーティング用組成物の接触角θの半値θ/2が11.5°である場合(実施例1)、紫外線照射を行ったチオウレタン系の平板では、5.9°に下げることができる(実施例2)。従って、ハードコーティング用組成物の被塗布物表面に対する接触角θの半値θ/2を15°以下にするためには、被塗布物表面に対する表面改質処理及びハードコーティング用組成物の有機溶剤の種類と組成の選択のいずれか一方又は両方を採用することによって達成することができる。
【0085】
なお、本発明のハードコート被膜の形成方法における塗布方法としては、このようなインクジェット方式のみならず、例えばスプレー方式による塗布方法等、液滴として被塗布物に噴射される塗布方法も含まれる。
【0086】
スプレー方式は、ハードコーティング用組成物を被塗布物にノズルより液滴として噴霧し、被塗布物表面に均一なハードコーティング用組成物の塗膜を形成するものである。スプレー方式では、ノズルでの目詰まりは考慮する必要はないが、被塗布物表面で液滴が集合して均一塗膜を形成する点では、インクジェット方式と同じである。そのため、ハードコーティング用組成物及び被塗布物表面の性質としては、インクジェット方式で用いられると同様の濡れ性が要求される。
【0087】
以下、本発明のハードコーティング用組成物の有機溶剤以外の組成成分について説明する。本発明のコーティング用組成物における固形分としては、ハードコート被膜として十分な性能を確保するため、重合性有機化合物及び無機微粒子を必須成分として含有する。
【0088】
重合性有機化合物はハードコート被膜における、いわゆるバインダーとして機能するものである。重合性有機化合物としては、例えば、一分子中にビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、メルカプト基、シアノ基、イソシアノ基、アミノ基等の重合可能な重合性基とアルコキシ基等の加水分解性基とを含む有機けい素化合物を用いることができる。重合性有機化合物としてかかる有機ケイ素化合物を用いることによってシリコン系ハードコート被膜を形成することができる。
【0089】
一分子中に重合性基と加水分解性基とを含む有機けい素化合物としては、ビニルトリアルコキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリ(β−メトキシ−エトキシ)シラン、アリルトリアルコキシシラン、アクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルトリアルコキシシラン、メタクリルオキシプロピルジアルコキシメチルシラン、メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、γ−アミノプロピルトリアルコキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジアルコキシシラン等を例示することができる。
【0090】
また、一分子中にエポキシ基と加水分解性基とを含む有機けい素化合物としては、モノエポキシ基含有トリアルコキシシランが好ましい。モノエポキシ基含有トリアルコキシシランとしては、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリプロポキシシラン、グリシドキシメチルトリブトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、α−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、β−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、α−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、β−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、β−メチルグリシドキシメチルトリメトキシシラン、β−メチルグリシドキシメチルトリエトキシシラン、β−メチルグリシドキシメチルトリプロポキシシラン、β−メチルグリシドキシメチルトリブトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、β−メチル−α−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、β−メチル−β−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、β−メチル−γ−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、β−メチル−δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−メチル−δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−メチル−δ−グリシドキシブチルトリプロポキシシラン、β−メチル−δ−グリシドキシブチルトリブトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の脂肪族エポキシ化合物、あるいは、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリブトキシシラン等の脂環式エポキシ化合物を例示することができる。
【0091】
重合性有機化合物の配合量は、ハードコーティング用組成物の固形分の10〜90重量%、特に20〜80重量%、最適には30〜70重量%の範囲が好ましい。配合量が少なすぎるとプラスチック被塗布物や後に成膜する反射防止膜との密着性が悪くなる場合があり、一方、配合量が多すぎると硬化被膜にクラックが生じる場合がある。
【0092】
無機微粒子は、ハードコート被膜のいわゆるフィラーとして機能するもので、一般に粒径が1〜100mμm程度のものが用いられる。具体的には、Si,A1,Sn,Sb,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる1種以上の金属酸化物からなる微粒子及び/又はSi,A1,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiから選ばれる2種以上の金属酸化物から構成される複合微粒子を例示することができる。
