JP4002975B2 - ビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法 - Google Patents
ビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4002975B2 JP4002975B2 JP2003124814A JP2003124814A JP4002975B2 JP 4002975 B2 JP4002975 B2 JP 4002975B2 JP 2003124814 A JP2003124814 A JP 2003124814A JP 2003124814 A JP2003124814 A JP 2003124814A JP 4002975 B2 JP4002975 B2 JP 4002975B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bismuth
- oxide
- superconducting composite
- silver
- wire
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E40/00—Technologies for an efficient electrical power generation, transmission or distribution
- Y02E40/60—Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment
Description
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、ビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、超伝導電流が安定して流れ、臨界電流密度特性の改善されたビスマス2212超伝導複合多芯線材を製造することのできるビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】
銀若しくは銀合金シース内に酸化物超伝導体が多数本埋め込まれた酸化物超伝導複合多芯線材については、比較的高い臨界電流密度特性を実現することが可能である(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、その臨界電流密度特性は、実用化が可能なほどには高くない。それというのも、酸化物超伝導体同士が銀若しくは銀合金シース内で結合し、結晶が粗大化してしまうからである。このように、酸化物超伝導複合多芯線材については、超伝導電流を安定的に流すために有効とされる多芯構造は可能であっても、多芯化によりもたらされる効果が十分に得られていないのが実情である。
【0004】
この出願の発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、超伝導電流が安定して流れ、臨界電流密度特性の改善されたビスマス2212超伝導複合多芯線材を製造することのできるビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−329112号公報
【0006】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、銀若しくは銀合金により被覆されたビスマス2212酸化物の単芯線材を銀若しくは銀合金のシース内に複数本埋め込んだ線材を加熱してビスマス2212酸化物を部分溶融させ、次に徐冷して超伝導体とするビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法であって、前記熱処理雰囲気を酸素とし、前記部分溶融時の最高到達温度をビスマス2212酸化物の融点より0.6℃以上2℃以下とするとともに、前記徐冷時の冷却速度を2℃/時とすることを特徴とするビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法を提供する。
【0007】
以下、実施例を示し、この出願の発明のビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法についてさらに詳しく説明する。
【0008】
【発明の実施の形態】
この出願の発明のビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法は、上述のとおり、銀若しくは銀合金により被覆されたビスマス2212酸化物の単芯線材を銀若しくは銀合金のシース内に複数本埋め込んだ後、ビスマス2212酸化物を超伝導体とする製造方法である。ここで、ビスマス2212酸化物とは、一般に知られているように、組成式Bi2Sr2Ca1Cu2Oxで示され、適当な熱処理により臨界温度90K程度の超伝導体となる複合酸化物である。
【0009】
そして、この出願の発明のビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法では、ビスマス2212酸化物を部分溶融させた後徐冷して超伝導体とする際に、部分溶融時の最高到達温度をビスマス2212酸化物の融点より0.6℃以上2℃以下とする。このように、ビスマス2212酸化物を部分溶融させる時の最高到達温度をビスマス2212酸化物の融点より0.6℃以上2℃以下の温度にする精密な熱処理を行うことにより、ビスマス2212超伝導体の結晶の粗大化が抑制され、多芯化されたビスマス2212超伝導体が互いに結合するのが抑制される。製造されるビスマス2212超伝導複合多芯線材は、超伝導電流を安定して流すことができ、臨界電流密度特性が十分高く、実用に好ましいものとなる。
【0010】
なお、ビスマス2212酸化物の融点は、示差熱分析装置を用いて測定することができる。ビスマス2212酸化物が固相から液相に移る時、示差熱分析装置において吸熱のピークが観察され、その吸熱ピークの開始位置を融点とすることができる。ビスマス2212酸化物の融点は酸素分圧に依存する傾向にあり、酸素分圧が1気圧、0.2気圧、0.05気圧の時、融点は、それぞれ、881℃、871℃、861℃と測定される。
【0011】
この出願の発明のビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法において、銀合金の種類は特に制限されず、たとえばAg−Mg合金を例示することができる。このAg−Mg合金におけるMgの割合は、たとえば0.02〜0.5wt%が例示される。
【0012】
【実施例】
Bi2O3、SrCO3、CaCO3、CuOの粉末をBi:Sr:Ca:Cu=2:2:1:2となるように配合し、この粉末に対して850℃で12時間の熱処理を行った。このように仮焼したビスマス2212粉末を銀若しくは銀合金のシースに詰め込み、圧延を行い、単芯線材を作製した。この単芯線材を多数本束ねて銀合金シース内に詰め込んだ後圧延を行った。以上の工程を繰り返し、線径1.0mmφ、多芯数127×7の多芯線材を作製した。作製した多芯線材を3−4cm程度に切断し、1気圧の酸素を常時流し続ける管状型電気炉内に配置した。この管状型電気炉は、±1℃の温度制御を可能としたものである。このような管状型電気炉において部分溶融−徐冷熱処理を行った。部分溶融−徐冷熱処理の温度パターンは、600℃で5時間放置した後、2時間で最高到達温度(Tmax)まで温度を上げ、その後、2℃/時間の冷却温度でTmax−60の温度まで徐冷し、次いで50℃/時間で200℃程度まで温度を下げた後、炉冷を行うものとした。そして、Tmaxを880.5℃〜886.4℃まで約1℃ずつ変化させ、線材を作製した。作製した各線材に4.2K、10Tの磁場中で電流を流し、臨界電流密度を測定した。臨界電流は、1μV/cmの電圧発生をクライテリオンとして決定した。
【0013】
図1は、各多芯線材の臨界電流値の熱処理温度依存性を示した図である。
【0014】
881℃まではまったく電流が流れないが、882.5℃で突然最高値の425Aの電流が流れ、Tmaxが882.5℃を超えると、臨界電流値は半分程度に下がることが確認された。
【0015】
