JP2003252847A - 新規セミカルバジド誘導体及び組成物 - Google Patents

新規セミカルバジド誘導体及び組成物

Info

Publication number
JP2003252847A
JP2003252847A JP2002057958A JP2002057958A JP2003252847A JP 2003252847 A JP2003252847 A JP 2003252847A JP 2002057958 A JP2002057958 A JP 2002057958A JP 2002057958 A JP2002057958 A JP 2002057958A JP 2003252847 A JP2003252847 A JP 2003252847A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
substituted
formula
alkyl
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002057958A
Other languages
English (en)
Inventor
Masahiko Yamashita
正彦 山下
Akiyoshi Shimoda
晃義 下田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Corp filed Critical Asahi Kasei Corp
Priority to JP2002057958A priority Critical patent/JP2003252847A/ja
Publication of JP2003252847A publication Critical patent/JP2003252847A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 低粘度の原料を使用し、種々の溶剤に対する
溶解性に優れ、かつポリカルボニル化合物と高い相溶性
を示す、新規セミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体
の提供。 【解決手段】 特定の構造を持つ、新規セミカルバジド
誘導体またはその末端封鎖体。上記セミカルバジド誘導
体またはその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つ
(α)と、親水性基含有化合物またはその末端封鎖体か
ら選ばれる少なくとも1つ(β)とを含有してなるセミ
カルバジド組成物(δ)。上記成分(α)を硬化剤とし
て、ポリカルボニル化合物(γ)と組み合わせて用いた
被覆用組成物。上記セミカルバジド組成物(δ)とポリ
カルボニル化合物(γ)とを含有してなる被覆用組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規セミカルバジ
ド誘導体またはその末端封鎖体に関する。更に詳しく
は、原料の直鎖状脂肪族トリカルボン酸エステルイソシ
アネートが低粘度のため製造しやすく、種々の溶剤に対
する溶解性に優れ、かつポリカルボニル化合物(γ)と
高い相溶性を示す、新規セミカルバジド誘導体またはそ
の末端封鎖体に関する。
【0002】また、上記セミカルバジド誘導体またはそ
の末端封鎖体から選ばれる少なくとも1つ(α)と、親
水性基含有化合物またはその末端封鎖体から選ばれる少
なくとも1つ(β)とを含有してなるセミカルバジド組
成物(δ)に関する。本発明は又、上記セミカルバジド
誘導体またはその末端封鎖体から選ばれる少なくとも1
つ(α)を硬化剤として、ポリカルボニル化合物(γ)
と組み合わせて用いた被覆用組成物に関する。更に、セ
ミカルバジド組成物(δ)とポリカルボニル化合物
(γ)とを含有してなる被覆用組成物にも関する。
【0003】本発明の被覆用組成物は常温硬化性及び貯
蔵安定性に優れるのみならず、架橋度が極めて高く、耐
水性、耐汚染性、耐侯性、顔料分散性、光沢保持性、密
着性、防錆性、耐透水性、耐熱性、耐薬品性(例えば耐
溶剤性)等の特性に加え、柔軟性、耐黄変性に優れ、特
に耐水性、耐汚染性、柔軟性、及び耐黄変性に極めて優
れた皮膜を形成するため、塗料、コーティング剤、シー
リング剤、建材の下地処理剤又は仕上げ剤、接着剤、感
圧性粘着剤、紙加工剤及び編織布の仕上げ剤等として有
用である。
【0004】
【従来の技術】近年、コーティング分野において水性エ
マルジョンは、有機溶剤系から水系への転換素材として
注目されているが、耐水性、耐汚染性等を有機溶剤系コ
ーティング剤並みに改良することが課題である。これら
の物性を向上させる目的で、特公昭46−20053号
公報、特開昭57−3850号公報、特開昭57−38
57号公報、特開昭58−96643号公報、特開平4
−249587号公報等では、カルボニル基含有共重合
体水分散液に、硬化剤としてジカルボン酸ジヒドラジド
を添加し、常温硬化性と貯蔵安定性を兼ね備え、硬度、
耐汚染性等に優れた一液常温硬化型ヒドラゾン架橋系水
性エマルジョンが提案されている。しかし、この方法で
は、ジカルボン酸ジヒドラジドのカルボニル基含有共重
合体との相溶性が低く、またジカルボン酸ジヒドラジド
の親水性が高いので、得られる架橋皮膜の耐水性が十分
ではなく、かつジカルボン酸ジヒドラジドが該被覆用組
成物貯蔵の際に加水分解して硬化特性が経時的に低下す
る点で改良が求められていた。
【0005】特再平8−801252号(WO96/0
1252)公報では、種々の溶剤に対する溶解性に優
れ、かつポリカルボニル化合物と高い相溶性を示す新規
なセミカルバジド誘導体を硬化剤として用いポリカルボ
ニル化合物とを組み合わせた水性被覆用組成物が提案さ
れ、常温硬化性と貯蔵安定性に優れ、耐水性、耐汚染
性、硬度等に優れた架橋皮膜が得られるとされている。
しかし、皮膜の柔軟性や対黄変性の改良も望まれてお
り、また、セミカルバジド誘導体の製造に際し、取り扱
いの容易な低粘度の原料の使用も望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、低粘度の原
料を使用し、種々の溶剤に対する溶解性に優れ、かつポ
リカルボニル化合物と高い相溶性を示す、新規セミカル
バジド誘導体及びその末端封鎖体を提供することを目的
とする。また、上記セミカルバジド誘導体またはその末
端封鎖体を硬化剤として、ポリカルボニル化合物とを組
み合わせて用いた、常温硬化性及び貯蔵安定性に優れる
のみならず、架橋度が極めて高く、耐水性、耐汚染性、
耐侯性、顔料分散性、光沢保持性、密着性、防錆性、耐
透水性、耐熱性、耐薬品性(例えば耐溶剤性)等の特性
に加え、柔軟性、耐黄変性に優れ、特に耐水性、耐汚染
性、柔軟性、及び耐黄変性に極めて優れた皮膜を形成す
る被覆用組成物を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を
持つセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体が、その
目的に適合することを見い出し、この知見に基づいて本
発明を完成した。即ち、本発明の第1は、式(1)で表
される新規セミカルバジド誘導体またはその末端封鎖体
である。
【0008】
【化3】
【0009】〔式中、X,Y,及びZは、それぞれ独立
に、式(2)〜(6)で表される基である。 −NH−CO−NR2NH2 (2) −NH−CO−NHNR2−R3−NR2NH2 (3) −NH−CO−NHNR2−CO−R4−CO−NR2NH2 (4) −NH−CO−NHNR2−CO−(NHNH−CO)X−NR2NH2 (5) −NH−CO−NHNR2−CO−NH−R3−NH−CO−NR2NH2 (6) 式中、R1は、それぞれ独立して、炭素数2〜20のア
ルキレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数
1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基
で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレン基
を表し、そのアルキレン基及びシクロアルキレン基中に
複素原子を含んだものや、フェニル基、アリール基、ニ
トロ基、ハロゲン基、アミノ基などのアルキル基以外の
置換基を含むものであってもよい。R2は、それぞれ独
立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表
し、R3は、炭素数2〜20のアルキレン基、置換され
ていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素
数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数5〜2
0のシクロアルキレン基、もしくは置換されていないか
或いは炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭
素数6〜28のアリーレン基を表す。R4は、上記R3
表される基、あるいは、化学結合、メチレン基、−CH
=CH−、−CH2−C(=CH2)−等の炭素数2〜2
0のアルケニレン基、又は−CONHNH2で置換され
た炭素数6〜10のアリーレン基を表す。上記R1〜R4
中のアルキル基、アルキレン基、アルケニレン基、及び
アルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状
でもよい。xは、0又は1である。p,r,sは0〜9
の整数、qは1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9
かつ[r<sまたは(r=sかつp≦q)]。
【0010】また、式(1)で表されるセミカルバジド
誘導体の末端封鎖体は、式(1)におけるX,Y,及び
Zの末端基−NR2NH2の少なくとも1つが式−NR2
N=CR56で表される封鎖末端基を有している(式
中、R5、R6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜
20のアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1
〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキル基、も
しくは置換されていないか或いは炭素数1〜8のアルコ
キシ基で置換されている炭素数6〜28のアリール基を
表し、R5とR6は場合によっては共同して環状構造を形
成していてもよい。上記R5、R6中のアルキル基及びア
ルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状で
もよい。)。〕
【0011】本発明の第2は、p+q+r+s=3であ
る本発明第1のセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖
体である。本発明の第3は、p=1、q=2、r=s=
0である本発明第1のセミカルバジド誘導体又はその末
端封鎖体である。本発明の第4は、R1がすべて−CH2
CH2−である本発明第1〜3のいずれかのセミカルバ
ジド誘導体又はその末端封鎖体である。本発明の第5
は、水性媒体中への分散及び水性媒体中への溶解からな
る群から選ばれる少なくとも一つの状態である本発明第
1のセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖体である。
本発明の第6は、本発明第1のセミカルバジド誘導体ま
たはその末端封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも
1つ(α)と、式(7)で表される親水性基含有化合物
またはその末端封鎖体からなる群から選ばれる少なくと
も1つ(β)とを含有するセミカルバジド組成物(δ)
である。
【0012】
【化4】
【0013】〔式中、U,V,及びWは、親水性基含有
化合物としては、そのうち少なくとも1つが式(8)で
表される基であり、それ以外の残りが、式(9)〜(1
3)のいずれかで表される基である。 −NH−CO−A (8) −NH−CO−NR2NH2 (9) −NH−CO−NHNR2−R3−NR2NH2 (10) −NH−CO−NHNR2−CO−R4−CO−NR2NH2 (11) −NH−CO−NHNR2−CO−(NHNH−CO)X−NR2NH2 (12) −NH−CO−NHNR2−CO−NH−R3−NH−CO−NR2NH2 (13) 式中、Aは、非イオン系親水性基、イオン系親水性基、
及びイオン系親水性基に転化しうる基よりなる群から選
ばれる少なくとも1つを有する有機基を表す。R 1は、
それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキレン基、も
しくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアル
キル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されてい
る炭素数5〜20のシクロアルキレン基を表し、そのア
ルキレン基及びシクロアルキレン基中に複素原子を含ん
だものや、フェニル基、アリール基、ニトロ基、ハロゲ
ン基、アミノ基などのアルキル基以外の置換基を含むも
のであってもよい。R2は、それぞれ独立して、水素原
子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、R3は、炭
素数2〜20のアルキレン基、置換されていないか或い
は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアル
コキシ基で置換されている炭素数5〜20のシクロアル
キレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1
〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜28の
アリーレン基を表す。R4は、上記R3で表される基、あ
るいは、化学結合、メチレン基、−CH=CH−、−C
2−C(=CH2)−等の炭素数2〜20のアルケニレ
ン基、又は−CONHNH2で置換された炭素数6〜1
0のアリーレン基を表す。上記R1〜R4中のアルキル
基、アルキレン基、アルケニレン基、及びアルコキシ基
のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状でもよい。x
は、0又は1である。p,r,sは0〜9の整数、qは
1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9かつ[r<s
または(r=sかつp≦q)]。
【0014】また、式(7)で表される親水性基含有化
合物の末端封鎖体は、式(7)におけるU,V,及びW
の末端基−NR2NH2の少なくとも1つが式−NR2
=CR56で表される封鎖末端基を有しており(式中、
5、R6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしく
は置換されていないか或いは炭素数1〜8のアルコキシ
基で置換されている炭素数6〜28のアリール基を表
し、R5とR6は場合によっては共同して環状構造を形成
していてもよい。上記R5、R6中のアルキル基及びアル
コキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状でも
よい。)、該組成物(δ)において、上記成分(α)の
上記成分(β)に対する質量比は10/90〜99/1
である。
【0015】本発明の第7は、水性媒体中への分散及び
水性媒体中への溶解からなる群より選ばれる少なくとも
一つの状態である本発明第6のセミカルバジド組成物
(δ)である。本発明の第8は、本発明第1のセミカル
バジド誘導体及びその末端封鎖体からなる群から選ばれ
る少なくとも1つ(α)と、ケト基及びアルド基から選
ばれる少なくとも1種の基を1分子中に2つ以上有する
ポリカルボニル化合物(γ)とを包含する被覆用組成物
である。本発明の第9は、本発明第6のセミカルバジド
組成物(δ)と、ケト基及びアルド基から選ばれる少な
くとも1種の基を1分子中に2つ以上有するポリカルボ
ニル化合物(γ)とを包含する被覆用組成物である。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明の新規セミカルバジド誘導体またはその
末端封鎖体は式(1)で表される。
【0017】
【化5】
【0018】〔式中、X,Y,及びZは、セミカルバジ
ド誘導体としては、それぞれ独立に、式(2)〜(6)
で表される基である。 ―NH−CO−NR2NH2 (2) −NH−CO−NHNR2−R3−NR2NH2 (3) −NH−CO−NHNR2−CO−R4−CO−NR2NH2 (4) −NH−CO−NHNR2−CO−(NHNH−CO)X−NR2NH2 (5) −NH−CO−NHNR2−CO−NH−R3−NH−CO−NR2NH2 (6) 式中、R1は、それぞれ独立して、炭素数2〜20のア
ルキレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数
1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基
で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレン基
を表し、そのアルキレン基及びシクロアルキレン基中に
複素原子を含んだものや、フェニル基、アリール基、ニ
トロ基、ハロゲン基、アミノ基などのアルキル基以外の
置換基を含むものであってもよい。R2は、それぞれ独
立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表
し、R3は、炭素数2〜20のアルキレン基、置換され
ていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素
数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数5〜2
0のシクロアルキレン基、もしくは置換されていないか
或いは炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭
素数6〜28のアリーレン基を表す。R4は、上記R3
表される基、あるいは、化学結合、メチレン基、−CH
=CH−、−CH2−C(=CH2)−等の炭素数2〜2
0のアルケニレン基、又は−CONHNH2で置換され
た炭素数6〜10のアリーレン基を表す。上記R1〜R4
中のアルキル基、アルキレン基、アルケニレン基、及び
アルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状
でもよい。xは、0又は1である。p,r,sは0〜9
の整数、qは1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9
かつ[r<sまたは(r=sかつp≦q)]。
【0019】また、式(1)で表されるセミカルバジド
誘導体の末端封鎖体は、式(1)におけるX,Y,及び
Zの末端基−NR2NH2の少なくとも1つが式−NR2
N=CR56で表される封鎖末端基を有している(式
中、R5、R6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜
20のアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1
〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキル基、も
しくは置換されていないか或いは炭素数1〜8のアルコ
キシ基で置換されている炭素数6〜28のアリール基を
表し、R5とR6は場合によっては共同して環状構造を形
成していてもよい。上記R5、R6中のアルキル基及びア
ルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状で
もよい。)。〕
【0020】この化合物は、分子内に3つのセミカルバ
ジド基[本発明においては、便宜上、式(2)〜(6)
で表される基を「セミカルバジド基」と称する]を有す
るために3次元架橋が可能であり、2官能性ヒドラジド
に比べて、架橋密度を高くすることができる。このた
め、式(1)で表されるセミカルバジド誘導体またはそ
の末端封鎖体をポリカルボニル化合物の架橋剤として用
いた場合、得られる皮膜の耐水性を飛躍的に高めること
ができる。式(1)で表されるセミカルバジド誘導体ま
たはその末端封鎖体は、直鎖状脂肪族トリカルボン酸の
トリエステル誘導体とみることもできるが、脂肪族直鎖
状炭素鎖に結合する置換基3つが全て隣接する炭素原子
に結合するということはないため立体障害が低く、3つ
の官能基の反応性の差が小さいため、架橋反応が容易に
進行し充分な架橋効果が得られる。更に、芳香族ポリカ
ルボン酸から誘導される芳香族ポリセミカルバジド誘導
体に比べ、構造上分子の自由度が大きいために、立体障
害が低く充分な架橋効果が得られ、かつ脂肪族直鎖状炭
素鎖と3つの架橋基がそれぞれエステル結合を介して結
合していることにより、一層分子のフレキシビリティが
大きく、ポリカルボニル化合物との架橋によって得られ
る皮膜の柔軟性も極めて高いという利点がある。p+q
+r+sの値は9以下で、ポリカルボニル化合物との反
応によって得られる皮膜の架橋度が高く、耐水性に優れ
た皮膜を得ることができる。p+q+r+sの値は、ポ
リカルボニル化合物との反応によって得られる皮膜の柔
軟性と耐水性の観点から、1〜5であることが好まし
く、3であることがより好ましい。また、ポリカルボニ
ル化合物との反応によって得られる皮膜の耐黄変性の観
点から、p=1、q=2、r=s=0であることが更に
好ましい。
【0021】R1は、それぞれ独立して、炭素数2〜2
0のアルキレン基、もしくは置換されていないか或いは
炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコ
キシ基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキ
レン基を表す。上記R1中のアルキル基、アルキレン
基、及びアルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよい
し分枝状でもよい。具体的には、直鎖状アルキレン基と
しては、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペ
ンタメチレン、ヘキサメチレン、イコサメチレン等、分
枝状アルキレン基としては、プロピレン、1,1−ジメ
チルエチレン、エチルエチレン、2,2−ジメチルトリ
メチレン等、シクロアルキレン基としては、1,3−シ
クロペンチレン、1,2−シクロヘキシレン、1,3−
シクロヘキシレン、1,4−シクロヘキシレン等が挙げ
られる。また、アルキレン基及びシクロアルキレン基中
に複素原子を含んだものや、置換基を含むものであって
もよい。本願において複素原子とは、炭素原子と結合し
て分子を形成できる原子をいい、酸素、イオウ、窒素、
リン、ヒ素などを挙げることができる。なかでも、酸
素、イオウ、窒素が好ましい。酸素を含む例としては、
エーテル、エステル、ラクトン、イオウを含む例として
は、チオエーテル、窒素を含む例としては、アミド、ウ
レタン、ウレア、イミン等を挙げることができる。これ
らの具体例としては、−CH2CH2OCH2CH2−、−
CH2CH2SCH2CH2−、−CH2CHClCH2−等
が挙げられる。また、当該置換基としては、フェニル
基、アリール基、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基等の
アルキル基以外の置換基を挙げることができる。更に、
上記の基の2つ以上を混合して用いることもできる。こ
れらの中で、合成の容易さ及びポリカルボニル化合物と
の反応によって得られる皮膜の柔軟性の観点から直鎖状
又は分枝状のアルキレン基が好ましく、直鎖状のアルキ
レン基がより好ましく、エチレン基が更に好ましい。
【0022】本発明のセミカルバジド誘導体の例として
は、式(26)〜(33)で表される化合物があげられ
る。
【0023】
【化6】
【0024】式(26):上式においてR1=−CH2
2−、X=Y=Z=−NH−CO−NHNH2
【0025】
【化7】
【0026】式(27):上式においてR1=−CH2
2−、X=Y=Z=−NH−CO−NHNH2 式(28):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CH2CH2−N
HNH2 式(29):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−CH2
2−CO−NHNH2 式(30):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHNH
2 式(31):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHNH
−CO−NHNH2 式(32):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NH−C
2CH2−NH−CO−NHNH2
【0027】
【化8】
【0028】式(33):上式においてR1=−CH2
2CH2−、X=Y=Z=−NH−CO−NHNH2 また、セミカルバジド誘導体の末端封鎖体の例として
は、式(34)〜(43)で表される化合物があげられ
る。
【0029】
【化9】
【0030】式(34):上式においてR1=−CH2
2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)(C
25)
【0031】
【化10】
【0032】式(35):上式においてR1=−CH2
2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)2 式(36):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CH2CH2−N
HN=C(CH3)2 式(37):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−CH2
2−CO−NHN=C(CH3)2 式(38):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHN=
C(CH3)2 式(39):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHNH
−CO−NHN=C(CH3)2 式(40):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NH−C
2CH2−NH−CO−NHN=C(CH3)2 式(41):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−NHNH2 Y=Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)2 式(42):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=−NH−CO−NHNH2 Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)2
【0033】
【化11】
【0034】式(43):上式においてR1=−CH2
2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)(C
25)
【0035】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体は、例えば、トリイソシアネートと、ヒドラジ
ン又はその誘導体の末端非封鎖体及び/又は末端封鎖体
とを、トリイソシアネートのNCO基と、ヒドラジン又
はその誘導体中の下式(17)で表される末端基及びこ
れに由来する封鎖末端基の合計とのモル比が1:1.5
〜1:100、好ましくは1:2.5〜1:25となる
ような量比で、0℃〜100℃、好ましくは10℃〜6
0℃の温度で反応させることにより製造することができ
る。 −NR2NH2 (17) (式中、R2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素
数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。)
【0036】本発明に用いるヒドラジン又はその誘導体
としては、例えばヒドラジン及びその水和物;モノメチ
ルヒドラジン、モノエチルヒドラジン、モノブチルヒド
ラジン等のモノアルキル置換ヒドラジン化合物;エチレ
ン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒ
ドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン等のジヒド
ラジン化合物;蓚酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジ
ド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、
アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、ス
ベリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セ
バシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマ
ル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、フタル酸
ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、テレフタル
酸ジヒドラジド等のジカルボン酸ジヒドラジド;トリメ
リト酸トリヒドラジド等のトリカルボン酸トリヒドラジ
ド;下式(14)で表される炭酸ジヒドラジド; H2NNR2−CO−(NHNH−CO)x−NR2NH2 (14) (式中、R2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素
数1〜20の直鎖状又は分枝状アルキル基を表し、xは
0又は1の整数を表す。)
【0037】下式(15)で表されるビスセミカルバジ
ド類; H2NNR2−CO−NH−R3−NH−CO−NR2NH2 (15) (式中、R2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素
数1〜20のアルキル基を表し、R3は、炭素数2〜2
0のアルキレン基、置換されていないか或いは炭素数1
〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で
置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレン基、
もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜8のアル
コキシ基で置換されている炭素数6〜28のアリーレン
基を表す。上記のアルキル基、アルキレン基、及びアル
コキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状でも
よい。)及び、これらの混合物が挙げられる。
【0038】本発明においては、セミカルバジド誘導体
が、ヒドラジン又はその誘導体の鎖延長により高分子化
することを防ぐ目的から、ヒドラジン又はその誘導体
を、下式(16)で表されるモノケトン(例えばアセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロへキサノン等)又はモノアルデヒド(例えばアセト
アルデヒド)等と反応させることにより、ヒドラジン又
はその誘導体の一つの末端基を封鎖し、ヒドラジン又は
その誘導体の末端封鎖体として用いることもできる。 R56C=O (16) (式中、R5、R6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数
1〜20のアルキル基、置換されていないか或いは炭素
数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ
基で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキル
基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜8の
アルコキシ基で置換されている炭素数6〜28のアリー
ル基を表し、R5とR6は場合によっては共同して環状構
造を形成していてもよい。上記R5、R6中のアルキル基
及びアルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分
枝状でもよい。)
【0039】ヒドラジン又はその誘導体の少なくとも一
部を末端封鎖体として使用した場合は、少なくとも一つ
の末端セミカルバジド基が封鎖されてセミカルバゾン基
となっている、セミカルバジド誘導体の末端封鎖体、又
はセミカルバジド誘導体とその末端封鎖体との混合物が
得られる。 即ち、本発明のセミカルバジド誘導体の末
端封鎖体は、式(1)における末端基−NR2NH2の少
なくとも1つが式−NR2N=CR56(式中、R2は、
水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、
5、R6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしく
は置換されていないか或いは炭素数1〜8のアルコキシ
基で置換されている炭素数6〜28のアリール基を表
し、R5とR6は場合によっては共同して環状構造を形成
していてもよい。上記R2、R5及びR6中のアルキル基
及びアルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分
枝状でもよい。)で表される封鎖末端基を有している。
【0040】トリイソシアネートと、ヒドラジン又はそ
の誘導体の末端非封鎖体及び/又は末端封鎖体との反応
は、ヒドラジン又はその誘導体の末端基が封鎖されてい
ない場合は瞬時に完了するが、封鎖されているヒドラジ
ン又はその誘導体を用いる場合は、30分〜10時間か
けて反応させる。
【0041】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体の製造のための反応は、溶媒の非存在下又は存
在下のいずれの条件でも行うことができる。溶媒として
は、NCO基に不活性であるか、または反応成分よりも
活性の低いものが使用できる。具体的には、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シク
ロヘキサノン等のケトン系溶媒;ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等
のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルア
セトアミド等のアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリ
ドン等のラクタム系溶媒、ジメチルスルホキシド等のス
ルホキシド系溶媒;酢酸エチル、セロソルブアセテート
等のエステル系溶媒;t−ブタノール、ジアセトンアル
コール等のアルコール類、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素系溶媒;n−へキサン等の脂肪族炭化水素系
溶媒等やその併用が挙げられる。これらの溶媒は、ポリ
イソシアネート/溶媒の質量比が好ましくは0.1/9
9.9〜99/1、より好ましくは0.1/99.9〜
50/50の範囲で用いることができる。
【0042】架橋度の高い皮膜を形成するためには、セ
ミカルバジド誘導体の末端封鎖体の末端部を加水分解さ
せ、封鎖剤として用いたモノアルデヒドまたはモノケト
ンを脱離させることが好ましい。本願のセミカルバジド
誘導体の末端封鎖体、並びにセミカルバジド誘導体とそ
の末端封鎖体との混合物の、末端部の加水分解によるモ
ノケトン又はモノアルデヒドの脱離は、ポリカルボニル
化合物と混合する前に、加水分解及び留去により行って
も良いし、或いは、それらをそのまま硬化剤として用い
た被覆用組成物を調製して、塗布後の硬化過程において
自然に脱離させてもよい。従って、上記封鎖剤としては
30〜200℃の沸点を有するモノケトンが好ましい。
【0043】余剰のヒドラジン又はその誘導体或いはそ
れらの末端封鎖体は、反応完了後に適宜蒸留、抽出等で
除去することができる。原料となるトリイソシアネート
(トリカルボン酸トリエステルイソシアネート)の製造
方法は限定されないが、例えば、直鎖状脂肪族トリカル
ボン酸を原料として、(a)アミノアルコールによるト
リエステル化と(b)ホスゲン化、により得られる。
(a)のエステル化工程については、例えば、特公昭4
5−14771号公報、特公昭46−35246号公
報、特開平5−65253号公報等に、(b)のホスゲ
ン化工程については、例えば、特開昭57−77656
号公報、特開平3−204851号公報、特開平6−2
34723号公報等に記載されている。
【0044】本願のセミカルバジド誘導体及びその末端
封鎖体は、ポリカルボニル化合物との相溶性が良好であ
る。後述するように、ポリカルボニル化合物は水性媒体
中に溶解及び/又は分散しているのが好ましい。従っ
て、該ポリカルボニル化合物と混合する際の凝集を防止
し、拡散を良好にする観点から、本発明のセミカルバジ
ド誘導体又はその末端封鎖体は、水性媒体中への分散及
び水性媒体中への溶解よりなる群から選ばれる少なくと
も一つの状態で用いることが好ましい。水性媒体として
は水、又は水とアセトン及び/又はエーテル等の極性溶
媒との混合物を用いることができる。本発明のセミカル
バジド誘導体及び/又はその末端封鎖体は、攪拌下、水
性媒体を添加する方法、あるいは攪拌下、水性媒体に該
セミカルバジド誘導体及び/又はその末端封鎖体を添加
する方法等によって水性媒体に分散及び/又は溶解させ
ることができる。この際、セミカルバジド誘導体及び/
又はその末端封鎖体の水性媒体中の濃度は、0.1〜9
0質量%の範囲にできる。
【0045】また、式(1)で表されるセミカルバジド
誘導体及び/又はその末端封鎖体の水性媒体中への分散
性、分散安定性や溶解性を補助する目的で、該セミカル
バジド誘導体及びその末端封鎖体からなる群から選ばれ
る少なくとも1つ(αと呼ぶ)に、界面活性剤として、
下式(7)で表される親水性基含有化合物及びその末端
封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも1つ(βと呼
ぶ)を混合して使用することができる。
【0046】
【化12】
【0047】〔式中、U,V,及びWは、親水性基含有
化合物としては、そのうち少なくとも1つが式(8)で
表される基であり、それ以外の残りが、式(9)〜(1
3)のいずれかで表される基である。 −NH−CO−A (8) −NH−CO−NR2NH2 (9) −NH−CO−NHNR2−R3−NR2NH2 (10) −NH−CO−NHNR2−CO−R4−CO−NR2NH2 (11) −NH−CO−NHNR2−CO−(NHNH−CO)X−NR2NH2 (12) −NH−CO−NHNR2−CO−NH−R3−NH−CO−NR2NH2 (13) 式中、Aは、非イオン系親水性基、イオン系親水性基、
及びイオン系親水性基に転化しうる基よりなる群から選
ばれる少なくとも1つを有する有機基を表す。R 1は、
それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキレン基、も
しくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアル
キル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されてい
る炭素数5〜20のシクロアルキレン基を表し、そのア
ルキレン基及びシクロアルキレン基中に複素原子を含ん
だものや、フェニル基、アリール基、ニトロ基、ハロゲ
ン基、アミノ基などのアルキル基以外の置換基を含むも
のであってもよい。R2は、それぞれ独立して、水素原
子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、R3は、炭
素数2〜20のアルキレン基、置換されていないか或い
は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアル
コキシ基で置換されている炭素数5〜20のシクロアル
キレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1
〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜28の
アリーレン基を表す。R4は、上記R3で表される基、あ
るいは、化学結合、メチレン基、−CH=CH−、−C
2−C(=CH2)−等の炭素数2〜20のアルケニレ
ン基、又は−CONHNH2で置換された炭素数6〜1
0のアリーレン基を表す。上記R1〜R4中のアルキル
基、アルキレン基、アルケニレン基、及びアルコキシ基
のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状でもよい。x
は、0又は1である。p,r,sは0〜9の整数、qは
1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9かつ[r<s
または(r=sかつp≦q)]。
【0048】また、式(7)で表される親水性基含有化
合物の末端封鎖体は、式(7)におけるU,V,及びW
の末端基−NR2NH2の少なくとも1つが式−NR2
=CR56で表される封鎖末端基を有している(式中、
5、R6はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜20
のアルキル基、置換されていないか或いは炭素数1〜1
8のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換
されている炭素数5〜20のシクロアルキル基、もしく
は置換されていないか或いは炭素数1〜8のアルコキシ
基で置換されている炭素数6〜28のアリール基を表
し、R5とR6は場合によっては共同して環状構造を形成
していてもよい。上記R5、R6中のアルキル基及びアル
コキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状でも
よい。)〕。
【0049】即ち、式(1)で表されるセミカルバジド
誘導体及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少な
くとも1つ(α)と、式(7)で表される親水性基含有
化合物及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少な
くとも1つ(β)とを含有するセミカルバジド組成物
(δ)を、ポリカルボニル化合物用硬化剤として有利に
用いることができる。セミカルバジド組成物(δ)は、
上記したようにポリカルボニル化合物と混合しやすいよ
うに、水性媒体中への分散及び水性媒体中への溶解から
なる群から選ばれる少なくとも一つの状態であることが
好ましい。
【0050】セミカルバジド組成物(δ)において、式
(1)で表されるセミカルバジド誘導体及びその末端封
鎖体からなる群から選ばれる少なくとも1つ(α)の式
(7)で表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖
体からなる群から選ばれる少なくとも1つ(β)に対す
る質量比は10/90〜99/1である。Aを含む式
(8)で表される基は、非イオン系親水性基、イオン系
