JP4535960B2 - 湿式現像用電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
近年の電子写真感光体は、有機感光体(OPC)が主流であって、この有機感光体の感光層は、電荷発生剤と、電荷輸送剤とを含有する結着樹脂を用いて形成されている。
かかる有機感光体を用いた画像形成装置においては、現像剤として粉体のトナー(乾式現像剤)を用いる乾式現像法が一般的である。一方、電気絶縁性の高い溶剤中に着色剤、ポリマー粒子などを分散させた湿式現像剤を用いて、感光体表面の静電潜像にトナー粒子を電気泳動させて現像する湿式現像法も知られている。
この湿式現像剤において、トナー粒子は、それを構成する樹脂や帯電制御剤によって所定の電荷に帯電しており、溶剤中にて安定に分散している。従って、湿式現像剤には、乾式現像剤に比べて粒径の小さなトナー粒子(通常1μm程度)を用いることができ、その結果、湿式現像を採用することで、乾式現像に比べて解像度の高い画像形成を行うことができる。
また、乾式現像ではリークなどによって局所的に帯電電位が低下するという問題が生じるものの、湿式現像ではかかる問題を生じることがない。それゆえ、湿式現像剤および湿式現像は、高品位の画像形成を実現する上で好適である。
すなわち、画像形成を繰り返した場合であっても、湿式現像剤への電子輸送剤及び正孔輸送剤の溶出量を抑制した湿式現像用電子写真感光体及びそのような画像形成装置を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、所定の分子量を有する電子輸送剤及び正孔輸送剤を含む感光体を用いることにより、優れた耐溶剤性及び耐磨耗性を示すとともに、長期間に渡って所定感度を維持できるようになった。
このように構成することにより、炭化水素系溶媒に対する耐溶剤性をあげることができ、長期間に渡って安定的な画像形成ができるようになる。
このように構成することにより、さらに炭化水素系溶媒に対する耐溶剤性をあげることができる。
このように構成することにより、感光層形成時における電子輸送剤の結晶化を有効に防ぐことができるようになり、感度特性に優れた感光体を得ることができる。
このように構成することにより、感光層形成時における正孔輸送剤の結晶化を有効に防ぐことができるようになり、感度特性に優れた感光体を得ることができる。
このように構成することにより、炭化水素系溶媒に長時間浸漬した場合であっても、電子輸送剤及び正孔輸送剤の溶出量を有効に防止するとともに、かつ、耐オゾン性にも優れた感光体を得ることができる。
このように構成することにより、感光体の構成や製造が容易になり、所望の感光体を効率よく製造することができる。
すなわち、帯電工程を実施するための帯電器、露光工程を実施するための露光器、現像工程を実施するための湿式現像器、転写工程を実施するための転写器を備えた湿式画像形成装置に対して、所定の分子量の電子輸送剤及び正孔輸送剤を用いた湿式現像用電子写真感光体を用いることにより、優れた耐溶剤性と、耐久性と、長期間に渡って所定感度を維持できる。
第1の実施形態は、少なくとも電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、結着樹脂と、を含有する感光層を備えた湿式現像用電子写真感光体であって、湿式現像剤として、炭化水素系溶剤をトナー分散媒として含む湿式現像剤を用いるとともに、電子輸送剤として、一般式(e1)〜(e8)で表わされる化合物を少なくとも1種含むとともに、当該電子輸送剤の分子量を600以上の値とし、正孔輸送剤として、一般式(h1)〜(h2)で示される部位を有する化合物を少なくとも1種含むとともに、当該正孔輸送剤の分子量を1001.30以上とすることを特徴とする湿式現像用電子写真感光体である。
(1)基本的構成
図1(a)に示すように、単層型湿式現像用電子写真感光体(以下、単層型感光体と称する)10は、導電性基体12上に単一の感光層14を設けたものである。
この感光層14は、電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、結着樹脂と、を所定の溶媒に溶解又は分散させた塗布液を、導電性基体12上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。また、この単層型感光体10は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、感光層を形成する際の被膜欠陥を抑制できることから、生産性に優れるという特徴を有する。更に、層間の界面が少ないことから、光学的特性を向上させることができる。
なお、図1(b)に例示するように、導電性基体12上に、中間層16を介して、感光体層14を備えた電子写真感光体10´であっても良い。
本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる導電性基体としては、特に限定されず、基体自体が導電性を有するか、または、基体の表面が導電性を有する種々の材料が挙げられる。具体的には、例えば、鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮などの金属単体、例えば、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、例えば、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどで被覆されたガラス、例えば、カーボンブラックなどの導電性微粒子を分散させた樹脂基体などが挙げられる。
また、導電性基体の形状は、電子写真感光体を使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状などの種々の形状を採用することができる。
