JP4003527B2 - サセプタおよび半導体ウェーハの製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、サセプタおよび半導体ウェーハの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、サセプタにより支持させた半導体基板(以下、基板と略称することがある。)を加熱装置により成長温度に加熱するとともに、基板の主表面上にガス供給装置により原料ガスを供給することによって、該基板の主表面上に薄膜を気相成長して半導体ウェーハを製造する方法が知られている。
【0003】
このような製造方法に用いられる気相成長装置には、いわゆる枚葉式の気相成長装置あるいはバレル型(シリンダー型)気相成長装置等のように、基板を主表面側と主裏面側との双方から加熱しつつ気相成長を行うタイプ(以下、タイプ1)のもの(主裏面側からの加熱はサセプタを介して行う)と、いわゆるパンケーキ型の気相成長装置等のように、サセプタを介して基板を主裏面側からのみ加熱しつつ気相成長を行うタイプ(以下、タイプ2)のものとがある。
【0004】
このうち、タイプ2の場合、図6に示すように、基板Wを支持するサセプタ101の下側に加熱装置(例えば、高周波誘導加熱コイル)102が配され、該加熱装置102により、サセプタ101を介して基板Wを主裏面側から加熱する。このため、気相成長の際には、基板Wの下部が上部に比べて大きく熱膨張するので、図6に示すように、基板Wが中心部ほど下側に凸となるように反り返る。従って、このように反り返った状態時にも基板Wにサセプタ101を好適にフィットさせて、サセプタ101から基板Wへの熱伝導量を面内で均一にするために、図6に示すように、サセプタ101の座ぐり103は、周縁部から中心に向かうほど大きく凹む凹曲面形状に窪まされている。
【0005】
他方、タイプ1の場合、例えば図5に示すように、サセプタ111に対し主表面側と主裏面側との双方に加熱装置112(例えばハロゲンランプ)を配し、これら加熱装置112により、基板Wを主表面側と主裏面側との双方から加熱する。このため、基板Wは、表裏方向において殆ど熱分布を生じないので、気相成長の際にも殆どフラットに維持される。
従って、タイプ1の場合のサセプタ111の座ぐり113は、図5に示すように平面に形成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記タイプ1の場合、基板Wの主裏面が、平面である座ぐり113の底面に接触状態となるため、該主裏面に座ぐり113の底面との接触跡が形成されて、基板Wの外観に影響を及ぼすことがある。このことは、特に、基板Wの主裏面にも鏡面研磨処理が施されている場合(両面ミラーの基板を用いる場合)に問題となる。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、半導体基板を主表面側からと主裏面側からとの双方から加熱して気相成長を行う場合に、基板の主裏面に接触跡が形成されてしまうことを防止可能なサセプタおよび半導体ウェーハの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明のサセプタは、半導体基板を主表面側からと主裏面側からとの双方から加熱して行う気相成長の際に該半導体基板を支持するサセプタにおいて、当該サセプタに対し半導体基板を位置決めさせるための座ぐりを有し、該座ぐりの底面が、前記加熱の際における半導体基板の撓み形状よりも窪まされており、当該サセプタは、半導体基板を支持する主表面側に向かって裏面が、該裏面の中心部ほど突出するように、反り返った全体姿勢をなす盤状に形成されていることを特徴としている。
【0009】
より具体的には、座ぐりの底面は、例えば、周縁部から中心に向かうほど次第に窪まされていることが好ましい一例である。
【0010】
或いは、座ぐりの底面の一部は、周縁部から中心に向かうほど次第に窪む傾斜面状部となっているとともに、該底面のうちで該傾斜面状部よりも中央寄りの部位は、該傾斜面状部の最深部以上の深さに設定されていることが好ましい一例である。
