JP4006594B2 - トレイ送り制御装置、記録装置、液体噴射装置 - Google Patents

トレイ送り制御装置、記録装置、液体噴射装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、DVD(digital versatile disc)等に代表される光ディスク等のラベル面に記録(印刷)可能な記録装置において、前記光ディスク等をセットするトレイ(被駆動物体)の記録装置における位置を制御するトレイ送り制御装置及びこれを備えた記録装置に関する。また、本発明は、被駆動物体送り制御装置に関し、更に、液体噴射装置に関する。
【0002】
ここで、液体噴射装置とは、インクジェット式記録ヘッドが用いられ、該記録ヘッドからインクを吐出して被記録媒体に記録を行うプリンタ、複写機およびファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えてその用途に対応する液体を前記インクジェット式記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから被記録材に相当する被噴射媒体に噴射して、前記液体と前記被噴射媒体に付着させる装置を含む意味で用いる。
【0003】
液体噴射ヘッドとして、前記記録ヘッドの他に、液晶ディスプレー等のカラーフィルター製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレーや面発光ディスプレー(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0004】
【従来の技術】
インクジェットプリンタに代表される記録装置には、DVD等に代表される光ディスク等のラベル面に直接インク滴を吐出することによって記録可能なものがあり、この様な記録装置においては、一般的に、被記録媒体としての光ディスク等はプレート形状を成すトレイにセットされ、該トレイにセットされた状態で記録装置内を搬送され、そして記録が実行される。
また、上記トレイは被記録媒体を搬送する搬送ローラにニップされ、該搬送ローラがDCモータ等のモータの動力を受けて回転駆動することにより、記録装置内を移動する様に構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−96514号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、前記トレイを記録装置から独立したものとし、光ディスク等への記録実行時には当該光ディスク等をセットしたトレイを記録装置に給送(挿入)し、そして記録を実行する様に構成することができるが(特許文献1参照)、前記トレイを記録装置と一体に構成し、光ディスク等への記録実行時には操作ボタンを押下することにより、記録装置内部に格納された前記トレイが記録装置外へと突出する、即ち光ディスク等をセット可能なセット位置に送られる様に構成することも可能である。
【0007】
この様な構成の場合、前記トレイが前記セット位置にある状態では、ユーザは光ディスク等をセットするか、或いは光ディスク等をセットしないでそのまま放置することが考えられる。そして、その後は、再び操作ボタンを押下して、前記トレイを記録装置内部に戻すことが考えられる。しかし、ユーザによっては、前記トレイを記録装置内部に戻す為に、前記トレイに直接外力を与える動作が選択される場合もある。
【0008】
このとき、前記トレイは搬送ローラにニップされた状態にある為、前記トレイと搬送ローラとの摩擦力を介して搬送ローラが回転しようとする。しかし、実際には、搬送ローラとこれを駆動する搬送用モータとの間には動力伝達機構が介在し、一定の負荷が掛かった状態にある為、搬送ローラの回転停止が維持されたまま前記トレイと搬送ローラとの間でスリップが発生する。そしてこのとき、搬送ローラの表面状態を悪化させ、以降の被記録媒体の正常な搬送動作を行えなくなるといった不具合を招くことになる。特に、搬送ローラが金属軸体の表面を塗装膜で覆って成されたものである場合には、前記塗装膜が剥がれてしまう虞がある。
【0009】
そこで本発明はこの様な問題に鑑みなされたものであり、その課題は、トレイ(被駆動物体)に外力が付与された場合でも、トレイと搬送ローラ(駆動手段)との間でスリップを生じさせず、これによって搬送ローラの状態を常に適切に維持することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、第1の電流値に基づいて前記搬送用モータを制御することにより前記搬送駆動ローラに与えられる第1の回転トルクと、静止状態にある前記トレイに外力を付与することにより、前記トレイと前記搬送駆動ローラとの間の摩擦力を介して前記搬送駆動ローラに与えられる第2の回転トルクと、前記トレイの静止状態において前記搬送駆動ローラを回転させる為に必要な負荷トルクと、の関係において、前記第1の回転トルクが前記負荷トルクよりも小なる様に、且つ、前記第2の回転トルクが、前記第1の回転トルクが作用する回転方向と同じ回転方向に作用した際に、前記第1の回転トルクと前記第2の回転トルクとの合力が前記負荷トルクを上回って前記搬送駆動ローラが回転する様に前記第1の電流値を決定し、前記トレイが静止状態にあるときに、前記第1の電流値を前記搬送用モータに付加するアシスト制御手段を備えていることを特徴とする。
【0011】
