JP4003341B2 - インクジェット記録用無塵紙 - Google Patents
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Description
本発明はクリーンルームで使われる無塵紙や低発塵紙に関するものである。さらに詳しくは、従来の無塵紙よりも発塵が少なく、インクジェットプリンタで印刷したときの印字適性が良い、即ちベタ印字部の濃淡ムラがなく、インクの滲みが少ないインクジェット記録用無塵紙に関する。
【0001】
【従来の技術】
クリーンルーム内では、塵で空気を汚染しないような低発塵紙や無塵紙が使用される。特公平6−11959号公報には填料を含まず、かつ天然パルプ100重量部と水系バインダー、または溶剤系バインダー5〜40重量部とから構成され、揉み、こすり及び引裂揉みの各クリーン度試験において、1立方フィート当たり、0.3μm以上の粒子が1700個以下であることを特徴とする無塵紙が開示されている。この無塵紙は紙にアクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエマルジョンや水溶液を含浸して発塵を抑えている。
無塵紙はクリーンルーム内のあらゆる用途に用いられ、例えば、コピー用紙、フォーム用紙、レポート・メモ用紙、計測記録紙、伝票などの用途がある。
【0002】
これら用途に合わせて、無塵紙に要求される特性は、発塵性が低いこと以外に、水性ペン、油性ペンによる筆記性、印刷適性、PPC適性、帯電防止性などが挙げられる。
【0003】
近年のインクジェットプリンタの普及にともない、無塵紙にもインクジェットプリンター適性、すなわち、水性インクの滲みがなく、吸収性がよいことが求められるようになった。
【0004】
無塵紙は前記のごとくバインダーとなる樹脂を含浸しているため、一般的にはインクの吸収性と定着性に劣る。そのため、インクが吸収、乾燥するまでに時間がかかるので、インクの凝集やパルプ繊維に沿ったインクの浸透ムラが起こり、滲みやベタ印字部に濃淡ムラが起こることがあった。
【0005】
一般のインクジェット記録紙は、上質紙などの紙にクレーなどの顔料とバインダーからなる塗工層をもうけて、インクの吸収性を付与している。さらにアニオン性のインクの定着性を良好にするために、塗工層にカチオン樹脂を含有させて、インクを定着させるのが一般的になっている。しかし、インクジェット記録紙は、破いたり、擦ったりしたときの塗工層から顔料の脱落や紙からの塵の脱落には特別に配慮がなされていない。すなわち、破いたり擦れたりしたときにクリーンルーム内の空気を汚染するので、クリーンルームでの使用はできない。
【0006】
無塵紙にインク吸収性を付与するために、特開平4−355183号公報では低発塵紙または無塵紙に水溶性高分子などからなるインク吸収層をもうけた無塵紙が開示されている。しかし、インクの定着性に関しては十分に改善されなかった。
【0007】
インクの定着性を改善するために、特開平9−11611号公報では低発塵紙または無塵紙に3級アミンまたは4級アンモニウム塩を含むカチオン性樹脂からなるインク固着層を設けたことを特徴とするインクジェット用記録用紙が開示されている。
【0008】
特開平4−355183号公報および特開平9−11611号公報に開示された技術では、通常の発塵性を抑えるためのベースになる樹脂を一度含浸した後、さらに含浸または塗工によって、インク定着層を設ける必要があり、製造工程が多くなるという欠点があった。さらに、インク定着層が紙表面にあるために定着層からの発塵に問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発塵が少なく、インクジェットプリンタで印字した際の印字適性が優れている、即ち滲みが少なく、ベタ印字した部分の濃淡ムラのない無塵紙を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる現状に鑑みインクジェットプリンタによる印字適性、即ちインクの滲みや濃淡ムラを防止するために、インクジェットプリンタに用いられるインクの浸透状態と無塵紙の紙層構造の関係を、種々のパルプ材の繊維形態及び微細繊維の量と、それらのパルプ材を原料として製造した無塵紙のインクジェットプリンタによる印字適性を検討した結果、0.1mm以下の微細繊維を特定範囲に調整することにより紙層の空隙構造を均一にし、基紙の含浸性を改良することができることを見出した。さらに特定の繊維幅を有するパルプ材を原料として製造した無塵紙のインクジェットプリンタによる印字適性が極めて優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
