JP4014969B2 - 偏光フィルム用離型保護フィルムおよびそれを用いた偏光板 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置などの偏光板に用いられる偏光フィルム用離型保護フィルムおよびそれを用いた偏光板に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、液晶表示装置などに装着して使用される偏光板としては、例えば本発明の偏光板を示す図1ような構成の偏光板20が知られいる。すなわち、偏光子4の両面を保護層となる偏光子用保護フィルム3で接着剤7を介して挟着して偏光フィルム10が構成される。偏光フィルム10の片側(図1において上側)には粘着剤6を介して偏光フィルム用保護フィルム1が貼付されている。偏光フィルム10の他の片側(図1において下側)には位相差フィルム5を接着し、その上に粘着剤6を介して、偏光フィルム用保護フィルム1と同一構成のフィルムの片面に離型剤8を塗布した偏光フィルム用離型保護フィルム2が貼付されている。
【0003】
偏光子4はポリビニルアルコールなどの親水性高分子からなるフィルムにヨウ素または二色性染料を吸着させ、延伸配向させたものが使用される。偏光子4の耐久性や機械的特性を保持する偏光子保護用フィルム3は、光学的に透明であること、すなわち複屈折が発現し難いこと、耐熱性を有していること、機械的強度が高いこと、表面が平滑であること、接着剤7や粘着剤6との良好な密着性を有していることが必要とされ、トリアセチルセルロースなどのフィルムが用いられる。位相差フィルム5は鮮明な色彩と精細な画像を得るために、全面において均一な複屈折が得られ、高温高湿の厳しい環境下でも光学的性質が変化しないことが要求され、ポリカーボネートの1軸延伸フィルムなどが用いられている。
【0004】
偏光フィルム用保護フィルム1および偏光フィルム用離型保護フィルム2は、それぞれ偏光フィルム10の流通過程や液晶表示装置への取付工程などにおいて、偏光フィルム10や位相差フィルム5の表面を汚染したり損傷したりすることを防止する目的で用いられるものであり、粘着剤6を介して偏光フィルム10または位相差フィルム5に粘着され、液晶表示装置へ取付ける際に容易に剥離可能であることが望ましい。特に、偏光フィルム用離型保護フィルム2においては、粘着剤6との粘着面に離型剤8を塗布しておき、剥離を付勢することが好ましい。
【0005】
これらの偏光フィルム用保護フィルム1および偏光フィルム用離型保護フィルム2としては、それぞれ偏光子保護用フィルム3と同様に複屈折が発現し難いこと、耐熱性を有していること、機械的強度が高いこと、表面が平滑であること、粘着剤6との良好な密着性を有していることに加えて吸湿性が小さいことが必要とされ、二軸延伸配向したポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルム、熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、二軸延伸配向したポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルムにおいては、フィルムに生じる不均一な複屈折を完全に回避することが困難であり、偏光板20をクロスニコルの間に挿入してバックライトからの透過光を肉眼観察して輝点や色ムラなどの光学的欠陥を検出する際に玉虫色の干渉色が発生し、偏光フィルム10のみの色ムラ欠陥が見づらくなり、欠陥品の検出が著しく困難になっている。
【0007】
また、離型剤8は有機溶剤に希釈したものを偏光フィルム用離型保護フィルム2の面に塗布するが、溶媒が付着した際にフィルム2が収縮したりフィルム2を構成している樹脂が結晶化しにくいことが必要である。また、離型剤塗布後に乾燥および離型剤を硬化させるためにオーブン中を通過させてフィルム2を加熱する際に搬送に必要な軽度の張力をフィルム2に負荷するが、張力が負荷された状態で加熱されることによりフィルム2が延伸され、搬送方向に1軸配向するおそれがあり、加熱時の耐延伸配向性も必要とされる。
【0008】
一方、熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムは延伸配向されても複屈折が生じにくく、保護フィルムとして好適に用いることができるが、ポリオレフィンフィルムやポリエステルフィルムと較べて極めて高価であり、コスト的に不利にならざるを得ない。
【0009】