その原因を調べるために、各温度で作製した多芯線材の長手方向の断面を観察した。その結果が図2の写真である。写真中の暗い領域がビスマス2212酸化物超伝導体であり、明るい領域が銀若しくは銀合金シースである。881.5℃の熱処理ではビスマス2212超伝導体は溶融していない。したがって、電流が流れるために必要な結晶粒間の結合が不十分であり、電流が流れなかったと考察される。882.3℃の熱処理では隣接するビスマス2212超伝導体同士の結合が少なく、臨界電流を安定に流すことができたと理解される。886.4℃の熱処理では隣接するビスマス2212超伝導体が結合し、結晶粒の粗大化が起こることが確認される。このように結晶粒が粗大化すると、超伝導電流の流れが不均一となり、安定した電流を流すことができず、また、不純物等が生成し、臨界電流密度の低下を引き起こす。
【0016】
以上から、ビスマス2212酸化物を超伝導体とする際の部分溶融−徐冷処理において、部分溶融時の最高到達温度をビスマス2212酸化物の融点より0.6℃以上2℃以下とすることが、臨界電流が安定して流れ、臨界電流密度特性を改善させるために有効であると実証された。
【0017】
もちろん、この出願の発明は、以上の実施形態及び実施例によって限定されるものではない。多芯線材の構造、シース用の銀合金の種類等の細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。
【0018】
【発明の効果】
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、超伝導電流が安定して流れ、臨界電流密度特性の改善されたビスマス2212超伝導複合多芯線材が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】部分溶融時の最高到達温度と臨界電流との関係を示した図である。
【図2】部分溶融時の最高到達温度を881.5℃、882.3℃、886.4℃として得られた多芯線材の長手方向の断面組織を示した写真である。
Claims (1)
- 銀若しくは銀合金により被覆されたビスマス2212酸化物の単芯線材を銀若しくは銀合金のシース内に複数本埋め込んだ線材を加熱してビスマス2212酸化物を部分溶融させ、次に徐冷して超伝導体とするビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法であって、前記熱処理雰囲気を酸素とし、前記部分溶融時の最高到達温度をビスマス2212酸化物の融点より0.6℃以上2℃以下とするとともに、前記徐冷時の冷却速度を2℃/時とすることを特徴とするビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003124814A JP4002975B2 (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | ビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003124814A JP4002975B2 (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | ビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004335116A JP2004335116A (ja) | 2004-11-25 |
JP4002975B2 true JP4002975B2 (ja) | 2007-11-07 |
Family
ID=33502252
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003124814A Expired - Lifetime JP4002975B2 (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | ビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4002975B2 (ja) |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003124814A patent/JP4002975B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2004335116A (ja) | 2004-11-25 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JPH06318409A (ja) | 超電導導体 | |
Kumakura et al. | Superconducting Properties of Diffusion-Processed Multifilamentary ${\rm MgB} _ {2} $ Wires | |
JP2636049B2 (ja) | 酸化物超電導体の製造方法および酸化物超電導線材の製造方法 | |
JP2003298129A (ja) | 超電導部材 | |
JP4111240B1 (ja) | 酸化物超電導材料およびその製造方法ならびに超電導線材、超電導機器 | |
JP4002975B2 (ja) | ビスマス2212超伝導複合多芯線材の製造方法 | |
JP2006260854A (ja) | 超電導線材の製造方法 | |
JP3369225B2 (ja) | 酸化物高温超電導線材の製造方法 | |
JP3778971B2 (ja) | 酸化物超電導線材およびその製造方法 | |
EP0428993B2 (en) | Use of an oxide superconducting conductor | |
JP2004200178A (ja) | 酸化物超電導導体およびその製造方法 | |
US4321749A (en) | Method for producing superconductors | |
JP3657367B2 (ja) | ビスマス系酸化物多芯超電導線およびその製造方法 | |
JP3757141B2 (ja) | Nb▲3▼Sn超電導線材の製造方法 | |
JPH06275146A (ja) | 複合超電導線材 | |
JP3051867B2 (ja) | 酸化物超電導線材の製造方法 | |
JP3692657B2 (ja) | 酸化物超電導線材 | |
KR100821209B1 (ko) | 니켈 기판을 이용한 고온초전도 후막테이프의 제조방법 | |
JP2517867B2 (ja) | V3 Si超電導極細多芯線材の製造法 | |
JPH03102717A (ja) | 電流リード用導体の製造方法 | |
JP2004296253A (ja) | ビスマス系酸化物超電導線材の製造方法 | |
JP2735534B2 (ja) | 化合物超伝導線及び化合物超伝導線の製造方法 | |
JP3044732B2 (ja) | ビスマス系酸化物超電導体の製造方法 | |
JP2004214020A (ja) | Nb3Sn線材の製造方法 | |
JP2006085980A (ja) | 超電導線材の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20051114 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20051213 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060206 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070306 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070404 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20070508 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070724 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4002975 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |