JP6383588B2 - セラミック部材の製造方法および支持具 - Google Patents
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Description
しかしながら、CVD法では、基材を支持する必要があり、支持点にセラミック被膜が形成できないため、基材が露出する部分ができてしまう。基材が露出し反応性環境下で使用されると、支持点部分から消耗、劣化してしまう問題があった。このような問題を解決するため、様々な工夫が行われている。
このセラミック基材支持具によれば、セラミック基材支持具が、黒鉛の芯材を有し、その黒鉛の表面に熱分解炭素が被覆され、さらにその表面が支持具被膜にて被覆されている。熱分解炭素は気孔がないため、支持具被膜を被覆した際に、支持具被膜は熱分解炭素層内部に浸透して形成されないので、支持具被膜と熱分解炭素層との接着力を小さくすることができる。
いは微少なクラックが発生するのを防止できるセラミック部材の製造方法および支持具を提供することを目的とする。
このため、支持具に載置された基材をCVD後に、取り外す際に、セラミック被膜によって固着されていないので、支持点の周囲に有害なバリの発生、微少なクラックの発生を防止することができる。
(1)前記支持具は、前記支持部と前記カバー部とが一体的に構成されている。
支持具は支持部とカバー部とが一体的に構成されているので、基材を支持具に載置する際に、基材を傾けて載置しようとすると、基材はカバー部から先に接触する。例えば基材が平面である場合、複数(例えば3点)の支持部の先端が形成する載置面と、基材とが平行となった時にはじめて支持部が基材と接触できるようになる。このため、支持部の先端を損傷しにくくことができる。また、基材とカバー部との隙間の間隔を、確保することができる。
支持具における支持部とカバー部との距離が、隙間の間隔の4倍以上であると、隙間から侵入した原料ガスが、支持部と基材との接触点に到達しにくくすることができるので、支持部と基材との固着が起きにくくすることができる。また、支持部とカバー部との距離が、隙間の間隔の20倍以下であると、基材にセラミック被膜の形成されていない開口部を小さくすることができるので、基材を保護しやすくすることができる。
セラミック被膜が、SiCであると以下のメリットがある。すなわち、SiCは、化学的に安定であるため、基材の消耗を防止することができる。また、SiCは、硬く、耐摩耗性のあるセラミック材料であるので、基材の摩耗、損傷を防止することができる。
黒鉛は、結晶に劈開面を有するので、基材あるいは基材の芯材が黒鉛で構成されると、容易に加工することができ、様々な形状のセラミック部材を得ることができる。基材の芯材が黒鉛であるとは、基材の大部分が黒鉛からなり、例えば黒鉛にセラミック被膜が形成されている場合を含む。
本発明のセラミック部材の製造方法を、基材に対する支持具の位置を変えて複数回にわたって繰り返すことにより、基材の中心部の露出を防ぐことができる。例えば、基材が黒鉛である場合、1回目のセラミック被膜の形成では、支持部が当接する近傍は、黒鉛からなる基材が露出する。しかしながら、支持具の位置を変えて、セラミック被膜の形成された基材であるセラミック部材を、新たな基材として2回目のセラミック被膜の形成を行うことにより、露出した黒鉛の基材を2層目のセラミック被膜で覆い隠すことができる。
このため、支持具に載置された基材をCVD後に、取り外す際に、セラミック被膜によって固着されていないので、支持点の周囲に有害なバリの発生、微少なクラックの発生を防止することができる。
を有するように前記支持部を囲むカバー部とからなる。
このため、支持具に載置された基材をCVD後に、取り外す際に、セラミック被膜によって固着することがなく、支持点の周囲に有害なバリの発生、微少なクラックの発生を防止することができる。
(1)前記支持具は、前記支持部と前記カバー部とが一体的に構成されている。
支持具は支持部とカバー部とが一体的に構成されているので、基材を支持具に載置する際に、基材を傾けて載置しようとすると、基材はカバー部から先に接触する。例えば基材が平面である場合、複数(例えば3点)の支持部の先端が形成する載置面と、基材とが平行となった時にはじめて支持部が基材と接触できるようになる。このため、支持部の先端を損傷しにくくことができる。また、基材とカバー部との隙間の間隔を、確保することができる。
