JP3998853B2 - フタロシアニン組成物及びその製造方法、並びにそれを用いた電子写真感光体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CuKα1.541オングストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.0°、14.1°、18.0°、23.7°、27.3°にピークを示すフタロシアニン組成物及びその製造方法、並びにそれを用いた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式の利用は複写機の分野に限らず、印刷版材、スライドフィルム、マイクロフィルム等の、従来では写真技術が使われていた分野へ広がり、またレーザーやLED、CRTを光源とする高速プリンターへの応用も検討されている。また最近では光導電性材料の電子写真感光体以外の用途、例えば静電記録素子、センサー材料、EL素子等への応用も検討され始めた。従って光導電性材料及びそれを用いた電子写真感光体に対する要求も高度で幅広いものになりつつある。これまで電子写真方式の感光体としては無機系の光導電性物質、例えばセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛、シリコン等が知られており、広く研究され、かつ実用化されている。これらの無機物質は多くの長所を持っているのと同時に、種々の欠点をも有している。例えばセレンには製造条件が難しく、熱や機械的衝撃で結晶化しやすいという欠点があり、硫化カドミウムや酸化亜鉛は耐湿性、耐久性に難がある。シリコンについては帯電性の不足や製造上の困難さが指摘されている。更に、セレンや硫化カドミウムには毒性の問題もある。
【0003】
これに対し、有機系の光導電性物質は成膜性がよく、可撓性も優れていて、軽量であり、透明性もよく、適当な増感方法により広範囲の波長域に対する感光体の設計が容易である等の利点を有していることから、次第にその実用化が注目を浴びている。
【0004】
ところで、電子写真技術に於て使用される感光体は、一般的に基本的な性質として次のような事が要求される。即ち、(1) 暗所におけるコロナ放電に対して帯電性が高いこと、(2) 得られた帯電電荷の暗所での漏洩(暗減衰)が少ないこと、(3) 光の照射によって帯電電荷の散逸(光減衰)が速やかであること、(4) 光照射後の残留電荷が少ないこと等である。
【0005】
しかしながら、今日まで有機系光導電性物質としてポリビニルカルバゾールを始めとする光導電性ポリマーに関して多くの研究がなされてきたが、これらは必ずしも皮膜性、可撓性、接着性が十分でなく、また上述の感光体としての基本的な性質を十分に具備しているとはいい難い。
【0006】
一方、有機系の低分子光導電性化合物については、感光体形成に用いる結着剤等を選択することにより、皮膜性や接着性、可撓性等機械的強度に優れた感光体を得ることができ得るものの、高感度の特性を保持し得るのに適した化合物を見出すことは困難である。
【0007】
このような点を改良するために電荷発生機能と電荷輸送機能とを異なる物質に分担させ、より高感度の特性を有する有機感光体が開発されている。機能分離型と称されているこのような感光体の特徴はそれぞれの機能に適した材料を広い範囲から選択できることであり、任意の性能を有する感光体を容易に作製し得ることから多くの研究が進められてきた。
【0008】
このうち、電荷発生機能を担当する物質としては、フタロシアニン顔料、スクエアリウム系染料、アゾ顔料、ペリレン系顔料等の多種の物質が検討され、中でもアゾ顔料は多様な分子構造が可能であり、また、高い電荷発生効率が期待できることから広く研究され、実用化も進んでいる。しかしながら、このアゾ顔料においては、分子構造と電荷発生効率の関係はいまだに明らかになっていない。膨大な合成研究を積み重ねて、最適の構造を探索しているのが実情であるが、先に掲げた感光体として求められている基本的な性質や高い耐久性等の要求を十分に満足するものは、未だ得られていない。
【0009】
また、近年従来の白色光のかわりにレーザー光を光源として、高速化、高画質化、ノンインパクト化を長所としたレーザービームプリンター等が、情報処理システムの進歩と相まって広く普及するに至り、その要求に耐えうる材料の開発が要望されている。特にレーザー光の中でも近年コンパクトディスク、光ディスク等への応用が増大し技術進歩が著しい半導体レーザーは、コンパクトでかつ信頼性の高い光源材料としてプリンター分野でも積極的に応用されてきた。この場合の光源の波長は780〜830nm前後であることから、近赤外領域に高感度な特性を有する感光体の開発が強く望まれている。その中で、特に近赤外領域に光吸収を有するフタロシアニン類を使用した感光体の開発が盛んに行われている。
【0010】
フタロシアニン類は、中心金属の種類により吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、同じ中心金属を有するフタロシアニンでも、結晶形によってこれらの諸特性に差が生じ、特定の結晶形が電子写真感光体に選択されていることが報告されている。
【0011】
チタニルオキシフタロシアニン(以下、「TiOPc」と略記する)を例にとると、特開昭61−217050号公報では、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.6°、10.2°、22.3°、25.3°、28.6°に主たる回折ピークを有するα形TiOPc、特開昭62−67094号公報には9.3°、10.6°、13.2°、15.1°、15.7°、16.1°、20.8°、23.3°、26.3°、27.1°に主たる回折ピークを有するβ形TiOPcが報告されているが、これらは要求される高い特性を十分満足していない。
【0012】
X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±0.2°)が27.2°にピークを有するものに限ってみても、特開昭62−67094号公報に報告されているII形TiOPcは帯電性に劣っており、感度も低い。特開平1−17066号公報には9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°に主たる回折ピークを有する、比較的良好な感度を示すY形TiOPcが報告されているが、分散時に他の結晶形へ転移してしまうことや分散液の経時安定性等に問題がある。
【0013】
また、2種以上のフタロシアニンからの混晶、あるいは単純に混合したものを電子写真感光体の電荷発生物質として用いることも報告されている。例として特開平1−142659号公報にはα形TiOPcと無金属フタロシアニン(以下、「H2Pc」と略記する)からなるα形TiOPc組成物が、特開平2−170166号公報には中心金属の異なる2種以上のフタロシアニンからなる混晶が、特開平2−272067号公報にはTiOPcとH2PcからなるX形H2Pc組成物が、特開平4−351673号公報にはTiOPcとヒドロキシメタルフタロシアニンの混晶結晶が、そして特開平8−67829号公報にはX線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が6.8°、7.4°、15.0°、24.7°、26.2°、27.2°に主たる回折ピークを有するTiOPcとH2Pcの混晶体が報告されている。しかし、これらも要求される特性を有していない。
【0014】
以上述べたように電子写真感光体の作製には種々の改良が成されてきたが、先に掲げた感光体として要求される基本的な性質や高い耐久性等の要求を十分に満足するものは未だ得られていないのが現状である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、帯電電位が高く高感度で、かつ繰返し使用しても諸特性が変化せず安定した性能を発揮できる電子写真感光体及びそれに用いるフタロシアニン組成物を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、水と芳香族化合物を用いて結晶転移することにより、良好な電子写真特性を有するフタロシアニン組成物を得ることに成功した。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられるフタロシアニン類は、公知の製造方法を使用することができる。製造方法としては、F.H.Moser、A.L.Thomas著「Phthalocyanine Compounds」(1963年)に製造方法が記載されており、この方法に従えばフタロシアニン類は容易に得られる。TiOPcを例にとれば、フタロジニトリルと四塩化チタンとの縮合反応による製造方法、あるいはPB85172.FIAT.FINAL REPORT 1313.Feb.1.1948や特開平1−142658号公報、特開平1−221461号公報に記載されている、1,3−ジイミノイソインドリンとテトラアルコキシチタンとの反応により製造する方法等が挙げられる。また、反応に用いる有機溶媒としては、α−クロロナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタレン、メトキシナフタレン、ジフェニルナフタレン、エチレングリコールジアルキルエーテル、キノリン、スルホラン、ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリドン、ジクロロトルエン等の反応不活性な高沸点の溶媒が望ましい。
【0018】
上述の方法によって得たフタロシアニン類を、酸、アルカリ、アセトン、メタノール、エタノール、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ピリジン、キノリン、スルホラン、α−クロロナフタレン、トルエン、キシレン、ジオキサン、クロロホルム、ジクロロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、あるいは水等により精製して電子写真用途に用い得る高純度のフタロシアニン類が得られる。精製法としては、洗浄法、再結晶法、ソックスレー等の抽出法、及び熱懸濁法、昇華法等がある。また、精製方法はこれらに限定されるものではなく、未反応物や反応副生成物を取り除く作業であれば何れでもよい。
【0019】