(3)−1 分子量
本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる電子輸送剤は、分子量が600以上であることを特徴とする。
また、このように電子輸送剤の分子量を規定することで、感光層からの電子輸送剤の溶出量を抑制するとともに、感光層の劣化を防止することができることから、かかる分子量を600〜2000の範囲内の値とすることが好ましく、600〜1000の範囲内の値とすることがより好ましい。なお、電子輸送剤の分子量は、構造式に基づいて算出した値を用いてもよく、質量スペクトルでの測定値を用いてもよい。
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる電子輸送剤として、上記一般式(e1)〜(e8)で表される化合物を少なくとも1種を含むことを特徴とするが、上記一般式(e1)〜(e4)で表わされる化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。
ここで、一般式(e1)および(e2)中のR1としては、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、または式:−R8−Ar1−R9−で示される二価基が挙げられる。
一般式:−R8−Ar1−R9−中のR8およびR9としては、炭素数1〜8のアルキレン基、または炭素数2〜8のアルキリデン基が挙げられる。R8およびR9に相当する炭素数1〜8のアルキレン基および炭素数2〜8のアルキリデン基としては、それぞれ、上記例示の基と同様の基が挙げられる。
炭素数6〜18のアリーレン基としては、例えば、o、mまたはp−フェニレン、2−メチル−1,4−フェニレン、2,6−ナフチレンなどが挙げられる。
一般式(e1)、(e2)、(e3)および(e4)中のR2、R3、R4、R5、R6およびR7としては、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、または炭素数6〜18のアリール基が挙げられる。
炭素数6〜18のアリール基としては、例えば、フェニル、o、mまたはp−トリル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−キシリル、o、mまたはp−クメニル、メシチル、ナフチル、ビフェニルなどが挙げられる。
Yに相当する炭素数1〜8のアルキレン基および炭素数2〜8のアルキリデン基としては、それぞれ、上記例示の基と同様の基が挙げられる。
一般式(e1)中のAr1は、上記例示のなかでも、好ましくは、フェニレンが挙げられ、より好ましくは、o−フェニレンが挙げられる。
一般式(e2)中のAr1は、上記例示のなかでも、好ましくは、フェニレンが挙げられ、より好ましくは、o−フェニレンが挙げられる。
一般式(e3)中のYは、上記例示のなかでも、好ましくは、一般式:−R10−Ar1−R11−で示される二価基が挙げられる。より好ましくは、式:−CH2−C6H4−CH2−で示される二価基が挙げられ、より好ましくは、式:−CH2−C6H4−CH2−で示される二価基のうち、2つのメチレンがパラ位に結合した基が挙げられる。
一般式(e4)中のR6およびR7は、上記例示のなかでも、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数6〜18のアリール基が挙げられ、より好ましくは、R6およびR7がともにt−ブチル、またはR6およびR7がともにフェニルである場合が挙げられる。
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる電子輸送剤として、一般式(e5)〜(e8)で表される化合物を少なくとも1種以上含有することが好ましい。
この理由は、かかる電子輸送剤はそれぞれキノン誘導体またはジシアノメチレン誘導体がエステルを介して結合した多量体であり、それぞれエステル結合を有しているため、結着樹脂との相溶性に優れることができ、優れた耐溶剤性を示すことができるためである。また、それぞれ多量体からなる化合物であるため、結着樹脂との相溶性がさらに向上し、電気的特性および耐熱性を向上することができるためである。したがって、このような化合物を少なくとも一種以上含有する湿式現像用電子写真感光体により、長期間にわたって安定した画像形成実施することができる。
この理由は、このような置換基を有することにより、結着樹脂との相溶性がさらに向上することができるためである。また、電子の分布が非局在化し、かつ平面的になることによって、電荷移動度が大きくなるとともに、電荷発生剤からの電荷の注入性を高めることができるためである。
これらの電子輸送剤の具体例として、下記式(4)〜(9)で表される化合物(ETM−A〜F)が挙げられる。
また、これらの化合物のうち、樹脂60重量%に対して、濃度40重量%に調整した場合であって、電界強度が5×105v/cmにおける電子移動度が1.0×10-8cm2/V/sec以上である電子輸送剤がより好ましい。
また、湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送剤の添加量を、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、本発明に用いられる電子輸送剤としては、無機性値/有機性値(以下、I/O値と言う)が0.6以上のものを使用することが好ましい。
この理由は、後述する特定のI/O値を有する結着樹脂との相互作用により、正孔輸送剤の分散性や安定性が向上し、有機性が大きい炭化水素系溶媒中へ正孔輸送剤が溶出しにくくなるためである。
