JP4008490B1 - 発熱剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 新規な加水型化学発熱剤を提供する。
【解決手段】(1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,及び
(2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満含む発熱剤。前記発熱剤は、(3)硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから成る群から選択された少なくとも1種類の無機塩化合物を、該発熱剤の総質量に対して、5〜10%更に含有することができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、発熱剤に関する。より詳細には、特定の平均粒径を有する酸化カルシウムと、それぞれ異なる粒度分布を有する2種類の粉体アルミニウムを質量比1:2で混合した混合粉体アルミニウムをそれぞれ特定比率で配合した発熱剤、および特定の平均粒径を有する酸化カルシウムと、それぞれ異なる粒度分布を有する2種類の粉体アルミニウムを質量比1:2で混合した混合粉体をそれぞれ特定比率で配合し、さらに第3成分として無機塩化合物を配合した発熱剤に関する。
従来から、化学物質と水との発熱反応を利用した、いわゆる化学発熱剤が、たとえば、駅弁等調理済み食品を加熱する加熱装置として利用されている。
従来、発熱剤として酸化カルシウムに対する水の添加反応を利用するものが主流を占めていた。酸化カルシウムと水との発熱反応を利用する発熱剤は食品衛生法上の規制は満たす。然しながら、酸化カルシウムの水との反応は、発熱が激しいときは300〜450℃にも達し、温度制御が難しく、駅弁等携帯弁当の加熱用に使用するには、火傷というリスクがあった。
酸化カルシウムと水との発熱反応を利用する発熱剤の欠点を改良する化学発熱剤として、酸化カルシウムと粉体アルミニウムから成る混合物と水との反応を利用する化学発熱剤が提案された。特に、粉体アルミニウムの粒度分布に着眼した化学発熱剤が提案された。
たとえば、特許文献1の請求項1は、「発熱剤の重量当たり、100メッシュ(−150μm90%以上)〜200メッシュ(−75μm95%以上)の粉体酸化カルシウムが15〜30%,及び−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム70〜85%から成る発熱剤」を開示している。
また、特許文献1の段落0025は、粉体アルミニウムとして、−330メッシュ(−45μm)が35〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が5〜15%、+140メッシュ(+106μm)が7%>の粒度分布を有する粉体アルミニウム、或いは−330メッシュ(−45μm)が70〜90%,+330メッシュ(+45μm)が30%>,+235メッシュ(+63μm)が3%>、+200メッシュ(+75μm)が2%>の粒度分布を有する粉体アルミニウムを使用できることを示唆している。
ところで、 酸化カルシウムと粉体アルミニウムから成る混合物と水との反応を利用する化学発熱剤の欠点は水素ガスを発生することである。酸化カルシウムとアルミニウムの混合物から成る発熱剤が、水と接触した場合、(1)の反応式に従って、先ず水酸化カルシウム(Ca(OH))を生成する。
CaO+HO=Ca(OH) (1)
一方、アルミニウム粉末は、下記の式(2)に従って水酸化カルシウムと急激に反応してアルミン酸カルシウムと水素を発生する。
2Al+3Ca(OH)=3CaO・Al+3H↑ (2)
この反応の場合、アルミニウムの量に比例して水素(H)ガスの発生量が増える。即ち、アルミニウム1モルで、水素(H)ガスが3/2モル発生する。
従って、特許文献1に記載されているような酸化カルシウムとアルミニウムから成る混合物と、水との反応を利用する発熱剤の改良すべき第1の点は、水素ガスの発生量をできるだけ少なくすることである。これは、発熱剤の用途開発を行う過程で使用者から要望された最も重要な課題である。
さらに、酸化カルシウムとアルミニウムから成る混合物と水との反応を利用する発熱剤の用途開発を行う過程で使用者から次のような要望が提示された。小容量の食品、たとえば哺乳瓶、缶詰或いは瓶詰の日本酒、缶コーヒー、缶詰清涼飲料水、小分けした焼売や肉まん等、いわゆる小容量の食品を短時間で喫食可能な温度にまで加熱することができる、経済的で熱効率がよい発熱剤とすること。
これらの場合、底面積は、ほぼ12cm〜19cmの範囲である。このような小面積に入る化学発熱剤の重量は、高々5g〜10g程度になる。従って、使用者の要望は、酸化カルシウムとアルミニウムを特定比率で含む化学発熱剤が5gという少量であっても、水との反応後、速やかに100℃〜90℃近傍に昇温し、その後、小さな温度降下率で温度降下し、600秒経過しても80℃近傍に維持するということである。この際、重要なことは、使用者が火傷等を負わないように、最高温度が絶対に100℃にならないように制御し、且つ600秒経過しても80℃近傍に維持することである。特に、600秒経過しても80℃近傍に維持することは、本発明の発熱剤が、登山、釣り、大規模災害時の野外避難所、戦闘糧食の加熱用等氷点以下の寒冷環境下で使用される場合があるので、必須の条件である。
本発明者らは、先ず、単位発熱量を大きくすることを検討した。酸化カルシウムと粉体アルミニウムの混合物から成る発熱剤と水との反応は、反応式(1)および(2)に従うことは前述した通りである。
特に、反応式(2)において、 アルミニウムは、反応式(1)により生成した水酸化カルシウムと急激に反応してアルミン酸カルシウムと水素を発生する。
2Al+3Ca(OH)=3CaO・Al+3H↑ (2)
この反応の場合、アルミニウムの単位量当たりの発熱量は非常に大きいので、アルミニウムの量を増やせば、総発熱量も大きくなる。しかしながら、アルミニウムの量に応じて水素(H)ガスの発生量が増えるので、アルミニウムの量を増やす方法は、水素の発生量を少なくするという観点からは好ましくないことが明らかである。
従って、酸化カルシウムおよびアルミニウム混合物から成る発熱剤において、酸化カルシウムおよび/またはアルミニウムの量を調整するだけでは、前記使用者の要望を満足させることは不可能である。
また、酸化カルシウム等水と反応して発熱する、いわゆる加水発熱剤に無機塩及び/又は有機塩を添加して加水発熱剤の発熱を制御する方法が提案されている。
たとえば、特許文献2は、酸化カルシウムから成る加水発熱剤に、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化カリウム、水酸化カルシム、硫酸ナトリウム等の無機塩、安息香酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウ等の有機塩を含有する水溶液を添加することを特徴とする加水発熱剤の発熱を制御する方法を開示している。
各種文献にも記載されているように、酸化カルシウムの水との反応は、発熱が激しいときは300〜450℃にも達し、温度制御が難しいことは公知である。特許文献2に記載されている発明の目的は、300〜450℃の高温になる酸化カルシウムと水との反応を、上記無機塩及び/又は有機塩を添加して発生蒸気の最高温度を260〜480秒間100〜280℃に維持することである。したがって、特許文献2に記載されている発明も、前記段落0010で述べた使用者の要望を満たすものではない。
特許第3467729号公報明細書 特開2003−171658号公報明細書
発明が解決すべき課題は、酸化カルシウムとアルミニウムを特定比率で含む化学発熱剤を、小容量の食品、たとえば哺乳瓶、缶詰或いは瓶詰の日本酒、缶コーヒー、缶詰め清涼飲料水、小分けした焼売や肉まん等、いわゆる小容量の食品を短時間で喫食可能な温度にまで加熱することができる、経済的で熱効率がよい発熱剤とすることである。
発明が解決すべきより具体的な課題は、酸化カルシウムとアルミニウムを特定比率で含む化学発熱剤が、たとえば5gという少量であっても、水との反応後、最高温度が100℃以上にならないように制御しつつ、速やかに100℃〜90℃近傍に昇温し、その後、小さな温度降下率で温度降下し、600秒経過しても80℃近傍を維持させることである。