上記第1の態様によれば、トレイ送り制御装置は、トレイの静止状態において、第1の電流値を搬送用モータに付加するアシスト制御手段を備えている。ここで、第1の電流値は、トレイ静止状態(搬送駆動ローラの回転停止状態)から搬送駆動ローラを回転させる為に必要な負荷トルクよりも小さいトルク(第1の回転トルク)を発生させる様な値に設定されるので、これにより、トレイ静止状態は維持される。次に、トレイに外力を付与することにより、トレイと搬送駆動ローラとの間の摩擦力を介して搬送駆動ローラに与えられる回転トルクを第2の回転トルクとすると、当該第2の回転トルクによる回転方向と第1の回転トルクによる回転方向とが同じ方向であれば、搬送駆動ローラを回転させる為のトルクが増加する。そして、この第1の回転トルクと第2の回転トルクとの合力が、前記負荷トルクを上回って搬送駆動ローラが回転する様に、第1の電流値が設定されるので、従ってトレイに外力を付与した場合でも、トレイと搬送駆動ローラとの間でスリップが発生しないで搬送駆動ローラが回転し、これによって搬送駆動ローラの表面状態を悪化させるといった不具合の発生を防止することができる。つまり、第1の電流値によって搬送駆動ローラに与えられる第1の回転トルクが、トレイに外力が付与されることによって搬送駆動ローラに与えられる第2の回転トルクをアシストすることになる。
【0012】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、所定の送り速度によって前記トレイを送る際に前記搬送用モータに付加する第2の電流値を計測するメジャーメント手段を有し、前記アシスト制御手段が、該メジャーメント手段によって得られた前記第2の電流値から所定値を減算した値、または、前記第2の電流値を所定値で除算した値を前記第1の電流値とすることを特徴とする。
【0013】
稼働中における搬送用モータの負荷状態は、該搬送用モータを所定の回転速度で回転させ、その時のPID制御における積分手段の出力値を検出する所謂メジャーメント手段によって認識することができ、そしてこのときの電流値は、前記積分手段の出力値から計算によって取得することができる。そこで上記第2の態様は、所定の送り速度によってトレイを送る際に搬送用モータに負荷する際の第2の電流値を前記メジャーメント手段によって得た上で、当該第2の電流値をもとに、前記第1の電流値を決定するので、前記第1の電流値を装置の負荷状態に応じた適切なものとすることができる。
【0014】
本発明の第3の態様は、上記第1のまたは第2の態様において、前記アシスト制御手段は、前記トレイを前記記録装置外部へ突出する方向に送り、被記録媒体を前記トレイにセット可能なセット位置に到達させた後、前記第1の回転トルクが、前記トレイを前記記録装置内部へ戻す回転方向に作用する様に前記第1の電流値を付加することを特徴とする。
上記第3の態様によれば、トレイがセット位置にあるときに、前記第1の回転トルクがトレイを記録装置内部へ戻す回転方向に作用する様に前記第1の電流値を付加するので、トレイがセット位置にあるときに、該トレイがユーザによって押し戻されようとすると、前記第1の回転トルクがアシスト力となり、トレイが搬送駆動ローラでスリップせず、以て搬送駆動ローラの表面状態の悪化を防止することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様において、前記搬送用モータの回転量を検出する回転検出手段の出力に基づいて前記トレイの位置を検出するトレイ位置検出手段を備え、前記トレイが前記セット位置から所定量変位した状態を前記トレイ位置検出手段が検出すると、前記トレイを前記記録装置内部へ戻す様に前記搬送用モータを駆動制御することを特徴とする。
上記第4の態様によれば、トレイの位置を検出するトレイ位置検出手段がトレイの所定量の変位を検出すると、トレイを記録装置内部へ戻すので、これにより、ユーザがトレイに外力を付与して一定量変位させると当該トレイが自動的に記録装置内へ戻されることとなり、ユーザフレンドリとなる。
【0016】
本発明の第5の態様は、上記第3の又は第4の態様において、前記トレイが前記セット位置に到達してからの経過時間をカウントするタイマを備え、該タイマによるカウント値が所定値に達すると、前記トレイを前記記録装置内部へ戻す様に前記搬送用モータを駆動制御することを特徴とする。
上記第5の態様によれば、タイマによるカウント値が所定値に達すると、トレイを記録装置内部へ戻すので、トレイが記録装置外部に突出したままの状態となることがなく、安全上より好ましい状態とすることができる。
【0017】
本発明の第6の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、静止状態にある前記トレイに外力を付与した際には、前記トレイと前記搬送駆動ローラとの間の摩擦力を介して前記搬送駆動ローラに与えられる回転トルクをアシストして前記搬送駆動ローラが回転する様に、且つ、前記外力が作用しない状態では前記トレイを静止状態に維持する様に、前記搬送用モータに第1の電流値を付加するアシスト制御手段を備えていることを特徴とする。
上記第6の態様によれば、上述した第1の態様と同様に、第1の電流値によって搬送駆動ローラに与えられる回転トルクが、トレイに外力が付与されることによって搬送駆動ローラに与えられる回転トルクをアシストすることになり、トレイが搬送駆動ローラでスリップすることがなく、搬送駆動ローラの表面状態の悪化を防止することができる。
【0018】
本発明の第7の態様は、被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラにニップされ前記搬送ローラによって搬送可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの位置を制御するトレイ送り制御装置と、を備えた記録装置であって、前記トレイ送り制御装置が、上記第1から第6の態様のいずれかに記載された前記トレイ送り制御装置であることを特徴とする。
上記第7の態様によれば、トレイにセットされた被記録媒体に記録実行可能な記録装置は、上述した第1から第6の態様のいずれかに記載された前記トレイ送り制御装置を備えているので、上述した第1から第5の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることができる。
【0019】