従って、炭化水素系溶媒中にトナー粒子が分散した現像溶液を用いた湿式画像形成装置に使用された場合でも、優れた耐溶剤性及び耐久性優れた画像特性(明電位)を得ることが出来る。
ただし、かかるI/O値の値が過度に大きくなると、溶剤や結着樹脂に対する溶解性が低下して、結晶化したり、感光体の電気特性が低下したりする場合がある。従って、電子輸送剤のI/O値を0.6〜1.7の範囲内の値とすることがより好ましく、0.65〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
一方、有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。即ち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5〜10付近での炭素1個加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基準として、各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値である。例えば、表1に示されている通り、ニトロ基(−NO2)の有機性値は70である。従って、ある種の有機化合物の無機性値とは、該有機化合物が有している各種置換基や結合等の有機性値の総和を意味する。よって、例えば、後述するETM−AのI/O値は、以下のようにして算出される。
・有機性20の炭素原子を38個有している。
よって、有機性値は20×38=760となる。
(無機性因子)
・無機性が60のナフタレン環を2個有している。
・無機性が15のベンゼン環を2個有している。
・無機性が20の酸素原子(−O−)を3個有している。
・無機性が65のケトン(>CO)を6個有している。
よって、ETM−Aの無機性値(I値)は、(60×2)+(15×2)+(20×3)+(65×6)=600となる。即ち、ETM−AのI/O値は600/760=0.789と求められる。
この理由は、このように構成することにより、無機性値/有機性値(I/O値)が低いバインダー樹脂との相溶性が良くなり、結晶化を抑制することができるためである。
ただし、かかるI/O値の値が過度に小さくなると、溶剤や結着樹脂に対する溶解性が過度に上昇し、感光体の電気特性が低下したりする場合がある。従って、電子輸送剤のI/O値を0.3〜0.6の範囲内の値とすることがより好ましく、0.45〜0.5の範囲内の値とすることがより好ましい。
(4)−1 分子量
本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる正孔輸送剤は、分子量が1001.30以上であることを特徴とする。
また、このように正孔輸送剤の分子量を規定することで、感光層からの正孔輸送剤の溶出量を抑制するとともに、感光層の劣化を防止することができることから、かかる分子量を1001.30〜4000の範囲内の値とすることが好ましく、1001.30〜2500の範囲内の値とすることがより好ましい。なお、正孔輸送剤の分子量は、構造式に基づいて算出した値を用いてもよく、質量スペクトルでの測定値を用いてもよい。
なかでも、正孔輸送剤として、上記一般式(h1)〜(h2)で示される部位を有する化合物を少なくとも1種含むことを特徴とする。
このような正孔輸送剤を用いることで、正孔輸送剤が溶出することを抑制することができる。
一般式(h1)および(h2)中のR17、R18およびR21としては、炭素数1〜8のアルキル基、2−ジフェニル−1−エテニル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、ハロゲン原子、上記式(1)、(2)および(3)のいずれかで示される基、または、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基が挙げられる。
炭素数7〜18のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、1−フェニルエチル、フェネチル、1−フェニルプロピル、ベンズヒドリル、o、mまたはp−メチルベンジル、2,3−、2,4−、2,5−、3,4−または3,5−ジメチルベンジルなどが挙げられる。
また、R17、R18およびR21に相当する基のうち、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「炭素原子を含む基」としては、例えば、上記例示の炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、上記式(1)で示される基、および上記式(2)で示される基のほか、エーテル結合、カルボニル基、カルボキシル基、アミノ結合、チオエーテル結合またはアゾ原子団を有する炭化水素基が挙げられる。
ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる「酸素原子を含む基」、または窒素原子と単結合で結合してなる「酸素原子を含む基」としては、例えば炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリールオキシ基、炭素数7〜18のアラルキルオキシ基などが挙げられる。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシなどが挙げられる。炭素数6〜18のアリールオキシ基および炭素数7〜18のアラルキルオキシ基におけるアリール部分およびアラルキル部分は、炭素数6〜18のアリール基および炭素数7〜18のアラルキル基として例示したものと同様の基が挙げられる。
分子中に上記一般式(h1)および(h2)で示される部位を有する正孔輸送剤の具体例としては、例えば下記一般式(10)または一般式(11)で示されるスチルベン誘導体が挙げられる。