又、0.1mm以下の微細繊維を少なくすることは、発塵性の改善にも効果がある。本発明者は、無塵紙又は低発塵紙から発生する塵についても、鋭意研究を行った結果、チップ材に由来する柔細胞やパルプ化工程及び抄紙原料調成工程にて生成する0.1mm以下の微細繊維が含まれることを見出した。0.1mm以下の微細繊維を減らすことにより、発塵の原因となる微細繊維自体が少ないという効果を有すると共に、バインダー樹脂の含浸を良好にし、微細繊維がパルプ繊維に強固に定着することにより、更に発塵性を押さえる効果がある。これにより、インクジェットプリンタによる印字適性は良好だが、発塵性が劣るバインダー樹脂でも、0.1mm以下の微細繊維の割合を減らすことにより発塵性が改善され、使用が可能になることを見出した。
【0012】
本発明は以下の発明を包含する。
(1)天然パルプを主成分とする基紙に樹脂を含浸してなる無塵紙において、該基紙の原料となるパルプが、JAPAN TAPPI No.52で規定されている光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験方法による数平均繊維長分布に基づき0.1mm以下の繊維長の繊維を3〜10%の範囲で含むことを特徴とするインクジェット記録用無塵紙。
【0013】
(2)天然パルプを主成分とする基紙に樹脂を含浸してなる無塵紙において、該基紙の原料パルプの繊維幅の平均値が18μm以下であり、平均値±5μmの繊維幅の割合が60%以上であることを特徴とする(1)記載のインクジェット記録用無塵紙。
【0014】
本発明者らは、無塵紙に発塵性を抑えるためのバインダー樹脂が含浸されていても、インクは含浸樹脂の粒子間を通り抜けてパルプ繊維に達していること、インクの滲みは紙層内の空隙を埋めながら、選択的にパルプ繊維に沿って生じていること、濃淡ムラや色濃度の低下は、バインダー樹脂の含浸ムラと、インクジェットプリンタ印刷の時のパルプ繊維へのインクの吸収ムラに起因していることから、無塵紙の基紙の紙層構造を変えることが重要であることを見出した。即ち、チップ材に由来する柔細胞や、パルプ化工程で生成する0.1mm以下の微細繊維を一定範囲内にすることにより、紙層内の空隙を均一にし、さらに、繊維幅が揃ったパルプを原料にすることにより、インクの浸透に適した空隙構造が形成され、次に示すごとく改善されると考えられる。
【0015】
第一にインクの濃淡ムラや色濃度の低下は、バインダー樹脂の含浸ムラと、インクジェットプリンタ印刷の時のパルプ繊維へのインクの吸収ムラに起因することから、微細繊維の量を特定範囲内にすることによりバインダー樹脂やインクの厚み方向の浸透速度を調整し、更に繊維幅の分布を揃えることにより、インクの分布を均一にすることが可能であり、濃淡ムラや色濃度の低下を防止することができる。
【0016】
第二に、滲みは、局所的にインクが浸透しにくい部分が存在する場合に、浸透しやすい部分に沿って発生する。よって、空隙構造を均一化することにより、インクの浸透を均一に速くできるため滲みが改善されると考えられる。更に、細く繊維幅が揃ったパルプを原料にすることにより、無塵紙中のパルプ繊維の総本数が増え、これにより繊維結合点が増えるため、繊維に沿ってインクが滲む、いわゆるフェザリングを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
一般的に、無塵紙の基紙の原料として使用されるパルプの繊維長を測定すると数平均繊維長で0.4mmから0.6mmであり、0.1mm以下の繊維の割合は16〜27%であった。本発明の無塵紙においては、0.1mm以下の繊維の割合が15%よりも多い場合は、微細繊維に由来する発塵が多く、又、紙層内の空隙構造が不均一となり、無塵紙として加工する際のバインダー樹脂の浸透不良及び不均一な分布の原因となる、更にはインクの浸透性に不均一なバラツキを生じるためインクジェットプリンタによるインクの滲み、濃淡ムラを発生する。一方、含浸する樹脂により異なるが、0.1mm以下の繊維の割合が3%よりも少ない場合は、発塵性は良いが、紙層内の空隙が大きくなりインクの吸収が著しく速くなるため、印字と反対の面にインクが浸透し印字面の印字濃度が低くなることがある。これに対して、0.1mm以下の繊維の割合が好ましくは3〜15%、さらに好ましくは3〜10%で、良好な印字適性を示す。