【0093】
無機微粒子の具体例としては、SiO2,SiO,Al2O3,Fe2O3,CeO2,SnO2,Sb2O5,Ta2O5,CeO2,WO3,ZrO2,TiO,Ti2O3,Ti2O5,TiO2等の微粒子が、分散媒たとえば水、アルコール系もしくはセロソルブ類その他の有機溶剤にコロイド状に分散したものである。または、Si,A1,Sn,Sb,Ta,Ce,La,Fe,Zn,W,Zr,In,Tiの無機酸化物の2種以上によって構成される複合微粒子が水、アルコール系もしくはセロソルブ類その他の有機溶剤にコロイド状に分散したものである。
【0094】
また、これらの無機微粒子のハードコート液中での分散安定性を高めるために、これらの微粒子表面を有機珪素化合物又はアミン系化合物で処理したものを使用することも可能である。この表面処理に用いられる有機珪素化合物としては、単官能性シラン、三官能性シラン、四官能性シラン等を例示できる。処理に際しては、加水分解基が微粒子の水酸基と反応した状態が好ましいが、一部残存した状態でも安定性にはなんら問題はない。アミン化合物としては、アンモニウム、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等を例示できる。これらの有機珪素化合物とアミン化合物の添加量は無機微粒子の重量に対して1〜15重量%程度の範囲が好ましい。
【0095】
ハードコーティング用組成物の固形分中における無機微粒子の配合量は、20〜80重量%、特に30〜70重量%程度が好ましい。配合量を少なくすると、組成物の粘度が低くなるが、ハードコート被膜を形成するために十分な厚さの被膜の膜厚を確保できなくなる場合があり、一方、配合量が多すぎると、被膜にクラックが発生する場合がある。
【0096】
本発明のハードコーティング用組成物の硬化速度を早くする目的でジシランを配合することも可能である。
【0097】
このジシランとしては、下記一般式(1)で示される化合物を例示することができる。
【0098】
【化1】
【0099】
(式中、R1、R2は炭素数1〜6の炭化水素基であり、X1、X2は加水分解性基であり、Yはカーボネート基又はエポキシ基を含有する有機基であり、m及びkは0又は1である。)
R1、R2の炭素数1〜6の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、ブチル基、ビニル基、フェニル基などが挙げられる。X1、X2の加水分解性基としては、メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基、クロロ基、ブロモ基などのハロゲン基、アシルオキシ基等が挙げられる。
【0100】
また、Yのカーボネート基又はエポキシ基を含有する有機基としては、下記のものを例示することができる。
【0101】
【化2】
【0102】
【化3】
【0103】
【化4】
【0104】
【化5】
【0105】
【化6】
【0106】
【化7】
【0107】
【化8】
【0108】
【化9】
【0109】
【化10】
【0110】
【化11】
【0111】
これらのジシラン化合物は、従来公知の方法で合成することができる。例えば、ジアリルカーボネートとトリクロロシラン等を付加反応させ、その後アルコキシ化させることにより得ることができる。あるいは、両末端に付加可能な置換基を持ち、更にその内部にエポキシ化可能な官能基を含む化合物にトリクロロシランなどを付加反応させ、その後アルコキシ化させることにより得ることができる。
【0112】
ジシランの配合により、硬化速度が向上して硬化時間が短くなることは、塗膜形成工程における塗布表面へのゴミや不純物の付着の可能性を少なくして歩留まりを向上させることができる。更に、染色性を向上させる効果や、次に述べる多官能性エポキシ化合物の配合量を少なくする効果、あるいは塗工する対象物の表面に存在する傷などの不良個所の存在を目立たなくする上でも優れた効果を有する。
【0113】
このジシランの配合量は、固形分の3〜40重量%、特に5〜20重量%の範囲が好ましい。配合量が少なすぎると反応促進効果が現れない場合があり、一方、配合量が多すぎると塗膜の耐水性が悪くなったり、塗液のポットライフが短くなる場合がある。
【0114】
また、本発明のハードコーティング用組成物では、染色成分としての役割や耐水性、耐温水性を向上させるために、多官能性エポキシ化合物を配合することが好ましい。この多官能性エポキシ化合物は、塗料、接着剤、注型用などに広く用いられている。例えば、過酸化法で合成されるポリオレフィン系エポキシ樹脂、シクロペンタジエンオキシドやシクロヘキセンオキシド、更にヘキサヒドロフタル酸とエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエステル等の脂環式エポキシ樹脂、ビスフェノールAやカテコール、レゾシノール等の多価フェノール、あるいは(ポリ)エチレングリコール、(ポリ)プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ソルビトール等の多価アルコールとエピクロルヒドリンから得られるポリグリシジルエーテル、エポキシ化植物油、ノボラック型フェノール樹脂とエピクロルヒドリンから得られるエポキシノボラック、フェノールフタレインとエピクロルヒドリンから得られるエポキシ樹脂、グリシジルメタクリレートとメチルメタクリレートアクリル系モノマーあるいはスチレンなどの共重合体、更には上記エポキシ化合物とモノカルボン酸含有(メタ)アクリル酸とのグリシジル基開環反応により得られるエポキシアクリレートなどが挙げられる。
【0115】
