JP4076994B2 - 湿式現像用積層型電子写真感光体および湿式現像用画像形成装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2に記載された湿式現像用電子写真感光体は、電荷輸送ポリマーの分子設計が容易でなく、安定的に製造することが困難であって、実用性に欠如するという問題が見られた。即ち、結着樹脂の物性がばらつき、その結果、感光層における感度特性や溶出量がばらつくなどの問題が見られた。
即ち、本発明は、正孔輸送剤及び結着樹脂における特定の物性指標を利用して、優れた耐久性や耐溶剤性を有する湿式現像用積層型電子写真感光体及びそれを用いた湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
より具体的には、基体上に、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、正孔輸送剤および結着樹脂を含有する電荷輸送層と、を備えた湿式現像用積層型電子写真感光体であって、孔輸送剤として、分子量が900〜1547.1の範囲内の値である化合物を含むとともに、結着樹脂として、I/O値が0.37〜0.45の範囲内の値であるポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする湿式現像用積層型電子写真感光体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
第1の実施形態は、電荷発生剤を含む電荷発生層と、正孔輸送剤および結着樹脂を含む電荷輸送層を備えた湿式現像用積層型電子写真感光体であって、正孔輸送剤として、分子量が900〜1547.1の範囲内の値である化合物を含むとともに、結着樹脂として、I/O値が0.37〜0.45の範囲内の値であるポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする湿式現像用積層型電子写真感光体である。
図1(a)に示すように、積層型電子写真感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、分子量が900〜1547.1の範囲内の値である正孔輸送剤と、I/O値が0.37〜0.45の範囲内の値である結着樹脂と、含む塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製することができる。
また、上記構造とは逆に、図1(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いこと、さらに、所定の特徴を有する正孔輸送剤及び結着樹脂を含有する電荷輸送層を最表面に形成することにより、より優れた耐溶剤性を提供できることから、図1(a)に示すように電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
そして、このような感光体層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブテン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、上記金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、カーボンブラック等の導電性微粒子を分散してなるプラスチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等が挙げられる。
さらに、基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、アルミニウム等のように、使用に際して十分な機械的強度を有するとともに、軽量であることが好ましい。
(1)結着樹脂
(1)−1 種類
本発明の湿式現像用積層型電子写真感光体に用いられる結着樹脂として、I/O値が0.37〜0.45の範囲内の値であるポリカーボネート樹脂を使用することを特徴とする。
この理由は、このような結着樹脂を使用することにより、特定の分子量の正孔輸送剤との相互作用を発揮させて、正孔輸送剤の分散性や安定性が向上し、有機性が大きい炭化水素系溶媒中への正孔輸送剤が溶出しにくくなるためである。
かかる図2から理解できるように、結着樹脂のI/O値が大きくなるほど正孔輸送剤の溶出量が小さくなることがわかる。さらに、結着樹脂のI/O値が0.37以上の値になると正孔輸送剤の溶出量が14×10-7(g/cm3)以下の値になり、優れた耐溶剤性を示すことがわかる。
但し、かかる結着樹脂のI/O値が過度に大きくなると、正孔輸送剤との混合性や溶剤に対する溶解性が低下する場合がある。従って、特に、正孔輸送剤の溶出量をより少なくできるので、結着樹脂のI/O値を0.38〜0.45の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
一方、有機性値とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。即ち、直鎖飽和炭化水素化合物の炭素数5〜10付近での炭素1個加わることによる沸点上昇の平均値は20℃であるから、炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基準として、各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値である。例えば、表1に示されている通り、ニトロ基(−NO2)の有機性値は70である。従って、ある種の有機化合物の無機性値とは、該有機化合物が有している各種置換基や結合等の有機性値の総和を意味する。よって、例えば、後述するResin−Aで表されるポリカーボネート樹脂は、本発明において使用し得る結着樹脂の代表例であるが、このポリカーボネ−ト樹脂のI/O値は以下のようにして算出される。
・有機性20の炭素原子を14個有している。
・有機性−10のIso分岐を0.5個有している。
よって、有機性値は20×14−10×0.5=275となる。
(無機性因子)
・無機性が15のベンゼン環を2個有している。
・無機性が20の−O−を0.5個有している。
・無機性が80の−O−COO−を1個有している。
よって、無機性値は15×2+20×0.5+80=120となり、Resin−Aで表されるポリカーボネート樹脂のI/O値は120/275=0.4364と求められる。
