JP4012594B2 - カルボニル基含有ラテックス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤及び編織布の仕上げ剤として有用な合成樹脂ラテックスに関する。
【0002】
【従来の技術】
水性塗料用の樹脂として乳化重合より得られる合成樹脂ラテックスは常温あるいは加熱乾燥下で成膜し、比較的耐久性の良好な皮膜を形成することから多く用いられている。しかし屋外で暴露された場合、その皮膜はほこり、煤煙、砂等の付着により汚染され、さらに光、熱、雨等により光沢値の低下は速く、光沢保持性の水準は低いものであった。そのため塗料が塗装された直後における艶のある外観は、経時的な汚染と光沢値の低下によって、非常に汚れた艶のない皮膜となってしまった。とくに雨、結露によって塗膜が白化あるいは脆弱になることによって塗装直後の美観を維持できないという欠点があった。
【0003】
上記の問題を解決するために、特公昭46−20053号公報、特公平1−13501号公報、特公昭63−51180公報に開示されているカルボニル基が導入されたラテックス組成物とヒドラジド系化合物との混合物である常温架橋型の水性組成物を用いて水性塗料とした場合、その皮膜の光沢値低下速度は従来に比べやや遅くなるが充分なものではなく、耐候性、耐水性は充分なものではなかった。とくに特公平1−13501号公報では、多段乳化重合により層構造化または異層構造化した架橋型水性組成物が開示され、耐汚染性と柔軟性という相反する性質を一時的に満足するものの、耐水性が不充分であるため、経時的な汚染と光沢値の低下を防ぐことができなかった。また特開平7−26197号公報では、カルボニル基が導入された水溶性樹脂の存在下で乳化重合することが開示されているが、耐水性は充分なものではなかった。このように光沢値の低下は、長期にわたり屋外へ暴露された場合において、皮膜の耐水性が不充分であるため、雨、結露によって皮膜が白化あるいは脆弱となると同時に皮膜への水の浸透が容易となるためであった。
【0004】
ラテックスは一般に、乳化剤を含む水性媒体中に単量体を乳化分散させ、ラジカルを発生する重合触媒により重合を行なう周知の乳化重合法によって製造されるが、この乳化剤の存在は皮膜の耐水性や密着性を大きく損なうという欠点をもっていた。そこで、水性樹脂分散体中の乳化剤の悪影響を排除するため、エチレン性不飽和単量体とラジカル共重合可能な乳化剤(以後反応性界面活性剤と呼ぶ)を利用する様々な努力が払われてきた。例えば特開昭62−11534号公報、特開昭62−104802号公報、特開平4−53802号公報には種々の反応性界面活性剤が提案され、乳化重合中における従来の乳化剤を反応性界面活性剤へ変更することで耐水性が改善されることが述べられているが、高度な耐水性を得ることはできなかった。また特開平4−170402号公報では、エチレン性不飽和単量体に対し、反応性界面活性剤と連鎖移動剤を組み合わせて乳化重合することを提案しているが、塗料化皮膜のつやは優れているが高度な耐水性を得ることはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来のラテックス組成物から得られる皮膜において高度な耐水性が発現できないという問題点を解決し、かつ耐汚染性と柔軟性という相反する性質を満足することが可能なラテックス組成物を提案することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題に関し鋭意検討をかさねた結果、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体を用い、特定の乳化重合方法によって得られるカルボニル基含有ラテックスと、硬化剤としてヒドラジド系化合物を含む架橋型水性ラテックス組成物が、その皮膜において優れた効果を発現して上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち本発明のカルボニル基含有ラテックスは、特殊な重合方法によって得られ、同一粒子内にカルボン酸密度の異なる少なくとも2種類の乳化重合系重合体を含み、かつ皮膜形成時の架橋点としてのカルボニル基を含有するラテックスである。
【0008】
本発明の組成物に含まれる特定のカルボニル基含有ラテックスは、特定の単量体系〔1〕を供給して乳化重合する第一段の重合と、第一段に引き続き、特定の単量体系〔2〕を供給し、水性媒体中において乳化重合する第二段の重合の、少なくとも二段階の重合行程により得られる。この要件を満足する範囲内において、第二段階の重合を2つ以上の段階に分けて実施することもできる。
【0009】
第一段で供給する単量体系〔1〕の組成は、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)が0.5重量%以上、好ましくは0.5〜20重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)が0.1〜20重量%、好ましくは4〜15重量%、およびこれらの単量体と共重合可能な他の不飽和単量体(C)が99.4重量%以下、好ましくは95.5重量%以下である。
【0010】
重合の第二段で供給する単量体系〔2〕は、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)が0または単量体系〔1〕に含まれる重量比率より少ないことが必要である。さらに具体的には、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)が0〜20重量%、好ましくは0.5〜20重量%であり、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)が0か、好ましくは0〜4重量%未満であって単量体系〔1〕に含まれる重量比率より少ない重量比率からなり、およびこれらの単量体と共重合可能な他の不飽和単量体(C)を含み、好ましくは他の不飽和単量体(C)が95.5重量%以下である。
【0011】
すなわち、重合の第一段として、比較的カルボン酸量が多く、かつカルボニル基を含む単量体系〔1〕をまず乳化重合し、これをシードラテックスとして、第二段において比較的カルボン酸量の少ない単量体系〔2〕を供給して乳化重合する。この方法により製造したラテックスは、皮膜の耐水性に悪影響を与える水中の水溶性成分量が少なく、また結果的にラテックス粒子内部のカルボン酸が粒子外部のカルボン酸より少なくなるため、ラテックスのコロイダルな安定性を維持したままで、ラテックス自体の耐水性を増すのではないかと考えられる。
【0012】
従って、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)が単量体系〔2〕に含まれる重量比率が、単量体系〔1〕に含まれる重量比率より多いかまたは同一である場合には、得られる皮膜の耐水性は不充分なものとなる。
また、本発明において耐汚染性と柔軟性という相反する性質を高度に両立させ、なおかつ耐水性に優れた皮膜を得るためには、単量体系〔1〕から得られるポリマーのTg(ガラス転移温度)が、単量体系〔2〕から得られるポリマーのTgより高いことが好ましく、単量体系〔1〕から得られるポリマーのTgが、単量体系〔2〕から得られるポリマーのTgより10℃以上高いことがさらに好ましい。
【0013】
本発明における、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)の具体例としては、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホルミルスチロール等や、その併用が挙げられる。
【0014】
本発明における、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)の具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸の半エステル、クロトン酸などがあり、第一段重合と第二段重合で同一の物を使用しても良く、または一部または全部が異なっていても良い。
【0015】
本発明において、単量体系〔1〕の他のエチレン性不飽和単量体(C)、単量体系〔2〕の一部または全部を構成する他のエチレン性不飽和単量体(C)は、カルボキシル基、カルボニル基を持たないエチレン性不飽和単量体であり、エチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)および/またはエチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)と共重合可能な単量体である。
【0016】