【0018】
通常、無塵紙の基紙の原料として使用されるパルプは、広葉樹、針葉樹の木材パルプに加え、マニラ麻、楮、三椏、雁皮などの非木材パルプを主成分とし、基紙の強度及びコストの面から広葉樹と針葉樹を混合し使用されることが多い。
【0019】
0.1mm以下の繊維を少なくする方法としては、広葉樹から製造されたパルプの配合割合を多くすることにより達成できる。一方、針葉樹から製造されたパルプの配合を増やすことにより強度を向上することが可能であるが、針葉樹から製造されたパルプは広葉樹から製造されたパルプに比べて0.1mm以下の繊維の割合が多いため、針葉樹から製造されたパルプを多く含む場合は、基紙の空隙構造が部分的に密となり、バインダー樹脂の浸透性が悪化する、及びインクジェットプリンタのインクの吸収ムラが発生しやすい。
一般的な針葉樹を使用する場合は、広葉樹と針葉樹の配合を広葉樹70%以上、針葉樹30%以下にする必要がある。一方、基紙の強度を保ちながら基紙の紙層構造を均一化し、バインダー樹脂の浸透性を良くするには、マニラ麻等のパルプを使用する方法があるが、高価でありコスト的に問題がある。
【0020】
又、使用する広葉樹から製造したパルプによっては0.1mm以下の微細繊維の量が大幅に多いことがあるが、抄紙原料の調成段階又は抄紙機にて、一般的なスクリーンのスクリーンプレートの目穴調整によるアクセプト原料の系外排出、抄紙機の白水の系外排出、浮上分離による微細繊維の排出等により0.1mm以下の繊維を減らすことが可能である。
【0021】
一方、通常の無塵紙に使用されている原料パルプの平均繊維幅は19〜22μm程度、平均値±5μmの割合は45〜55%程度である。本発明の無塵紙において、繊維幅の平均値が18μmを超えるパルプ原料を使用すると、前述したごとくフェザリングが発生しやすくなり、更に空隙構造が不均一化し濃淡ムラを生じるため適さない。又、天然パルプでは現実的に製造することは難しいが、平均繊維幅が細くても平均値±5μmの割合が60%よりも少ない場合は、繊維幅の著しく細い繊維と著しく太い繊維を多く含むことになり、空隙構造が不均一化し濃淡ムラを生じるため適さない。又、平均値±5μmの割合が60%以上でも平均値が18μmを超える場合は、無塵紙の紙層内に非常に大きな空隙が生じ、インクジェットプリンタで印字した際の裏抜けの原因となり適さない。
【0022】
この理由としては、細く繊維幅が揃ったパルプを原料にすることにより、無塵紙中のパルプ繊維の総本数が増え、これにより繊維結合点が増えるため、繊維に沿ってインクが滲む、いわゆるフェザリングを防止することができる。又、インクの濃淡ムラや色濃度の低下は、バインダー樹脂の含浸ムラと、インクジェットプリンタ印刷の時のパルプ繊維へのインクの吸収ムラに起因することから、繊維幅の分布を揃えることにより、無塵紙の紙層構造を改良し空隙状態を均一にすることが可能であり、濃淡ムラや色濃度の低下を防止することができる。
【0023】
通常、無塵紙では地合改善のため、又、無塵紙に加工するために基紙にバインダー樹脂を含浸する工程が含まれるため、使用レベルによってある程度以上の基紙の強度が要求される。従って、叩解機によりカナダ標準ろ水度300〜500ml(C.S.F)に叩解調成し使用することが一般的であり、叩解機の種類により、及び叩解の程度により0.1mm以下の繊維の割合は増加するが、本発明では0.1mm以下の繊維の割合が3〜15%であることが重要である。一方、叩解によって見かけ上の繊維の太さは変化するが、前述の叩解の程度であれば本質的なパルプの太さに影響はない。よって、本発明では叩解機及びろ水度により限定を受けるもでのはない。
【0024】
本発明において含浸に使用するエマルジョン樹脂はアクリル酸エステル共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)、スチレンブタジエン共重合体(SBR)、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などの内、発塵性の低い樹脂を選択して用いるが、本発明では、無塵紙の空隙構造を均一化できるため、粘度が高く使用できなかったエマルジョン樹脂、即ち浸透性の悪いエマルジョン樹脂も使用可能である。又、微細繊維に起因する発塵を少なくできることから、発塵性が劣り使用できなかったエマルジョン樹脂でも使用可能である。
【0025】
樹脂の含浸量は含浸前の基紙100重量部に対して、10〜40重量部である。これより含浸量が少ないと、発塵を抑える効果が十分ではなく、これより多くても発塵を抑える効果は変わらない。
