JP4014513B2 - セラミックヒータ、積層型ガスセンサ素子及びその製造方法、並びに積層型ガスセンサ素子を備えるガスセンサ - Google Patents

セラミックヒータ、積層型ガスセンサ素子及びその製造方法、並びに積層型ガスセンサ素子を備えるガスセンサ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定対象気体中の特定ガスを検出するためのガスセンサ素子を加熱するためのセラミックヒータに関する。また、測定対象気体中の特定ガスを検出するための積層型ガスセンサ素子及びその製造方法、並びにその積層型ガスセンサ素子を備えるガスセンサに関する。なお、本発明の積層型ガスセンサ素子は、エンジンの排ガスセンサ(酸素センサ、炭化水素センサ、NOxセンサ等)及び他の各種センサ等に広く利用される。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関等において排ガス中の特定ガス成分を検出したり、その濃度の測定を行ったりする各種のセンサ(酸素センサ、炭化水素センサ、NOxセンサ等)として積層型ガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)を用いるものが知られている。そして、この種の素子としては、酸素イオン伝導型固体電解質体(ジルコニア等)からなり、その両面に電極が設けられた板状の検出層を用いて構成されるものが従来より提案されている。
【0003】
このような素子の固体電解質体からなる検出層は、一般に300℃以上の高温で活性状態となり、酸素濃淡電池として動作するものである。そこで、検出層を加熱して当該検出層の早期活性化を図るべく、抵抗発熱体(発熱抵抗体)を内部に埋設した板状のセラミック製の基体を備えるセラミックヒータを、検出層に近接して配置させることが提案されている。また、近年では、抵抗発熱体を内部に埋設した基体上に、上記検出層を積層した板状の素子本体を備える積層型ガスセンサ素子が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−013961号公報(第3図参照)
【特許文献2】
特開平7−120429号公報(第1図参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、内燃機関の排気管を通過する排気ガス中には、水滴や油滴などが含まれており、この水滴等がガスセンサの使用時にセラミックヒータや素子に付着することがあると、それらにクラックが発生することがある。詳細には、上記セラミックヒータ及び抵抗発熱体を備える基体上に検出層が形成された積層型ガスセンサ素子は、ガスセンサの使用時において、排ガス(測定対象気体)に晒されると共に、抵抗発熱体によって発熱されているために、水滴等が接触すると、その水滴が付着した部分とその周囲との間に大きな温度差を生じ、これに起因する熱衝撃にてクラックが発生することがある。
【0006】
なお、この問題に対しては、この素子を排気管に設置する際に、例えば素子の周囲に通気穴を複数有するプロテクタを設けて素子を保護するなどの対策を行うことで、水滴や油滴などが素子に接触するのを抑制することが可能である。しかし、プロテクタ形状だけではセラミックヒータや素子への水滴等の付着を完全に遮断することができず、上記クラックの発生を保護するには十分とは言い難い。また、セラミックヒータや素子の取付け位置によっては、プロテクタの壁面等に凝縮した凝縮水が、エンジン始動後、セラミックヒータや素子に直接かかり、上記クラックを誘発する場合がある。
【0007】
本発明者らが、水滴の接触(付着)による上記クラックの発生について鋭意検討してみたところ、上記セラミックヒータを構成する基体や素子を構成する素子本体は、断面略四角形状を有する板型形状をなすことから、上記基体ないし上記素子本体に角部が形成されることになるが、この角部に水滴等が付着するとクラックの発生につながり易いことが分かった。また、本発明者らの検討によると、セラミックヒータでは、基体の少なくとも測定対象気体に晒されることになる先端側であって、その基体の表裏面と側面とで構成された長手方向に延びる角部に対し水滴が付着すると、その角部に熱応力が集中し易く、クラックが生じ易いことが分かった。さらに、抵抗発熱体を有する素子では、素子本体の少なくとも測定対象気体に晒されることになる先端側であって、その素子本体の長手方向に延びる各角部のうち抵抗発熱体の配置位置に近い側の角部に対し水滴が付着すると、その角部に熱応力が集中し易く、クラックが生じ易いことが分かった。
【0008】
なお、上述した従来公知の特許文献では、抵抗発熱体を有する積層型ガスセンサ素子の外表面を多孔質の保護層で被覆した構造が開示されている。しかしながら、これら特許文献に開示された保護層は、素子本体の角部への水滴の付着によるクラック発生を防止するためのものではなく、排気ガスの凝縮成分よりガス透過層の目詰まりを防止するために形成されたものに過ぎない。そのために、素子本体の角部に多孔質の保護層を単に形成した従来の素子であっても、角部への水滴の付着によるクラック発生を防止するには十分ではなく、この角部を覆う保護層自体の改良が必要であった。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、水滴等の接触によっても、抵抗発熱体を有する板状の基体にクラックが生じることを防止することができるセラミックヒータを提供することを目的とする。また、水滴等の接触によっても、抵抗発熱体を有する基体上に検出層を積層してなる板状の素子本体にクラックが生じることを防止することができる積層型ガスセンサ素子及びその製造方法、並びにその積層型ガスセンサ素子を備えるガスセンサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
その解決手段として、本発明のセラミックヒータは、通電により発熱する抵抗発熱体と、上記抵抗発熱体を内部に埋設してなる板状のセラミック製の基体とからなり、測定対象気体中の特定ガスを検出するためのガスセンサ素子を加熱するためのセラミックヒータであって、該基体の少なくとも測定対象気体に晒されることになる先端側であって、その基体の長手方向に延びる各角部の1以上を少なくとも覆うように2層の多孔質層が積層された多孔質保護層が形成され、該多孔質保護層の厚さは該角部から20μm以上であり、上記多孔質保護層は、上記基体に接する最下層として形成されると共に当該基体に同時焼成された多孔質接着層と、該多孔質接着層上に形成されると共に、上記測定対象気体に晒される多孔質表面層とからなり、上記多孔質接着層の空孔率が、上記多孔質表面層の空孔率よりも大きく、且つ上記多孔質接着層の外表面が粗面化されてなることを特徴とする。
【0011】
本発明のセラミックヒータでは、基体のうちで、少なくとも測定対象気体に晒されることになる先端側であって、水滴等の接触(被水)によってクラックの発生を招き易い基体の長手方向に延びる各角部の1以上に、20μm以上の多孔質保護層を形成している点が注目すべき点である。このように20μm以上の多孔質保護層を形成することにより、この多孔質保護層に付着した水滴は、多数の細孔(気孔)を分散しながら緩慢に浸透していく。従って、多孔質保護層の内側に位置する素子本体の角部に到達する前に水滴を分散でき、素子本体に生ずる温度勾配を小さくし、熱衝撃を有効に抑制することができる。その結果、被水による基体へのクラック発生を防止したセラミックヒータを得ることができる。なお、セラミックヒータは、使用時において、高温の排ガス(測定対象気体)に晒されたり、抵抗発熱体自身による発熱により高温状態となるので、多孔質保護層を浸透する水滴については、その周囲の熱により適宜蒸発される。
【0012】
本発明の多孔質保護層は、上記のように基体の長手方向に延びる角部にのみ形成されていても良いし、この角部及び角部以外の表面(例えば、測定対象気体に晒される先端側の表面全周)を覆うように形成されていても良い。更に、基体の略全面に多孔質保護層が形成されていても良い。また、板状の基体は、厚さ方向の断面をとったときに断面略四角形状であり、角部は4つ存在することになるが、この4つの角部のうち、上記多孔質保護層は1以上の角部を被覆するように形成されていれば良い。つまり、セラミックヒータのガスセンサ内での取付け位置を考慮し、凝縮水が付着し易い基体の角部を1以上選択して多孔質保護層を形成することで、被水による基体のクラック防止の効果が得られることになるからである。
【0013】
この多孔質保護層の材質は特に限定されないが、スピネル、アルミナ、ムライト等を主体とするセラミックから形成されることが好ましく、特にスピネル、アルミナが好ましい。なお、本明細書において「主体」とは、70質量%以上の質量含有率を占めることを指す。
【0014】
また、多孔質保護層の厚みは、被水による基体のクラック発生をより有効に防止するために30μm以上とすることが好ましく、50μm以上とすることがより好ましい。この多孔質保護層の厚みの上限値は特に限定されないが、製造コストや基体の角部からの剥離等を考慮して500μm以下(好ましくは300μm以下)とすることが好ましい。なお、本明細書において「多孔質保護層の厚さが基体の角部から20μm以上とする」とは、基体の厚さ方向の断面をとったときに、基体の角部と保護層の表面との間に直径20μmの仮想円が形成(内包)されることを意味するものである。
【0015】
そして、上述したセラミックヒータにおいて、上記多孔質保護層は、空孔率が15%〜65%の範囲内にあると良い。また、上記基体は、アルミナを主体に構成され、上記抵抗発熱体は貴金属を主体に構成されていると良い。
【0016】
さらに、上述したセラミックヒータにおいて上記多孔質保護層は、上記基体に接する最下層として形成される多孔質接着層と、該多孔質接着層上に形成されると共に、上記測定対象気体に晒される多孔質表面層とからなると良い。また、上記多孔質接着層の空孔率が、上記多孔質表面層の空孔率よりも大きいと良い。
【0017】
さらに、上述したセラミックヒータにおいて、上記基体のうちで上記抵抗発熱体が埋設される部位とは異なる部位に、該抵抗発熱体の劣化を防止するためのマイグレーション防止電極が形成されていると良い。
【0018】