【0011】
或いは、座ぐりは、半導体基板を支持する外周側部分と、該外周側部分の内側に該外周側部分よりも窪んだ状態に形成された内周側部分とを有する二段構成をなすことも好ましい一例である。
また、この場合に、内周側部分の底面と半導体基板との最大距離が、半導体基板を加熱しないで支持した状態で0.35mm以上、0.45mm未満となるように、該内周側部分の底面が窪まされていることが好ましい。
【0012】
本発明のサセプタによれば、座ぐりの底面が、気相成長の加熱の際における基板の撓み形状よりも窪まされているので、基板を主表面側からと主裏面側からとの双方から加熱して気相成長を行う場合に、基板が、加熱によりその中心部が座ぐりに近づく方向に僅かに撓んだとしても、基板の主裏面と座ぐり底面とを非接触状態に維持することができる。よって、基板の主裏面に、座ぐり底面との接触跡が形成されてしまうことを好適に防止できる。
しかし、座ぐりと基板との間隔があまりにも大きいと、該間隔に気相成長の際に用いる水素が大量に侵入してしまう結果、該水素により基板の主裏面がエッチングされてしまい、該主裏面に形成されている微少なキズが目立つようになってしまうことがある。従って、座ぐりが有する窪みは大きければ良い(座ぐりが単に深ければ良い)というものではない。
このような事情に対し、座ぐりの底面が周縁部から中心に向かうほど次第に窪まされているサセプタ、或いは、傾斜面状部を有するサセプタとすれば、基板との接触を防止しつつも、周縁部における基板と座ぐりとの間隔を狭くすることができる。よって、該間隔への水素の侵入を抑制できる結果、該水素による基板主裏面のエッチングも抑制できるので、該主裏面に微少なキズが形成されていても、このキズが目立つようになってしまうことを防止できる。
【0013】
また、特に、二段構成をなす座ぐりにおいて、内周側部分の底面と半導体基板との最大距離が、半導体基板を加熱しないで支持した状態で0.35mm以上、0.45mm未満となるように、該内周側部分の底面が窪まされている場合、基板と座ぐりとの間隔を全面において狭くすることができる。よって、該間隔への水素の侵入をより一層抑制できる。従って、基板の主裏面に形成されている微少なキズが目立つようになってしまうことをより好適に防止できる。
【0014】
ところで、サセプタは、例えば、グラファイトからなる本体部の表面にSiC(炭化珪素)をコーティングすることにより構成されている。そして、本体部にSiCをコーティングする際には、本体部を高温に加熱する。本体部は、この加熱により大きく反り返るが、この反り返り量の予測は困難であるため該反り返り量を加熱量により制御することは極めて困難である。勿論、反り返り量は、本体部が大寸法であるほど大きいため、直径の大きなサセプタであるほど平坦に形成することが困難であるという問題もある。
このような事情に対し、本発明のサセプタによれば、座ぐり底面(の少なくとも一部)を、周縁部から中心に向かうほど基板から遠ざかる曲面状に窪んだ状態に形成すればよいため、座ぐりを平坦に形成する必要がある場合よりもサセプタの製造が容易となり、例えば直径300mmの半導体ウェーハを支持するサセプタのように、比較的大寸法のサセプタであっても好適に製造することが可能となる。
【0015】
また、本発明のサセプタは、半導体基板を支持する主表面に対し裏面が、該裏面の中心部ほど窪むように、反り返った全体姿勢をなす盤状に形成されていることこと、換言すれば、半導体基板を支持する主表面の中心部ほど突出するように反り返った全体姿勢をなす盤状に形成されている場合にも適用することができる。
この場合、サセプタが、反り返った全体姿勢に形成されていても良いので、つまり、全体姿勢が平板状となるように形成する必要がないので、平板状に形成する必要がある場合よりもサセプタの製造が容易となり、例えば直径300mmの半導体ウェーハを支持するサセプタのように、比較的大寸法のサセプタであっても好適に製造することが可能となる。
【0016】
