JP4131526B2 - 回転駆動体を収容するケース - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば光磁気ディスクなどの回転駆動体を収容するケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のケースは、例えば、ディスクと呼ばれる回転駆動体と、回転駆動体を収容する四角形の薄いケース本体と、ケース本体に設けた信号読み書き窓をスライド開閉するシャッターとを備えている。不使用状態において、シャッターはケース本体の内部に設けたロック爪でロック保持されて、信号読み書き窓を閉じている。信号読み書き窓と共に、ケース本体の下面中央に開口する駆動穴をシャッターで同時に閉じる形態のものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
光磁気ディスクを信号記録媒体とするもののひとつにミニディスクがあるが、これをさらにひと回り小さくし、さらに信号記録容量を向上することを狙った次世代の記録媒体が提案されている。ディスクドライブ、とくにポータブル型のディスクドライブの小型化や軽量化の要求に応えるためである。そこでは、ディスクの直径寸法が小さい分だけ周速度が低下する。そのため、より高速度でディスクを回転して信号の読み書きを行うことが想定される。ところが、ディスクの回転速度が高速化するのに伴って、それまで殆ど無視できた空気抵抗が問題になって来る。
【0004】
ディスクを高速度で回転駆動すると、その表面で引き擦られた空気が渦を形成し、ケース本体内を流動する。この流動空気や渦はディスクの回転を阻害する要因のひとつとなる。そのため、ディスクドライブの側では先の流動空気や渦による空気抵抗に打ち勝ってディスクを高速回転させる必要があり、その分だけディスクドライブの電力消費量が増す。とくに、電池を電源とするポータブル型のディスクドライブや、ノート型のパーソナルコンピュータに組み込まれたディスクドライブなど、連続使用時間が重要な商品仕様となる機器においては、電力消費量の多さが問題視される。
【0005】
使用時には、ディスクを収容するケースのシャッターをスライドして信号読み書き窓を開放する。従って、ケース内を流動する空気の一部は信号読み書き窓から流れ出る。しかし、ケース本体で覆われているディスクの表面積が大きいので、上記のように流動空気の一部が流出したとしても、ディスクの回転抵抗を左程減少できるわけではない。
【0006】
この発明の目的は、光磁気ディスクなどの回転駆動体を収容する手段として、回転駆動時の空気抵抗を確実に減少でき、その分だけ ディスクドライブの電力消費を抑止し、連続使用時間を延ばすことができる、回転駆動体を収容するケースを提供することにある。
この発明の他の目的は、ケース構造とシャッター構造とを一部変更するだけで、回転駆動体の駆動時の空気抵抗を減少でき、従って新たな部品の追加などのコスト増を伴うこともなく、回転駆動体の駆動時の空気抵抗を減少でき、とくに高速度で回転駆動される回転駆動体に好適なケースを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明にかかるケースは、回転駆動体(例えば、情報信号を記録するディスク)1と、回転駆動体1を回転可能な状態で収容するケース本体2と、ケース本体2に開口した窓(例えば、情報信号読み書き窓)3を開閉するシャッター4とを備えている。ケース本体2の一部には、回転駆動体1の回転駆動に伴って生じる流動空気を逃がす開放口10を設けたうえで、不使用状態において開放口10を塞ぐ蓋体11が、ケース本体2で開閉自在に支持されている。
【0008】
具体的には、開放口10を窓3に連続して設け、蓋体11をシャッター4と一体に形成する。
【0009】
窓3の一対の側縁のうち、回転駆動体1の回転上手側の側縁3aに開放口10を切り欠き形成する。窓3の開口縦寸法aを基準にして、開放口10の開口縦寸法bは先の開口縦寸法aより小さく設定する。
【0010】
【作用】
ケース本体2の一部に開放口10を開口し、回転駆動体1の回転に伴って生じる流動空気を開放口10から逃がすので、その分だけ回転駆動体1の回転時の空気抵抗が減少し、回転駆動体1の駆動に要する電力量を減少できる。開放口10を窓3に連続して設け、これをシャッター4と一体に形成した蓋体11で開閉すると、ケース本体2の構造の変更と、シャッター4の形状の変更を行うだけで、ケース内部の流動空気を逃がすことができるので、回転駆動体1を収容するケースの製造コストが増加するのを避けながら、新たな機能を付加できる。シャッター4の開閉動作を利用して開放口10を開閉できるので、ドライブ側の機構を変更する必要がない点でも有利である。
【0011】
窓3の一対の側縁のうち、回転駆動体1の回転上手側の側縁3aに開放口10が切り欠き形成されていると、回転駆動体1の表面によって引き擦られた流動空気を、窓3で窓外へ流出させ、さらに開放口10から逃がせるので、回転駆動体1の駆動時の空気抵抗を効果的に減少できる。窓3と開放口10の開口縦寸法a・bに関して前者の開口縦寸法aより後者の開口縦寸法bを小さく設定するのは、流動空気を効果的に逃がしながら、開放口10の開口面積をできるだけ小さくし、ケース本体2のケース強度がいたずらに低下するのを防ぐためである。
【0012】
【実施例】
