JP2000010312A - 電子写真感光体 - Google Patents

電子写真感光体

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JP2000010312A
JP2000010312A JP10170419A JP17041998A JP2000010312A JP 2000010312 A JP2000010312 A JP 2000010312A JP 10170419 A JP10170419 A JP 10170419A JP 17041998 A JP17041998 A JP 17041998A JP 2000010312 A JP2000010312 A JP 2000010312A
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JP
Japan
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phthalocyanine
resin
mixed crystal
weight
dyes
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JP10170419A
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English (en)
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Kazuyuki Suruga
和行 駿河
Tamotsu Horiuchi
保 堀内
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Mitsubishi Paper Mills Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】良好な塗工面を有し、電子写真プロセスにより
画像形成を行う際に、帯電電位及び感度が高く、残留電
位が低く、かつ繰り返し安定性が優れた電子写真感光体
を提供すること。 【解決手段】導電性支持体上に感光層を有する電子写真
感光体において、該感光層にフタロシアニン類と少なく
とも1種のフタロシアニン以外の有機系電荷発生物質か
らなるフタロシアニンの混晶体を含有させ、さらに塩化
ビニル系樹脂、ブチラール系樹脂から選ばれる少なくと
も1種の樹脂を含有させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フタロシアニン類
とそれ以外の少なくとも1種の有機電荷発生物質からな
るフタロシアニンの混晶体を用いた電子写真感光体に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式の利用は複写機の分
野に限らず、印刷版材、スライドフィルム、マイクロフ
ィルム等の、従来では写真技術が使われていた分野へ広
がり、またレーザーやLED、CRTを光源とする高速
プリンターへの応用も検討されている。また最近では光
導電性材料の電子写真感光体以外の用途、例えば静電記
録素子、センサー材料、EL素子等への応用も検討され
始めた。従って光導電性材料及びそれを用いた電子写真
感光体に対する要求も高度で幅広いものになりつつあ
る。これまで電子写真方式の感光体としては無機系の光
導電性物質、例えばセレン、硫化カドミウム、酸化亜
鉛、シリコン等が知られており、広く研究され、かつ実
用化されている。これらの無機物質は多くの長所を持っ
ているのと同時に、種々の欠点をも有している。例えば
セレンには製造条件が難しく、熱や機械的衝撃で結晶化
しやすいという欠点があり、硫化カドミウムや酸化亜鉛
は耐湿性、耐久性に難がある。シリコンについては帯電
性の不足や製造上の困難さが指摘されている。さらに、
セレンや硫化カドミウムには毒性の問題もある。
【0003】これに対し、有機系の光導電性物質は成膜
性がよく、可撓性も優れていて、軽量であり、透明性も
よく、適当な増感方法により広範囲の波長域に対する感
光体の設計が容易である等の利点を有していることか
ら、次第にその実用化が注目を浴びている。
【0004】ところで、電子写真技術において使用され
る感光体は、一般的に基本的な性質として次のような事
が要求される。即ち、(1) 暗所におけるコロナ放電に対
して帯電性が高いこと、(2) 得られた帯電電荷の暗所で
の漏洩(暗減衰)が少ないこと、(3) 光の照射によって
帯電電荷の散逸(光減衰)が速やかであること、(4)光
照射後の残留電荷が少ないこと等である。
【0005】しかしながら、今日まで有機系光導電性物
質としてポリビニルカルバゾールを始めとする光導電性
ポリマーに関して多くの研究がなされてきたが、これら