親水性基、及びイオン系親水性基に転化しうる基よりな
る群から選ばれる少なくとも1つの基(以下、「親水性
基」と称す。)を有する活性水素含有化合物とイソシア
ネート基とを反応させることにより得られる。
【0051】非イオン系親水性基を有する活性水素含有
化合物の例としては、下記の式(19)で表されるポリ
エチレングリコールモノアルキルエーテル、並びにポリ
エチレングリコール、ポリオキシエチレン−オキシプロ
ピレン(ランダムおよび/またはブロック)グリコー
ル、ポリオキシエチレン−オキシテトラメチレン(ラン
ダムおよび/またはブロック)グリコール等のポリエー
テルポリオール等が挙げられる。 HO−(CH2CH2O)n−R7 (19) (式中、R7は炭素数1〜25の直鎖状又は分枝状のア
ルキル基を表し、nは5〜80の整数を表す。) これらのうち、ポリエーテルポリオールは、トリイソシ
アネートと共に鎖延長反応を起こして高分子量化を招く
傾向があるので、ポリエチレングリコールモノアルキル
エーテルを用いるのが好ましい。
【0052】イオン系親水性基を有する活性水素含有化
合物としては、 アニオン基を有するカルボン酸又はス
ルホン酸、或いはそれらのアミン化合物との塩又はそれ
らのアルカリ金属塩等、又はカチオン基を有するオニウ
ム塩等が好ましい例として挙げられる。アニオン基を有
する活性水素含有化合物としては、例えば、アニオン基
に転化することが可能な酸基を有する活性水素含有化合
物を、上記したセミカルバジド組成物(δ)の合成時
か、又はセミカルバジド組成物を水性媒体中へ分散及び
/又は溶解させる際に塩基で中和することにより、その
酸基をアニオン基に転化して調製したものが挙げられ
る。中和は、セミカルバジド組成物を水性媒体中へ分散
及び/又は溶解させる際に行うのが好ましい。
【0053】アニオン基に転化することが可能な酸基を
有する活性水素含有化合物としては、例えば乳酸、グリ
コール酸、4−ヒドロキシ酪酸、p−フェノールカルボ
ン酸等のモノヒドロキシカルボン酸;グリシン、アラニ
ン、アスパラギン酸、β−アラニン等のアミノ酸;p−
フェノールスルホン酸等のモノヒドロキシスルホン酸;
タウリン等のアミノスルホン酸、α,α’−ジメチロー
ルプロピオン酸、α,α’−ジメチロール酢酸等のα,
α’−ジメチロールアルカン酸等及びこれらの併用が挙
げられる。これらのうち、α,α’−ジメチロールアル
カン酸はポリイソシアネートと共に鎖延長反応を起こし
て高分子量化を招く傾向があるので、上記したモノヒド
ロキシカルボン酸、アミノ酸、モノヒドロキシスルホン
酸、アミノスルホン酸又はそれらの併用が好ましい。上
記のアニオン基に転化することが可能な酸基を有する活
性水素含有化合物の酸基を中和するのに使用可能な塩基
としては、例えばトリエチルアミン、アンモニア、ジエ
タノールアミン、ジメチルアミノエタノール、メチルジ
エタノールアミン、ジブチルアミン等のアミン化合物;
KOH、NaOH、LiOH等のアルカリ金属の水酸化
物;及びこれらの併用が挙げられる。
【0054】カチオン基を有する活性水素含有化合物と
しては、例えば、カチオン基に転化することが可能な塩
基を有する活性水素含有化合物を、上記したセミカルバ
ジド組成物の合成時か、又はセミカルバジド組成物を水
性媒体中へ分散及び/又は溶解させる際に酸基で中和す
ることにより、その塩基をカチオン基に転化して調製し
たものが挙げられる。また3級アミノ基を有する活性水
素含有化合物の場合は、上記したセミカルバジド組成物
の合成時か、又はセミカルバジド組成物を水性媒体中へ
分散及び/又は溶解させる際に、3級アミノ基をアルキ
ル化剤で4級化することによリカチオン基に転化して、
カチオン基を有する活性水素含有化合物を得ることがで
きる。中和は、セミカルバジド組成物を水性媒体中へ分
散及び/又は溶解させる際に行うのが好ましい。
【0055】カチオン基に転化することが可能な塩基を
有する活性水素含有化合物としては、例えばN−メチル
ジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン等
のN−アルキルジアルカノールアミンや、それらの炭素
数2〜4のアルキレンオキシド(エチレンオキシド、プ
ロピレンオキシド等)付加物、N,N−ジメチルエタノ
ールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン等の
N,N−ジアルキルモノアルカノールアミン等、及びこ
れらの併用が挙げられる。これ等のうち、特にN,N−
ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノー
ルアミン等のN,N−ジアルキルモノアルカノールアミ
ンが好ましい。これらの活性水素含有化合物の塩基を中
和するのに使用可能な酸としては、例えば酢酸、乳酸、
塩酸、リン酸、硫酸及びこれらの併用が挙げられる。ま
た、アルキル化剤としては、例えばジメチル硫酸、ジエ
チル硫酸、メチルクロライド、メチルアイオダイド、ベ
ンジルクロライド等が挙げられる。
【0056】本発明の親水性基含有化合物の例として
は、式(44)〜(53)で表される化合物があげられ
る。
【0057】
【化13】
【0058】式(44):上式においてR1=−CH2
2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH2
【0059】
【化14】
【0060】式(45):上式においてR1=−CH2
2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH2 式(46):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CH2CH2−NHN
2 式(47):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−CH2CH2
CO−NHNH2 式(48):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHNH2 式(49):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHNH−C
O−NHNH2 式(50):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NH−CH2
CH2−NH−CO−NHNH2 式(51):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=
1〜50) Z=−NH−CO−NHNH2 式(52):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=Z=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH
3(n=1〜50)
【0061】
【化15】
【0062】式(53):上式においてR1=−CH2
2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH2 また、親水性基含有化合物の末端封鎖体の例としては、
式(54)〜(63)で表される化合物があげられる。
【0063】
【化16】
【0064】式(54):上式においてR1=−CH2
2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)(C25)
【0065】
【化17】
【0066】式(55):上式においてR1=−CH2
2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)2 式(56):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CH2CH2−NHN
=C(CH3)2 式(57):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−CH2CH2
CO−NHN=C(CH3)2 式(58):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHN=C
(CH3)2 式(59):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NHNH−C
O−NHN=C(CH3)2 式(60):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHNH−CO−NH−CH2
CH2−NH−CO−NHN=C(CH3)2 式(61):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=Y=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=
1〜50) Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)2 式(62):上式においてR1=−CH2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=−NH−CO−NHN=C(CH3)2 Z=−NH−CO−NHNH2
【0067】
【化18】
【0068】式(63):上式においてR1=−CH2
2CH2−、 X=−NH−CO−(OCH2CH2)nOCH3(n=1〜
50) Y=Z=−NH−CO−NHN=C(CH3)2
【0069】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体には、場合によっては、上記した式(7)で表
される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体以外の、
他の界面活性剤を加えてもよい。このような界面活性剤
の例としては、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸、アル
キルコハク酸、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポ
リオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩等のアニオン
性界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルアリールエ
ーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステ
ル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマ
ー、エチレンオキサイドとリン酸類との公知の反応生成
物等のノニオン性界面活性剤、4級アンモニウム塩等を
含有するカチオン性界面活性剤、(部分鹸化)ポリビニ
ルアルコール等の高分子分散安定剤等やそれらの混合物
が挙げられる。
【0070】しかし、界面活性剤としては、式(7)で
表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖体が、セ
ミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体との親和性が高
いので特に好ましい。そして、特に、式(1)で表され
るセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体からなる群
から選ばれる少なくとも一つ(α)と、式(7)で表さ
れる親水性基含有化合物及びその末端封鎖体からなる群
から選ばれる少なくとも一つ(β)とを含有するセミカ
ルバジド組成物であって、成分(α)の成分(β)に対
する質量比が10/90〜99/1の範囲内の組成物
を、ポリカルボニル化合物用の硬化剤として用いると、
特に安定で硬化性能に優れた被覆用組成物が得られる。
【0071】本発明の、式(7)で表される親水性基含
有化合物及びその末端封鎖体は、セミカルバジド基を有
さない親水性基含有化合物と、セミカルバジド基を有す
る親水性基含有化合物及びその末端封鎖体とに分類する
ことができる。セミカルバジド基を有さない親水性基含
有化合物は、式(18)で表されるトリイソシアネート
を非イオン系親水性基、イオン系親水性基及びイオン系
親水性基に転化しうる基よりなる群から選ばれる少なく
とも1つの基(「親水性基」)を有する活性水素含有化
合物とを反応させて製造する。
【0072】
【化19】
【0073】〔式中、R1は、それぞれ独立して、炭素
数2〜20のアルキレン基、もしくは置換されていない
か或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8
のアルコキシ基で置換されている炭素数5〜20のシク
ロアルキレン基を表し、そのアルキレン基及びシクロア
ルキレン基中に複素原子を含んだものや、フェニル基、
アリール基、ニトロ基、ハロゲン基、アミノ基などのア
ルキル基以外の置換基を含むものであってもよい。上記
のアルキル基及びアルコキシ基のアルキル部は、直鎖状
でもよいし分枝状でもよい。〕
【0074】本発明においては、界面活性剤として、セ
ミカルバジド基を有さない親水性基含有化合物を用いる
こともできるが、耐水性の高い皮膜を得る観点から、セ
ミカルバジド基を有する親水性基含有化合物又はその末
端封鎖体を用いるのが好ましい。
【0075】本発明の、式(1)で表されるセミカルバ
ジド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれる
少なくとも1つ(α)と、式(7)で表される親水性基
含有化合物及びその末端封鎖体よりなる群から選ばれる
少なくとも1つ(β)とを含有してなるセミカルバジド
組成物(δ)を得る具体的方法は、特に限定されず、例
えば以下に述べる2通りの方法を挙げることができる。 方法〔I〕:成分(α)と成分(β)との混合物を単一
の反応系にて得る方法、及び 方法〔II〕:成分(β)のみをまず得、別途調製した
成分(α)と混合する方法。上記の各方法は、組み合わ
せて実施してもよい。
【0076】まず、以下に方法〔I〕について具体的に
説明する。方法〔I〕においては、式(18)で表され
るトリイソシアネートと、上記した「親水性基」を有す
る活性水素含有化合物とを、NCO基と「親水性基」の
モル比が1.1/1〜500/1、好ましくは2/1〜
100/1となる量で、実質的に無水の条件下で、約0
℃〜約130℃、好ましくは約20℃〜約100℃の温
度で、約30分〜約10時間かけて反応させ(反応
1)、得られる反応生成物と、ヒドラジン又はその誘導
体の末端非封鎖体及び/又は末端封鎖体とを、上記した
式(1)で表されるセミカルバジド誘導体を製造する際
の、トリイソシアネートとヒドラジン又はその誘導体の
反応と実質的に同様の条件で反応させる(反応2)こと
により、上記成分(α)と成分(β)を含有するセミカ
ルバジド組成物(δ)を単一の反応系で得ることができ
る。
【0077】これらの反応は、溶媒の非存在下又は存在
下で行なうことができる。溶媒としては、NCO基に不
活性であるか、または反応成分よりも活性の低いものが
使用できる。上記溶媒の具体例としては、アセトン、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロへ
キサノン等のケトン系溶媒;ジオキサン、テトラヒドロ
フラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエ
ーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド等のアミド系溶媒;N−メチル−2−ピロリドン
等のラクタム系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホ
キシド系溶媒;酢酸エチル、セロソルブアセテート等の
エステル系溶媒;t−ブタノール、ジアセトンアルコー
ル等のアルコール類;トルエン、キシレン等の芳香族炭
化水素系溶媒;n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶媒
等やその併用が挙げられる。
【0078】これらの溶媒は、(反応1における)トリ
イソシアネート/溶媒の質量比、及び(反応2におけ
る)トリイソシアネートと活性水素含有化合物との反応
生成物/溶媒の質量比が、0.1/99.9〜99/
1、好ましくは0.1/99.9〜50/50の範囲と
なるようにして用いることができる。また上記反応は、
適宜触媒を使用して行うことができる。触媒の具体例と
しては、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸第一錫、
オクチル酸鉛等の有機及び無機酸の金属塩、及び有機金
属誘導体;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等
の有機3級アミン;ジアザビシクロウンデセン系触媒等
が挙げられる。
【0079】次に、方法〔II〕について具体的に説明
する。上記したように、方法〔II〕においては、式
(7)で表される親水性基含有化合物及びその末端封鎖
体よりなる群から選ばれる少なくとも1つ(β)のみを
まず得てから、別途調製した式(1)で表されるセミカ
ルバジド誘導体及びその末端封鎖体よりなる群から選ば
れる少なくとも1つ(α)と混合する。まず、成分
(β)を得るための具体的方法としては、例えば、式
(18)で表されるトリイソシアネートと、非イオン系
親水性基、イオン系親水性基及びイオン系親水性基に転
化しうる基よりなる群から選ばれる少なくとも1つの基
(「親水性基」)を有する活性水素含有化合物とを、N
CO基の親水性基に対するモル比が0.1/1〜1.1
/1になるような量比で反応させた後、ヒドラジン又は
その誘導体と反応させる方法、などが挙げられる。この
方法では、まず、式(18)のトリイソシアネートと、
非イオン系親水性基、イオン系親水性基及びイオン系親
水性基に転化し得る基よりなる群から選ばれる少なくと
も1つの基(親水性基)を有する活性水素含有化合物と
の反応を、NCO基の親水性基に対するモル比が0.1
/1〜1.1/1になるような量比で、方法〔I〕と同
様の反応条件下にて行う。上記の反応は、溶媒の非存在
下または存在下で、所望により触媒を使用して行うこと
ができる。溶媒及び触媒としては、方法〔I〕に用いる
のと同じものが使用できる。
【0080】次いで、得られる反応生成物と、ヒドラジ
ン又はその誘導体の末端非封鎖体及び/又は末端封鎖体
とを、該反応生成物中のNCO基と、ヒドラジン又はそ
の誘導体中の下式(17)で表される末端基及びこれに
由来する末端封鎖基の合計とのモル比が1:1.5〜
1:100、好ましくは1:2.5〜1:25になるよ
うな量比で、上記した式(1)で表されるセミカルバジ
ド誘導体又はその末端封鎖体を製造する際の、トリイソ
シアネートとヒドラジン又はその誘導体の末端非封鎖体
及び/又は末端封鎖体との反応に用いる条件と実質的に
同様の条件下で反応させることにより、成分(β)を得
る。 −NR2NH2 (17) (式中、R2は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素
数1〜20の直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。)
【0081】かくして得られた成分(β)と、別途調製
した成分(α)とを、(α)/(β)の質量比が10/
90〜99/1になるよう混合することにより本発明の
セミカルバジド組成物(δ)を得ることができる。
【0082】上記の方法[I]又は方法[II]によっ
て得られる本発明のセミカルバジド組成物(δ)は、攪拌
下、水性媒体を添加する方法、あるいは攪拌下、水性媒
体に該セミカルバジド組成物(δ)を添加する方法等に
よって水性媒体に分散及び/又は溶解させることができ
る。その際、セミカルバジド組成物(δ)の水性媒体中
の濃度は、0.1〜90質量%の範囲にできる。また、
所望であれば、セミカルバジド組成物(δ)の分散性や
分散安定性を補助する目的で上記した界面活性剤を用い
てもよい。
【0083】本発明のセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも1つ(α)
及びセミカルバジド組成物(δ)は、ポリカルボニル化
合物(γ)との相溶性に優れているため、ポリカルボニ
ル化合物(γ)及び、その硬化剤として該セミカルバジ
ド誘導体及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少
なくとも1つ(α)又はセミカルバジド組成物(δ)を
含有してなる被覆用組成物は、常温硬化性や貯蔵安定性
に優れるのみならず、従来では達し得なかった耐水性、
耐汚染性、柔軟性、及び耐黄変性等の様々な特性に優れ
た皮膜を形成することができる。
【0084】本発明においては、本願のセミカルバジド
誘導体及びその末端封鎖体からなる群より選ばれる少な
くとも1つ(α)或いは上記のセミカルバジド組成物
(δ)と、ケト基及びアルド基から選ばれる少なくとも
1種の基を1分子中に2つ以上有するポリカルボニル化
合物(γ)とを混合することにより、より一層、常温硬
化性や貯蔵安定性に優れるのみならず、耐水性、耐汚染
性、柔軟性、及び耐黄変性等の様々な特性に優れた皮膜
を形成することのできる被覆用組成物を得ることができ
る。
【0085】ポリカルボニル化合物(γ)としては、ケ
ト基及びアルド基から選ばれる少なくとも1種の基を1
分子中に2つ以上有する化合物であれば何でもよいが、
カルボニル基含有ポリウレタン、アセトアセチル化ポリ
ビニルアルコール、アセトアセチル化ヒドロキシアルキ
ルセルロース、及び(a)カルボニル基含有エチレン性
不飽和単量体と、(b)該単量体(a)と共重合可能な
エチレン性不飽和単量体との共重合体からなる群より選
ばれる少なくとも1種を含有するポリカルボニル化合物
が好ましい。
【0086】本発明の被覆用組成物においては、セミカ
ルバジド誘導体またはその末端封鎖体からなる群から選
ばれる少なくとも1つ(α)又はセミカルバジド組成物
(δ)とポリカルボニル化合物(γ)との質量比が0.