その具体例としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド系単量体、メタクリルアミド系単量体、シアン化ビニル類等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルの例としては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール 、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系単量体類としては、例えば(メタ)アクリルアミド 、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。また上記以外の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6,−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ)アクリル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
【0017】
これらの他のエチレン性不飽和単量体(C)は、第一段重合と第二段重合で同一の物を使用しても良く、または一部または全部が異なっていても良い。
本発明において、単量体系〔1〕と単量体〔2〕との比率〔1〕/〔2〕は1/99〜95/5が好ましく、5/95〜80/20がさらに好ましい。この範囲外の比率では期待する耐水性の優れた皮膜を得ることはできない。
【0018】
本発明において、耐汚染性と柔軟性という相反する性質を高度に両立させ、なおかつ耐水性に優れた皮膜を得るためには、単量体系〔1〕によるシードラテックスの乳化重合工程において、pH(水素イオン濃度)が1.5〜4.0で実施されることが好ましく、pH1.5〜3.0で実施されることがさらに好ましい。
【0019】
さらに、シードラテックスの乳化重合中だけでなく、乳化重合後においても、アルカリ等によって一部を可溶化することは耐水性の点で好ましくなく、シードラテックスの乳化重合後において、pH(水素イオン濃度)が1.5〜4.0であることが好ましく、pH1.5〜3.0であることはさらに好ましい。
本発明において、耐汚染性と柔軟性という相反する性質を高度に両立させ、なおかつ耐水性に優れた皮膜を得るためには、すべての乳化重合工程において、pH(水素イオン濃度)が1.5〜4.0で実施されることが好ましく、pH1.5〜3.0で実施されることがさらに好ましい。
【0020】
また、所望によって上記の範囲内で種々の重合調整剤を添加することも可能で、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のpH調整剤や、ドデシルメルカプタン等の分子量を調節するための連鎖移動剤を添加することも可能である。
【0021】
本発明の実施には、ラジカル重合触媒として、熱または還元性物質などによってラジカル分解して単量体の付加重合を起こさせるもので、水溶性または油溶性の過硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等が使用される。その例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等がある。その量としては単量体に対して通常0.01〜2重量%配合される。なお、重合速度の促進、さらに低温での重合を望むときには、例えば重亜硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いる。
【0022】
本発明において、カルボニル基含有ラテックスの硬化剤として使用されるヒドラジン誘導体(D)は、少なくともヒドラジン残基を1分子中に2個以上有するものであることが必要である。好ましくは、ヒドラジン誘導体(D)が、下式(11)で表されるセミカルバジド系硬化剤及び/またはその末端封鎖体であるヒドラジン誘導体(D)である。
【化11】
(式中、R 1' は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネート、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソシアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もしくはR 1' は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネートに由来する、末端イソシアネート基を有さないトリイソシアネート残基を表し;R 2' は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレン基を表し;各R 3' は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し;nは0又は1であり;l及びmは各々0または正の整数であり、ただし3≦(l+m)≦20である。)
このような硬化剤を上記の特定のカルボニル基含有ラテックスと混合することにより、優れた性能の架橋型水性ラテックス組成物を得ることができる。
【0023】
ヒドラジン誘導体(D)の具体例としては、例えば蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカンジオヒドラジド、ヘキサデカンジオヒドラジド、1,4−シクロヘキサンジヒドラジド、酒石酸ジヒドラジド、リンゴ酸ジヒドラジド、イミノジ酢酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフトエ酸ジヒドラジド、1,4−ナフトエ酸ジヒドラジド、4,4’−ビスベンゼンジヒドラジド、2,6−ピリジンジヒドラジド等のジカルボン酸ジヒドラジド類;1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸トリヒドラジド、トリメリト酸トリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、ニトリロ酢酸トリヒドラジド等のトリカルボン酸トリヒドラジド類;ピロメリット酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド、エチレンジアミン四酢酸テトラヒドラジド等のテトラカルボン酸テトラヒドラジド類、下記一般式(12)で表される炭酸ポリヒドラジド類、または下記一般式(13)で表されるビスセミカルバジド類等、及び式(14)で表されるがごとき数平均分子量が500〜500000の酸ヒドラジド系ポリマー等やそれらの併用が挙げられる。
【0024】
【化12】
【0025】
(式中xは0〜20の整数を意味する。)
【0026】
【化13】
【0027】
(式中、R6'は直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20の2価の脂肪族残基、炭素数6〜25の2価の脂環族残基、置換基を有しても有さなくても良い炭素数6〜25の2価の芳香族残基、及び置換基を有しても有さなくても良い炭素数6〜25の2価の芳香脂環族残基を表す。R7'は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表す。)
【0028】
【化14】
【0029】
(式中、Xは水素原子またはカルボキシル基であり、Yは水素原子またはメチル基であり、Aはアクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸から選ばれる単量体の重合した単位であり、Bはアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、無水マレイン酸と共重合可能な単量体の重合した単位である。また、l、m及びnは下記の各式を満足する数を示す。
【0030】
2モル%≦l≦100モル%
0モル%≦m+n≦98モル%
l+m+n=100モル%
また、上記ヒドラジド系ポリマーは、ランダム共重合体でも、ブロック共重合体でもよい。)
本発明のカルボニル基含有ラテックスの製造工程において、単量体系〔1〕、〔2〕各々100重量部に対して、乳化重合に用いる乳化剤として、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体、スルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体(以下、両者を併せて、アニオン型反応性界面活性剤という。)、もしくはそれらの混合物の少なくともいずれか一から選ばれたものを用いることは、ラテックスの耐水性を向上せしめるため望ましく、二種以上用いることもできる。
【0031】
これらの単量体は、各単量体系に対して0.05〜20重量部を用いることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜10重量部である。
これらの範囲外で乳化剤として上記の単量体を使用した場合には、得られる皮膜の耐水性が不充分なものとなる。
本発明において、さらに高度な耐水性、優れた分散安定性を有し、性能バランスに優れたカルボニル基含有ラテックスを得るには、乳化重合に用いる乳化剤として少なくとも2種類のアニオン型反応性界面活性剤を組み合わせて用いることが好ましい。
