JP4016314B2 - 自動車用シート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗用車等の車両におけるシートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両におけるフロア下に格納する形式のシートでは、シートを格納したときフロアがフラットになるように設定されている。たとえば図9に示されるように、シート100はシートバック101とシートクッション102とを有し、通常の使用時には図示のようにフロア103上に配置され、格納時にはシートバック101およびシートクッション102を折り畳んで、フロア103の下に収納するようにしている。
【0003】
一方、たとえば特開平10−338064号公報に開示されるリヤシートの格納構造では、ルーフ後部に取り付けた回転アーム端にリヤシートを取り付け、格納時にはルーフに近接させて格納するようになっている。この構造ではラッゲージスペースの拡大を図ろうとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図9に示したものではシート100を格納することにより、その分スペースを拡大することができるものの、フロア103の下に収納するため、フロア103の高さ位置は自ずと高くなってしまう。したがって、室内スペースの有効な確保や利用が実質的に難しい。また、シート100を格納するための作業にはフロアボードの取外しや再度の取付けなどの面倒な作業が含まれ、格納作業が煩雑化せざるを得ない。
【0005】
なお、上述したリヤシートの格納構造は、専らリヤシートのみを対象とするものであり、室内スペース全体から見ると部分的なものに過ぎない。また従来、フロア上に設置されたレールに沿ってスライドするシートが知られているが、この場合フロアの段差等の構造的制約からシートのスライド量は制限される。
【0006】
この発明は以上の点に鑑み、室内スペースを有効にかつ効果的に拡大するとともに、機能性に優れた自動車用シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の自動車用シートは、室内ルーフに車両の前後方向に敷設され、複数の位置決め孔が形成されたガイドレールと、ガイドレールにスライダ及び回転軸を介して吊下されたシートユニットと、を有し、スライダはガイドレールにスライド可能に装着されると共に、位置決め孔に係合するスライドロックを備え、シートユニットはスライドロックが位置決め孔に係合していないときはガイドレールに沿って移動可能である一方、スライドロックが位置決め孔に係合することにより固定され、さらに、回転軸まわりに回動することによりルーフ部に格納可能としたことを特徴とする。
【0008】
上記構成において、前記シートユニットは、前記ガイドレールに回動可能に結合するアームを介して支持されたシート本体を有し、このシート本体が前記アームに対してスライド可能であることを特徴とする。
【0009】
また、上記構成において、前記シート本体は、相互に折畳み可能に結合するシートバック部とシートクッション部とを有し、シートバック部のフレームが前記アームにスライド可能に連結することを特徴とする。
【0010】
また、上記構成の自動車用シートにおいて、前記シートバック部の上部および前記シートクッション部の端部にそれぞれ着脱可能なシート支軸が横架され、各支軸にシート材の一端および他端が巻着されることを特徴とする。
【0011】
また、上記構成において、前記シート支軸の至近位置にシート支軸を装着可能なジョイント部を有することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明では、前記ガイドレールには複数の前記シートユニットが吊下されるようにし得る。
【0013】
この発明によれば、室内ルーフに敷設されたガイドレールに沿って前後に移動可能にシートユニットが吊下される。このシートユニットはガイドレールに回動可能に支持され、その回動軸のまわりに回動させることでルーフ部に格納することができる。その場合、シートユニットのシートバック部およびシートクッション部を折り畳んでコンパクトに格納することができ、これにより室内スペースを大幅に拡大することができる。
【0014】
また、シート材はシートバック部の上部およびシートクッション部のシート支軸にハンモック式に装架される。そして、各シート支軸はそれぞれ着脱可能に構成されているから、所望のシート支軸を外して所定部位に装着することにより、シート材によりトノカバー等を構成することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明による自動車用シートの好適な実施の形態を説明する。
図1は、この実施形態における全体構成を示している。図において、車両の室内ルーフに車両の前後方向に一対のガイドレール1が敷設されており、このガイドレール1に沿って前後に移動可能に、この例では3つのシートユニット10が吊下され、該シートユニット10をルーフ部に格納可能となっている。なお、図示例は助手席側の配置構成を示すものであるが、運転席側においてもその運転席を除き実質的に同様な構成となっている。
【0016】
図2は、シートユニット10まわりの主要構成を示している。図において、1は一対のガイドレール、2はガイドレール1にスライド可能に装着されたスライダ、3はスライダ2を連結する連結バーである。ガイドレール1にはスライダ2を位置決めするための複数の位置決め孔1aが所定ピッチに形成されている。
【0017】
ここで、図3に示すようにスライダ2にはスライドロック4が内蔵されており、このスライドロック4を位置決め孔1aに係合させることにより、スライダ2を所望位置で固定することができる。なお、スライドロック4は、たとえばワイヤケーブル5に接続された操作ボタン(図示せず)によって遠隔操作可能に構成されることができる。
【0018】
シートユニット10は、ガイドレール1に回動可能に結合するアーム11を介して支持されたシート本体12を有し、このシート本体12がアーム11に対してスライド可能である。アーム11は、回動軸13のまわりに回動可能である。
【0019】
シート本体12は、相互に折畳み可能に結合するシートバック部14とシートクッション部15を有する。シートバック部14およびシートクッション部15はそれぞれ、フレーム14a,15aを含んでおり、シートバック部14のフレーム14aがアーム11にスライド可能に連結している。フレーム14a,15aは相互に回転軸16のまわりに回転可能である。
【0020】
シートバック部14の上部およびシートクッション部15の端部には、それぞれ着脱可能なシート支軸17,18が横架されている。各支軸17,18にシート材19の一端および他端が巻着され、シート材19は図示のようにハンモック式に装架される。
