JP4015734B2 - まぶすタイプの唐揚げ粉 - Google Patents

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勝宏 森
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば、肉、魚介類等の種物に、唐揚げ粉をまぶす工程において、粉塵の飛散が著しく少ないまぶすタイプの唐揚げ粉に関する。
【0002】
【従来の技術】
揚げ物用の衣材には、唐揚げ粉、バッター用ミックス粉、パン粉等、用途に応じて各種のものがある。
【0003】
から揚げ粉は、一般的に、小麦粉を主成分とし、必要に応じて調味料、香辛料等を配合して調製されている。バッター用ミックス粉は、水に溶いて使用するため、小麦粉のグルテンが形成され食感を悪くすることもある。バッター用ミックス粉に油脂を添加してグルテンの形成を抑制し、食感の改善をする試みはなされているが、まぶすタイプの唐揚げ粉は水に溶かないので、グルテンが形成されることはない。従って、油脂を添加しても食感が改善されるという効果はほとんどなく、まぶすタイプの唐揚げ粉に油脂を添加したという例はない。
【0004】
まぶすタイプの唐揚げ粉は、例えば、肉、魚介類等の種物にまぶし、油ちょうして唐揚げを作るのに利用されている。種物への唐揚げ粉の付着は、一般に、唐揚げ粉を入れた容器に、種物を入れ、攪拌することにより行なわれる。この時、攪拌が不充分だと、特に、種物に凹凸がある場合には、種物への唐揚げ粉の付着が、不均一になり、場合によっては、唐揚げ粉が付着しない部分ができてしまうこともある。そのため、種物に唐揚げ粉を均一に付着させる場合には、充分攪拌しなければならない。しかし、従来の唐揚げ粉は、種物に唐揚げ粉を均一に付着させるために、充分攪拌すると、粉塵が舞い上がり、厨房等の作業環境を汚してしまい、特に、多量に製造する場合には、大きな問題となっていた。
【0005】
そこで、この問題を解決するため、▲1▼種物への唐揚げ粉の付着工程を、密閉した容器内で行なう、▲2▼種物へ唐揚げ粉を付着させるための容器の近傍に集塵装置を設ける等の方法が考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記▲1▼の方法は、特に、業務用等で大量の唐揚げを製造する場合には、設備が大掛かりになってしまうという問題がある。また、▲2▼の方法も、やはり設備が大掛かりとなり、設備費、及び維持費がかかりすぎてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、例えば、肉、魚介類等の種物に、唐揚げ粉をまぶす工程において、粉塵の飛散を著しく少なくすることができ、したがって、作業環境を汚すことが少ないまぶすタイプの唐揚げ粉を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のまぶすタイプの唐揚げ粉は、少なくとも小麦粉と油脂とを含み、小麦粉100 重量部に対して油脂0.1 〜1.0 重量部の配合とされ、油脂が均一に混合、分散されていることを特徴とする。
【0009】
以下、本発明について、好ましい態様を挙げて詳細に説明する。
【0010】
本発明のまぶすタイプの唐揚げ粉は、従来から一般的に使用されている唐揚げ粉に、所定量の油脂を、均一に混合、分散させたものである。したがって、油脂以外の成分は、小麦粉、調味料、香辛料等、従来から一般的に用いられているものを用いることができ、または、それ以外でも、必要に応じて配合することができる。
【0011】
油脂は、食用油脂であって、唐揚げ粉中に均一に混合、分散させることができるものであればよく、例えば、植物性ショートニング、大豆油、ナタネ油、綿実油、パーム油、オリーブ油、各種硬化油、牛脂、魚油、バター、マーガリン等を用いることができ、これらのうち植物性のものが好ましく、植物性ショートニングが特に好ましい。
【0012】
油脂の配合量は、小麦粉100 重量部に対して油脂0.1 〜1.0 重量部とする。油脂の配合量が0.1 重量%に満たない場合は、全体にまんべんなく分散させるのが困難であり、また、粉塵の飛散防止効果が充分には期待できなくなり、1.0 重量%を超える場合には、粉がベトベトして作業性が悪くなり、また、衣を均一に付着させることが困難になる。
【0013】
油脂を混合する方法は、全体に、均一に混合、分散させることができれば、いずれの方法を用いてもよい。例えば、必要に応じて調味料、香辛料等を配合した小麦粉を、例えばミキサー等で攪拌しながら、油脂を霧状に噴霧して、均一に分散させる方法等が好ましい。噴霧する際、油脂が液状の場合はそのまま、固体状の場合は必要に応じて加熱して液状にして噴霧するとより微細にすることができるので好ましい。
【0014】
なお、本発明のまぶすタイプの唐揚げ粉は、油脂が均一に混合、分散されていればよく、小麦粉に、調味料、香辛料等を配合した後、油脂を混合、分散させてもよいが、小麦粉に、予め油脂を混合、分散させた後、調味料、香辛料等を配合してもよい。
【0015】