本発明の第8の態様は、モータの駆動力を受けて所定方向に送られる被駆動物体と、該被駆動物体との間の摩擦力を介して前記被駆動物体に送り力を付与する、前記モータによって駆動される駆動手段と、を備えた駆動装置において、前記モータを駆動制御することにより、前記被駆動物体の送り制御を行う被駆動物体送り制御装置であって、静止状態にある前記被駆動物体に外力を付与した際には、前記被駆動物体と前記駆動手段との間の摩擦力を介して前記駆動手段に与えられる負荷をアシストする様に、且つ、前記外力が作用しない状態では前記被駆動物体を静止状態に維持する様に、前記モータに第1の電流値を付加するアシスト制御手段を備えていることを特徴とする。
【0020】
上記第8の態様によれば、被駆動物体と、該被駆動物体との間の摩擦力によって前記被駆動物体の位置を変化させる駆動手段とを備えた駆動装置において、前記被駆動物体に外力を付与しても、アシスト制御手段によって前記駆動手段が前記被駆動物体に予めアシスト力が付与されているので、前記被駆動物体と前記駆動手段との間でスリップが生じることがなく、適切な状態を維持することができる。
【0021】
本発明の第9の態様は、被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドと、被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記液体噴射ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、前記搬送用モータの回転量を検出する回転検出手段と、被噴射媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラにニップされ前記搬送ローラによって搬送可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置と、を備えた液体噴射装置であって、前記トレイ送り制御装置が、第1の電流値に基づいて前記搬送用モータを制御することにより前記搬送駆動ローラに与えられる第1の回転トルクと、静止状態にある前記トレイに外力を付与することにより、前記トレイと前記搬送駆動ローラとの間の摩擦力を介して前記搬送駆動ローラに与えられる第2の回転トルクと、前記トレイの静止状態において前記搬送駆動ローラを回転させる為に必要な負荷トルクと、の関係において、前記第1の回転トルクが前記負荷トルクよりも小なる様に、且つ、前記第2の回転トルクが、前記第1の回転トルクが作用する回転方向と同じ回転方向に作用した際に、前記第1の回転トルクと前記第2の回転トルクとの合力が前記負荷トルクを上回って前記搬送駆動ローラが回転する様に前記第1の電流値を決定し、前記トレイが静止状態にあるときに、前記第1の電流値を前記搬送用モータに付加するアシスト制御手段を備えていることを特徴とする。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
先ず、図1乃至図4を参照しながら本発明に係る「記録装置」、「液体噴射装置」の一例としてのインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)1の概略構成について説明する。ここで、図1はプリンタ1の外観斜視図であり、図2は外部ハウジングを取り外した状態の同外観斜視図、図3はプリンタ1の側断面概略図である。また、図4はプリンタ1の各種制御を行う制御部50のブロック図である。
【0023】
図1に示す様に、プリンタ1はボックス形の形状を成し、大凡、ビデオテープレコーダー程の大きさに形成されていて、テレビラック等へ収納された状態で使用されることを想定して構成されている。外観は図示する様にボックス形のハウジング3の前面にフロントカバー8が設けられて大略構成され、フロントカバー8は、手前側に向けて開いた状態(使用状態:図示せず)と図示する様に閉じた状態(非使用状態)とを回動自在に設けられ、開いた状態では、記録が行われた記録用紙の排出や、ディスクトレイ33(図2参照)の出し入れ動作が可能となる。フロントカバー8の下部には給紙トレイ30が着脱自在に設けられ、手前側に引き出して取り外すことにより、記録用紙をセットすることができる。フロントカバー8の上方にはインクカートリッジユニット15が設けられ、該インクカートリッジユニット15には、複数のインクカートリッジ16(図3参照)がプリンタ1の幅方向に並んで着脱自在に設けられている。
【0024】
続いて、図2及び図3を参照しながらプリンタ1の内部構成について概説する。図2において、プリンタ1の装置本体は、下部シャーシ4と、装置本体の幅方向(主走査方向)に延びるメインフレーム5と、該メインフレーム5の両側に立設される、装置本体の奥行き方向(副走査方向)に平行なサイドフレーム右6及びサイドフレーム左7とによって、その基体が構成されている。サイドフレーム右6とサイドフレーム左7との間には主走査方向に延びる主キャリッジガイド軸11と副キャリッジガイド軸12とが副走査方向に所定の間隔を置いて軸支されている。
【0025】
主キャリッジガイド軸11及び副キャリッジガイド軸12はキャリッジ13を主走査方向にガイドする為のガイド軸であり、主キャリッジガイド軸11はキャリッジ13の後部を挿通し、副キャリッジガイド軸12はキャリッジ13の前部を下から支持して、これによって記録ヘッド14(図3)と記録用紙Pとの間の距離(プラテンギャップ:以下「PG」と言う)が規定される。
【0026】
続いて、図3を参照しながら記録用紙P及びディスクトレイ33の搬送経路を説明する。プリンタ1は、上述した様に装置底部に給紙トレイ30を着脱自在に備えている。給紙トレイ30には複数枚の記録用紙Pが堆積状態にセット可能となっていて、その底部には、ホッパ31が設けられている。ホッパ31は揺動軸31aを中心に揺動可能に設けられ、セットされた記録用紙Pを下方から押し上げることにより、上部に設けられた給送ローラ28に記録用紙Pの束を圧接させる。
【0027】