ついで、他の解決手段として、本発明の積層型ガスセンサ素子は、内部に抵抗発熱体を有する基体に一対の電極を具備する検出層を積層した板状の素子本体を有し、測定対象気体中の特定ガスを検出するための積層型ガスセンサ素子において、該素子本体の少なくとも上記測定対象気体に晒されることになる先端側であって、その素子本体の長手方向に延びる各角部のうち該抵抗発熱体の配置位置に近い側の角部を少なくとも覆うように2層の多孔質層が積層された多孔質保護層が形成され、該多孔質保護層の厚さは該角部から20μm以上であり、上記多孔質保護層は、上記素子本体に接する最下層として形成されると共に当該素子本体に同時焼成された多孔質接着層と、該多孔質接着層上に形成されると共に、上記測定対象気体に晒される多孔質表面層とからなり、上記多孔質接着層の空孔率が、上記多孔質表面層の空孔率よりも大きく、且つ上記多孔質接着層の外表面が粗面化されてなることを特徴とする。
【0019】
本発明の積層型ガスセンサ素子(以下、単に「素子」ともいう)では、素子本体のうちで、少なくとも測定対象気体に晒されることになる先端側であって、抵抗発熱体の配置位置に近い側の長手方向に延びる各角部の1以上に、20μm以上の多孔質保護層を形成している点が注目すべき点である。このように20μm以上の多孔質保護層を形成することによる作用、効果については上述と同様である。このような構成を特定することにより、被水による素子本体へのクラック発生を防止した素子を得ることができる。なお、素子は、使用時において、高温の排ガス(測定対象気体)に晒されたり、抵抗発熱体自身の発熱によって高温状態となるので、多孔質保護層を浸透する水滴については、その周囲の熱により適宜蒸発される。
【0020】
この多孔質保護層の材質は特に限定されないが、スピネル、アルミナ、ムライト等を主体とするセラミックから形成されることが好ましく、特にスピネル、アルミナが好ましい。
また、多孔質保護層の厚みは、被水による基体のクラック発生をより有効に防止するために30μm以上とすることが好ましく、50μm以上とすることがより好ましい。この多孔質保護層の厚みの上限値は特に限定されないが、製造コストや基体の角部からの剥離等を考慮して500μm以下(好ましくは300μm以下)とすることが好ましい。なお、本明細書において「多孔質保護層の厚さが素子本体の角部から20μm以上とする」とは、素子本体の厚さ方向の断面をとったときに、素子本体の角部と保護層の表面との間に直径20μmの仮想円が形成(内包)されることを意味するものである。
【0021】
そして、上述した積層型ガスセンサ素子において、上記検出層は、酸素の濃度に対応して特性が変化する固体電解質体から形成されると良い。また、上記一対の電極は、検出層のうちで基体と面する側に形成される基準電極と、該基体と面する側とは反対側に形成される検知電極とからなり、上記素子本体は、上記検知電極上に電極保護層を積層する形態で形成されていると良い。
【0022】
さらに、上述した積層型ガスセンサ素子において、上記多孔質保護層は、空孔率が15%〜65%の範囲内にあると良い。上記基体は、アルミナを主体に構成され、上記抵抗発熱体は貴金属を主体に構成されていると良い。
【0023】
さらに、上述した積層型ガスセンサ素子において上記多孔質保護層は、上記基体に接する最下層として形成される多孔質接着層と、該多孔質接着層上に形成されると共に、上記測定対象気体に晒される多孔質表面層とからなると良い。また、上記多孔質接着層の空孔率が、上記多孔質表面層の空孔率よりも大きいと良い。
【0024】
さらに、上述した積層型ガスセンサ素子において、上記基体のうちで上記抵抗発熱体が埋設される部位とは異なる部位に、該抵抗発熱体の劣化を防止するためのマイグレーション防止電極が形成されていると良い。
【0029】
他の解決手段として、本発明の積層型ガスセンサ素子の製造方法は、基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体上に、一対の電極となる未焼成電極パターンと検出層となる検出層用未焼成シート又は検出層用ペーストを積層して板状の未焼成積層体を作り、ついで、該未焼成積層体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、その未焼成積層体の長手方向に延びる各角部のうち未焼成抵抗発熱体パターンの配置位置に近い側の角部を少なくとも覆うように、多孔質接着層であって第1多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成し、該未焼成被覆層が形成された未焼成積層体を焼成して外表面が粗面化された第1多孔質保護層が形成された素子本体を作製し、焼成後の該第1多孔質保護層上に多孔質表面層であって第2多孔質保護層となる未焼成第2被覆層を形成した上で熱処理を行って当該第2多孔質保護層を形成し、該第1多孔質保護層と該第2多孔質保護層との合計の厚みが20μm以上であり、該第1多孔質保護層の空孔率が、該第2多孔質保護層の空孔率よりも大きい積層型ガスセンサ素子を得ることを特徴とする。
【0030】
ところで未焼成積層体と未焼成被覆層を同時焼成することにより、角部に多孔質保護層が強固に固着した素子本体を得ることができる。しかし、同時焼成のみで多孔質保護層を形成する場合、未焼成積層体と未焼成被覆層との焼成収縮率の違い等により焼成条件を厳しく管理する必要があり、比較的厚みのある多孔質保護層を形成するには限界がある。一方、上述したように、未焼成積層体を焼成して素子本体を作った後に、その素子本体の角部に未焼成被覆層を形成して熱処理することで、角部に多孔質保護層を有する素子本体を得ることもできる。この手法によれば、上記同時焼成時のような焼成収縮率の問題を解消することができ、比較的厚みのある多孔質保護層を形成可能となる。しかし、この手法では、素子本体の角部と多孔質保護層との互いの結合力(固着強度)が弱くなりがちで、多孔質保護層が素子本体から剥離する可能性がある。
【0031】
これに対し、本発明の積層型ガスセンサ素子の製造方法では、まず未焼成基体上に、未焼成電極パターンと検出層用シート又は検出層用ペーストを積層してなる未焼成積層体の角部に、第1多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成し、これを同時焼成する。そして、得られた素子本体の角部を覆う第1多孔質保護層上に未焼成第2被覆層を形成して熱処理を行い、第2多孔質保護層を形成し、両多孔質保護層による合計の厚みを20μm以上とするようにしている。
【0032】
この製造方法によれば、多孔質保護層の最下部に位置することになる第1多孔質保護層を、素子本体の角部との同時焼成により強固に固着させることができる。そして、第1多孔質保護層の表面(外表面)は、空孔によって粗面化されているため、この表面を利用して第1多孔質保護層上に未焼成第2被覆層を形成して熱処理する。その結果、第1多孔質保護層のアンカー効果により第2多孔質保護層の固着強度を得つつ、比較的厚みのある第2多孔質保護層を形成することができる。
【0033】
したがって、本発明の積層型ガスセンサ素子の製造方法によれば、被水による素子本体へのクラック発生を防止することができ、素子本体の角部に対する多孔質保護層(第1多孔質保護層と第2多孔質保護層を合わせた層)の耐剥離性が向上した素子を得ることができる。また、この製造方法によれば、50μm以上の厚みを有する多孔質保護層を有する素子本体を、多孔質保護層の耐剥離性を確保した状態で容易にかつ確実に得ることができる。なお、上記熱処理後に得られた第2多孔質保護層の表面についても、空孔によって粗面化されているので、この第2多孔質保護層上にさらに未焼成第3保護層を形成し熱処理を行って、第1〜第3多孔質保護層が積層された素子本体を形成しても良いことは言うまでもない。
【0034】
また、上述した積層型ガスセンサ素子の製造方法においては、上記未焼成積層体を作製するにあたり、上記未焼成電極パターンのうちで基準電極となる基準電極パターンを上記未焼成基体と面する側に形成する一方、検知電極となる検知電極パターンを上記検出層用未焼成シート又は上記検出層用ペーストを介して該基準電極パターンと反対側に形成し、上記検知電極パターン上に電極保護層となるべき未焼成電極保護層を積層して該未焼成積層体を作製すると良い。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のセラミックヒータは、ガスセンサ素子に近接して当該ガスセンサ素子を加熱するためのものであって、抵抗発熱体を埋設した板状の基体のうち長手方向に延びる各角部の1以上を20μm以上の厚みを有する多孔質保護層により被覆したものである。また、本発明の積層型ガスセンサ素子は、抵抗発熱体を埋設した基体上に一対の電極を具備する検出層を積層した板状の素子本体のうち、抵抗発熱体の配置位置に近い側の角部を20μm以上の厚みを有する多孔質保護層により被覆したものである。
【0036】
上記「基体」は、セラミック焼結体であれば特に限定されず、このセラミックとしては、例えば、アルミナ、スピネル、ムライト、ジルコニア等を使用することができる。これらのうちの1種のみを用いることもでき、また2種以上を併用することもできる。この基体の具体的な構成としては、抵抗発熱体をセラミック(絶縁性セラミック)からなる第1基層と第2基層とで挟み込んだものが挙げられる。
【0037】
この基体は、電気絶縁性及び熱伝導性、機械的強度等を考慮して、アルミナを主体に構成することが好ましい(なお、本明細書において「主体」とは、上述したように70質量%以上の質量含有率を占めることを指す)。この基体におけるアルミナの質量含有率は、90質量%〜100質量%とすることが好ましく、95質量%〜100質量%とすることがより好ましい。一方、アルミナの質量含有率を70質量%以上100質量%未満として基体を形成する場合には、残部の成分として、焼成時のアルミナの粒成長を抑制することができる成分(例えば、ジルコニア)、又はこの基体と同時焼成に供されることになる他のセラミック層の主体をなす成分(例えば、固体電解質体からなる検出層の主体の成分)を含有させると良い。これにより、アルミナ結晶粒の粒成長を抑制できると共に、同時焼成時において基体と他のセラミック層との熱膨張差を緩和することができる。
【0038】
また、抵抗発熱体を埋設する上記基体は、アルカリ金属成分(特にLi成分、Na成分及びK成分)及びアルカリ土類金属成分(特にMg成分、Ca成分及びBa成分)をできるだけ含有しないことが好ましい。これらを過度に多く含有すると、後述する抵抗発熱体の作動時にイオン化したアルカリ金属イオン及びアルカリ土類金属イオンがマイグレーションを起こし、抵抗発熱体を細線化させたり又は断線させたりすることがあるため好ましくない。この基体に含有されるアルカリ金属成分及びアルカリ土類金属成分は、後述のマイグレーション防止電極を抵抗発熱体と併設して設けない場合には、基体全体を100質量%とした場合に、各元素の酸化物換算合計量で1質量%以下(好ましくは0.1質量%以下)にすることが好ましい。
【0039】