また、本発明の半導体ウェーハの製造方法は、両面が鏡面研磨処理された半導体基板の主表面上に薄膜を気相成長させて半導体ウェーハを製造する半導体ウェーハの製造方法において、本発明のサセプタにより支持させた半導体基板を、主表面側と該サセプタを介して主裏面側との双方から加熱しながら、該半導体基板の主表面上に薄膜を気相成長させることを特徴としている。
【0017】
また、本発明の半導体ウェーハの製造方法は、半導体基板を位置決めさせるための座ぐりを有し、気相成長の加熱の際における半導体基板の撓み形状よりも前記座ぐりの底面が窪まされ、半導体基板を支持する主表面に対し裏面が、該裏面の中心部ほど窪むように、つまり該裏面の中心部ほど主表面側に向かって突出するように、反り返った全体姿勢をなす盤状に形成されたサセプタにより、両面が鏡面研磨処理された半導体基板を支持し、該半導体基板を、主表面側と該サセプタを介して主裏面側との双方から加熱しながら、該半導体基板の主表面上に薄膜を気相成長させて半導体ウェーハを製造することを特徴としている。
【0018】
本発明の半導体ウェーハの製造方法によれば、本発明のサセプタにより基板を支持して、或いは、気相成長の加熱の際における半導体基板の撓み形状よりも座ぐりの底面が窪まされたサセプタにより基板を支持して、気相成長を行うので、基板を主表面側からと主裏面側からとの双方から加熱する場合にも、基板の主裏面に接触跡を形成することなく、両面が鏡面研磨処理された基板の主表面上に薄膜を気相成長させて半導体ウェーハを製造することができる。
また、上記と同様に、主裏面に微少なキズが形成されていても、このキズが目立つようになってしまうことを防止できる。また、座ぐりを平坦に形成する必要がある場合よりもサセプタの製造が容易となり、例えば直径300mmの半導体ウェーハを支持するサセプタのように、比較的大寸法のサセプタであっても好適に製造することが可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
【0020】
〔第1の実施の形態〕
先ず、サセプタの構成について説明する。
図1に示す本実施の形態のサセプタ1は、基板Wを主表面側からと主裏面側からとの双方から加熱して行う気相成長の際に該基板Wを支持するものである。
このサセプタ1は、例えば平板な円盤状に概略構成されている。
サセプタ1は、基板Wの支持状態で、該基板Wを当該サセプタ1に対し位置決めさせるための座ぐり2を、上面に有している。この座ぐり2は、基板Wの直径よりも内径が若干大きく設定された平面視円形の凹部である。
ただし、本実施形態のサセプタ1の座ぐり2は、基板Wを支持する円環状の外周側部分21と、該外周側部分21の内側に該外周側部分21よりも窪んだ状態に形成された平面視円形の内周側部分22とを有する二段構成をなしている。
このうち、外周側部分21は、基板Wの周縁部あるいは面取部を好適に支持可能となるように、例えば平面に形成されている。
他方、内周側部分22の底面22aは、例えば、周縁部から中心に向かうほど次第に深くなるよう凹曲面状に窪まされている。
ただし、該内周側部分22の底面22aの窪み形状は、気相成長の加熱の際における基板Wの撓み形状よりも深く設定されている。すなわち、座ぐり2の底面は、気相成長の加熱の際における基板Wの撓み形状よりも窪まされている。
なお、基板Wを加熱しないでサセプタ1により支持した状態における座ぐり2の内周側部分22の底面22aと基板Wの主裏面との最大距離Dは、例えば0.4mm以下に設定されている。
このようなサセプタ1は、例えば、グラファイトからなる本体部の表面にSiC(炭化珪素)をコーティングすることにより構成されている。
【0021】
次に、半導体ウェーハの製造装置の構成について説明する。
図2に示すように、半導体ウェーハの製造装置10は、基板W(例えばシリコン単結晶基板)の主表面上に薄膜(例えばシリコン単結晶薄膜)を気相成長させるための装置であり、反応容器11と、この反応容器11内に配された上記サセプタ1と、このサセプタ1を気相成長の際に回転駆動させる駆動装置(図示略)と、サセプタ1の上下に配され反応容器11内を加熱するための加熱装置13(例えばハロゲンランプ)等を備えて概略構成されている。
反応容器11内には、矢印A方向に沿ってガス(原料ガスおよびキャリアガスを含む気相成長用ガス)が導入され、反応容器11内からは、矢印B方向に沿って排気されるようになっている。