更に多官能性エポキシ化合物として、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ノナプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールヒドロキシヒバリン酸エステルのジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ジペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物、イソホロンジオールグリシジルエーテル、ビス−2,2−ヒドロキシシクロヘキシルプロパンジグリシジルエーテル等の脂環族エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエーテル、フェノールノボラックポリグリシジルエーテル、クレゾールノボラックポリグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物などを例示することができる。
【0116】
この中でも、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのトリグリシジルエーテルなどの脂肪族エポキシ化合物が好ましい。
【0117】
多官能性エポキシ化合物の配合量は、固形分の5〜40重量%、特に5〜20重量%の範囲が好ましい。配合量が少なすぎると塗膜の耐水性が不十分となる場合があり、一方、配合量が多すぎると、反射防止膜をハードコート被膜の上に形成した場合に、無機蒸着膜との密着性が不十分となる場合がある。
【0118】
また、一般式がSi(OR)4で表される四官能性シラン化合物を添加することも有用である。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラアセトキシシラン、テトラアリロキシシラン、テトラキス(2−メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルブトキシ)シラン、テトラキス(2−エチルヘキシロキシ)シラン等を例示できる。これらは単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。また、これらは無溶媒下又はアルコールなどの有機溶剤中で、酸の存在下で加水分解して使用する方が好ましい。
【0119】
また、本発明の組成物には硬化触媒を配合することができる。硬化触媒としては、例えば次の(1)〜(4)の群を挙げることができる。
(1)Fe(III)、Al(III)、Sn(IV)又はTi(IV)の金属元素を中心原子とするアセチルアセトネート、
(2)過塩素酸マグネシウム又は過塩素酸アンモニウム、
(3)脂肪酸の飽和又は不飽和カルボン酸、芳香族カルボン酸、あるいはこれらの酸の無水物、
(4)LI(I)、Cu(II)、Mn(II)又はMn(III)の金属原子を中心原子とするアセチルアセトネート
から選ばれる1種又は2種以上を併用して用いることができる。特に、(1)〜(3)の群の硬化触媒と(4)の群の硬化触媒との併用触媒が、ポットライフが向上するため、好ましい。
【0120】
硬化触媒の配合量は、ハードコーティング用組成物の固形分の0.2〜10重量%、特に0.5〜3重量%の範囲とすることが好ましい。配合量が少なすぎると配合の効果が現れない場合があり、一方、配合量を多くしてもそれ以上硬化速度が向上しないため不経済になる場合がある。
【0121】
本発明のハードコーティング用組成物では、上述した成分以外に、顔料、染料等の着色剤、紫外線吸収剤、レベリング剤、界面活性剤、粘度調整剤、pH調整剤、フォトクロミック化合物、ヒンダードアミン・ヒンダードフェノール系などの耐光耐熱安定剤、酸化防止剤、耐電防止剤等の成分を含むことができる。これらの成分は、固形分を構成する。
【0122】
本発明のハードコーティング用組成物をインクジェット方式によって被塗布物に塗布する方法としては、図4(a)に示すように、インクジェットヘッド10にハードコート液を充填し、インクジェットヘッド10を平坦な表面の被塗布物1aの表面と概ね等間隔を保ちながら、被塗布物との相対位置を制御しつつ、被塗布物の表面を走査させ、インクジェットヘッドのノズルから吐出を制御することによって、被塗布物の必要な部分にハードコート液を均一に塗布することができる。この場合、インクジェットヘッドだけを動かしてもよく、あるいはインクジェットヘッドをX軸方向に移動させ、被塗布物をタイミングをとってY軸方向に移動させる方法でも良い。
【0123】
眼鏡レンズのような曲面を有する被塗布物を塗装する場合は、図4(b)に示すように、平板の被塗布物1aと同様に、インクジェットヘッド10を水平方向に動かして、被塗布物1bを載置する台とほぼ等間隔を保つようにすることにより、ほぼ均一に塗布することができる。被塗布物1bの曲面とインクジェットヘッド10との距離は曲面の位置によって異なるが、実際上はほとんど影響がない。また、被塗布物を支持するステージに首振り運動させることで、インクジェットヘッドと被塗布物の表面との間隔を概ね一定にするような塗装方法を採用してもよい。
【0124】
また、インクジェットヘッドでハードコート液を必要量よりやや多く塗布し、余分のハードコート液を被塗布物を高速回転させることにより除いて均一な塗膜を形成する塗布方法も可能である。この場合、インクジェットヘッドからの吐出を間欠的ではなくほぼ連続的にする塗装方法も可能である。
【0125】
ハードコート被膜の膜厚としては、0.05〜30μmの範囲が好ましい。膜厚が薄すぎると基本となる性能がでない場合があり、一方、厚すぎると表面の平滑性が損なわれたり、光学的歪みが発生する場合がある。インクジェット方式による1回の塗布で十分な塗膜の厚みが得られない場合は、複数回の重ね塗りを行うことができる。
【0126】
本発明のハードコーティング用組成物を用いてインクジェット方式等で被塗布物を塗装した後、40〜200℃、好ましくは80〜130℃の温度で、30分〜8時間乾燥させることにより、ハードコート被膜を被塗布物表面に形成することができる。
【0127】
以上説明した組成物は、熱硬化性であったが、被塗布物が熱可塑性の樹脂である場合は、上述した重合性有機化合物に代えて紫外線硬化型又は電子ビーム硬化型の重合性有機化合物を用いることが好ましい。
【0128】
例えば、紫外線の照射によりシラノール基を生成するシリコーン化合物とシラノール基と縮合反応するハロゲン原子やアミノ基等の反応基を有するオルガノポリシロキサンとを主成分とする光硬化性シリコーン組成物、三菱レイヨン(株)製のUK−6074等のアクリル系紫外線硬化型モノマー組成物を例示することができる。
【0129】