本発明者等は、特に粉体アルミニウムの粒度分布に着眼して、それぞれ異なる粒度分布を有する2種類の粉体アルミニウムを質量比1:2で混合した混合粉体アルミニウムと特定の平均粒径を有する酸化カルシウムとを特定比率で配合した発熱剤及び特定の平均粒径を有する酸化カルシウムと、それぞれ異なる粒度分布を有する2種類の粉体アルミニウムを質量比1:2で混合した混合粉体をそれぞれ特定比率で配合し、さらに第3成分を配合した発熱剤が上記課題を解決することができることを発見した。したがって、上記課題は下記の各項に記載した手段により解決される。
1.(1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,及び
(2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満含む発熱剤。
2.(1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,及び
(2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満含む発熱剤に、
(3)硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから成る群から選択された少なくとも1種類の無機塩化合物を、前記発熱剤の総質量に対して、5〜10%更に添加した発熱剤。
1.請求項1に記載した発明により、(1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,及び(2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満とすることにより、粒径45μmpass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムと、粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムを、それぞれ単品で使用する場合より遙かに優れた発熱剤を提供し、且つそれぞれの粉体アルミニウムを単品で使用する場合に比べて、可使用温度である70〜80℃への立ち上がり時間、最高到達温度、最高到達温度までの時間、発熱開始から10分後までの温度履歴を相乗的に向上させることができる。
2.請求項2に記載した発明により、(1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,(2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満から成る発熱剤に、(3)硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから成る群から選択された少なくとも1種類の無機塩化合物を、前記発熱剤の総質量に対して、5〜10%更に添加したので、発熱剤の総重量が例えば5.25g〜5.5g程度の少量でも、発熱反応開始から120秒で最高温度96.4℃に到達し、600秒時点では、88.4℃を維持する。請求項1の発熱剤の場合、一例として、最高到達温度は195秒で96.1℃で、600秒時点では79.6℃であるから、無機塩化合物の添加により、最高到達温度を高め、かつ、一層高い温度を長時間維持することができる。
本発明者らは、前記課題を解決するための手段を策定するに当たって、反応速度理論を展開したアレニウスの粒子衝突理論を根拠とした。アレニウスの粒子衝突理論によれば、粒子が小さい程、衝突頻度が大きくなり、反応速度が大きくなることが明らかである。この理論をカルシウムと粉体アルミニウムから成る発熱剤と水との反応に適用すると、粉体酸化カルシウムの粒径が小さいほど、また粉体アルミニウムの粒径が小さいほど反応速度が大きくなることになる。但し、粒度分布をもつ2種以上の微粒子AおよびBの集合体の場合、単に微粒子AおよびBの粒度が小さければ、小さいほどよいというものではない。なぜならば、水が存在する場合、粒度が小さい微粒子が集合して大きな粒子になる、いわゆる凝集(agglomeration)現象を起こすからである。これを防止するには、前述したアレニウス理論および静電気による粒子の付着理論から、微粒子Aの粒径と、微粒子Bの粒径の大きさと粒度分布の比率を決定することである。
この点から特許文献1に記載されている粉体アルミニウムを検討した。特許文献1に記載されている粉体アルミニウムの粒度分布は、45μm passが40〜60%,45μmが15〜30%,63μmが15%以下、75μmが10%以下である。即ち、大きな粒径の粒度分布45μm〜75μmが60〜40%であるのに対して、反応速度を大きくするのに寄与する小さな粒径の粒度分布45μm passが40〜60%と小さい。このことが、特許文献1に記載されている発熱剤が、発熱パフォーマンスの点から理想的ではない大きな原因と考えた。
そこで、本発明者らは、粉体アルミニウムの製造理論、製造メーカーの製造能力、製造コスト等現実的な要因を勘案して、粉体アルミニウムの1個の粒径を40〜50μmを中心粒径として想定し、粒度分布を色々と変えて、前記式(1)および(2)を行って、粒度分布と、可使用温度である70〜80℃への立ち上がり時間、最高到達温度、最高到達温度までの時間、発熱開始から10分までの温度履歴との相関関係を確認した。
先ず、アルミニウムの中心粒径範囲を40〜50μmとし、最大粒径を75μmとし、粒径45μm passの粒子の粒度分布を、粒径45〜75μmの粒度分布より大きく、且つ特許文献1に記載されている45μm passの粒子の粒分布である40〜60%よりも大きくしたアルミニウム粉体を製造した。即ち、45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムを使用して、所定の酸化カルシウムと所定量比で混合して発熱剤を製造し、前記反応式(1)および(2)を行って、特許文献1に記載されている発熱剤と、可使用温度である70〜80℃への立ち上がり時間、最高到達温度、最高到達温度までの時間、発熱開始から10分後までの温度履歴との相関関係を比較検討した。その結果、45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムが、特許文献1に記載されている発熱剤で使用しているアルミニウム粉体より優れていることを発見した。
なお、本明細書で使用する文言「45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウム」とは、粒径が45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含んでいればよく、その他に製造コスト上除去することが不利益な75μm以上の粒子、或いは本質的に原料に含まれていて製造上除去することが不可能或いは不利益な不純物(unavoidable impurities)を含んでいることを積極的に排除しないということを意味する。
この場合、全粒子の粒径を45μm passとすると、径が小さな粒子だけの集合体なので、粒子同士の凝集が発生するものと推断される。
この粒度分布をもつ粉体アルミニウムの特定的な例としては、たとえば、45μm pass が75.0〜80.0%、45〜75μmが21.0〜24.0%、75μmが0.5〜1.0%、或いは45μm pass が75.5〜78.8%、45〜75μmが20.6〜23.8%、75μmが0.5〜0.7%等が例示される。
さらに、本発明者らは、45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムと混合することにより、45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムを使用することによる発熱効果を相乗的に向上させ、且つ45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムのコストを低減することができる粒度分布を有する粉体アルミニウムを策定した。
そして、 粒度分布と混合比を代えて実験を繰り返した結果、45μm passが60〜70%,45μmが20〜30%,63μmが7〜10%、75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムを、前記45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムに対して2倍量混合することによって、それぞれ単品で使用する場合より発熱状態が優れていることを発見して本発明を完成した。以下、(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,45μmが20〜30%,63μmが7〜10%、75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウムの質量比1:2の混合物を、「1:2混合粉体アルミニウム」という場合がある。