本発明のフタロシアニン組成物はTiOPcとH2Pcを含有しているが、TiOPcとH2Pc以外のフタロシアニン類を更に含有してもよい。その含有してもよいフタロシアニン類としては、それ自体公知のフタロシアニン及びその誘導体の何れでもよい。誘導体とは、フタロシアニンのイソインドール環に置換基を有するもの、あるいは中心金属に配位子を有するものを挙げることができる。含有してもよいフタロシアニン類の具体例としてはH2Pc類、TiOPc類、バナジルフタロシアニン類、銅フタロシアニン類、アルミニウムフタロシアニン類、ガリウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、ゲルマニウムフタロシアニン類、リチウムフタロシアニン類、ナトリウムフタロシアニン類、カリウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類、ハフニウムフタロシアニン、マグネシウムフタロシアニン類、スズフタロシアニン類、亜鉛フタロシアニン類、コバルトフタロシアニン類、ニッケルフタロシアニン類、バリウムフタロシアニン類、ベリリウムフタロシアニン類、カドミウムフタロシアニン類、コバルトフタロシアニン類、鉄フタロシアニン類、シリコンフタロシアニン類、鉛フタロシアニン類、銀フタロシアニン類、金フタロシアニン類、白金フタロシアニン類、ルテニウムフタロシアニン類、パラジウムフタロシアニン類、無金属ナフタロシアニン類、チタニルナフタロシアニン類等が挙げられる。特にこの中でもバナジルオキシフタロシアニン、クロロアルミニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、クロロインジウムフタロシアニン、ジクロロゲルマニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、ジヒドロキシゲルマニウムフタロシアニンが好ましい。
【0020】
本発明のフタロシアニン組成物におけるTiOPcとTiOPc以外のフタロシアニン類の比率は、TiOPc100重量部に対して、TiOPc以外のフタロシアニン類は0.1重量部以上、50重量部以下が好ましく、1重量部以上、40重量部以下がより好ましい。TiOPc以外のフタロシアニン類としては、H2Pc単独、あるいは先に示したフタロシアニン類とH2Pcの混合でもよい。混合する場合の比率は、H2Pc100重量部に対して100重量部以下が好ましく、50重量部以下がより好ましい。
【0021】
本発明で使用されるアモルファス性フタロシアニン組成物、アモルファス性TiOPc、あるいはアモルファス性H2Pcのアモルファス化方法は、機械的摩砕法、あるいはアシッドペースティング法等、アモルファス化できるものであれば何れであってもよい。機械的摩砕処理としては、ボールミル、自動乳鉢、ペイントコンディショナー等における乾式ミリング方法が挙げられる。摩砕助剤としてはガラスビーズ、ジルコニアビーズ、あるいは食塩等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アシッドペースティング法としては、フタロシアニン類を硫酸等の強酸に溶解し、その溶液を水等の貧溶媒に注ぎ込んで粒子化する方法である。また、アモルファス化する前のフタロシアニン類の結晶形は、何を使用しても構わない。
【0022】
本発明のフタロシアニン組成物へ結晶転移させる際に必要な芳香族化合物の具体例としては、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、m−ターフェニル、あるいはクメン等の芳香族炭化水素系化合物、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、あるいはo−ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素系化合物、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、あるいはN−エチルカルバゾール等の芳香族ヘテロ環化合物を挙げることができる。これらの芳香族化合物は、常温で液体状態、あるいは固体状態の何れを形成していてもよいが、融点が100℃以下であることが好ましい。これらは単独、あるいは2種以上の混合として使用することができる。
【0023】
また、芳香族化合物は種々の有機溶媒と組み合わせることが可能である。組み合わせることができる有機溶媒として具体的には、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、あるいはジオキサン等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、あるいはトリクロロエチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、あるいはテルピノレン等の脂肪族炭化水素系溶媒を挙げることができる。これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として使用することができる。
【0024】
フタロシアニン組成物へ結晶転移させる際の、フタロシアニン類と水の比は、フタロシアニン類1重量部に対して、2重量部以上、100重量部以下が好ましいが、フタロシアニン類を分散できる範囲であればこの範囲に限定されるものではない。同様に、フタロシアニン類と芳香族化合物の比は、フタロシアニン類100重量部に対して、芳香族化合物10重量部以上、5000重量部以下が好ましく、50重量部以上、500重量部以下がより好ましい。また、芳香族化合物と有機溶媒を併用して結晶転移する場合、芳香族化合物と有機溶媒の比は、芳香族化合物100重量部に対して、1000重量部以下が好ましく、200重量部以下がより好ましい。