また、本発明のハードコーティング用組成物は、熱硬化、電子線硬化及び光硬化の2つ以上の硬化方法を併用し、例えば熱硬化と光硬化を併用することも可能である。
【0130】
このようにして得られたハードコート被膜に必要により反射防止膜を形成することができる。この反射防止膜は、無機膜を真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法などで成膜して形成できる。真空蒸着法においては、蒸着中にイオンビームを同時に照射するイオンビームアシスト法を用いても良い。また、膜構成としては単層又は2層以上の多層とすることができる。
【0131】
反射防止膜形成に用いられる無機材料としては、SiO2、SiO、ZrO2、TiO2、TiO、Ti2O3、Ti2O5、Al2O3、Ta2O5、CeO2、MgO、Y2O3、SnO2、MgF2、WO3等が挙げられる。これらの無機材料は単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0132】
反射防止膜を形成する際には、密着性を高めるために、ハードコート被膜の表面処理を行うことが望ましい。この表面処理としては、酸処理、アルカリ処理、紫外線照射処理、アルゴン又は酸素雰囲気下で高周波放電によるプラズマ処理、アルゴン、酸素又は窒素などのイオンビーム処理などが例示できる。
【0133】
【実施例】
上記表1、表2の実験例を示す。
【0134】
<実験例1>
重合性有機ケイ素化合物として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.96g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン4.64gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を3.65g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、有機溶媒としてイソプロピルセロソルブを108.04g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を50g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)の5%希釈液を1.5g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)の5%希釈液を1g添加し、10分間攪拌した。次に、無機微粒子として、メタノール分散酸化ケイ素−酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾル(商品名:オプトレイク1120−U25A8、触媒化成工業株式会社製、固形分25%)を71.21g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分10重量%、水分21重量%のハードコーティング用組成物を調製した。
【0135】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填し、吐出させたところ、液滴は安定して吐出し、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0136】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に、上記ハードコーティング用組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハードコート被膜には塗りムラがなく、良好な外観であった。
【0137】
<実験例2>
実験例1の組成物の調製におけるイソプロピルセロソルブの添加量を133.04g、純水の添加量を25gとした以外は全く同様にして、固形分10重量%、水分11重量%のハードコーティング用組成物を調製した。
【0138】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填して吐出させたところ、液滴は安定して吐出され、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0139】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に、上記ハードコーティング用組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハードコート被膜には塗りムラがなく、良好な外観であった。
【0140】
<実験例3>
実験例1におけるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの添加量を4.9g、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの添加量を2.32g、0.1N塩酸の添加量を1.83g、イソプロピルセロソルブの添加量を152.76g、メタノール分散酸化ケイ素−酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾルの添加量を35.61gとした以外は全く同様にして、固形分5重量%、水分21重量%のハードコーティング用組成物を調製した。
【0141】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填して吐出させたところ、液滴は安定して吐出し、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0142】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に、上記ハードコーティング用組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハードコート被膜には塗りムラがなく、良好な外観であった。
【0143】