なお、本明細書で使用する文言「45μm passが60〜70%,45μmが20〜30%,63μmが7〜10%、75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を含む粉体アルミニウム」は、45μm passが60〜70%,45μmが20〜30%,63μmが7〜10%、75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を含んでいればよく、その他に製造コスト上除去することが不利益な75μm以上の粒子、或いは本質的に原料に含まれていて製造上除去することが不可能或いは不利益な不純物を含んでいることを積極的に排除しないということを意味する。
本発明において粉体酸化カルシウムと1:2混合粉体アルミニウムの各々の配合量を特定するに当たって重要な要件は、発熱反応までの立ち上がり時間が短いこと、総発熱量が大きいこと、90℃以上の温度を少なくとも20分間維持すること、質量及び嵩張らないこと等の他に、添加する水の量をできるだけ少量にして、発熱反応までの立ち上がり時間の短縮、総発熱量の増大、90℃以上の温度での少なくとも20分間の維持を確保して、発熱剤としての総質量の軽減及び容量の縮小に資することである。
そのために、本発明者等は、粉体酸化カルシウムと1:2混合粉体アルミニウムとから成る発熱剤の総質量に対する水の量を最大でも2倍量と設定して、化学反応速度論に基づいて、前述した諸条件を満たす粉体酸化カルシウムと1:2混合粉体アルミニウムの大体の量を計算し、それを実験によって確認した。その結果、粉体酸化カルシウムと1:2混合粉体アルミニウムとから成る発熱剤の総質量に対して、混合粉体アルミニウムが60%以上〜70%未満、粉体酸化カルシウムが30%超〜40%以下が好ましいことが分かった。
ところで、粉体酸化カルシウムと粉体アルミニウムの混合物から成る発熱剤が、水と接触した場合、先ず、下記のように粉体酸化カルシウムと水が反応する。
CaO+HO=Ca(OH) (1)
この反応による標準生成エンタルピーΔH298=−65.17KJmole-1の熱量を発生する。
従って、単純に考えれるならば、CaOの量を増やせば、発熱量も増える。しかしながら、CaOの量を増やすと発熱量の質量(嵩)もそれに比例して大きくなるので、前記の使用者の要望を満たさない。
一方、アルミニウム粉末は、下記の式(2)に従って水酸化カルシウムと急激に反応してアルミン酸カルシウムと水素を発生する。
2Al+3Ca(OH)=3CaO・Al+3H↑ (2)
この反応の場合、アルミニウムの単位当たりの発熱量は非常に大きいので、アルミニウムの量を増やせば、総発熱量も大きくなる。しかしながら、アルミニウムの量に応じて水素(H)ガスの発生量が増えるので、アルミニウムの量を増やす方法は好ましくない。参考までに、アルミニウム1/2モルで、水素(H)ガスが3/2モル発生するので、アルミニウムを2モル使用すると、水素(H)ガスが3モル発生する。
以上の理由により、前記段落0005で記載した使用者からの要望を満たす新規な発熱剤を開発するには、酸化カルシウムおよび/またはアルミニウムを増やす方法は好ましくないことが明らかである。
そこで、本発明者は、酸化カルシウムおよびアルミニウムから成る混合物に、酸化カルシウムまたはアルミニウム以外の第3成分を添加することを検討した。第3成分を選択するに当たって下記の要件を満足させることを条件とした。
1.粉体アルミニウム、粉体生石灰及び第3成分から成る発熱剤の総質量が5gという質量でも、使用者の要望通りの所要の発熱量と発熱挙動を示し、且つ全体の嵩を大きくしないこと。
2.水蒸気以外に不要なガス、たとえば水素ガス等を発生させないこと。
3.食品加熱用として使用しても、万一食品と直接接触するようなことがあっても、人体に有毒作用を及ぼさないこと。
上記1,2および3の条件を満たす化合物を決定するに当たって、水への溶解エンタルピー、或いは水和エンタルピーがマイナス(発熱)であることを第1要件とし、それらが好ましくは食品添加物であることを第2要件素とした。
実験を繰り返した結果、粉体アルミニウムおよび粉体生石灰から成る組成物に第3成分として添加される無機塩化合物は、硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、あるいは炭酸ナトリウムが好ましいことを発見した。従って、本発明はその発見に基づくものである。尚、硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムは、単品でも、或るいはそれらの2種以上を混合して使用してもよい。
本発明によれば、硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及びそれらの混合物から成る群から選択された第3成分の無機塩化合物は、(1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,及び(2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満含む発熱剤に、該発熱剤の総質量に対して5〜10%添加することが好ましい。例えば、前記(1)粉体酸化カルシウムと(2)混合粉体アルミニウムとからなる発熱剤の総質量が5gの場合、「発熱剤の総質量に対して5〜10%」であるから、この発熱剤に添加される第3成分の無機塩化合物は、0.25g〜0.5gであり、結果的に、発熱剤の総重量は5.25g〜5.5gとなる。無機塩化合物の添加量が5%未満の場合、前記段落0005および段落0030で述べた基本発熱剤の更なる改良に対する使用者の要望を満足させることが不可能であり、一方、無機塩化合物の添加量が10%超の場合、徒にコストを上昇させるので不経済である。
以下、各論に入る。
硫酸カルシウム(CaSO(α))は、その純物質1molが水に溶解し、濃度が1molkg-1になった時点での標準溶解エンタルピーが、−26.9ΔsolH/KJmol-1で、豆腐の凝固剤として認可された食品添加物である。
硫酸カルシウム(CaSO(β))は、その純物質1molが水に溶解し、濃度が1molkg-1になった時点での標準溶解エンタルピーが、−31.30ΔsolH/KJmol-1で、豆腐の凝固剤として認可された食品添加物である。
また、硫酸カルシウムは、その純物質1molが0.5molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−2.9ΔhydH/KJmol-1で、豆腐の凝固剤として認可された食品添加物である。
さらに、硫酸カルシウムは、その純物質1molが2molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−21.0ΔhydH/KJmol-1で、豆腐の凝固剤として認可された食品添加物である。
硫酸第1鉄(FeSO)は、その純物質1molが水に溶解し、濃度が1molkg-1になった時点での標準溶解エンタルピーが、−69.90ΔsolH/KJmol-1で、発色剤として認可された食品添加物である。
硫酸第1鉄(FeSO)は、その純物質1molが1molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−30.8ΔhydH/KJmol-1で、発色剤として認可された食品添加物である。
また、硫酸第1鉄(FeSO)は、その純物質1molが4molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−55.6ΔhydH/KJmol-1で、発色剤として認可された食品添加物である。
また、硫酸第1鉄(FeSO)は、その純物質1molが6molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−69.9ΔhydH/KJmol-1で、発色剤として認可された食品添加物である。
また、硫酸第1鉄(FeSO)は、その純物質1molが7molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−79.9ΔhydH/KJmol-1で、発色剤として認可された食品添加物である。