「抵抗発熱体」は、貴金属、タングステン、モリブデン等を使用することができる。貴金属としては、Pt、Au、Ag、Pd、Ir、Ru、Rh等が挙げられ、これらのうちの1種のみを使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。なお、抵抗発熱体は、耐熱性、耐酸化性等を考慮して貴金属を主体に構成することが好ましく、Ptを主体に構成することがより好ましい。また、この抵抗体発熱体には、主体となる貴金属にセラミック成分を含有させると良い。このセラミック成分は、抵抗発熱体が埋設されることになるセラミック製の基体の主体となる成分と同成分を含有することが、固着強度の観点から好ましい。この抵抗発熱体は、基体の内部に埋設されて外部から供給される直流電圧により発熱するものであり、通常、抵抗発熱体は、基体の表面に形成された直流電圧を受電するための通電用端子電極とスルーホールを介して電気的に接続される。
【0040】
また、抵抗発熱体は、通常、通電により発熱する発熱部と、外部から供給される直流電圧この発熱部まで通電し自身はほとんど発熱しないリード部とを有する。これら発熱部及びリード部の形状は各々特に限定されないが、例えば、発熱部をリード部より幅細とし、リード部より密なパターンとなるように蛇行させた形状を採用することができる。
【0041】
さらに、基体には、抵抗発熱体が埋設される部位とは異なる部位にマイグレーション防止電極(イオン化抑留導体)を設けることができる。基体内に通常含有される(不可避的に含有されるものも含む)アルカリ金属成分又はアルカリ土類金属成分は、直流電圧の印加によりイオン化し、通電時の抵抗発熱体の負極に集まることにより、抵抗発熱体の細線化や断線といった劣化を生ずるおそれがある。
【0042】
そこで、基体内にマイグレーション防止電極を設けた場合には、イオンはそのマイグレーション防止電極に引き寄せられ、抵抗発熱体(抵抗発熱体の負極)にはほとんど引き寄せられないものとすることができる。これにより、抵抗発熱体のマイグレーションに伴う細線化や断線といった劣化を防止することができると共に、抵抗発熱体の使用時での抵抗変化(増加)を防止することができる。その結果、セラミックヒータないし積層型ガスセンサ素子の信頼性を長期にわたって維持することができる。
【0043】
マイグレーション防止電極は、抵抗発熱体とは電気的に接続せずに単独で形成しても良く、抵抗発熱体の一部から分岐させて形成しても良い。単独に備える場合には、例えば、導体を接地(例えば、1V以下になるように)して、導通させないことでマイグレーション防止電極とすることができる。また、抵抗発熱体の一部から分岐させる場合には、例えば、抵抗発熱体の低電位側の端部から分岐させた導体を形成する一方、抵抗発熱体の高電位側とは導通させないことによりマイグレーション防止電極とすることができる。
【0044】
マイグレーション防止電極の形状は特に限定されず、例えば、直線的に延びる一本のパターンから形成されていても、蛇行形状に形成されていても良い。また、抵抗発熱体と同様の形状に形成されていても良い(この場合、一端側は抵抗発熱体と電気的に接続させない)。また、マイグレーション防止電極を構成する材料は特に限定されず、例えば、抵抗発熱体を構成する材料をそのまま適用することができる。
【0045】
ついで、本発明の主要要件である「多孔質保護層」は、細孔の気孔を複数有するものであって、空孔率が15%〜65%の範囲内にあることが好ましい。空孔率が15%未満の場合、多孔質保護層により水滴を分散させながら緩慢に浸透させていく機能を十分に発揮することができないことがある。また、空孔率が65%を超えると、多孔質保護層における水滴等の浸透度合いが高くなり、水滴等が基体ないし素子本体の角部に接触し易くなり、被水によるクラックの発生を防止する効果を十分に期待することができないおそれがある。
【0046】
上記空孔率は30%〜60%の範囲内にすることが好ましい。この範囲内にすることで、水滴等の分散効果が十分に得られると共に、多孔質保護層内での温度が均一化され、基体ないし素子本体に及ぶ熱衝撃の緩和能力を高めることができる。なお、空孔率は40%〜55%の範囲にすることがより好ましい。本明細書において、上記空孔率は、多孔質保護層の断面をSEMにて分析し、その分析によって得られた拡大写真より、単位面積当たりに占める空孔の面積の比率(%)として求めることができる。
【0047】
この多孔質保護層は、上述したように、基体または素子本体の長手方向に延びる角部を覆うように形成される。ここで、本明細書でいう「長手方向に延びる角部」とは、板状の基体ないし素子本体の該表面のうちで、長手方向に延びる表裏面のいずれか一面と両側面とのいずれか一面とを連結する部分(箇所)を指すものである。なお、上記の表裏面のいずれか一面と両側面のいずれか一面とを連結する角部については、2つの面が交わる線上部(即ち、稜)のみに限られず、2つの面を例えばR形状で連結する曲面状の部分をも含むものとする。
【0048】
また、多孔質保護層は、基体または素子本体の長手方向に直交する向きに断面(横断面)をとったときに、外表面における曲率半径が10μm以上、好ましくは50μm以上となっていると良い。このように多孔質保護層の外表面における曲率半径が10μm以上となることで、機械的外力による多孔質保護層自体のチッピングを防止することができる。また、基体ないし素子本体の角部に相当する部位に被水が生じた場合にも、多孔質保護層の全体に水滴が分散し易くなり、耐被水機能をより有効に発揮することが可能となる。
【0049】
さらに、多孔質保護層は、2層の多孔質層が積層された複数層から構成されている
多孔質保護層を2層で形成する場合には、基体ないし素子本体上に接する最下層として設けられる多孔質接着層(以下、単に接着層という)と、この接着層上に設けられる多孔質表面層(以下、単に表面層という)とからなるものとすることができる。
【0050】
ところで、基体ないし素子本体の角部を含む表面上に厚み20μm以上の多孔質保護層を確実に形成する場合、多孔質保護層全体の素子本体に対する固着強度を得ることが耐剥離性の観点から重要となる。そこで、上記のように多孔質保護層を接着層と表面層との複数層にて形成することで多孔質保護層全体の素子本体に対する密着性の向上を図ることができる。詳細に説明すると、接着層は多孔質状であることから表面(外表面)は、空孔によって粗面化されているので、この表面のアンカー効果を利用し、表面層の接着層に対する接着強度(固着強度)を高めることができる。
【0051】
より具体的には、接着層を基体ないし素子本体と同時焼成により形成して接着層の素子本体に対する固着強度を確保し、ついで接着層表面のアンカー効果を利用して該接着層上に表面層を形成し、表面層の基体ないし素子本体に対する固着強度を、接着層を介して確保するのである。このように、多孔質保護層を接着層と表面層にて形成することで、多孔質保護層全体の厚みを確実に20μm以上とすることができると共に、多孔質保護層の耐剥離性を確保することができる。なお、接着層と表面層との空孔率は、略同等に調整してもよいが、表面層の接着層に対する固着強度を高めるには、接着層の空孔率を表面層の空孔率よりも大きくすると良い。接着層によるアンカー効果を高めることができるからである。
【0052】
ついで、積層型ガスセンサ素子の素子本体を構成する上記「検出層」は、上記基体に直接又は他部材(例えば、セラミック製の中間層)を介して積層され、一対の電極を具備するものである。この検出層は、板状(通常、厚さ50μm以上のものをいう)であっても、薄膜状(通常、厚さ50μm未満のものをいう)であってもよい。
【0053】
上記検出層は、固体電解質体により構成することができ、この検出層(換言すれば、固体電解質層)は、酸素イオン伝導性を有すればその材質は特に限定されない。例えば、ジルコニア(ZrO)に安定化剤としてイットリア(Y)あるいはカルシア(CaO)を添加したジルコニア(ZrO)系焼結体やLaGaO系焼結体、更にはこれらの焼結体にハフニウム(Hf)を含有したものを使用することができる。また、検出層と基体とを構成する質量含有率が最も高いセラミック成分が異なる場合、この検出層に対して基体に含有される質量含有率の最も高いセラミック成分を、検出層を100質量%とした場合に10質量%〜70質量%の範囲内で含有させることが好ましい。これにより、検出層と基体との間に働く両者の熱膨張差に起因する熱応力を有効に緩和することができると共に、検出層と基体とを同時焼成によって得る場合に、反りの発生を抑制した形で素子本体を得ることができる。
【0054】
検出層の表面に形成される「電極」は、Au、Ag、Ru、Rh、Pd、Ir及びPt等の貴金属を少なくとも1種含有しているものが好ましい。これらのうちPtは、酸化し難く、検出層に拡散することもなく、融点も高いため、電極材料として最適である。また、このPtからなる電極には、その物性に大きな影響を与えない範囲内で、ジルコニア等の酸化物が含まれていても良い。
【0055】
この一対の電極は、検出層のうちで基体と面する側に形成される基準電極と、基体と面する側とは反対側に形成される検知電極として設けることができる。ここで、このような形態で一対の電極を検出層に設ける場合、検知電極は、素子本体の外側に配置されることになるため、この検知電極上に電極保護層を形成すると良い。この電極保護層を設けることで、測定対象気体中に電極を被毒する物質が含有される場合にも、電極をその被毒から防護することができる。なお、検知電極上に電極保護層を形成する場合には、この電極保護層を含めて本発明では、素子本体と考えるものとする。
【0056】
積層型ガスセンサ素子は、以下に示す3つの異なる製造方法によって得ることができ、本発明の積層型ガスセンサ素子は、以下に示す(c)の製造方法によって得ることができる。
【0057】
(a)基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体上に、一対の電極となる未焼成電極パターンと検出層となる検出層用未焼成シート又は検出層用ペーストを積層して板状の未焼成積層体を作る。ついで、この未焼成積層体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、その未焼成積層体の長手方向に延びる各角部のうち未焼成抵抗発熱体パターンの配置位置に近い側の角部を少なくとも覆うように、多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成する。そして、この未焼成被覆層が形成された未焼成積層体を焼成して、厚み20μm以上の多孔質層保護層が形成された素子本体を作製する(以下、「第1参考方法」という)。
【0058】