なお、結着樹脂としては、I/O値が0.37〜0.45の範囲内の値であれば、従来公知の種々の樹脂を採用することができる。なかでも、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂及びポリメタクリル酸エステル樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を使用するのが、電子輸送剤や正孔輸送剤等との相溶性や、感光層の強度、耐磨耗性等の特性をより一層良好なものにするという観点から好ましい。
この理由は、ポリカーボネート樹脂であれば、炭化水素系溶媒に対して難溶であるとともに、撥油性も高いためである。その結果、感光体層表面と前述の炭化水素系溶媒との相互作用が小さくなって、長期間にわって、感光体層表面の外観変化が少なくなる。
この理由は、このような特定分子量の結着樹脂を用いることにより、湿式現像液として使用される炭化水素系溶媒に、長時間浸漬した場合であっても、正孔輸送剤等の溶出量が少なく、かつ、耐オゾン性にも優れた湿式現像用積層型電子写真感光体を効果的に提供することができるためである。
すなわち、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が5000未満の値になると、耐溶剤性が著しく低下する場合があるためである。一方、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量が200000を超えると、著しく耐オゾン性が低下し、また感光層塗布において感光層の白化が発生しやすい。
したがって、結着樹脂、例えば、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量を5000〜200000の範囲内の値とすることが好ましく、10000〜100000の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オスワルド粘度計によって、極限粘度[η]を求め、Schnellの式によって、[η]=1.23×10-4M0.83より算出できる。なお、[η]は、20℃で、塩化メチレン溶液を溶媒として、濃度(C)が6.0g/dm3となるようにポリカーボネート樹脂を溶解させて得られたポリカーボネート樹脂溶液から測定することができる。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂であれば、撥油性の高いシロキサン構造を導入することなく、炭化水素系溶媒に対して難溶であるとともに、撥油性も高いためである。その結果、感光体層表面と前述の炭化水素系溶媒との相互作用が小さくなって、長時間にわたって、感光体層表面の外観変化が少なくなるためである。
なお、一般式(8)および(9)中の添え字であるd〜gは共重合成分のモル比を表しており、かかるモル比は、例えばNMRによって算出することができる
この理由は、R45〜R48およびR51〜R54が特定の置換基であることにより、正孔輸送剤との間の相溶性がさらに良好になって、現像液として使用される炭化水素系溶媒に長時間浸漬した場合であっても、正孔輸送剤の溶出量が極めて少ない湿式現像用積層型電子写真感光体を提供することができるためである。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂であれば、正孔輸送剤との間の相溶性がさらに良好になって、現像液として使用される炭化水素系溶媒に長時間浸漬した場合であっても、正孔輸送剤の溶出量が極めて少ない湿式現像用積層型電子写真感光体を提供することができるためである。
ここで、R49とR50が非対称であるということは、一般式(8)中のCを対称の中心としてみた場合、R49とR50が非対称であることを示す。
この理由は、R49、R50、R55およびR56が特定の置換基であることにより、正孔輸送剤との間の相溶性がさらに良好になって、現像液として使用される炭化水素系溶媒に長時間浸漬した場合であっても、正孔輸送剤の溶出量が極めて少ない湿式現像用積層型電子写真感光体を提供することができるためである。
また、R49およびR55がメチル基であって、R50およびR56が水素原子であることがより好ましい。
この理由は、R49、R50、R55およびR56が、かかる置換基であることにより、正孔輸送剤との間の相溶性がさらに良好になるとともに、かかる置換基を有するポリカーボネートであれば製造が容易になるためである。したがって、より優れた特徴を有するポリカーボネート樹脂を効率よく製造することができるためである。
ここで、一般式(8)および(9)で表されるポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、下記式(10)〜(13)で示される化合物(Resin−A〜Resin−D)が挙げられる。
(2)−1 種類
本発明の湿式現像用積層型電子写真感光体に用いられる正孔輸送剤として、分子量が900〜1547.1の範囲内の値である化合物を含むことを特徴とする。
この理由は、分子量がこのような数値範囲であれば、特定の結着樹脂との相溶性が良好となり、また、現像液への溶出量が少なくなり、耐溶剤性や耐久性に優れた積層型湿式現像用電子写真感光体を提供することができるためである。なお、正孔輸送剤の分子量は、Chem Draw Std version8(Cambridge Soft社製)を用いて化学構造式を元に算出することもできるし、あるいはマススペクトルを用いて算出することができる。
かかる図3から理解できるように、正孔輸送剤の分子量が大きくなるほど正孔輸送剤の溶出量が小さくなることがわかる。さらに正孔輸送剤の900以上の値になると、正孔輸送剤の溶出量が10×10-7(g/cm3)以下になる、優れた耐溶剤性を示すことがわかる。
また、図4を参照して、正孔輸送剤の溶出量と、感度変化との関係を説明する。図4の横軸には、正孔輸送剤の溶出量(g/cm3)が採って示してあり、縦軸には、後述する感度評価で測定した湿式現像用積層型電子写真感光体の感度変化(V)を採ってしめしてある。
かかる図4から理解できるように、正孔輸送剤の溶出量が10×10-7(g/cm3)以下の値になると、感度変化が4(V)以下の値になり、優れた感度特性を示すことがわかる。
よって、正孔輸送剤の分子量の値を所定以上の値に制御することにより、正孔輸送剤の溶出量を効果的に減らすことができるとともに、湿式現像用電子写真感光体の感度変化を著しく小さくすることができる。
ただし、正孔輸送剤の分子量が過度に大きくなると、感光層中での分散性が低下し、正孔輸送能が低下する場合がある。
したがって、正孔輸送剤の分子量を900〜1547.1の範囲内の値とする。
この理由は、正孔輸送剤としてこのような構造を含むことにより、特定のポリカーボネート樹脂との間の相溶性がさらに良好になり、また、電荷発生剤からの正孔の注入効率が高くなることから、耐久性や感度特性にさらに優れた湿式現像用積層型電子写真感光体を提供することができる。
この理由は、分子内の所定箇所に特定のエナミン構造や、トリフェニルアミン構造を導入したスチルベン化合物を使用することにより、アイソパー(商品名)等に代表されるパラフィン系溶剤に対する耐溶剤性を著しく向上させることができるためである。したがって、湿式現像用積層型電子写真感光体により、長期間にわたって安定した画像形成を実施することができる。
また、このような特定構造を分子末端に導入したスチルベン化合物を使用することにより、感度特性をさらに向上できるばかりでなく、機械的特性や成膜性についても向上することができるためである。
一般式(4)〜(7)で表される化合物の一例として、例えば、下記式(14)〜(19)で示される化合物(HTM−A〜F)が挙げられる。
正孔輸送剤の添加量に関し、結着樹脂100重量部に対して、10〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる正孔輸送剤の添加量が150重量部を超えた値になると、正孔輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる正孔輸送剤の添加量を30〜100重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)−1 種類
また、本発明の積層型電子感光体の電荷輸送層に、さらに電子輸送剤を含んでもよい。この理由は、電荷輸送層に電子輸送剤を含むことにより、電子輸送層に蓄積した電子を効率よく輸送することができ、残留電位を低下させて感度特性を向上させることができるためである。
この理由は、電子輸送剤として、特定の化合物を使用することにより、電子受容性に優れており、感度特性や耐溶剤性に優れた湿式現像用積層型電子写真感光体を提供することができるためである。
また、これらの化合物のうち、電界強度が5×105V/cmにおける電子移動度が1.0×10-8cm2/V/sec以上である化合物がより好ましい。
また、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、1〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる複数の電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を5〜80重量部以下の範囲内の値とすることがより好ましい。
(1)電荷発生剤
(1)−1 種類
本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、無金属フタロシアニン(τ型またはx型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の種類を特定することにより、感度特性、電気特性および安定性等がより優れた積層型電子写真感光体を提供することができるためである。
これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(31)〜(34)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜D)を使用することがより好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニン(Y型)を使用することにより、優れた感度を有する電子写真感光体を提供することができるからである。
この理由は、チタニルフタロシアニン(Y型)が上述した物性を満たすことにより、有機溶媒中でのかかるチタニルフタロシアニンの結晶の安定性に優れており、結晶転移を抑えることができるためである。このようなチタニルフタロシアニン(Y型)を感光体塗布液に用いることにより、長期間にわたって良好な感度特性を維持する電子写真感光体を提供することができる。
工程(1): チタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、撹拌処理し、次いで前記撹拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理する顔料化前処理の工程
工程(2): 前記水溶性有機溶媒を除去して得たチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶を溶媒に溶解したのち、この溶液を貧溶媒中に滴下してチタニルフタロシアニン化合物を再結晶させ、次いで水の存在下、非水系溶媒中でミリング処理する顔料化の工程
工程(2´): 上記工程(1)で得られた顔料化前処理液の水溶性有機溶媒を除去して得たチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶を、アシッドペースト法にて処理し、得られた低結晶性チタニルフタロシアニン化合物を、水の存在下、非水系溶媒中でミリング処理する工程
また、顔料化前処理のうち撹拌処理の条件は特に限定されないが、およそ70〜200℃程度の温度範囲の一定温度条件下で、1〜3時間程度のかく拌処理を行うのが好ましい。
また、撹拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜10時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。
ここでミリング処理は、水洗後の固体を乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に分散して撹拌する処理である。粗結晶を溶解する溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、臭化エチル、臭化ブチル等のハロゲン化炭化水素類、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸等のトリハロ酢酸類、および硫酸等の1種または2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