給送ローラ28は側面視略D形の形状を成し、外周は高摩擦部材(例えば、ゴム材)によって形成されている。記録用紙Pの給送時には給送ローラ28の円弧部分に圧接した最上位の記録用紙Pが、給送ローラ28の回転によって、下流側(図3の右側)へ給送される。また、給送ローラ28の下部には、給送ローラ28の円弧部分と圧接する摩擦分離手段(図示せず)が設けられていて、当該摩擦分離手段と給送ローラ28との間で記録用紙Pを挟圧することにより、給送されるべき最上位の記録用紙Pと、重送されようとする次位以降の記録用紙Pとを分離する様になっている。
【0028】
給送ローラ28の下流側には搬送用(PF)モータ64(図4参照)によって回転駆動される搬送駆動ローラ21と、該ローラに接して従動回転する搬送従動ローラ22とが設けられ、これらローラによって記録用紙Pをニップし且つ搬送駆動ローラ21が回転駆動されることにより、記録用紙Pが記録ヘッド14の下へ搬送される。搬送駆動ローラ21の下流側には記録ヘッド14とプラテン20とが上下に対向する様に設けられ、搬送された記録用紙Pは、プラテン20によって下から支持された状態において、記録ヘッド14から「液体」としてのインク滴が吐出(噴射)されることにより、記録が行われる。記録ヘッド14はキャリッジ13の底部に設けられているが、主走査方向に往復動する当該キャリッジ13にはインクカートリッジが搭載されておらず、キャリッジ13の主走査領域の上側に、上述した様に複数のインクカートリッジ16が、主走査方向に並んで着脱自在に配設されている。そして、図示を省略するインクチューブを介してキャリッジ13へとインクが供給される様になっている。
【0029】
記録ヘッド14の下流側にはPFモータ64によって回転駆動される排出駆動ローラ23と該ローラに接して従動回転する排出従動ローラ24とが設けられ、これらローラによって記録用紙Pをニップし且つ排出駆動ローラ23が回転駆動されることにより、記録用紙Pがプリンタ1外部へ排出される。
【0030】
一方、DVD(Digital Versatile Disk)等に代表される光ディスクDをセット可能なディスクトレイ(以下「トレイ」と言う)33は、給紙トレイ30の上方に配置されている。トレイ33の側端にはラック33a(図2参照)が形成され、該ラック33aと噛合する図示しないピニオン歯車の回動により、ほぼ水平に真っ直ぐに移動できる様に構成されている。そして、トレイ33は、前記ピニオン歯車の回動によってトレイ先端が搬送駆動ローラ21と搬送従動ローラ22とにニップされるまで搬送された後、以降は搬送駆動ローラ21の回転による駆動力を受けて、下流方向或いは上流方向に送られる。また、光ディスクDのセット時或いは取り出し時には、搬送駆動ローラ21の回転による駆動力を受けて図2の仮想線で示す位置まで送られる(以下これをセット位置と言う)。
【0031】
続いて、図4を参照しながら制御部50、即ち本発明に係る「トレイ送り制御装置」或いは「被駆動媒体送り制御装置」としての制御部50の構成について説明する。制御部50は、プリンタ1に印刷情報を送信するホスト・コンピュータ150との間でデータの送受信が可能に構成され、ホスト・コンピュータ150とのインタフェース(IF)51と、ASIC52、RAM53、PROM54、EEPROM55、CPU56、タイマIC57、DCユニット58、搬送用モータ(PFモータ)ドライバ61、キャリッジモータ(CRモータ)ドライバ60、ヘッドドライバ59を備えている。
【0032】
CPU56はプリンタ1の制御プログラムを実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行い、タイマIC57は、CPU56に対して各種処理に必要な周期的な割り込み信号を発生させる。ASIC52は、ホスト・コンピュータ150からIF51を介して送信される印刷データに基づいて印刷解像度や記録ヘッド14の駆動波形等を制御するものである。RAM53は、ASIC52およびCPU56の作業領域や他のデータの1次格納領域として用いられ、PROM54およびEEPROM55には、プリンタ1を制御する為に必要な制御プログラム(ファームウェア)および処理に必要なデータが格納されている。
【0033】
DCUユニット58は、DCモータ(CRモータ63及びPFモータ64)の速度制御を行う為の制御回路であり、図示を省略するPID制御部、加速制御部、PWM制御回路等を有している。DCユニット58は、CPU56から送られてくる制御命令や、ロータリエンコーダ68及びリニアエンコーダ69並びに記録用紙Pの通過を検出する紙検出器19からの出力信号に基づいてDCモータの速度制御を行う為の各種演算を行い、CRモータドライバ60及びPFモータドライバ61へ信号を送出する。
【0034】
PFモータドライバ61は、DCユニット58の制御の下、PFモータ64を駆動制御する。PFモータ64は、本実施形態においては複数の駆動対象、即ち、前述した給送ローラ28、搬送駆動ローラ21、排紙駆動ローラ23を回動させ、更に、トレイ33の側端に形成されたラック33a(図2参照)と噛合するピニオン歯車(図示せず)を回転駆動して、トレイ33の送りを行う。
CRモータドライバ60は、DCユニット58の制御の下、CRモータ63を駆動制御することによりキャリッジ13を主走査方向に往復動させ、または停止・保持させる。ヘッドドライバ59は、CPU56の制御の下、ホスト・コンピュータ150から送信された印刷データに従って記録ヘッド14を駆動制御する。
【0035】
CPU56およびDCユニット58には、搬送される用紙Pの始端および終端を検出する紙検出器19からの検出信号と、PFモータ64の回転量、回転方向、回転速度を検出する為の「回転検出手段」としてのロータリエンコーダ68からの出力信号と、キャリッジ13の主走査方向における絶対位置を検出するリニアエンコーダ69からの出力信号とが与えられる。また、CPU56及びDCユニット58には、PWセンサ27からの出力信号も与えられる。このPWセンサ27は、キャリッジ13の底部に設けられる光学センサであり、キャリッジ13の走査によって記録用紙Pの幅を検出するとともに、トレイ33に付された識別マーク(図示せず)を認識することにより、トレイ33の送り方向位置を検出する為に用いられる。更に、トレイ33上のディスクDの有無の検出や、ディスクDの中心位置の検出にも用いられる。