(b)基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体上に、一対の未焼成電極パターンと検出層となる検出層用未焼成シート又は検出層用ペーストを積層することで板状の未焼成積層体を作る。ついで、この未焼成積層体を焼成することにより素子本体を作製する。そして、素子本体の長手方向に延びる各角部のうち抵抗発熱体の配置位置に近い側の角部を少なくとも覆うように、多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成して熱処理を行い、厚み20μm以上の多孔質保護層が形成された素子本体を作製する(以下、「第2参考方法」という)。
【0059】
(c)基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体上に、一対の電極となる未焼成電極パターンと検出層となる検出層用未焼成シート又は検出層用ペーストを積層して板状の未焼成積層体を作る。ついで、該未焼成積層体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、その未焼成積層体の長手方向に延びる各角部のうち未焼成抵抗発熱体パターンの配置位置に近い側の角部を少なくとも覆うように、多孔質接着層であって第1多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成する。その後、未焼成被覆層が形成された未焼成積層体を焼成して第1多孔質保護層が形成された素子本体を作製する。そして、焼成後の素子本体に形成された第1多孔質保護層上に、多孔質表面層であって第2多孔質保護層となる未焼成第2被覆層を形成し、熱処理を行って第2多孔質保護層を形成し、第1多孔質保護層と第2多孔質保護層との合計の厚みを20μm以上とする(以下、「本発明方法」という)。
【0061】
上記第1参考方法は、多孔質保護層となる未焼成被覆層を、素子本体となる未焼成積層体の所定の角部に形成し、これを同時焼成する方法である。この未焼成被覆層を、未焼成積層体に形成する方法としては、印刷、浸漬(ディップ)、刷毛塗り、転写、グリーンシートの貼付等により形成することができる。印刷、浸漬等により未焼成被覆層を未焼成積層体に形成した後の同時焼成における焼成条件は特に限定されないが、1350℃〜1600℃で1時間〜4時間の範囲内で行うことが好ましい。
【0062】
なお、印刷又は浸漬で未焼成被覆層を形成する場合、セラミック原料粉末(例えば、アルミナ粉末)と、アセトン、トルエン等の溶剤と、ポリビニルブチラール、CMC等のバインダとを混合したペーストを使用することが好ましい。また、溶剤及びバインダは1種のみでも良いし2種以上を併用しても良い。そして、焼成後の多孔質保護層の空孔率を向上させて多孔質状になるように、テオブロミン粉末、カーボン粉末等の気孔化剤を添加したペーストを用いることが好ましい。この気孔化剤は平均粒径が2μm〜50μm、好ましくは5μm〜30μmのものを使用することが好ましい。
【0063】
また、上記第1参考方法において、「基体用未焼成シート」は、セラミック原料粉末を、ポリビニルブチラール等のバインダと共に混練した生素地を用いてセラミック未焼成シートを形成することによって得ることができる。なお、内部に抵抗発熱体を埋設する基体を形成する場合、例えば、アルミナを主体に構成される未焼成シートを2枚用意して、一方の未焼成シート表面に未焼成抵抗発熱体パターンを形成(印刷)して、このパターンが内側となるように2枚の未焼成シートを積層することで製造することができる。
【0064】
また、上記第1参考方法において、上記「検出層用未焼成シート又は検出層用ペースト」は、焼成されて検出層をなすものであり、イットリアあるいはカルシア等の安定化剤を固溶させたジルコニア粉末を、ポリビニルブチラール等のバインダと共に混練した生素地を用いて、作製することができる。さらに、電極をなす「未焼成電極パターン」は、貴金属を主体とする導電ペーストにより形成することができる。一対の未焼成電極パターンは、例えば、上記基体用未焼成シートの所定領域に一方の電極パターン(基準電極となる基準電極パターン)を印刷し乾燥させ、ついでこの基準電極パターン上に検出層用未焼成シートを積層し、この検出層用未焼成シートの基準電極と面する側とは反対側の面に他方の電極パターン(検知電極となる検知電極パターン)を印刷し乾燥させることで、形成することができる。なお、このようにして検知電極パターンを形成する場合には、検知電極パターン上に焼成されて電極保護層となるシート状又はペースト状の「未焼成電極保護層」を積層して、未焼成積層体を作製するようにしても良い。
【0065】
ついで、上記第2参考方法は、素子本体となる未焼成積層体を先行して焼成し、焼成後の素子本体における所定の角部に多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成し、熱処理を行う方法である。この第2参考方法において、基体となる「基体用未焼成シート」、検出層となる「検出層用未焼成シート又は検出層用未焼成ペースト」、「未焼成電極パターン」については、上述にて説明した通りである。
【0066】
上記第2参考方法では、未焼成積層体を焼成して得られた素子本体の所定の角部に、多孔質保護層となる未焼成被覆層を印刷、浸漬(ディップ)等により形成し、その後熱処理を行うことで形成する。印刷又は浸漬によって形成可能な「未焼成被覆層」の構成(性状)については、上述にて説明した通りである。また、未焼成被覆層が形成された素子本体を熱処理する条件としては、700℃〜1300℃で1時間〜4時間の範囲内で行うことが好ましい。なお、この第2発明方法においても、未焼成積層体を形成する段階で、一対の未焼成電極パターンを検出層用シート又は検出層用ペーストの表裏面に形成し、未焼成基体と面する側とは反対側に形成された一方の未焼成電極パターン(検知電極パターン)上に、焼成されて電極保護層となるペースト状又はシート状の未焼成電極保護層を積層させておくこともできる。
【0067】
さらに、上記発明方法は、まず第1多孔質保護層となる未焼成被覆層を、素子本体となる未焼成積層体の所定の角部に形成した上で、これらを同時焼成する。そして、同時焼成により得られた素子本体の所定の角部を覆う第1多孔質保護層上に、第2多孔質保護層となる未焼成第2被覆層を形成し、熱処理を行う方法である。この発明方法において、基体となる「基体用未焼成シート」、検出層となる「検出層用未焼成シート又は検出層用未焼成ペースト」、「未焼成電極パターン」については、上述にて説明した通りである。
【0068】
また、この発明方法において、素子本体と同時焼成に供される「未焼成被覆層」は、上述した第1参考方法の「未焼成被覆層」と同様の形態で構成し、形成すればよい。さらに、同時焼成により得られた素子本体の第1多孔質保護層上に形成する「未焼成第2被覆層」は、印刷や浸漬等により形成すれば良く、印刷又は浸漬によって形成する場合、上述した第1参考方法の「未焼成被覆層」と同様に構成にすれば良い。また、熱処理条件については、上述した第2参考方法と同様にすれば良い。つまり、この本発明方法では、先行して焼成により得られた第1多孔質保護層の表面が空孔によって粗面化されていることを利用し、第1多孔質保護層上に第2多孔質保護層となる未焼成第2被覆層を形成し、熱処理をする工程が重要となる。これにより、素子本体に対する多孔質保護層の固着強度を確保しつつ、20μm以上(特に50μm以上)の厚みを有する多孔質保護層を確実に形成することができる。なお、この方法では、第1多孔質保護層が多孔質接着層に相当し、第2多孔質保護層が多孔質表面層に相当する。
【0069】
本発明方法の具体例を挙げると、基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体上に、一対の未焼成電極パターンの一方を構成する基準電極パターンを形成し、ついで検出層となる検出層用未焼成シート又は検出層用ペーストを積層する。そして、その検出層用未焼成シート又は検出層用ペーストの未焼成基体と面する側とは反対側に検知電極となる検知電極パターンを形成し、さらにその検知電極パターン上に電極保護層となるペースト状又はシート状の未焼成電極保護層を積層することで、板状の未焼成積層体を作る。
【0070】
ついで、未焼成積層体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、長手方向に延びる各角部のうち未焼成抵抗発熱体パターンに近い側の角部を少なくとも覆うように第1多孔質保護層となる未焼成被覆層(カーボン粉末等の気孔化剤を添加すると共に、セラミック原料粉末(例えばアルミナ粉末)とバインダを混合したペースト)を印刷し、乾燥する。その後、その状態の未焼成積層体を1350℃〜1600℃で1時間〜4時間の範囲内で焼成し、第1多孔質保護層が形成された素子本体を得る。ついで、この素子本体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側を、セラミック粉末(スピネル粉末)と水とカーボン粉末等の気孔化剤を混合してなるスラリーに浸漬させて、素子本体の角部に形成された第1多孔質保護層上に未焼成第2被覆層を形成する。その後、700℃〜1300℃、1時間〜4時間の範囲内で熱処理し、第1多孔質保護層(接着層)と第2多孔質保護層(表面層)との合計の厚みが20μm以上を満たす多孔質保護層を形成するのである。
【0071】
また、セラミックヒータは、以下に示す3つの異なる製造方法によって得ることができ、本発明のセラミックヒータは、以下に示す(f)の製造方法によって得ることができる。
【0072】
(d)基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体を作る。ついで、この未焼成基体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、その未焼成基体の長手方向に延びる各角部の1以上を少なくとも覆うように、多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成する。そして、この未焼成被覆層が形成された未焼成基体を焼成して、厚み20μm以上の多孔質層保護層が形成された基体を作製することで、セラミックヒータを得る(以下、「第3参考方法」という)。
【0073】
(e)基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体を作る。ついで、この未焼成基体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、その未焼成基体の長手方向に延びる各角部の1以上を少なくとも覆うように、多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成し熱処理を行い、厚み20μm以上の多孔質保護層が形成された基体を作製することで、セラミックヒータを得る(以下、「第4参考方法」という)。