また再結晶のための貧溶媒としては、例えば水が挙げられる他、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類やアセトン、ジオキサン等の水溶性有機溶媒が挙げられ、これらがそれぞれ1種単独で、もしくは2種以上の任意の組み合わせで使用される。さらにミリング処理のための非水系溶媒としては、例えばクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
また、電荷発生層を電荷発生層用塗布液を作成し、塗布及び乾燥によって形成する方法において、電荷発生剤の添加量は、電荷発生層中の結着樹脂を100重量部としたとき、10〜500重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる複数の電荷発生剤の添加量が10重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、かかる複数の電荷発生剤の添加量が500重量部を超えた値になると、赤外ないし近赤外領域に吸収波長を有する光に対する吸光係数が低下し、感光体の感度、電気特性、安定性等がそれに伴い低下する場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を30〜300重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、感光体層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光体層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、基体上に中間層が形成してあることが好ましい。この理由は、基体上に中間層を形成することにより、感光体層と基体との間の接着性を向上することができるとともに、基体表面を平滑化することができるため、基体表面の欠陥を被覆することができ、さらに残留電位を低下することができるためである。
中間層に使用される結着樹脂としては、従来、感光体層に使用されている種々の樹脂を使用することができる。結着樹脂の種類としては、例えば、上述した結着樹脂の説明で記載したものが挙げられる。
また、中間層に使用させる結着樹脂としては、耐溶剤性に優れた樹脂がより好ましい。この理由は、中間層に使用される結着樹脂の耐溶剤性が低いと、中間層の上に塗布される感光体層に溶解してしまい、中間層を適当に作成するのが困難になる場合があるからである。具体的には、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリアミド、ポリエステル、マレイン酸樹脂、イソシアネート樹脂及びシリコン樹脂などが挙げられる。また、耐溶剤性にさらに優れていることから、フェノール樹脂、ポリアミドがより好ましい。
中間層に含有させる添加剤としては、製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止したり、分散性向上等を図ったり、導電性を向上させる目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することも好ましい。
また、中間層に含有させる添加剤の種類としては、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が挙げられる。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その平均粒径を0.005〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量換算で90重量%以下の値、0.01〜80重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜75重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、中間層は膜厚を厚くすることによって、支持基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する方向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する方向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
本発明の積層型感光体層の製造方法に関し、以下のように電荷輸送層用塗布液と、電荷発生層用塗布液とを作成して、それぞれ基体上に塗布した後、乾燥させて製造することが好ましい。
塗布液作成工程は、例えば、結着樹脂と、正孔輸送剤と、溶剤と、からなる電荷輸送層用塗布液、および結着樹脂と、電荷発生剤と、溶剤と、からなる電荷発生層用塗布液と、をそれぞれ作成する工程である。例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度が10〜40重量%の範囲内の値、電荷発生層用塗布液の固形分濃度が1〜10重量%の範囲内の値の塗布液を作成することが好ましい。この理由は、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度は10重量%未満の値になると、被膜欠陥を生じるおそれがあるためであり、一方、塗布液の固形分濃度は40重量%を超えると、層むらが生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合があるためである。また、同様に電荷発生層用塗布液の固形分濃度も1重量%未満の値になると被膜欠陥を生じるおそれがあり、固形分濃度が10重量%を超えると、層むらを生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合がある。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤等の分散性や、感光体層表面における平滑性を良くするために、塗布液を作成する際に、界面活性剤やレベリング剤等を添加することも好ましい。