1/99.9〜90/10であることが好ましく、0.
5/99.5〜30/70であることが更に好ましい。
ポリカルボニル化合物(γ)に関しては、例えば、特開
平2−238015号公報に記載されているヒドロキシ
アセトン等のカルボニル基を有するモノ及び/またはポ
リアルコールから製造できるカルボニル基含有ポリウレ
タンを用いることができる。アセトアセチル化ポリビニ
ルアルコール及びアセトアセチル化ヒドロキシアルキル
セルロースの製造に関しては、例えば、「新実験化学講
座」第14巻(1977年、丸善株式会社より出版)を
参照することができる。また、アセトアセチル化ポリビ
ニルアルコールの具体例として、Gohsefimer
−2(日本合学化学工業株式会社)を挙げることができ
る。
【0087】本発明の被覆用組成物においては、ポリカ
ルボニル化合物(γ)が、(a)カルボニル基含有エチ
レン性不飽和単量体0.1〜30質量%と、(b)該単
量体(a)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体70
〜99.9質量%とのカルボニル基含有共重合体である
ことが好ましい。カルボニル基含有エチレン性不飽和単
量体(a)の例としては、ダイアセトンアクリルアミ
ド、ダイアセトンメタクリルアミド、アクロレイン、ビ
ニルメチルケトン、アセトアセトキシエチルメタクリレ
ート、アセトアセトキシエチルアクリレート、ホルミル
スチロール等、及びそれらの併用が挙げられる。本発明
において、単量体(a)と共重合可能なエチレン性不飽
和単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸エステ
ル、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体、
(メタ)アクリルアミド系単量体、シアン化ビニル等が
挙げられる。
【0088】上記の(メタ)アクリル酸エステルの例と
しては、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アク
リル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜1
8の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、
エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オ
キシエチレンモノ(メタ)アクリレート、プロピレンオ
キサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピ
レンモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基
の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0089】(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具
体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)ア
クリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メ
タ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル
酸シクロへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙
げられる。(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエス
テルの具体例としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピ
ル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロへキシ
ル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシドデシル等が挙げら
れる。
【0090】(ポリ)オキシエチレンモノ(メタ)アク
リレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレ
ングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレング
リコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、
メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、
(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキ
シ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙
げられる。(ポリ)オキシプロピレンモノ(メタ)アク
リレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸プロピ
レングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレ
ングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコ
ール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリ
コール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコー
ル、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリ
コール等が挙げられる。
【0091】(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリ
レートの具体例としては、ジ(メタ)アクリル酸エチレ
ングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコ
ール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール
等が挙げられる。カルボキシル基を有するエチレン性不
飽和単量体の具体例としては、アクリル酸、メタクリル
酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸及びその半エス
テル、クロトン酸などがあり、(メタ)アクリルアミド
系単量体の具体例としては、例えば(メタ)アクリルア
ミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブ
トキシメチル(メタ)アクリルアミドなどがあり、ま
た、シアン化ビニルの具体例としては、例えば(メタ)
アクリロニトリルなどがある。
【0092】単量体(a)と共重合可能なエチレン性不
飽和単量体(b)の他の具体例としては、例えばエチレ
ン、プロピレン、イソブチレン等のオレフイン;ブタジ
エン等のジエン;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロ
オレフイン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪
酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビ
ニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルへキサン酸ビニ
ル、混合トリアルキル酢酸ビニルエステル、ラウリン酸
ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;酢酸イソプロペ
ニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソ
プロペニルエステル;エチルビニルエーテル、イソブチ
ルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル等の
ビニルエーテル;スチレン、ビニルトルエン等の芳香族
ビニル化合物;酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリル
エステル;アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエ
ーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル;
γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン;4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6
−テトラメチルピペリジン;4−(メタ)アクリロイル
オキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジ
ン;パーフルオロメチル(メタ)アクリレート;パーフ
ルオロプロピル(メタ)アクリレート;パーフルオロプ
ロピルメチル(メタ)アクリレート;ビニルピロリド
ン;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト;(メタ)アクリル酸グリシジル;(メタ)アクリル
酸2,3−シクロへキセンオキサイド;(メタ)アクリ
ル酸アリル等やそれらの併用が挙げられる。
【0093】本発明の被覆用組成物は、水性媒体中への
分散及び水性媒体中への溶解からなる群より選ばれる少
なくとも一つの状態であることが好ましい。本発明の被
覆用組成物が、セミカルバジド誘導体及びその末端封鎖
体からなる群から選ばれる少なくとも1つ(α)とポリ
カルボニル化合物(γ)との水性媒体中への分散及び溶
解からなる群より選ばれる少なくとも1つの状態で提供
される場合には、該被覆用組成物は、それぞれが水性媒
体中への分散及び水性媒体中への溶解からなる群より選
ばれる少なくとも1つの状態である成分(α)とポリカ
ルボニル化合物(γ)とを混合することにより得られた
ものであって、且つ成分(α)とポリカルボニル化合物
(γ)の合計が、該被覆用組成物の分散液及び/又はそ
の溶液の質量に対して0.1〜70質量%の範囲にある
ことが好ましい。混合する成分(α)の分散液及び/又
は溶液においては、成分(α)が、その分散液及び/又
はその溶液の質量に対して0.1〜90質量%の範囲に
あることが好ましい。また、混合するポリカルボニル化
合物(γ)の分散液及び/又は溶液においては、ポリカ
ルボニル化合物(γ)が、その分散液及び/又はその溶
液の質量に対して0.1〜70質量%の範囲にあること
が好ましい。
【0094】同様に、本発明の被覆用組成物が、セミカ
ルバジド組成物(δ)とポリカルボニル化合物(γ)と
の水性媒体中への分散及び/又は溶解からなる群より選
ばれる少なくとも1つの状態で提供される場合は、該被
覆用組成物は、それぞれが水性媒体中への分散及び水性
媒体中への溶解からなる群より選ばれる少なくとも1つ
の状態であるセミカルバジド組成物(δ)とポリカルボ
ニル化合物(γ)とを混合することにより得られたもの
であって、且つセミカルバジド組成物(δ)とポリカル
ボニル化合物(γ)の合計が、該被覆用組成物の分散液
及び/又はその溶液の質量に対して0.1〜70質量%
の範囲にあることが好ましい。混合するセミカルバジド
組成物(δ)の分散液及び/又は溶液においては、セミ
カルバジド組成物(δ)が、その分散液及び/又はその
溶液の質量に対して0.1〜70質量%の範囲にあるこ
とが好ましい。また、混合するポリカルボニル化合物
(γ)の分散液及び/又は溶液において、ポリカルボニ
ル化合物(γ)が、その分散液及び/又はその溶解液の
質量に対して0.1〜70質量%の範囲にあることが好
ましい。
【0095】上記の成分(α)とポリカルボニル化合物
(γ)の分散液及び/又は溶液、及び上記のセミカルバ
ジド組成物(δ)とポリカルボニル化合物(γ)の分散
液及び/又は溶液のいずれにおいても、ポリカルボニル
化合物(γ)が、(a)カルボニル基含有エチレン性不
飽和単量体0.1〜30質量%と、(b)該単量体
(a)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体70〜9
9.9質量%とのカルボニル基含有共重合体であること
が好ましい。
【0096】本発明においては、上記の分散液及び/又
は溶液中のポリカルボニル化合物(γ)としてのカルボ
ニル基含有共重合体は、(a)カルボニル基含有エチレ
ン性不飽和単量体と、(b)該単量体(a)と共重合可
能なエチレン性不飽和単量体との懸濁重合、乳化重合及
び溶液重合からなる群より選ばれる少なくとも1つの方
法によって得られたものであることが好ましく、その中
でも、乳化重合によって得られるラテックスであること
が特に好ましい。
【0097】更に本発明においては、(a)カルボニル
基含有エチレン性不飽和単量体と、(b)該単量体
(a)と共重合可能なエチレン性不飽和単量体との共重
合を、スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体及
びスルホネート基を有するエチレン性不飽和単量体から
なる群より選ばれる少なくとも1つの乳化剤(c)の存
在下において行うのが特に好ましい。本発明において、
スルホン酸基を有するエチレン性不飽和単量体及びスル
ホネート基を有するエチレン性不飽和単量体からなる群
より選ばれる少なくとも1つの乳化剤(c)は、ラジカ
ル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基又はその
アンモニウム塩かアルカリ金属塩である基(アンモニウ
ムスルホネート基、又はアルカリ金属スルホネート基)
を有する化合物であることが好ましい。これらのうち、
ラジカル重合性の二重結合を有し、かつスルホン酸基の
アンモニウム塩、ナトリウム塩またはカリウム塩である
基により置換された炭素数1〜20のアルキル基、炭素
数2〜4のアルキルエーテル基、炭素数2〜4のポリア
ルキルエーテル基、炭素数6〜10のアリール基及びコ
ハク酸基からなる群より選ばれる置換基(上記アルキル
基、及び(ポリ)アルキルエーテル基のアルキル部は、
直鎖状でもよいし分枝状でもよい。)を有する化合物で
あるか、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩
またはカリウム塩である基が結合しているビニル基を有
するビニルスルホネート化合物であることがさらに好ま
しい。
【0098】スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウ
ム塩またはカリウム塩である基により置換されたコハク
酸基を有する化合物の具体例として、アリルスルホコハ
ク酸塩、たとえば、式(20)、(21)、(22)、
(23)で表される化合物が挙げられる。
【0099】
【化20】
【0100】
【化21】
【0101】
【化22】
【0102】
【化23】
【0103】〔式中、R1'は水素またはメチル基であ
り、R2'は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜2
0のアルケニル基、炭素数5〜12のシクロアルキル
基、炭素数5〜10のアリール基、炭素数6〜19のア
ラルキル基等の炭化水素基、又はその一部が水酸基、カ
ルボン酸基等で置換されたもの、もしくはポリオキシア
ルキレンアルキルエーテル基(アルキル部分の炭素数が
0〜20、及びアルキレン部分の炭素数が2〜4)、ポ
リオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル基(アル
キル部分の炭素数が0〜20、及びアルキレン部分の炭
素数が2〜4)等のアルキレンオキサイド化合物を含む
有機基であり、Bは炭素数2〜4個のアルキレン基また
は置換されたアルキレン基であり、nは0〜200の整
数であり、Mはアンモニウム、ナトリウムまたはカリウ
ムである。上記のアルキル基、アルケニル基、アラルキ
ル基のアルキル部、ポリオキシアルキレンアルキルエー
テル基及びポリオキシアルキレンアルキルフェニルエー
テル基のアルキレン部及びアルキル部、及びアルキレン
基は、直鎖状でもよいし分枝状でもよい。〕
【0104】上記化合物(20)及び(21)を含むも
のとして、例えば、三洋化成(株)製エレミノールJS
−2(商標)があり、上記化合物(22)及び(23)
を含むものとして、例えば、花王(株)製ラテムルS−
120、S−180A、及びS−180(商標)があ
る。また、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム
塩又はカリウム塩である基により置換された炭素数2〜
4のアルキルエーテル基又は炭素数2〜4のポリアルキ
ルエーテル基を有する化合物の例として、式(24)、
(25)で表される化合物が挙げられる。
【0105】
【化24】
【0106】(式中、R3'、R4'は、それぞれ独立に、
炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基又はアラル
キル基であり、R5'は水素またはプロペニル基であり、
Bは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは1〜20
0の整数であり、Mはアンモニウム、ナトリウム又はカ
リウムである。上記のアルキル基、アルケニル基、アラ
ルキル基のアルキル部、及びアルキレン基は、直鎖状で
もよいし分枝状でもよい。)
【0107】
【化25】
【0108】(式中、R6'は水素またはメチル基であ
り、R7'は炭素数8〜24のアルキル基又はアシル基で
あり、Bは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは0
〜20の整数であり、mは0〜50の整数であリ、Mは
アンモニウム、ナトリウム又はカリウムである。上記の
アルキル基、アルキレン基、及びアシル基のアルキル部
は、直鎖状でもよいし分枝状でもよい。)
【0109】上記式(24)で表されるアルキルフェノ
ールエーテル誘導体として、例えば第一工業製薬(株)
製アクアロンHS−10(商標)があり、上記式(2
5)で表される化合物として、例えば旭電化工業(株)
製アデカリアソープSE−1025N(商標)がある。
【0110】その他、スルホネート基により置換された
アリール基を有する化合物の具体例として、p−スチレ
ンスルホン酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩およびカ
リウム塩が挙げられる。スルホネート基により置換され
たアルキル基を有する化合物の具体例として、メチルプ
ロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミドのアンモニウ
ム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩が挙げられる。ま
た上記以外のスルホネート基を有する化合物の具体例と
して、スルホン酸基のアンモニウム塩、ナトリウム塩又
はカリウム塩である基が結合しているビニル基を有する
ビニルスルホネート化合物が挙げられる。
【0111】これらの乳化剤(c)としてのエチレン性
不飽和単量体は、エマルジョン中に、〔i〕単量体
(a)と単量体(b)との共重合体からなるエマルジョ
ン粒子にラジカル重合した共重合物として存在している
か、〔ii〕未反応物としてエマルジョン粒子へ吸着、
あるいはエマルジョン水相中に存在しているか、或いは
〔iii〕エマルジョン中に副生した水溶性又は親水性
単量体との共重合物、又は該エチレン性不飽和単量体の
重合物としてエマルジョン粒子へ吸着、或いはエマルジ
ョン水相中に存在している。特に〔i〕の状態で存在す
る比率を高めることによって、単量体(a)と単量体
(b)との共重合体からなるエマルジョンを用いて得た
被覆用組成物から満足のゆく耐水性を有する皮膜を得る
ことができる。また乳化剤(c)としてのエチレン性不
飽和単量体は、エマルジョンより得られるフィルムの熱
分解ガスクロマトグラム質量分析(Py−GC−M
S)、又は熱分解質量分析(Py−MS)により、同定
することができる。他の方法として、エマルジョンの水
相成分を分離した後、高速原子衝撃質量分析(FABマ
ススペクトル)によって同定することも可能である。
【0112】本発明では、スルホン酸基またはスルホネ
ート基を持つエチレン性不飽和単量体およびそれらの混
合物よりなる群から選ばれる乳化剤(c)以外に、乳化
剤として使用可能な通常の界面活性剤を併用することも
できる。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、
アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキ
ル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩
等のアニオン型界面活性剤やポリオキシエチレンアルキ
ルアリールエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂
肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロッ
クコポリマー等の非反応性ノニオン型界面活性剤、及び
旭電化工業(株)製アデカリアソープNE−20、NE
−30、NE−40(商標)等のα−〔1−〔(アリル
オキシ)メチル〕−2−(ノニルフェノキシ)エチル〕
−−ヒドロキシポリオキシエチレン、及び第一製薬工業
(株)製アクアロンRN−10、RN−20、RN−3
0、RN−50(商標)等のポリオキシエチレンアルキ
ルプロペニルフェニルエーテル等の反応性ノニオン型界
面活性剤といわれるエチレン性不飽和単量体と共重合可
能なノニオン型界面活性剤等を併用することができる。
【0113】上記の界面活性剤の使用量は、単量体
(a)及び単量体(b)からなるエマルジョンに対する
質量%としてアニオン型界面活性剤については0.5%
以下、好ましくは0.25%以下、更に好ましくは0.