また、湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、正孔輸送剤の添加量を、10〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、正孔輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、正孔輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、正孔輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
本発明の湿式現像用電子写真感光体において、電荷発生剤は、特に限定されるものではなく、例えば、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、例えば、ジスアゾ顔料、ジスアゾ縮合顔料、モノアゾ顔料、ペリレン系顔料、ジチオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム塩、アンサンスロン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン系顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料などが挙げられる。
レーザビームプリンタなどのデジタル光学系の画像形成装置には、一般に、露光光源として、半導体レーザや発光ダイオードが使用されており、その波長は680〜830nm前後の長波長領域(いわゆる「近赤外領域」)が主流である。従って、デジタル光学系の画像形成装置に用いられる電子写真感光体においては、電荷発生剤として、好ましくは、近赤外領域での感度に優れている無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料が挙げられる。
また、露光光源として、ハロゲンランプなどの白色光源を使用しているアナログ光学系の画像形成装置においては、電荷発生剤として、好ましくは、可視領域に感度を有するペリレン系顔料、ビスアゾ系顔料などが挙げられる。
(6)−1 種類
本発明の電子写真感光体において、結着樹脂としては特に限定されるものではなく、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型、ビスフェノールC型、ビスフェノールZC型などのビスフェノールを用いてなるポリカーボネート、例えば、ポリエステル、ポリアリレート、ポリスチレンおよびポリ(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。なかでも、ポリカーボネートは、感光層の強度、耐磨耗性などをより一層良好なものにすることができ、とりわけ、感光層が単層型である場合に好適である。しかも、電荷輸送剤との相溶性に優れ、その分子内に、電荷輸送剤の電荷輸送能を妨害する部位を有しないものであることから、高感度な電子写真感光体を得る上でも好適である。
上記一般式(b)中のR27およびR28としては、例えば、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数5〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数6〜18のアリールオキシ基が挙げられる。
炭素数5〜7のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。
炭素数5〜11のシクロアルキリデン基としては、例えば、シクロペンチリデン、シクロへキシリデンなどが挙げられる。
また、結着樹脂の粘度平均分子量を40,000〜80,000の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような特定分子量の結着樹脂を用いることにより、湿式現像液として使用される炭化水素系溶媒に、長時間浸漬した場合であっても、電子輸送剤及び正孔輸送剤の溶出量が少なく、かつ、耐オゾン性にも優れた湿式現像用電子写真感光体を効果的に提供することができるためである。
すなわち、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が40,000未満の値になると、耐溶剤性が著しく低下する場合があるためである。一方、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が80,000を超えると、著しく耐オゾン性が低下するためである。
したがって、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を50,000〜79,000の範囲内の値とすることがより好ましく、60,000〜78,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計によって、極限粘度[η]を求め、Schnellの式によって、[η]=1.23×10-4M0.83より算出した。なお、[η]は、20℃で、塩化メチレン溶液を溶媒として、濃度(C)が6.0g/cm3となるようにポリカーボネート樹脂を溶解させて得られたポリカーボネート樹脂溶液から測定することができる。
また、結着樹脂として、無機性値/有機性値(I/O値)が0.37以上であるものを使用することが好ましい。
この理由は、このような結着樹脂を使用することにより、特定のI/O値を有する電子輸送剤及び正孔輸送剤との相互作用を発揮させ、分散性や安定性が向上し、有機性が大きい炭化水素系溶媒中への溶出を有効に防止することができる。
従って、炭化水素系溶媒中にトナー粒子が分散した現像溶液を用いた湿式画像形成装置に使用された場合でも、優れた耐溶剤性及び耐久性、さらには優れた画像特性(明電位)を得ることができる。