<実験例4>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.96g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン4.64gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を3.65g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、イソプロピルセロソルブを83.04g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を75g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)の5%希釈液を1.5g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)の5%希釈液を1g添加し、10分間攪拌した。
【0144】
次に、メタノール分散酸化ケイ素−酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾル(商品名:オプトレイク1120−U25A8、触媒化成工業株式会社製、固形分25%)を71.21g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分10重量%、水分31重量%のハードコーティング用組成物を調製した。
【0145】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填して吐出させたところ、液滴は安定して吐出され、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0146】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に、上記ハードコーティング用組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハードコート被膜にはハジキによる若干のムラがあり、外観不良であると認められる。
【0147】
この実験例では塗膜に外観不良が生じたが、被塗布物の表面を改質して濡れ性を改良すれば、塗膜の外観不良を改善できる可能性がある。
【0148】
<実験例5>
実験例1におけるγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの添加量を19.91g、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランの添加量を9.28g、0.1N塩酸の添加量を7.29g、イソプロピルセロソルブの添加量を18.60g、メタノール分散酸化ケイ素−酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾルの添加量を142.41gとした以外は全く同様にして、固形分20重量%、水分21重量%のハードコーティング用組成物を調製した。
【0149】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填して吐出させたところ、液滴は安定して吐出せず、ノズルに目詰まりが発生したことが認められた。
【0150】
次に、本発明の実施例と比較例を示す。
【0151】
<実施例1>
重合性有機ケイ素化合物として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.96g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン4.64gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を3.65g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、有機溶剤としてブチルセロソルブを36.69g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を121.35g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)社製、商品名「L−7001」のブチルセロソルブ5%希釈液を1.50g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)社製、商品名「L−7604」のブチルセロソルブ5%希釈液を1.00g添加し、10分間攪拌した。次に、無機微粒子として、メタノール分散酸化ケイ素一酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾル(商品名:オプトレイク1120−U25A8、触媒化成工業(株)社製、固形分25%)を71.21g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分10重量%、水分50重量%、ブチルセロソルブ16重量%、メタノール21重量%のハードコーティング用組成物250gを調製した。
【0152】
アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に対するこのハードコーティング用組成物そのものの接触角θの半値(θ/2)の測定値は、平均11.5°であった。
【0153】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填し、吐出させたところ、液滴は安定して吐出し、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0154】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズに、上記ハードコーティング組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハ−ドコート被膜は、塗りむらがなく、良好な外観であった。
【0155】
<実施例2>
チオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に対して低圧水銀ランプを30秒照射し、300mJ/cm2の光量で紫外線照射処理を行った。
【0156】
この紫外線照射処理を行ったプラスチックレンズ素材の平面板に対する上記実施例1で調製したハードコーティング用組成物そのものの接触角θの半値(θ/2)は、平均5.93°に低下した。
