JP4001295B2 - 湿式現像用電子写真感光体及び湿式画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の物性指標を利用して、安定的に製造することができる湿式現像用電子写真感光体及びそれを用いた湿式画像形成装置に関する。
従来、電気絶縁性の高い溶剤中に、着色剤やポリマー粒子などを分散させた液体現像剤を用いて、感光体表面の静電潜像に対して、トナー粒子を電気泳動させて現像する湿式現像方式が知られている。そして、湿式現像方式によれば、液体現像剤の溶剤中のトナー粒子は、それを構成する樹脂や帯電制御剤によって、所定極性に帯電しており、溶剤中に安定的に分散しやすいという特徴がある。従って、湿式現像方式は、乾式現像方式に比べて、微細なトナー粒子を用いて、解像度の高い画像形成を行うことができる一方、リークなどによる局所的な帯電位低下が少なく、高品位の画像形成を安定的に実現する上で有利である。
しかしながら、湿式現像方式を実施する上で、液体現像剤の溶剤は、高い電気絶縁性が求められることから、イソパラフィンなどの溶解性が高い炭化水素系溶媒が多用されている。従って、このような炭化水素系溶媒と、感光層とが長時間にわたって接触することから、感光層中の電荷輸送剤が炭化水素系溶媒中に溶出してしまい、感度が低下しやすいという問題が見られた。また、感光層を形成する結着樹脂が、炭化水素系溶媒によって膨潤し、感光層が軟化したり、ひび割れが生じたりするなどの耐久性に劣るという問題も見られた。
そこで、例えば、有機感光体の表面に、熱硬化性樹脂からなるオーバーコート層を形成した有機感光体を使用することにより、電荷輸送剤の溶出を防ぐことが提案されている。(例えば特許文献1参照)。しかしながら、オーバーコート層を新たに形成することにより、感度が著しく悪化し、また製造コストが高くなるという新たな問題が生じている。
また、結着樹脂自体に電荷輸送機能を付与すべく電荷輸送ポリマーとし、電荷輸送剤の含有率を減少させることにより、耐溶剤性を発現させることが提案されている。(例えば特許文献2参照)。しかしながら、電荷輸送ポリマーの分子設計は容易でなく、安定的に製造することが困難であって、実用性に欠如するという問題が見られた。即ち、結着樹脂の物性がばらつき、その結果、感光層における感度特性や溶出量がばらつくなどの問題が見られた。
特開平10−221875 特開平2003−57856
そこで、本発明者らは鋭意研究した結果、正孔輸送剤の分子量と、電子輸送剤及び結着樹脂の無機性値/有機性値(I/O値)と、をそれぞれ所定範囲とすることにより、それらの相互作用により、正孔輸送剤の分散性や安定性が向上するとともに、安定的に製造することができることを見出した。また、結果として、湿式現像方式の画像形成装置に使用した場合に、耐溶剤性が良好であって、電荷輸送剤(正孔輸送剤又は電子輸送剤)が炭化水素系溶媒中に溶出しにくく、かつ、良好な画像が得られることを見出した。
即ち、本発明は、電子輸送剤、結着樹脂、及び正孔輸送剤における特定の物性指標を利用して、安定的に製造することができるとともに、優れた耐久性や耐溶剤性を有する湿式現像用電子写真感光体及びそれを用いた湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明によれば、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、結着樹脂と、を含有する感光層を備えるとともに、炭化水素系溶媒を含む湿式現像用現像液に適用する湿式現像用電子写真感光体であって、電子輸送剤の無機性値/有機性値(I/O値)を0.6以上の値とし、結着樹脂の無機性値/有機性値(I/O値)を0.37以上の値とし、かつ、正孔輸送剤の分子量を900以上の値とする湿式現像用電子写真感光体、及びそれらを用いた湿式画像形成装置が提供され、上述した問題点を解決することができる。
即ち、このように特定の物性指標を有する電子輸送剤及び結着樹脂と、所定の分子量を有する正孔輸送材と、を含んで湿式現像用電子写真感光体を構成し、所定の相互作用を発揮させて正孔輸送剤の分散性や安定性を向上させるとともに、特定の物性指標を利用して、湿式現像用電子写真感光体を安定的に製造することができ、かつ、それを湿式画像形成装置に用いることにより、優れた耐久性や耐溶剤性を得ることが出来る。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、結着樹脂と、を含有する感光層を備えるとともに、炭化水素系溶媒を含む湿式現像用現像液に適用する湿式現像用電子写真感光体であって、電子輸送剤の無機性値/有機性値(I/O値)を0.6以上の値とし、結着樹脂の無機性値/有機性値(I/O値)を0.37以上の値とし、かつ、正孔輸送剤の分子量を900以上の値とする湿式現像用電子写真感光体である。
ここで、湿式現像用電子写真感光体には、単層型と積層型とがあるが、本発明の湿式現像用電子写真感光体は、いずれにも適用可能である。
ただし、特に正負いずれの帯電性にも使用できること、構造が簡単で製造が容易であること、感光体層を形成する際の被膜欠陥を抑制できること、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できること等の理由から、単層型に適用することがより好ましい。
1.単層型感光体
(1)基本的構成
図1(a)に示すように、単層型感光体10は、導電性基体12上に単一の感光体層14を設けたものである。
この感光体層は、例えば、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、結着樹脂と、さらに必要に応じて、レベリング剤等を適当な溶媒に溶解又は分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、生産性に優れているという特徴がある。
なお、図1(b)に例示するように、導電性基体12上に、中間層16を介して、感光体層14を備えた電子写真感光体10´であっても良い。
(2)電子輸送剤
(2)−1 無機性値/有機性値
本発明に用いられる電子輸送剤としては、その種類にかかわらず無機性値/有機性値(以下、I/O値と言う)が0.6以上のものを使用することを特徴とする。
この理由は、後述する特定のI/O値を有する結着樹脂との相互作用により、正孔輸送剤の分散性や安定性が向上し、図2に示すように、有機性が大きい炭化水素系溶媒中へ正孔輸送剤が溶出しにくくなるためである。
従って、炭化水素系溶媒中にトナー粒子が分散した現像溶液を用いた湿式画像形成装置に使用された場合でも、優れた耐溶剤性及び耐久性、さらには、図3に示すように、優れた画像特性(明電位)を得ることが出来る。
ただし、かかるI/O値の値が過度に大きくなると、溶剤や結着樹脂に対する溶解性が低下して、結晶化したり、感光体の電気特性が低下したりする場合がある。従って、電子輸送剤のI/O値を0.6〜1.7の範囲内の値とすることがより好ましく、0.65〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明において、無機性値/有機性値(以下、I/O値と呼ぶことがある)とは、各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり、例えばKUMAMOTO PHARMACEUTICAL BULLETIN,第1号、第1〜16項(1954年);化学の領域、第11巻、第10号、719〜725項(1957年);フレグランスジャーナル、第34号、第97〜111項(1979年);フレグランスジャーナル、第50号、第79〜82項(1981年);などの文献に詳細に説明されている。すなわち、炭素(C)1個を有機性20とし、それを基準として、各極性基の無機性値及び有機性値を表1の如く定め、各極性基における無極性値の和(I値)と、有機性値の和(O値)を求めて、それぞれの比をI/O値としたものである。なお、表1において、Rは、主にアルキル基を示し、φは、主にアルキル基もしくはアリール基を示している。
Figure 0004001295