但し、かかる結着樹脂のI/O値が過度に大きくなると、電子輸送剤との混合性や溶剤に対する溶解性が低下する場合がある。従って、結着樹脂のI/O値を0.375〜 1.7の範囲内の値とすることがより好ましく、0.38〜1.6の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
本発明の湿式現像用電子写真感光体においては、感光層に、必須成分としての電荷発生剤と、電子輸送剤と、結着樹脂と、正孔輸送剤と、を含有させること以外に、例えば、分散剤、増感剤、例えば、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤などの劣化防止剤、例えば、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー、例えば、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光層表面の平滑性を良くするための界面活性剤やレベリング剤などを含有させることができる。
また、上述した各種成分を分散させるための分散媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール類、例えば、n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族系炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系炭化水素類、例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、例えば、酢酸エチル、酢酸メチルなどのエステル類、例えば、ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドが挙げられる。これらの分散媒は、単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の湿式現像用電子写真感光体を製造するにあたり、感光層形成用塗布液は、例えば、電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂などを、分散媒とともに、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機などを用いて分散混合することによって、調製することができる。
単層型感光層において、感光層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは、5〜100μmであり、より好ましくは、10〜50μmである。
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体として、図2(a)に示すような積層型電子写真感光体を用いることも好ましい。この積層型感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、電子輸送剤と結着樹脂とを含む塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製することができる。
また、上記構造とは逆に、図2(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図2(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
この積層型感光層20において、感光層の厚さは、特に限定されないが、電荷発生層が、好ましくは、0.01〜5μm、より好ましくは、0.1〜3μmであり、電荷輸送層が、好ましくは、2〜100μm、より好ましくは、5〜50μmである。
第2の実施形態は、第1の実施形態である湿式現像用電子写真感光体を備えるとともに、当該湿式現像用電子写真感光体の周囲に、帯電工程を実施するための帯電器、露光工程を実施するための露光光源、現像工程を実施するための湿式現像器、および転写工程を実施するための転写器を配置し、かつ、現像工程において、炭化水素系溶媒にトナーを分散した湿式現像剤を用いて画像形成を行う湿式現像用画像形成装置である。
なお、以下の湿式現像用画像形成装置の説明では、電子写真感光体として、単層型感光体を用いた場合を例に採って説明する。
また、感光体31は、矢印の方向に一定速度で回転しており、感光体31の表面で、次の順に電子写真プロセスが行われることになる。より詳細には、帯電器32により、感光体31が全面的に帯電され、次いで、露光光源33によって、印字パターンが露光される。
次いで、湿式現像器34によって、印字パターンに対応して、トナー現像され、さらに、転写器35によって、転写材(紙)36へのトナーの転写が行われる。そして、最後に、感光体31に残った余分なトナーに対して、クリーニングブレード37による掻き落としが行われるとともに、除電光源38によって、感光体31の除電が行われることになる。
そして、感光体31において、特定の電子輸送剤を使用することにより、耐溶剤性や感度特性に優れた単層型の湿式現像用電子写真感光体が得られ、長時間にわたって、優れた画像特性を維持することができる。
(1)湿式現像用電子写真感光体の製造