【0074】
(f)基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体を作る。ついで、この未焼成基体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、その未焼成基体の長手方向に延びる各角部の1以上を少なくとも覆うように、第1多孔質保護層となる未焼成被覆層を形成する。その後、未焼成被覆層が形成された未焼成基体を焼成して第1多孔質保護層が形成された基体を作製する。そして、焼成後の基体に形成された第1多孔質保護層上に、第2多孔質保護層となる未焼成第2被覆層を形成し、熱処理を行って第2多孔質保護層を形成し、第1多孔質保護層と第2多孔質保護層との合計の厚みを20μm以上とする基体を作製することで、セラミックヒータを得る(以下、「本第発明方法」という)。
【0076】
【実施例】
(1.積層型ガスセンサ素子の構造)
<第1参考実施例>
第1参考実施例としての積層型ガスセンサ素子100を、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子100の長手方向に直交する向きの横断面(後述する検知電極131を含む横断面)を示すもので、その断面形状は、約90度をなす角部3(図1の長手方向に延びる角部3)を4個有する矩形状である。図2は、図1の積層型ガスセンサ素子100において、多孔質保護層4を除いた素子本体Aの構造を示す分解斜視図を示すものであり、この素子本体Aは酸素濃淡電池素子1と、基体2とから構成され、基体2の内部には抵抗発熱体21が埋設されている。
【0077】
このうち酸素濃淡電池素子1は、イットリアを安定化剤として添加したジルコニア50質量%と後述する基体2を構成するアルミナ50質量%とから構成された酸素濃淡電池用固体電解質層(検出層)11を備え、酸素濃淡電池用固体電解質層11の基体2と面する側に基準電極132が直に形成されると共に、固体電解質層11自身を介して基準電極132と反対側に位置する面に検知電極131が直に形成されている。この検知電極131及び基準電極132には、酸素濃淡電池用固体電解質層11の長手方向に沿って導体リード部133及び134がそれぞれ延設されている。
【0078】
導体リード部133の末端は、外部回路接続用の外部端子(図示せず)と接続される。また、導体リード部134の末端は、酸素濃淡電池用固体電解質層11を貫通するスルーホール15を介して、外部端子と接続されるための信号取出し用端子14と接続される。
【0079】
また、検知電極131の表面上には、検知電極131自身を被毒から防護するための多孔質状の電極保護層5が形成され、導体リード部133の表面上には、その外部端子と接続される部分を除いて、酸素濃淡電池用固体電解質層11を保護するための強化保護層52が形成されている。
【0080】
一方、基体2は、貴金属であるPtを主体に構成される抵抗発熱体21を備え、この抵抗発熱体21は、絶縁性に優れるアルミナを主体に構成される第1基層22及び第2基層23に挟持されている。
この抵抗発熱体21は、蛇行状に形成される発熱部212と、この発熱部212の端部とそれぞれ接続され、長手方向に沿って延びる一対のヒータリード部213とを有している。また、このヒータリード部213の発熱部212と接続される側とは反対側の端部211は、第2基層23を貫通する2つのスルーホール231を介して、外部回路接続用の外部端子と接続される一対のヒータ通電端子232とそれぞれ電気的に接続されている。
【0081】
そして、このように基体2、基準電極132、酸素濃淡電池用固体電解質層11、検知電極131、電極保護層5、強化保護層52を積層して構成される素子本体Aの長手方向に延びる角部3のうち、基体2の外側に位置する2つの角部及び電極保護層5の外側に位置する2つの角部に、図1に示すように、単層からなる多孔質保護層4が形成されている。この角部3での厚さ(即ち、最低厚さ)は20μm、好ましくは50μm以上必要であり、最大厚さは500μmまでが好ましい(本第1参考実施例では、厚さ50μmの多孔質保護層4が形成)。この多孔質保護層4の空孔率は、15%〜65%の範囲内にしておくことが耐被水抑制効果に有効となり、30%〜60%の範囲内とすることがより好ましい。
【0082】
なお、積層型ガスセンサ素子100の多孔質保護層4を含む全体の大きさは、長手方向の寸法30mm〜60mm、幅寸法2.5mm〜6mm、厚み1mm〜3mmの範囲内に形成することが好ましく、本実施例では、長手方向の寸法約40mm。幅寸法3mm、厚み約2mmに形成されている。
【0083】
<第2実施例>
本発明の第2実施例としての積層型ガスセンサ素子200を図6に示す。この積層型ガスセンサ素子200は、第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子100に対し、その横断面(検知電極131を含む横断面)にて、素子本体Aを覆う多孔質保護層40の領域が異なると共に、多孔質保護層40が単層ではなく接着層41と表面層42の複数層から構成される点が異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については同じ記号や番号を付し、説明を省略あるいは簡略化する。
【0084】
本第2実施例において、素子本体Aの長手方向に延びる4つの角部3に対し、図6に示すように、接着層41と表面層42からなる多孔質保護層40が形成されている。この多孔質保護層40の角部3での厚さ(即ち、最低厚さ)は、両層41、42の合計で20μm、好ましくは50μm以上必要であり、最大厚さは500μmまでが好ましい(本第2実施例では、厚さ15μmの接着層41と厚さ85μmの表面層42、合計厚さ100μmの多孔質保護層40が形成)。また、この多孔質保護層40の空孔率は、両層41、42とも15%〜65%の範囲内にしておくことが耐被水抑制効果に有効となり、30%〜60%の範囲内とすることがより好ましい。なお、接着層41に対する表面層42の固着強度を向上させるために、本第2実施例の積層型ガスセンサ素子200では、上記空孔率の範囲内を満たすようにして、接着層41の空孔率を表面層42のそれよりも大きく調整している。
【0085】
また、多孔質保護層40は、電極保護層5の角部3のみを覆うのではなく、電極保護層5を含めた素子本体Aのうちで測定対象ガスに晒される先端側の周囲全面を覆うように形成されている。
【0086】
<第3実施例>
本発明の第3実施例としての積層型ガスセンサ素子300を図5に示す。この積層型ガスセンサ素子300は、第2実施例の積層型ガスセンサ素子200に対し、その横断面(検知電極131を含む横断面)にて、酸素濃淡電池用固体電解質層11の幅寸法が基体2のそれよりも狭く形成される点で異なると共に、多孔質保護層40の形成部位が異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については同じ記号や番号を付し、説明を省略あるいは簡略化する。
【0087】
図5に示すように、この第3実施例の積層型ガスセンサ素子300では、接着層41と表面層42から構成される多孔質保護層40が、抵抗発熱体21を埋設した基体2の4つの角部3のみを覆うように形成されている(本第3実施例では、厚さ15μmの接着層41と厚さ85μmの表面層42、合計厚さ100μmの多孔質保護層40が形成)。このように、本第3実施例において、基体2の角部3のみに多孔質保護層40を形成している理由は、基体2の4つの角部3が、電極保護層5の外側に位置する角部よりも抵抗発熱体21の配置位置に近い側に位置する角部に位置しているからである。つまり、この抵抗発熱体21の配置位置に近い側の角部3は、水滴等が付着すると熱衝撃によるクラック発生を特に招き易いことから、本第3実施例では、この基体2の角部3に多孔質保護層40を形成し、被水対策を講じているのである。
【0088】
<第4実施例>
本発明の第4実施例としての積層型ガスセンサ素子400を図8及び図9に示す。なお、図8は、本第4実施例の積層型ガスセンサ素子400の長手方向に直交する向きの横断面(検知電極131を含む横断面)を示すものであり、図9は、図8の積層型ガスセンサ素子400において、多孔質保護層40を除いた素子本体Aの構造を示す分解斜視図を示すものである。そして、この積層型ガスセンサ素子400は、第2実施例の積層型ガスセンサ素子200に対し、基体20の構成が異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分については同じ記号や番号を付し、説明を省略あるいは簡略化する。
【0089】
図9の分解斜視図に示すように、素子本体Aを構成する基体20の内部には、抵抗発熱体21とイオンマイグレーション防止電極24がそれぞれ異なる部位に埋設されている。具体的には、抵抗発熱体21は、絶縁性に優れるアルミナを主体に構成される第1基層22と第2基層23との間に挟まれ、イオンマイグレーション防止電極24は、上記第2基層23と絶縁性に優れるアルミナを主体に構成される第3基層25との間に挟まれている。なお、イオンマイグレーション防止電極24とは、抵抗発熱体21が金属イオンのマイグレーションによって劣化することを防止するための導体である。
【0090】
本第4実施例において、抵抗発熱体21は、蛇行状に形成される発熱部212と、この発熱部212の端部とそれぞれ接続され、長手方向に沿って延びる一対のヒータリード部213とを有している。また、このヒータリード部213の発熱部212と接続される側とは反対側の両端部211は、第2基層23及び第3基層25を同軸状の貫通する2つのスルーホール231、233、及び中間通電端子236を介して、外部回路接続用の外部端子と接続されるヒータ通電端子232と電気的に接続されている。また、イオンマイグレーション防止電極24は、抵抗発熱体21と同材料にて構成され、抵抗発熱体21のパターン形状と略同等のパターン形状を有している。なお、イオンマイグレーション防止電極24の一端部234は、スルーホール231、233の一方を介してヒータ通電端子232(好ましくは負極側となる通電端子)及び抵抗発熱体21と電気的に接続している。他方、他端部235については、他方のスルーホール231、233と接続しない(換言すれば、ヒータ通電端子232及び抵抗発熱体21と電気的に接続しない)位置に配置されるように形成されている。