【0032】
特に、単量体系〔1〕に対して、乳化剤として下記の一般式(1)、(2)、(3)で表されるスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体および/または一般式(4)、(5)、(6)、(7)で表されるスルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体を用い、また、単量体系〔2〕に対して乳化剤として、下記の一般式(8)で表されるスチレンスルホン酸塩、下記の一般式(9)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルスルホン酸塩および/または下記の一般式(10)で表される(メタ)アクリル酸オキシアルキレンスルホネートの塩を用いることが好ましい。
【0033】
このように第一段と第二段で親水性の異なる乳化剤を組み合わせることで、耐水性のみならず、耐水性と安定性とのバランスの優れたラテックスを得ることができる。
単量体系〔1〕100重量部に対しては、乳化剤として上記の単量体を0.05〜10重量%を用いることが望ましく、単量体系〔2〕100重量部に対しては、上記の単量体を0.05〜5重量%用いることが望ましい。
【0034】
【化15】
【0035】
(式中、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数8〜24のアルキル基またはアシル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは0〜50の整数、mは0〜20の整数、Mはアルカリ金属、アンモニウムを示す。)
【0036】
【化16】
【0037】
(式中、R1 は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、R2 は水素または炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、R3 は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数、Mはアルカリ金属を示す。)
【0038】
【化17】
【0039】
(式中、R 1 は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、R 2 は水素または炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基またはアラルキル基、R 3 は水素またはプロペニル基、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜200の整数、Mはアンモニウムを示す。)
【0040】
【化18】
【0041】
【化19】
【0042】
【化20】
【0043】
【化21】
【0044】
{式(4)、(5)、(6)、(7)のそれぞれにおいて、R1 は水素またはメチル基、R2 は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19アラルキル基等の炭化水素基、またはその一部が水酸基、カルボン酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシアルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が2〜4、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アルキル部分の炭素数が0〜20、およびアルキレン部分の炭素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド化合物を含む有機基であり、Aは炭素数2〜4個のアルキレン基または置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整数であり、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示す。}
【0045】
【化22】
【0046】
(式中、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示す。)
【0047】
【化23】
【0048】
(式中、R1 は水素またはメチル基、nは1〜20の整数、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示す。)
【0049】
【化24】
【0050】
(式中、R1 は水素またはメチル基、nは2以上の整数、Aは炭素数2〜4のアルキレン基、Mはアルカリ金属、アンモニウム、有機アミン塩基または有機第四級アンモニウム塩基を示す。)
スルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体として、一般式(1)で表されるものとしては、例えば旭電化工業(株)製アデカリアソープ(商標)SE1025N等があり、一般式(2)、(3)で表されるものとしては、例えば第一工業製薬(株)製アクアロン(商標)HS−10等がある。
【0051】
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体として、一般式(4)、(5)で表されるものとしては、例えば三洋化成(株)製エレミノール(商標)JS−2,JS−5があり、一般式(6)、(7)で表されるものとしては、例えば花王(株)製ラテムル(商標)S−120、S−180、S−180A等がある。一般式(8)で表されるものとしては、例えばp−スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン酸カリウム等があり、一般式(9)で表されるものとしては、例えばアクリル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アクリル酸−(2−スルホエチル)エステルカリウム、メタクリル酸−(2−スルホエチル)エステルナトリウム、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルナトリウム、アクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルカリウム、メタクリル酸−(3−スルホプロピル)エステルナトリウム等がある。
【0052】
これらの反応性界面活性剤は、ラテックス中において、
▲1▼ ラテックス粒子にラジカル重合した共重合物として存在しているか、
▲2▼ 未反応物としてラテックス粒子へ吸着、あるいはラテックス水相中に存在しているか、又は
▲3▼ 水溶性単量体との共重合物あるいは単量体同士の共重合物としてラテックス粒子へ吸着、あるいはラテックス水相中に存在している。
【0053】
とくに▲1▼の状態の比率を高めることによって、ラテックスより得られるフィルムの耐水性を良好なものとすることができる。
また反応性界面活性剤は、ラテックスより得られるフィルムの熱分解ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−MS)、又は熱分解質量分析(Py−MS)により同定することができる。他の方法として、ラテックスの水相成分を分離した後、高速原子衝撃質量分析(FABマススペクトル)によって同定することも可能である。
【0054】
本発明では、乳化剤として通常の界面活性剤を併用しても良い。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンプロックコポリマー等のノニオン性界面活性剤、さらにα−〔1−〔(アリルオキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル 〕−ω−ヒドロキシポリオキシエチレン(商品名:アデカリアソープNE−20、NE−30、NE−40等、旭電化工業(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル(商品名:アクアロンRN−10、RN−20、RN−30、RN−50等、第一製薬工業(株)製)等の反応性ノニオン型界面活性剤といわれるエチレン性不飽和単量体と共重合なノニオン型界面活性剤等が用いられ、これらの使用を排除するものではないが、その使用量は全単量体100重量部当たり1重量部以下に留めるべきで、それ以上の量の使用は、皮膜の耐水性、密着性を損なうことになる。
【0055】
上記本発明の要件がみたされない場合には、乳化重合中において多量の凝集物を発生し、また耐水性に劣る。
本発明に使用するカルボニル基含有ラテックスは、ラテックスの長期の分散安定性を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノール等のアミン類を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。