ここで、I/O値の概念をさらに詳細に説明すると、化合物の性質を、共有結合性を表わす有機性基と、イオン結合性を表わす無機性基とに分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて指標ということができる。即ち、無機性値とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて、各種置換基あるいは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値である。例えば、表1に示されている通り、−COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。従って、ある種の有機化合物の無機性値は、該有機化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
一方、有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。即ち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5〜10付近での炭素1個加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基準として、各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値である。例えば、表1に示されている通り、ニトロ基(−NO)の有機性値は70である。従って、ある種の有機化合物の無機性値とは、該有機化合物が有している各種置換基や結合等の有機性値の総和を意味する。よって、例えば、後述するETM−5のI/O値は、以下のようにして算出される。
(有機性因子)
・有機性20の炭素原子を27個有している。
よって、有機性値は20×27=540となる。
(無機性因子)
・無機性が60のナフタレン環を1個有している。
・無機性が15のベンゼン環を1個有している。
・無機性が70のアミン(−N<)を2個有している。
・無機性が20の酸素原子(−O−)を1個有している。
・無機性が65のケトン(>CO)を4個有している。
よって、ETM−5の無機性値(I値)は、60+15+70×2+20+65×4=495となる。即ち、ETM−5のI/O値は495/540=0.917と求められる。
(2)−2 結着樹脂との相互作用
次いで、図4を参照して、特定のI/O値を有する電子輸送剤と、後述する特定のI/O値を有する結着樹脂との相互作用について説明する。
図4の横軸には、結着樹脂のI/O値が0.37以上であることを前提として、電子輸送剤のI/O値と結着樹脂のI/O値の比率(−)を採って示してあり、縦軸には、所定の現像液に、室温、浸漬時間600時間の条件で浸漬した際の正孔輸送剤の溶出量(g/cm3)を採って示してある。
ここで、電子輸送剤のI/O値と結着樹脂のI/O値との比率(−)とは、結着樹脂のI/O値に対する電子輸送剤のI/O値の比率である。例えば、結着樹脂のI/O値が0.381、電子輸送剤のI/O値が0.917の場合は、電子輸送剤のI/O値と結着樹脂のI/O値の比率(−)は2.4である。
かかる図4から容易に理解されるように、特定のI/O値を有する電子輸送剤と、後述する特定のI/O値を有する結着樹脂とを組み合わせ、その比率を調整することによって効果的に相互作用を発揮させ、正孔輸送剤の溶出量(g/cm3)を調整することができる。例えば、電子輸送剤のI/O値と結着樹脂のI/O値との比率(−)が1.0程度では、相互作用の発揮が不十分であって、正孔輸送剤の溶出量は、20×10-7(g/cm3)程度と高い値である。それに対して、電子輸送剤のI/O値と結着樹脂のI/O値の比率(−)が1.5程度となると、相互作用が相当発揮されて、正孔輸送剤の溶出量は、8×10-7(g/cm3)程度と低下している。さらに、電子輸送剤のI/O値と結着樹脂のI/O値の比率(−)が1.8以上となると、相互作用が十分発揮されて、正孔輸送剤の溶出量は著しく低い値となり、5×10-7(g/cm3)以下の値となっている。
すなわち、特定のI/O値を有する電子輸送剤と、後述する特定のI/O値を有する結着樹脂とを組み合わせることにより、相互作用を有効に発揮させて、正孔輸送剤の分散性や安定性が向上し、有機性が大きい炭化水素系溶媒中へ正孔輸送剤が溶出しにくくなる。
一方、結着樹脂のI/O値が0.37未満の値になると、特定のI/O値を有する電子輸送剤と、後述する特定のI/O値を有する結着樹脂とを組み合わせ、その比率を調整したとしても、効果的に相互作用が発揮されずに、正孔輸送剤の溶出量(g/cm3)を調整することが困難となる場合がある。
よって、電子輸送剤と結着樹脂のI/O値をそれぞれ指標として、電子輸送剤と結着樹脂の種類を選択して、それらを適宜組み合わせることにより、湿式現像用電子写真感光体を安定的に製造することができる。すなわち、このような湿式現像用電子写真感光体を湿式画像形成装置に用いることにより、所定の相互作用が発揮され、優れた耐久性や耐溶剤性を安定的に得ることが出来る。
(2)−3 分子量
また、電子輸送剤の分子量を600以上の値とすることが好ましい。この理由は、電子輸送剤の分子量を600以上に設定することによって、図5及び図6に示すように、炭化水素溶媒に対する耐溶剤性を向上させ、感光層からの溶出を効果的に抑制できるとともに、感光層における繰り返し特性変化を著しく小さくすることができるためである。
但し、電子輸送剤の分子量が過度に大きくなると、感光層中での分散性が低下したり、正孔輸送能が低下したりする場合がある。
したがって、電子輸送剤の分子量を600〜2000の範囲内の値とすることがより好ましく、600〜1000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、電子輸送剤の分子量は、構造式を元に算出することもできるし、あるいはマススペクトルを用いて算出することができる。
(2)−4 種類
また、電子輸送剤の種類に関して、そのI/O値が0.6以上であれば特に制限されるものではないが、例えば、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の電子受容性を有する化合物の1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
また、電子輸送剤の種類に関して、ナフトキノン誘導体又はアゾキノン誘導体を含むことが好ましい。
この理由は、このような化合物であれば、電子輸送剤として、電子受容性に優れており、また電荷発生剤との相溶性が優れていることから、感度特性や耐溶剤性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供できるためである。
また、電子輸送剤の種類に関して、少なくとも一つのニトロ基(−NO2)、置換カルボキシル基(−COOR(Rは置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基))、及び置換カルボニル基(−COR(Rは置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基))を有することが好ましい。
この理由は、このような特定の置換基を備えることにより、耐溶剤性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができるためである。
また、このような電子輸送剤の種類に関して、具体的に、下記一般式(3)、(4)、(5)、又は(6)で表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 0004001295

Figure 0004001295