ここで、図4に示すようにシート支軸17にはゼンマイ式スプリング20が装着されており、スプリング20の弾力によってシート材19を巻込み方向へ付勢するようになっている。
【0021】
シート支軸17の至近位置にジョイント部21が備えられている。このジョイント部21には後述するように、前後の別のシートユニット10のシート支軸17を装着することができるようになっている。
【0022】
上記構成において、各シートユニット10はスライダ2を介して、ガイドレール1に沿って前後に移動可能である。各シートユニット10を室内の所望の位置に配置し、その位置に固定することができる。また、図5において矢印で示すように、順次、シート本体12を折り畳んでシートバック部14のフレーム14aをアーム11に引っ込め、そしてアーム11を回動軸13のまわりに回動させることにより、点線で示されるようにシートユニット10をルーフ部に格納することができる。このようにシートユニット10はコンパクトに格納されることができ、室内スペースを大幅に拡大することができる。
【0023】
また、シート材19はシートバック部14の上部およびシートクッション部15のシート支軸17,18にハンモック式に装架される。これにより通常のシートとして適正に使用することができる。一方、シート支軸18をフレーム15aから外して、図6に示すように、たとえば前側のシートユニット10のジョイント部21に装着することにより、シート材19によりトノカバー等を構成することができる。なお、そのシート支軸18を、バックドアに配置されたジョイント部22に装着することでもトノカバー等を構成することができる。
【0024】
さらに、図7は別の機能を構成する例を示している。図7(A)に示すようにシートクッション部15を適度な角度だけ折り畳んでおくことにより、シート材19をポケット状に構成する。この場合、フロア上に置きたくない物品をシート材19の中に収納することができる。あるいはまた、図7(B)に示すように、シートユニット10をルーフ部に格納した際、シート材19を適度に引き出してその間に荷物等を保管することができる。
【0025】
上記のようにルーフ部への格納式とすることで室内スペースを大幅に拡大するとともに、トノカバー等の多機能性を具備するが、図8に示されるようにフローリング床等を装備することで極めて商品性の高い完全フラット低床フロアを実現することができる。このように室内空間の有効利用を図ることができるが、この場合、運転席のみは一般的な固定式シートとするのがよい。
【0026】
なお、上記実施形態においてシートユニット10を3つ連設する例を説明したが、その数量は必要に応じて適宜増減してもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、シートの使用/格納状態にかかわらず、有効かつ適正にフラットフロアを実現することができる。また、シートの格納とは無関係にフロアの高さを設定することができるため、低床フロアを実現し、ルーフ部付近を格納スペースとして利用することでフロア付近をラッゲージスペースとして有効活用することができる。さらに、シートユニットの配置位置を自由に設定することにより、シートの配置構成の自由度を格段に広げることができることに加え、トノカバー等の多機能性を実現する等の利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における全体構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態におけるシートユニットまわりの主要構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態におけるガイドレールまわりの構成を示す図2のA−A線に沿う断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるシート支軸まわりの構成を示す図2のB−B線に沿う断面図図である。
【図5】本発明の実施形態における作用例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態におけるトノカバー構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態におけるシートの機能構成例を示す図である。
【図8】本発明の実施形態におけるシート格納時の様子を示す図である。
【図9】従来のシート例を示す図である。
【符号の説明】
1 ガイドレール
2 スライダ
3 連結バー
4 スライドロック
5 ワイヤケーブル
10 シートユニット
11 アーム
12 シート本体
13 回動軸
14 シートバック部
14a,15a フレーム
15 シートクッション部
16 回転軸
17,18 シート支軸
19 シート材
20 スプリング
21 ジョイント部
Claims (6)
- 室内ルーフに車両の前後方向に敷設され、複数の位置決め孔が形成されたガイドレールと、上記ガイドレールにスライダ及び回転軸を介して吊下されたシートユニットと、を有し、
上記スライダは上記ガイドレールにスライド可能に装着されると共に、上記位置決め孔に係合するスライドロックを備え、
上記シートユニットは上記スライドロックが上記位置決め孔に係合していないときは上記ガイドレールに沿って移動可能である一方、上記スライドロックが上記位置決め孔に係合することにより固定され、さらに、上記回転軸まわりに回動することによりルーフ部に格納可能としたことを特徴とする、自動車用シート。 - 前記シートユニットは、前記ガイドレールに回動可能に結合するアームを介して支持されたシート本体を有し、このシート本体が前記アームに対してスライド可能であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用シート。
- 前記シート本体は、相互に折畳み可能に結合するシートバック部とシートクッション部とを有し、シートバック部のフレームが前記アームにスライド可能に連結することを特徴とする、請求項2に記載の自動車用シート。
- 前記シートバック部の上部および前記シートクッション部の端部にそれぞれ着脱可能なシート支軸が横架され、各シート支軸にシート材の一端及び他端が巻着されることを特徴とする、請求項3に記載の自動車用シート。
- 前記シート支軸の至近位置にシート支軸を装着可能なジョイント部を有することを特徴とする、請求項4に記載の自動車用シート。
- 前記ガイドレールに複数の前記シートユニットが吊下されることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用シート。
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