【0025】
転移する温度としては80℃以上が好ましく、更に撹拌しながら行うことがより好ましい。撹拌する方法としては、スターラー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分散等が挙げられるが、撹拌処理を行えれば何でもよく、これらに限定されるものではない。転移に要する時間は、5秒以上、120時間以下が好ましく、10秒以上、50時間以下がより好ましく、1分以上、50時間が更に好ましい。
【0026】
また、場合によっては界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、カチオン系、ノニオン系、あるいはアニオン系の何れでもよい。添加量としては、フタロシアニン組成物100重量部に対して0.001重量部以上、50重量部以下が好ましく、0.5重量部以上、5重量部以下がより好ましい。
【0027】
本発明の感光層を形成するために用いるバインダーであるフィルム形成性結着剤樹脂としては、利用分野に応じて種々のものが挙げられる。例えば複写用感光体の用途では、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢ビ・クロトン酸共重合体樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアリレート樹脂、アルキッド樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノキシ樹脂あるいはポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂等は感光体としての電位特性に優れている。また、これらの樹脂は、単独あるいは共重合体の何れでもよく、これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0028】
感光層に含まれるこれらの樹脂は、フタロシアニン組成物に対して10〜500重量%が好ましく、50〜150重量%がより好ましい。樹脂の比率が高くなりすぎると電荷発生効率が低下し、また樹脂の比率が低くなりすぎると成膜性に問題が生じる。
【0029】
これらのバインダーの中には、引っ張り、曲げ、圧縮等の機械的強度に弱いものがある。この性質を改良するために、可塑性を与える物質を加えることができる。具体的には、フタル酸エステル(例えばDOP、DBP等)、リン酸エステル(例えばTCP、TOP等)、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル、ニトリルゴム、塩素化炭化水素等が挙げられる。これらの物質は、必要以上に添加すると電子写真特性の悪影響を及ぼすので、その割合はバインダー100重量部に対し20重量部以下が好ましい。
【0030】
その他、感光体中への添加物として酸化防止剤やカール防止剤等、塗工性の改良のためレベリング剤等を必要に応じて添加することができる。
【0031】
本発明のフタロシアニン組成物は、他の電荷発生物質と組み合わせて使用してもよい。使用しても良い電荷発生物質としては、トリフェニルメタン系染料、ザンセン系染料、アクリジン系染料、チアジン系染料、ピリリウム系染料、アズレニウム系染料、チイリウム系染料、シアニン系染料、スクエアリウム系染料、ピロロピロール系染料、多環キノン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、アゾ顔料、あるいはフタロシアニン類等が挙げられる。これらは、単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0032】
本発明の電子写真感光体の形態は、その何れを用いることもできる。例えば、導電性支持体上に電荷発生物質、電荷輸送物質、及びフィルム形成性結着剤樹脂からなる感光層を設けたものがある。また、導電性支持体上に、電荷発生物質と結着剤樹脂からなる電荷発生層と、電荷輸送物質と結着剤樹脂からなる電荷輸送層を設けた積層型の感光体も知られている。電荷発生層と電荷輸送層はどちらが上層となっても構わない。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に下引き層を、感光体表面にオーバーコート層を、積層型感光体の場合は電荷発生層と電荷輸送層との間に中間層を設けることもできる。本発明の化合物を用いて感光体を作製する支持体としては、金属製ドラム、金属板、導電性加工を施した紙やプラスチックフィルムのシート状、ドラム状あるいはベルト状の支持体等が使用される。
【0033】
本発明の電子写真感光体における電荷発生物質としては、CuKα1.541オングストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.0°、14.1°、18.0°、23.7°、27.3°にピークを有するフタロシアニン組成物を用いる。
【0034】