支持具における支持部とカバー部との距離が、隙間の間隔の4倍以上であると、隙間から侵入した原料ガスが、支持部と基材との接触点に到達しにくくすることができるので、支持部と基材との固着が起きにくくすることができる。また、支持部とカバー部との距離が、隙間の間隔の20倍以下であると、基材にセラミック被膜の形成されていない開口部を小さくすることができるので、基材を保護しやすくすることができる。
セラミック被膜が、SiCであると以下のメリットがある。すなわち、SiCは、化学的に安定であるため、基材の消耗を防止することができる。また、SiCは、硬く、耐摩耗性のあるセラミック材料であるので、基材の摩耗、損傷を防止することができる。
黒鉛は、結晶に劈開面を有するので、基材あるいは基材の芯材が黒鉛で構成されると、容易に加工することができ、様々な形状のセラミック部材を得ることができる。基材の芯材が黒鉛であるとは、基材の大部分が黒鉛からなり、例えば黒鉛にセラミック被膜が形成されている場合を含む。
本発明のセラミック部材の製造方法を、基材に対する支持具の位置を変えて複数回にわたって繰り返すことにより、基材の中心部の露出を防ぐことができる。例えば、基材が黒鉛である場合、1回目のセラミック被膜の形成では、支持部が当接する近傍は、黒鉛からなる基材が露出する。しかしながら、支持具の位置を変えて、セラミック被膜の形成された基材であるセラミック部材を新たな基材として、2回目のセラミック被膜の形成を行う
ことにより、露出した黒鉛の基材を2層目のセラミック被膜で覆い隠すことができる。
このため、支持具に載置された基材をCVD後に、取り外す際に、セラミック被膜によって固着されていないので、支持点の周囲に有害なバリの発生、微少なクラックの発生を防止することができる。
第1実施形態のセラミック部材の製造方法および支持具30について説明する。第1実施形態のセラミック部材の製造方法では、支持具30を用いて基材20にセラミック被膜21を形成することによってセラミック部材10Aを製造する。
まず、図1(A)に示すように、基材20を支持具30で支持する。支持具30の数は特に限定されない。基材20の重心を支持部32の先端の支持面322より下にできれば、支持具30は1個でも安定してCVD法によってセラミック被膜21(第1のセラミック被膜22、第2のセラミック被膜23)を形成することができる。また、後述する支持部32の面積が充分に大きく、支持部32の支持面322の上に基材20の重心が入るように配置することによって、CVD法によってセラミック被膜21を形成することができる。
ここでは、複数個(3個以上)の支持具30の上に基材20を略水平に載置する場合について説明する。
基材20の形状は特に限定されない。基材20にセラミック被膜21を形成することによってセラミック部材10Aを製造するので、基材20は目的のセラミック部材10Aの形状に加工しておく。セラミック部材10Aは、用途に合わせて様々な形状に製造される。例えば、円盤、リング、筒、板、箱などどのようなものでもよく特に限定されない。
本体上面311の外周部に沿って、カバー部33が上方に突出して設けられている。カバー部33は、支持部32を同心円状に囲むように形成することができ、上面331が平面状になっている。カバー部33の高さは、支持部32の高さよりも低い。
また、支持部32における最外縁323と、カバー部33における最外縁332との距離Lは、隙間Sの間隔(S)の4〜20倍である。
なお、図3(A)および図3(B)に示すように、カバー部33の先端を尖った形状とした支持具30Aを採用することも可能である。また、図3(C)および図3(D)に示すように、支持具本体31を四角柱状に形成して、カバー部33を四角形に形成した支持具30Bを採用することも可能である。いずれの場合にも、支持部32の形状や、支持部32がカバー部33よりも上方に突出していることは同様である。
その結果、第1のセラミック被膜22は、支持具30のカバー部33の上面331が対向する位置において、支持部32側に向かって基材20側に傾斜する傾斜部221が形成される。そして、傾斜部221の内側には、第1のセラミック被膜22が形成されない開口部222が形成される。
なお、カバー部33と支持部32とを平面視同心円状とすることにより、原料ガスが到達する距離に偏りが小さく、基材20と固着することを方向によらず、等しく防止することができる。