【0022】
次に、半導体ウェーハの製造方法について説明する。
先ず、基板Wを支持したサセプタ1を反応容器11内に配し、このサセプタ1を回転させながら、加熱装置13により反応容器11内の基板Wを加熱するとともに、反応容器11内にガスを導入することで、該ガスを基板Wの主表面上に供給して、該基板Wの主表面上に薄膜を気相成長させ、半導体ウェーハを製造することができる。
なお、気相成長の際の基板Wの加熱は、該基板Wの主表面側とサセプタ1を介して該基板Wの主裏面側との双方から行う。
また、基板Wとしては、例えば、両面が鏡面研磨処理されたもの(両面ミラーの基板)を用いる。
【0023】
ところで、気相成長の際には、基板Wが、加熱によりその中心部が座ぐり2の内周側部分22の底面22aに近づく方向に僅かに撓むことがある。
これに対し、本実施形態のサセプタ1は、座ぐり2の内周側部分22の底面(座ぐり底面)22aが、気相成長の加熱の際における基板Wの撓み形状よりも窪まされているので、このように加熱によって基板Wが撓んだとしても、基板Wの主裏面が底面22aに接触してしまうことを防止できる。よって、基板Wの主裏面に座ぐり2との接触跡が形成されてしまうことを好適に防止できる。
しかも、座ぐり2の内周側部分22の底面22aが、周縁部から中心に向かうほど次第に窪まされているため、該周縁部における基板Wと底面22aとの間隔を中心部よりも狭くすることができる。よって、該底面22aと基板Wとの非接触状態を保ちつつも、該間隔への水素(キャリアガスとして用いる)の侵入を抑制できる。この結果、該水素による基板W主裏面のエッチングも抑制できるので、該主裏面に微少なキズが形成されていたとしても、このキズが目立つようになってしまうことを防止できる。
従って、両面ミラーの基板Wを用いて半導体ウェーハを製造する場合にも、該基板Wの主裏面に底面22aとの接触跡を形成してしまうことを防止できる。
なお、基板Wの主裏面に形成されている微少なキズは、研磨工程にて形成される研磨キズであると考えられ、水素エッチングにより目立つようになると考えられる。
【0024】
次に、本実施形態の好適な実施例を説明する。
<実施例>
本発明者は、直径300mmの基板を支持可能で、基板Wを加熱しないで支持した状態における基板Wの主裏面と座ぐり2の内周側部分22の底面22aとの最大距離が0.4mmとなるように構成した本実施の形態のサセプタ1と、該最大距離が0.35mmとなるように構成したサセプタ1とを各々作成した。
そして、これらサセプタ1を各々用いて、両面ミラーの基板Wとしてのシリコン単結晶基板の主表面上に、水素雰囲気中1130℃で、薄膜としてのシリコン単結晶薄膜を気相成長させて、半導体ウェーハとしてのシリコンエピタキシャルウェーハを製造した。
この製造したシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を外観検査すると、前記最大距離が0.4mmのサセプタ1を用いた場合と、同0.35mmのサセプタ1を用いた場合で、ともに目立つキズは発見されなかった。
【0025】
<比較例>
また、本発明者は、比較例として、前記最大距離が0.45mmである他は上記の実施例と同様のサセプタと、前記最大距離が0.7mmである他は上記の実施例と同様のサセプタとを各々作成し、これらサセプタを用いて、上記の実施例と同様の条件で半導体ウェーハ(つまりシリコンエピタキシャルウェーハ)を製造した。
この製造したシリコンエピタキシャルウェーハの主裏面を外観検査すると、前記最大距離が0.45mmのサセプタを用いた場合には、目立つキズが発見された。また、前記最大距離が0.7mmのサセプタを用いた場合には、目立つキズがより多く発見された。
【0026】
このような実施例と比較例との検討から明らかなように、本実施の形態のサセプタ1は、基板Wを加熱しないで支持した状態における基板Wの主裏面と座ぐり2の内周側部分22の底面22aとの最大距離が0.4mm以下となるように構成すれば、該底面22aと基板Wとの間隔への水素の侵入を抑制でき、該水素による基板主裏面のエッチングも抑制できる。
