JP4002021B2 - 回転駆動体を収容するケース - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば光磁気ディスクなどの回転駆動体を収容するケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のケースは、例えば、ディスクと呼ばれる回転駆動体を収容する四角形の薄いケース本体と ケース本体に設けた窓(例えば信号読み書き窓)をスライド開閉するシャッターとを備えている。不使用状態において、シャッターはケース本体の内部に設けたロック爪でロック保持されて、信号読み書き窓を閉じている。信号読み書き窓と共に、ケース本体の下面中央に開口する駆動穴を、シャッターで同時に閉じる形態のものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
光磁気ディスクを信号記録媒体とするもののひとつにミニディスクがあるが、これをさらにひと回り小さくし、さらに信号記録容量を向上することを狙った次世代の記録媒体が提案されている。ディスクドライブ、とくにポータブル型のディスクドライブの小型化や軽量化の要求に応えるためである。そこでは、ディスクの直径寸法が小さい分だけ周速度が低下する。そのため、より高速度でディスクを回転して信号の読み書きを行うことが想定される。また、コンピュータデータの読み込み時には、通常の回転速度の10〜20倍前後の高速度でディスクを駆動することもある。このように、ディスクの回転速度が高速化するのに伴って、それまで殆ど無視できた空気抵抗が問題になって来る。
【0004】
ディスクを高速度で回転駆動すると、その表面で引き擦られた空気が渦を形成し、ケース本体内を流動する。この流動空気や渦はディスクの回転を阻害する要因のひとつとなる。そのため、ディスクドライブ側では先の流動空気や渦による空気抵抗に打ち勝ってディスクを高速回転させる必要があり、その分だけディスクドライブの電力消費量が増す。とくに、電池を電源とするポータブル型のディスクドライブや、ノート型のパーソナルコンピュータに組み込まれたディスクドライブなど、連続使用時間が重要な商品仕様となる機器においては、電力消費量の多さが問題視される。
【0005】
この発明の目的は、回転駆動体の駆動時の空気抵抗を減少させて、その分だけ駆動用ドライブの電力消費を抑止して、連続使用時間を延ばすことができる、回転駆動体を収容するケースを提供することにある。
この発明の他の目的は、ケース構造を一部変更するだけで、回転駆動体の駆動時の空気抵抗を減少でき、従って、新たな部品の追加などのコスト増を伴うこともなく、回転駆動体の駆動時の空気抵抗を効果的に減少でき、とくに高速度で回転駆動される回転駆動体に好適なケースを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るケースは、回転駆動体(例えば情報信号を記録するディスク)1を収容するケース本体2と、ケース本体2に開口した信号読み書き窓3を開閉するシャッター4とを備えている。信号読み書き窓3の一対の側縁のうち、回転駆動体1の回転に伴って生じる流動空気の流動方向と対向する側の側縁3aに連続して排気口10を切り欠き形成する。不使用状態において排気口10を塞ぐ蓋部11をシャッター4と一体に設ける。回転駆動体1の回転平面と対向するケース本体2の内面上下に、流動空気を信号読み書き窓3を介して排気口10へと流動案内する一対のガイドリブ15・16を突設する。一方のガイドリブ15は、回転駆動体1の外縁より内側に配置してあって、リブ端を信号読み書き窓3のケース中央寄りの内隅部に連続させる。他方のガイドリブ16は、回転駆動体1の外縁より外側に配置してあって、リブ端を信号読み書き窓3の閉じ端側の側縁の外隅近傍に連続させる。シャッター4を開放した状態において、シャッター4の主面壁4aで排気口10の外面を覆って、流動空気を主面壁4aと主面壁4aを案内するガイド面壁7aとの間の隙間Eを介して逃がす。
【0007】
ケース本体2の内面上下に設けられた両ガイドリブ15・16の間に、回転駆動体1の回転に伴って生じる流動空気を信号読み書き窓3を介して排気口10へと流動案内するためのガイド面17を凹み形成する。ガイド面17を、ガイドリブ15・16の延出端側から信号読み書き窓3の側へ向かって凹み深さが漸増する傾斜面に形成する。
【0009】
【作用】
使用時の回転駆動体1は、図1に示す矢印の向きに回転駆動される。回転する回転駆動体1によって生起された流動空気の一部は、窓3からケース外へ流出するが、その大半は運動慣性力によって窓3を横断し、再びケース内へ入り込もうとする。しかし、窓3の開放端側の側縁3aに排気口10を設け、その外面が開放されたシャッター4の主面壁4aで覆うので、窓3を横断して排気口10に達した流動空気は主面壁4aに沿って移動し、主面壁4aとガイド面壁17との間の隙間Eを通り抜けてケース外へ放出される。このように、排気口10と隙間Eとを介して流動空気をケース外へ排出すると、その分だけ回転駆動体1の回転時の空気抵抗を減少しディスク駆動に要する消費動力、すなわち消費電力量を減少できる。流動空気の流動方向と対向する側の側縁3aに排気口10を設けるので、窓3を横断した流動空気を排気口10の周縁壁でせき止めて、効果的に隙間Eへと流動案内できる。
【0010】
ケース本体2の内面上下に設けたガイドリブ15・16は、ケース内面壁に沿って流れる流動空気を整流し収束させて、窓3へと指向案内する。これにより、回転駆動体1と共に旋回する流動空気の殆どを窓3を介して排気口10へと流動案内でき、流動空気をより効果的に排出できる。
【0011】
ケース本体2の内面上下にガイド面17を凹み形成すると、ケース内面に沿って流れてきた流動空気は、窓3の側へ向って傾斜案内し、その流動方向を排気口10の外面に位置する主面壁4aへと指向させることができる。これにより、窓3を横断した流動空気がケース内へ再進入するのを阻止でき、強制的に流動空気を主面壁4aに沿って流動させて隙間Eから放出できる。
【0012】
【実施例】
図1ないし図3は、この発明にかかるケースをディスクカートリッジに適用した実施例を示す。図2において、ディスクカートリッジは情報信号を記録する円盤状のディスク(回転駆動体。この例では、光磁気ディスクである。)1と、ディスク1を回転自在な状態で収容するケース本体2とからなる。ディスク1はディスク本体の片面ないし両面に情報信号を記録でき、ディスク本体の下面中央に回転駆動用のハブが固定してある。
【0013】
ケース本体2は、それぞれプラスチック成形された上ケース2aと下ケース2bとを接合した、平面視が四角形のケースからなり、上下面の一側寄りに信号読み書き窓(本発明でいうところの窓)3が開口してある。この窓3はシャッター4でスライド開閉できる。シャッター4は閉じ位置においてロック爪5でロック保持され、捻じりコイル形のばね6で閉じ勝手に移動付勢してある。ケース本体2の上下面には、シャッター4の開閉領域に対応して、浅いスライド凹部7が凹み形成してある。
【0014】
上記のように構成したディスクカートリッジは、ケース本体2を図2の矢印で示す向きにディスクドライブへ装填すると、ロック爪5がロック解除操作され、シャッター4がばね6の付勢力に抗してスライド開放される。ディスク1は、ケース本体2の下面中央の駆動穴から進入する駆動軸でハブを介して保持固定され、図1において矢印で示す向きへ回転駆動される。このとき、ディスク1の回転駆動に伴って生じる流動空気を効果的にケース外へ逃がし、これによりディスク駆動時の空気抵抗を減少するために、排気口10とこれを開閉する蓋部11とを付加する。
【0015】
図1において排気口10は、信号読み書き窓3の一対の側縁のうち、開放端側の側縁3aに連続して切り欠き形成する。つまり、流動空気の流動方向と対向する側の側縁3aに排気口10を形成する。また、蓋部11はシャッター4の主面壁4aと一体に形成して、図2に示すように信号読み書き窓3をシャッター4で閉じた状態において、排気口10を蓋部11で閉止できるようにした。上下の主面壁4aは、スライド凹部7に沿って開閉するが、開閉動作を円滑化するために、両主面壁4aの対向間隔Bをスライド凹部7のガイド面壁7aの上下間隔bより僅かに大きく設定する(図3参照)。従って、主面壁4aとガイド面壁7aとの間には隙間Eが形成される。
【0016】
図1においてシャッター4は、信号読み書き窓3を全開放し、その主面壁4aが排気口10の外面を覆う位置までスライド操作される。このとき、蓋部11はスライド凹部7からはみ出る。そのため、スライド凹部7の開放端側の周縁壁に、スライド凹部7と面一状の逃げ凹部12を設けてあり、蓋部11の突端側は逃げ凹部12内に収まる。
【0017】
ケース本体2の内面壁に沿って流れる流動空気を、信号読み書き窓3を介して排気口10へと流動案内するために、ディスク1の回転平面と対向するケース本体2の内面上下、つまり上下ケース2a・2bの上壁および底壁の内面のそれぞれに、一対のガイドリブ15・16を設け、両リブ15・16間にガイド面17を凹み形成する。図1に示すように、一対のガイドリブ15・16は信号読み書き窓3の側からディスク1の回転方向上手側へ延びる部分円弧状のリブからなる。一方のガイドリブ15はディスク1の外縁より内側に配置し、リブ端を信号読み書き窓3のケース中央寄りの内隅部に連続させる。他方のガイドリブ16は、ディスク1の外縁より外側に配置し、リブ端を信号読み書き窓3の閉じ端側の側縁の外隅近傍に連続させる。ガイド面17は、先のガイドリブ15・16の延出端側から、信号読み書き窓3の側へ向って凹み深さが漸増する傾斜面に形成する(図3参照)。
【0018】