(一般式(3)〜(5)中、R14は、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、又は一般式:−R18−Ar1−R19−で示される二価の有機基(R18及びR19は、それぞれ独立しており、炭素数1〜8のアルキレン基、又は炭素数2〜8のアルキリデン基を示し、Arは、炭素数6〜18のアリーレン基を表す。)であり、R15〜R17は、それぞれ独立しており、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は炭素数6〜18のアリール基であり、d及びeは、それぞれ独立しており、0〜4の整数を表し、Dは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、又は一般式:−R20−Ar1−R21−で示される二価の有機基(R20及びR21は、それぞれ独立しており、炭素数1〜8のアルキレン基、又は炭素数2〜8のアルキリデン基を表し、Arは、炭素数6〜18のアリーレン基を表す。)である。また、一般式(6)中、R22〜R24は、それぞれ独立しており、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、又は炭素数6〜18のアリール基であり、gは、0〜4の整数を表し、Eは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、又は一般式:−R25−Ar2−R26−で示される二価の有機基(R25及びR26は、炭素数1〜8のアルキレン基、又は炭素数2〜8のアルキリデン基を表し、Ar2は、炭素数6〜18のアリーレン基を表す。))。
また、電子輸送剤として、式(3)〜(6)の具体例及びその他の好ましい具体例を下記式(7)に示す。所定のI/O値を有するナフタレンカルボン酸誘導体、ナフトキノン誘導体、及びアゾキノン誘導体(ETM−1〜8)等を使用することが好ましい。
Figure 0004001295


Figure 0004001295
なお、従来公知の電子輸送剤を単独使用したり、併用したりすることも好ましい。かかる電子輸送剤の種類としては、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の電子受容性を有する種々の化合物が挙げられ、1種単独又は2種以上をブレンドして使用することが好ましい。
(2)−5 添加量
また、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる電子輸送剤の添加量が100重量部を超えると、結晶化しやすくなり、感光体として適正な厚さを有する膜を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送剤の添加量を20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、電子輸送剤の添加量を定めるにあたり、後述する正孔輸送剤の添加量を考慮することも好ましい。より具体的には、正孔輸送剤(HTM)に対して、電子輸送剤(ETM)の添加割合(ETM/HTM)を、0.25〜1.3の範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかるETM/HTMの比率が範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。したがって、かかるETM/HTMの比率を0.5〜1.25の範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)正孔輸送剤
(3)−1 種類
また、正孔輸送剤の種類に関して、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、オキサジアゾール系化合物、スチルベン系化合物、スチリル系化合物、カルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の1種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。これらの正孔輸送剤のうち、一般式(2)で表される部位を有するスチルベン系化合物がより好ましい。
Figure 0004001295

(一般式(2)中、R7〜R13は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、置換又は非置換のアゾ基、あるいは置換又は非置換の炭素数6〜30のジアゾ基であり、繰り返し数cは1〜4の整数である。)
なお、このような正孔輸送剤として、より具体的には、一般式(8)や一般式(9)で表されるスチルベン誘導体が挙げられる。
Figure 0004001295
(一般式(8)中、R7〜R12、及びcは、一般式(2)の内容と同様であり、R27及びR28はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、あるいは、隣り合う二つのR27が結合または縮合して形成した炭化水素環構造であり、繰り返し数gは1〜5の整数であり、Xは2又は3の整数であり、Ar3は、二価又は三価の有機基である。)
Figure 0004001295
(一般式(9)中、R7〜R12、及びcは、一般式(2)の内容と同様であり、R29〜R33はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、あるいはR〜R11、及びR29〜R33のうち隣り合ういずれか2つが結合又は縮合して形成した炭化水素環構造であり、Xは2又は3の整数であり、Ar3は、二価又は三価の有機基である。)
また、一般式(8)や一般式(9)で表される部位を含むスチルベン誘導体において、Ar3は、Xが2の場合、すなわち、二価の有機基である場合には、下記式(10)の式(a)〜(c)で表される有機基であることが好ましい。
Figure 0004001295
また、一般式(8)や一般式(9)で表される部位を含むスチルベン誘導体において、Ar3は、Xが3の場合、すなわち、三価の有機基である場合には、下記式(11)で表される有機基であることが好ましい。
Figure 0004001295
また、一般式(2)で表される部位、及び一般式(8)〜(9)で表されるスチルベン誘導体において、置換基としてのアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよく、飽和の炭化水素環であってもよい。具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、t−ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル;シクロペンチル、シクロヘキシル、2,6−ジメチルシクロヘキシル等が挙げられる。
また、アルケニル基には、例えばビニル、2,2−ジフェニル−1−エテニル、4−フェニル−1,3−ブタジエニル、1−プロペニル、アリル等が挙げられる。かかるアルケニル基は、さらにアリール基等の置換基を有していてもよい。
また、アリール基には、例えばフェニル、ナフチル、ビフェニリル;トリル、キシリル、メシチル、クメニル、2−エチル−6−メチルフェニル等が挙げられる。アリール基は、さらにアルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。
また、アラルキル基には、例えばベンジル、フェネチル、2,6−ジメチルベンジル等が挙げられる。アラルキル基のアリール部分は、さらにアルキル基、アルコキシ基等を有していてもよい。ハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
また、同様に置換基として、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「炭素原子を含む基」や窒素原子と単結合で結合してなる「炭素原子を含む基」を含むことも好ましい。したがって、例えば、上述したアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等のほか、エーテル結合、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ結合、チオエーテル結合、アゾ原子団等を有する炭化水素基が挙げられる。