本発明の感光体に使用される電荷輸送物質には正孔輸送物質と電子輸送物質がある。前者の例としては、例えば特公昭34−5466号公報等に示されているオキサジアゾール類、特公昭45−555号公報等に示されているトリフェニルメタン類、特公昭52−4188号公報等に示されているピラゾリン類、特公昭55−42380号公報等に示されているヒドラゾン類、特開昭56−123544号公報等に示されているオキサジアゾール類、特開昭54−58445号公報に示されているテトラアリールベンジジン類、特開昭58−65440号公報、あるいは特開昭60−98437号公報に示されているスチルベン類等を挙げることができる。その中でも、本発明に使用される電荷輸送物質としては、特開昭60−24553号公報、特開平2−96767号公報、特開平2−183260号公報、並びに特開平2−226160号公報に示されているヒドラゾン類、特開平2−51162号公報、並びに特開平3−75660号公報に示されているスチルベン類が特に好ましい。また、これらは単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0035】
一方、電子輸送物質としては、例えばクロラニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン、あるいは1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド等がある。これらの電荷輸送物質は単独、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。
【0036】
また、更に増感効果を増大させる増感剤として、ある種の電子吸引性化合物を添加することもできる。この電子吸引性化合物としては例えば、2,3−ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノン類、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフェノン、あるいは3,3′,5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類、無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物、テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリル、あるいは4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合物、3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタリド、あるいは3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタリド類等を挙げることができる。
【0037】
電荷輸送層に含有されるこれらのバインダーは、電荷輸送物質1重量部に対して0.001重量部以上、20重量部以下が好ましく、0.01重量部以上、5重量部以下がより好ましい。バインダーの比率が高すぎると感度が低下し、また、バインダーの比率が低くなりすぎると繰り返し特性の悪化や塗膜の欠損を招くおそれがある。
【0038】
本発明の電子写真感光体は、形態に応じて上記の種々の添加物質を溶媒中に溶解または分散し、その塗布液を先に述べた導電性支持体上に塗布し、乾燥して感光体を製造することができる。分散液を作製する際に好ましい溶媒としては、水、メタノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、あるいはアニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、あるいはα−クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、あるいはクメン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。特にその中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒、あるいはハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましく、これらは単独、あるいは2種以上の混合溶媒として用いることができる。
【0039】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0040】
合成例1
フタロジニトリル20.0gをα−クロロナフタレン200mlに溶かし、窒素雰囲気下、四塩化チタン9.0gを滴下した。滴下終了後、240℃で加熱撹拌した。3時間後反応を停止し、析出した結晶を濾取し、α−クロロナフタレン、メタノールでよく洗浄してジクロロチタニルフタロシアニンを得た。このジクロロチタニルフタロシアニンを、濃アンモニア水150mlと共に、撹拌下、加熱環流した。1時間後に反応を停止し、結晶を濾取してTiOPcを17.4g得た。得られた結晶形はCuKα線を用いたX線回折スペクトル(理学電機製X線回折装置RAD−Cシステム)を測定することにより結晶形を確認した。測定結果を図1に示す。
【0041】
測定条件 X線管球 : Cu電圧 : 40.0KV電流 : 100.0mAスタート角度 : 3.0deg.ストップ角度 : 40.0deg.ステップ角度 : 0.02deg.