【0036】
ロータリエンコーダ68は、プーリ66に取り付けられる、外周部に多数の透光部68cを有する円盤状スケール68bと、透光部68cに対して発光する発光部(図示せず)および前記透光部を通過した光を受光する受光部(図示せず)を備えて構成された検出部68aと、を有している。ここで、プーリ66は無端ベルト65を介してPFモータ64によって回動駆動される。プーリ66は軸67を回動軸とする歯車70と一体に形成され、歯車70は、搬送駆動ローラ21の軸端に取り付けられた歯車71と噛合する。従ってこれにより、PFモータ64の動力が搬送駆動ローラ21に伝達される。
【0037】
円盤状スケール68bが回動すると、検出部68aは透光部68cを通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、制御部50は、この様なロータリエンコーダ68からの出力信号を受信することによって、搬送駆動ローラ21の回転量、回転速度、回転方向を検出し、これにより、目的とする記録用紙P或いはトレイ33の送り制御を実行することができる様になっている。
【0038】
続いて、リニアエンコーダ69は、主走査方向に長い符号板(図示せず)と、該符号板において主走査方向に複数形成された透光部(図示せず)に対して発光する発光部(図示せず)および前記透光部を通過した光を受光する受光部(図示せず)から構成され、前記透光部を通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、キャリッジ13の主走査方向における絶対位置を検出する。
【0039】
以上がプリンタ1の概略であり、以下、トレイ33の静止状態において該トレイ33に外力が付与された際に制御部50が行うアシスト制御について図5乃至図9及び適宜その他の図を参照しながら説明する。ここで、図5はトレイボタンが押下された場合の制御内容を示すフローチャート、図6及び図7はアシスト制御の内容を示すフローチャート、図8はアシスト制御範囲を示す説明図、図9はアシスト制御内容を示す説明図である。
【0040】
トレイ33は、図2に示す様にプリンタ1内部に格納された状態において図示を省略するトレイボタンが押下されることによって、図2の仮想線で示すセット位置へと送られる。また、セット位置にある際に前記トレイボタンが押下されると、プリンタ1内部へと戻される。図5はトレイボタンが押下された際の制御内容を示すものであり、トレイボタンが押下されると、先ずトレイ33の現在位置を確認する(ステップS201)。トレイ33がセット位置でなければ(ステップS201の否定枝)、トレイ33の排出制御を実行して(ステップS203)、トレイ33をセット位置まで送った後、アシスト制御を実行する(ステップS204)。トレイ33がセット位置にあれば(ステップS201の肯定枝)、トレイ戻し制御を実行してトレイ33をプリンタ1内部へ戻す(ステップS205)。
【0041】
ここで、トレイ戻し制御はトレイ33を完全な格納位置まで戻さずに、キャリッジ13の底部に設けられた前記PWセンサ27によってトレイ33にディスクDがセットされたか否かを確認可能な位置まで戻す。そして、ディスクDがセットされている場合には(ステップS206の肯定枝)、ディスクDに記録を実行する為の頭出し制御を行い(ステップS207)、ディスクDがセットされていない場合には(ステップS206の否定枝)、トレイ33を完全な格納位置にまで戻すトレイ格納制御を行う(ステップS208)。
【0042】
次に、アシスト制御の概要について説明する。図9は、搬送駆動ローラ21と搬送従動ローラ22とによってトレイ33がニップされた状態を示している。トレイ33は、回動駆動される搬送駆動ローラ21の外周面との間の摩擦力により、搬送駆動ローラ21が回動すると、上流側または下流側に送られる。
ここで、PFモータ64が停止状態、即ちトレイ33が静止状態にあるときに、例えば、符号Fで示す様にトレイ33をプリンタ1内部へ戻す方向の外力が付与されるとする。この様なケースとしては、トレイ33がセット位置に静止した状態において、ユーザが上記トレイボタンを押下せずに、トレイ33をプリンタ1内部へ戻す為に、図の外力Fを付与する様な場合が想定される。これは、ユーザはトレイ33をプリンタ1内部に押し戻す方向に力を加えると、トレイ33が自動的にプリンタ1内部に戻される制御が行われることを期待するからである。
【0043】
外力Fが付与されると、回転停止状態にある搬送駆動ローラ21には、符号T2で示す様な回転トルク(第2の回転トルク)が与えられる。ここで、回転停止状態にある搬送駆動ローラ21を回転させる為には、PFモータ64から搬送駆動ローラ21へ動力を伝達する歯車輪列(図4参照)及び該歯車輪列から動力を得る他の動機構から受ける回転負荷(符号T3で示す負荷トルク)に打ち勝つ必要がある。しかし、回転トルクT2は、トレイ33と搬送駆動ローラ21との間の摩擦力によって発生することから、外力Fを大きくしても、回転トルクT2は一定値に達した後は増大せず、この結果、トレイ33と搬送駆動ローラ21との間においてスリップが生じ、搬送駆動ローラ21の外周面にダメージを与える虞がある。特に、搬送駆動ローラ21は金属軸体を塗装膜で覆って成されたものであるので、当該塗装膜が剥がれ、後の記録用紙P或いはトレイ33の搬送動作を正常に行えなくなるといった問題が生じる。
【0044】