また、同様に置換基として、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「窒素原子を含む基」や窒素原子と単結合で結合してなる「窒素原子を含む基」を含むことも好ましい。したがって、例えば、ニトロ基、アミノ基、アゾ基等が挙げられる。また、アミノ基やアゾ基については、さらにアルキル基、アリール基等が置換されていてもよい。
また、同様に置換基として、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「酸素原子を含む基」や窒素原子と単結合で結合してなる「酸素原子を含む基」を含むことも好ましい。したがって、例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基等が挙げられる。アルコキシ基には、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ等が挙げられる。
また、同様に置換基として、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「硫黄原子を含む基」や窒素原子と単結合で結合してなる「硫黄原子を含む基」を含むことも好ましい。したがって、例えば、アルキルチオ基、アリールチオ基、アラルキルチオ基等が挙げられる。また、アリールチオ基及びアラルキルチオ基のアリール部分は、さらにアルキル基、アルコキシ基等が置換されていてもよい。
また、一般式(2)で表される部位、及び一般式(8)〜(9)で表されるスチルベン誘導体において、ベンゼン環の炭素原子に隣接して置換する2つのアルキル基又はアルケニル基は、互いに結合して飽和又は不飽和の炭化水素環、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、インダン環、テトラヒドロナフタレン環等を形成しても良い。
(3)−2 具体例
また、正孔輸送剤の具体例として、下記式(12)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0004001295



Figure 0004001295

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(3)−3 添加量
また、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる正孔輸送剤の添加量が100重量部を超えると、正孔輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な厚さを有する膜を形成することが困難となる場合があるためである。
したがって、かかる正孔輸送剤の添加量を30〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)−4 分子量
また、本発明用いられる正孔輸送剤は、その分子量を900以上の値とすることを特徴とする。この理由は、正孔輸送剤の分子量を900以上に設定することによって、炭化水素溶媒に対する耐溶剤性を向上させ、感光層からの溶出を効果的に抑制できるとともに、感光層の感度劣化についても防止することができるためである。
但し、正孔輸送剤の分子量が過度に大きくなると、感光層中での分散性が低下したり、正孔輸送能が低下したりする場合がある。
したがって、正孔輸送剤の分子量を1000〜4000の範囲内の値とすることがより好ましく、1000〜2500の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる正孔輸送剤は本実施形態記載の具体例のうち、分子量が900以上の化合物であり、例えば、式(12)中のHTM−1〜5、7〜9、11、12、14、15が挙げられる。
なお、正孔輸送剤の分子量は、構造式を元に算出することもできるし、あるいはマススペクトルを用いて算出することができる。
(4)結着樹脂
(4)−1 無機性値/有機性値
また、結着樹脂として、無機性値/有機性値(I/O値)が0.37以上であるものを使用することを特徴とする。
この理由は、このような結着樹脂を使用することにより、特定のI/O値を有する電子輸送剤との相互作用を発揮させて、正孔輸送剤の分散性や安定性が向上し、図7に示すように、有機性が大きい炭化水素系溶媒中へ正孔輸送剤が溶出しにくくなるためである。
従って、炭化水素系溶媒中にトナー粒子が分散した現像溶液を用いた湿式画像形成装置に使用された場合でも、優れた耐溶剤性及び耐久性、さらには優れた画像特性(明電位)を得ることができる。
但し、かかる結着樹脂のI/O値が過度に大きくなると、電子輸送剤との混合性や溶剤に対する溶解性が低下する場合がある。従って、結着樹脂のI/O値を0.375〜 1.7の範囲内の値とすることがより好ましく、0.38〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、後述するResin−1で表されるポリカーボネート樹脂は、本発明において使用し得る結着樹脂の代表例であるが、このポリカーボネート樹脂のI/O値は、以下のようにして算出される。
(有機性因子)
・有機性20の炭素原子を15.7個有している。
・有機性−10のIso分岐を0.85個有している。
よって、有機性値は20×15.7−10×0.85=305.5となる。
(無機性因子)
・無機性が15のベンゼン環を2個有している。
・無機性が80のO−COOを1個有している。
・無機性が65のCOを0.15個有している。
よって、Resin−1で表されるポリカーボネート樹脂の無機性値は15×2+80+65×0.15=119.75となり、そのI/O値は119.75/305.5=0.392と求められる。
また、このようにして算出されるI/O値は、これが0に近いほど非極性(疎水性、有機性の大きな)の有機化合物であることを示し、大きいほど極性(親水性、無機性の大きな)の有機化合物であることを示す。
なお、結着樹脂としては、I/O値が0.37以上であれば、従来公知の種々の樹脂を採用することができる。なかでも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を使用するのが、電子輸送剤や正孔輸送剤等との相溶性や、感光層の強度、耐磨耗性等の特性をより一層良好なものにするという観点から好ましい。
この理由は、ポリカーボネート樹脂であれば、炭化水素系溶媒に対して難溶であるとともに、撥油性も高いためである。その結果、感光体層表面と前述の炭化水素系溶媒との相互作用が小さくなって、長期間にわって、感光体層表面の外観変化が少なくなる。
(4)−2 粘度平均分子量
また、結着樹脂の粘度平均分子量を40,000〜80,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような特定分子量の結着樹脂を用いることにより、湿式現像液として使用される炭化水素系溶媒に、長時間浸漬した場合であっても、正孔輸送剤等の溶出量が少なく、かつ、耐オゾン性にも優れた湿式現像用電子写真感光体を効果的に提供することができるためである。
すなわち、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が40,000未満の値になると、耐溶剤性が著しく低下する場合があるためである。一方、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が80,000を超えると、著しく耐オゾン性が低下するためである。
したがって、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を50,000〜79,000の範囲内の値とすることがより好ましく、60,000〜78,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計によって、極限粘度[η]を求め、Schnellの式によって、[η]=1.23×10-40.83より算出した。なお、[η]は、20℃で、塩化メチレン溶液を溶媒として、濃度(C)が6.0g/dm3となるようにポリカーボネート樹脂を溶解させて得られたポリカーボネート樹脂溶液から測定することができる。