塩化マグネシウム(MgCl)は、その純物質1molが水に溶解し、濃度が1molkg-1になった時点での標準溶解エンタルピーが、−159.8ΔsolH/KJmol-1で、豆腐の凝固剤として認可された食品添加物である。
また、塩化マグネシウム(MgCl)は、その純物質1molが6molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−138.53ΔhydH/KJmol-1で、豆腐の凝固剤として認可された食品添加物である。
亜硫酸ナトリウム(NaSO)は、その純物質1molが水に溶解し、濃度が1molkg-1になった時点での標準溶解エンタルピーが、−15.07ΔsolH/KJmol-1で、発色剤として認可された食品添加物である。
リン酸ナトリウム(NaPO)は、その純物質1molが水に溶解し、濃度が1molkg-1になった時点での標準溶解エンタルピーが、−80.50ΔsolH/KJmol-1で、ハム、ソーセージ等の結着剤として認可された食品添加物である。
炭酸ナトリウム(NaCO)は、その純物質1molが水に溶解し、濃度が1molkg-1になった時点での標準溶解エンタルピーが、−26.7ΔsolH/KJmol-1である。
また、炭酸ナトリウム(NaCO)は、その純物質1molが1molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−14.14ΔhydH/KJmol-1である。
また、炭酸ナトリウム(NaCO)は、その純物質1molが7molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−68.5ΔhydH/KJmol-1である。
また、炭酸ナトリウム(NaCO)は、その純物質1molが10molの水を取り込んで水和物を形成するときの水和エンタルピーが、−91.2ΔhydH/KJmol-1である。
本発明の粉体アルミニウム、粉体酸化カルシウム、および前記第3成分から成る発熱剤は、透水性の不織布、和紙、合成紙等の袋に充填し、さらにアルミ箔等非透水性の袋に包装して、粉体酸化カルシウムが空気中の水分を吸収して反応するのを防止する。本発明の発熱剤を使用する際には、適当な容器に不織布等の袋に充填されたままの発熱剤を入れて、発熱剤の質量に対して2倍量以下の水を添加すればよい。
さらに、本発明の発熱剤は、非常食、携帯食用加熱調理容器に予め組み込んで使用することもできる。本発明の発熱剤を組込むことができる加熱調理容器は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメタクリ酸メチル、ナイロン及びポロメチルペンテン等合成樹脂製、合成樹脂加工アルミニウム、合成樹脂加工紙、金属缶、ビン、金属と合成樹脂の組合せの各種容器である。
以下、実施例及び比較例を掲げて本発明を具体的に説明する。
[使用した粉体酸化カルシウム]
本発明で使用する酸化カルシウムの粒度は、小さければ小さい程、反応速度は向上するが、逆に凝集が発生したり、取り扱い難くなるので、本発明では、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを使用することとした。現在、酸化カルシウムは各種市販されているが、以下の実施例、比較例では、有恒鉱業株式会社製の粉末酸化カルシウムを使用した。
[使用した粉体アルミニウム]
実施例では、下記のタイプ−1とタイプ−2の粒度特性を有する粉体アルミニウムを1:2で混合して使用した
タイプ−1:アルミニウム含量、即ち、純度:99.7%以上、見掛密度:1.16、平均粒径:30〜60μm。粒度分布:粒径45μm pass:75.5〜78.8%、粒径45〜75μm:20.6〜23.8%、75μm以上:0.5〜0.7%。
タイプ−2:アルミニウム含量、即ち、純度:99.7%以上、見掛密度:1.036、平均粒径:35〜45μm。粒度分布:粒径45μm pass:66.3%、粒径45μm:24.2%、63μm:7.8%、75μm:1.4%、106μm:0.3%。
[使用した不織布]
目付量が60g/m、厚さ0.14mm、通気量20cc/cm.sec、ヒートシール強度6.0Kgのもの。
[使用した熱量計]
厚さ2mmのステンレススティール304で、試験した発熱剤の質量(5g、10g、20g)に対応させてそれぞれ下記の諸元の、上面開口の直方体の反応容器を作成した。同じく、厚さ2mmのステンレススティール304で、容器の上面開口を密閉する蓋体を製造した。蓋体には、注水パイプ挿入孔、温度感応センサー挿入孔(φ=1.5mm)及び蒸気逃がし孔(φ=1mm)を設けた。注水パイプには、上部に漏斗を取り付け、さらに、パイプの所定の位置に注水バルブを取り付けた。温度感応センサーは、発生蒸気の温度を5秒間隔で測定可能にセットし、測定用導線と接続させ、さらに温度自動表記装置(パソコン)に連結した。温度自動表記装置は、時間、室温、被検発熱剤(2体)のそれぞれの変化を、連続したグラフと、5秒間隔でディジタルの両方で表記できるようにした。
このように構成した熱量計を使用するときは、先ず、蓋体に注水パイプおよび温度感応センサーを取り付ける。この際、温度感知センサーの先端が、発熱剤の質量(5g、10g、20g)に対応させて容器の底面から所定の位置に来るようにセットする。次いで、容器の底面に、測定しようするとる発熱剤を置き、厚さ1.5mmのシリコーンパッキングを介して、容器の開口部を密閉し、容器に取り付けた締結具で締結する。
発熱剤の質量(5g、10g、20g)に対応させた反応容器の寸法、容積及び反応容器の底面からセンサーまでの距離は下記の通りである。
1.発熱剤5g〜10gの場合の熱量計用反応容器
寸法:60mm(タテ)×95mm(ヨコ)×80mm(高さ)
容積:456mL
反応容器の底面からセンサーまでの距離:35mm
2.発熱剤10g〜20gの場合の熱量計用反応容器
寸法:60mm(タテ)×95mm(ヨコ)×80mm(高さ)
容積:456mL
反応容器の底面からセンサーまでの距離:35mm
3.発熱剤20g以上の場合の熱量計用反応容器
寸法:100mm(タテ)×150mm(ヨコ)×110mm(高さ)
容積:1650mL
反応容器の底面からセンサーまでの距離:40mm
前記タイプ1の粒度分布を有する粉体アルミニウム1g及びタイプ2の粒度分布を有する粉体アルミニウム2gを均一に混合した。その混合粉体アルミニウムの全体の粒度分布を、島津製作所(株)製の自動粒度分布測定器「SALD-3100(SALD-3100-WJA1:V1:00)]で測定して、その粒子径(μm)に対する相対粒子量(%)を図1に−△−で示した。この1:2混合粉体アルミニウムのメディアン径は、43.046,モード径は、41.081、平均値は、43.302,標準偏差は、0.285,10.0%Dは、18.522,50.0%Dは、43.046,90.0%Dは、104.515であった。
[比較例1]
次いで、特許文献1に記載されている−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウムの粒度分布を、島津製作所(株)製の自動粒度分布測定器「SALD-3100(SALD-3100-WJA1:V1:00)]で測定して、その粒子径(μm)に対する相対粒子量(%)を図1に−○−で示した。この粉体アルミニウムのメディアン径は、57.674,モード径は、63.792、平均値は、58.929,標準偏差は、0.314、10.0%Dは、23.276,50.0%Dは、57.674、90.0%Dは、157.331であった。
[考察1]
実施例1と比較例1を一緒に示した図1を参照すれば、実施例1では30〜40μmに相対粒子量のピークがあること、比較例1では70μm近傍に相対粒子量のピークがあることが分かる。そこで、実施例1と比較例1の粒子径(μm)と積算差分値(%)計算した。得た結果を、大きい順に5番目まで記載すると、実施例1では、(1)45.859μmが14.425%、(2)57.146μmが13.721%、(3)36.801μmが11.627%、(4)71.211μmが10.634%、(5)29.532μmが10.208%であった。一方、比較例1では、(1)71.211μmが13.791%、(2)57.146μmが13.501%、(3)45.859μmが10.855%、(4)88.739μmが10.438%、(5)36.801μmが8.079%であった。これらの結果から、比較例1、即ち、特許文献1に記載されている粉体アルミニウムは、反応速度を大きくするのに寄与する小さな粒径(50μm以下)の粒子量が少なく、実施例1では、反応速度を大きくするのに寄与する小さな粒径(50μm以下)の粒子量が多いことが分かる。