第1塗布工程および第1乾燥工程と、第2塗布工程および第2乾燥工程とを設けて、電荷輸送層と電荷発生層からなる感光体層を形成することが好ましい。例えば、図1(a)に示すように、第1塗布工程により電荷発生層用塗布液を塗布し、第1乾燥工程により電荷発生層用塗布膜を乾燥させて、基体12の上に電荷発生層24を形成し、次いで、第2塗布工程により電荷輸送層用塗布液を塗布し、第2乾燥工程により電荷輸送層用塗布膜を乾燥させて、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することが好ましい。
また、塗布工程を実施するにあたり、基体上に、塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、中間層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの感光体層を形成するために、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
なお、電荷発生層は残留電位を低くするため、電荷輸送層よりも薄く塗膜を形成するのが好ましい。
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。この理由は、かかる乾燥温度が60℃未満の値になると、乾燥時間が過度に長くなって、均一な厚さを有する感光体層を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる乾燥温度が150℃を超えると、感光体が熱分解する場合があるためである。
なお、塗布液作成工程、塗布工程および乾燥工程の条件については、電荷発生層および電荷輸送層の製造方法に準じることができる。なお、中間層の塗布液は、例えば結着樹脂と、添加剤と、から作成することが好ましい。
第2の実施形態は、第1の実施形態の湿式現像用積層型電子写真感光体(以下、単に、感光体と称する場合がある。)を備えるとともに、当該湿式現像用積層型電子写真感光体の周囲に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程をそれぞれ配置し、かつ、現像工程において、炭化水素系溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて画像形成を行うことを特徴とした湿式現像用画像形成装置である。
また、感光体31は、矢印の方向に一定速度で回転しており、感光体31の表面で、次の順に電子写真プロセスが行われることになる。より詳細には、帯電器32により、感光体31が全面的に帯電され、次いで、露光光源33によって、印字パターンが露光される。次いで、湿式現像器34によって、印字パターンに対応して、トナー現像され、さらに、転写器35によって、転写材(紙)36へのトナーの転写が行われる。そして、最後に、感光体31に残った余分なトナーに対して、クリーニングブレード37による掻き落としが行われるとともに、除電光源38によって、感光体31の除電が行われることになる。
そして、感光体31において、特定の分子量の正孔輸送剤、および特定のI/O値を有する結着樹脂を使用することにより、耐溶剤性や感度特性に優れた積層型の湿式現像用積層型電子写真感光体が得られ、長時間にわたって、優れた画像特性を維持することができる。
(1)湿式現像用積層型電子写真感光体の作成
電荷発生剤として、式(32)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(CGM−B)を1重量部と、結着樹脂としてポリビニルブチラールエスレックBM−1(積水化学工業)1重量部と、ジアセトンアルコールを50重量部と、を収容した後、ボールミルにて、48時間混合分散させ、電荷発生層用塗工液を作成した。次いで、得られた塗布液を、直径30mm、長さ254mmのアルミニウム素管上、ディッピングにより塗工し、その後、70℃、10分間の条件で乾燥させて、平均膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
さらに、正孔輸送剤として、式(14)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)を60重量部と、結着樹脂として、式(10)で表される粘度平均分子量が50,000のポリカーボネート樹脂(Reisn−A)を100重量部と、レベリング剤としてのジメチルシリコーンオイルであるKF−96−50CS(信越化学工業製)を0.1重量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン700重量部と、を収容した後、48時間混合分散させ、電荷輸送用塗工液を作成した。次いで、得られた塗工液を、電荷発生層上にディッピングにより塗工し、その後、130℃、30分間の条件で乾燥させて、平均膜厚が15μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、実施例1の積層型感光体を作成した。
また、共重合ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量(M)は、オストワルド粘度計によって、極限粘度[η]を求め、Schnellの式によって、[η]=1.23×10-4M0.83より算出した。なお、[η]は、20℃で、塩化メチレン溶液を溶媒として、濃度(C)が6.0g/dm3となるようにポリカーボネート樹脂を溶解させて得られたポリカーボネート樹脂溶液から測定することができる。
(2)−1 感度測定
得られた湿式現像用積層型電子写真感光体における感度を測定した。すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させ、次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.0μJ/cm2)を露光した。露光後330msec経過後の電位を測定し、初期感度(V)とした。
また、得られた湿式現像用積層型電子写真感光体全体を、湿式現像の現像液として使用される炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)500mlに、温度25℃、2000時間の条件で浸漬した。その後、炭化水素系溶剤から湿式現像用積層型電子写真感光体を取り出し、感度を同様に測定し、初期感度とアイソパー浸漬後の感度の差を算出し、感度変化(V)とした。得られた結果を表2に示す。