このようにして得られた本発明の唐揚げ粉は、従来の一般的な唐揚げ粉と同様に用いることができる。すなわち、本発明の唐揚げ粉を容器に入れ、例えば肉、魚介類、野菜等の種物を入れて、充分攪拌し、種物に、唐揚げ粉を均一に付着させた後、油ちょうする。本発明の唐揚げ粉は、種物に唐揚げ粉を付着させる際に、充分攪拌しても粉塵はほとんど舞い上がらず、厨房等の作業環境を汚すことがほとんどない。
【0016】
【作用】
本発明のまぶすタイプの唐揚げ粉は、少なくとも小麦粉と油脂とを含み、小麦粉100 重量部に対して油脂0.1 〜1.0 重量部の配合とされ、油脂が均一に混合、分散されているので、唐揚げの種物に、唐揚げ粉を付着させる際に、充分攪拌しても粉塵がほとんど舞い上がらず、したがって、例えば業務用等で唐揚げを大量に製造しても、厨房等の作業環境を汚すことがほとんどない。すなわち、種物に唐揚げ粉を付着させる作業が容易になり、作業環境の清掃等も容易になり、また、衛生的である。
【0017】
【実施例】
実施例1
小麦粉100 重量部を、ミキサーに入れ、ミキサーで攪拌しながら、約70℃に加熱して溶融した植物性ショートニング0.1 重量部を霧状に噴霧し、攪拌を30分間続けて油脂添加小麦粉を得た。
【0018】
得られた油脂添加小麦粉100 重量部に、調味料15重量部と、香辛料5重量部とを加えてまぶすタイプの唐揚げ粉を得た。
【0019】
実施例2〜3
実施例1の植物性ショートニングの量を表1に示すように代え、後は実施例1と同様にして唐揚げ粉を得た。
【0020】
比較例1
小麦粉100 重量部に、調味料15重量部と、香辛料5重量部とを加えてまぶすタイプの唐揚げ粉を得た。
【0021】
比較例2〜4
実施例1の植物性ショートニングの量を表1に示すように代え、後は実施例1と同様にして唐揚げ粉を得た。
【0022】
実験例1
実施例1〜3、及び比較例1〜4で得られた唐揚げ粉の飛散状態を測定した。
【0023】
なお、飛散状態は、それぞれ1k gの唐揚げ粉を、5コートのホバートミキサーのボウルに入れ、ビーターを使用して3分間低速で攪拌した後、ホバートミキサーのボウルの上縁部に飛散して堆積した唐揚げ粉の量を目視により観察し、更に、その飛散した唐揚げ粉を集めて秤量することにより行なった。その結果を表1に示す。
【0024】
【表1】
Figure 0004015734
【0025】
表1の結果から、粉塵の飛散量は、油脂の添加量が多いほど抑制され、小麦粉100 重量部に対して、油脂を0.1 重量部以上配合したものは、飛散を防止する効果がかなり現われていることがわかる。
【0026】
実験例2
実施例1〜3、及び比較例1〜4の唐揚げ粉を用いて、鶏肉の唐揚げを製造し、唐揚げ粉の物性、鶏肉に唐揚げ粉を付着させる際の粉塵の飛散状態、付着の均一性、得られた鳥肉の唐揚げの揚げ色、食感を評価した。
【0027】
唐揚げは次のようにして製造した。それぞれの唐揚げ粉20kgを深底のバットに入れ、その中に適宜大きさに切断した骨付き鶏肉 5kgを加え、2分間まんべんなく攪拌して、骨付き鶏肉に唐揚げ粉を付着させた後、170 ℃の揚げ油で、8分間油ちょうした。
【0028】
得られた鶏肉の唐揚げを、10名のパネラーに試食させ、その揚げ色、食感について評価させた。
【0029】
唐揚げ粉の物性、骨付き鶏肉に唐揚げ粉を付着させる際の粉塵の飛散状態、付着の均一性、得られた鶏肉の唐揚げの揚げ色、食感の評価を表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 0004015734
【0031】
表2の結果から、油脂を配合しない比較例1と、小麦粉100 重量部に対して油脂を0.05重量部配合した比較例2を除いたもの、すなわち小麦粉100 重量部に対して油脂を0.1 重量部以上配合した実施例1〜3、及び比較例3〜4は粉塵の飛散が殆どないことがわかる。しかし、これらのうち、小麦粉100 重量部に対して油脂を1.0 重量部を超えて配合した比較例3〜4は、唐揚げ粉がベタベタした触感で、付着の均一性が劣ることがわかる。
【0032】
また、得られた唐揚げの揚げ色、食感は、比較例1〜2、及び実施例1〜3の、油脂の配合量が1.0 重量部以下のものが優れ、油脂を1.0 重量部を超えて配合した比較例3〜4は好ましくないことがわかる。
【0033】
したがって、これらを総合すると、小麦粉100 重量部に対して油脂を0.1 〜1.0 重量部配合した実施例1〜3の唐揚げ粉が、粉塵飛散防止効果、得られた唐揚げの揚げ色、食感共に優れていることがわかる。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のまぶすタイプの唐揚げ粉は、例えば、肉、魚介類等の種物に、唐揚げ粉をまぶす工程において、粉塵の飛散を著しく少なくすることができる。したがって、作業環境を汚すことが少なく、特に、唐揚げを大量に製造する際等に、好適である。

Claims (1)

  1. 少なくとも小麦粉と油脂とを含み、小麦粉100 重量部に対して油脂0.1 〜1.0 重量部の配合とされ、油脂が均一に混合、分散されていることを特徴とするまぶすタイプの唐揚げ粉。
JP01324698A 1998-01-08 1998-01-08 まぶすタイプの唐揚げ粉 Expired - Lifetime JP4015734B2 (ja)

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