そこで、搬送駆動ローラ21の回転停止状態(トレイ33の静止状態)において、PFモータ64を駆動制御して回転トルクT2をアシストする様な回転トルクT1を予め発生させておくことにより、外力Fが加わった際には、T1+T2>T3なる関係が成立する様にして、トレイ33と搬送駆動ローラ21との間にスリップが生じないで搬送駆動ローラ21が回転する様に成し、以て搬送駆動ローラ21の表面状態を適切な状態に維持する。これが、アシスト制御の概要である。
【0045】
以下、図6及び図7を元にしてより詳しく説明する。先ず、トレイ33の現在位置を確認し(ステップS301)、アシスト制御範囲(LA−RA)を設定する(ステップS302)。アシスト制御範囲は、トレイ33が所定の範囲に位置するときにアシスト制御を行う場合の、当該所定の範囲であり、図8に示す様に、トレイ33がセット位置にある際のトレイ33先端の位置(現在位置P)から上流側(LA)と下流側(RA)に設定される(本実施形態では、約1〜2mmの幅)。このLAとRAの値は、図示しないメモリに格納されている。
【0046】
続いて、Tassistタイマーをスタートさせる(ステップS303)。このTassistタイマーは、所定の時間に達した際にアシスト制御を中止してメインルーチンへ戻る為の当該所定の時間をカウントするタイマーであり、Tassist_limitとなるまでカウントされる。このTassist_limitの値は、図示しないメモリに格納されている。
【0047】
次に、PFモータ64に付加する「第1の電流値」としてのDTY_curを求める(ステップS304)。このDTY_curは、本実施形態においては、「第2の電流値」としてのI_out_aveからDTY_assistを減算することにより求める。ここで、I_out_aveは、トレイ33をセット位置に所定の速度で送った際のPFモータ64の電流値、つまり、搬送駆動ローラ21を回転駆動してトレイ33を送る際の負荷相当値であり、メジャーメント手段によって既に求められ、図示しないメモリに格納されている。
【0048】
メジャーメント手段は、PFモータ64の負荷状態を認識するために、PFモータ64を所定の回転速度で回転させ、その時のPID制御部における積分手段の出力値を検出し、該出力値から計算によって電流値を求める既知の方法であり、詳しくは、特開2003−79172号公報等に開示されているので、ここではその詳細は省略する。尚、DTY_assistは予め定められる一定値(電流値)であり、本実施形態ではI_out_aveからこれを減算することによってDTY_curを求めているが、例えば、I_out_aveに対して除算する為の係数値とし、DTY_curを、DTY_cur=I_out_ave/DTY_assistによって求めても良い。
【0049】
このDTY_curの値は、搬送駆動ローラ21を回転させない様な値、即ちトレイ33をセット位置に静止させた状態を維持する様な値であって、図9に示した回転トルクT1を発生させる電流値である。本実施形態においては、DTY_curは、大凡、I_out_aveの50%程度の値となる様に設定されているが、この様な値としては、実際の装置において、DTY_assistを適宜変化させてPFモータ64に付加することにより、その適切な範囲を求めることができる。
【0050】
続いて、DTY_curがDTY_limit_Hを超えているか否かを確認し(ステップS305)、超えていれば、DTY_curをDTY_limit_Hに設定する(ステップS307)。これは、I_out_aveを求めるメジャーメントを行った際に何らかの異常が生じた場合の措置である。同様な理由により、DTY_curがDTY_limit_Lを下回っているか否かを確認し(ステップS306)、下回っていれば、DTY_curをDTY_limit_Lに設定する(ステップS307)。これらDTY_limit_H及びDTY_limit_Lは、いずれも回転停止状態にある搬送駆動ローラ21の回転停止状態を維持し、且つ、外力F(回転トルクT2:図9参照)が作用した際に、回転トルクT2と協働して負荷トルクT3に打ち勝つことができる様な回転トルクT1を発生させる電流値に設定される(即ち、アシスト制御を行う為のDTY_curの上下限値である)。尚、これらDTY_limit_H及びDTY_limit_Lは、図示しないメモリに格納されている。
【0051】
そして、以上により求めたDTY_curを、現在位置PがLA〜RAの範囲を外れるまで(ステップS310)、或いは、タイマTassistがTassist_limitに達するまで(ステップS311)、PFモータ64に付加する(ステップS309)。ここで、DTY_curを付加する方向は、図9に示した回転トルクT1が発生する方向、即ち外力Fによって発生する回転トルクT2をアシストする方向であり、トレイ33をプリンタ1内部へ戻す方向である。尚、現在位置PがLA〜RAの範囲内にあるか否かは、ロータリエンコーダ68の出力信号(パルス)をカウントすることによって判定され、即ちこれが、トレイ位置検出手段となる。
【0052】
そして、現在位置PがLA〜RAの範囲を外れたか、或いはタイマTassistがTassist_limitに達した場合には、タイマTassistをストップし(ステップS312)、DTY_curをゼロにして全オフブレーキ状態とする(ステップS313)。次いで、Assist_stepをTassist×Passistにより求める(ステップS314)。ここで、Assist_stepはアシスト制御によってPFモータ64が行った仕事量を表す値であり、アシスト制御時間Tassistに所定の定数Passistを乗算することによって求められる。そして、求めた仕事量Assist_stepを、PFモータ64に発生した仕事量の累積値であるPsumに加える(ステップS315)。これにより、PFモータ64の発熱量を管理することができる。そしてTassistタイマーをクリアして(ステップS316)、上位のルーチンへ制御を返す。
【0053】