得られた湿式現像用積層型電子写真感光体を、その感光体層の全面が浸るように、炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)500mlに、温度25℃、2000時間の条件で浸漬させた。一方、正孔輸送剤の濃度を変えて、炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)中に溶解させた。その状態で紫外領域から可視領域の吸収ピーク波長における吸光度を測定し、正孔輸送剤に関する濃度−吸光度検量線を予め作成した。次いで、炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)に浸漬した湿式現像用積層型電子写真感光体について、紫外領域から可視領域における吸収測定を行い、検量線に照らして、正孔輸送剤の紫外領域から可視領域の吸収ピーク波長における吸光度から、正孔輸送剤の溶出量を算出した。得られた結果を表2に示す。
また、耐溶剤性評価後の湿式現像用積層型電子写真感光体の外観を目視にてクラックの発生の有無を観察し、下記基準に準じて外観評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
◎:外観変化が全く見られない。
○:顕著な外観変化は見られない。
△:外観変化が少々見られる。
×:顕著な外観変化が見られる。
実施例2〜4では、実施例1で使用した結着樹脂としての式(10)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−A)のかわりに、式(11)〜(13)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−B〜D)を使用したほかは、実施例1と同様に湿式現像用積層型感光体を作成して、評価した。なお、式(11)〜(13)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−B〜D)の粘度平均分子量はそれぞれ50,100、53,200、52,100である。
実施例5〜9では、実施例1で使用した正孔輸送剤としての式(14)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)のかわりに、式(15)〜(19)で表される化合物(HTM−B〜F)を使用したほかは、実施例1と同様に湿式現像用積層型感光体を作成して、評価した。
実施例10では、実施例1で使用した結着樹脂としての式(10)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−A)のかわりに、式(38)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−E)を使用したほかは、実施例1と同様に湿式現像用積層型感光体を作成して、評価した。なお、式(38)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−E)の粘度平均分子量は50,200である。
比較例1、2では、実施例1で使用した結着樹脂としての式(10)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−A)のかわりに、式(39)、(40)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−F、G)を使用したほかは、実施例1と同様に湿式現像用積層型感光体を作成して、評価した。なお、式(39)、(40)で表されるポリカーボネート樹脂(Resin−F、G)の粘度平均分子量はそれぞれ50,000である。
比較例3、4では、実施例1で使用した正孔輸送剤としての式(14)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)のかわりに、式(41)、(42)で表される化合物(HTM―G、H)を使用したほかは、実施例1と同様に湿式現像用積層型感光体を作成して、評価した。
したがって、本発明の湿式現像用積層型電子写真感光体は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における低コスト化、高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
31:感光体
32:帯電器
33:露光光源
34:湿式現像器
34a:液体現像剤
34b:現像ローラ
35:転写器
36:転写材
37:クリーニングブレード
38:除電光源
39:プローブ
Claims (12)
- 基体上に、電荷発生剤を含有する電荷発生層と、正孔輸送剤および結着樹脂を含有する電荷輸送層と、を備えた湿式現像用積層型電子写真感光体であって、
前記正孔輸送剤として、分子量が900〜1547.1の範囲内の値である化合物を含むとともに、
前記結着樹脂として、I/O値が0.37〜0.45の範囲内の値であるポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする湿式現像用積層型電子写真感光体。 - 前記正孔輸送剤が下記一般式(1)または(2)で表される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
(一般式(1)中のR1〜R7は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアルケニル基、下記一般式(3)で表される置換不飽和炭化水素基、−OR(Rは炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜20のアリール基である。)で表される置換基、あるいはR1〜R7のうち二つ以上が結合または縮合して形成した縮合多環式炭化水素基である。)
(一般式(2)中のR8〜R13は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアルケニル基、下記一般式(3)で表される置換不飽和炭化水素基、−OR(Rは炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜20のアリール基である。)で表される置換基、あるいはR8〜R13のうち二つ以上が結合または縮合して形成した縮合多環式炭化水素基である。)