【0026】
樹脂の含浸方法は、オンマシンでのサイズプレス、スプレーによる塗工やオフマシンでのディッピング含浸、各種コーティングマシンなどがあるが、これらに限定されない。
【0027】
また含浸後の不透明度を下げ過ぎないように、必要に応じて、クレー、カオリン、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカなどの充填材を微量であれば配合することができる。
【0028】
本発明で用いた繊維長分布測定、繊維幅分布測定、インクジェット適性、発塵性の評価方法は以下の通りである。
【0029】
(1)繊維長分布測定
本発明者等は、繊維長の測定に当たり、インクジェット印字適性及び発塵性に重要な影響を及ぼす微細繊維の量を本数で正確に把握するために、数平均繊維長分布を採用した。数平均繊維長を測定するに当たり、本発明では市販の繊維長分布測定機(商標:Fiber Lab、Kajaani社製)を用いた。本測定機は、JAPAN TAPPI No.52で規定された光学的自動計測法の装置であり、繊維の偏向特性を利用して、さまざまなフラクションにおける繊維の長さと本数を計測する。数平均繊維長、長さ加重平均繊維長、及び重さ加重平均繊維長が求められる。
【0030】
(2)繊維幅分布
本発明者等は繊維幅を測定する機器としても同様の繊維長分布測定機を用いた。本測定機は、繊維長分布だけでなく、画像処理することにより繊維幅、繊維壁の厚さの測定が可能であり、多くの繊維について迅速且つ精度良く測定が可能である。
【0031】
(3)インクジェット適性
A4サイズに断裁した無塵紙にインクジェットプリンタ(EPSON MJ−3000CU)で、約3cm角のべた塗り、及び大きさを変えた文字パターンを黒とカラーで印字し、べた塗り部分の濃淡ムラと文字印字部分の滲みの状態を評価した。濃淡ムラ、滲み共に5段階評価とし、点数が高い程インクの滲みがなく良好であることを示す。
【0032】
(4)発塵性
試験片をクリーンベンチ内で、揉んだとき、擦ったとき、引裂いたときの3パターンの発塵量を測定した。試験条件を以下に記す。それぞれの試験条件で発生する塵を吸引管で集め、光散乱型微粒子計数計(リオン製、KC−14)で、吸引体積0.02立方フィート中の0.3μm以上の塵の数を記録した。揉み、擦り試験は5個/0.02立方フィート以下、引裂試験は10個/0.02立方フィート以下であれば発塵性が実用レベルの低さであるといえる。
【0033】
▲1▼<揉み試験>A4サイズ(29.7×21cm)の試験片を5秒毎に1回、2分間揉む。
【0034】
▲2▼<擦り試験>直径14cmの円型と10cm角に切った試験片を用意する。円形の試験片を円盤に貼り付け、回転数500rpmで回転させる。10cm角の試験片を回転する円盤に貼り付けた試験片と接触させ、2分間擦りつける。
【0035】
▲3▼<破り試験>A4サイズの試験片2枚を用意し、長さ21cmの片を20mm間隔で20mm分破る。1枚で9カ所破るので合計18カ所の切れ目を2分間で引き裂く。
【0036】
【実施例】
本発明を下記実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例および比較例において表示する「%」は、特記のないかぎり「固形分重量%」を示す。
【0040】
実施例1〜2
原料パルプとして、アスペン材から製造された広葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプC(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合18%、繊維幅20μm)80%と針葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプD(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合23%、繊維幅21μm)20%をカナダ標準ろ水度400ml(C.S.F)まで叩解し、バウア・マクネット試験機(TAPPI T233hm−82)で24メッシュオン及び150メッシュパスの繊維を一部除去し、0.1mm以下の繊維の割合及び繊維幅を調整し、0.1mm以下の繊維の割合が4%のものを実施例1の抄紙原料とし、8%のものを実施例2の抄紙原料とした。