図1(C)において製造されたセラミック部材10Aは、基材20が第1のセラミック被膜22および第2のセラミック被膜23により覆われている。
ここで、1回目のCVDにおいて、基材20が、本発明の「基材」に相当し、第1のセラミック被膜22は、本発明の「セラミック被膜」に相当する。2回目(最後)のCVDにおいて、基材20と第1のセラミック被膜22とが、本発明の「基材」に相当し、第2のセラミック被膜23は、本発明の「セラミック被膜」に相当する。なお、1回目の2回目のCVDにおいて、基材に対する支持具の位置は変えられており、基材20は、第1のセラミック被膜及び/または第2のセラミック被膜で覆われている。
持具30により、傾斜部221および開口部222よりなる支持領域220が形成されている(図1(B)参照)。
第1のセラミック被膜22を形成する際に生じた開口部222および傾斜部221は、図1(C)に示すように2回目(最後)のCVDにより第2のセラミック被膜23で覆われる。すなわち、1回目のCVDにより形成された開口部222および傾斜部221は、2回目(最後)のCVDにより開口部であった部分222’および傾斜部であった部分221’となり、支持領域220は第2のセラミック被膜23で覆われて支持領域であった部分220’となる。
開口部221の面積は、支持領域220の面積の10%〜60%である。なお、開口部221および支持領域220は、支持具30のカバー部33が円形である場合でも、作業の状態によって必ずしも円形とはならず、偏心したり、楕円形等に変形する場合もある。
第1実施形態のセラミック部材の製造方法によれば、支持具30を用いて基材20を支持し、この状態でCVD法により基材20の表面にセラミック被膜21を形成する。このとき、支持具30は、基材20の表面201に接触する支持部32と、基材20の表面201に対して隙間Sを有するように支持部32を囲むカバー部33とを有する。
このため、支持具30に載置された基材20をCVD後に、取り外す際に、セラミック被膜21によって固着することがなく、支持点の周囲に有害なバリの発生、微少なクラックの発生を防止することができる。
このため、支持部32の先端を損傷しにくくことができる。また、基材20とカバー部33との隙間Sの間隔を、確保することができる。
また、支持部32の最外縁323とカバー部33の最外縁332との距離Lが、隙間Sの間隔の20倍以下であると、基材20にセラミック被膜21の形成されていない開口部222を小さく、すなわち、セラミック被膜21に覆われる面積を大きくすることができ
るので、基材20を保護しやすくすることができる。
実施例1〜3では、表面にセラミック被膜21(第1のセラミック被膜22)が形成された黒鉛を基材20として用い、その上にさらにセラミック被膜21(第2のセラミック被膜23)を形成する。実施例1〜3では、第2のセラミック被膜23の形成に関して説明するが、基材20を黒鉛のみとすれば、第1のセラミック被膜22の形成においても第1実施形態の製造方法が適用できる。
黒鉛にセラミック被膜21(第1のセラミック被膜22)を有する基材20を、3個の支持具30に載置し、CVD炉でMTS(メチルトリクロロシラン)を原料ガスとして使用し、SiCからなるセラミック被膜21を形成した。支持部32の先端の平坦部と、カバー部33と、隙間との関係、セラミック被膜を形成した際の固着、切り離しの状況、クラック、バリの有無を表1に示す。
また、用いた支持具30の形状について以下に説明する。
支持部32の先端に円形の平坦部(支持面322)を有し、リング状のカバー部33を有する支持具30を使用した。カバー部33は、先端が尖った回転体(図3(A)参照)である。
黒鉛にセラミック被膜21(第1のセラミック被膜22)を有する基材20には、第1のセラミック被膜22の形成時に支持部32に形成された支持領域220を有し支持領域220の中心には開口部222を有している。
実施例1〜3と同様な支持部32のみからなり、カバー部を有していない支持具を用い
、同様にセラミック部材10Aを形成した。
以下に、実施例1〜3および比較例の測定結果を示す。
ック、バリが無く本発明の効果が見られた。特に、実施例1および実施例2ではさらに固着は確認されず、クラック、バリの発生はなくさらに望ましいことがわかる。