(一般式(3)中のR14およびR15は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数1〜20のアリール基であり、繰り返し数aは0〜2の整数である。) - 前記正孔輸送剤が下記一般式(4)〜(7)で表される化合物を少なくとも1種以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
(一般式(4)中のR16〜R23は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数1〜30のアリール基であり、X1は、置換または非置換の炭素数6〜30のアリーレン基、炭素数6〜30のアリール基を有する不飽和炭化水素基、あるいは炭素数10〜30の縮合多環水素基であり、繰り返し数bは、0〜2の整数である。)
(一般式(5)中のR24〜R31は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアルケニル基、二つ以上が結合または縮合して形成した縮合多環式炭化水素基、一般式(3)で表される置換不飽和炭化水素基、あるいはーOR(Rは炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜20のアリール基である。)で表される置換基である。)
(一般式(6)中のR32〜R37は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアルケニル基、二つ以上が結合または縮合して形成した縮合多環式炭化水素基、あるいは−OR(Rは炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜20のアリール基である。)で表される置換基である。)
(一般式(7)中のR38〜R44は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のアルコキシ基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアルケニル基、二つ以上が結合または縮合して形成した縮合多環式炭化水素基、一般式(3)で表される置換不飽和炭化水素基、あるいは−OR(Rは炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数1〜20のアリール基である。)で表される置換基であり、繰り返し数cは0〜2の整数である。) - 前記正孔輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜150重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
- 前記結着樹脂が下記一般式(8)及び(9)、あるいはいずれか一方で表されるポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
(一般式(8)中の複数のR45〜R50は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアルケニル基、または炭素数10〜30の縮合多環式炭化水素基であり、かつ、d/(d+e)で表されるモル比が0.05〜0.7の範囲内の値である。)
(一般式(9)中の複数のR51〜R56は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換または非置換の炭素数1〜12のアルキル基、置換または非置換の炭素数1〜12のハロゲン化アルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換または非置換の炭素数6〜30のアルケニル基、または炭素数10〜30の縮合多環式炭化水素基であり、かつ、f/(f+g)で表されるモル比が0.05〜0.4の範囲内の値である。) - 前記一般式(8)および(9)中のR49とR50、およびR55とR56が、それぞれ種類が異なり、非対称関係にあることを特徴とする請求項5に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
- 前記一般式(8)および(9)中のR45〜R48およびR51〜R54が、水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基であることを特徴とする請求項5または6に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
- 前記一般式(8)および(9)におけるR49およびR55がメチル基であって、R50およびR56が水素原子であることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤として、チタニルフタロシアニン(Y型)を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
- 前記電荷発生剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜500重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
- 湿式現像の現像液として使用される炭化水素系溶媒に、室温で、2000時間の条件で浸漬した場合に、正孔輸送剤の溶出量が10×10-7g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体。
- 請求項1〜11のいずれか一項に記載の湿式現像用積層型電子写真感光体を備えるとともに、当該湿式現像用積層型電子写真感光体の周囲に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を実施するための部位をそれぞれ配置し、かつ、現像工程において、炭化水素系溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて画像形成を行うことを特徴とする湿式現像用画像形成装置。
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