実施例1および比較例1の結果から、本発明で使用する粒径45μmpass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、粒径45μmpassが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムを1:2で混合した1:2混合粉体アルミニウムの全体の粒度分布が、特許文献1に記載されている−330メッシュ(−45μm)が40〜60%,+330メッシュ(+45μm)が15〜30%,+235メッシュ(+63μm)が15%>、+200メッシュ(+75μm)が10%>の粒度分布を有する粉体アルミニウムの粒度分布と全く異なることが検証された。
タイプ−1の粉体アルミニウム2.317gとタイプ−2の粉体アルミニウム4.634gから成る混合粉体アルミニウム6.950g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量=1:2,発熱剤質量の69.5%)および酸化カルシウム3.05g(発熱剤質量の30.5%)から成る10gの発熱剤を、63mm(幅)×60mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、前記10g〜20g用熱量計の反応容器の底部に置き、蓋体で密閉し、注水パイプから反応水20mLを注水して、発熱反応を起こさせて水蒸気を発生させ、0〜600秒までの水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図2に実線で示した。なお、図2で20℃近傍の1点鎖線は室温である。
[比較例2]
タイプ−1の粉体アルミニウム7gおよび酸化カルシウム3gから成る10gの発熱剤を、63mm(幅)×60mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図2に点線で示した。なお、図2で20℃近傍の1点鎖線は室温である。
[考察2]
図2に示した結果から下記の事実が理解される。
1.タイプ−1の粉体アルミニウムとタイプ−2の粉体アルミニウムの質量比が1:2から成る混合粉体アルミニウムを使用した実施例2は、タイプ−1の粉体アルミニウムを単品で使用した比較例2に比べて、全体として発熱挙動が優れている。
2.実施例2では、タイプ−1の粉体アルミニウムを2.317gとタイプ−2の粉体アルミニウムを4.634g使用している。即ち、タイプ−1の粉体アルミニウムとタイプ−2の粉体アルミニウムとの質量比は1:2である。また、その発熱剤総質量に対する比は69.5%である。このことから、請求項1に記載した発明における1:2混合粉体アルミニウムの上限値である70%未満が臨界値であることが検証された。
3.一方、酸化カルシウムを3.05g、即ち発熱剤総質量の30.5%使用している。このことから、請求項1に記載した発明における酸化カルシウムの下限値である30%超が臨界値であることが検証された。
タイプ−1の粉体アルミニウム2.017gとタイプ−2の粉体アルミニウム4.033gから成る混合粉体アルミニウム6.05g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量比=1:2,発熱剤質量の60.5%)および酸化カルシウム3.95(発熱剤質量の39.5%)から成る10gの発熱剤を、63mm(幅)×60mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図3に実線で示した。なお、図3で20〜25℃の間の1点鎖線は室温である。
[比較例3]
タイプ−2の粉体アルミニウム7gおよび酸化カルシウム3gから成る10gの発熱剤を、63mm(幅)×60mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図3に点線で示した。なお、図3で20〜25℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察3]
図3に示した結果から下記の事実が理解される。
1.タイプ−1の粉体アルミニウムとタイプ−2の粉体アルミニウムの質量比が1:2から成る混合粉体アルミニウムを使用した実施例3は、タイプ−2の粉体アルミニウムを単品で使用した比較例3に比べて、全体として発熱挙動が優れている。
2.実施例3では、タイプ−1の粉体アルミニウムを2.017gとタイプ−2の粉体アルミニウムを4.033g使用している。即ち、タイプ−1の粉体アルミニウム対タイプ2の粉体アルミニウムの質量比が1:2である。また、その発熱剤総質量に対する比率は60.5%である。このことから、請求項1に記載した発明における1:2混合粉体アルミニウムの下限値である60%以上が臨界値であることが検証された。
3.一方、酸化カルシウムを3.95g、即ち発熱剤総質量の39.5%使用している。このことから、請求項1に記載した発明における酸化カルシウムの上限値である40%以下が臨界値であることが検証された。
タイプ−1の粉体アルミニウム1.008gとタイプ−2の粉体アルミニウム2.017gから成る混合粉体アルミニウム3.025g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量=1:2,発熱剤質量の60.5%)および酸化カルシウム1.975g(発熱剤質量39.5%)から成る5gの発熱剤を、63mm(幅)×50mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図4に実線で示した。なお、グラフで20〜25℃の間の1点鎖線は室温である。
[比較例4]
特許文献1に記載されているアルミニウム3.00gおよび酸化カルシウム2.00gから成る5gの発熱剤を、63mm(幅)×50mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図4に点線で示した。なお、図4で20〜25℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察4]
図4に示した結果から下記の事実が理解される。
1.タイプ−1の粉体アルミニウム1.008gとタイプ−2の粉体アルミニウム2.017gから成る混合粉体アルミニウム3.025gと、酸化カルシウム1.975gから成る実施例4の発熱剤の総質量は5gという小量でも、特許文献1に記載されている発熱剤5gを使用した比較例4に比べて、全体として発熱挙動が優れている。
2.実施例4では、タイプ−1の粉体アルミニウム1.008gとタイプ−2の粉体アルミニウム2.017gを使用している。即ち、タイプ−1の粉体アルミニウム対タイプ−2の粉体アルミニウムの質量比は1:2である。また、その質量は、発熱剤総質量の60.5%である。このことから、発熱剤の総質量が5gという小量でも請求項1に記載した発明における1:2混合粉体アルミニウムの下限値である60%以上が臨界値であることが検証された。
3.一方、酸化カルシウムを1.975g、即ち発熱剤総質量の39.5%使用している。このことから、発熱剤の総質量が5gという小量でも請求項1に記載した発明における酸化カルシウムの上限値である40%以下が臨界値であることが検証された。
タイプ−1の粉体アルミニウム1.158gとタイプ−2の粉体アルミニウム2.316gから成る混合粉体アルミニウム3.475g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量=1:2,発熱剤質量の69.5%)および酸化カルシウム1.525g(発熱剤質量の30.5%)から成る5gの発熱剤を、63mm(幅)×50mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図5に実線で示した。なお、図5で20〜25℃の間の1点鎖線は室温である。
[比較例5]
特許文献1に記載されているアルミニウム3.00gおよび酸化カルシウム2.00gから成る5gの発熱剤を、63mm(幅)×50mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図5に点線で示した。なお、図5で20〜25℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察5]