は必ずしも皮膜性、可撓性、接着性が十分でなく、また
上述の感光体としての基本的な性質を十分に具備してい
るとはいい難い。
【0006】一方、有機系の低分子光導電性化合物につ
いては、感光体形成に用いる結着剤等を選択することに
より、皮膜性や接着性、可撓性等機械的強度に優れた感
光体を得ることができ得るものの、高感度の特性を保持
し得るのに適した化合物を見出すことは困難である。
【0007】このような点を改良するために電荷発生機
能と電荷輸送機能とを異なる物質に分担させ、より高感
度の特性を有する有機感光体が開発されている。機能分
離型と称されているこのような感光体の特徴はそれぞれ
の機能に適した材料を広い範囲から選択できることであ
り、任意の性能を有する感光体を容易に作製し得ること
から多くの研究が進められてきた。
【0008】このうち、電荷発生機能を担当する物質と
しては、フタロシアニン顔料、スクエアリウム系染料、
アゾ顔料、ペリレン系顔料等の多種の物質が検討され、
中でもアゾ顔料は多様な分子構造が可能であり、また、
高い電荷発生効率が期待できることから広く研究され、
実用化も進んでいる。しかしながら、このアゾ顔料にお
いては、分子構造と電荷発生効率の関係はいまだに明ら
かになっていない。膨大な合成研究を積み重ねて、最適
の構造を探索しているのが実情であるが、先に掲げた感
光体として求められている基本的な性質や高い耐久性等
の要求を十分に満足するものは、未だ得られていない。
【0009】また、近年従来の白色光のかわりにレーザ
ー光を光源として、高速化、高画質化、ノンインパクト
化を長所としたレーザービームプリンター等が、情報処
理システムの進歩と相まって広く普及するに至り、その
要求に耐えうる材料の開発が要望されている。特にレー
ザー光の中でも近年コンパクトディスク、光ディスク等
への応用が増大し技術進歩が著しい半導体レーザーは、
コンパクトでかつ信頼性の高い光源材料としてプリンタ
ー分野でも積極的に応用されてきた。この場合の光源の
波長は780nm前後であることから、780nm前後
の長波長光に対して高感度な特性を有する感光体の開発
が強く望まれている。その中で、特に近赤外領域に光吸
収を有するフタロシアニン類を使用した感光体の開発が
盛んに行われている。
【0010】フタロシアニン類は、中心金属の種類によ
り吸収スペクトルや光導電性が異なるだけでなく、同じ
中心金属を有するフタロシアニンでも、結晶形によって
これらの諸特性に差が生じ、特定の結晶形が電子写真感
光体に選択されていることが報告されている。
【0011】チタニルオキシフタロシアニンを例にとる
と、特開昭61−217050号公報では、X線回折ス
ペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が7.
6°、10.2°、22.3°、25.3°、28.6
°に主たる回折ピークを有するα形チタニルオキシフタ
ロシアニン、特開昭62−67094号公報には9.3
°、10.6°、13.2°、15.1°、15.7
°、16.1°、20.8°、23.3°、26.3
°、27.1°に主たる回折ピークを有するβ形チタニ
ルオキシフタロシアニンが報告されているが、これらは
要求される高い特性を十分満足していない。
【0012】X線回折スペクトルのブラッグ角(2θ±
0.2°)が27.2°においてピークを有するものに
限ってみても、特開昭62−67094号公報に報告さ
れているII形チタニルオキシフタロシアニンは帯電性に
劣っており、感度も低い。特開昭64−17066号公
報には9.5°、9.7°、11.7°、15.0°、
23.5°、24.1°、27.3°に主たる回折ピー
クを有する、比較的良好な感度を示すY形チタニルオキ
シフタロシアニンが報告されているが、分散時に他の結
晶形へ転移してしまうことや分散液の経時安定性等に問
題がある。
【0013】また、2種以上のフタロシアニンからの混
晶体、あるいは単純に混合したものを電子写真感光体の
電荷発生物質として用いることも報告されている。例と
して特開平1−142659号公報にはα形チタニルオ
キシフタロシアニンと無金属フタロシアニンからなる組
成物が、特開平2−170166号公報には中心金属の
異なる2種以上のフタロシアニンからなる混晶体が、特
開平2−272067号公報には無金属フタロシアニン
とチタニルオキシフタロシアニンからなるX形無金属フ
タロシアニン組成物が、特開平4−351673号公報
にはチタニルオキシフタロシアニンとヒドロキシメタル
フタロシアニンの混晶体が、そして特開平8−6782
9号公報にはX線回折スペクトルにおけるブラッグ角
(2θ±0.2°)が6.8°、7.4°、15.0
°、24.7°、26.2°、27.2°に主たる回折
ピークを有するチタニルオキシフタロシアニンと無金属
フタロシアニンの混晶体が報告されている。しかし、こ
れらも要求される特性を有していない。
【0014】また、N形顔料とP形顔料を共蒸着させ、
量子効率を向上させることが、Appl.Phys.Lett.,58,106
2(1991)より報告されている。しかし、これはバルク層
の抵抗が少なく電子写真感光体に適用することができな
い。特開平2−222962号公報にはアンスアンスロ
ン顔料とチタニルオキシフタロシアニンを含有する電子
写真感光体が、特開平2−228671号公報にはペリ
レン顔料とX形無金属フタロシアニンを混合する電子写
真感光体が報告されている。しかし、何れも十分な特性
を有していない。特開平5−333575号公報や特開
平7−5715号公報にはフタロシアニンとペリレン系
顔料を硫酸のような強酸に一旦溶解し、その後貧溶媒で
粒子化する方法(アシッドペースティング法)によって
電荷発生物質を作製することが報告されている。しか
し、このアシッドペースティング法は、強酸によって分
解しない電荷発生物質しか使用できないという欠点を有
しているだけでなく、この方法によって得た、フタロシ
アニンとペリレン系顔料からなる混合物の電子写真特性
は十分な特性を有していない。
【0015】以上述べたように電子写真感光体の作製に
は種々の改良が成されてきたが、先に掲げた感光体とし
て要求される基本的な性質や高い耐久性等の要求を十分
に満足するものは未だ得られていないのが現状である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、良好
な塗工面を有し、電子写真プロセスにより画像形成を行
う際に、帯電電位及び感度が高く、残留電位が低く、か
つ繰り返し安定性が優れた電子写真感光体を提供するこ
とである。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の目的
を達成するために種々の検討をした結果、導電性支持体
上の感光層にフタロシアニン類と少なくとも1種のフタ
ロシアニン以外の有機系電荷発生物質からなるフタロシ
アニンの混晶体を含有させ、さらに塩化ビニル系樹脂、
ブチラール系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を
含有させることが有効であることを見いだし、本発明に
至ったものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体の形態
は、その何れを用いることもできる。例えば、導電性支
持体上に電荷発生物質、電荷輸送物質、及びフィルム形
成性結着剤樹脂からなる感光層を設けたものがある。ま
た、導電性支持体上に、電荷発生物質と結着剤樹脂から
なる電荷発生層と、電荷輸送物質と結着剤樹脂からなる
電荷輸送層を設けた積層型の感光体も知られている。電
荷発生層と電荷輸送層はどちらが上層となっても構わな
い。また、必要に応じて導電性支持体と感光層の間に下
引き層を、感光体表面にオーバーコート層を、積層型感
光体の場合は電荷発生層と電荷輸送層との間に中間層を
設けることもできる。
【0019】以下、本発明の各構成要素について詳細に
説明する。
【0020】本発明に係わる導電性支持体としては、周
知の電子写真感光体に採用されているものをはじめ種々
のものが使用できる。具体的には、例えば金、銀、白
金、チタン、アルミニウム、銅、亜鉛、鉄、導電処理を
した金属酸化物等のドラム、シート、ベルト、あるいは
これらの薄膜のラミネート物、蒸着物等が挙げられる。
【0021】さらに、金属粉末、金属酸化物、カーボン
ブラック、炭素繊維、ヨウ化銅、電荷移動錯体、無機
塩、イオン伝導性の高分子電解質等の導電性物質を適当
なバインダーと共に塗布しポリマーマトリックス中に埋
め込んで導電処理を施したプラスチックやセラミック、
紙等で構成されるドラム、シート、ベルト等、またこの
ような導電性物質を含有し導電性となったプラスチッ
ク、セラミック、紙等のドラム、シート、ベルト等が挙
げられる。
【0022】本発明に係わるフタロシアニン類は、公知
の製造方法を使用することができる。製造方法として
は、F.H.Moser、A.L.Thomas著「Phthalocyanine Compound
s」(1963年)に製造方法が記載されており、この方法に従
えばフタロシアニン類は容易に得られる。チタニルオキ
シフタロシアニンを例にとれば、フタロジニトリルと四
塩化チタンとの縮合反応による製造方法、あるいはPB
85172.FIAT.FINAL REPORT 1
313.Feb.1.1948や特開平1−14265
8号公報、特開平1−221461号公報に記載されて
いる、1,3−ジイミノイソインドリンとテトラアルコ
キシチタンとの反応により製造する方法等が挙げられ