この抄紙原料に、WS−570(日本PMC社製、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂、湿潤紙力増強剤)を対パルプ0.2%、ポリストロン117(荒川化学工業社製、ポリアクリルアミド系紙力剤)を対パルプ0.2%添加し、通常に抄紙して、64g/m 2 、厚さ100μmの基紙を得た。
次いで、前記基紙にアクリル酸エステル共重合体樹脂(Tg−27℃)50%とアクリル酸エステル共重合体樹脂(Tg−10℃)50%の12%含浸液をディッピング含浸機にて含浸量が9g/m 2 になるように含浸し無塵紙を得た。
【0042】
比較例1
原料パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプC(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合18%、繊維幅20μm)80%と針葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプD(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合23%、繊維幅21μm)20%を使用しカナダ標準ろ水度400ml(C.S.F)まで叩解し、バウア・マクネット試験機で処理せずに抄紙原料とした。以降は実施例1と同様にし、無塵紙を得た。
【0043】
比較例2
原料パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプC(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合18%、繊維幅20μm)80%と針葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプD(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合23%、繊維幅21μm)20%を使用しカナダ標準ろ水度400ml(C.S.F)まで叩解し、バウア・マクネット試験機で処理して150メッシュパスの繊維を完全に除去し抄紙原料とした。以降は実施例1と同様にし、無塵紙を得た。
【0044】
比較例3
原料パルプとして、広葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプB(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合8%、繊維幅16μm)65%と針葉樹晒クラフトパルプの市販乾燥パルプD(未叩解パルプ中の0.1mm以下の微細繊維の割合23%、繊維幅21μm)35%をカナダ標準ろ水度400ml(C.S.F)まで叩解し、抄紙原料とした。以降は実施例1と同様にし、無塵紙を得た。
【0046】
実施例1〜2および比較例1〜3にて使用した原料パルプの繊維幅、及び得られた無塵紙にインクジェットプリンタで印字しインクジェット適性と、発塵性の評価を行った。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から明らかなように、0.1mm以下の微細繊維割合が3%以上、10%以下であることを特徴とする原料パルプを使用して製造された本発明の無塵紙(実施例1〜2)はインクジェット適性が優れており、発塵性も低い。対して、比較例1〜3に示す無塵紙は発塵性とインクジェット適性の両特性において共に満足する結果が得られず実用に供することが出来ない。
【0049】
【発明の効果】
前述した如く、本発明は、発塵製が低く、インクジェットプリンタで印刷したときの印字適性が良い、即ちベタ印字部の濃淡ムラがなく、インクの滲みが少ないインクジェット用記録無塵紙を提供するという効果を奏する。
Claims (2)
- 天然パルプを主成分とする基紙に樹脂を含浸してなる無塵紙において、該基紙の原料となるパルプが、JAPAN TAPPI No.52で規定されている光学的自動計測法でのパルプ繊維長試験方法による数平均繊維長分布に基づき0.1mm以下の繊維長の繊維を3〜10%の範囲で含むことを特徴とするインクジェット記録用無塵紙。
- 天然パルプを主成分とする基紙に樹脂を含浸してなる無塵紙において、該基紙の原料パルプの繊維幅の平均値が18μm以下であり、平均値±5μmの繊維幅の割合が60%以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用無塵紙。
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