【0157】
この平面板に、実施例1のハードコーティング組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハ−ドコート被膜は、塗りむらがなく、良好な外観であり、ハードコート被膜の密着性も良好であった。
【0158】
<実施例3>
重合性有機ケイ素化合物として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.96g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン4.64gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を3.65g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、有機溶剤としてブチルセロソルブを65.10g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を75.14g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)のブチルセロソルブ5%希釈液を1.50g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)のブチルセロソルブ5%希釈液を1.00g添加し、10分間攪拌した。次に、無機微粒子として、水分散コロイダルシリカ(商品名:CATALOID SN、触媒化成工業(株)製、固形分20%)を89.01g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分10重量%、水分約60重量%、ブチルセロソルブ27重量%のハードコーティング用組成物250gを調製した。
【0159】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填し、吐出させたところ、液滴は安定して吐出し、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0160】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズに、上記ハードコーティング用組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハードコート被膜には塗りムラがなく、良好な外観であった。
【0161】
<実施例4>
重合性有機ケイ素化合物として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.96g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン4.64gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を3.65g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、有機溶剤としてブチルセロソルブを90.10g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を50.14g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)のブチルセロソルブ5%希釈液を1.50g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)のブチルセロソルブ5%希釈液を1.00g添加し、10分間攪拌した。次に、無機微粒子として、水分散コロイダルシリカ(商品名:CATALOID SN、触媒化成工業(株)製、固形分20%)を89.01g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分10重量%、水分約50重量%、ブチルセロソルブ37重量%のハードコーティング用組成物250gを調製した。
【0162】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填し、吐出させたところ、液滴は安定して吐出し、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0163】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズに、上記ハードコーティング用組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハードコート被膜には塗りムラがなく、良好な外観であった。
【0164】
<実施例5>
図5(a)に示すスプレー装置を用いて、レンズに実施例1で調製したハードコーティング用組成物を塗布した。
【0165】
アセトンで洗浄したチオウレタン系のレンズ1を固定部材2に固定した。レンズ1の直上に配置したエア霧化式スプレーノズル3から液圧0.07MPa、空気圧0.21MPaでハードコーティング用組成物0.18gを霧状4に吐出させた。レンズ1を固定部材2から取りだした後、120℃で90分間硬化した。
【0166】
このようにして得られたハードコート被膜には塗りムラがなく、良好な外観であった。
【0167】
<実施例6>
図5(b)に示すようなスプレー装置を用いて、レンズに実施例1で調製したハードコーティング用組成物を塗布した。このスプレー装置は、レンズ1の中心に両方向に回転自在に支持された回転部材5の中心軸を一致させてレンズ1を回転部材5に固定し、レンズ1の直上に配置したエア霧化式スプレーノズル3から液体4をレンズに塗布するようになっている。
【0168】
アセトンで洗浄したチオウレタン系のレンズ1を回転部材5に固定した。レンズ1の直上に配置したエア霧化式スプレーノズル3から液圧0.07MPa、空気圧0.21MPaでハードコーティング用組成物0.35gを霧状4に吐出させた。ハードコーティング用組成物がレンズ表面全体に塗布された後、回転部材5を1500rpmで回転させ、0.8秒間保持した後、即停止させた。レンズ1を回転部材5から取りだした後、120℃で90分間硬化した。
【0169】
このようにして得られたハードコート被膜には塗りムラがなく、良好な外観であった。