【0056】
本発明において、ヒドラジン誘導体(D)が、少なくともヒドラジン残基を1分子中に2個有するヒドラジン誘導体であって、下記式(11)で表されるセミカルバジド系硬化剤及び/またはその末端封鎖体であることが好ましい。
【0057】
【化25】
【0058】
(式中、R1'は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネート、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソシアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もしくはR1'は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネートに由来する、末端イソシアネート基を有さないトリイソシアネート残基を表し;R2'は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレン基を表し;
各R3'は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し;
nは0又は1であり;
l及びmは各々0または正の整数であり、ただし2≦(l+m)≦20であり、好ましくは3≦(l+m)≦20である。)
さらに架橋効率が高く強靱でかつ耐水性に優れた皮膜を得るためには、前記式(11)で表されるセミカルバジド系硬化剤及び/またはその末端封鎖体が、1分子中に−NCO基を3個以上持つジイソシアネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させる事によって得られるものを使用することが望ましい。
【0059】
本発明において、架橋型水性ラテックス組成物より得られる皮膜の耐水性を改善する目的で、ヒドラジン誘導体(D)として水に対し不溶または難溶性となるヒドラジン誘導体を用いることも可能である。その方法として後に示す前記式(11)で表されるセミカルバジド系硬化剤及び/またはその末端封鎖体へ親水基を導入する方法、またヒドラジン誘導体(D)と乳化剤を併用する方法が挙げられる。
【0060】
本発明において、式(11)で表されるセミカルバジド系硬化剤の製造に用いることのできるポリイソシアネート化合物は、1分子中に−NCO基を2〜20個有するポリイソシアネート化合物であり、好ましくは1分子中に−NCO基を3〜20個有するポリイソシアネート化合物であり、例えば、ジイソシアネート類をビュレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレタン結合、アロファネート結合、ウレトジオン結合等によりオリゴマー化したポリイソシアネート化合物、更には1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン及びこれらの併用が挙げられる。
【0061】
上記のl+m=2であるセミカルバジド系硬化剤及び/またはその末端封鎖体は、1分子中に−NCO基を2個有するポリイソシアネート化合物とヒドラジン化合物とを反応させる事によって得られる。
1分子中に−NCO基を3〜20個有するポリイソシアネート化合物、およびそれから誘導されるセミカルバジド系硬化剤及び/またはその末端封鎖体は、例えばWO96/01252号パンフレットに記載の方法で得ることができる。
【0062】
本発明のセミカルバジド系硬化剤においては、ポリカルボニル化合物との相溶性の観点から、ジイソシアネート化合物をオリゴマー化して得られる、1分子中に−NCO基を3〜20個有するポリイソシアネート化合物を用いることが好ましい。これは、1分子中に−NCO基を3〜20個有するポリイソシアネート化合物を用いて得られるセミカルバジド硬化剤は多官能となるため、架橋型水性組成物より得られる塗膜は、高い架橋能力を有し、強靱な皮膜を与えることができる。ポリイソシアネート1分子中の−NCO基数が20を超えるとセミカルバジド基の数が過多となるためセミカルバジド系硬化剤の粘度が高くなり、取り扱いが困難となる。
【0063】
それらからセミカルバジド誘導体が誘導されるポリイソシアネート化合物のうち、皮膜の硬度、耐薬品性、耐熱性等の点から好ましいものとしては、例えば、基本骨格としてイソシアヌレート構造またはビュレット構造を有するものが挙げられる。また、ポリカルボニル化合物等との被覆組成物から得られる皮膜の柔軟性に優れるものとしては、例えば、基本骨格としてウレタン構造を有するものが挙げられる。
【0064】
本発明においては、セミカルバジド系硬化剤又はその原料であるポリイソシアネート化合物が、ヒドラジン化合物の鎖延長により高分子化することを防ぐ目的から、ヒドラジン化合物を下式(12)で表されるモノアルデヒドまたはモノケトン等と反応させ、ヒドラゾン基として封鎖して用いることもできる。
R8'R9'C=O (12)
(式中、R8'、R9'は各々独立して水素原子、直鎖状もしくは分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシル基で置換されている炭素数6〜10のアリール基を表し、R8'、R9'は場合によっては共同して環状構造を形成してもよい。)
この場合、生成するセミカルバジド系硬化剤はセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖された物となる。セミカルバジド系硬化剤から封鎖剤として用いたモノアルデヒド又はモノケトンの脱離は、ポリカルボニル化合物と混合する前に加水分解して留去しても良いし、そのまま硬化剤として用いて架橋型水性組成物とし、基材表面に塗布した後、硬化過程において自然脱離させても良い。従って、上記封鎖剤としては30〜200℃の沸点を有するモノケトン(例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)が好ましい。
【0065】
また、式(11)で表されるセミカルバジド系硬化剤及び/又はセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖されたセミカルバジド系硬化剤末端封鎖体の水性媒体中への分散安定性や溶解性を補助する目的で、下記式(13)で表される親水性基含有化合物及びそのセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖された化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つとを混合して使用することができる。
【0066】
【化26】
【0067】
(式中、R11' は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数1〜6のアルキレン基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレンジイソシアネート、置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜20のアリーレンジイソシアネート、及び置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数8〜20のアラルキレンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも一種のジイソシアネートの3量体〜20量体オリゴマーに由来する、末端イソシアネート基を有さないポリイソシアネート残基、もしくはR11' は炭素数1〜8のイソシアナトアルキル基で置換されている炭素数2〜20のアルキレンジイソシアネートに由来する、末端イソシアネート基を有すさないトリイソシアネート残基を表し;R12' は、直鎖状又は分岐状の炭素数2〜20のアルキレン基、炭素数5〜20のシクロアルキルレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリーレン基を表し;
各R13' は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し;
nは0又は1であり;そして
p及びqは、各々0または正の整数であり、rは正の整数であり、
2≦(p+q+r)≦20である)
上記式(13)で表されるセミカルバジド系硬化剤のセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖された化合物は、式(13)における末端基H2 NR13' N−の少なくとも1つが式R5'R4'C=NR3'N−で表される封鎖末端基を有している(式中、R4'、R5'は各々独立して水素原子、直鎖状又は分岐状の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜10のアリール基をあらわしし、R4'とR5'は場合によっては共同して環状構造を形成していてもよい。)。
【0068】