電荷発生剤にはX型無金属フタロシアニンを使用し、電子輸送剤には、下記式(e1−1)で示される化合物(C36H36N2O8、分子量624.68、I/O値=0.860)を55重量部使用し、正孔輸送剤には、下記式(h2−1)で示される化合物(C76H60N2、分子量1001.30)を45重量部使用した。結着樹脂には、下記式(b1−1)で示される繰り返し単位と、下記式(b2−1)で示される繰り返し単位とを有する、粘度平均分子量45000の共重合ポリカーボネート樹脂であって、繰り返し単位(b1−1)の割合pと、繰り返し単位(b2−1)の割合qとの比p:q(共重合比)が15:85(重量比)であるもの(Resin−1)(I/O値=0.415)を100重量部を使用した。レベリング剤には、ジメチルシリコーンオイル(商品名「KF−96−50CS」、信越化学工業(株)製)0.1重量部を使用した。上述した材料と、溶剤としてテトラヒドロフラン750重量を超音波分散機に投入して、60分間分散させることより、単層型感光層用の塗布液を作製した。
GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて、得られた感光ドラムに印加電圧(+850V)を加え、表面を帯電させた後、露光光源であるハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.0μJ・cm−2)を露光した。露光開始から0.5秒経過時の表面電位(明電位)を測定し、これを電子写真感光体の感度とした。測定値が低いほど、感光体が高感度であることを示す。
得られた感光ドラムを容器内に載置した後、該容器内にパラフィン系溶剤(商品名「モレスコホワイトP−40」、松村石油研究所)500mLを入れて、感光ドラムの全体をパラフィン系溶剤に浸した状態で、200時間静置した。静置後、該容器内のパラフィン系溶剤を採取して、その吸光度を測定することにより、パラフィン系溶剤中に溶出した電子輸送剤(ETM)の量を求めた。電子輸送剤の溶出量は、あらかじめ作製した検量線に基づいて決定した。
併せて、パラフィン系溶剤に浸析した後の感光ドラムの表面を目視で観察して、クラックの発生の有無を確認した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(e4−1)で示される化合物(C42H50N4O2、分子量642.87、I/O値=0.334)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(e3−1)で示される化合物(C42H26O8、分子量658.65、I/O値=0.649)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(e4−2)で示される化合物(C45H56N4O2、分子量684.95、I/O値=0.318)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(e2−1)で示される化合物(C36H22N4O12、分子量702.58、I/O値=0.948)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(e4−3)で示される化合物(C62H50N4O2、分子量883.09、I/O値=0.274)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(ETM15−1)で示される化合物(C18H11NO2、分子量273.29)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(ETM10−1)で示される化合物(C21H30N2O、分子量326.48)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(ETM11−1)で示される化合物(C25H22N2O、分子量366.46)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(ETM4−1)で示される化合物(C24H16O4、分子量368.38)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(ETM10−2)で示される化合物(C31H22N2O、分子量438.52)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電子輸送剤として、式(e1−1)で示される化合物に代えて、下記式(ETM14−1)で示される化合物(C30H22N2O4、分子量474.51)55重量部を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表2に示す。
電荷発生剤として、X型無金属フタロシアニンに代えて、チタニルフタロシアニン3重量部を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表3に示す。
正孔輸送剤として、式(h2−1)で示される化合物に代えて、下記式(h2−2)で示される化合物(C75H69N3、分子量1012.4)45重量部を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表3に示す。
正孔輸送剤として、式(h2−1)で示される化合物に代えて、下記式(h1−1)で示される化合物(C68H60N2、分子量905.2)45重量部を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表3に示す。
正孔輸送剤として、式(h2−1)で示される化合物に代えて、下記式(h2−3)で示される化合物(C48H40N2、分子量644.8)45重量部を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表3に示す。
結着樹脂として、上記のResin−1に代えて、式(b1−1)で示される繰り返し単位と、下記式(b2−2)で示される繰り返し単位とを有する共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−2)100重量部を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を製造した。