【0170】
<実施例7>
重合性有機ケイ素化合物として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.96g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン4.64gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を3.65g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。その後、純水を140.25g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)社製、商品名「L−7001」のブチルセロソルブ5%希釈液を1.50g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)社製、商品名「L−7604」のブチルセロソルブ5%希釈液)を1.00g添加し、10分間攪拌した。次に、無機微粒子として、ブチルセロソルブ分散酸化ケイ素一酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾル(商品名:オプトレイク1120−U25A8、触媒化成工業(株)社製、固形分20%)を89.00g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分10重量%、水分58重量%、ブチルセロソルブ29重量%のハードコーティング用組成物250gを調製した。
【0171】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填し、吐出させたところ、液滴は安定して吐出し、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0172】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズに、図4(b)に示すように、インクジェットヘッドを水平方向に動かして上記ハードコーティング組成物0.09gを連続吐出させて塗装した。その後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハ−ドコート被膜は、塗りむらがなく、良好な外観であった。
【0173】
<実施例8>
重合性有機ケイ素化合物として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン13.54g及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3.65gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を5.00g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、有機溶剤としてブチルセロソルブを58.43g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を107.59g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)社製、商品名「L−7604」)のブチルセロソルブ5.88%希釈液を2.13g添加し、10分間攪拌した。次に、エポキシメタクリレートを10.98g添加し5分間攪拌した。次に、無機微粒子として、水分散コロイド状シリカ(触媒化成工業(株)製、商品名CATALOID SN、固形分20%)を46.77g添加し、5分間攪拌した後、過塩素酸マグネシウムを0.11g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分12.5重量%、水分60重量%、ブチルセロソルブ25重量%のハードコーティング用組成物250gを調製した。
【0174】
なお、エポキシメタクリレートは、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル(ケムテックス(株)製、商品名「デナコールEX−212」)を600g、メタクリル酸を189g、ジメチルアミノエチルメタクリレートを3g、ハイドロキノンメチルエーテルを0.4g、ブチルセロソルブを338gを混合し、攪拌を行いながら70℃で2時間、80℃で2時間、続いて90℃で6時間反応させて得られたものである。
【0175】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填し、吐出させたところ、液滴は安定して吐出し、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0176】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmの光硬化型のアクリル系プラスチックレンズに、図4(b)に示すように、インクジェットヘッドを水平方向に動かして上記ハードコーティング組成物0.09gを連続吐出させて塗装した。その後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハ−ドコート被膜は、塗りむらがなく、良好な外観であった。
【0177】
<比較例1>
シランカップリング剤として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.96g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン4.64gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を3.65g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、イソプロピルセロソルブを83.04g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を75g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)の5%希釈液を1.5g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)の5%希釈液を1g添加し、10分間攪拌した。