即ち、式(11)で表されるセミカルバジド硬化剤及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つと、式(13)で表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つとを含有する組成物を、カルボニル基含有ラテックス組成物の硬化剤として有利に用いることができる。
この本発明のセミカルバジド硬化剤及びその末端封鎖体には、上記したようにカルボニル基含有ラテックス組成物と混合しやすいように、水性媒体中への分散及び水性媒体中への溶解からなる群から選ばれる少なくとも一つの状態であることが好ましい。
【0069】
本発明のセミカルバジド硬化剤及びその末端封鎖体には、場合によっては、上記した式(13)で表される親水性基含有化合物及びそのセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖された化合物以外の、他の界面活性剤を加えてもよい。このような界面活性剤の例としては、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸、アルキルコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー、エチレンオキサイドとリン酸類との公知の反応生成物等のノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤等やそれらの併用が挙げられる。
【0070】
しかし、界面活性剤としては、式(13)で表される親水性基含有化合物及びそのセミカルバジド基がセミカルバゾン基として封鎖された化合物が、セミカルバジド硬化剤及びその末端封鎖体との親和性が高いので特に好ましい。そして特に、式(11)で表されるセミカルバジド硬化剤及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つと、式(13)で表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つとを含有する組成物であって、式(11)で表されるセミカルバジド硬化剤及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つと、式(13)で表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つとの重量比が、=99/1〜10/90の範囲内の組成物を、カルボニル基含有ラテックスの硬化剤として用いると、特に安定で硬化性能に優れた架橋型水性ラテックス組成物が得られる。
【0071】
本発明の式(11)で表されるセミカルバジド硬化剤及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つと、式(13)で表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つとを含有する組成物は、例えば、前記のWO96/01252号パンフレットに記載の方法で得ることができる。
本発明において、カルボニル基含有ラテックス用の硬化剤としては、ヒドラジン誘導体(D)が少なくともヒドラジン残基を1分子中に2個以上有するヒドラジン誘導体であって、該ヒドラジン誘導体と、ケトン酸及び/またはその塩との混合物からなることが好ましい。さらに架橋効率が高く強靱でかつ耐水性に優れた皮膜を得るためには、ヒドラジン誘導体(D)が前記式(11)で表されるセミカルバジド系硬化剤及び/またはその末端封鎖体であって、該ヒドラジン誘導体と、ケトン酸及び/またはその塩(E)との混合物からなることがさらに好ましい。
【0072】
上記において、耐水性に優れた皮膜が得ることができる架橋型水性ラテックス組成物として、カルボニル基含有ラテックス用の硬化剤は、ヒドラジン誘導体(D)が難水溶性のヒドラジン誘導体であって、該難水溶性のヒドラジン誘導体と、ケトン酸及び/またはその塩(E)との混合物からなることが好ましい。ここで難水溶性とは、25℃における水100gに対する溶解度が5g以下であることとする。
【0073】
本発明では、上述したヒドラジン誘導体(D)とケトン酸及び/又はその塩、好ましくは難水溶性のヒドラジン誘導体とケトン酸及び/又はその塩を混合する事により、親水性を大きくコントロールできるカルボニル基含有ラテックス用の硬化剤を得る。
本発明において、ケトン酸及び/またはその塩が、式(14)及び/又は式(15)で表されるモノケトンモノカルボン酸類、式(16)及び/又は式(15)で表されるモノケトンジカルボン酸類、及びそれらの併用等が挙げられる。
【0074】
【化27】
【0075】
{(R1 は、水素原子、又は置換されていないか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキル基を表す。R2 は、置換されていないか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。pは、0又は1を表す。Xは、各々独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウムまたは式(15)で表される置換アンモニウムを表す。
【0076】
HNR3 R4 R5 (15)
(R3 、R4 、R5 は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていないか或いはヒドロキシル基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基を表す。また、R3 とR4 あるいは、R3 とR4 とR5 は、共同して環状構造を形成しても良い。)}
【0077】
【化28】
【0078】
{(R1 、R2 は、各々独立して、置換されていないか或いはヒドロキシル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜30のアルキレン基を表す。q、rは、各々0又は1を表す。Y、Zは、各々独立して、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は式(15)で表される置換アンモニウムを表す。
【0079】
HNR3 R4 R5 (15)
(R3 、R4 、R5 は、それぞれ独立して、水素原子、又は置換されていないか或いはヒドロキシル基で置換されている直鎖状または分岐状の炭素数1〜20のアルキル基を表す。また、R3 とR4 あるいは、R3 とR4 とR5 は、共同して環状構造を形成しても良い。)}
本発明において、モノケトンカルボン酸類の具体例としては、例えばピルビン酸、レブリン酸、アセト酢酸、ケトカプリン酸、ケトウンデカン酸、ケトステアリン酸、ケトヘンエイコセン酸、ケトグリコン酸等が挙げられる。モノケトンジカルボン酸の具体例としては、例えばケトマロン酸、アセトンジカルボン酸、2−ケトグルタル酸、アセトンジ酢酸、アセトンジプロピオン酸等が挙げられる。
【0080】
本発明において、ケトン酸の塩は、上記ケトン酸を塩基で中和することにより得ることができる。中和に用いる塩基としては、例えばKOH、NaOH、LiOH等のアルカリ金属の水酸化物、式(15)で表されるアミン類等や、これらの併用が挙げられる。 上記アミン類の具体例としては、例えばアンモニア、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、N−メチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等が挙げられる。
【0081】
本発明では、ヒドラジン誘導体とケトン酸を混合することにより、例えばケトン酸としてモノケトンモノカルボン酸類を用いた場合、下記の平衡反応が生じ、得られるヒドラジン誘導体の親水性がコントロールできるものと推定される。
【0082】
【化29】
【0083】
上記平衡式から判るように、本発明のヒドラジン誘導体の親水性のコントロールには、ヒドラジン誘導体とケトン酸を混合比と共に、H2 O濃度が大きく影響する。すなわち、H2 O濃度が小さいと上記平衡式は生成系にずれ、ヒドラジン誘導体へのケトン酸あるいはその塩の導入量が増加し、結果としてヒドラジン誘導体(D)の親水性は増大する。逆に、H2 O濃度が大きいとヒドラジン誘導体(D)の親水性は減少することになる。本発明において、H2 O濃度は、親水性のコントロールを目的に任意に設定することができる。
【0084】
本発明において、ヒドラジン誘導体(D)とケトン酸及び/又はその塩(E)との混合は任意の割合で行うことができるが、ヒドラジン誘導体(D)中のヒドラジン残基に対するケトン酸中のケト基の比が、(ケト基)/(ヒドラジン基)モル比で0.001〜10の範囲であることが好ましい。