よって、基板Wの主裏面に元々微少なキズが形成されていても、このキズが半導体ウェーハの製造後において目立つようになってしまうことを防止できる。
【0027】
以上のような実施の形態によれば、座ぐり2の底面22aが、気相成長の加熱の際における基板Wの撓み形状よりも窪まされているので、基板Wが、加熱によりその中心部が座ぐり2に近づく方向に僅かに撓んだとしても、基板Wの主裏面と座ぐり2の底面22aとを非接触状態に維持することができる。よって、基板Wの主裏面に接触跡が形成されてしまうことを好適に防止できる。
しかも、座ぐり2の底面22aが周縁部から中心に向かうほど次第に窪まされているため、周縁部における基板Wと座ぐり2との間隔を狭くすることができる。よって、該間隔への水素の侵入を抑制できる結果、該水素による基板主裏面のエッチングも抑制できるので、該主裏面に微少なキズが形成されていても、このキズが目立つようになってしまうことを防止できる。
また、特に、内周側部分22の底面22aと基板Wとの最大距離が、基板Wを加熱しないで支持した状態で0.4mm以下となるように、該底面22aが窪まされているので、基板Wと座ぐり2との間隔への水素の侵入を確実に抑制できる。
【0028】
なお、上記の第1の実施の形態では、座ぐり2の底面22aが、周縁部から中心に向かうほど凹曲面状に次第に窪まされている(ドーム状に窪まされている)例について説明したが、本発明はこれに限らず、座ぐり2の底面が、気相成長の加熱の際における基板Wの撓み形状よりも窪まされていれば、その他の如何なる形状であっても、基板Wの主裏面と座ぐり2の底面22aとを非接触状態に維持することができるので、基板Wの主裏面に接触跡が形成されることを防止できる。
具体的には、例えば、座ぐりの底面が、倒立円錐状(ただし、上面に比べて高さが極めて小さい)に窪まされていても良い。
或いは、座ぐりの底面が、倒立円錐台状に窪まされていても良い。すなわち、座ぐりの底面の一部は、周縁部から中心に向かうほど次第に窪む傾斜面状部(例えば、倒立円錐台状の窪みにおける側周面に相当)となっているとともに、該底面のうちで該傾斜面状部よりも中央寄りの部位(例えば、倒立円錐台状の窪みにおける平面部に相当)は、該傾斜面状部の最深部以上の深さ(窪みが倒立円錐台状の場合、傾斜面状部の最深部と等しい深さ)に設定されていても良い。
また、例えば、上記のような二段構成の座ぐりの場合などは、座ぐり2の底面22aが、気相成長の加熱の際における基板Wの撓み形状よりも窪まされていれば、該底面22aが平面に形成されていても良い。ただし、この場合、周縁部における底面22aと基板Wとの間隔が大きくなるため、基板Wがエッチングされやすくなる上、底面22aが平面であるため、サセプタが大寸法の場合、該サセプタを製造し難い。
また、例えば、上記のような二段構成の座ぐりの場合などは、座ぐり2の底面22aが、隆起していても良い。ただし、この場合も、周縁部における底面22aと基板Wとの間隔が大きくなるため、基板Wがエッチングされやすくなる上、基板周縁部の温度が中心部に比べて低くなるのでスリップが発生しやすくなる。
【0029】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態では、上記第1の実施の形態と同様の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図3に示す第2の実施の形態のサセプタ30は、直線に引かれた仮想線Lとの比較から分かるように、基板Wを支持する主表面31に対し裏面32が、該裏面32の中心部ほど窪むように、つまり該裏面32の中心部ほど主表面31側に向かって突出するように、反り返った全体姿勢をなす盤状に形成されている。
このサセプタ30の主表面31には、上記の第1の実施の形態と同様の座ぐり2が形成されている。
この第2の実施の形態によれば、サセプタ30が、反り返った全体姿勢に形成されていても良い。つまり、全体姿勢が平板状となるように形成する必要がない。よって、平板状に形成する必要がある場合よりもサセプタ30の製造が容易となり、例えば直径300mmの半導体ウェーハを支持するサセプタのように、比較的大寸法のサセプタであっても好適に製造することが可能となる。