【0042】
合成例2
合成例1で得られたTiOPc7.0g、H2Pc(大日精化製MCP−80)3.0gを、約2℃に冷却した濃硫酸100mlにゆっくりと加えて溶解させた。この溶液を冷却した氷水1000mlにゆっくりと注ぎ込んで結晶を析出させた。結晶を濾取し、中性になるまで水で洗浄して9.4gの結晶を得た。この結晶のX線回折スペクトルを図2に示す。図2より、この結晶は結晶配列の乱れたアモルファス状態であることがわかる。
【0043】
合成例3
合成例1で得られたTiOPc7.0g、H2Pc3.0gを、合成例1で得たTiOPc10.0gのみに変更した以外は合成例2と同様にしてアシッドペースティング処理を行った。その結果9.3gの結晶を得た。この結晶のX線回折スペクトルを図3に示す。図3より、この結晶は結晶配列の乱れたアモルファス状態であることがわかる。
【0044】
合成例4
合成例1で得られたTiOPc7.0g、H2Pc3.0gを、H2Pc10.0gのみに変更した以外は合成例2と同様にしてアシッドペースティング処理を行った。その結果9.5gの結晶を得た。この結晶のX線回折スペクトルを図4に示す。図4より、この結晶は結晶配列の乱れたアモルファス状態であることがわかる。
【0045】
合成例5
合成例2で得たアモルファス性フタロシアニン組成物1.0g、水28.0gを100mlフラスコに入れ、90℃で加熱撹拌した。10分後、ナフタレン2.0gを添加し、引き続き同温で加熱撹拌した。1時間後に反応を停止し室温まで放冷した。結晶を濾取し、メタノールで洗浄した。その結果、0.9gの結晶が得られた。得られた結晶のX線回折スペクトルを図5に、赤外吸収スペクトル(パーキン・エルマー製FT−IR、1760X)を図6に示す。図5より、この結晶形はブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.0°、14.1°、18.0°、23.7°、27.3°にピークを有していることがわかる。また、図6より、赤外吸収スペクトルにおける吸収ピーク(±2cm-1)は、1332.5cm-1、1119.0cm-1、1073.0cm-1、1003.5cm-1、963.0cm-1、894.0cm-1、783.0cm-1、752.5cm-1、734.0cm-1に強いピークを示すことがわかる。
【0046】
合成例6
ナフタレン2.0gを、o−ジクロロベンゼン2.0gに変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルは図5と同様であり、赤外吸収スペクトルは図6と同様であった。
【0047】
合成例7
ナフタレン2.0gを、ナフタレン1.0gとエチルシクロヘキサン1.0gに変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルは図5と同様であり、赤外吸収スペクトルは図6と同様であった。
【0048】
合成例8
ナフタレン2.0gを、ナフタレン1.0gとシクロヘキサノン1.0gに変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルは図5と同様であり、赤外吸収スペクトルは図6と同様であった。
【0049】
合成例9
ナフタレン2.0gを、ナフタレン1.0gとトルエン1.0gに変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルは図5と同様であり、赤外吸収スペクトルは図6と同様であった。
【0050】
合成例10
ナフタレン2.0gを、ナフタレン1.0gとn−オクタン1.0gに変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルは図5と同様であり、赤外吸収スペクトルは図6と同様であった。
【0051】
合成例11
合成例2で得たアモルファス性フタロシアニン組成物1.0gを、合成例3で得たアモルファス性TiOPc0.7gと合成例4で得たアモルファス性H2Pc0.3gの混合物に変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルは図5と同様であり、赤外吸収スペクトルは図6と同様であった。
【0052】
比較合成例1
ナフタレン2.0gを、1,2−ジクロロエタン2.0gに変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルを図7に、赤外吸収スペクトルを図8に示す。図7より、この結晶形はブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°、27.2°にピークを有しているが、全体的にピーク強度が低いことがわかる。また、図8より、赤外吸収スペクトルにおける吸収ピーク(±2cm-1)は、1332.0cm-1、1118.5cm-1、1070.5cm-1、1002.0cm-1、972.0cm-1、963.0cm-1、894.0cm-1、752.0cm-1、729.5cm-1にピークを有していることがわかる。
【0053】
比較合成例2