また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表4に示す。
結着樹脂として、上記のResin−1に代えて、式(b1−1)で示される繰り返し単位と、下記式(b2−3)で示される繰り返し単位とを有する共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−3)100重量部を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を製造した。
また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表4に示す。
結着樹脂として、Resin−1に代えて、下記式(b3−1)で示される繰り返し単位と、式(b2−1)で示される繰り返し単位とを有する共重合ポリカーボネート樹脂(Resin−4)100重量部を使用したこと以外は、実施例3と同様にして、電子写真感光体を製造した。
また、得られた電子写真感光体について、実施例1と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表4に示す。
(1)湿式現像用電子写真感光体の製造
電荷発生剤にはX型無金属フタロシアニンを使用し、電子輸送剤には、式(4)で示される化合物(ETM−A)を50重量部使用し、正孔輸送剤には、下記式(h2−4)で示される化合物(C80H68N2、分子量1057.41)を45重量部使用した。結着樹脂には、実施例1に示した式(b1−1)で示される繰り返し単位と、式(b2−2)で示される繰り返し単位とを有する、粘度平均分子量50000の共重合ポリカーボネート樹脂であって、繰り返し単位(b1−1)の割合pと、繰り返し単位(b2−1)の割合qとの比p:q(共重合比)が20:80(重量比)であるもの(Resin−1)(I/O値=0.405)を110重量部を使用した。レベリング剤には、ジメチルシリコーンオイル(商品名「KF−96−50CS」、信越化学工業(株)製)0.1重量部を使用した。上述した材料と、溶剤としてテトラヒドロフラン750重量を超音波分散機に投入して、50分間分散させることより、単層型感光層用の塗布液を作製した。
次いで、得られた塗布液をアルマイト処理済みアルミニウム素管上に塗布して、130℃で30分間熱風乾燥することにより、膜厚22μmの単層型感光層を備える感光ドラム(湿式現像用電子写真感光体)を作製した。この感光ドラムは、直径φ30mm、長さL254mmの円筒状であった。
GENTEC社製のドラム感度試験機を用いて、得られた感光ドラムに印加電圧(+700V)を加え、表面を帯電させた後、露光光源であるハロゲンランプの白色光からバンドパスフィルタを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅20nm、光強度1.0μJ・cm−2)を露光した。露光開始から330秒経過時の表面電位(明電位)を測定し、これを電子写真感光体の感度とした。測定値が低いほど、感光体が高感度であることを示す。
得られた感光ドラムを容器内に載置した後、該容器内にパラフィン系溶剤(商品名「アイソパーL、エクソン化学社製」)500mLを入れて、感光ドラムの全体をパラフィン系溶剤に浸した状態で、2000時間静置した。静置後、該容器内のパラフィン系溶剤を採取して、その吸光度を測定することにより、パラフィン系溶剤中に溶出した電子輸送剤(ETM)の量を求めた。電子輸送剤の溶出量は、あらかじめ作製した検量線に基づいて決定した。
併せて、パラフィン系溶剤に浸析した後の感光ドラムの表面を目視で観察して、クラックの発生の有無を確認した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、式(5)で示される化合物(ETM−B)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、式(6)で示される化合物(ETM−C)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、式(7)で示される化合物(ETM−D)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、式(8)で示される化合物(ETM−E)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、式(9)で示される化合物(ETM−F)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、下記式(ETM−G)で示される化合物(C19H14O4、分子量306.31)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、下記式(ETM−H)で示される化合物(C21H16N2O2、分子量328.36)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、下記式(ETM−I)で示される化合物(C19H16O4、分子量308.33)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
電子輸送剤として、式(4)で示される化合物(ETM−A)に代えて、下記式(ETM−J)で示される化合物(C18H16O5S、分子量344.38)50重量部を使用したこと以外は、実施例13と同様にして、電子写真感光体を製造した。また、得られた電子写真感光体について、実施例13と同様にして、感度測定と耐溶剤性試験を実施した。結果を表5に示す。
Claims (8)