1%以下であり、非反応性ノニオン型界面活性剤及び反
応性ノニオン型界面活性剤については、2.0%以下、
好ましくは1.0%以下、更に好ましくは0.5%以下
である。この範囲を超えて使用すると、エマルジョンを
用いて得た被覆用組成物から満足のいく耐水性を有する
皮膜を得ることができなくなる。また、本発明のセミカ
ルバジド誘導体またはその末端封鎖体からなる群から選
ばれる少なくとも1つ(α)またはセミカルバジド組成
物(δ)と、ポリカルボニル化合物(γ)とからなる被
覆用組成物において、乳化剤(c)を含む界面活性剤の
合計は、0.1〜20質量%であることが好ましい。
【0114】本発明において用いられるポリカルボニル
化合物(γ)を得るに当たっては、ラジカル重合触媒と
して、熱または還元性物質などによって、分解してラジ
カルを発生し、エチレン性不飽和単量体(a)及び
(b)の付加重合を起こす化合物を挙げることができ
る。これらの化合物としては、水溶性または油溶性の過
硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等を有利に使用する
ことができる。その例としては、過硫酸カリウム、過硫
酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−
ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
ベンゾエート、2,2’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、2,2’−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイ
ドロクロライド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)等を挙げることができる。ラジカル
重合触媒の量としてはエチレン性不飽和単量体(a)と
(b)に対して通常0.1〜1質量%配合される。通常
は常圧下、65〜90℃の重合温度で行なうことが好ま
しいが、モノマーの重合温度におけるモノマーの揮発を
防止するなどの目的で、密閉系において高圧下でも実施
することができる。重合時間としては、導入時間と、導
入後の熟成(cooking)時間がある。導入時間
は、各種原料を反応系へ同時に導入する場合は通常数分
であり、各種原料を反応系へ逐次導入する場合は重合に
よる発熱が除熱可能な範囲で反応系へ逐次導入するた
め、最終的に得られるエマルジョン中の重合体濃度によ
っても異なるが、通常10分以上である。導入後の熟成
時間としては、少なくとも10分以上であることが好ま
しい。この重合時間以下では、各原料がそのまま残留し
てしまう恐れがある。なお、重合速度の促進、及び70
℃以下での低温の重合が望まれるときには、例えば重亜
硫酸ナトリウム、塩化第一鉄、アスコルビン酸塩、ホル
ムアルデヒドナトリウムスルホキシラートニ水塩等の還
元剤をラジカル重合触媒と組み合わせて用いると有利で
ある。さらに分子量を調節するために、ドデシルメルカ
プタン等の連鎖移動剤を任意に添加することも可能であ
る。
【0115】本発明の被覆用組成物に含まれるセミカル
バジド誘導体またはその末端封鎖体の1〜50%、好ま
しくは5〜50%を、ジイソシアネートをオリゴマー化
させることにより得られるポリイソシアネートとヒドラ
ジン又はその誘導体から製造されるセミカルバジド誘導
体またはその末端封鎖体に置き換えることにより、該被
覆用組成物から得られる皮膜の硬度を向上させることが
できる。本発明において、被覆用組成物中のポリカルボ
ニル化合物(γ)を長期に安定に保つため、アンモニ
ア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ジメチルアミ
ノエタノール等のアミン類、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸等
の酸類を用いて、該被覆用組成物のpHを4〜10の範
囲に調整することが好ましい。
【0116】また、本発明の被覆用組成物においては、
所望であれば、ポリカルボニル化合物(γ)の90質量
%以下をポリエポキシ化合物へ置き換えて用いることが
できる。ポリエポキシ化合物の併用により、得られる皮
膜の耐水性はさらに向上する。ポリエポキシ化合物とし
ては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート等のエポ
キシ基含有エチレン性不飽和単量体を他の不飽和単量体
と塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法な
どにより共重合させて得られるエポキシ基を含有する共
重合体や、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェ
ノールF型エポキシ樹脂、環式脂肪族系エポキシ樹脂、
グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン
系エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグ
リシジルイソシアヌレート等を水に分散させたもの、及
びこれらの併用が挙げられる。
【0117】本発明の被覆用組成物には、所望であれ
ば、従来、水系塗料等に添加配合される添加剤、例えば
顔料、充填剤、分散剤、光安定剤、湿潤剤、増粘剤、レ
オロジーコントロール剤、消泡剤、可塑剤、成膜助剤、
防錆剤、染料、防腐剤等を、目的に応じて単独又は組み
合わせて、従来用いられる量、配合してもよい。本発明
の被覆用組成物は、上記したように常温硬化性及び貯蔵
安定性に優れるのみならず、耐水性、耐汚染性、柔軟
性、及び耐黄変性等の種々の特性に優れ、塗料、コーテ
ィング剤、シーリング剤、建材の下地処理剤又は仕上げ
剤、接着剤、感圧性粘着剤、紙加工剤及び編織布の仕上
げ剤等として有用である。具体的には、建築内外装、鋼
構造物、建材、モルタル、軽量気泡コンクリートを含む
各種コンクリート、プラスチック、自動車・船舶等の金
属加工製品等への塗料の下塗り、中塗り、及び上塗り、
又は建築仕上げ塗材等の下塗り、中塗り、及び上塗りと
して利用されるかあるいは、建材、モルタル、コンクリ
ート、鋼材、自動車、船舶、プラスチック等へ直接塗装
されるクリアコート剤、トップコート剤、塗料等として
各種用途に利用される。自動車の塗装においては、下塗
り及び中塗りを施した塗装板上に、上塗りとして水性メ
タリックベースを塗装した後、これを硬化せずにウェッ
トオンウェットでクリヤーを重ね塗りし、ベースとクリ
ヤーを合わせて硬化させる、いわゆる2コート1ベーク
方式の上塗りベースとして、あるいは、下塗りを施した
塗装板上に水性中塗り塗料を塗装し、これを硬化させる
前に水性ベース塗料を塗装し、更にその硬化前にクリヤ
ー塗料を塗装し、水性中塗り、水性ベース、及びクリヤ
ーを同時に焼きつける、いわゆる3コート1ベーク方式
の中塗り、および上塗りベースとしても利用される。塗
装には、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗
装、静電塗装等が用いられる。
【0118】以下に、参考例、実施例及び比較例により
本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例な
どによって何ら限定されるものでない。なお、参考例、
実施例及び比較例中の部は質量部を意味する。また、参
考例、実施例及び比較例において各種の測定は以下に示
す方法に従って行った。 (1)粘度 :B型粘度計((株)トキメック製、
モデルBM)を用い、6rpmで測定した。 (2)分子量分布:ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーを用いて、ポリスチレン漂品検量線より求めた。
測定試料は、各サンプルをテトラヒドロフランに溶解
し、0.5〜1質量%の濃度とした。 装置 :東ソー(株)製 HLC−8020、LC
−3A カラム :東ソー(株)製 TSKgelG−500
0HXL、TSKgelG−4000HXL、TSKg
elG−2000HXL カラム温度:50℃ データ処理:東ソー(株)製 SC8010 キャリヤー:テトラヒドロフラン
【0119】(3)粒子径:超微粒子粒度分析計(UP
A)を使用した。 機種;日機装(株)製 マイクロトラックUPA MO
DEL;9230 (4)硬化性能:得られた皮膜の外観を目視にて以下の
判定基準に従って評価した。 ○:透明で平滑な皮膜 △:透明であるが、皮膜表面に荒れが見られる。 ×:不透明であり、皮膜表面に荒れが見られる。
【0120】(5)貯蔵安定性:被覆用組成物を室温で
1週間保存後、上記の硬化性能を評価した。 (6)顔料分散性:被覆用組成物を目視と触感にて以下
の判定基準に従って評価した。 ○:つぶが見られない。 △:小さなつぶが見られる。 ×:大きなつぶが見られる。
【0121】評価用皮膜(乾燥膜厚40〜50μm)
は、実施例8〜15及び比較例8〜17で得られた被覆
用組成物を、トリクロロエチレンで脱脂した鋼板に塗装
し、20℃65%の環境下で1週間放置することにより
作製した。但し、実施例8〜13及び比較例8〜15の
鏡面光沢度、耐候性、及び耐黄変性の評価用皮膜は、予
め脱脂し、白エナメル塗料を塗装し乾燥させた鋼板に同
様に塗装し、20℃65%の環境下で1週間放置するこ
とにより作製した。これらの皮膜の評価は、以下の方法
により行った。 (1)鉛筆硬度 :JISK5400の鉛筆引っかき値
の試験機法に準じて行った。 (2)鏡面光沢度:光沢計GM−268(ミノルタ
(株)製)を使用して、60度−60度鏡面反射率
(%)を測定した。 (3)耐水性 :25℃の水中に6日間浸漬し、皮膜の
外観を目視にて以下の判定基準に従って評価した。 ○:変化なし、△:やや膨れがみられる、×:かなり膨
れがみられる
【0122】(4)耐溶剤性 :キシロールを含ませた
ガーゼを指で押さえ、塗面を往復30回強く擦り、皮膜
の外観を目視にて以下の判定基準に従って評価した。 ○:塗面の溶け、キズや膨潤がない。 △:塗面の溶け、キズや膨潤がやや認められる。 ×:著しい塗面の溶け、キズや膨潤が認められる。 (5)エリクセン値:JISK5400のエリクセン値
の破断距離法に準じて行った。単位mm (6)耐屈曲性 :JISK5400に準じて合否判定
した。 (7)耐おもり落下性:おもり落下装置と1kgの落下
おもりを用い、最初に割れが観察された高さ(mm)で
表した。
【0123】(8)耐候性 :サンシャインウェザー
メーター(スガ試験機(株)製)にて、ブラックパネル
温度=63±3℃、噴霧時間=18分間/120分で、
JISK5400に準じて2000時間後の光沢保持率
(%)、変色度(ΔE)を測定した。 (9)耐黄変性 :UVランプ(東芝殺菌灯GL15
(15W、波長254nm))に200時間照射(距離
20cm、放射強度600μW/cm2)前後のb値を
色差計(日本電色工業社製SZΣ80型)で測定した。 (10)付着性 :JISK5400の碁盤目テープ
法に準じて行った。
【0124】(11)耐汚染性 :JISK5400に
定める隠蔽率試験紙の白色部上へ、バーコーターNo.