【0091】
そして、このような構造の基体20を有する素子本体Aのうちで、測定対象気体に晒される先端側の周囲全面を覆うようにして、接着層41と表面層42とから構成される多孔質保護層40が形成されている(本第4実施例では、厚さ40μmの接着層41と厚さ110μmの表面層42、合計厚さ150μmの多孔質保護層40が形成)。
【0092】
(2.セラミックヒータの構造)
<第5実施例>
本発明の第5実施例としてのセラミックヒータ500を、図3及び図4を用いて説明する。このセラミックヒータ500は、測定対象気体から特定ガス成分を検出するためのガスセンサ素子(図示せず)に近接して設けられ、ガスセンサ素子を加熱するために用いられるものである。図3は、本第5実施例のセラミックヒータ500の長手方向に直交する向きの横断面(後述する発熱部335を含む横断面)を示すもので、その断面形状は、約90度をなす角部30(図3の長手方向に延びる角部30)を4個有する矩形状である。図4は、図3のセラミックヒータ500において、多孔質保護層54を除いた基体Bの構造を示す分解斜視図を示すものであり、この基体Bの内部には、抵抗発熱体332とイオンマイグレーション防止電極322がそれぞれ異なる部位に埋設されている。
【0093】
貴金属であるPtを主体に構成される抵抗発熱体332は、絶縁性に優れるアルミナを主体に構成される第2基層32及び第3基層33に挟持されている。また、抵抗発熱体332と同種材料で構成されるイオンマイグレーション防止電極322は、上記第2基層32及び絶縁性に優れるアルミナを主体に構成される第1基層31に挟持されている。このイオンマイグレーション防止電極322は、抵抗発熱体332が金属イオンのマイグレーションによって劣化することを防止するための導体である。
【0094】
抵抗発熱体332は、蛇行状に形成される発熱部335と、この発熱部335の端部とそれぞれ接続され、長手方向に沿って延びる一対のヒータリード部336とを有している。また、このヒータリード部336の発熱部335と接続される側とは反対側の両端部333は、第3基層33を貫通する2つのスルーホール331を介して、外部回路接続用の外部端子と接続される一対のヒータ通電端子334とそれぞれ電気的に接続されている。また、イオンマイグレーション防止電極322は、抵抗発熱体332のパターン形状と略同等に形成している。但し、イオンマイグレーション防止電極322の一端部323は、1つのスルーホール321を介してマイグレーション防止電極通電端子325に電気的に接続され、このマイグレーション防止電極通電端子325は、ヒータ通電端子334(好ましくは負極側となる通電端子)及び抵抗発熱体332と電気的に接続している。他方、他端部324については、スルーホール321と接続しない(換言すれば、ヒータ通電端子334及び抵抗発熱体332と電気的に接続しない)位置に配置されるように形成している。
【0095】
そして、このような基体Bの長手方向に延びる4つの角部30に対し、図3に示すように、接着層55と表面層56からなる多孔質保護層54が形成されている。この多孔質保護層54の角部30での厚さ(即ち、最低厚さ)は、両層55、56の合計で20μm、好ましくは50μm以上必要であり、最大厚さは500μmまでが好ましい(本第5実施例では、厚さ10μmの接着層55と厚さ40μmの表面層56、合計厚さ50μmの多孔質保護層54を形成)。また、この多孔質保護層54の空孔率は、両層55、56とも15%〜65%の範囲内にしておくことが耐被水抑制効果に有効となり、30%〜60%の範囲内とすることがより好ましい。なお、接着層55に対する表面層56の固着強度を向上させるために、本第5実施例のセラミックヒータ500では、上記空孔率の範囲内を満たすようにして、接着層55の空孔率を表面層56のそれよりも大きく調整している。
【0096】
また、セラミックヒータ500の多孔質保護層54を含む全体の大きさは、長手方向の寸法30mm〜60mm、幅寸法2.5mm〜6mm、厚み1mm〜3mmの範囲内に形成することが好ましく、本実施例では、長手方向の寸法約45mm。幅寸法4mm、厚み約2mmに形成されている。
【0097】
(3.ガスセンサの構造)
図7は、上述した積層型ガスセンサ素子(第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子100)が組み込まれたガスセンサであり、具体的には内燃機関の排気管に取り付けられ、排ガス中の酸素濃度の測定に使用される酸素センサ600の一例を示した全体断面図である。
【0098】
この酸素センサ600に組み込まれる積層型ガスセンサ素子100は、その先端側がセンサハウジング6の先端から突出するように当該センサハウジング6に形成された挿通孔61に挿通されると共に、挿通孔61の内周面と積層型ガスセンサ素子100との間が、ガラスを主体に構成される封着材層7により気密状態に封着されている。センサハウジング6の先端部外周には、積層型ガスセンサ素子100の突出部分(先端側)を覆う金属製の二重のプロテクタ8、8がレーザー溶接等により固着されている。このプロテクタ8、8には、自身の先端や周囲に排気管内を流れる排ガスを導く通気孔81、81が形成されている。
【0099】
一方、センサハウジング6の後端部は、外筒10の先端部内側に挿入され、その重なり部分にて周方向にレーザー溶接等の接合が施されている。また、センサハウジング6の外周部には、酸素センサ600を排気管にねじ込んで取り付けるためのネジ部62が螺設されている。なお、積層型ガスセンサ素子100のうちで、センサハウジング6の先端から突出する先端側が、測定対象気体に晒されることになる部分に相当する。それより、積層型ガスセンサ素子100の先端側に晒される部分に、少なくとも多孔質保護層4が形成されている。
【0100】
積層型ガスセンサ素子100については、第1コネクタ91、長手状金属薄板92、さらには第2コネクタ93及び絶縁板(図示せず)(なお、これらを総称して「外部端子9」という)とリード線90とを介して、図示しない外部回路と電気的に接続されている。また、都合4本のリード線90は、外筒10の後端側に位置するグロメット20を貫通して延びている。また、積層型ガスセンサ素子100の長手方向において、封着材層7の少なくとも一方の側に隣接する形で、多孔質無機物質(例えば、タルク滑石の無機物質粉末の圧粉成形体あるいは多孔質仮焼体)で構成された緩衝層71が形成されている。なお、この酸素センサ600は、上述した第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子100を用いて形成したが、上述した第2〜第4実施例の積層型ガスセンサ素子200、300、400を用いて形成しても良いことは言うまでもない。
【0101】
【実験例】
以下、本発明の効果を確認するために行った実験結果について説明する。
まず、以下に説明する方法により、第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子100と第5実施例のセラミックヒータ500を製造した。
【0102】
(第1実施例の積層型ガスセンサ素子100の作製)
▲1▼酸素濃淡電池素子用未焼成シートの作製
イットリアの安定化剤を固溶させたジルコニア粉末100gとアルミナ粉末100gを、バインダ(ポリビニルブチラール)26gと共に混練した生素地を用いて、酸素濃淡電池用固体電解質層11となるものであって、5個の素子を切り出すことができる大きさの未焼成固体電解質シートを形成した。その後、未焼成固体電解質シートの所定位置に素子5個分のスルーホール15となる貫通孔を形成した。
【0103】
ついで、未焼成固体電解質シート(スルーホール15となる貫通孔を含む)上の所定領域に、白金を主体とする導電ペーストを所定のパターンに印刷し、乾燥させて、検知電極131、基準電極132、導体リード部133、134、信号取出し用端子14となる導体パターンを形成すると共に、スルーホール15となる貫通孔の内壁面に対して導電ペーストを施した。これにより、酸素濃淡電池素子用未焼成シートを得た。
【0104】
▲2▼基体用未焼成シートの作製
ついで、アルミナ粉末100gを、バインダ(ポリビニルブチラール)12gと共に混練した生素地を用いて、第2基層23となる未焼成アルミナシートを形成し、素子5個分のスルーホール231となる貫通孔を形成した。
その後、第2基層23となる未焼成アルミナシート(スルーホール231となる貫通孔を含む)の表裏面の所定領域に、上述の▲1▼と同様の導電ペーストを所定のパターン形状に印刷・乾燥し、抵抗発熱体21、一対のヒータ通電端子232となる導電パターンを形成すると共に、スルーホール231となる貫通孔の内壁面に対して導体ペーストを施した。そして、第1基層22となる未焼成アルミナシートを上記第2基層23と同様な方法で作製し、この第1基層22となる未焼成アルミナシートを第2基層23となる未焼成アルミナシートの抵抗発熱体21となる導体パターンが形成された面に積層・減圧圧着した。これにより、基体2となる基体用未焼成シートを得た。
【0105】
▲3▼組立・脱脂、及び焼成並びに多孔質保護層の形成
酸素濃淡電池素子用未焼成シートと基体用未焼成シートとを積層し、さらに所定のアルミナ粉末と気孔化剤としてのカーボン粉末、ブチラール樹脂及びジブチルフタレートからなるバインダ、分散剤を混合したスラリーを用いてシート化した電極保護層5となる電極保護層用未焼成シートを、酸素濃淡電池素子用未焼成シートの外部に露出した検知電極131となる導体パターン上に積層し、減圧圧着して組立体を得た。そして、この組立体を、素子本体Aを形成すべく公知の手法により切断し、5個の未焼成積層体を切り出した。
【0106】
その後、アルミナ粉末70g、バインダ(ポリビニルブチラール)12g、有機溶剤(ブチルカルビトール)25g、気孔化剤としてのカーボン粉末(平均粒径5μm)30gを含むペーストを、焼成後の多孔質保護層4の角部3からの厚さが20μm、50μm、100μmになるように未焼成積層体のうちで、測定対象気体に晒されることが予定される先端側の周囲全面に印刷して乾燥させた。また、上記ペーストを、焼成後の多孔質保護層4の角部3からの厚さが200μmになるように未焼成積層体のうちで、測定対象気体に晒されることが予定される先端側であって、長手方向に延びる4つの角部3上にのみ印刷して乾燥させた。ついで、この状態の未焼成積層体を大気雰囲気下にて毎時20℃で昇温していき、最高温度450℃で1時間保持しつつ脱脂(脱バインダ処理)した後、1500℃で1時間焼成して、単層からなる多孔質保護層4が形成された素子本体Aを有する積層型ガスセンサ素子100(図1参照)を得た。
【0107】