次に、第2実施形態のセラミック部材の製造方法および支持具について、図を用いながら説明する。
なお、前述した第1実施形態のセラミック部材の製造方法および支持具30と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図5(A)、図5(B)、図5(C)、図6に示すように、第2実施形態のセラミック部材の製造方法では、基材20を立てかけた状態で第1のセラミック被膜22および第2のセラミック被膜23を形成する。
支持具30は、第1実施形態で用いたものと同じものである。支持具40は、支持具30と同様の構成をしており、支持具本体41、支持部42およびカバー部43を有する。カバー部43は、支持部42を囲んで基材の外表面から隙間Sを有するように備えられる。このようにカバー部が備えられることによって、CVD後に、カバー部43の先端が当接する基材20の表面には、基材20の側面及び2つの底面に及ぶ開口部422および傾斜部421からなる支持領域420が形成される。
また、支持具40で支持された部位には、カバー部43で覆われた面に、開口部422および傾斜部421よりなる支持領域420が形成される。
また、支持具40で支持された部位には、カバー部43で覆われた面に、開口部421および傾斜部421よりなる支持領域420が形成される。第2のセラミック被膜23の形成によって、第1のセラミック被膜22の形成における開口部222、422、傾斜部221、421はそれぞれ第2のセラミック被膜23によって覆われ、開口部であった部分222’、422’、傾斜部であった部分221’、421’となる。
例えば、上述したセラミック部材の製造方法においては、基材20に対する支持具30の位置を変えて、2回にわたってセラミック被膜21を形成した。この他、基材20に対する支持具30、40の位置を変えて、複数回(3回以上)にわたってセラミック被膜21を形成することにより、セラミック部材10A、10Bを製造することができる。この場合には、回数に応じた数のセラミック被膜層ができる。
で形成した場合を例示した。この他、例えば、カバー部33を別の部材で形成することも可能である。この場合には、支持部32の上に基材20を載置した後に、カバー部33を取り付ける支持具が利用できる。
20 基材
201 表面
21 セラミック被膜
30、30A、30B、40 支持具
32、42 支持部
323 最外縁
33、43 カバー部
332 最外縁
S 隙間
Claims (6)
- 支持具を用いて基材を支持した後、前記基材の表面にCVD法によりセラミック被膜を形成するセラミック部材の製造方法において、
前記支持具は、前記基材の前記表面に接触する支持部と、前記基材の前記表面に対して隙間を有するように前記支持部を囲むカバー部とからなり、
前記支持部における最外縁と、前記カバー部における最外縁との距離は、前記隙間の間隔の4〜20倍である、ことを特徴とするセラミック部材の製造方法。 - 前記支持具は、前記支持部と前記カバー部とが一体的に構成されていることを特徴とする請求項1に記載のセラミック部材の製造方法。
- 前記セラミック被膜は、SiCであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミック部材の製造方法。
- 前記基材あるいは前記基材の芯材は黒鉛で構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のセラミック部材の製造方法。
- 前記セラミック部材の製造方法は、前記基材に対する支持具の位置を変え複数回にわたって繰り返されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載のセラミック部材の製造方法。
- 基材の表面にCVD法によりセラミック被膜を形成する際にセラミック部材を支持するための支持具であって、
前記基材の前記表面に接触する支持部と、前記基材の前記表面に対して隙間を有するように前記支持部を囲むカバー部とからなり、
前記カバー部の高さは前記支持部の高さより低く、
前記支持部における最外縁と、前記カバー部における最外縁との距離が、前記隙間の間隔の4〜20倍になるように構成されている、ことを特徴とする支持具。
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