る。また、反応に用いる有機溶媒としては、α−クロロ
ナフタレン、β−クロロナフタレン、α−メチルナフタ
レン、メトキシナフタレン、ジフェニルナフタレン、エ
チレングリコールジアルキルエーテル、キノリン、スル
ホラン、ジクロロベンゼン、N−メチル−2−ピロリド
ン、ジクロロトルエン等の反応不活性な高沸点の溶媒が
望ましい。
【0023】上述の方法によって得たフタロシアニン類
を、酸、アルカリ、アセトン、メタノール、エタノー
ル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ピリジ
ン、キノリン、スルホラン、α−クロロナフタレン、ト
ルエン、キシレン、ジオキサン、クロロホルム、ジクロ
ロエタン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル
−2−ピロリドン、あるいは水等により精製して電子写
真用途に用い得る高純度のフタロシアニン類が得られ
る。精製法としては、洗浄法、再結晶法、ソックスレー
等の抽出法、及び熱懸濁法、昇華法等がある。また、精
製方法はこれらに限定されるものではなく、未反応物や
反応副生成物を取り除く作業であれば何れでもよい。
【0024】本発明に係わるフタロシアニン類と少なく
とも1種のフタロシアニン以外の有機系電荷発生物質か
らなるフタロシアニンの混晶体において、使用されるフ
タロシアニン類としては、それ自体公知のフタロシアニ
ン及びその誘導体の何れでも使用できる。誘導体とは、
フタロシアニンのイソインドール環に置換基を有するも
の、あるいは中心金属に配位子を有するものを挙げるこ
とができる。フタロシアニン類の具体例としては無金属
フタロシアニン類、チタニルフタロシアニン類、バナジ
ルフタロシアニン類、銅フタロシアニン類、アルミニウ
ムフタロシアニン類、ガリウムフタロシアニン類、イン
ジウムフタロシアニン類、ゲルマニウムフタロシアニン
類、リチウムフタロシアニン類、ナトリウムフタロシア
ニン類、カリウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタ
ロシアニン類、ハフニウムフタロシアニン、マグネシウ
ムフタロシアニン類、スズフタロシアニン類、亜鉛フタ
ロシアニン類、コバルトフタロシアニン類、ニッケルフ
タロシアニン類、バリウムフタロシアニン類、ベリリウ
ムフタロシアニン類、カドミウムフタロシアニン類、コ
バルトフタロシアニン類、鉄フタロシアニン類、シリコ
ンフタロシアニン類、鉛フタロシアニン類、銀フタロシ
アニン類、金フタロシアニン類、白金フタロシアニン
類、ルテニウムフタロシアニン類、パラジウムフタロシ
アニン類、無金属ナフタロシアニン類、チタニルナフタ
ロシアニン類等が挙げられる。特にその中でも無金属フ
タロシアニン、チタニルオキシフタロシアニン、バナジ
ルオキシフタロシアニン、銅フタロシアニン、クロロア
ルミニウムフタロシアニン、クロロガリウムフタロシア
ニン、クロロインジウムフタロシアニン、ジクロロゲル
マニウムフタロシアニン、ヒドロキシアルミニウムフタ
ロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、ヒド
ロキシインジウムフタロシアニン、ジヒドロキシゲルマ
ニウムフタロシアニンが好ましい。またこれらは単独、
あるいは2種以上用いることができる。
【0025】本発明に係わるフタロシアニン類と少なく
とも1種のフタロシアニン以外の有機系電荷発生物質か
らなるフタロシアニンの混晶体における、有機系電荷発
生物質として好ましい具体例は、トリフェニルメタン系
染料、ザンセン系染料、アクリジン系染料、チアジン系
染料、ピリリウム系染料、アズレニウム系染料、チイリ
ウム系染料、シアニン系染料、スクエアリウム系染料、
ピロロピロール系顔料、多環キノン系顔料、ペリレン系
顔料、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキ
サジン系顔料、アゾ顔料等を挙げることができる。しか
し、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。ま
たこれらは単独、あるいは2種以上用いることができ
る。
【0026】本発明に係わるフタロシアニンの混晶体を
得るためのフタロシアニン類とフタロシアニン以外の有
機系電荷発生物質の混合比は、フタロシアニン類100
重量部に対して、フタロシアニン以外の有機系電荷発生
物質が0.001重量部以上、100重量部以下が好ま
しく、5重量部以上、30重量部以下がより好ましい。
【0027】本発明に係わるフタロシアニンの混晶体を
製造する方法としては、次に示す2つの製造ルートが挙
げられ、その何れを用いてもよい。一つは、フタロシア
ニン類とフタロシアニン以外の有機系電荷発生物質の混