またヒドラジン誘導体(D)とケトン酸との混合は、任意の温度範囲において、無溶媒または溶媒中で行うことができる。上記溶媒の具体例としては、水、t−ブタノール、イソプロパノール、2−ブトキシエタノール等のアルコール類、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム系溶媒、ジメチルスルホオキシド等のスルホオキシド系溶媒、酢酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、n−へキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒等やその併用が挙げられる。
【0085】
本発明において、ヒドラジン誘導体(D)を水に分散あるいは溶解させる際は、必要に応じ界面活性剤を添加しても良い。添加できる界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、樹脂酸、酸性脂肪アルコール、硫酸エステル、高級アルキルスルフォン酸、スルフォン酸アルキルアリル、スルフォン化ひまし油、スルフォこはく酸エステル、アルケニルコハク酸等の塩に代表されるアニオン性界面活性剤、あるいはエチレンオキサイドと長鎖脂肪アルコールまたはフェノール類、リン酸類との公知の反応生成物に代表されるノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニルアルコール等の高分子分散安定剤等やそれらの併用が挙げられる。
【0086】
本発明によって製造される架橋水性ラテックス組成物は長期の分散安定を保つため、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミノエタノール等のアミン類を用いてpH5〜10の範囲に調整することが好ましい。本発明によって製造される水性樹脂分散体には通常水系塗料等に添加配合される成分、例えば増粘剤、消泡剤、顔料、分散剤、染料、防腐剤等を所望により配合することは任意である。
【0087】
本発明の架橋型水性ラテックス組成物は、塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤及び編織布の仕上げ剤として有用であり、とくに塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材として、具体的には、コンクリート、セメントモルタル、スレート板、ケイカル板、石膏ボード、押し出し成形板、発砲性コンクリートなどの無機建材、織布あるいは不織布を基とした建材、金属建材などの各種下地に対する塗料または建築仕上げ材として、複層仕上げ塗材、グロスペイントなどの合成樹脂ラテックスペイント、金属用塗料、プラスチック用塗料、木部塗料、瓦用塗料として有用である。接着剤としては、例えば自動車内装用接着剤、建築部材用接着剤、各種フィルムのラミネート接着剤等として用いられる金属、プラスチック、木材、スレート、紙、布等に対するウェット接着剤及びコンタクト接着剤等があげられる。粘着剤としては、例えば片面テープ、両面テープ、ラベル、アルバム等に使用される永久粘着剤、再剥離粘着剤等があげられる。
【0088】
【発明の実施の形態】
以下に、製造例、実施例及び比較例により本発明を詳細に説明する。
例中の部および%は重量表示である。
なお、実施例中に用いられる各種物性値の測定方法は下記の通りである。
▲1▼ 分子量分布
ゲルパーミィテーションクロマトグラフィーを用いて、ポリスチレン標品検量線より求めた。
【0089】
▲2▼ 赤外線吸収スペクトル
JASCO FT/IR−5300(日本分光(株)製)で測定した。
▲3▼ 皮膜の耐溶剤性
各実施例または比較例のラテックスと硬化剤を含む組成物について配合Aに従い成膜助剤を混合し、この配合物をアプリケーターを用いて0.25mmの厚みになるようガラス板上に塗布し、室温で成膜した後、さらに室温で1ヵ月間乾燥し、透明で平滑な皮膜を得た。皮膜は200メッシュの金網製の袋に入れた後、トルエン中に室温にて24時間浸漬後、塗膜フィルム重量の保持率を、(アセトン浸漬後の塗膜重量)÷(アセトン浸漬前の塗膜重量)×100として求めた。
【0090】
(配合A)
実施例、比較例のラテックス
と硬化剤の組成物(固形分換算) 460.0部
エチレングリコール
モノブチルエーテル 25.0部
エチレングリコール
モノ2−エチルヘキシルエーテル 5.0部
水 25.0部
▲4▼ 皮膜の耐水性
各実施例または比較例のラテックスと硬化剤の組成物について配合Aに従い成膜助剤を混合し、この配合物をアプリケーターを用いて0.10mmの厚みになるようガラス板上に塗布し、室温で成膜した後、さらに室温で1ヵ月間乾燥し、透明で平滑な皮膜を得た。ガラス板上に成膜したままの皮膜を50℃の水中にて8時間浸漬後、皮膜の状態を目視にて観察した。
【0091】
(判定基準)
◎;まったく白化が見られない。
○;わずかにやや青みがかった白化がみられる。
△;やや白化が見られる。
×;白化が全面に見られ、部分的にふくれが発生してい
るものもある。
▲5▼ 皮膜の強伸度
各実施例または比較例のラテックスと硬化剤の組成物について配合Aに従い製膜助剤を混合し、この配合物をアプリケーターを用いて0.10mmの厚みになるようガラス板上に塗布し、室温で成膜した後、さらに室温で1ヵ月間乾燥し、透明で平滑な皮膜を得た。測定長30mm、測定幅10mmとなるよう試験体を用意し、テンシロン引張試験磯((株)オリエンテック製 RTA−100)で引張速度:300mm/分の条件で皮膜破壊時の強伸度を測定した。
▲6▼ 汚染回復率(耐汚染性)
皮膜の汚染回復率は、各実施例または比較例の組成物を、ワイヤーコーターN0.30を用いて、隠ペい率試験紙(JIS K 5400)の白色部分に塗布し、室温にて2時間乾燥させた。さらに50℃にて2日間乾燥させたものを試験体とした。煤煙汚染試験機(化学機器総覧94−95 1611ページ)中へ試験体を取り付け、この試験体を10rpmで回転させながら、雰囲気温度70℃とし、煤煙汚染試験機中にて灯油(JIS K 2203)を燃焼させ1時間塗膜を汚染させ、室温放置後、室温にてスプレーシャワーにより水洗乾燥後の試験体の色差系Y値(白色度)を測定し、これを汚染前のY値で除し、この値すなわち保持率を汚染回復率として算出した。
<製造例1>カルボニル基含有ラテックス(1)の調製
かくはん磯、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタクリル酸8部、ジアセトンアクリルアミド3部、メタクリル酸メチル64部、アクリル酸ブチル25部、水300部、ラテムルS−180A(エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩:花王(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これによって第一段階のシードラテックスが調製され、水素イオン濃度を測定したところpHl.8であった。次に、メタクリル酸4部、ジアセトンアクリルアミド12部、メタクリル酸メチル109部、アクリル酸ブチル275部の混合液と、水330部、スピノマーNaSS(p−スチレンスルホン酸ナトリウム:東ソー(株)製)の20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0・01%と非常にわずかであった。得られたラテックスの固形分は44.3%、平均粒子経1060Åであった。
<製造例2>カルボニル基含有ラテックス(2)の調製
かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、水230部、ラテムルS−180Aの20%水溶液5部を投入し、反応容器内を80℃とする。次に、メタクリル酸12部、ジアセトンアクリルアミド15部、メタクリル酸メチル175部、アクリル酸ブチル300部の混合液と、水400部、ラテムルS−180Aの20%水溶液35部、過硫酸アンモニウム1.5部の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より4時間かけて流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.15%と非常にわずかであった。得られたラテックスの固形分は44.3%、平均粒子径1080Åであった。
<製造例3>カルボニル基含有ラテックス(3)の調製
かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタクリル酸8部、ジアセトンアクリルアミド1.5部、スチレン10部、メタクリル酸メチル55.5部、アクリル酸2−エチルヘキシル25部、水300部、アデカリアソープSE−1025N(反応性界面活性剤:旭電化(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これによって第一段階のシードラテックスが調製され、水素イオン濃度を測定したところpHl.8であった。次に、メタクリル酸4部、ジアセトンアクリルアミド6部、ステレン100部、メタクリル酸メチル15部、アクリル酸2−エチルへキシル275部の混合液と、水330部、エレミノールRS−30(反応性界面活性剤:三洋化成(株)製)の20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.01%と非常にわずかであった。得られたラテックスの固形分は43.4%、平均粒子経960Åであった。