また、比較例となる積層型ガスセンサ素子として、上記のようにして切り出した上記未焼成積層体に、多孔質保護層4を形成せずに、上記脱バインダ処理、焼成を行った素子を別途に形成した。
【0108】
(第5実施例のセラミックヒータ500の作製)
▲1▼基体用未焼成シートの作製
アルミナ粉末100gを、バインダ(ポリビニルブチラール)12gと共に混練した生素地を用いて、厚み0.7mmの第2基層32、厚さ1.1mm第3基層33となる未焼成アルミナシートをそれぞれ形成し、各未焼成アルミナシートにセラミックヒータ5個分のスルーホール321、331となる貫通孔を形成した。
【0109】
その後、第2基層32となる未焼成アルミナシート(スルーホール321となる貫通孔を含む)の表裏面の所定領域に、白金を主体とする導電ペーストを所定のパターン形状に印刷・乾燥し、イオンマイグレーション防止電極322、マイグレーション防止電極通電端子325となる導電パターン(尚、ビア印刷、ペースト圧入等により予めスルーホール321部での導通を確保しておく方法もよい)を形成した。さらに、第3基層33となる未焼成アルミナシート(スルーホール331となる貫通孔を含む)の表裏面の所定領域に、白金を主体とする導電ペーストを所定のパターン形状に印刷・乾燥し、抵抗発熱体332となる導体パターン(未焼成抵抗発熱体パターン)、ヒータ通電端子334となる導電パターンを形成した。そして、厚み0.3mmの第1基層31となる未焼成アルミナシートを、上記第2基層32、上記第3基層33と同様な材料を用いて作製した。
【0110】
ついで、この第1基層31となる未焼成アルミナシートを第2基層32となる未焼成アルミナシートのイオンマイグレーション防止電極322となる導体パターンが形成された主面に積層すると共に、第2基層32となる未焼成アルミナシートの主面と反対側の裏面に、未焼成抵抗発熱体パターンが形成された主面が面するように第3基層33となる未焼成アルミナシートを積層した上で、減圧圧着した。これにより、基体Bとなる基体用未焼成シートを得た。
【0111】
▲2▼脱脂、焼成並びに多孔質保護層の形成
そして、この基体用未焼成シートを、基体Bを形成すべく公知の手法により切断し、5個の未焼成基体を切り出した。
その後、アルミナ粉末70g、バインダ(ポリビニルブチラール)12g、有機溶剤(ブチルカルビトール)15g、気孔化剤としてのカーボン粉末(平均粒径20μm)45gを含むペーストを、焼成後の第1多孔質保護層(接着層)55の角部30からの厚さが10μmになるように未焼成基体のうちで、測定対象気体に晒されることが予定される先端側の周囲全面に印刷し、乾燥させる。ついで、この状態の未焼成基体を大気雰囲気下にて毎時20℃で昇温していき、最高温度450℃で1時間保持しつつ脱脂(脱バインダ処理)した後、1500℃で1時間焼成して、第1多孔質保護層55が形成された基体Bを得た。
【0112】
そして、アルミナ粉末70g、バインダ(ポリビニルブチラール)12g、有機溶剤(ブチルカルビトール)25g、気孔化剤としてのカーボン粉末(平均粒径5μm)30gを含むペーストを、焼成後の多孔質保護層54の角部30からの厚み(第1多孔質保護層55との合計の厚み)が20μm、30μm、50μm、100μm、200μmとなるように、基体Bの第1多孔質保護層55上に印刷し、乾燥させる。ついで、この状態の基体Bを、大気雰囲気下にて毎時100℃で昇温していき、最高温度900℃で1時間熱処理して、第1多孔質保護層(接着層)55と第2多孔質保護層(表面層)56とからなるセラミックヒータ500を得た。
【0113】
また、比較例となるセラミックヒータとして、上記のようにして切り出した上記未焼成積層体に、多孔質保護層を形成せずに、上記脱バインダ処理、焼成を行ったセラミックヒータを別途に形成した。
【0114】
さらに、第5実施例と異なる参考例のセラミックヒータとして、上記のようにして切り出した上記未焼成積層体に対し、先行して上記脱バインダ処理、焼成を行った基体Bを作成し、角部30からの厚さが20μmとなるように基体Bのうちで、測定対象気体に晒されることが予定される先端側の周囲全面にスピネル溶射を行い、多孔質保護層を有するセラミックヒータを得た。
【0115】
上記のようにして得た積層型ガスセンサ素子及びセラミックヒータに対し、以下の試験(性能評価)を行った。
【0116】
(予備試験)
▲1▼2000ccのエンジンの床下に形成された排気管に、排気管の軸芯と垂直な方向となるように、且つセンサが下方を向く方向に取付けが可能になるようにM12のセンサ取付用ネジを設けた。▲2▼角部3からの厚さ20μmの積層型ガスセンサ素子100表面全体にカーボンを塗布してセンサ試験片を作製し、水滴痕が確認し易いようにして直径2mmの通気孔を周方向にわたって6箇所有する一重のプロテクタを設けた試験片を用意し、この取付用ネジにセンサ試験片を取り付けた。▲3▼エンジンを始動させ、1000rpmにて10分間保持した。▲4▼エンジンを停止させ、センサ試験片を取付用ネジから外し、センサ試験片に付着した水滴痕の概略径を求めた。なお、センサ試験片20本について、同様な手法により水滴痕の概略径を求めた。▲5▼ディスペンサにて水を20本のセンサ試験片に滴下して、上記▲4▼の水滴痕と同等の水滴量を求めた。その結果、0.3μl(マイクロリットル)相当以下の量の水滴付着であることが判明した。このため、後述する滴下試験では、0.3μlと過酷量1μlの水を、積層型ガスセンサ素子及びセラミックヒータに滴下することにした。
【0117】
また、滴下する時の積層型ガスセンサ素子及びセラミックヒータの温度を320℃と決定した。それは、以下の理由による。
(1)排気ガス温度が水として存在し易い程度にできる限り低温であること。
(2)積層型ガスセンサ素子、セラミックヒータが被水して、熱衝撃によってクラックが発生する温度以上であること。
【0118】
(滴下試験)
▲1▼上述した製造方法によって得た積層型ガスセンサ素子及びセラミックヒータの表面のうちで、抵抗発熱体の配置位置に近い側の面に対して、直径0.1mmの熱電対をセメントにて付着させた。▲2▼抵抗発熱体が発熱するようにヒータ通電端子から直流電圧を印加し、熱電対が320℃に成るように通電制御を行った。▲3▼積層型ガスセンサ素子及びセラミックヒータのうちで、熱電対を付着させた近傍に位置する素子本体の角部、基体の角部に相当する箇所に、ディスペンサにて採取した0.3μlの水を滴下した。▲4▼抵抗発熱体への通電を停止し、色見液(水性赤インク液)にて滴下部での積層型ガスセンサ素子の素子本体及びセラミックヒータの基体にクラックが発生しているか否かを目視にて観察した。クラックが発生するまでこの▲2▼〜▲4▼の行為を繰り返した。但し、▲2▼〜▲4▼の行為を10回繰り返してもクラックが発生しなかったものは、10回目で▲2▼〜▲4▼の行為を終了した。ついで、▲5▼滴下量1μlとして、同様に試験を実施した。
【0119】
なお、これらの試験は、素子本体Aの角部3からの多孔質保護層4の厚みが、20μm(試料番号2)、50μm(試料番号3)、100μm(試料番号4)、200μm(試料番号5)である積層型ガスセンサ素子100と、比較例として素子本体Aに多孔質保護層4を形成していない積層型ガスセンサ素子(試料番号1)について、それぞれ10本ずつ実施した。また、0.3μl及び1μlの水の滴下試験については、各試料(試験片)について素子本体Aの角部3に相当する部位のみならず、素子本体Aの裏面(熱電対が付着された面と反対側の面)にも同様の形態で行い、クラックの発生の有無を確認するようにした。その結果を表1に示す。
【0120】
さらに、上記試験は、基体Bの角部30からの多孔質保護層54の厚みが、20μm(試料番号7)、30μm(試料番号8)、50μm(試料番号9)、100μm(試料番号10)、200μm(試料番号11)であるセラミックヒータ500と、スピネル溶射によって形成された基体Bからの多孔質保護層の厚みが20μmのセラミックヒータ(試料番号12)と、比較例として基体Bに多孔質保護層54を形成していないセラミックヒータ(試料番号6)について、それぞれ10本ずつ実施した。また、0.3μl及び1μlの水の滴下試験については、各試料(試験片)について基体Bの角部30に相当する部位のみならず、基体Bの裏面(熱電対が付着された面と反対側の面)にも同様の形態で行い、クラックの発生の有無を確認するようにした。その結果を表2に示す。
【0121】
なお、表1、表2において、「クラック発生数」とは、試験を行った各10本の試料のうちクラックが確認された試料の数であり、「クラック発生回数」とは、そのクラックの入った試料において、何回目の滴下試験における上記▲4▼の観察でクラックが確認されたかを示している。
【0122】
【表1】
Figure 0004014513
【0123】
【表2】
Figure 0004014513
【0124】
表1の結果によれば、素子本体Aの裏面に滴下試験を行った場合、滴下量1μlで試験を行った試料番号5の10個中1個の試料を除いて、クラックの発生はみられなかった。しかし、多孔質保護層4が素子本体Aの角部3に形成されていない試料(試料番号1)において、角部3に相当する部位に滴下試験を行った場合、滴下量0.3μlの場合に10個中3個の素子本体Aにクラックが発生しており、さらに滴下量1μlの場合に10個中6個の素子本体Aにクラックが発生した。これにより、多孔質保護層4が形成されていない場合に、素子本体Aの角部3に被水すると、クラックがより発生し易いことが判る。
【0125】
これに対し、少なくとも角度3に20μm以上の多孔質保護層4を形成した素子本体A(試料番号2〜5)において、角部3に相当する部位に0.3μlの水を滴下した場合、いずれの試料についてもクラックが発生せず、良好な結果となった。これにより、角部3に厚さ20μm以上の多孔質保護層4を形成することによって、素子本体Aの角部3への被水によるクラックの発生を防止することができるのが判る。
【0126】
また、滴下量が1μlの場合、角部3における多孔質保護層4の厚さが20μm(試料番号2)のときに、クラックの発生が10個中1個確認されたの対し、角部3における多孔質保護層4の厚さが50μm以上(試料番号3〜5)のとき、クラックの発生はいずれも確認されなかった。これにより、素子本体Aの角部3に50μm以上の多孔質保護層4を設けることによって、素子本体Aの角部3への被水によるクラックの発生をより有効に防止することができるのが判る。
【0127】
さらに、角部3のみに多孔質保護層4を形成した場合(表1において200μmの多孔質保護層4を形成した試料番号5に相当)であっても、過酷試験において裏面に1個の素子本体Aだけクラックの発生が確認されただけである。これにより、少なくとも素子本体Aの長手方向に延びる角部3に多孔質保護層4を形成した場合であっても、被水に対してのクラックの発生を防止することができるのが判る。