合物を機械的摩砕処理してアモルファス体を作製し、得
られたアモルファス体を特定の条件によって目的の結晶
形へ転移する方法であり、もう一つは、既にアモルファ
ス化されたフタロシアニン類とフタロシアニン以外の有
機系電荷発生物質を混合し、特定の条件によって目的の
結晶形へ転移する方法である。
【0028】上述した前者の結晶転移におけるアモルフ
ァス化方法としては機械的摩砕処理が好ましく、後者の
結晶転移におけるアモルファス化方法としては、機械的
摩砕処理、アシッドペースティング法等、アモルファス
化できるものであれば何れであってもよい。機械的摩砕
処理としては、ボールミル、自動乳鉢、ペイントコンデ
ィショナー等における乾式ミリング方法が挙げられる。
摩砕助剤としてはガラスビーズ、ジルコニアビーズ、あ
るいは食塩等が挙げられるが、これらに限定されるもの
ではない。アシッドペースティング法としては、フタロ
シアニン類を硫酸等の強酸に溶解し、その溶液を水等の
貧溶媒に注ぎ込んで粒子化する方法である。また、アモ
ルファス化する前のフタロシアニン類の結晶形は、何を
使用しても構わない。
【0029】本発明に係わるフタロシアニンの混晶体を
得るための結晶転移に使用する溶媒は、水、あるいは有
機溶媒が挙げられ、単独、あるいは2種以上の混合溶媒
として使用される。水は、重水でもよいし、あるいは水
と重水の混合液であってもよい。有機溶媒としては、メ
タノール、エタノール、あるいはイソプロピルアルコー
ル等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケト
ン、あるいはメチルイソブチルケトン等のケトン系溶
媒、ギ酸エチル、酢酸エチル、あるいは酢酸n−ブチル
等のエステル系溶媒、ジエチルエーテル、ジメトキシエ
タン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサ
ン、あるいはアニソール等のエーテル系溶媒、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、あるいはN−メチル−2−ピロリドン等のアミド系
溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、
ヨウ化メチル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、ト
リクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベン
ゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベン
ゼン、あるいはα−クロロナフタレン等のハロゲン化炭
化水素系溶媒、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−オク
タン、1,5−ヘキサジエン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン、シクロヘキサジエン、ベンゼン、トル
エン、ナフタレン、o−キシレン、m−キシレン、p−
キシレン、エチレンベンゼン、あるいはクメン等の炭化
水素系溶媒、ギ酸、酢酸、あるいはプロピオン酸等のカ
ルボン酸系溶媒、トリエチルアミン、トリエタノールア
ミン、ピリジン、アニリン、あるいはキノリン等のアミ
ン系溶媒、フェノール、o−クレゾール、あるいはp−
クレゾール等のフェノール系溶媒、ジメチルスルホキシ
ド等のスルホキシド系溶媒、スルホラン等のスルホン系
溶媒を挙げることができる。
【0030】フタロシアニン類とフタロシアニン以外の
有機系電荷発生物質の混合物に対する結晶転移で使用す
る有機溶媒の比は、フタロシアニン類とフタロシアニン
以外の有機系電荷発生物質の混合物1重量部に対して、
1重量部以上、1000重量部以下が好ましく、5重量
部以上100重量部以下がより好ましい。
【0031】これらの溶媒を用い、フタロシアニン類と
フタロシアニン以外の有機系電荷発生物質の混合物を、
目的の結晶形へ転移する温度としては、−30℃以上、
200℃以下が好ましく、さらに撹拌しながら転移する
ことがより好ましい。撹拌する方法としては、スターラ
ー、ボールミル、ペイントコンディショナー、サンドミ
ル、アトライター、ディスパーザー、あるいは超音波分
散等が挙げられるが、撹拌処理を行えれば何でもよく、
これらに限定されるものではない。転移に要する時間
は、1分以上、120時間以下が好ましく、5分以上、
50時間以下がより好ましく、10分以上、50時間以
下がさらに好ましい。
【0032】本発明に係わるフタロシアニンの混晶体
は、他の電荷発生物質と組み合わせて使用してもよい。
使用してもよい電荷発生物質としては、トリフェニルメ