本発明は、複屈折が極めて小さく、加熱時の耐延伸配向性に優れ、なおかつ安価な偏光フィルム用離型保護フィルムおよびそれを用いた光学的欠陥の検出が容易な偏光板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意研究し、ガラス転移温度が100℃以上であるポリカーボネートフィルムの両面または片面に特定の成分から構成されるポリエステルフィルムを積層してなる無配向の3層フィルムまたは2層フィルムを偏光フィルム用保護フィルムとして、また、ガラス転移温度が100℃以上であるポリカーボネートフィルムの両面に特定の成分から構成されるポリエステルフィルムを積層してなる無配向の3層フィルムの片面にシリコン系離型剤を塗布するか、またはポリカーボネートフィルムの片面に特定の成分から構成されるポリエステルフィルムを積層してなる無配向の2層フィルムのポリエステルフィルム面に離型剤を塗布して偏光フィルム用離型保護フィルムとすることにより、複屈折が極めて小さく加熱時の耐延伸配向性に優れ、なおかつ安価なフィルムが得られ、これらのフィルムを偏光フィルムに粘着することにより、光学的欠陥の検出が容易な偏光板が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
また、本発明の偏光フィルム用離型保護フィルムは、ポリカーボネートフィルムの両面にポリエステルフィルムを積層してなる3層フィルムの片面に離型剤を塗布してなる偏光フィルム用離型保護フィルム、または
ポリカーボネートフィルムの片面にポリエステルフィルムを積層してなる2層フィルムのポリエステルフィルム面に離型剤を塗布してなる偏光フィルム用離型保護フィルムであり、
前記3層フィルムまたは2層フィルムが無配向フィルムであること、
前記ポリエステルフィルムがブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体またはポリエチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の偏光フィルム用離型保護フィルムは、ポリカーボネートフィルムの片面に前記ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルム、他の片面に前記エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体からなるフィルムまたはポリエチレンテレフタレートを積層してなる3層フィルムの、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルム面に離型剤を塗布してなる、偏光フィルム用離型保護フィルムからなる。
【0016】
これらのいずれかの偏光フィルム用離型保護フィルムにおいて、離型剤がシリコン系離型剤であること、
ポリカーボネートのガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の偏光板は、上記のいずれかの偏光フィルム用離型保護フィルムおよびそれを用いた偏光板である。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図1から図5により詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明の偏光板の1実施形態を示し、図2および図3は本発明の偏光フィルム用保護フィルムの1実施形態を示し、図4および図5は本発明の偏光フィルム用離型保護フィルムの1実施形態を示す。
【0020】
本発明の偏光フィルム用保護フィルム1および片面に離型剤8を塗布した保護フィルム1と同一構成のフィルムを用いる偏光フィルム用離型保護フィルム2としては、図2に示すように、基材となるポリカーボネートフィルム30の両面に薄層のポリエステルフィルム40、41を積層してなる3層の無配向フィルム、または図3に示すように、基材となるポリカーボネートフィルム30の片面(図3において上側)に薄層のポリエステルフィルム40を積層してなる2層の無配向フィルムを用いる。ポリカーボネートフィルム30およびポリエステルフィルム40、41は、それぞれ肉眼で無色透明であり、また無配向とすることにより複屈折が殆どなく光学的にも無色となり、偏光板20の光学的欠陥の検出に悪影響を与えることがない。
【0021】
偏光子4としてはポリビニルアルコールなどの親水性高分子からなるフィルムにヨウ素または二色性染料を吸着させた後、延伸配向させたものが使用されるが、延伸配向後に熱固定するとヨウ素が揮散してしまうため、熱固定を施さずに使用される。そのため周囲の温度変化や湿度変化によって大きく伸縮する。このため、偏光子4を挟着して温度変化や湿度変化による変形を拘束する偏光子保護用フィルム3としては、光学的に透明であることに加えて耐熱性を有していることが必要とされる。さらに、その外側に粘着される偏光フィルム用保護フィルム1や偏光フィルム用離型保護フィルム2においても、同様に耐熱性を有し、さらに吸湿性が小さいことが必要とされる。ポリカーボネートフィルム30を形成するポリカーボネートは優れた耐熱性を有しており、吸湿性が小さく、機械的強度も高いが、さらにそのガラス転移温度としては100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が100℃未満であると、偏光子4に対する拘束力が不足し、ポリカーボネートフィルム30自体が収縮して偏光板20に反りが生じる場合も生じる。