<製造例4>ポリイソシアネート化合物Aの調製
イソホロンジイソシアネート222部、へキサメテレンジイソシアネート168部、ピュレット化剤としての水2.4部を、エチレングリコールメチルエーテルアセテートとリン酸トリメチルの1:1(重量比)の混合溶媒130部に溶解し、反応温度160℃にて1.5時間反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶を用いて、1回目は1.OmmHg/160℃の条件下、2回目は0.1mmHg/200℃の条件下にて2段階の処理により余剰のイソホロンジイソシアネートおよびへキサメチレンジイソシアネート、および溶媒を留去回収した。
【0092】
得られたポリイソシアネート化合物Aは、イソホロンジイソシアネートとヘキサメチレンジイソシアネートのコビュウレット型ポリイソシアネートであり、残存イソホロンジイソシアネートが0.7重量%、残存ヘキサメチレンジイソシアネート0.1重量%、−NCO含有量は19.6重量%、粘度は20000(±3000)mPa.s/40°C、数平均分子量は約800(±100)であり、平均−NCO官能基数は約3.7であった。
<製造例5>セミカルバジド系硬化剤Aの調製
還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にテトラハイドロフラン22部、ポリイソシアネートA(ポリイソシアネート化合物Aを酢酸エチルで79.6%の溶液としもの。NCO基含量15.6重量%)23部、「ユニオックス(商標)M1000」〔日本油脂(株)製、水酸基価56.9のポリオキシエチレンメチルエーテル〕10部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.001部を入れ60℃にて4時間反応した。次に還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器に入れたテトラハイドロフラン147部にヒドラジン1水和物7.3部を撹拌しながら30分かけて室温で添加した後更に1時間撹拌した。この反応液に先に得られた反応物を40℃にて撹拌しながら1時間かけて添加しその後更に40℃にて4時間撹拌した。その後182部の水を30分かけて40℃で添加しさらに30分撹拌を続けた。得られた反応液中のテトラハイドロフラン、酢酸エチル、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に留去することにより固形分30%のセミカルバジド系硬化剤の水分散体を得た。
【0093】
このものの赤外線吸収スペクトルを図1に示す。
<製造例6>セミカルバジド系硬化剤とケトン酸の塩からなる硬化剤Bの合成例還流冷却器、温度計および撹拌装置を有する反応器にいれたイソプロピルアルコール230部にヒドラジン1水和物20部を室温で添加した。これに上記ポリイソシアネートAをテトラハイドロフラン168部に溶解した溶液を40℃にて約1時間かけて添加し、さらに40℃にて3時間攪拌を続けた。得られた反応液中のテトラハイドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に留去することにより、セミカルバジド系硬化剤を白色固体として得た。
【0094】
このものの赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
セミカルバジド系硬化剤27部にピルビン酸2部及び水58部を添加し、30℃にて30分攪拌した後、10%アンモニア水溶液3.6部を添加し、さらに30℃にて1時間攪拌を行うことにより、均一透明なセミカルバジド系硬化剤とケトン酸の塩とからなる硬化剤Bの水溶液を得た。
<製造例7>1,3,5−シクロヘキシサントリヒドラジドとケトン酸の塩からなる硬化剤Cの調整
1,3,5−シクロヘキシサントリヒドラジド14部にレブリン酸10部及び水108部を添加し、30℃にて1時間攪拌を行う事により、均一透明なヒドラジン誘導体と、ケトン酸の塩との混合物からなる硬化剤Cの水溶液を得た。
<製造例8>セミカルバジド系硬化剤Dの調整
ヘキサメチレンジイソシアネート168部、ビュレット化剤としての水1.5部を、エチレングリコールメチルエーテルアセテートとリン酸トリメチルの1:1(重量比)の混合溶媒130部に溶解し、反応温度160℃にて1時間反応させた。得られた反応液を薄膜蒸留缶を用いて、1回目は1.0mmHg/160℃の条件下、2回目は0.1mmHg/200℃の条件下にて2段階の処理により余剰のヘキサメチレンジイソシアネート、および溶媒を留去回収し、残留物を得た。得られた残留物は、99.9重量%のポリイソシアネートD(ヘキサメチレンジイソシアネートのビュウレット型ポリイソシアネート)および0.1重量%の残存ヘキサメチレンジイソシアネートを含んでいた。得られた残留物の粘度は1900(±200)mPa.s/25°、数平均分子量は約600(±100)であり、平均−NCO官能基数は約3.3、−NCO基含有量は23.3重量%であった。
【0095】
還流冷却器、温度計および攪拌装置を有する反応器にイソプロピルアルコール1000部にヒドラジン1水和物80部を攪拌しながら約30分かけて室温で添加した後、ポリイソシアネートD(NCO基含量23.3重量%)144部をテトラヒドロフラン576部に溶解した溶液を10℃にて約1時間かけて添加し、さらに40℃にて3時間攪拌を続け、1000部の水を添加した。続いて得られた反応液中のイソプロピルアルコール、ヒドラジン、テトラヒドロフラン、水等を加熱減圧下に留去することにより168部のビウレット構造を有するセミカルバジド硬化剤Dを得た。
【0096】
【実施例1】
製造例1で合成したラテックス(1)100部と、製造例5で得たセミカルバジド系硬化剤及びその末端封鎖体(硬化剤A)の固形分濃度30%の水溶液11.7部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表1に示す。
【0097】
【実施例2】
製造例1で合成したラテックス(1)100部と、製造例6で得たヒドラジン誘導体と、ケトン酸及び/またはその塩との混合物からなる硬化剤(硬化剤B)の水溶液5.9部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表1に示す。
【0098】
【実施例3】
製造例1で合成したラテックス(1)100部と、製造例7で得たヒドラジン誘導体と、ケトン酸及び/またはその塩との混合物からなる硬化剤(硬化剤C)の水溶液6.3部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表1に示す。
【0099】
【実施例4】
製造例1で合成したラテックス(1)100部と、製造例8で得たセミカルバジド系硬化剤及びその末端封鎖体(硬化剤D)の固形分濃度25%の水溶液5.9部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表1に示す。
【0100】
【実施例5】
製造例1で合成したラテックス(1)100部と、アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液4部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表1に示す。
【0101】
【実施例6】
製造例1で合成したラテックス(3)100部と、製造例6で得たヒドラジン誘導体と、ケトン酸及び/またはその塩との混合物からなる硬化剤(硬化剤B)の水溶液3部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表1に示す。
【0102】
【実施例7】
製造例1で合成したラテックス(3)100部と、アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液2部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表1に示す。
【0103】
【比較例1】
製造例2で合成したラテックス(2)100部と、アジピン酸ジヒドラジドの5%水溶液4部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表2に示す。
【0104】
【比較例2】
製造例2で合成したラテックス(2)100部と、製造例8で得たセミカルバジド系硬化剤及びその末端封鎖体(硬化剤D)の固形分濃度25%の水溶液5.9部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表2に示す。
【0105】