タン系染料、ザンセン系染料、アクリジン系染料、チア
ジン系染料、ピリリウム系染料、アズレニウム系染料、
チイリウム系染料、シアニン系染料、スクエアリウム系
染料、ピロロピロール系染料、多環キノン系顔料、ペリ
レン系顔料、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔料、
ジオキサジン系顔料、アゾ顔料等が挙げられる。これら
は単独、あるいは2種以上の混合物として用いることが
できる。
【0033】本発明において、感光層を形成するために
用いるバインダーであるフィルム形成性結着剤樹脂とし
ては、塩化ビニル系樹脂、ブチラール系樹脂を用いる。
これらの樹脂を用いることにより、前記フタロシアニン
の混晶体から作製した分散液が非常に高い分散性を示
し、塗布性も良好になる。さらに、その分散液を用いて
電子写真感光体を作製することにより、帯電性、感度、
繰り返し安定性が良好になる。これらの樹脂は単独、あ
るいは2種以上混合して用いることができる。塩化ビニ
ル系樹脂とブチラール系樹脂とを混合して用いる場合
は、塩化ビニル系樹脂100重量部に対してブチラール
系樹脂を10〜300重量部にするのが好ましく、25
〜200重量部にするのが特に好ましい。
【0034】本発明に係わる塩化ビニル系樹脂として
は、塩化ビニル単量体を重合することにより得られる塩
化ビニル単独重合樹脂の他に、塩化ビニルを酢酸ビニ
ル、塩化ビニリデン、アクリル酸エステル、プロピオン
酸ビニル、エチレン、マレイン酸、ビニルアルコール等
種々のビニル重合性単量体と共重合することによって得
られる塩化ビニル共重合樹脂が挙げられる。その中で
も、塩化ビニル共重合樹脂は塩化ビニル単独重合樹脂に
比べて加工時の流動性、熱に対する安定性及び溶剤に対
する溶解性が良好になるため、特に好ましい。また、塩
化ビニル共重合樹脂中の塩化ビニル含量は60重量%以
上が好ましく、80重量%以上が特に好ましい。
【0035】本発明に係わるブチラール系樹脂は、ポリ
ビニルアルコールにブチルアルデヒドを反応させること
によってつくられるが、ポリビニルアルコールを完全に
ブチラール化することはできず、ビニルブチラール部
分、ビニルアルコール部分、酢酸ビニル部分から構成さ
れる。ブチラール化度はブチラール系樹脂中のビニルブ
チラール部分のモル分率を表し、理論的に最高ブチラー
ル化度は81.6mol%と言われている。ブチラール
化度により化学的性質が異なり、ブチラール化度70m
ol%以上のブチラール系樹脂は溶剤に対する溶解性が
優れているため特に好ましい。
【0036】本発明に係わる塩化ビニル系樹脂及びブチ
ラール系樹脂は、それ以外の樹脂と組み合わせて使用し
てもよい。使用してもよい樹脂としては、シリコン樹
脂、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエス
テル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン
樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂は単
独、あるいは2種以上混合して用いることができる。
【0037】感光層に含まれるこれらの樹脂は、フタロ
シアニンの混晶体100重量部に対して10〜500重
量部が好ましく、50〜150重量部がより好ましい。
樹脂の比率が高くなりすぎると電荷発生効率が低下し、
また樹脂の比率が低くなりすぎると成膜性に問題が生じ
る。
【0038】これらのバインダーの中には、引っ張り、
曲げ、圧縮等の機械的強度に弱いものがある。この性質
を改良するために、可塑性を与える物質を加えることが
できる。具体的には、フタル酸エステル(例えばDO
P、DBP等)、リン酸エステル(例えばTCP、TO
P等)、セバシン酸エステル、アジピン酸エステル、ニ
トリルゴム、塩素化炭化水素等が挙げられる。これらの
物質は、必要以上に添加すると電子写真特性の悪影響を
及ぼすので、その割合はバインダー100重量部に対し
20重量部以下が好ましい。
【0039】本発明において感光層に電荷輸送物質を含
有させる場合、用いられる電荷輸送物質には正孔移動物
質と電子移動物質がある。正孔移動物質としては、例え
ば特公昭34−5466号公報等に示されているオキサ
ジアゾール類、特公昭45−555号公報等に示されて
いるトリフェニルメタン類、特公昭52−4188号公
報等に示されているピラゾリン類、特公昭55−423
80号公報等に示されているヒドラゾン類、特開昭56
−123544号公報等に示されているオキサジアゾー
ル類、特公昭58−32372号公報等に示されている
トリアリールアミン類、特開昭58−198043号公
報等に示されているスチルベン類等が挙げられる。一
方、電子移動物質としては、例えばクロラニル、テトラ
シアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,
7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−
テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テ
トラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキ
サントン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェ
ン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,
5−ジオキシド等が挙げられる。これらの電荷輸送物質
は、単独または2種以上組み合わせて用いることができ
る。
【0040】これらの電荷輸送物質の中で、ヒドラゾン
類、スチルベン類は高い電荷(正孔)移動度を有し、優
れた電子写真感光体を提供するため好ましい。前記ヒド
ラゾン類の中では、特開平1−100555号公報、同
2−10367号公報、同2−51163号公報、同2
−96767号公報、同2−183260号公報、同2
−184856号公報、同2−184858号公報、同
2−184859号公報、同2−226160号公報、
同5−188609号公報、同7−140686号公報
に記載のヒドラゾン化合物が特に好ましい。また前記ス
チルベン類の中では、特開平2−51162号公報、同
2−184857号公報、同3−75660号公報、同
4−177358号公報、同6−194851号公報、
同7−120945号公報、同7−140683号公
報、特願平8−232841号、同8−240399号
に記載のスチルベン化合物が特に好ましい。
【0041】また、さらに増感効果を増大させる増感剤
として、ある種の電子吸引性化合物を添加することもで
きる。この電子吸引性化合物としては例えば、2,3−
ジクロロ−1,4−ナフトキノン、1−ニトロアントラ
キノン、1−クロロ−5−ニトロアントラキノン、2−
クロロアントラキノン、フェナントレンキノン等のキノ
ン類、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、
9−ベンゾイルアントラセン、インダンジオン、3,5
−ジニトロベンゾフェノン、あるいは3,3′,5,
5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類、無水
フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水物、
テレフタラルマロノニトリル、9−アントリルメチリデ
ンマロノニトリル、4−ニトロベンザルマロノニトリ
ル、あるいは4−(p−ニトロベンゾイルオキシ)ベン
ザルマロノニトリル等のシアノ化合物、3−ベンザルフ
タリド、3−(α−シアノ−p−ニトロベンザル)フタ
リド、あるいは3−(α−シアノ−p−ニトロベンザ
ル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド等のフタ
リド類等を挙げることができる。
【0042】積層型感光体では少なくともこれら電荷輸
送物質とバインダーとの混合で電荷輸送層が構成され
る。電荷輸送層に用いられるバインダーとしては、ポリ
スチレン樹脂、ポリメチルメタクリレートに代表される
アクリル樹脂、ビスフェノールAやZに代表される骨格
を持つポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエ
ーテルサルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹
脂等を用いることができる。これらの樹脂は単独、ある
いは2種以上用いることができる。
【0043】電荷輸送層に含有されるこれらのバインダ
ーは、電荷輸送物質100重量部に対して0.1重量部
以上、2000重量部以下が好ましく、1重量部以上、
500重量部以下がより好ましい。バインダーの比率が
高すぎると感度が低下し、また、バインダーの比率が低
くなりすぎると繰り返し特性の悪化や塗膜の欠損を招く
おそれがある。
【0044】本発明の電子写真感光体は、構成材料の有
機化合物の酸化による劣化を防止するために、2,6−
ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、DL−α−ト
コフェロール等の酸化防止剤を感光層に添加するのが好
ましい。これらの酸化防止剤を添加することによって、
繰り返し特性の優れた電子写真感光体が得られる。
【0045】本発明の電子写真感光体を製造する際は、
感光層を構成する各成分を適当な溶媒に溶解し、その塗