- 少なくとも電荷発生剤と、電子輸送剤と、正孔輸送剤と、結着樹脂と、を含有する感光層を備えた湿式現像用電子写真感光体であって、
湿式現像剤として、炭化水素系溶剤をトナー分散媒として含む湿式現像剤を用いるとともに、
前記電子輸送剤として、下記一般式(e1)〜(e8)で表わされる化合物を少なくとも1種含むとともに、当該電子輸送剤の分子量を600以上の値とし、前記正孔輸送剤として、下記一般式(h1)〜(h2)で示される部位を有する化合物を少なくとも1種含むとともに、当該正孔輸送剤の分子量を1001.30以上とすることを特徴とする湿式現像用電子写真感光体。
(式(e1)〜(e4)中、R 1 は、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、または一般式:−R 8 −Ar 1 −R 9 −で示される二価基を示す。R 2 、R 3 、R 4 、R 5 、R 6 およびR 7 は、それぞれ独立しており、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、または炭素数6〜18のアリール基を示す。R 8 およびR 9 は、それぞれ独立しており、炭素数1〜8のアルキレン基、または炭素数2〜8のアルキリデン基を示す。s、tおよびuは、それぞれ独立しており、0〜4の整数を示す。Ar 1 は、炭素数6〜18のアリーレン基を示す。Yは、単結合、炭素数1〜8のアルキレン基、炭素数2〜8のアルキリデン基、または一般式:−R 10 −Ar 1 −R 11 −で示される二価基を示す。R 10 およびR 11 は、それぞれ独立しており、炭素数1〜8のアルキレン基、または炭素数2〜8のアルキリデン基を示す。)
(一般式(e5)〜(e8)中のX 1 〜X 6 はそれぞれ独立しており、酸素原子またはC(CN) 2 で表される基であり、Y 1 〜Y 4 はそれぞれ独立しており、2〜4価の炭素数1〜30の置換または非置換の炭化水素基、あるいは、炭素数1〜10の置換または非置換のアルキレン基、炭素数6〜15の置換または非置換のアリーレン基、下記式(e´1)〜(e´3)のいずれかで示される基であり、R 12 は水素原子、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、あるいは炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基であり、R 13 〜R 16 はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシカルボニル基であり、繰り返し数aは0〜4の整数であり、b〜dはそれぞれ独立しており、0〜7の整数であり、m、n、p、qはそれぞれ独立しており、2〜4の整数である。)
(式中、R 17 、R 18 およびR 21 は、それぞれ独立しており、炭素数1〜8のアルキル基、2−ジフェニル−1−エテニル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、ハロゲン原子、下記の一般式(1)〜(3)のいずれかで示される基、または、ベンゼン環の炭素原子と単結合で結合してなる炭素原子、窒素原子、酸素原子もしくは硫黄原子を含む基を示す。mは0〜5の整数を示し、nは0〜4の整数を示す。mまたはnが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つの上記アルキル基または上記アルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。R 4 は、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数7〜18のアラルキル基を示す。oは0〜5の整数を示す。oが2以上のとき、ベンゼン環の隣接する炭素原子に置換する2つの上記アルキル基または上記アルケニル基は、互いに結合して当該ベンゼン環とともに飽和または不飽和の炭化水素環を形成してもよい。R 20 は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数7〜18のアラルキル基を示す。)
(R 22 〜R 26 は、それぞれ独立しており、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、または炭素数7〜18のアラルキル基を示す。) - 前記結着樹脂が、下記一般式(b)で表されるポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項1に記載の湿式現像用電子写真感光体。
- 前記一般式(b)中のXが、エチリデン、イソプロピリデン、または2,2−ブチリデンであることを特徴とする請求項2に記載の湿式現像用電子写真感光体。
- 前記電子輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
- 前記正孔輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
- 前記結着樹脂の粘度平均分子量を40,000〜80,000の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
- 前記感光層が、単層型であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体を備えるとともに、当該湿式現像用電子写真感光体の周囲に、帯電工程を実施するための帯電器、露光工程を実施するための露光器、現像工程を実施するための湿式現像器、転写工程を実施するための転写器をそれぞれ配置したことを特徴とする画像形成装置。
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