ここで、図8及び図9を参照して、結着樹脂としてのポリカーボネート樹脂における粘度平均分子量の影響を具体的に説明する。
まず、図8においては結着樹脂の粘度平均分子量と正孔輸送剤の溶出量の関係を示している。図8の横軸には、結着樹脂の粘度平均分子量を示しており、縦軸には湿式現像用電子写真感光体をイソパラフィン溶剤に200時間浸漬した後の正孔輸送剤の溶出量(g/cm3)を示している。この図8から、結着樹脂の粘度平均分子量が40,000以上であれば、正孔輸送剤の溶出量は10.0×10-7g/cm3以下になり、60,000以上であれば、正孔輸送剤の溶出量は5.0×10-7g/cm3以下になり、それぞれ優れた耐溶剤性を示していることがわかる。
また、図9においては結着樹脂の粘度平均分子量と耐オゾン性の関係を示している。図9の横軸には結着樹脂の粘度平均分子量を示しており、縦軸には耐オゾン性評価によって得られた帯電電位の変化量を示している。耐オゾン性は帯電電位の変化量が小さいほど良好であるが、帯電電位の変化量の絶対値が145V以下の場合であれば画像に欠陥を生じない感光体を提供することができる。したがって、この図9から粘度平均分子量が高いほど耐オゾン性が低下しており、結着樹脂の粘度平均分子量が80,000以下の範囲であれば、帯電電位の変化量が141V以下であり、優れた耐オゾン性を示していることがわかる。
すなわち、図8及び図9から湿式現像用電子写真感光体に粘度平均分子量が40,000〜80,000の範囲内の結着樹脂を含むことにより、耐溶剤性及び耐オゾン性にそれぞれ優れた湿式現像用電子写真感光体を提供できることが理解される。
ここで、耐オゾン性評価とは、湿式現像用電子写真感光体に対して、オゾン暴露試験を行った後、表面電位を測定し、初期帯電電位との帯電位変化を示したものである。すなわち、湿式現像用電子写真感光体をデジタル複写機であるCreage7340(京セラミタ(株)製)に搭載し、800Vになるように帯電させ、初期帯電電位(V)を測定し、次いで、湿式現像用電子写真感光体をデジタル複写機から取り外し、オゾン濃度を10ppmに調整した暗所に、常温、8時間の条件で放置した。次いで、暴露状態での放置が終了し、1時間経過した後、再び湿式現像用電子写真感光体をデジタル複写機に搭載して、帯電開始60秒後の表面電位を測定し、暴露後表面電位とした(V)。そして、暴露後表面電位とした(V)から、初期帯電電位(V)を差し引いた値を、耐オゾン性評価における帯電位変化(V−V)としたものである。
(4)−3 種類
また、結着樹脂の種類に関して、従来、湿式現像用電子写真感光体に使用されている種々のポリカーボネート樹脂を使用することができる、例えば、ビスフェノールZ型、ビスフェノールZC型、ビスフェノールC型、ビスフェノールA型等のポリカーボネート樹脂が挙げられる。
さらに、結着樹脂としては、下記一般式(1)で表されるポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
この理由は、かかる構造を有するポリカーボネート樹脂であれば、炭化水素系溶媒に対して難溶であるとともに、撥油性も高いためである。その結果、感光体層表面と前述の炭化水素系溶媒との相互作用が小さくなって、長期間にわたって、感光体層表面の外観変化が少なくなるためである。
なお、後述する一般式(1)中のaおよびbは共重合成分のモル比を表しており、例えば、aが15、bが85の場合はモル比が15:85であることを表している。また、かかるモル比は、例えばNMRによって算出することができる。
Figure 0004001295
(一般式(1)中のR1〜R4は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、Aは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−(CH2)2−、−SO−、−SO2−、−CR56−、−SiR56−、又は−SiR56−O−(R5、R6はそれぞれ独立しており、水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、トリフルオロメチル基、又は、R5とR6とが環形成し、置換基として炭素数1〜7のアルキル基を有しても良い炭素数5〜12のシクロアルキリデン)であり、Bは単結合、−O−、又は−CO−である。)
また、結着樹脂としては、下記一般式(1)中のR5とR6の種類が異なり、R5とR6が非対称であることが好ましい。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂であれば、正孔輸送剤との間の相溶性がさらに良好になって、現像液として使用される炭化水素系溶媒に長時間浸漬した場合であっても、正孔輸送剤の溶出量が極めて少ない湿式現像用電子写真感光体を提供することができるためである。
ここで、R5とR6が非対称であるということは、一般式(1)中のAにおける中心元素(例えば−CR56−におけるC)を対称の中心としてみた場合、R5とR6が非対称の関係にあることを示す。
但し、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を併用することも好ましい。例えば、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
なお、I/O値が0.37以上の結着樹脂の具体例としては、下式(13)で表されるポリカーボネート樹脂が挙げられる。
Figure 0004001295




Figure 0004001295

Figure 0004001295
(5)電荷発生剤
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体に使用可能な電荷発生剤としては、例えばフタロシアニン系顔料;ジスアゾ顔料;ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料等の、従来公知の種々の電荷発生剤の一種単独又は2種以上の組み合わせが挙げられる。
より具体的には、下式(14)で表される無金属フタロシアニン(CGM−1と略記する。)、チタニルフタロシアニン(TiOPc、CGM−2と略記する。)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(CGM−3と略記する。)、クロロガリウムフタロシアニン(CGM−4と略記する。)等が挙げられる。
Figure 0004001295
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる複数の電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、かかる複数の電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、赤色及び赤外ないし近赤外領域に吸収波長を有する光に対する吸光係数が低下して、感光体の感度、電気特性、安定性等がそれに伴い低下する場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(6)他の添加成分
また、感光層には、上記各成分のほかにも従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。
また、感光層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
(7)導電性基体
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体において、感光層が形成される導電性基体には、導電性を有する種々の材料を使用することができ、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有するものであればよい。