図5に示した結果から下記の事実が理解される。
1.タイプ−1の粉体アルミニウム1.158gとタイプ−2の粉体アルミニウム2.316gから成る1:2混合粉体アルミニウム3.475gと、酸化カルシウム1.525gから成る実施例5の発熱剤の総質量は5gという小量でも、特許文献1に記載されている発熱剤5gを使用した比較例5に比べて、全体として発熱挙動が優れている。
2.実施例5では、タイプ−1の粉体アルミニウム1.158gとタイプ−2の粉体アルミニウム2.316gを使用している。即ち、タイプ−1の粉体アルミニウム対タイプ−2の粉体アルミニウムの質量比は1:2である。また、その質量は、発熱剤総質量の69.5%である。このことから、発熱剤の総質量が5gという小量でも請求項1に記載した発明における1:2混合粉体アルミニウムの上限値である70%未満が臨界値であることが、検証された。
3.一方、酸化カルシウムを1.52g、即ち発熱剤総質量の30.5%使用している。このことから、発熱剤の総質量が5gという小量でも請求項1に記載した発明における酸化カルシウムの下限値である30%超が臨界値であることが検証された。
実施例4で使用したのと同じ発熱剤5gに、炭酸ナトリウム0.5g(発熱剤の総質量に対して10%)を添加し総重量5.5gとし、63mm(幅)×50mm(長)×5mm(厚)の不織布製袋に充填し、実施例2と同じ手法で発生した水蒸気の温度変化を自動温度測定装置で測定してグラフに記録した。この結果を図6に実線で示した。なお、図6で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム1gとタイプ−2の粉体アルミニウム2gから成る混合粉体アルミニウム3g及び酸化カルシウム2gから成る5gの発熱剤を使用したこと以外には実施例6を繰り返した。得た結果を図6に点線で示した。なお、図6で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察7]
図6に示した結果から、炭酸ナトリウムを0.5g(即ち、発熱剤の総質量に対して10%)添加した実施例6は、無添加の実施例7に比べて総体的に発熱挙動が格段に優れていることが検証された。
実施例5で使用したのと同じ発熱剤5gに、亜硫酸ナトリウム0.4g(発熱剤の総質量に対して8%)を添加し、総重量を5.4gとし、実施例6と同じ手順で実験した。得た結果を、図7に実線で示した。なお、図7で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム1gとタイプ−2の粉体アルミニウム2gから成る1:2混合粉体アルミニウム3g及び酸化カルシウム2gから成る5gの発熱剤を使用したこと以外には実施例6を繰り返した。得た結果を図7に点線で示した。なお、図7で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察8]
図7に示した結果から、発熱開始後立ち上がりから約180秒までは、亜硫酸ナトリウムを添加した実施例8の方が発熱挙動が格段に優れていて、さらに600秒に至るまで、実施例8の方が無添加の実施例9より高温を維持しながら温度降下し、600秒時点では、実施例8は約90℃、無添加の実施例9は87℃であった。
実施例5で使用したのと同じ発熱剤5gに、塩化マグネシウム0.3g(発熱剤の総質量に対して6%)を添加し、総重量を5.3gとし、実施例6と同じ手順で実験した。得た結果を、図8に実線で示した。なお、図8で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム1gとタイプ−2の粉体アルミニウム2gから成る1:2混合粉体アルミニウム3g及び酸化カルシウム2gから成る5gの発熱剤を使用したこと以外には実施例6を繰り返した。得た結果を図8に点線で示した。なお、図8で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察9]
図8に示した結果から、発熱開始後約120秒までは、塩化マグネシウムを添加した実施例10および無添加の実施例11の間に有意差は観察されないが、120秒〜600秒の間は実施例10の方が無添加の実施例11より高温を維持しながら温度降下し、600秒時点では、実施例10は約96℃、無添加の実施例11は約87℃であった。
実施例2で使用したのと同じ発熱剤10gに、炭酸カルシウム0.5g(発熱剤の総質量に対して5%)を添加し総重量を10.5gとし、水20mLを添加したこと及び発熱剤10g〜20g用の熱量計用反応容器を使用したこと以外には実施例6と同じ手順で実験した。得た結果を、図9に実線で示した。なお、図9で20〜25℃の間の1点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム2gとタイプ−2の粉体アルミニウム4gから成る1:2混合粉体アルミニウム6g及び酸化カルシウム4gから成る10gの発熱剤を使用したこと以外には実施例12を繰り返した。得た結果を図9に点線で示した。なお、図9で20〜25℃の間の一点鎖線は室温である。
[考察10]
図9に示した結果から、発熱開始後約210秒までは、炭酸カルシウムを添加した実施例12および無添加の実施例13は相互に上下し両者の間に有意差は観察されないが、1120秒〜600秒の間は実施例12の方が無添加の実施例13より高温を維持しながら温度降下し、600秒時点では、実施例12は約92℃、無添加の実施例13は約87℃であった。
実施例3で使用したのと同じ発熱剤10gに、硫酸第1鉄を0.6g(発熱剤の総質量に対して6%)を添加して総重量を10.6gとし、水20mLを添加したこと及び発熱剤10g〜20g用の熱量計用反応容器を使用したこと以外には実施例6と同じ手順で実験した。得た結果を、図10に実線で示した。なお、図10で20〜25℃の間の一点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム2gとタイプ−2の粉体アルミニウム4gから成る1:2混合粉体アルミニウム6g及び酸化カルシウム4gから成る10gの発熱剤を使用したこと以外には実施例14を繰り返した。得た結果を図10に点線で示した。なお、図10で25℃近傍の間の一点鎖線は室温である。
[考察11]
図10に示した結果から、発熱開始後約240秒までは、硫酸第1鉄を添加した実施例14および無添加の実施例15の間に有意差は観察されないが、240秒〜600秒の間は実施例14の方が無添加の実施例15より高温を維持しながら温度降下し、600秒時点では、実施例14は約94℃、無添加の実施例15は約88℃であった。
実施例3で使用したのと同じ発熱剤10gに、リン酸ナトリウム0.5g及び亜硫酸ナトリウム0.5gの混合物1g(発熱剤の総質量に対して10%)を添加して総重量を11gとし、水20mLを添加したこと及び発熱剤10g〜20g用の熱量計用反応容器を使用したこと以外には実施例6と同じ手順で実験した。得た結果を、図11に実線で示した。なお、図11で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム2gとタイプ−2の粉体アルミニウム4gから成る1:2混合粉体アルミニウム6g及び酸化カルシウム4gから成る10gの発熱剤を使用したこと以外には実施例16を繰り返した。得た結果を、図11に実線で示した。なお、図11で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察12]
図11に示した結果から、発熱開始後約270秒までは、リン酸ナトリムと亜硫酸ナトリウムを添加した実施例16および無添加の実施例17の間に有意差は観察されないが、270〜600秒の間は実施例16の方が無添加の実施例17より高温を維持しながら温度降下し、600秒時点では、実施例16は約93℃、無添加の実施例17は約88℃であった。
