JP3051867B2 - 酸化物超電導線材の製造方法 - Google Patents

酸化物超電導線材の製造方法

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JP3051867B2
JP3051867B2 JP5091197A JP9119793A JP3051867B2 JP 3051867 B2 JP3051867 B2 JP 3051867B2 JP 5091197 A JP5091197 A JP 5091197A JP 9119793 A JP9119793 A JP 9119793A JP 3051867 B2 JP3051867 B2 JP 3051867B2
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oxide superconducting
superconducting wire
rolling
wire
tension
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武志 加藤
謙一 佐藤
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
Japan Science and Technology Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、酸化物超電導線材の
製造方法に関するものであり、特に、高い臨界電流密度
を有する酸化物超電導線材の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、より高い臨界温度を示す超電導材
料として、セラミック系のもの、すなわち、酸化物超電
導材料が注目されている。その中で、イットリウム系は
90K、ビスマス系は110K、タリウム系は120K
程度の高い臨界温度を示し、実用化が期待されている。
【0003】この中でも、ビスマス系やタリウム系酸化
物超電導材料においては、粉末を金属シースにて被覆
し、伸線加工と、圧延加工またはプレス加工等の押圧加
工と、熱処理とを施すことにより、高い臨界電流密度を
有する酸化物超電導線材が得られている。また、従来、
このような押圧加工および熱処理のステップを複数回繰
返すことにより、より高い臨界電流密度を有する酸化物
超電導線材が得られることが知られている。
【0004】しかしながら、特に高い臨界電流密度が得
られている酸化物超電導線材は、プレス加工を用いて作
製された、10cm程度の長さの短いものがほとんどで
ある。一方、長さの長い酸化物超電導線材の作製におい
ては、プレス加工を用いることができず、ロールによる
圧延加工を用いなくてはならないため、長さの短い線材
のように高い臨界電流密度を得ることができない。
【0005】また、従来、酸化物超電導線材において、
超電導体の金属シースに対する断面積比が大きくなる
と、臨界電流密度はさらに低下する傾向が大きかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】酸化物超電導線材をケ
ーブルやマグネットに応用する際には、高い臨界温度に
加えて、高い臨界電流密度を有していることが必要であ
る。また、長い酸化物超電導線材においては、均一な特
性を持つことも必要である。
【0007】しかしながら、従来の酸化物超電導線材
は、前述のように、超電導体の金属シースに対する断面
積比が大きい場合や、長尺化を図った場合には、臨界電
流密度が低下してしまうという問題点があった。
【0008】この発明の目的は、上述の問題点を解決
し、超電導体の金属シースに対する断面積比が大きい場
合や、長尺化を図った場合に、臨界電流密度の向上をも
たらすことができる、酸化物超電導線材の製造方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明による酸化物超
電導線材の製造方法は、酸化物超電導材料を主成分とす
る粉末を、金属シースにて被覆し、伸線加工を行なった
後、圧延加工と熱処理を繰返して、酸化物超電導線材を
製造する方法であって、熱処理後の圧延加工時にかける
前方張力および後方張力を、0.8kg/mm2 以下に
することを特徴としている。
【0010】
【作用】この発明によれば、熱処理後の圧延加工時にか
ける前方張力および後方張力を、0.8kg/mm2
下にしている。酸化物超電導線材は、前述のように、圧
延加工と熱処理を繰返すことにより、配向性および緻密
性が増し、臨界電流密度が向上する。しかしながら、酸
化物超電導体はセラミックスであるため、焼結が行なわ
れると延性に非常に乏しくなり、また無理に引張ると割
れが生じてしまう。この割れが大きすぎると、熱処理を
行なっても回復できず、熱処理後も存在してしまう。そ
して、この割れは、電流の流れを妨げるため、臨界電流
密度低下の大きな原因となる。したがって、焼結後の圧
延加工は、できるだけ線材に引張りの力がかからないよ
うにする必要がある。
【0011】図1は、ロールによる圧延加工の工程を示
す概略図である。図1を参照して、サプライ1より供給
された酸化物超電導線材2は、圧延ロール3によって圧
延加工された後、巻き取り機4に巻き換えられる。圧延
ロール3による圧延の際には、酸化物超電導線材2に対
して、前方張力5および後方張力6がかけられる。この
うち、前方張力5の大きさは張力制御ロール7によって
制御され、一方、後方張力6の大きさはサプライ1に備