【0128】
ついで、表2の結果によれば、基体Bの裏面に滴下試験を行った場合、滴下量1μlで試験を行った試料番号6の10個中1個の試料を除いて、クラックの発生はみられなかった。しかし、多孔質保護層54が基体Bの角部30に形成されていない試料(試料番号6)において、角部30に相当する部位に滴下試験を行った場合、滴下量0.3μlの場合に10個中3個の基体Bにクラックが発生しており、さらに滴下量1μlの場合に10個中6個の基体Bにクラックが発生している。これにより、多孔質保護層54が形成されていない場合、基体Bの角部30に被水したときに、クラックがより発生し易いことが判る。
【0129】
これに対し、少なくとも角度30に20μm以上の多孔質保護層54を形成した基体B(試料番号7〜11)において、角部30に相当する部位に0.3μlの水を滴下した場合、いずれの試料についてもクラックが発生せず、良好な結果となった。これにより、角部30に厚さ20μm以上の多孔質保護層54を形成することによって、基体Bの角部30への被水によるクラックの発生を防止することができるのが判る。
【0130】
また、滴下量が1μlの場合、角部30における多孔質保護層54の厚さが20μm(試料番号7)のときに、クラックの発生が10個中1個確認されたの対し、角部30における多孔質保護層54の厚さが50μm以上(試料番号8〜11)のとき、クラックの発生はいずれも確認されなかった。これにより、基体Bの角部30に50μm以上の多孔質保護層54を設けることによって、基体Bの角部30への被水によるクラックの発生をより有効に防止することができるのが判る。
【0131】
但し、20μmの厚さを有する多孔質保護層をスピネル溶射により設けた基体B(試料番号12)においては、20μmの厚さを有するにも関わらず、滴下量0.3μlのときに10個中1個にクラックの発生が確認され、滴加量1μmのときに10個中3個にクラックの発生が確認された。このため、溶射によって基体Bの角部30に多孔質保護層を形成した場合には、多孔質保護層を設けないものに比べて被水によるクラックの発生を防止する効果を発揮するものの、多孔質保護層54を基体との同時焼成によって形成した試料番号7に比べて上記効果が少ないことが判った。
【0132】
以上において、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることは言うまでもない。
例えば、酸素センサ以外のガスセンサ、例えばHCセンサ、COセンサ、NOxセンサに使用する積層型ガスセンサ素子に対し、少なくとも測定対象気体に晒される先端側であって、その素子本体の長手方向に延びる各角部のうち少なくとも抵抗発熱体の配置位置に近い側の角部に厚さ20μm以上の多孔質保護層を形成して、被水による素子本体へのクラックの発生を防止するように対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子の長手方向に直交する向きの断面を示す模式図である。
【図2】 本第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子を構成する素子本体の分解斜視図である。
【図3】 本第5実施例のセラミックヒータの長手方向に直交する向きの断面を示す模式図である。
【図4】 本第5実施例のセラミックヒータを構成する基体の分解斜視図である。
【図5】 本第3実施例の積層型ガスセンサ素子の長手方向に直交する向きの断面を示す模式図である。
【図6】 本第2実施例の積層型ガスセンサ素子の長手方向に直交する向きの断面を示す模式図である。
【図7】 本第1参考実施例の積層型ガスセンサ素子が組み込まれたガスセンサ(酸素センサ)の断面を示す模式図である。
【図8】 本第4実施例の積層型ガスセンサ素子の長手方向に直交する向きの断面を示す模式図である。
【図9】 本第4実施例の積層型ガスセンサ素子を構成する素子本体の分解斜視図である。
【符号の説明】
100、200、300、400:積層型ガスセンサ素子、500;セラミックヒータ、600;ガスセンサ(酸素センサ)、A;素子本体、B、2、20;基体、1;酸素濃淡電池素子、11;酸素濃淡電池用固体電解質層、131;検知電極、132;基準電極、133、134;導体リード部、14;信号取出し用端子、21、332;抵抗発熱体、22、31;第1基層、23、32;第2基層、25、33;第3基層、24、322;イオンマイグレーション防止電極、232、334;ヒータ通電用端子、3、30;角部、4、40、54;多孔質保護層、41、55;多孔質接着層(第1多孔質保護層)、42、56;多孔質表面層(第2多孔質保護層)、5;電極保護層、52;強化保護層、6;センサハウジング

Claims (13)

  1. 通電により発熱する抵抗発熱体と、上記抵抗発熱体を内部に埋設してなる板状のセラミック製の基体とからなり、測定対象気体中の特定ガスを検出するためのガスセンサ素子を加熱するためのセラミックヒータであって、
    該基体の少なくとも測定対象気体に晒されることになる先端側であって、その基体の長手方向に延びる各角部の1以上を少なくとも覆うように2層の多孔質層が積層された多孔質保護層が形成され、該多孔質保護層の厚さは該角部から20μm以上であり、
    上記多孔質保護層は、上記基体に接する最下層として形成されると共に当該基体に同時焼成された多孔質接着層と、該多孔質接着層上に形成されると共に、上記測定対象気体に晒される多孔質表面層とからなり、
    上記多孔質接着層の空孔率が、上記多孔質表面層の空孔率よりも大きく、且つ上記多孔質接着層の外表面が粗面化されてなることを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 上記多孔質保護層は、上記多孔質接着層及び上記多孔質表面層の空孔率が15%〜65%の範囲内にある請求項1に記載のセラミックヒータ。
  3. 上記基体は、アルミナを主体に構成され、上記抵抗発熱体は貴金属を主体に構成されている請求項1または2に記載のセラミックヒータ。
  4. 上記基体のうちで上記抵抗発熱体が埋設される部位とは異なる部位に、該抵抗発熱体の劣化を防止するためのマイグレーション防止電極が形成されている請求項1乃至3のいずれか1項に記載のセラミックヒータ。
  5. 内部に抵抗発熱体を有する基体に一対の電極を具備する検出層を積層した板状の素子本体を有し、測定対象気体中の特定ガスを検出するための積層型ガスセンサ素子において、
    該素子本体の少なくとも上記測定対象気体に晒されることになる先端側であって、その素子本体の長手方向に延びる各角部のうち該抵抗発熱体の配置位置に近い側の角部を少なくとも覆うように2層の多孔質層が積層された多孔質保護層が形成され、該多孔質保護層の厚さは該角部から20μm以上であり、
    上記多孔質保護層は、上記素子本体に接する最下層として形成されると共に当該素子本体に同時焼成された多孔質接着層と、該多孔質接着層上に形成されると共に、上記測定対象気体に晒される多孔質表面層とからなり、
    上記多孔質接着層の空孔率が、上記多孔質表面層の空孔率よりも大きく、且つ上記多孔質接着層の外表面が粗面化されてなることを特徴とする積層型ガスセンサ素子。
  6. 上記検出層は、酸素の濃度に対応して特性が変化する固体電解質体からなる請求項5に記載の積層型ガスセンサ素子。
  7. 上記一対の電極は、上記検出層のうちで上記基体と面する側に形成される基準電極と、該基体と面する側とは反対側に形成される検知電極とからなり、上記素子本体は、上記検知電極上に電極保護層を積層する形態で形成されている請求項5または6に記載の積層型ガスセンサ素子。
  8. 上記多孔質保護層は、上記多孔質接着層及び上記多孔質表面層の空孔率が15%〜65%の範囲内にある請求項5乃至7のいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  9. 上記基体は、アルミナを主体に構成され、上記抵抗発熱体は貴金属を主体に構成されている請求項5乃至8のいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  10. 上記基体のうちで上記抵抗発熱体が埋設される部位とは異なる部位に、該抵抗発熱体の劣化を防止するためのマイグレーション防止電極が形成されている請求項5乃至9のいずれか1項に記載の積層型ガスセンサ素子。
  11. 基体用未焼成シートの間に未焼成抵抗発熱体パターンを挟み込む形で形成した基体となるべき未焼成基体上に、一対の電極となる未焼成電極パターンと検出層となる検出層用未焼成シート又は検出層用ペーストを積層して板状の未焼成積層体を作り、
    ついで、該未焼成積層体の少なくとも測定対象気体に晒されることが予定される先端側 であって、その未焼成積層体の長手方向に延びる各角部のうち未焼成抵抗発熱体パターンの配置位置に近い側の角部を少なくとも覆うように、第1多孔質保護層であって多孔質接着層となる未焼成被覆層を形成し、
    該未焼成被覆層が形成された未焼成積層体を焼成して、外表面が粗面化された第1多孔質保護層が形成された素子本体を作製し、
    焼成後の該多孔質接着層上に第2多孔質保護層であって多孔質表面層となる未焼成第2被覆層を形成した上で熱処理を行って当該第2多孔質保護層を形成し、該第1多孔質保護層と該第2多孔質保護層との合計の厚みが20μm以上であり、該第1多孔質保護層の空孔率が、該第2多孔質保護層の空孔率よりも大きい積層型ガスセンサ素子を得ることを特徴とする積層型ガスセンサ素子の製造方法。
  12. 上記未焼成積層体を作製するにあたり、上記未焼成電極パターンのうちで基準電極となる基準電極パターンを上記未焼成基体と面する側に形成する一方、検知電極となる検知電極パターンを上記検出層用未焼成シート又は上記検出層用ペーストを介して該基準電極パターンと反対側に形成し、上記検知電極パターン上に電極保護層となるべき未焼成電極保護層を積層して該未焼成積層体を作製する請求項11に記載の積層型ガスセンサ素子の製造方法。
  13. 測定対象気体中の特定ガスを検出するためのガスセンサ素子と、該ガスセンサ素子を支持すると共に、該ガスセンサ素子を測定位置に配置するためのセンサハウジングとを備えたガスセンサであって、
    上記ガスセンサ素子が、請求項5乃至10のいずれかの1項に記載の積層型ガスセンサ素子であることを特徴とするガスセンサ。
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