このような導電性基体の具体例としては、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属単体;上記金属が蒸着又はラミネートされたプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス;カーボンブラック等の導電性微粒子を分散させた樹脂基体等が挙げられる。
また、導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよい。
また、導電性基体は、表面に酸化被膜処理又は樹脂被膜処理を施したものであってもよい。好ましい酸化被膜処理としては、例えば、導電性基体としてアルミニウムやチタンを使用する場合に、当該導電性基体の表面に陽極酸化被膜(アノード酸化被膜)を形成する処理が挙げられる。また、陽極酸化被膜は、例えばクロム酸、硫酸、シュウ酸、ホウ酸、スルファミン酸等の酸性浴中で陽極酸化処理することによって形成されるが、上記例示の酸性浴中でも特に、硫酸中で処理を行うのが好ましい。陽極酸化処理の方法、陽極酸化処理に先立って施される脱脂処理の方法等については特に限定されるものではなく、常法に従って行えばよい。
また、導電性基体に対する樹脂被膜処理には、例えば、ナイロン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアセタール樹脂等を適当な溶媒に溶解して、これを導電性基体の表面に塗布する処理が挙げられる。
さらに、樹脂被膜処理に用いる樹脂材料としては、特にポリアミド樹脂やレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。
(8)製造方法
また、単層型の湿式現像用電子写真感光体は、電荷発生剤と、電荷輸送剤と、結着樹脂と、さらに必要に応じて他の成分とを、適当な分散媒に分散又は溶解させて、こうして得られた感光層形成用塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させて感光層を形成することによって得られる。
また、感光層形成用塗布液の塗布によって得られる感光層の厚さを5〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、特に10〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
また、感光層を塗布方法により形成する場合には、例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、不溶性アゾ顔料、結着樹脂等を、適当な溶剤とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等の公知の手段を用いて分散混合して、こうして調製された分散液を公知の手段により導電性基体上に塗布して乾燥させればよい。
2.積層型感光体
図10(a)に示すように、湿式現像用電子写真感光体において積層型感光体20は、導電性基体12上に、蒸着又は塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、正孔輸送剤としてスチルベン誘導体等の少なくとも1種と、結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製される。
また、上記構造とは逆に、図10(b)に示すように、導電性基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成している積層型感光体20´も良い。
なお、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、結着剤等については、単層型感光体と基本的に同様の内容とすることができる。ただし、積層型感光体の場合、電荷発生剤の添加量については、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対して、0.5〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
また、積層型感光体は、上記電荷発生層及び電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。例えば、導電性基体上に電荷発生層を形成し、その上に電荷輸送層を形成した場合において、電荷輸送層における電荷輸送剤として、スチルベン誘導体のような正孔輸送剤を使用した場合には、感光体は負帯電型となる。この場合、電荷発生層には電子輸送剤を含有させてもよい。そして、積層型の湿式現像用電子写真感光体であれば、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度を向上させることができる。
なお、積層型感光体における感光体層の厚さに関しては、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図11に示すように、第1の実施形態である湿式現像用電子写真感光体(以下、単に、感光体と称する場合がある。)31を備えるとともに、当該感光体31の周囲に、帯電工程を実施するための帯電器32、露光工程を実施するための露光光源33、現像工程を実施するための湿式現像器34、及び転写工程を実施するための転写器35を配置して画像形成を行う湿式画像形成装置30である。
なお、以下の湿式画像形成装置の説明では、湿式現像用電子写真感光体として、単層型感光体を用いた場合を想定して説明する。
感光体31は、矢印の方向に一定速度で回転しており、感光体31の表面で、次の順に電子写真プロセスが行われることになる。より詳細には、帯電器32により、感光体31が全面的に帯電され、次いで、露光光源33によって、印字パターンが露光される。次いで、湿式現像器34によって、印字パターンに対応して、トナー現像され、さらに、転写器35によって、転写材(紙)36へのトナーの転写が行われる。そして、最後に、感光体31に残った余分なトナーに対して、クリーニングブレード37による掻き落としが行われるとともに、除電光源38によって、感光体31の除電が行われることになる。
ここで、トナーが分散された液体現像剤34aは、現像ローラ34bによって運ばれ、所定の現像バイアスを印加することで、感光体31の表面上にトナーが引き付けられて、感光体31上に現像されることになる。また、液体現像剤34aにおける固形分濃度を、例えば、5〜25重量%の範囲内の値とすることが好ましい。さらに、液体現像剤34aに使用される液体(トナー分散溶媒)としては、炭化水素系溶剤やシリコーン系オイルが好適に使用される。
そして、感光体31において、電子輸送剤及び結着樹脂の無機性値/有機性値の値をそれぞれ所定値とし、かつ正孔輸送剤の分子量を所定値することにより、耐溶剤性や感度特性に優れた単層型の湿式現像用電子写真感光体が得られ、長時間にわたって、優れた画像特性を維持することができる。即ち、湿式現像用電子写真感光体を安定的に製造することができ、結果として、耐溶剤性が良好であって、電荷輸送剤(正孔輸送剤又は電子輸送剤)が炭化水素系溶媒中に溶出しにくく、かつ、良好な画像が得られるようになった。
[実施例1]
(1)湿式現像用電子写真感光体の作成
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニン(CGM−1)を4重量部と、正孔輸送剤として、分子量1057.41のスチルベン誘導体(HTM−1)40重量部と、電子輸送剤として化合物(ETM−5)を50重量部と、結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂(Resin−4、粘度平均分子量50,000)を100重量部と、ジメチルシリコーンオイル(レベリング剤)0.1重量部とを、テトラヒドロフラン(溶剤)750重量部とともに超音波分散機にて60分間、混合分散し、均一に溶解させて、単層型感光層用の塗布液を作製した。そして、この塗布液を、支持体としての直径30mm長さ254mmの導電生基材(アルマイト処理済アルミニウム素管)上、外面全域にディップコート法にて塗布し、130℃、30分間の熱風乾燥を行ない、膜厚22μmの単一感光層を有する湿式現像用電子写真感光体を作成した。
(2)評価