ナフタレン2.0gを、n−オクタン2.0gに変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルを図9に、赤外吸収スペクトルを図10に示す。図9より、この結晶形はブラッグ角(2θ±0.2°)が7.4°、27.2°にピークを有しているが、全体的にピーク強度が低いことがわかる。また、図10より、赤外吸収スペクトルにおける吸収ピーク(±2cm-1)は、1332.5cm-1、1119.0cm-1、1071.5cm-1、1002.0cm-1、971.5cm-1、962.5cm-1、894.0cm-1、752.0cm-1、730.0cm-1にピークを有していることがわかる。
【0054】
比較合成例3
合成例1で得られたTiOPc7.0g、H2Pc3.0gを、銅フタロシアニン(東京化成製、P−1006)10.0gのみに変更した以外は合成例2と同様にしてアシッドペースティング処理を行った。その結果9.4gの結晶を得た。この結晶のX線回折スペクトルを図11に示す。図11より、この結晶は結晶配列の乱れたアモルファス状態であることがわかる。
【0055】
比較合成例4
合成例2で得たアモルファス性フタロシアニン組成物1.0gを、合成例3で得たアモルファス性TiOPc0.7gと比較合成例3で得たアモルファス性銅フタロシアニン0.3gの混合物に変更した以外は合成例5と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。この結晶のX線回折スペクトルは図12に、赤外吸収スペクトルは図13に示す。図12より、この結晶形はブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.2°、14.3°、18.1°、18.5°、23.7°、24.0°、27.2°にピークを有していた。また、図13より、赤外吸収スペクトルにおける吸収ピーク(±2cm-1)は、1332.5cm-1、1119.0cm-1、1073.0cm-1、963.5cm-1、894.0cm-1、752.5cm-1、732.0cm-1にピークを有していた。
【0056】
比較合成例5
合成例2で得たアモルファス性フタロシアニン組成物1.0gを、合成例3で得たアモルファス性TiOPc1.0gのみに変更した以外は合成例6と同様にして結晶転移を行った。その結果、0.9gの結晶が得られた。得られた結晶のX線回折スペクトルを図14に、赤外吸収スペクトルを図15に示す。図14より、この結晶形はブラッグ角(2θ±0.2°)が9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、23.5°、24.1°、27.3°にピークを有していた。また、図6より、赤外吸収スペクトルにおける吸収ピーク(±2cm-1)は、1332.0cm-1、1119.0cm-1、1072.5cm-1、962.5cm-1、894cm-1、782.5cm-1、752.5cm-1、731.0cm-1に強いピークを有していた。
【0057】
【化1】
【0058】
実施例1
合成例5で得た新規なフタロシアニン組成物1重量部、ポリエステル樹脂(東洋紡製バイロン220)1重量部、メチルエチルケトン100重量部をガラスビーズと共に、レッドデビル社製ペイントコンディショナーを用いて1時間分散した。得られた分散液を、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗布して乾燥し、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。次に例示化合物(1)をポリアリレート樹脂(ユニチカ製U−ポリマー)と1:1の重量比で混合し、ジクロロエタンを溶媒として10重量%の溶液を作製し、上記の電荷発生層の上にアプリケーターで塗布して膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0059】
この様にして作製した積層型感光体について、静電記録試験装置(川口電機製EPA−8200)を用いて電子写真特性の評価を行なった。
測定条件:印加電圧−4.7kV、スタティックNo. 3(ターンテーブルの回転スピードモード:10m/min )。
その結果、帯電電位(V0)が−740V、半減露光量(E1/2)が0.51ルックス・秒と非常に高感度の値を示した。
【0060】
更に同装置を用いて、帯電−除電(除電光:白色光で400ルックス×1秒照射)を1サイクルとする繰返し使用に対する特性評価を行った。1000回での繰返しによる帯電電位の変化を求めたところ、1回目の帯電電位(V0)−740Vに対し、1000回目の帯電電位(V0)は−720Vであり、繰返しによる電位の低下がほとんどなく安定した特性を示した。また、1回目の半減露光量(E1/2)0.51ルックス・秒に対して1000回目の半減露光量(E1/2)は0.51ルックス・秒と変化がなく優れた特性を示した。
【0061】
実施例2〜7、比較例1〜4
合成例5で得たフタロシアニン組成物を、表1に示す合成例で得たフタロシアニン組成物、あるいは比較合成例で得たフタロシアニン組成物、あるいはフタロシアニン混合物に変更した以外は、実施例1と同様にして感光体を作製した。電子写真特性を表1に示す。
【0062】
【表1】
【0063】
比較例1、2より、ナフタレンを1,2−ジクロロエタンやn−オクタンに変更して結晶転移したものは目的の結晶形が得られておらず、電子写真特性も悪かった。比較例3より、H2Pcを銅フタロシアニンに変更したものは、帯電電位が非常に低く、かつ感度も非常に低い結果であった。また、比較例4より、o−ジクロロベンゼンで結晶転移したTiOPcは、比較的良好な感度を示すものの、繰り返し特性にて劣化が生じる結果であった。