図1ないし図3は、この発明にかかるケースをディスクカートリッジに適用した場合の実施例を示す。図2において、ディスクカートリッジは情報信号を記録する円盤状のディスク(回転駆動体。この例では、光磁気ディスクである。)1と、ディスク1を回転自在な状態で収容するケース本体2とからなる。ディスク1はディスク本体の片面ないし両面に情報信号を記録でき、ディスク本体の下面中央にハブが固定してある。
【0013】
ケース本体2は、それぞれプラスチック成形された上ケース2aと下ケース2bとを接合した、平面視が四角形のケースからなり、上下面の一側寄りに信号読み書き窓(本発明でいうところの窓)3が開口している。この窓3はシャッター4でスライド開閉される。シャッター4は閉じ位置においてロック爪5でロック保持され、捻じりコイル形のばね6で閉じ勝手に移動付勢してある。ケース本体2の上下面には、シャッター4の開閉領域に対応して、浅いスライド凹部7が凹み形成してある。
【0014】
上記のように構成したディスクカートリッジは、ケース本体2を図1の矢印で示す向きにディスクドライブに装填することにより、ロック爪5がロック解除操作され、シャッター4がばね6の付勢力に抗してスライド開放される。ディスク1は、ケース本体2の下面中央の駆動穴から進入する駆動軸でハブを介して保持固定され、図2において時計回転方向へ回転駆動される。このとき、ディスク1の回転駆動に伴って生じる流動空気を効果的にケース外へ逃がし、これによりディスク駆動時の空気抵抗を減少するために、開放口10とこれを開閉する蓋体11とを付加する。
【0015】
図1に破線群で示すように、開放口10は信号読み書き窓3の一対の側縁のうち、ディスク1の回転上手側の側縁3aに連続して切り欠き形成する。また、蓋体11はシャッター4の主面壁4aと一体に形成して、信号読み書き窓3をシャッター4で閉じた状態において、開放口10を蓋体11で閉止できるようにした。このとき、信号読み書き窓3の開口縦寸法aを基準にして、開放口10の開口縦寸法bが先の開口縦寸法aより小さくなるように設定した。但し、両寸法a・bは、各開口縁のケース中央側の開口縁を基準にして設定してあり、従ってこの基準縁は一直線状に連続している。
【0016】
図1においてシャッター4は、信号読み書き窓3を開放し、さらに開放口10を開放する位置までスライド操作される。このとき、蓋体11はスライド凹部7からはみ出る。そのため、スライド凹部7の開放端側の周縁壁に、スライド凹部7と面一状の逃げ凹部12を設けてあり、蓋体11の突端側は逃げ凹部12を介してケース外へスライド変位できる。
【0017】
以上のように信号読み書き窓3とは別に開放口10を設けてあると、ディスク1の回転駆動に伴って生じる流動空気やディスク表面に生じる渦流は、信号読み書き窓3と開放口10とのそれぞれから逃げるので、ディスク駆動時の空気抵抗が減少し、その分だけディスク駆動時の電力消費量を減少して、ディスクドライブの連続使用時間を延長できる。
【0020】
【発明の効果】
この発明では、ケース本体2に開放口10を開口し、回転駆動体1を回転駆動する際に生じる流動空気を開放口10から逃がして、回転駆動体の駆動時の空気抵抗を減少できるようにした。従って、回転駆動時の空気抵抗を減少できる分だけ、駆動用ドライブの電力消費を抑止し、連続使用時間を増強できる。
【0021】
開放口10を窓3に連続して形成し、さらに蓋体11をシャッター4と一体に形成してあると、ケース本体2とシャッター4との構造および形状を一部変更するだけで、回転駆動体1の駆動時の空気抵抗を減少できるので、新たな機能が付加されたケースでありながら、その製造コストを抑制でき、さらにシャッター4の開放動作を利用して、開放口10を開放できる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】シャッターを開いた状態でのケースの平面図である。
【図2】シャッターを閉じた状態でのケースの平面図である。
【図3】図1におけるA−A線断面図である。
【符号の説明】
1 回転駆動体(ディスク)
2 ケース本体
3 窓(信号読み書き窓)
4 シャッター
10 開放口
11 蓋体
Claims (1)
- 情報信号を記録する円盤状のディスクである回転駆動体(1)と、回転駆動体(1)を回転可能な状態で収容する平面視が四角形のケース本体(2)と、ケース本体(2)の上下面に開口した信号読み書き窓(3)と、該窓(3)をスライド開閉する上下一対の主面壁(4a)を備えたシャッター(4)とを備えている回転駆動体を収容するケースであって、
シャッター(4)は、ばね(6)で閉じ勝手に移動付勢されており、
ケース本体(2)の上下面には、シャッター(4)の開閉領域に対応して、スライド凹部(7)が凹み形成されており、
回転駆動体(1)の回転駆動に伴って生じる流動空気を逃がす開放口(10)が、上下の信号読み書き窓(3)に連続して設けられており、
開放口(10)は、信号読み書き窓(3)の一対の側縁のうち、回転駆動体(1)の回転上手側の側縁(3a)に切り欠き形成されており、
開放口(10)をスライド開閉する蓋体(11)が、シャッター(4)の上下面を構成する主面壁(4a)と一体に形成されており、
スライド凹部(7)の開放端側の周縁壁に、蓋体(11)の突端側のケース外へのスライド変位を許す逃げ凹部(12)が、スライド凹部(7)と面一状に設けられており、
信号読み書き窓(3)の開口縦寸法(a)を基準にして、開放口(10)の開口縦寸法(b)が先の開口縦寸法(a)より小さく設定してある回転駆動体を収容するケース。
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