えられた張力制御装置によって制御される。
【0012】本発明者らは、圧延方法の検討に際して、
特に、焼結後の圧延加工の際にかける最適な前方張力お
よび後方張力を検討した。その結果、従来、焼結後の圧
延加工時には、約1.6〜1.7kg/mm2 の前方張
力5および後方張力6をかけていたが、この前方張力5
および後方張力6を0.8kg/mm2 以下に下げるこ
とにより、大きな割れを生じさせることなく圧延するこ
とができ、臨界電流密度を向上させることができる。
【0013】
【実施例】
(実施例1)まず、Bi2 3 、PbO、SrCO3
CaCO3 およびCuOを用いて、Bi:Pb:Sr:
Ca:Cu=1.81:0.40:1.98:2.2
1:3.03の組成比になるように、これらを配合し
た。この配合したものを、大気中において750℃で1
2時間、続いて同じく大気中において800℃で8時
間、さらに、減圧雰囲気1Torrにおいて760℃で
8時間の順に、3段階の熱処理を施した。なお、各熱処
理後には、粉砕を行なった。このような熱処理および粉
砕を経て得られた粉末を、さらに、ボールミルにより粉
砕し、サブミクロンの粉末を得た。この粉末を、800
℃で2時間の熱処理を施した後、外径12mm、内径9
mmの銀パイプ中に充填した。この後、これを伸線し、
その途中の8.9mmφの丸線の状態のときに、真空中
650℃で10時間の熱処理を施した。さらに、これを
伸線し、1mmφの酸化物超電導線材を得た。
【0014】次に、このようにして得られた1mmφの
酸化物超電導線材に対して、最初の圧延加工を行ない、
0.18mmの厚さにした。なお、この最初の圧延加工
の際には、3.8kg/mm2 の前方張力と、0.4k
g/mm2 の後方張力がかけられた。この圧延加工によ
り得られた線材を、850℃で50時間、80m長で熱
処理した。
【0015】その後さらに、この線材に対して、表1に
示す5種の条件で2回目の圧延加工を施し、0.16m
mの厚さにした。なお、この2回目の圧延加工の際にか
けられた後方張力は、すべて0.4kg/mm2 であっ
た。この2回目の圧延加工により得られた線材を、50
cm長で10枚のバンドルとし、850℃で50時間の
熱処理を施した。
【0016】
【表1】
【0017】このようにして得られた酸化物超電導線材
の、77Kにおける臨界電流密度を測定した。その結果
を表2に示す。
【0018】
【表2】
【0019】表2より明らかなように、2回目の圧延加
工の際にかける前方張力が本発明の範囲内にある線材N
o.3〜No.5の酸化物超電導線材は、線材No.1
およびNo.2の比較例の酸化物超電導線材よりも、臨
界電流密度が高いことがわかる。
【0020】(実施例2)実施例1と同様に、1回の圧
延加工と熱処理によって得られた線材に対して、表3に
示す3種の条件で2回目の圧延加工を施し、0.16m
mの厚さにした。なお、この2回目の圧延加工の際にか
けられた前方張力は、すべて0.18kg/mm2 であ
った。この2回目の圧延加工により得られた線材を、5
0cm長で10枚のバンドルとし、850℃で50時間
の熱処理を施した。
【0021】
【表3】
【0022】このようにして得られた酸化物超電導線材
の、77Kにおける臨界電流密度を測定した。その結果
を表4に示す。
【0023】
【表4】
【0024】表4より明らかなように、2回目の圧延加
工の際にかける後方張力が本発明の範囲内にある線材N
o.7およびNo.8の酸化物超電導線材は、線材N
o.6の比較例の酸化物超電導線材よりも、臨界電流密
度が高いことがわかる。
【0025】なお、以上の実施例に関する開示は、本発
明の単なる具体例に過ぎず、本発明の技術的範囲を何ら
制限するものではない。すなわち、本発明の適用はビス
マス系酸化物超電導線材の製造に限られるものではな
く、タリウム系およびイットリウム系酸化物超電導線材
の製造に関しても適用できる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、臨界電流密度の高い長尺の酸化物超電導線材が得ら
れる。したがって、この発明により製造された酸化物超
電導線材は、ケーブルやマグネットへの適用が可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】ロールによる圧延加工の工程を示す概略図であ
る。
【符号の説明】
1 張力制御サプライ 2 酸化物超電導線材 3 圧延ロール 4 巻き取り機 5 前方張力 6 後方張力 7 張力制御ロール
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−160711(JP,A) 特開 平3−130106(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 12/00 - 13/00

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化物超電導材料を主成分とする粉末
    を、金属シースにて被覆し、伸線加工を行なった後、圧
    延加工と熱処理を繰返して、酸化物超電導線材を製造す
    る方法であって、 前記熱処理後の圧延加工時にかける前方張力および後方
    張力を、0.8kg/mm2 以下にすることを特徴とす
    る、酸化物超電導線材の製造方法。
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