30を使用して被覆用組成物を塗布し、恒温恒湿室(2
0℃、湿度60%)にて1週間放置し、試験塗膜を作製
した。これを50℃の汚染度試験機(高林理化(株)
製)中で1時間油煙に曝した後、家庭用洗剤を使用して
水洗した。塗膜の試験前後のY値を色差計(日本電色工
業社製SZΣ80型)で測定し、(汚染回復率)(%)
=(試験後のY値)/(試験前のY値)を求めた。
【0125】(12)防錆性 :屋外暴露2年後の皮膜
の錆の有無を目視で観察し、以下の判定基準に従って評
価した。 ○:錆は全くみられない。 △:錆がわずかにみられる。 ×:錆が多量にみられる。 (13)透水度:JISK5400に順じて、透水度
(ml/m2・day)を測定した。 (14)耐熱性:JISK5400の塗膜の加熱安定性
に順じて、皮膜を150℃で1時間加熱した後、合否判
定した。
【0126】(参考例1)ポリカルボニル化合物(γ)
の水性エマルジョン(イ)の調製 還流冷却器、滴下
槽、温度計および攪拌装置を有する反応器に、イオン交
換水220部、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム
〔ペレツクスOTP(商標)、花王(株)製〕の40%
水溶液2.3部を投入し、反応容器中の温度を80℃に
上げてから、次にメタクリル酸9部、スチレン4.5
部、アクリル酸ブチル234部、ダイアセトンアクリル
アミド13.5部、メタクリル酸メチル189部、イオ
ン交換水230部、ペレックスOTPを9部、ポリオキ
シエチレンノニルフェニルエーテル〔エマルゲン950
(商標)、花王(株)製〕の25%水溶液10部、過硫
酸アンモニウム1部の混合液を反応容器中へ滴下槽よリ
3時間かけて流入させた。流入中は反応容器中の温度を
80℃に保った。流入終了後、反応容器中の温度を80
℃のまま2時間保った。その後室温まで冷却し、25%
アンモニア水溶液を添加してpHを8に調整してから1
00メッシュの金網でろ過し、固形分46.8%、平均
粒径105nmのポリカルボニル化合物(γ)の水性エ
マルジョン(イ)を得た。
【0127】ポリカルボニル化合物(γ)の水性エマル
ジョン(ロ)の調製 還流冷却器、滴下槽、温度計およ
び攪拌装置を有する反応器に、イオン交換水218部、
アデカリアソープSE−1025N(商標)〔旭電化工
業(株)製〕の25%水溶液3.7部を投入し、反応容
器中の温度を80℃に上げてから、次にメタクリル酸9
部、スチレン4.5部、アクリル酸ブチル234部、ダ
イアセトンアクリルアミド13.5部、メタクリル酸メ
チル189部、イオン交換水225部、アデカリアソー
プSE−1025Nを14.4部、ポリオキシエチレン
ノニルフェニルエーテル〔エマルゲン950(商標)、
花王(株)製〕の25%水溶液8部、過硫酸アンモニウ
ム1部の混合液を反応容器中へ滴下槽よリ3時間かけて
流入させた。流入中は反応容器中の温度を80℃に保っ
た。流入終了後、反応容器中の温度を80℃のまま2時
間保った。その後室温まで冷却し、25%アンモニア水
溶液を添加してpHを8に調整してから100メッシュ
の金網でろ過し、固形分46.8%、平均粒径106n
mのポリカルボニル化合物(γ)の水性エマルジョン
(ロ)を得た。
【0128】(参考例2) 〔トリイソシアネート(A)〕1,3,6−ヘキサント
リカルボン酸トリス(2’−イソシアナトエチル)エス
テル 攪拌器、温度計、ガス導入管、滴下ロート、およびト字
管を介してのリービッヒ凝縮器付きの五つ口丸底フラス
コにエタノールアミン183.3g(3.0モル)を投
入した。塩化水素ガスをガス導入管中に通過させてエタ
ノールアミン全部をその塩酸塩に転換してから、1,
3,6−ヘキサントリカルボン酸 109.1g(0.5
モル)を添加した。塩化水素ガスを毎分300ml(常
温常圧換算)の割合で通過させ、反応混合物を120℃
に加熱し、水流ポンプを用いて20.0kPa(絶対)
まで徐々に減圧した。留出した水はリービッヒ凝縮器で
凝縮した。10時間反応後、塩化水素の供給を止め、窒
素を用いて常圧に戻した後、60℃まで冷却した。これ
にメタノール1080gおよびo−ジクロロベンゼン7
20gの混合液を加えて溶解した後、少量の種晶を加え
て晶析した。結晶をろ別し、晶析時と同一組成のメタノ
ール/o−ジクロロベンゼン混合液を用いて結晶を洗浄
し、ろ別した。この湿結晶を減圧乾燥器を用いて、66
5Pa、100℃で8時間乾燥した。淡黄白色の固体1
69.1gを得た。液体クロマトグラフィーを用いた分
析により、目的の1,3,6−ヘキサントリカルボン酸
トリス(2’−アミノエチル)エステル・三塩酸塩の含
有量は98.6%であった。晶析を含めた収率は73%
であった。(元素分析値)C152936・3HClに
対する計算値:C39.44%、H7.06%、N9.
20%、実測値:C39.72%、H7.84%、N1
3.03%。 続いて、攪拌機、温度計、ホスゲン吹き
込み管、及び還流冷却器を備えた内容量1Lの反応フラ
スコに、キシレン780g、上記の1,3,6−ヘキサ
ントリカルボン酸トリス(2’−アミノエチル)エステ
ル・三塩酸塩139.0g(0.30モル換算)、セチ
ルトリメチルアンモニウムクロリド4.73gを加え
て、攪拌しながら133℃まで加熱昇温し、ホスゲンを
19.8g/hrの速度で吹き込み、133〜138℃
を保ちながら15時間反応を続けた。反応終了後、窒素
ガスをブローして未反応のホスゲン及び塩酸をパージし
た後、不溶物質をろ別し、ろ液から溶媒を減圧留去し
て、油状の純度98%の 1,3,6−ヘキサントリカ
ルボン酸トリス(2’−イソシアナトエチル)エステル
121.0g(純度換算収率92.9%)を得た。粘度
10mPa・s/20℃、NCO含量29.5%(計算
値29.6%)評価結果を表1に示す。
【0129】〔トリイソシアネート(B)〕1,2,4
−ブタントリカルボン酸トリス(2’−イソシアナトエ
チル)エステル 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の代わりに1,
2,4−ブタントリカルボン酸95.1g(0.5モ
ル)を使用して、トリイソシアネート(A)の場合と同
様にして、1,2,4−ブタントリカルボン酸トリス
(2’−アミノエチル)エステル・三塩酸塩151.2
gを得た。液体クロマトグラフィーを用いた分析によ
り、含有量は97.8%であった。晶析を含めた収率は
69%であった。(元素分析値)C132536・3H
Clに対する計算値:C36.42%、H6.58%、
N9.80%、実測値:C36.72%、H6.44
%、N9.93%。 続いて、1,3,6−ヘキサント
リカルボン酸トリス(2’−アミノエチル)エステル・
三塩酸塩の代わりに上記1,2,4−ブタントリカルボ
ン酸トリス(2’−アミノエチル)エステル・三塩酸塩
131.5g(0.30モル換算)を使用して、トリイ
ソシアネート(A)の場合と同様にして、油状の純度9
7%の 1,2,4−ブタントリカルボン酸トリス
(2’−イソシアナトエチル)エステル117.9g
(純度換算収率92.4%)を得た。粘度9mPa・s
/20℃、NCO含量31.5%(計算値31.7%)
評価結果を表1に示す。
【0130】〔トリイソシアネート(C)〕1,4,8
−オクタントリカルボン酸トリス(3’−イソシアナト
プロピル)エステル エタノールアミンの代わりに3−アミノ−1−プロパノ
ール225.3g(3.0モル)を、1,3,6−ヘキ
サントリカルボン酸の代わりに1,4,8−オクタント
リカルボン酸123.1g(0.5モル)を使用して、
トリイソシアネート(A)の場合と同様にして、1,
4,8−オクタントリカルボン酸トリス(3’−アミノ
プロピル)エステル・三塩酸塩165.0gを得た。液
体クロマトグラフィーを用いた分析により、含有量は9
8.3%であった。晶析を含めた収率は71%であっ
た。(元素分析値)C203936・3HClに対する
計算値:C45.59%、H8.03%、N7.98
%、実測値:C45.71%、H7.92%、N8.0
5%。続いて、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸ト
リス(2’−アミノエチル)エステル・三塩酸塩の代わ
りに上記1,4,8−オクタントリカルボン酸トリス
(3’−アミノプロピル)エステル・三塩酸塩139.
4g(0.30モル換算)を使用して、トリイソシアネ
ート(A)の場合と同様にして、油状の純度96%の
1,4,8−オクタントリカルボン酸トリス(3’−イ
ソシアナトプロピル)エステル148.7g(純度換算
収率92.5%)を得た。粘度11mPa・s/20
℃、NCO含量25.1%(計算値25.4%)評価結
果を表1に示す。
【0131】〔トリイソシアネート(D)〕1,2,3
−プロパントリカルボン酸トリス(2’−イソシアナト
エチル)エステル 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の代わりに1,
2,3−プロパントリカルボン酸88.1g(0.5モ
ル)を使用して、トリイソシアネート(A)の場合と同
様にして、1,2,3−プロパントリカルボン酸トリス
(2’−アミノエチル)エステル・三塩酸塩152.3
gを得た。液体クロマトグラフィーを用いた分析によ
り、含有量は98.0%であった。晶析を含めた収率は
72%であった。(元素分析値)C122336・3H
Clに対する計算値:C34.75%、H6.32%、
N10.13%、実測値:C34.83%、H6.30
%、N10.22%。 続いて、1,3,6−ヘキサン
トリカルボン酸トリス(2’−アミノエチル)エステル
・三塩酸塩の代わりに上記1,2,3−プロパントリカ
ルボン酸トリス(2’−アミノエチル)エステル・三塩
酸塩127.0g(0.30モル換算)を使用して、ト
リイソシアネート(A)の場合と同様にして、油状の純
度96%の 1,2,3−プロパントリカルボン酸トリ
ス(2’−イソシアナトエチル)エステル114.2g
(純度換算収率91.9%)を得た。粘度28mPa・
s/20℃、NCO含量32.8%(計算値32.9
%)評価結果を表1に示す。
【0132】〔トリイソシアネート(E)〕1,3,1
2−トリデカントリカルボン酸トリス(2’−イソシア
ナトエチル)エステル 1,3,6−ヘキサントリカルボン酸の代わりに1,
3,12−トリデカントリカルボン酸158.2g
(0.5モル)を使用して、トリイソシアネート(A)
の場合と同様にして、1,3,12−トリデカントリカ
ルボン酸トリス(2’−アミノエチル)エステル・三塩
酸塩195.6gを得た。液体クロマトグラフィーを用
いた分析により、含有量は97.9%であった。晶析を
含めた収率は69%であった。(元素分析値)C2243
36・3HClに対する計算値:C47.61%、H
8.35%、N7.57%、実測値:C47.80%、
H8.30%、N7.82%。 続いて、1,3,6−
ヘキサントリカルボン酸トリス(2’−アミノエチル)
エステル・三塩酸塩の代わりに上記1,3,12−トリ
デカントリカルボン酸トリス(2’−アミノエチル)エ
ステル・三塩酸塩170.1g(0.30モル換算)を
使用して、トリイソシアネート(A)の場合と同様にし
て、油状の純度94%の 1,3,12−トリデカント
リカルボン酸トリス(2’−イソシアナトエチル)エス
テル160.9g(純度換算収率92.8%)を得た。
粘度35mPa・s/20℃、NCO含量24.1%
(計算値24.1%)評価結果を表1に示す。
【0133】〔ポリイソシアネート(F)〕ヘキサメチ
レンジイソシアネート168部、ビウレット化剤として
の水1.5部を、エチレングリコールメチルエーテルア
セテートとリン酸トリメチルの1:1(質量比)の混合
溶媒130部に溶解し、反応温度160℃にて1時間反
応させた。得られた反応液を薄膜蒸発缶(神鋼パンテッ
ク(株)製タイプ2−03WFE)を用いて、2段階の
処理(1回目は133Pa/160℃の条件下、2回目
は13Pa/160℃の条件下)により余剰のヘキサメ
チレンジイソシアネート及び溶媒を留去回収し、残さを
得た。得られた残さは99.9質量%のポリイソシアネ
ート(F)(ヘキサメチレンジイソシアネートのビウレ
ット型ポリイソシアネート)及び0.1質量%の残存ヘ
キサメチレンジイソシアネートを含んでいた。得られた
残さの粘度は1900mPa・s/20℃、数平均分子
量は約600、平均NCO基数は約3.3、NCO基含
有量は23.3%であった。
【0134】(参考例3)還流冷却器、温度計および攪
拌装置を有する反応器にいれたテトラヒドロフラン72
0部にヒドラジン1水和物80部を室温で添加した。こ
れに参考例2で得られたポリイソシアネート(F)(N
CO基含量23.3質量%)55部をテトラヒドロフラ
ン72部に溶解した溶液を40℃にて約1時間かけて添
加し、さらに40℃にて3時間攪拌を続けた。その後、
反応系を40℃にて攪拌しながら水を360部30分か
けて添加し、さらに30分反応を続けた。得られた反応
液中のテトラヒドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減
圧下に留去することにより固形分50%のセミカルバジ
ド誘導体の水溶液を得た。
【0135】
【実施例1】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にアセトン23部、参考例2で得たトリイソシ
アネート(A)(NCO基含量29.5質量%)10
部、ユニオックスM1000(商標)〔日本油脂(株)
製、水酸基価56.9のポリオキシエチレンメチルエー
テル〕10部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.
001部を入れ60℃にて4時間反応させた。次に還流
冷却器、温度計 および攪拌装置を有する反応器に入れ
たアセトン421部にヒドラジン1水和物74部を攪拌
しながら30分かけて室温で添加した後更に1時間攪拌
した。この反応液に先に得られた反応物を40℃にて攪
拌しながら1時間かけて添加しその後更に40℃にて4
時間攪拌した。その後、反応系を40℃にて攪拌しなが
ら1183部の水を30分かけて添加し、さらに30分
攪拌を続けた。得られた反応液中のアセトン、ヒドラジ
ン、アセトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下
に留去することにより固形分20%のセミカルバジド組
成物(δ)の水分散体を得た。
【0136】得られたセミカルバジド組成物(δ)の水分
散体50部(固形分10部)にシクロへキサノン100
部を添加し150rpmにて5時間振とうした後、10
000rpmにて10分間遠心分離を行った。下層の水
相には親水基としてポリオキシエチレンメチルエーテル
基が導入されたトリイソシアネート(A)由来の親水性
基含有化合物及びその末端封鎖体が6.7部存在し、上
層のシクロヘキサノン相にはトリイソシアネート(A)
由来のセミカルバジド誘導体が3.3部存在した。
【0137】
【実施例2】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にテトラヒドロフラン22部、参考例2で得ら
れたトリイソシアネート(A)(NCO基含量29.5
質量%)10部、ユニオックスMl000(商標)〔日
本油脂(株)製、水酸基価56.9のポリオキシエチレ
ンメチルエーテル〕10部、触媒としてジブチル錫ジラ
ウレート0.001部を入れ60℃にて4時間反応させ
た。次に還流冷却器、温度計および攪拌装置を有する反
応器に入れたテトラヒドロフラン147部にヒドラジン
1水和物7.1部を攪拌しながら30分かけて室温で添
加した後更に1時間攪拌した。この混合物に先に得られ
た反応物を40℃にて攪拌しながら1時間かけて添加し
その後更に40℃にて4時間攪拌した。その後、反応系
を40℃にて攪拌しながら182部の水を30分かけて
添加し、さらに30分攪拌を続けた。得られた反応液中
のテトラヒドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減圧下
に留去することにより固形分30%のセミカルバジド組
成物(δ)の水分散体を得た。
【0138】
【実施例3】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にアセトン259部、参考例2で得られたトリ
イソシアネート(B)(NCO基含量31.5質量%)
106部、ユニオックスM1000(商標)(日本油脂
(株)製、水酸基価56.9のポリオキシエチレンメチ
ルエーテル)305部、触媒としてジ ブチル錫ジラウ
レート0.04部を入れ60℃にて7時間反応させた。
次に還流冷却器、温度計および攪拌装置を有する反応器
に入れたアセトン2600部にヒドラジン1水和物46
1部を攪拌しながら30分かけて室温で 添加した後更
に1時間攪拌した。この反応液に先に得られた反応物を
40℃にて攪拌しながら1時間かけて添加しさらに40
℃にて4時間攪拌した。その後、反応系を40℃にて攪
拌しながら4100部の水を30分かけて添加し、さら
に30分攪拌を続けた。得られた反応液中のアセトン、
ヒドラジン、アセトンとヒドラジンの反応物、水等を加
熱減圧下に留去することにより固形分40%の親水性基
含有化合物及び末端封鎖体の水分散液を得た。
【0139】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器に入れたアセトン3390部にヒドラジン1水
和物598部を攪拌しながら30分かけて室温で添加し
た後更に1時間攪拌した。この反応液に参考例2で得ら
れたトリイソシアネート(A)(NCO基含量29.5
質量%)69部を40℃にて攪拌をしながら1時間かけ
て添加し、その後更に40℃にて4時間撹拝した。その
後、反応系を40℃にて攪拌しながら180部の水を3
0分かけて添加し、さらに30分攪拌を続けた。得られ
た反応液中のアセトン、ヒドラジン、アセトンとヒドラ
ジンの反応物、水等を加熱減圧下に留去することにより
固形分20%のセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖
体を得た。得られたセミカルバジド誘導体及びその末端
封鎖体100部を、上記親水性基含有化合物及びその末
端封鎖体の水分散体(固形分40%)50部を室温にて
攪拌しながら添加し続いて水50部を攪拌しながら添加
する事により固形分20%のセミカルバジド組成物
(δ)の水分散体を得た。
【0140】
【実施例4】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたメチルエチルケトン3600部にヒド
ラジン1水和物400部を攪拌しながら約30分かけて
室温で添加した後、40℃にて1時間攪拌した。これに
参考例2で得られたトリイソシアネート(B)(NCO
基含量31.5質量%)110部をメチルエチルケトン
144部に溶解した溶液を40℃にて約1時間かけて添
加し、さらに40℃にて3時間撹絆を続けた。得られた
反応液中のメチルエチルケトン、ヒドラジン、メチルエ
チルケトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に
留去することにより168部のセミカルバジド誘導体及
びその末端封鎖体を得た。
【0141】
【実施例5】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたテトラヒドロフラン720部にヒドラ
ジン1水和物80部を室温で添加した。これに参考例2
で得られたトリイソシアネート(B)(NCO基含量3
1.5質量%)55部をテトラヒドロフラン72部に溶
解した溶液を40℃にて約1時間かけて添加し、さらに
40℃にて3時間攪拌を続けた。その後、反応系を40
℃にて攪拌しながら水を360部30分かけて添加し、
さらに30分反応を続けた。得られた反応液中のテトラ
ヒドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に留去す
ることにより固形分23%のセミカルバジド誘導体の水
溶液を得た。
【0142】
【実施例6】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたメチルエチルケトン3600部にヒド
ラジン1水和物400部を攪拌しながら約30分かけて
室温で添加した後、40℃にて1時間攪拌した。これに
参考例2で得られたトリイソシアネート(C)(NCO
基含量25.1質量%)70部をメチルエチルケトン7
3部に溶解した溶液を40℃にて約30分かけて添加
し、さらに40℃にて3時間攪拌を続けた。得られた反
応液中のメチルエチルケトン、ヒドラジン、メチルエチ
ルケトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留
去することにより84部のセミカルバジド誘導体及びそ
の末端封鎖体を得た。
【0143】得られたセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体50部をトルエン40部に溶解した後、「GA
FAC-RE610」(東邦化学工業(株)製、特殊リ
ン酸エステル型非イオン性アニオン界面活性剤)10部
を添加した。この混合物をホモジナイザーで5000r
pmにて強攪拌し、そこにイオン交換水100部を20
分かけて添加する事によリセミカルバジド誘導体及びそ
の末端封鎖体の水分散体を得た。
【0144】
【実施例7】アジピン酸ジヒドラジド120部をイオン
交換水1180部に溶解した後、メチルエチルケトン3
7部を攪拌しながら約10分かけて室温で添加した。こ
れに、参考例2で得られたトリイソシアネート(C)
(NCO基含量25.1質量%)12部をトルエン13
部に溶解し実施例6に用いたと同じアニオン界面活性剤
(GAFAC-RE610)2.5部を添加した混合物
を、ホモジナイザーで5000rpmにて強攪拌しなが
ら約20分かけて添加することによりセミカルバジド誘
導体及びその末端封鎖体の水分散体を得た。
【0145】
【実施例8】参考例1で合成したポリカルボニル化合物
(γ)の水性エマルジョン(イ)100部に実施例1で
得たセミカルバジド組成物(δ)の水分散体13.2部
を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。
この被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を
表1に示す。
【0146】
【実施例9】参考例1で合成したポリカルボニル化合物
(γ)の水性エマルジョン(ロ)100部に実施例1で
得たセミカルバジド組成物(δ)の水分散体13.2部
を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。
この被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を
表1に示す。
【0147】
【実施例10】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(ロ)100部に実施例2
で得たセミカルバジド組成物(δ)の水分散体10.5
部を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得
た。この被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結
果を表1に示す。
【0148】
【実施例11】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(イ)100部に実施例3
で得たセミカルバジド組成物(δ)の水分散体18.8
部を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得
た。この被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結
果を表1に示す。
【0149】
【実施例12】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(ロ)100部に実施例3
で得たセミカルバジド組成物(δ)の水分散体18.8
部を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得
た。この被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結
果を表1に示す。
【0150】
【実施例13】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(イ)100部に実施例2
で得たセミカルバジド組成物(δ)の水分散体7.0部
と参考例3で得たセミカルバジド誘導体の水溶液3.5
部を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得
た。この被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結
果を表1に示す。
【0151】
【実施例14】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(イ)150部にチタン白
50部(最終被覆用組成物の顔料質量(PWC)=40
%)を加え、次いで所定量のガラスビーズを加え、振と
う機にかけて顔料分散を行い、ガラスビースを除去し
た。得られた分散液133部に対して実施例1で得たセ
ミカルバジド組成物(δ)の水分散体13.2部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この被
覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表4に
示す。
【0152】
【実施例15】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(ロ)150部にチタン白
50部(PWC=40%)を加え、次いで所定量のガラ
スビーズを加え、振とう機にかけて顔料分散を行い、ガ
ラスビースを除去した。得られた分散液133部に対し
て実施例2で得たセミカルバジド組成物(δ)の水分散
体10.5部を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組
成物を得た。この被覆用組成物とこれから得られた皮膜
の評価結果を表4に示す。
【0153】
【比較例1】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にアセトン23部、参考例2で得たトリイソシ
アネート(D)(NCO基含量32.8質量%)の7
9.6%酢酸エチル溶液11部、ユニオックスM100
0(商標)〔日本油脂(株)製、水酸基価56.9のポ
リオキシエチレンメチルエーテル〕10部、触媒として
ジブチル錫ジラウレート0.001部を入れ60℃にて
4時間反応させた。次に還流冷却器、温度計および攪拌
装置を有する反応器に入れたアセトン421部にヒドラ
ジン1水和物74部を攪拌しながら30分かけて室温で
添加した後更に1時間攪拌した。この反応液に先に得ら
れた反応物を40℃にて攪拌しながら1時間かけて添加
しその後更に40℃にて4時間攪拌した。その後、反応
系を40℃にて攪拌しながら1183部の水を30分か
けて添加し、さらに30分攪拌を続けた。得られた反応
液中のアセトン、酢酸エチル、ヒドラジン、アセトンと
ヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留去すること
により固形分20%のセミカルバジド組成物の水分散体
を得た。
【0154】
【比較例2】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にテトラヒドロフラン22部、参考例2で得ら
れたトリイソシアネート(E)(NCO基含量24.1
質量%)の80.0%酢酸エチル溶液16部、ユニオッ
クスM1000(商標)〔日本油脂(株)製、水酸基価
56.9のポリオキシエチレンメチルエー テル〕10
部、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.001部を
入れ60℃にて4時間反応させた。次に還流冷却器、温
度計および攪拌装置を有する反応器に入れたテトラヒド
ロフラン147部に ヒドラジン1水和物7.1部を攪
拌しながら30分かけて室温で添加した後更に1時間攪
拌した。この混合物に先に得られた反応物を40℃にて
攪拌しながら1時間かけて添加しその後更に40℃にて
4時間攪拌した。その後、反応系を40℃にて攪拌しな
がら182部の水を30分かけて添加し、さらに30分
攪拌を続けた。得られた反応液中のテトラヒドロフラ
ン、酢酸エチル、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に留去
することにより固形分30%のセミカルバジド組成物の
水分散体を得た。
【0155】
【比較例3】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にアセトン259部、参考例2で得られたトリ
イソシアネート(E)(NCO基含量24.1質量%)
の80.0%酢酸エチル溶液179部、ユニオックスM
1000(商標)(日本油脂(株)製、水酸基価56.
9のポリオキシエチレンメチルエーテル)305部、触
媒としてジブチル錫ジラウレート0.04部を入れ60
℃にて7時間反応させた。次に還流冷却器、温度計およ
び攪拌装置を有する反応器に入れたアセトン2600部
にヒドラジン1水和物461部を攪拌しながら30分か
けて室温で添加した後更に1時間攪拌した。この反応液
に先に得られた反応物を40℃にて攪拌しながら1時間
かけて添加しさらに40℃にて4時間攪拌した。その
後、反応系を40℃にて攪拌しながら4100部の水を
30分かけて添加し、さらに30分攪拌を続けた。得ら
れた反応液中のアセトン、酢酸エチル、ヒドラジン、ア
セトンとヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留去
することにより固形分40%の親水性基含有化合物及び
末端封鎖体の水分散液を得た。
【0156】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器に入れたアセトン3390部にヒドラジン1水
和物598部を攪拌しながら30分かけて室温で添加し
た後更に1時間攪拌した。この反応液に参考例2で得ら
れたトリイソシアネート(D)(NCO基含量32.8
質量%)の79.6%酢酸エチル溶液80部を40℃に
て攪拌をしながら1時間かけて添加し、その後更に40
℃にて4時間撹拝した。その後、反応系を40℃にて攪
拌しながら180部の水を30分かけて添加し、さらに
30分攪拌を続けた。得られた反応液中のアセトン、酢
酸エチル、ヒドラジン、アセトンとヒドラジンの反応
物、水等を加熱減圧下に留去することにより固形分20
%のセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体を得た。
得られたセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体10
0部を、上記親水性基含有化合物及びその末端封鎖体の
水分散体(固形分40%)50部を室温にて攪拌しなが
ら添加し続いて水50部を攪拌しながら添加する事によ
り固形分20%のセミカルバジド組成物の水分散体を得
た。
【0157】
【比較例4】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたメチルエチルケトン3600部にヒド
ラジン1水和物400部を攪拌しながら約30分かけて
室温で添加した後、40℃にて1時間攪拌した。これに
参考例2で得られたトリイソシアネート(D)(NCO
基含量32.8質量%)の79.6%酢酸エチル溶液1
34部をメチルエチルケトン144部に溶解した溶液を
40℃にて約1時間かけて添加し、さらに40℃にて3
時間撹絆を続けた。得られた反応液中のメチルエチルケ
トン、酢酸エチル、ヒドラジン、メチルエチルケトンと
ヒドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留去すること
により168部のセミカルバジド誘導体及びその末端封
鎖体を得た。
【0158】
【比較例5】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたテトラヒドロフラン720部にヒドラ
ジン1水和物80部を室温で添加した。これに参考例2
で得られたトリイソシアネート(E)(NCO基含量2
4.1質量%)の80.0%酢酸エチル溶液93部をテ
トラヒドロフラン72部に溶解した溶液を40℃にて約
1時間かけて添加し、さらに40℃にて3時間攪拌を続
けた。その後、反応系を40℃にて攪拌しながら水を3
60部30分かけて添加し、さらに30分反応を続け
た。得られた反応液中のテトラヒドロフラン、酢酸エチ
ル、ヒドラジン、水等を加熱減圧下に留去することによ
り固形分23%のセミカルバジド誘導体の水溶液を得
た。
【0159】
【比較例6】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有す
る反応器にいれたメチルエチルケトン3600部にヒド
ラジン1水和物400部を攪拌しながら約30分かけて
室温で添加した後、40℃にて1時間攪拌した。これに
参考例2で得られたトリイソシアネート(D)(NCO
基含量32.8質量%)の79.6%酢酸エチル溶液6
7部をメチルエチルケトン73部に溶解した溶液を40
℃にて約30分かけて添加し、さらに40℃にて3時間
攪拌を続けた。得られた反応液中のメチルエチルケト
ン、酢酸エチル、ヒドラジン、メチルエチルケトンとヒ
ドラジンの反応物、水等を加熱減圧下に留去することに
より84部のセミカルバジド誘導体及びその末端封鎖体
を得た。
【0160】得られたセミカルバジド誘導体及びその末
端封鎖体50部をトルエン40部に溶解した後、「GA
FAC-RE610」(東邦化学工業(株)製、特殊リ
ン酸エステル型非イオン性アニオン界面活性剤)10部
を添加した。この混合物をホモジナイザーで5000r
pmにて強攪拌し、そこにイオン交換水100部を20
分かけて添加する事によリセミカルバジド誘導体及びそ
の末端封鎖体の水分散体を得た。
【0161】
【比較例7】アジピン酸ジヒドラジド120部をイオン
交換水1180部に溶解した後、メチルエチルケトン3
7部を攪拌しながら約10分かけて室温で添加した。こ
れに、参考例2で得られたトリイソシアネート(E)
(NCO基含量24.1質量%)17部をトルエン13
部に溶解し比較例6に用いたと同じアニオン界面活性剤
(GAFAC−RE610)2.5部を添加した混合物
を、ホモジナイザーで5000rpmにて強攪拌しなが
ら約20分かけて添加することによりセミカルバジド誘
導体及びその末端封鎖体の水分散体を得た。
【0162】
【比較例8】参考例1で合成したポリカルボニル化合物
(γ)の水性エマルジョン(イ)100部に比較例1で
得たセミカルバジド組成物の水分散体13.2部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この被
覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表2に
示す。
【0163】
【比較例9】参考例1で合成したポリカルボニル化合物
(γ)の水性エマルジョン(ロ)100部に比較例1で
得たセミカルバジド組成物の水分散体13.2部を添加
し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この被
覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表2に
示す。
【0164】
【比較例10】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(ロ)100部に比較例2
で得たセミカルバジド組成物の水分散体10.5部を添
加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この
被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表2
に示す。
【0165】
【比較例11】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(イ)100部に比較例3
で得たセミカルバジド組成物の水分散体18.8部を添
加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この
被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表2
に示す。
【0166】
【比較例12】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(ロ)100部に比較例3
で得たセミカルバジド組成物の水分散体18.8部を添
加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この
被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表2
に示す。
【0167】
【比較例13】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(イ)を単独で被覆用組成
物とし、これとこれから得られた皮膜を同様に評価し
た。結果を表3に示す。
【0168】
【比較例14】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(イ)100部にアジピン
酸ジヒドラジド(日本ヒドラジン工業(株)製)の5%
水溶液14.5部を添加し、室温で30分攪拌して被覆
用組成物を得た。この被覆用組成物とこれから得られた
皮膜の評価結果を表3に示す。
【0169】
【比較例15】還流冷却器、温度計および攪拌装置を有
する反応器にテトラヒドロフラン360部にヒドラジン
1水和物40部を攪拌しながら30分かけて室温で添加
した後、この溶液にへキサメチレンジイソシアネート
16部とテトラヒドロフラン16部とからなる混合物を
室温にて1時間かけて添加し、更に24時間攪拌した。
その後、反応系を攪拌しながら80部の水を30分かけ
て添加し、さらに30分攪拌を続けた。得られた反応液
中のテトラヒドロフラン、ヒドラジン、水等を加熱減圧
下に留去することにより固形分30%のセミカルバジド
誘導体の水溶液を得た。参考例1で合成したポリカルボ
ニル化合物(γ)の水性エマルジョン(イ)100部に
このセミカルバジド誘導体の30%水溶液3.2部を添
加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この
被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表3
に示す。
【0170】
【比較例16】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(イ)150部にチタン白
50部(最終被覆用組成物の顔料質量(PWC)=40
%)を加え、次いで所定量のガラスビーズを加え、振と
う機にかけて顔料分散を行い、ガラスビースを除去し
た。得られた分散液133部に対して比較例1で得たセ
ミカルバジド組成物の水分散体13.2部を添加し、室
温で30分攪拌して被覆用組成物を得た。この被覆用組
成物とこれから得られた皮膜の評価結果を表4に示す。
【0171】
【比較例17】参考例1で合成したポリカルボニル化合
物(γ)の水性エマルジョン(ロ)150部にチタン白
50部(PWC=40%)を加え、次いで所定量のガラ
スビーズを加え、振とう機にかけて顔料分散を行い、ガ
ラスビースを除去した。得られた分散液133部に対し
て比較例2で得たセミカルバジド組成物の水分散体1
0.5部を添加し、室温で30分攪拌して被覆用組成物
を得た。この被覆用組成物とこれから得られた皮膜の評
価結果を表4に示す。
【0172】
【表1】
【0173】
【表2】
【0174】
【表3】
【0175】
【表4】
【0176】
【発明の効果】本発明の新規セミカルバジド誘導体及び
その末端封鎖体は、低粘度の原料から製造され、種々の
溶剤に対する溶解性に優れ、かつポリカルボニル化合物
と高い相溶性を示す。また、本発明のセミカルバジド誘
導体またはその末端封鎖体を硬化剤として、ポリカルボ
ニル化合物とを組み合わせて用いた被覆用組成物は、常
温硬化性及び貯蔵安定性に優れるのみならず、架橋度が
極めて高く、耐水性、耐汚染性、耐侯性、顔料分散性、
光沢保持性、密着性、防錆性、耐透水性、耐熱性、耐薬
品性(例えば耐溶剤性)等の特性に加え、柔軟性、耐黄
変性に優れ、特に耐水性、耐汚染性、柔軟性、及び耐黄
変性に極めて優れた皮膜を形成することができる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)で表される新規セミカルバジド
    誘導体またはその末端封鎖体。 【化1】 〔式中、X,Y,及びZは、セミカルバジド誘導体とし
    ては、それぞれ独立に、式(2)〜(6)で表される基
    である。 −NH−CO−NR2NH2 (2) −NH−CO−NHNR2−R3−NR2NH2 (3) −NH−CO−NHNR2−CO−R4−CO−NR2NH2 (4) −NH−CO−NHNR2−CO−(NHNH−CO)X−NR2NH2 (5) −NH−CO−NHNR2−CO−NH−R3−NH−CO−NR2NH2 (6) 式中、R1は、それぞれ独立して、炭素数2〜20のア
    ルキレン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数
    1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基
    で置換されている炭素数5〜20のシクロアルキレン基
    を表し、そのアルキレン基及びシクロアルキレン基中に
    複素原子を含んだものや、フェニル基、アリール基、ニ
    トロ基、ハロゲン基、アミノ基などのアルキル基以外の
    置換基を含むものであってもよい。R2は、それぞれ独
    立して、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を表
    し、R3は、炭素数2〜20のアルキレン基、置換され
    ていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又は炭素
    数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数5〜2
    0のシクロアルキレン基、もしくは置換されていないか
    或いは炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭
    素数6〜28のアリーレン基を表す。R4は、上記R3
    表される基、あるいは、化学結合、メチレン基、−CH
    =CH−、−CH2−C(=CH2)−等の炭素数2〜2
    0のアルケニレン基、又は−CONHNH2で置換され
    た炭素数6〜10のアリーレン基を表す。上記R1〜R4
    中のアルキル基、アルキレン基、アルケニレン基、及び
    アルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状
    でもよい。xは、0又は1である。p,r,sは0〜9
    の整数、qは1〜9の整数で、1≦p+q+r+s≦9
    かつ{r<sまたは(r=sかつp≦q)}。また、式
    (1)で表されるセミカルバジド誘導体の末端封鎖体
    は、式(1)におけるX,Y,及びZの末端基−NR2
    NH2の少なくとも1つが式−NR2N=CR56で表さ
    れる封鎖末端基を有している(式中、R5、R6はそれぞ
    れ独立して水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、置
    換されていないか或いは炭素数1〜18のアルキル基又
    は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されている炭素数
    5〜20のシクロアルキル基、もしくは置換されていな
    いか或いは炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されてい
    る炭素数6〜28のアリール基を表し、R5とR6は場合
    によっては共同して環状構造を形成していてもよい。上
    記R5、R6中のアルキル基及びアルコキシ基のアルキル
    部は、直鎖状でもよいし分枝状でもよい。)。〕
  2. 【請求項2】 p+q+r+s=3である請求項1に記
    載のセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖体。
  3. 【請求項3】 p=1、q=2、r=s=0である請求
    項1に記載のセミカルバジド誘導体又はその末端封鎖
    体。
  4. 【請求項4】 R1がすべて−CH2CH2−である請求
    項1〜3のいずれかに記載のセミカルバジド誘導体又は
    その末端封鎖体。
  5. 【請求項5】 水性媒体中への分散及び水性媒体中への
    溶解からなる群から選ばれる少なくとも一つの状態であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のセミカルバジド誘
    導体又はその末端封鎖体。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載のセミカルバジド誘導体
    またはその末端封鎖体からなる群から選ばれる少なくと
    も1つ(α)と、式(7)で表される親水性基含有化合
    物またはその末端封鎖体からなる群から選ばれる少なく
    とも1つ(β)とを含有することを特徴とするセミカル
    バジド組成物(δ)。 【化2】 〔式中、U,V,及びWは、親水性基含有化合物として
    は、そのうち少なくとも1つが式(8)で表される基で
    あり、それ以外の残りが、式(9)〜(13)のいずれ
    かで表される基である。 −NH−CO−A (8) −NH−CO−NR2NH2 (9) −NH−CO−NHNR2−R3−NR2NH2 (10) −NH−CO−NHNR2−CO−R4−CO−NR2NH2 (11) −NH−CO−NHNR2−CO−(NHNH−CO)X−NR2NH2 (12) −NH−CO−NHNR2−CO−NH−R3−NH−CO−NR2NH2 (13) 式中、Aは、非イオン系親水性基、イオン系親水性基、
    及びイオン系親水性基に転化しうる基よりなる群から選
    ばれる少なくとも1つを有する有機基を表す。R 1は、
    それぞれ独立して、炭素数2〜20のアルキレン基、も
    しくは置換されていないか或いは炭素数1〜18のアル
    キル基又は炭素数1〜8のアルコキシ基で置換されてい
    る炭素数5〜20のシクロアルキレン基を表し、そのア
    ルキレン基及びシクロアルキレン基中に複素原子を含ん
    だものや、フェニル基、アリール基、ニトロ基、ハロゲ
    ン基、アミノ基などのアルキル基以外の置換基を含むも
    のであってもよい。R2は、それぞれ独立して、水素原
    子又は炭素数1〜20のアルキル基を表し、R3は、炭
    素数2〜20のアルキレン基、置換されていないか或い
    は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアル
    コキシ基置換されている炭素数5〜20のシクロアルキ
    レン基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜
    8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜28のア
    リーレン基を表す。R4は、上記R3で表される基、ある
    いは、化学結合、メチレン基、−CH=CH−、−CH
    2−C(=CH2)−等の炭素数2〜20のアルケニレン
    基、又は−CONHNH2で置換された炭素数6〜10
    のアリーレン基を表す。上記R1〜R4中のアルキル基、
    アルキレン基、アルケニレン基、及びアルコキシ基のア
    ルキル部は、直鎖状でもよいし分枝状でもよい。xは、
    0又は1である。p,r,sは0〜9の整数、qは1〜
    9の整数で、1≦p+q+r+s≦9かつ{r<sまた
    は(r=sかつp≦q)}。また、式(7)で表される
    親水性基含有化合物の末端封鎖体は、式(7)における
    U,V,及びWの末端基−NR2NH2の少なくとも1つ
    が式−NR2N=CR56で表される封鎖末端基を有し
    ており(式中、R5、R6はそれぞれ独立して水素原子、
    炭素数1〜20のアルキル基、置換されていないか或い
    は炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数1〜8のアル
    コキシ基で置換されている炭素数5〜20のシクロアル
    キル基、もしくは置換されていないか或いは炭素数1〜
    8のアルコキシ基で置換されている炭素数6〜28のア
    リール基を表し、R5とR6は場合によっては共同して環
    状構造を形成していてもよい。上記R5、R6中のアルキ
    ル基及びアルコキシ基のアルキル部は、直鎖状でもよい
    し分枝状でもよい。)、該組成物(δ)において、上記
    成分(α)の上記成分(β)に対する質量比は10/9
    0〜99/1である。〕
  7. 【請求項7】 水性媒体中への分散及び水性媒体中への
    溶解からなる群より選ばれる少なくとも一つの状態であ
    ることを特徴とする請求項6に記載のセミカルバジド組
    成物(δ)。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のセミカルバジド誘導体
    及びその末端封鎖体からなる群から選ばれる少なくとも
    1つ(α)と、ケト基及びアルド基から選ばれる少なく
    とも1種の基を1分子中に2つ以上有するポリカルボニ
    ル化合物(γ)とを含有することを特徴とする被覆用組
    成物。
  9. 【請求項9】 請求項6に記載のセミカルバジド組成物
    (δ)と、ケト基及びアルド基から選ばれる少なくとも
    1種の基を1分子中に2つ以上有するポリカルボニル化
    合物(γ)とを含有することを特徴とする被覆用組成
    物。
JP2002057958A 2002-03-04 2002-03-04 新規セミカルバジド誘導体及び組成物 Pending JP2003252847A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002057958A JP2003252847A (ja) 2002-03-04 2002-03-04 新規セミカルバジド誘導体及び組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002057958A JP2003252847A (ja) 2002-03-04 2002-03-04 新規セミカルバジド誘導体及び組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003252847A true JP2003252847A (ja) 2003-09-10

Family

ID=28668092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002057958A Pending JP2003252847A (ja) 2002-03-04 2002-03-04 新規セミカルバジド誘導体及び組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003252847A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006180721A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Daiichi Seimou Co Ltd 海藻養殖用網の被覆剤及び被覆加工方法
WO2020111000A1 (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 旭化成株式会社 セミカルバジド組成物、水系塗料組成物、塗膜、物品及びセミカルバジド組成物の製造方法
WO2021187359A1 (ja) * 2020-03-16 2021-09-23 旭化成株式会社 セミカルバジド組成物及び水系塗料組成物
WO2022102569A1 (ja) * 2020-11-10 2022-05-19 旭化成株式会社 セミカルバジド組成物及び水系塗料組成物

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006180721A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Daiichi Seimou Co Ltd 海藻養殖用網の被覆剤及び被覆加工方法
WO2020111000A1 (ja) * 2018-11-28 2020-06-04 旭化成株式会社 セミカルバジド組成物、水系塗料組成物、塗膜、物品及びセミカルバジド組成物の製造方法
WO2021187359A1 (ja) * 2020-03-16 2021-09-23 旭化成株式会社 セミカルバジド組成物及び水系塗料組成物
WO2022102569A1 (ja) * 2020-11-10 2022-05-19 旭化成株式会社 セミカルバジド組成物及び水系塗料組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH02612A (ja) 付加化合物、その製法、それを有効成分とする分散剤または分散安定剤およびそれによってコーティングされた固体
US6207751B1 (en) Semicarbazide derivative and a coating composition containing the same
BRPI0515235B1 (pt) “composição de poliisocianato bloqueado termicamente dissociativo, composição de revestimento e processo para preparar uma composição de poliisocianato bloqueado termicamente dissociativo”.
KR20020003570A (ko) 단량체 및 중합 반응 공정
US5496907A (en) Wet adhesion monomers with ureido functionality and polymers prepared therefrom
WO1997023516A1 (en) Aqueous cross-linkable coating composition
EP1428860B1 (en) Antifogging coating composition and article coated therewith
US10023760B2 (en) Semicarbazide composition, method for producing semicarbazide composition, aqueous polymer composition and composite
JP2003252847A (ja) 新規セミカルバジド誘導体及び組成物
JP4073047B2 (ja) 水系セミカルバジド化合物の製造方法
JP4012594B2 (ja) カルボニル基含有ラテックス
JPH09169818A (ja) 自己架橋型重合体エマルジョン組成物
JPH10298158A (ja) 新規なセミカルバジド系化合物及びそれを用いた被覆組成物
JPH04318014A (ja) 常温硬化性樹脂組成物
JP3521991B2 (ja) セミカルバジド組成物及びそれを用いた被覆組成物
JPH0859950A (ja) 高い濃度増粘率を有する水性樹脂組成物およびそれを含む水性塗料組成物
JP3378665B2 (ja) 低温硬化性艶消しアニオン電着塗料組成物及び塗膜形成方法
JP3871386B2 (ja) 架橋型水性エマルジョン組成物
JP3555021B2 (ja) セミカルバジド誘導体及び該セミカルバジド誘導体を含有する組成物
JP3073201B2 (ja) セミカルバジド誘導体及び該セミカルバジド誘導体を含有する組成物
JPH1135876A (ja) 水性塗料および仕上げ方法
KR100230629B1 (ko) 세미카르바지드 유도체를 함유하는 피복용 조성물
JP4012603B2 (ja) ヒドラジン誘導体組成物
JPH09323969A (ja) セミカルバジド系組成物
JPH10231281A (ja) セミカルバジド組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080205

A02 Decision of refusal

Effective date: 20080610

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02