【0030】
なお、上記の各実施の形態では、座ぐり2が二段構成をなす例について説明したが、これに限らず、例えば、図4に示すサセプタ40のように、座ぐり2が一段であっても良い。図4に示す例の場合、座ぐり2は、その底面2aが基板Wに対し円状に線接触状態となって該基板Wを支持する。
【0031】
【発明の効果】
本発明のサセプタによれば、座ぐりの底面が、気相成長の加熱の際における基板の撓み形状よりも窪まされているので、基板が、加熱によりその中心部が座ぐりに近づく方向に僅かに撓んだとしても、基板の主裏面と座ぐり底面とを非接触状態に維持することができる。よって、基板の主裏面に、座ぐり底面との接触跡が形成されてしまうことを好適に防止できる。
また、本発明の半導体ウェーハの製造方法によれば、基板の主裏面に接触跡を形成することなく、両面が鏡面研磨処理された基板の主表面上に薄膜を気相成長させて半導体ウェーハを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態のサセプタを示す模式的な正面断面図である。
【図2】半導体ウェーハの製造装置を示す模式的な正面断面図である。
【図3】第2の実施の形態のサセプタを示す模式的な正面断面図である。
【図4】座ぐりが一段の例を示す模式的な正面図である。
【図5】従来の気相成長装置(タイプ1)を示す模式的な正面断面図である。
【図6】従来の気相成長装置(タイプ2)を示す模式的な正面断面図である。
【符号の説明】
1 サセプタ
2 座ぐり
21 外周側部分
22 内周側部分
22a 内周側部分の底面(座ぐり底面)
30 サセプタ
40 サセプタ
W 半導体基板
D 最大距離
Claims (6)
- 半導体基板を主表面側からと主裏面側からとの双方から加熱して行う気相成長の際に該半導体基板を支持するサセプタにおいて、
当該サセプタに対し半導体基板を位置決めさせるための座ぐりを有し、
該座ぐりの底面が、前記加熱の際における半導体基板の撓み形状よりも窪まされており、
当該サセプタは、半導体基板を支持する主表面側に向かって裏面が、該裏面の中心部ほど突出するように、反り返った全体姿勢をなす盤状に形成されていることを特徴とするサセプタ。 - 前記座ぐりの底面は、周縁部から中心に向かうほど次第に窪まされていることを特徴とする請求項1に記載のサセプタ。
- 前記座ぐりの底面の一部は、周縁部から中心に向かうほど次第に窪む傾斜面状部となっているとともに、該底面のうちで該傾斜面状部よりも中央寄りの部位は、該傾斜面状部の最深部以上の深さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載のサセプタ。
- 前記座ぐりは、半導体基板を支持する外周側部分と、該外周側部分の内側に該外周側部分よりも窪んだ状態に形成された内周側部分とを有する二段構成をなすことを特徴とする請求項1または2に記載のサセプタ。
- 両面が鏡面研磨処理された半導体基板の主表面上に薄膜を気相成長させて半導体ウェーハを製造する半導体ウェーハの製造方法において、請求項1〜4の何れかに記載のサセプタにより支持させた半導体基板を、主表面側と該サセプタを介して主裏面側との双方から加熱しながら、該半導体基板の主表面上に薄膜を気相成長させることを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。
- 半導体基板を位置決めさせるための座ぐりを有し、気相成長の加熱の際における半導体基板の撓み形状よりも前記座ぐりの底面が窪まされ、半導体基板を支持する主表面側に向かって裏面が、該裏面の中心部ほど突出するように、反り返った全体姿勢をなす盤状に形成されたサセプタにより、
両面が鏡面研磨処理された半導体基板を支持し、該半導体基板を、主表面側と該サセプタを介して主裏面側との双方から加熱しながら、該半導体基板の主表面上に薄膜を気相成長させて半導体ウェーハを製造することを特徴とする半導体ウェーハの製造方法。
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