【0178】
次に、メタノール分散酸化ケイ素−酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾル(商品名:オプトレイク1120−U25A8、触媒化成工業株式会社製、固形分25%)を71.21g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分10重量%、水分31重量%、イソプロピルセロソルブ34重量%、メタノール21重量%のハードコーティング用組成物250gを調製した。
【0179】
アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に対するこのハードコーティング用組成物そのものの接触角θの半値(θ/2)の測定値は、平均16.9°であった。
【0180】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填して吐出させたところ、液滴は安定して吐出され、ノズルに目詰まりは認められなかった。
【0181】
また、アセトンで洗浄した厚さ3mm、外径70mmのチオウレタン系のプラスチックレンズ素材からなる平面板に、上記ハードコーティング用組成物0.09gを連続吐出させた後、120℃で90分間硬化した。このようにして得られたハードコート被膜にはハジキによる若干のムラがあり、外観不良であると認められる。
【0182】
<比較例2>
重合性有機ケイ素化合物として、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン19.91g及びγ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン9.28gを混合し、5分間攪拌した。これに0.1N塩酸を7.29g添加し、1時間攪拌して加水分解を行った。次に、有機溶剤としてイソプロピルセロソルブを18.60g添加し、5分間攪拌した。その後、純水を50g添加し、1時間攪拌した。更に、シリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7001」)の5%希釈液を1.5g及びシリコン系界面活性剤(日本ユニカー(株)製、商品名「L−7604」)の5%希釈液を1g添加し、10分間攪拌した。次に、無機微粒子として、メタノール分散酸化ケイ素−酸化ジルコニウム−酸化チタン複合微粒子ゾル(商品名:オプトレイク1120−U25A8、触媒化成工業株式会社製、固形分25%)を142.41g添加し、1時間攪拌した。更に、室温で20〜36時間熟成させて、固形分20重量%、水分23重量%、イソプロプルセロソルブ8重量%、メタノール43重量%のハードコーティング用組成物250gを調製した。
【0183】
このハードコーティング用組成物を図1に示したピエゾ方式のインクジェットヘッドに充填して吐出させたところ、液滴は安定して吐出せず、ノズルに目詰まりが発生したことが認められた。
【0184】
【発明の効果】
本発明のハードコート被膜の形成方法によれば、インクジェット方式でハードコーティング用組成物を塗布するので、ハードコーティング用組成物の利用効率が高い。
【0185】
また、本発明のハードコート被膜の形成方法によれば、水分量を多く配合しても濡れ性を良好にしているので、インクジェット方式で被塗布物表面に均一なハードコート被膜を形成することができる。
【0186】
また、本発明のハードコート被膜の形成方法によれば、濡れ性の良好な溶剤を用いているので、水分量を多く配合してもインクジェット方式で被塗布物表面に均一なハードコート被膜を形成することができる。
【0187】
本発明のハードコーティング用組成物は、固形分を少なくしたことにより、インクジェットヘッドでの吐出安定性に優れ、インクジェット方式での微小液滴の吐出による塗膜形成に適した特性を有する。
【0188】
本発明のハードコーティング用組成物は、固形分、水分及び溶剤をインクジェット方式による塗装のために最適化されたもので、インクジェットノズルでの吐出性に優れると共に、吐出された微小液滴で被塗布物の表面に均一に塗膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ピエゾ方式のインクジェットヘッドのノズル部分を拡大した断面図である。
【図2】(a)〜(g)は、接触角を測定する方法を示すフローチャートである。
【図3】各有機溶剤の接触角θの半値(θ/2)を示すグラフである。
【図4】インクジェットによる塗布方法を示す概念図である。
【図5】(a)、(b)は、それぞれ実施例で用いたスプレー塗布方法を示す概念図である。
【符号の説明】
1,1a,1b 被塗布物
10 インクジェットヘッド
20 ケース
21 収納空間
30 流路ユニット
31 ノズルプレート
32 流路形成基板
40 ダイヤフラム
41 ステンレス鋼板
51 ノズル開口部
52 共通インク室
53 ノズル連通口
54 圧力室
55 インク供給口
60 圧電振動子
61 圧電体
62 内部電極
Claims (2)
- 重合性有機化合物、無機微粒子並びに溶媒として水及び有機溶剤を含有するハードコーティング用組成物を、ピエゾ方式のインクジェットヘッドの微小ノズルから微小液滴として被塗布物に吐出して塗布し、塗布した前記ハードコーティング用組成物を硬化させるハードコート被膜の形成方法であって、
前記ハードコーティング用組成物の全組成物に対する前記水の配合量が30〜84重量%であり、かつ、前記ハードコーティング用組成物がセロソルブ類を水9に対して1の重量比で薄めた水溶液の接触角(θ/2)が15°以下の前記セロソルブ類を含有することにより、前記ハードコーティング用組成物そのものの接触角θの半値θ/2が15°以下であることを特徴とするハードコート被膜の形成方法。 - 請求項1に記載のハードコート被膜の形成方法において、
前記被塗布物の前記ハードコーティング用組成物を塗布する表面が紫外線照射による表面改質処理がされていることを特徴とするハードコート被膜の形成方法。
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