以上のように信号読み書き窓3に排気口10を設け、シャッター4を開放した状態において、その主面壁4aで排気口10の外面を覆うと、ディスク1の回転駆動に伴って生じる流動空気は、信号読み書き窓3を介して排気口10へ移動し、主面壁4aに案内されながら主面壁4aとスライド凹部7のガイド面壁7aとの間の隙間Eへ入り込み、隙間Eを通り抜けてケース外へ放出される。
【0019】
また、信号読み書き窓3を基準にして、一対のガイドリブ15・16とガイド面17とをディスク1の回転方向上手側へ向って延出形成してあるので、ディスク1と共に旋回する流動空気を内外一対のガイドリブ15・16で整流し収束させて、信号読み書き窓3へ向って指向案内できる。同時に、ケース内面に沿って流れてきた流動空気をガイド面17で信号読み書き窓3の側へ向って傾斜案内し、その流動方向をシャッター4の主面壁4aへ指向させることができる。従って、信号読み書き窓3を横断した流動空気はケース内へ再進入することもなく、主面壁4aに沿って強制的に流動し、隙間Eを介して確実にケース外へ放出できる。
【0020】
上記の実施例以外に、排気口10は凹弧状の切り欠きとして、あるいは鋸刃状の切り欠きとして形成することができる。ガイドリブ15・16のうち、内側のガイドリブ15は省略することができる。逆に、3個以上のガイドリブをケース内面に突設することができる。
【0021】
【発明の効果】
この発明では、窓3に排気口10を切り欠き形成し、シャッター4を開放した状態において、排気口10の外面をシャッター4の主面壁4aで覆って、ディスク1と共に旋回する流動空気を、排気口10から主面壁4aとスライド凹部7のガイド面壁7aとの隙間Eを介してケース外へ逃がし、回転駆動体1の駆動時の空気抵抗を減少できるようにした。従って、回転駆動体1の駆動時の空気抵抗を減少した分だけ、ディスクドライブなどの駆動用ドライブの電力消費を抑制し、その連続使用時間を向上できる。
【0022】
排気口10を窓3に連続して形成し、さらに蓋部11をシャッター4と一体に形成するので、ケース本体2とシャッター4の構造および形状を一部変更するだけで、回転駆動体1の駆動時の空気抵抗を減少できる。従って、新たな機能が付加されたケースでありながら、その製造コストを抑止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シャッターを開いた状態のケースの一部破断平面図である。
【図2】ケースの平面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 回転駆動体(ディスク)
2 ケース本体
3 窓(信号読み書き窓)
4 シャッター
4a 主面壁
10 排気口
11 蓋部
15 ガイドリブ
16 ガイドリブ
17 ガイド面
E 隙間

Claims (2)

  1. 情報信号を記録するディスクである回転駆動体(1)を収容するケース本体(2)と、ケース本体(2)に開口した信号読み書き窓(3)を開閉するシャッター(4)とを備えている回転駆動体を収容するケースであって、
    信号読み書き窓(3)の一対の側縁のうち、回転駆動体(1)の回転に伴って生じる流動空気の流動方向と対向する側の側縁(3a)に連続して排気口(10)が切り欠き形成されており、
    不使用状態において排気口(10)を塞ぐ蓋部(11)がシャッター(4)と一体に設けられており、
    回転駆動体(1)の回転平面と対向するケース本体(2)の内面上下に、流動空気を信号読み書き窓(3)を介して排気口(10)へと流動案内する一対のガイドリブ(15・16)が突設されており、
    一方のガイドリブ(15)は、回転駆動体(1)の外縁より内側に配置してあって、リブ端を信号読み書き窓(3)のケース中央寄りの内隅部に連続させており、
    他方のガイドリブ(16)は、回転駆動体(1)の外縁より外側に配置してあって、リブ端を信号読み書き窓(3)の閉じ端側の側縁の外隅近傍に連続させており、
    シャッター(4)を開放した状態において、シャッター(4)の主面壁(4a)で排気口(10)の外面を覆って、流動空気を主面壁(4a)と主面壁(4a)を案内するガイド面壁(7a)との間の隙間(E)を介して逃がすことを特徴とする回転駆動体を収容するケース。
  2. ケース本体(2)の内面上下に設けられた両ガイドリブ15・16の間に、回転駆動体(1)の回転に伴って生じる流動空気を信号読み書き窓(3)を介して排気口(10)へと流動案内するためのガイド面(17)が凹み形成されており、
    ガイド面(17)が、ガイドリブ(15・16)の延出端側から信号読み書き窓(3)の側へ向かって凹み深さが漸増する傾斜面に形成してある請求項1記載の回転駆動体を収容するケース。
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