(2)−1 感度測定
得られた湿式現像用電子写真感光体における明電位を測定した。即ち、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させ、次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.0μJ/cm2)を露光した。露光後330msec経過後の電位を測定し、初期感度とした。また、感光体全体をアイソパーL(イソパラフィン系溶剤)に、温度25℃、600時間の条件で浸漬した。その後、アイソパー液から湿式現像用電子写真感光体を取り出し、感度を同様に測定し、初期感度とアイソパー浸漬後の感度差を算出した。得られた結果を表2に示す。
(2)−2 耐溶剤性評価
得られた単層型湿式現像用電子写真感光体を、その感光層の全面が浸るように、湿式現像の現像液として使用されるアイソパーL(エクソン化学社製)500mlに、開放系で暗所下、温度20℃、600時間の条件で浸漬させた。一方、正孔輸送剤の濃度を変えて、アイソパーL中に溶解させた。その状態で紫外線吸収ピーク波長における吸光度を測定し、正孔輸送剤に関する濃度−吸光度検量線を予め作成した。次いで、アイソパーLに浸漬した湿式現像用電子写真感光体について、紫外線吸収測定を行い、検量線に照らして、正孔輸送剤の紫外線吸収ピーク波長における吸光度から、正孔輸送剤の溶出量を算出した。得られた結果を表2に示す。
(2)−3 外観評価
また、耐溶剤性評価後の湿式現像用電子写真感光体の外観を目視にてクラックの発生の有無を観察し、下記基準に準じて外観評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
◎:外観変化が全く見られない。
○:顕著な外観変化は見られない。
△:外観変化が少々見られる。
×:顕著な外観変化が見られる。
[実施例2]
実施例2においては、電荷発生剤として、CGM−2を2重量部用いるとともに、分散補助を目的とした下式(16)で示されるビスアゾ顔料のPigment Orange16を2重量部添加したこと以外は、実施例1と同様に、湿式現像用電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0004001295
[実施例3〜5]
実施例3〜5においては、実施例1で用いた電子輸送剤(ETM−5)のかわりに、I/O値を変えた電子輸送剤(ETM−6〜ETM−8)を同量用いたこと以外は実施例1と同様に、湿式現像用電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例1〜6]
比較例1〜6においては、実施例1で用いた電子輸送剤(ETM−5)のかわりに、I/O値が0.6未満である下記式(17)で表される電子輸送剤(ETM−9〜ETM−14)を同量用いたこと以外は実施例1と同様に、湿式現像用電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表2に示す。
Figure 0004001295
Figure 0004001295
[実施例6〜11]
実施例6〜11においては、実施例1で用いた結着樹脂(Resin−4)のかわりに、I/O値が異なる結着樹脂(Resin−1〜3、5、15、16)を同量用いたこと以外は実施例1と同様に、湿式現像用電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表3に示す。
[比較例7〜10]
比較例7〜10においては、実施例1で用いた結着樹脂(Resin−4)のかわりに、I/O値が0.37未満である下式(18)で表される結着樹脂(Resin−17、18、19、20)を同量用いたこと以外は実施例1と同様に、湿式現像用電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表3に示す。
Figure 0004001295
Figure 0004001295
[実施例12〜17、20〜26、比較例11〜13、参考例1〜2]
実施例12〜17、20〜26、比較例11〜13、及び、参考例1〜2においては、実施例1で用いた結着樹脂(Resin−4)のかわりに、結着樹脂(Resin−6、7、8)を用い、電子輸送剤としてETM−5、4、16、18を用い、正孔輸送剤としてHTM−1、3、6〜13を用い、電荷発生剤としてCGM−1〜4を用い、実施例1と同様の方法を用いて、それぞれ表4に示す構成で湿式現像用電子写真感光体を作成して、さらにそれぞれ感光体の浸漬時間を600時間から2000時間に変更して実施例1と同様に評価した。得られた結果を表4に示す。
Figure 0004001295

[実施例27〜30、比較例14]
実施例27〜30、及び比較例14においては、実施例1で用いた正孔輸送剤(HTM−1)のかわりに、種類の異なる正孔輸送剤(HTM−2〜6)を同量用いたこと以外は実施例1と同様に、湿式現像用電子写真感光体を作成して、評価した。得られた結果を表5に示す。
Figure 0004001295
[実施例31]
実施例31は、電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニン(CGM−1)を3重量部と、正孔輸送剤として、分子量1001.3のスチルベン誘導体(HTM−15)45重量部と、電子輸送剤として、化合物(ETM−1)を55重量部と、結着樹脂として、ポリカーボネート樹脂(Resin−3、粘度平均分子量45,000)を100重量部と、ジメチルシリコーンオイル(レベリング剤)0.1重量部とを、テトラヒドロフラン(溶剤)750重量部とともに超音波分散機にて60分間、混合分散し、均一に溶解させて、単層型感光層用の塗布液を作製した。そして、この塗布液を、支持体としての直径30mm長さ254mmの導電生基材(アルマイト処理済アルミニウム素管)上、外面全域にディップコート法にて塗布し、140℃、20分間の熱風乾燥を行ない、膜厚20μmの単一感光層を有する湿式現像用電子写真感光体を作成した。
(1)評価
(1)−1 感度測定
得られた湿式現像用電子写真感光体における明電位を測定した。即ち、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、850Vになるように帯電させ、次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.0μJ/cm2)を露光した。露光後500msec経過後の電位を測定し、明電位(V)とした。得られた結果を表6に示す。
(1)−2 耐溶剤性評価
得られた単層型湿式現像用電子写真感光体を、その感光層の全面が浸るように、湿式現像の現像液として使用されるモレスコホワイトP―40(松村石油研究所)500mlに、開放系で暗所下、温度20℃、200時間の条件で浸漬させた。一方、電子輸送剤の濃度を変えて、モレスコホワイトP―40に溶解させた。その状態で紫外線吸収ピーク波長における吸光度を測定し、電子輸送剤に関する濃度−吸光度検量線を予め作成した。次いで、モレスコホワイトP―40に浸漬した湿式現像用電子写真感光体について、紫外線吸収測定を行い、検量線に照らして、電子輸送剤の紫外線吸収ピーク波長における吸光度から、電子輸送剤の溶出量を算出した。得られた結果を表6に示す。
(1)−3 外観評価
また、耐溶剤性評価後の湿式現像用電子写真感光体の外観を目視にてクラックの発生の有無を観察し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表6に示す。
[実施例32、33]
実施例32、33においては、実施例31で使用した、電子輸送剤(ETM−1)のかわりに電子輸送剤(ETM−3、2)をそれぞれ用いた以外は、実施例31と同様に湿式電子写真感光体を作成し、評価した。得られた結果をそれぞれ表6に示す。
[実施例34、35]
実施例34においては、実施例32で使用した、電荷発生剤(CGM−1)のかわりに電荷発生剤(CGM−2)を用いた以外は、実施例32と同様に湿式電子写真感光体を作成し、評価した。