以上により、例えば、ユーザがトレイボタンを押下することによりトレイ排出制御が実行され、トレイ33がセット位置に送られると、所定の時間(Tassist_limit)に達するまでは、トレイ33がセット位置に静止する。この間、アシスト制御が行われ、ユーザがディスクDをセットするか、或いはディスクDをセットしないままトレイ33をプリンタ1内部へ押し戻せば、トレイ33は搬送駆動ローラ21においてスリップすることなく、搬送駆動ローラ21が回転する。そして、トレイ33先端の位置がアシスト制御範囲LA〜RAを外れると、トレイ戻し制御が実行され、トレイ33が自動的にプリンタ1内部に戻される。以上により、トレイ33の搬送駆動ローラ21におけるスリップが防止され、搬送駆動ローラ21の外周面にダメージを与えることがない。また、Tassistタイマーにより、所定の時間に達すると、何らの操作が行われなくてもトレイ戻し制御が実行されるので、トレイ33がセット位置に突出した状態のままとならず、安全上好ましい状態とすることができる。
【0054】
尚、以上説明したアシスト制御は、本実施形態においてはセット位置においてトレイ33をプリンタ1内部に戻す方向(図9の回転トルクT1)にアシスト力を発生させる様にしたが、トレイ33が例えばプリンタ1から僅かに突出した状態において、トレイ33をプリンタ1外部へ突出させる方向(図9の回転トルクT1とは反対方向)にアシスト力を発生させる様にしても良い。つまり、この場合は、ユーザによってプリンタ1外部へ引き出される方向(図9の外力Fとは反対の方向)の外力がトレイ33に付与される蓋然性が高い為である。即ち、本発明に係るアシスト制御は、トレイ33がどの位置に静止しているかによって、外力が付与される蓋然性が高い方向を考慮し、これに基づいてPFモータ64を駆動制御するものである。
【0055】
従って、アシスト制御の対象は上述した実施形態に限られず、被駆動物体(本実施形態ではトレイ33)と、これを駆動する為のモータ(本実施形態ではPFモータ64)と、該モータの動力を受けて前記被駆動物体に摩擦力による駆動力を付与する駆動手段(本実施形態では搬送駆動ローラ21)が存在すれば、アシスト制御を行うことによって、前記被駆動物体と前記駆動手段との間のスリップが防止され、以て適切な状態を維持することが可能となる。
【0056】
尚、上述したアシスト制御を実行するプログラムは、ROM54或いはEEPROM55等の記憶手段に記憶され、必要に応じてCPU56によって読み出される様に構成しても良いし、DCユニット58に実装される制御回路によって実現される様に構成しても良い。また、ホスト・コンピュータ150が備える記録媒体(例えば、ハードディスク装置等)や、その他のホスト・コンピュータ150によって読み取り可能な記録媒体(例えば、CD−ROM等)に記憶され、ホスト・コンピュータ150によって実行された上でプリンタ1の制御部50へ制御指令を送出する様に構成しても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るプリンタの外観斜視図である。
【図2】 本発明に係るプリンタの内部外観斜視図である。
【図3】 本発明に係るプリンタの側断面概略図である。
【図4】 制御部のブロック図である。
【図5】 トレイボタン押下時の制御フローである。
【図6】 アシスト制御のフローである。
【図7】 アシスト制御のフローである。
【図8】 アシスト制御範囲を示す説明図である。
【図9】 アシスト制御内容を示す説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットプリンタ、3 ハウジング、4 下部シャーシ、5 メインフレーム、6 サイドフレーム右、7 サイドフレーム左、8 フロントカバー、11 主キャリッジガイド軸、12 副キャリッジガイド軸、13 キャリッジ、14 記録ヘッド、15 インクカートリッジユニット、16 インクカートリッジ、19 紙検出器、20 プラテン、21 搬送駆動ローラ、22 搬送従動ローラ、23 排紙駆動ローラ、24 排紙従動ローラ、27 PWセンサ、28 給紙ローラ、30 給紙カセット、31 ホッパ、33 ディスクトレイ、50 制御部、51 IF、52 ASIC、53 RAM、54 PROM、55 EEPROM、56 CPU、57 タイマIC、58 DCユニット、59 ヘッドドライバ、60 キャリッジ(CR)モータドライバ、61搬送(PF)モータドライバ、63 キャリッジ(CR)モータ、64 搬送用(PF)モータ、65 無端ベルト、66 プーリ、67 軸、68 ロータリエンコーダ、69 リニアエンコーダ、70,71 歯車、D ディスク、P記録用紙

Claims (9)

  1. 被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、
    第1の電流値に基づいて前記搬送用モータを制御することにより前記搬送駆動ローラに与えられる第1の回転トルクと、
    静止状態にある前記トレイに外力を付与することにより、前記トレイと前記搬送駆動ローラとの間の摩擦力を介して前記搬送駆動ローラに与えられる第2の回転トルクと、
    前記トレイの静止状態において前記搬送駆動ローラを回転させる為に必要な負荷トルクと、の関係において、
    前記第1の回転トルクが前記負荷トルクよりも小なる様に、且つ、前記第2の回転トルクが、前記第1の回転トルクが作用する回転方向と同じ回転方向に作用した際に、前記第1の回転トルクと前記第2の回転トルクとの合力が前記負荷トルクを上回って前記搬送駆動ローラが回転する様に前記第1の電流値を決定し、前記トレイが静止状態にあるときに、前記第1の電流値を前記搬送用モータに付加するアシスト制御手段を備えている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  2. 請求項1において、所定の送り速度によって前記トレイを送る際に前記搬送用モータに付加する第2の電流値を計測するメジャーメント手段を有し、