【0022】
ポリカーボネートは、二環二価フェノール類とホスゲンとから誘導される炭酸エステル樹脂であり、高いガラス転移温度と耐熱性を有することを特徴とする。ポリカーボネートとしては、ビスフェノール類、例えば表1に示すものから誘導されるポリカーボネートが用いられる。
【0023】
【表1】
Figure 0004014969
【0024】
これらのポリカーボネートは、前記条件を満足する限り、ホモポリマーまたは共重合体あるいはこれらの2種以上をブレンドしてなる樹脂であってもよい。
【0025】
偏光フィルム用離型保護フィルム2としては、図4に示すように、基材となるポリカーボネートフィルム30の両面に薄層のポリエステルフィルム40、41を積層して形成されている偏光フィルム用保護フィルム1と同一構成の3層の無配向フィルムの片面(図4においてポリエステルフィルム40の上面)に、離型剤8を有機溶媒で希釈して塗布もしくはスプレーし、次いで乾燥固化させたもの、または図5に示すように、ポリカーボネートフィルム30の片面にポリエステルフィルム40を積層してなる2層の無配向フィルムのポリエステルフィルム40の面に、離型剤8を有機溶媒で希釈して塗布もしくはスプレーし、次いで乾燥固化させたものが用いられる。無配向のポリカーボネートフィルム30は耐有機溶媒性に乏しく、有機溶媒を付着させると収縮したり、白濁して不透明となるので、ポリカーボネートフィルム30の片面にポリエステルフィルム40を積層した2層フィルム、またはポリカーボネートフィルム30の両面にポリエステルフィルム40、41を積層した3層フィルムが用いられる。
【0026】
ポリエステルフィルムとしては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、ジフェニルスルホンカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、3,3−ジエチルコハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、セバシン酸、スベリン酸、ドデカジカルボン酸などのジカルボン酸と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、デカメチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサジオール、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホンなどのジオールを、それぞれ1種を重縮合してなるホモポリマー、またはジカルボン酸1種以上とジオール2種以上を重縮合してなる共重合体、あるいはジカルボン酸2種以上とジオールを1種以上を重縮合してなる共重合体、およびこれらのホモポリマーや共重合体を2種以上ブレンドしてなるブレンド樹脂のいずれかのポリエステル樹脂からなるフィルムを用いることができる。
【0027】
ポリエステルフィルムは、離型剤を溶解させるための有機溶媒が付着しても収縮したりすることがないように結晶化速度が大であることが好ましい一方で、離型剤塗布後に乾燥かつ硬化させるために、フィルムに搬送に必要な軽度の張力を負荷して加熱オーブンを通過させる際に、張力によって搬送方向に1軸配向して熱固定され配向結晶が生じてフィルムに不均一な複屈折が生じることのないように結晶化速度が小である必要もある。この相反する特性を満足するポリエステルフィルムとしては、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、ポリエチレンテレフタレートからなるフィルムを挙げることができる。また、3層フィルムの場合は、離型剤が塗布される側のポリエステルフィルムをブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルムとし、離型剤が塗布されない側のポリエステルフィルムをエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、またはポリエチレンテレフタレートからなるフィルムとすることがより好ましい。
【0028】