タイプ−1の粉体アルミニウム4.6340gとタイプ−2の粉体アルミニウム9.2680gから成る混合粉体アルミニウム13.9020g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量=1:2,発熱剤質量の69.5%)および酸化カルシウム6.10g(発熱剤質量の30.5%)から成る20gの発熱剤に、硫酸カルシウム0.8g及び塩化マグネシウム0.8gから成る混合物1.6g(発熱剤の総質量に対して8%)を添加して総重量を21.6gとし、水40mLを添加したこと及び発熱剤20g以上用の熱量計用反応容器を使用したこと以外には実施例6と同じ手順で実験した。得た結果を、図12に実線で示した。なお、図12で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム4gとタイプ−2の粉体アルミニウム8gから成る1:2混合粉体アルミニウム12g及び酸化カルシウム8gから成る20gの発熱剤を使用したこと以外には実施例18を繰り返した。得た結果を、図12に点線で示した。なお、図12で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察13]
図12に示した結果から、発熱開始後約180秒までは、硫酸カルシウムおよび塩化マグネシウムを添加した実施例18および無添加の実施例19の間に有意差は観察されないが、180〜600秒の間は実施例18の方が無添加の実施例19より高温を維持しながら温度降下し、600秒時点では、実施例18は約90℃、無添加の実施例19は約86℃であった。
タイプ−1の粉体アルミニウム4.0340gとタイプ−2の粉体アルミニウム8.0660gから成る混合粉体アルミニウム12.10g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量比=1:2,発熱剤質量の60.5%)および酸化カルシウム7.90(発熱剤質量の39.5%)から成る20gの発熱剤に、亜硫酸ナトリウム0.5g及び炭酸ナトリウム0.5gから成る混合物1.0g(発熱剤の総質量に対して5%)を添加して総重量を21.0gとし、水40mLを添加したこと及び発熱剤20g以上用の熱量計用反応容器を使用したこと以外には実施例6と同じ手順で実験した。得た結果を、図13に実線で示した。なお、図13で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
タイプ−1の粉体アルミニウム4gとタイプ−2の粉体アルミニウム8gから成る1:2混合粉体アルミニウム12g及び酸化カルシウム8gから成る20gの発熱剤を使用したこと以外には実施例20を繰り返した。得た結果を、図13に点線で示した。なお、図13で25〜30℃の間の1点鎖線は室温である。
[考察14]
図13に示した結果から、発熱開始後約210秒までは、亜硫酸ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを添加した実施例20および無添加の実施例21の間に有意差は観察されないが、210〜600秒の間は実施例20の方が無添加の実施例21より高温を維持しながら温度降下し、600秒時点では、実施例20は約90℃、無添加の実施例21は約87℃であった。
[比較例6〜21]
以下の比較例6〜21においては、請求項1に記載した発熱剤の総質量に対して、請求項2に記載した無機塩を5〜10%の範囲外で添加して、その発熱効果を確認し、請求項2に記載した無機塩の、請求項1に記載した発熱剤の総質量に対する添加量5〜10%が臨界値であることを検証する。
[比較例6]
タイプ−1の粉体アルミニウム2.017gとタイプ−2の粉体アルミニウム4.033gから成る混合粉体アルミニウム6.05g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量比=1:2,発熱剤質量の60.5%)および酸化カルシウム3.95g(発熱剤質量の39.5%)から成る10gの発熱剤に、硫酸第1鉄を0.3g(発熱剤の総質量に対して3%)を添加したものと、対照として無添加のものに対して水20mLを使用して前述した実施例3以下の実施例と同じ手順で発熱実験を行って得た結果を図14に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図14を観察すると、発熱剤の質量に対し硫酸第1鉄を0.3g(発熱剤の総質量に対して3%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差が見られないことが明らかである。
[比較例7]
比較例6において、硫酸第1鉄を炭酸カルシウム0.4g(発熱剤の総質量に対して4%)に代えた以外には、比較例6と同じ手順を繰り返して得た結果を図15に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図15を観察すると、発熱剤の質量に対し炭酸カルシウムを0.4g(発熱剤の総質量に対して4%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差は見られない。
[比較例8]
比較例6において、硫酸第1鉄を塩化マグネシウム0.4g(発熱剤の総質量に対して4%)に代えた以外には、比較例6と同じ手順を繰り返して得た結果を図16に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図16を観察すると、発熱剤の質量に対し塩化マグネシウムを0.4g(発熱剤の総質量に対して4%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差が見られないことが明らかである。
[比較例9]
比較例6において、硫酸第1鉄を硫酸カルシウム0.2gおよび塩化マグネシウム0.2gの計0.4g(発熱剤の総質量に対して4%)に代えた以外には、比較例6と同じ手順を繰り返して得た結果を図17に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図17を観察すると、発熱剤の質量に対し硫酸カルシウム0.2gおよび塩化マグネシウム0.2gの計0.4g(発熱剤の総質量に対して4%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差が見られないことが明らかである。
[比較例10]
比較例6において、硫酸第1鉄を炭酸ナトリウム1.1g(発熱剤の総質量に対して11%)に代えた以外には、比較例6と同じ手順を繰り返して得た結果を図18に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図18を観察すると、発熱剤の質量に対し炭酸ナトリウム1.1g(発熱剤の総質量に対して11%)を添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
[比較例11]
比較例6において、硫酸第1鉄を亜硫酸ナトリウム0.6gおよび炭酸ナトリウム0.6gの計1.2g(発熱剤の総質量に対して12%)に代えた以外には、比較例6と同じ手順を繰り返して得た結果を図19に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図19を観察すると、発熱剤の総質量に対し、亜硫酸ナトリウム0.6gおよび炭酸ナトリウム0.6g(発熱剤の総質量に対して12%)を添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
[比較例12]
比較例6において、硫酸第1鉄をリン酸ナトリウム0.6gおよび亜硫酸ナトリウム0.6g計1.2g(発熱剤の総質量に対して12%)に代えた以外には、比較例6と同じ手順を繰り返して得た結果を図20に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図20を観察すると、発熱剤の質量に対しリン酸ナトリウム0.6gおよび亜硫酸ナトリウム0.6gの計1.2g(発熱剤の総質量に対して12%)を添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
[比較例13]
比較例6において、硫酸第1鉄を亜硫酸ナトリウム1.2g(発熱剤の総質量に対して12%)に代えた以外には、比較例6と同じ手順を繰り返して得た結果を図21に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図21を観察すると、発熱剤の質量に対し亜硫酸ナトリウム1.2g(発熱剤の総質量に対して12%)を添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
[比較例14]