【比較例3】
かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタクリル酸8部、メタクリル酸メチル67部、アクリル酸ブチル25部、水300部、ラテムルS−180A(エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩:花王(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これによって第一段階のシードラテックスが調製され、水素イオン濃度を測定したところpH1.8であった。次に、メタクリル酸4部、メタクリル酸メチル121部、アクリル酸ブチル275部の混合液と、水330部、スピノマーNaSS(p−スチレンスルホン酸ナトリウム:東ソー(株)製)の20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.01%と非常にわずかであった。得られたラテックスの固形分は44.3%、平均粒子径1040Åであった。このカルボニル基を含有しないラテックス100部に、製造例8で得たセミカルバジド系硬化剤及びその末端封鎖体(硬化剤D)の固形分濃度25%の水溶液5.9部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表2に示す。
【0106】
【比較例4】
製造例1で合成したラテックス(1)100部を、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表2に示す。
【0107】
【比較例5】
かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタクリル酸1部、ジアセトンアクリルアミド3部、メタクリル酸メチル71部、アクリル酸ブチル25部、水300部、ラテムルS−180A(エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩:花王(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。これによって第一段階のシードラテックスが調製され、水素イオン濃度を測定したところpH1.8であった。次に、メタクリル酸11部、ジアセトンアクリルアミド12部、メタクリル酸メチル102部、アクリル酸ブチル275部の混合液と、水330部、スピノマーNaSS(p−スチレンスルホン酸ナトリウム:東ソー(株)製)の20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.25%とやや多かった。得られたラテックスの固形分は44.3%、平均粒子径1580Åであった。この単量体系[1]のメタクリル酸の量が単量体系[2]のメタクリル酸の量より多いラテックス100部と、製造例8で得たセミカルバジド系硬化剤及びその末端封鎖体(硬化剤D)の固形分濃度25%の水溶液5.9部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表2に示す。
【0108】
【比較例6】
かくはん機、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、メタクリル酸20部、ジアセトンアクリルアミド3部、メタクリル酸メチル52部、アクリル酸ブチル25部、水300部、ラテムルS−180A(エチレン性不飽和単量体と共重合可能な二重結合を分子中に持つスルホコハク酸ジエステルアンモニウム塩:花王(株)製)の20%水溶液20部を投入し、反応容器中の温度を78℃に上げてから、過硫酸アンモニウム0.5部を添加して1時間保つ。25%アンモニア水溶液を添加してpH7とすることによって第一段階の水溶液が調製された。次に、メタクリル酸4部、ジアセトンアクリルアミド12部、メタクリル酸メチル109部、アクリル酸ブチル275部の混合液と、水330部、スピノマーNaSS(p−スチレンスルホン酸ナトリウム:東ソー(株)製)の20%水溶液20部、過硫酸アンモニウム1.0部の混合液とを反応容器中へ別々の滴下槽より3時間かけて流入させる。流入中は反応容器中の温度を80℃に保つ。流入が終了してから反応容器中の温度を85℃にして6時間保つ。室温まで冷却後、水素イオン濃度を測定したところ2.1であった。25%アンモニア水溶液を添加してpH8に調整してから100メッシュの金網でろ過した。ろ過された凝集物の乾燥重量は全単量体に対して0.32%とやや多かった。得られたラテックスの固形分は44.1%、平均粒子径1760Åであった。この重合中のpHを中性付近に調整したラテックス100部と、製造例8で得たセミカルバジド系硬化剤及びその末端封鎖体(硬化剤D)の固形分濃度25%の水溶液5.9部を添加し、室温で30分混合した後、配合Aに従って配合物とした後、各試験に供した。その結果を表2に示す。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【発明の効果】
本発明の架橋型水性ラテックスは一液で保存でき、その皮膜は架橋密度が高く強靭で、耐汚染性と柔軟性を高度にバランスし、耐熱性、耐薬品性、耐水性、耐候性、密着性、初期光沢、光沢保持性等に優れた皮膜を比較的低温で得ることができる。
【0112】
従って、塗料、建材の下地処理材又は仕上げ材、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤、又は編織布の仕上げ剤等の各種用途に利用することができる優れた塗膜が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いるヒドラジン誘導体の1例の赤外線吸収スペクトル図である。
【図2】本発明に用いるヒドラジン誘導体の他の例の赤外線吸収スペクトル図である。
Claims (3)
- 少なくともヒドラジン残基を1分子中に2個以上有するヒドラジン誘導体(D)を含む硬化剤と混合して用いられる、同一粒子内に少なくとも2種類の乳化重合系重合体を含むカルボニル基含有ラテックスであって、該カルボニル基含有ラテックスが、分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)およびこれらの単量体と共重合可能な他の不飽和単量体(C)とからなり、単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)合計100重量%に対して分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)が0.5重量%以上、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)が0.1〜20重量%、およびこれらの単量体と共重合可能な他の不飽和単量体(C)が99.4重量%以下の単量体系〔1〕を供給して水性媒体中において乳化重合し、次いで分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)およびこれらの単量体と共重合可能な他の不飽和単量体(C)とからなり、単量体(A)、単量体(B)及び単量体(C)合計100重量%に対して分子中に少なくとも1個のアルド基またはケト基を有するエチレン性不飽和カルボニル基含有単量体(A)が0〜20重量%、エチレン性不飽和カルボン酸単量体(B)が0または単量体系〔1〕に含まれる重量比率より少ない重量比率、およびこれらの単量体と共重合可能な他の不飽和単量体(C)が95.5重量%以下である単量体系〔2〕を供給し、水性媒体中において乳化重合することにより得られる、カルボニル基含有ラテックス。
- 単量体系〔1〕、〔2〕各々100重量部に対して、乳化重合に用いる乳化剤として、スルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体、もしくはそれらの混合物を、0.05〜20重量部用いる請求項1記載のカルボニル基含有ラテックス。
- 単量体系〔1〕に対して、乳化重合に用いる乳化剤として、下記の一般式(1)、(2)、(3)で表されるスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体または一般式(4)、(5)、(6)、(7)で表されるスルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体の少なくともいずれか一を用い、単量体系〔2〕に対して乳化重合に用いる乳化剤として、下記の一般式(8)で表されるスチレンスルホン酸塩、下記の一般式(9)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルスルホン酸塩または下記の一般式(10)で表される(メタ)アクリル酸オキシアルキレンスルホネートの塩の少なくともいずれか一を用いる請求項1または2に記載のカルボニル基含有ラテックス。
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