偏光フィルム用保護フィルム1は、必ずしも偏光フィルム用離型保護フィルム2のように離型剤を塗布して用いられるとは限らないが、帯電防止剤や粘着剤などを塗布して設ける場合もあるので、偏光フィルム用離型保護フィルム2と同様に、基材となるガラス転移温度が100℃以上であるポリカーボネートフィルム30の両面に上記の偏光フィルム用離型保護フィルム2に用いたのと同様のポリエステル樹脂からなる薄層のフィルム40、41を、偏光フィルム用離型保護フィルムと同一構成で積層してなる3層フィルム、またはポリカーボネートフィルム30の片面に上記の偏光フィルム用離型保護フィルム2に用いたのと同様のポリエステル樹脂からなるフィルム40を積層してなる2層フィルムを用いることが好ましい。
【0029】
上記の3層フィルムの厚さは、ポリエステル(1〜10μm)/ポリカーボネート(10〜50μm)/ポリエステル(1〜10μm)であること、また上記の2層フィルムの厚さは、ポリカーボネート(10〜50μm)/ポリブチレンテレフタレート(1〜10μm)であることが好ましい。ポリカーボネートフィルム30の厚さが10μm未満であると、離型剤、帯電防止剤、粘着剤などの塗布工程における加熱による偏光フィルム用保護フィルム1または偏光フィルム用離型保護フィルム2の変形を十分に拘束することができない。ポリカーボネートフィルム30の厚さが50μmを超えると拘束の効果が飽和して経済的でなくなる。これらのポリカーボネートフィルム30の厚さに対して、ポリエステルフィルム40、41の厚さは1/30〜1/5であることが好ましい。1/30未満ではポリカーボネートに耐有機溶媒性を十分に付与することができない。ポリエステルフィルム40、41のポリカーボネートフィルム30に対する厚さが増加すると、偏光フィルム10およびポリブチレンテレフタレート40、41の両方が変形した場合、3層フィルムまたは2層フィルムの全体が変形する恐れがある。そのため、ポリエステルフィルム40、41の厚さがポリカーボネートフィルム30の厚さに対して1/5を超えると拘束の効果が飽和して経済的でなくなる。
【0030】
上記の3層フィルムまたは2層フィルムは、共押出法などの公知のフィルム製造方法を用いて作成することができる。また、3層フィルムまたは2層フィルムは長尺帯状の形状で製造され、コイラーに巻き取ったり、コイラーに巻き取られた状態から巻き戻しながら、離型剤を塗布されたり、基板フィルム3や位相差フィルム5と粘着されるが、3層フィルムにおいてポリエステルフィルム40、41のいずれか一方または両方、また2層フィルムにおいてポリカーボネートフィルム30とポリエステルフィルム40のいずれか一方または両方に粒径が0.1〜3.0μmのシリカ粉末などの滑剤を0.05〜3重量%含有させておくと、巻き取り作業や巻き戻し作業を円滑に行うことができる。滑剤を含有していないと、特にコイラーに巻き取る作業が極めて困難になる。滑剤の粒径および含有量が上記の範囲内であれば、偏光板20の光学的欠陥の検出に悪影響を与えることはない。
【0031】
偏光フィルム用離型保護フィルム2に塗布する離型剤8としては、シリコン系離型剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸エステル、金属石鹸、フルオロカーボンなどを用いることができ、これらのいずれかをトルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に溶解または分散させた溶液あるいはエマルジョンを塗布もしくはスプレーした後、130〜140℃に加熱したオーブン中を通過させて乾燥固化させる。このように離型剤8を有する偏光フィルム用離型保護フィルム2を、粘着層6を介して位相差フィルム5に粘着しておくと、液晶表示装置へ取付ける際に容易に剥離することができる。
【0032】
以上のようにして作成される、無配向の3層フィルムまたは2層フィルムを用いた偏光フィルム用保護フィルム1のいずれかおよび3層フィルムの片面または2層フィルムのポリエステルフィルム面に離型剤8を有する偏光フィルム用離型保護フィルム2のいずれかを用いて、偏光板20を構成する。すなわち、偏光子4の両面を保護層となる偏光子用保護フィルム3で接着剤7を介して挟着してなる偏光フィルム10の片側に、粘着剤6を介して偏光フィルム用保護フィルム1を貼付し、偏光フィルム10の他の片側に位相差フィルム5を接着し、その上に粘着剤6を介して、離型剤8を塗布した偏光フィルム用離型保護フィルム2を、離型剤8が粘着剤6と接するようにして貼付する。