【0064】
実施例8
合成例5で得た新規なフタロシアニン組成物5重量部、テトラヒドロフラン100重量部をジルコニアビーズと共にボールミルで分散した。48時間後、こうして得た分散液に、(1)で示される化合物50重量部、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学製PCZ−200)100重量部、テトラヒドロフラン700重量部を加え、更にボールミルで30分間分散処理を行った後、アプリケーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗布し、膜厚約15μmの感光層を形成した。この様にして作製した単層型感光体の電子写真特性を、実施例1と同様にして評価した。ただし、印加電圧のみ+5kVに変更した。その結果、1回目の帯電電位(V0)+440V、半減露光量(E1/2)0.65ルックス・秒、1000回繰り返し後の帯電電位(V0)+410V、半減露光量(E1/2)0.65ルックス・秒と優れた特性を示した。
【0065】
比較例5
合成例5で得た新規なフタロシアニン組成物5重量部を、比較合成例1で得たフタロシアニン組成物に変更した以外は、実施例8と同様にして感光体を作製した。その感光体を評価したところ、帯電電位(V0)は+350Vと比較的良好な値を示したものの、半減露光量(E1/2)は3.80ルックス・秒と非常に低感度であった。
【0066】
【発明の効果】
以上明らかなように、本発明のフタロシアニン組成物を用いれば優れた特性を有する電子写真感光体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例1で得たTiOPcのX線回折スペクトル。
【図2】合成例2で得たアモルファス性フタロシアニン組成物のX線回折スペクトル。
【図3】合成例3で得たアモルファス性TiOPcのX線回折スペクトル。
【図4】合成例4で得たアモルファス性H2PcのX線回折スペクトル。
【図5】合成例5で得たフタロシアニン組成物のX線回折スペクトル。
【図6】合成例5で得たフタロシアニン組成物の赤外吸収スペクトル。
【図7】比較合成例1で得たフタロシアニン組成物のX線回折スペクトル。
【図8】比較合成例1で得たフタロシアニン組成物の赤外吸収スペクトル。
【図9】比較合成例2で得たフタロシアニン組成物のX線回折スペクトル。
【図10】比較合成例2で得たフタロシアニン組成物の赤外吸収スペクトル。
【図11】比較合成例3で得たアモルファス性銅フタロシアニンのX線回折スペクトル。
【図12】比較合成例4で得たフタロシアニン組成物のX線回折スペクトル。
【図13】比較合成例4で得たフタロシアニン組成物の赤外吸収スペクトル。
【図14】比較合成例5で得たTiOPcのX線回折スペクトル。
【図15】比較合成例5で得たTiOPcの赤外吸収スペクトル。
Claims (6)
- チタニルオキシフタロシアニンと無金属フタロシアニンを含有するフタロシアニン組成物において、CuKα1.541オングストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.0°、14.1°、18.0°、23.7°、27.3°にピークを有することを特徴とするフタロシアニン組成物。
- チタニルオキシフタロシアニンと無金属フタロシアニンを含有するフタロシアニン組成物において、CuKα1.541オングストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.0°、14.1°、18.0°、23.7°、27.3°にピークを有し、かつ赤外吸収スペクトルにおける吸収ピーク(±2cm-1)が、1333cm-1、1119cm-1、1073cm-1、963cm-1、894cm-1、753cm-1、734cm-1に強いピークを示すことを特徴とするフタロシアニン組成物。
- チタニルオキシフタロシアニンと無金属フタロシアニンを含有するアモルファス性フタロシアニン組成物を、水と芳香族化合物を含有する溶媒中で処理することにより、CuKα1.541オングストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.0°、14.1°、18.0°、23.7°、27.3°にピークを示す結晶形に変換することを特徴とするフタロシアニン組成物の製造方法。
- アモルファス性チタニルオキシフタロシアニンとアモルファス性無金属フタロシアニンの混合物を、水と芳香族化合物を含有する溶媒中で処理することにより、CuKα1.541オングストロームのX線に対するブラッグ角(2θ±0.2°)が7.0°、9.0°、14.1°、18.0°、23.7°、27.3°にピークを示す結晶形に変換することを特徴とするフタロシアニン組成物の製造方法。
- 80℃以上で処理することを特徴とする請求項3、あるいは請求項4記載のフタロシアニン組成物の製造方法。
- 導電性支持体上に、請求項1記載のフタロシアニン組成物を電荷発生物質として、少なくとも1種以上含有する感光層を設けてなることを特徴とする電子写真感光体。
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