タイプ−1の粉体アルミニウム1.158gとタイプ−2の粉体アルミニウム2.316gから成る混合粉体アルミニウム13.9g(タイプ1の粉体アルミニウムの質量:タイプ2の粉体アルミニウムの質量=1:2,発熱剤質量の69.5%)および酸化カルシウム6.1g(発熱剤質量30.5%)から成る発熱剤20gに対して、硫酸第1鉄を0.6g(発熱剤の総質量に対して3%)を添加したものと、対照として無添加のものに対して水40mLを使用して前述した実施例3以下の実施例と同じ手順で発熱実験を行って得た結果を図22に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図22を観察すると、発熱剤の質量に対し硫酸第1鉄を0.6g(発熱剤の総質量に対して3%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差が見られないことが明らかである。
[比較例15]
比較例14において、硫酸第1鉄を塩化マグネシウム0.8g(発熱剤の総質量に対して4%)代えた以外には、比較例14と同じ手順を繰り返して得た結果を図23に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図23を観察すると、発熱剤の質量に対し塩化マグネシウム0.8g(発熱剤の総質量に対して4%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差が見られないことが明らかである。
[比較例16]
比較例14において、硫酸第1鉄を炭酸カルシウ0.8g(発熱剤の総質量に対して4%)代えた以外には、比較例14と同じ手順を繰り返して得た結果を図24に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図24を観察すると、発熱剤の質量に対し塩化マグネシウム0.8g(発熱剤の総質量に対して4%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差が見られないことが明らかである。
[比較例17]
比較例14において、硫酸第1鉄を硫酸カルシウム0.4gおよび塩化マグネシウム0.4gの計0.8g(発熱剤の総質量に対して4%)代えた以外には、比較例14と同じ手順を繰り返して得た結果を図25に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図25を観察すると、発熱剤の総質量に対し、硫酸カルシウム0.4gおよび塩化マグネシウム0.4gの計0.8g(発熱剤の総質量に対して4%)を添加したものと、無添加の間に発熱効果に有意差が見られないことが明らかである。
[比較例18]
比較例14において、硫酸第1鉄を炭酸ナトリウム2.2g(発熱剤の総質量に対して11%)代えた以外には、比較例14と同じ手順を繰り返して得た結果を図26に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図26を観察すると、発熱剤の総質量に対し、炭酸ナトリウムを2.2g(発熱剤の総質量に対して11%)添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
[比較例19]
比較例14において、硫酸第1鉄を亜硫酸ナトリウム2.4g(発熱剤の総質量に対して12%)代えた以外には、比較例14と同じ手順を繰り返して得た結果を図27に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図27を観察すると、発熱剤の総質量に対し、亜硫酸ナトリウム2.4g(発熱剤の総質量に対して12%)添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
[比較例20]
比較例14において、硫酸第1鉄を亜硫酸ナトリウム1.2gおよび炭酸ナトリウム1.2gの計2.4g(発熱剤の総質量に対して12%)に代えた以外には、比較例14と同じ手順を繰り返して得た結果を図28に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図28を観察すると、発熱剤の総質量に対し、亜硫酸ナトリウム1.2gおよび炭酸ナトリウム1.2gの計2.4g(発熱剤の総質量に対して12%)添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
[比較例21]
比較例14において、硫酸第1鉄をリン酸ナトリウム1.2gおよび亜硫酸ナトリウム1.2gの計2.4g(発熱剤の総質量に対して12%)に代えた以外には、比較例14と同じ手順を繰り返して得た結果を図29に実線(添加)および点線(無添加)で示した。図29を観察すると、発熱剤の総質量に対し、リン酸ナトリウム1.2gおよび亜硫酸ナトリウム1.2gの計2.4g(発熱剤の総質量に対して12%)添加すると、無添加のものに比べて全体的に発熱温度が低下することが明らかである。
本発明の発熱剤は、酸化カルシウムと、特許文献1に記載された粒度分布とは異なる粒度分布を有する2種類の粉体アルミニウムを1:2で混合した1:2混合粉体アルミニウムを使用し、また、必要によっては、さらに、硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム及びそれらの混合物から成る群から選択された1種を添加するので、下記に例示する産業上の利用可能性がある。
(1)5gという少量でも90℃以上の最高温度を示し、且つ発熱開始から600秒間平均で80℃以上を維持することができ、特許文献1に記載されている発熱剤に比して、発熱効率がよく、たとえば、缶コーヒー、日本酒、ほ乳瓶等少容量の液体食品を、経済的に加熱することができ、新たな用途を拡大することができる。
(2)単位当たりの発熱量が大きいので、発熱剤の質量、嵩を小さくすることができる。従って、駅弁、携帯食品、アウトドアー用品等に組み込んでも、全体の質量、嵩を小さくすることができ、使用者の負担を軽減することができる。従って、使用者の年齢、性別、強健度に合わせた商品構成にすることができる。たとえば、健常者、病者、小学生〜成人男子、女子別に多様な商品を開発することができ、新たな用途を拡大することができる。
本発明で使用する1:2混合粉体アルミニウム(実施例1)と、特許文献1に記載されている粉体アルミニウム(比較例1)の粒度分布を示すグラフである。 実施例2および比較例2を示すグラフ。 実施例3および比較例3を示すグラフ。 実施例4および比較例4を示すグラフ。 実施例5および比較例5を示すグラフ。 実施例6および実施例7を示すグラフ。 実施例8および実施例9を示すグラフ。 実施例10および実施例11を示すグラフ。 実施例12および実施例13を示すグラフ。 実施例14および実施例15を示すグラフ。 実施例16および実施例17を示すグラフ。 実施例18および実施例19を示すグラフ。 実施例20および実施例21を示すグラフ。 比較例6を示すグラフ。 比較例7を示すグラフ。 比較例8を示すグラフ。 比較例9を示すグラフ。 比較例10を示すグラフ。 比較例11を示すグラフ。 比較例12を示すグラフ。 比較例13を示すグラフ。 比較例14を示すグラフ。 比較例15を示すグラフ。 比較例16を示すグラフ。 比較例17を示すグラフ。 比較例18を示すグラフ。 比較例19を示すグラフ。 比較例20を示すグラフ。 比較例21を示すグラフ。

Claims (2)

  1. (1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,及び
    (2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満含む発熱剤。
  2. (1)発熱剤の質量当たり、平均粒径が75μm〜150μmの粉体酸化カルシウムを30%超〜40%以下,及び
    (2)(イ)粒径45μm pass が70.0〜80.0%、粒径45〜75μmが20.0〜30.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムと、(ロ)粒径45μm passが60〜70%,粒径45μmが20〜30%,粒径63μmが7〜10%、粒径75μmが1.0〜2.0%の粒度分布を有する粉体アルミニウムとの質量混合比が1:2の混合粉体アルミニウムを60%以上〜70%未満含む発熱剤に、
    (3)硫酸カルシウム、硫酸第1鉄、塩化マグネシウム、亜硫酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウムから成る群から選択された少なくとも1種類の無機塩化合物を、前記発熱剤の総質量に対して、5〜10%更に添加した発熱剤。
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