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の液晶表示装置などの偏光板に用いられる偏光フィルム用保護フィルムは、ガラス転移温度が100℃以上であるポリカーボネートフィルムの両面にポリエステルフィルムを積層してなる無配向の3層フィルムまたはポリカーボネートフィルムの片面にポリエステルフィルムを積層してなる無配向の2層フィルムからなる。同様に、本発明の液晶表示装置などの偏光板に用いられる偏光フィルム用離型保護フィルムは、ガラス転移温度が100℃以上であるポリカーボネートフィルムの両面にポリエステルフィルムを積層してなる無配向の3層フィルムの片面またはポリカーボネートフィルムの片面にポリエステルフィルムを積層してなる無配向の2層フィルムのポリエステルフィルムの面にシリコン系離型剤を塗布してなる。ポリエステルフィルムとして、ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、ポリエチレンテレフタレートのいずれかからなるフィルムは離型剤を溶解させるための有機溶媒が付着しても収縮したりすることがなく、また離型剤塗布後に乾燥かつ硬化させるために、フィルムに搬送に必要な軽度の張力を負荷して加熱オーブンを通過させても、張力によって搬送方向に1軸配向して熱固定され配向結晶が生じることがなく、そのためフィルムに不均一な複屈折が生じることがない。そのため、3層フィルムの場合、離型剤が塗布される側のポリエステルフィルムをブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルムとし、離型剤が塗布されない側のポリエステルフィルムをエチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、またはポリエチレンテレフタレートからなるフィルムとすることがより好適である。
【0034】
このようにして構成される3層フィルムまたは2層フィルムは、肉眼で無色透明であり、配向結晶が存在しないために複屈折が殆どなく光学的にも無色であるので、偏光子を有する偏光板の保護フィルムおよび偏光フィルム用離型保護フィルムとして用いた場合、偏光板の光学的欠陥の検出に際して干渉色を発現して検出に悪影響を与えることがないので、欠陥品の検出を極めて容易に行うことができる。また、位相差フィルムの複屈折に影響することがないので、複屈折が均一であることから複屈折を調整するために用いられる極めて高価な熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムを用いる必要が無く、偏光板を低コストで製造することができる。
【0035】
3層フィルムは基材となるポリカーボネートフィルムの両面に、2層フィルムはポリカーボネートフィルムの片面にポリカーボネートフィルムの1/30〜1/5の厚さの薄層のポリエステルフィルム積層してなる。ポリカーボネートは100℃以上の高いガラス転移温度を有しており、温度変化や湿度変化により変形しにくく、これらの外的要因によって変形しやすい偏光子を含む偏光フィルムを、偏光フィルム用保護フィルムおよび偏光フィルム用離型保護フィルムとして挟着することにより、偏光子を含む偏光板の外的要因による変形を防止することができる。しかし、無配向のポリカーボネートは耐有機溶媒性に乏しく、有機溶媒を付着させると収縮したり、白濁して不透明となるので、耐有機溶媒層として薄層のポリエステルフィルムをポリカーボネートフィルムの両面または有機溶媒が付着する片面に積層する。偏光フィルム用離型保護フィルムは3層フィルムの片方のポリエステルフィルム、または2層フィルムのポリエステルフィルムにシリコン系の離型剤の有機溶媒溶液を塗布して作成されるが、ポリカーボネートフィルムは有機溶媒と直接接することがないので、離型フィルムが収縮したり白濁したりすることがない。
【0036】
また、本発明の偏光板は、偏光子の両面を保護層となる偏光子用保護フィルムで接着剤を介して挟着してなる偏光フィルムの片側に粘着剤を介して本発明の偏光フィルム用保護フィルムを貼付し、偏光フィルムの他の片側に直接、または選択的に位相差フィルムを接着して位相差フィルム上に、粘着剤を介して、離型剤を塗布した本発明の偏光子用離型保護フィルムを離型剤が粘着剤と接するようにして貼付して構成されている。すなわち、本発明の偏光板は本発明の偏光フィルム用保護フィルムおよび偏光子用離型保護フィルムを最表面に有しているので、偏光フィルムや位相差フィルムの表面を汚染したり損傷したりすることがなく、また上記したように偏光板の光学的欠陥の検出に悪影響を与えることがなく、欠陥品の検出を極めて容易に行うことができる。また、極めて高価な熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムを用いる必要が無く、低コストで製造することができる。さらに、偏光子用離型保護フィルムは粘着剤を介して位相差フィルムに粘着されているので、流通過程や液晶表示装置への取付工程を経た後、容易に剥離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 偏光板の構成の一例を示す本発明の一実施形態である概略断面図