    前記アシスト制御手段が、該メジャーメント手段によって得られた前記第2の電流値から所定値を減算した値、または、前記第2の電流値を所定値で除算した値を前記第1の電流値とする、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  3. 請求項1または2において、前記アシスト制御手段は、前記トレイを前記記録装置外部へ突出する方向に送り、被記録媒体を前記トレイにセット可能なセット位置に到達させた後、前記第1の回転トルクが、前記トレイを前記記録装置内部へ戻す回転方向に作用する様に前記第1の電流値を付加する、ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  4. 請求項3において、前記搬送用モータの回転量を検出する回転検出手段の出力に基づいて前記トレイの位置を検出するトレイ位置検出手段を備え、
    前記トレイが前記セット位置から所定量変位した状態を前記トレイ位置検出手段が検出すると、前記トレイを前記記録装置内部へ戻す様に前記搬送用モータを駆動制御することを特徴とするトレイ送り制御装置。
  5. 請求項3又は4において、前記トレイが前記セット位置に到達してからの経過時間をカウントするタイマを備え、
    該タイマによるカウント値が所定値に達すると、前記トレイを前記記録装置内部へ戻す様に前記搬送用モータを駆動制御することを特徴とするトレイ送り制御装置。
  6. 被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラによって送り可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、を備えた記録装置において、前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置であって、
    静止状態にある前記トレイに外力を付与した際には、前記トレイと前記搬送駆動ローラとの間の摩擦力を介して前記搬送駆動ローラに与えられる回転トルクをアシストして前記搬送駆動ローラが回転する様に、且つ、前記外力が作用しない状態では前記トレイを静止状態に維持する様に、前記搬送用モータに第1の電流値を付加するアシスト制御手段を備えている、
    ことを特徴とするトレイ送り制御装置。
  7. 被記録媒体に記録を行う記録ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記記録ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    被記録媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラにニップされ前記搬送ローラによって搬送可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、
    前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの位置を制御するトレイ送り制御装置と、を備えた記録装置であって、
    前記トレイ送り制御装置が、請求項1から6のいずれか1項に記載された前記トレイ送り制御装置である、
    ことを特徴とする記録装置。
  8. モータの駆動力を受けて所定方向に送られる被駆動物体と、該被駆動物体との間の摩擦力を介して前記被駆動物体に送り力を付与する、前記モータによって駆動される駆動手段と、を備えた駆動装置において、前記モータを駆動制御することにより、前記被駆動物体の送り制御を行う被駆動物体送り制御装置であって、
    静止状態にある前記被駆動物体に外力を付与した際には、前記被駆動物体と前記駆動手段との間の摩擦力を介して前記駆動手段に与えられる負荷をアシストする様に、且つ、前記外力が作用しない状態では前記被駆動物体を静止状態に維持する様に、前記モータに第1の電流値を付加するアシスト制御手段を備えている、
    ことを特徴とする被駆動物体送り制御装置。
  9. 被噴射媒体に液体噴射を行う液体噴射ヘッドと、
    被搬送媒体をニップし且つ回転することにより、前記液体噴射ヘッドへ前記被搬送媒体を搬送する、回転駆動される搬送駆動ローラ及び該搬送駆動ローラに圧接して従動回転する搬送従動ローラを備えて構成された搬送ローラと、
    前記搬送駆動ローラを回転駆動する搬送用モータと、
    前記搬送用モータの回転量を検出する回転検出手段と、
    被噴射媒体をセット可能であるとともに、前記搬送ローラにニップされ前記搬送ローラによって搬送可能なプレート形状を成す、前記被搬送媒体としてのトレイと、
    前記搬送用モータを制御することにより、前記トレイの送り制御を行うトレイ送り制御装置と、を備えた液体噴射装置であって、
    前記トレイ送り制御装置が、第1の電流値に基づいて前記搬送用モータを制御することにより前記搬送駆動ローラに与えられる第1の回転トルクと、
    静止状態にある前記トレイに外力を付与することにより、前記トレイと前記搬送駆動ローラとの間の摩擦力を介して前記搬送駆動ローラに与えられる第2の回転トルクと、
    前記トレイの静止状態において前記搬送駆動ローラを回転させる為に必要な負荷トルクと、の関係において、
    前記第1の回転トルクが前記負荷トルクよりも小なる様に、且つ、前記第2の回転トルクが、前記第1の回転トルクが作用する回転方向と同じ回転方向に作用した際に、前記第1の回転トルクと前記第2の回転トルクとの合力が前記負荷トルクを上回って前記搬送駆動ローラが回転する様に前記第1の電流値を決定し、前記トレイが静止状態にあるときに、前記第1の電流値を前記搬送用モータに付加するアシスト制御手段を備えている、
    ことを特徴とする液体噴射装置。
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