また、実施例35においては、実施例34で使用した、正孔輸送剤(HTM−15)のかわりに正孔輸送剤(HTM−4)を用いた以外は、実施例34と同様に湿式電子写真感光体を作成し、評価した。得られた結果をそれぞれ表6に示す。
[実施例36〜38]
実施例36〜38においては、実施例32で使用した、結着樹脂(Resin−3)のかわりに結着樹脂(Resin−1、4、5)をそれぞれ用いた以外は、実施例32と同様に湿式現像用電子写真感光体を作成し、評価した。得られた結果をそれぞれ表6に示す。
[比較例15〜21]
比較例15〜21においては、実施例31で使用した、電子輸送剤(ETM−1)のかわりに式(19)で表される電子輸送剤(ETM−15〜22)をそれぞれ用いた以外は、実施例31と同様に湿式電子写真感光体を作成し、評価した。得られた結果をそれぞれ表6に示す。
Figure 0004001295

Figure 0004001295

Figure 0004001295
Figure 0004001295
本発明によれば、I/O値が0.37以上の結着樹脂を用い、I/O値が0.6以上の電子輸送剤を用い、且つ、分子量が900以上の正孔輸送剤を用いた場合は、電荷輸送剤の溶出量や浸漬実験後前後の感度変化が小さく、ドラム外観も良好であった。つまり、結着樹脂及び電子輸送剤の相互作用により、正孔輸送剤の溶出量を抑制することができるようになった。一方、I/O値が0.6未満の電子輸送剤を用いた場合は、溶出量及び浸漬実験後前後の感度変化が大きく、さらに試験片の全面にヒビ割れが発生するほどひどくは無いが、少しのヒビ割れが発生した。また、I/O値が0.37未満の結着樹脂を用いた場合は、溶出量及び浸漬実験後前後の感度変化が大きく、さらに試験片の全面にヒビ割れが発生したものもあった。
一方、電子輸送剤のI/O値が0.6以上であっても、結着樹脂のI/O値が0.37未満の場合や、結着樹脂のI/O値が0.37以上であっても電子輸送剤のI/O値が0.6未満の場合には、電荷輸送剤の溶出量や浸漬実験後前後の感度変化が大きく、浸漬実験に耐え得ることが出来なかった。
従って、耐溶剤性の優れた感光体を得るには、電子輸送剤と結着樹脂両方のI/O値の条件を満たす必要があることが分かった。
すなわち、電子輸送剤及び結着樹脂における特定の物性指標であるI/O値及び分子量を利用して、均一な特性を有する湿式現像用電子写真感光体をより安定的に製造することができるとともに、より優れた耐久性や耐溶剤性を有する湿式現像用電子写真感光体が提供できるようになった。よって、本発明の湿式現像用電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種湿式画像形成装置における低コスト化、高速化、高性能化、高耐久化等に寄与することが期待される。
(a)及び(b)は、単層型感光体の基本的構造を説明するために供する図である。 電子輸送剤のI/O値と、正孔輸送剤の溶出量との関係を示す図である。 正孔輸送剤の溶出量と、湿式現像用電子写真感光体の明電位変化との関係を示す図である。 電子輸送剤のI/O値と結着樹脂のI/O値との比率と、正孔輸送剤の溶出量との関係を示す図である。 電子輸送剤の分子量と、電子輸送剤の溶出量との関係を示す図である。 電子輸送剤の溶出量と、湿式現像用電子写真感光体の繰り返し特性変化との関係を示す図である。 結着樹脂のI/O値と、正孔輸送剤の溶出量との関係を示す図である。 結着樹脂の粘度平均分子量と、正孔輸送剤の溶出量との関係を示す図である。 結着樹脂の粘度平均分子量と、帯電位変化との関係を示す図である。 (a)及び(b)は、積層型感光体の基本的構造を説明するために供する図である。 湿式画像形成装置を説明するために供する図である。
符号の説明
10:単層型感光体
12:導電性基体
14:感光体層
16:バリア層
20:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
31:感光体
32:帯電器
33:露光光源
34:湿式現像器
34a:液体現像剤
34b:現像ローラ
35:転写器
36:転写材
37:クリーニングブレード
38:除電光源
39:プローブ

Claims (11)

  1. 導電性基体上に、少なくとも電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、結着樹脂と、を含有する感光層を備えるとともに、炭化水素系溶媒を含む湿式現像用現像液に適用する湿式現像用電子写真感光体であって、
    前記電子輸送剤の無機性値/有機性値(I/O値)を0.6以上の値とし、前記結着樹脂の無機性値/有機性値(I/O値)を0.37以上の値とし、かつ、前記正孔輸送剤の分子量を900以上の値とすることを特徴とする湿式現像用電子写真感光体。
  2. 前記電子輸送剤の無機性値/有機性値(I/O値)と、前記結着樹脂の無機性値/有機性値(I/O値)との比率を1.5〜3.0の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  3. 前記結着樹脂が、下記一般式(1)で表されるポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の湿式現像用電子写真感光体。
    Figure 0004001295

    (一般式(1)中のR1〜R4は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基であり、Aは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−(CH2)2−、−SO−、−SO2−、−CR56−、−SiR56−、又は−SiR56−O−(R5、R6はそれぞれ独立しており、水素原子、置換又は非置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、トリフルオロメチル基、又は、R5とR6とが環形成し、置換基として炭素数1〜7のアルキル基を有しても良い炭素数5〜12のシクロアルキリデン)であり、Bは単結合、−O−、又は−CO−である。)
  4. 前記一般式(1)中のR5とR6の種類が異なり、R5とR6が非対称関係にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  5. 前記結着樹脂の粘度平均分子量を40,000〜80,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  6. 前記電子輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  7. 前記正孔輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  8. 前記正孔輸送剤が、下記一般式(2)で表されるスチルベン構造を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
    Figure 0004001295

    (一般式(2)中、R7〜R13は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、置換又は非置換のアゾ基、あるいは置換又は非置換の炭素数6〜30のジアゾ基であり、繰り返し数cは1〜4の整数である。)
  9. 湿式現像用現像液として使用される炭化水素系溶媒に、室温、600時間の条件で浸漬した場合に、前記正孔輸送剤の溶出量が5×10-7g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  10. 前記感光層が、単層型であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体を備えるとともに、当該湿式現像用電子写真感光体の周囲に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程をそれぞれ配置したことを特徴とした湿式画像形成装置。
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