【図2】 本発明の偏光フィルム用保護フィルムの一実施形態を示す概略断面図
【図3】 本発明の偏光フィルム用保護フィルムの他の実施形態を示す概略断面図
【図4】 本発明の偏光フィルム用離型保護フィルムの一実施形態を示す概略断面図
【図5】 本発明の偏光フィルム用離型保護フィルムの他の一実施形態を示す概略断面図
【符号の説明】
1 : 偏光フィルム用保護フィルム
2 : 偏光フィルム用離型保護フィルム
3 : 偏光子用保護フィルム
4 : 偏光子
5 : 位相差フィルム
6 : 粘着剤
7 : 接着剤
8 : 離型剤
10 : 偏光フィルム
20 : 偏光板
30 : ポリカーボネートフィルム
40 : ポリエステルフィルム
41 : ポリエステルフィルム

Claims (11)

  1. ポリカーボネートフィルムの両面にポリエステルフィルムを積層してなる3層フィルムの片面に離型剤を塗布してなることを特徴とする偏光フィルム用離型保護フィルム。
  2. 前記3層フィルムが無配向フィルムであることを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルム用離型フィルム。
  3. 前記ポリエステルフィルムがブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、またはポリエチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の偏光フィルム用離型保護フィルム。
  4. ポリカーボネートフィルムの片面に前記ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルムを積層するとともに他の片面に前記エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体からなるフィルムを積層してなる3層フィルムにおけるブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルム面に離型剤を塗布してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の偏光フィルム用離型保護フィルム。
  5. ポリカーボネートフィルムの片面に前記ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルムを積層するとともに他の片面に前記ポリエチレンテレフタレートフィルムを積層してなる3層フィルムにおけるブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体からなるフィルム面に離型剤を塗布してなることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の偏光フィルム用離型保護フィルム。
  6. ポリカーボネートフィルムの片面にポリエステルフィルムを積層してなる2層フィルムのポリエステルフィルム面に離型剤を塗布してなることを特徴とする偏光フィルム用離型保護フィルム。
  7. 前記2層フィルムが無配向フィルムであることを特徴とする請求項6に記載の偏光フィルム用離型保護フィルム。
  8. 前記ポリエステルフィルムがブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート共重合体、エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート共重合体、またはポリエチレンテレフタレートのいずれかであることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の偏光フィルム用離型保護フィルム。
  9. 離型剤がシリコン系離型剤であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の偏光フィルム用離型保護フィルム。
  10. ポリカーボネートのガラス転移温度が100℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の偏光フィルム用離型保護フィルム。
  11. 請求項1から請求項10いずれか1項に記載の偏光フィルム用離型保護フィルムを用いたことを特徴とする偏光板。
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