布液を塗布して作製するが、顔料等の溶媒に不溶な成分
を用いる時は、ボールミル、ペイントコンディショナ
ー、ダイノミル、及びアトライター等の分散機により分
散して用いる。感光層に使用するバインダー、その他の
添加剤は顔料等の分散時あるいは分散後に添加すること
ができる。このようにして作製した塗布液を回転塗布、
ブレード塗布、ナイフ塗布、リバースロール塗布、ロッ
ドバー塗布、及びスプレー塗布の様な公知の方法で導電
性支持体上に塗布乾燥して電子写真感光体が得られる。
また、特にドラムに塗工する場合には、浸漬(ディッ
プ)塗布方法等が用いられる。
【0046】本発明で用いられる溶媒としては、水、あ
るいは有機溶媒が挙げられ、単独、あるいは2種以上の
混合溶媒として使用される。水は、重水でもよいし、あ
るいは水と重水の混合液であってもよい。有機溶媒とし
ては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル等のアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、ギ酸エ
チル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル系溶
媒、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テ
トラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジ
オキサン、アニソール等のエーテル系溶媒、N,N−ジ
メチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、
N−メチル−2−ピロリドン等のアミド系溶媒、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、ブロモホルム、ヨウ化メチ
ル、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエ
チレン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、フル
オロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼン、α−
クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、n−
ペンタン、n−ヘキサン、n−オクタン、1,5−ヘキ
サジエン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シ
クロヘキサジエン、ベンゼン、トルエン、o−キシレ
ン、m−キシレン、p−キシレン、エチルベンゼン、ク
メン等の炭化水素系溶媒を挙げることができる。特にそ
の中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系
溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒が好ましい。
【0047】
【実施例】次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明
するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではな
い。
【0048】合成例1 チタニルオキシフタロシアニン18.0g、(1)で示
される化合物2.0gをガラスビーズと共にペイントコ
ンディショナーで10時間、乾式ミリング処理してアモ
ルファス体を19.5g作製した。
【0049】
【化1】
【0050】合成例2 (1)で示される化合物を(2)で示される化合物に変
更した以外は、合成例1と同様にしてアモルファス体を
作製した。得られたアモルファス体の収量は19.5g
であった。
【0051】
【化2】
【0052】合成例3 合成例1で得たアモルファス体1.0g、水28.0
g、o−ジクロロベンゼン2.0gをフラスコに入れ、
50℃で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温
まで放冷した。溶媒を除去し、乾燥してフタロシアニン
の混晶体0.95gを得た。得られたフタロシアニンの
混晶体の結晶形は、CuKα線を用いたX線回折スペク
トル(理学電機製;X線回折装置RAD−Cシステム)
を測定することにより確認した。測定結果を図1に示
す。 図1より、この混晶体は、ブラッグ角(2θ±0.2
°)が9.4°、14.2°、17.9°、23.9
°、27.2°にノイズとは異なる強いピークを有して
いることがわかる。
【0053】合成例4 合成例1で得たアモルファス体を合成例2で得たアモル
ファス体に、o−ジクロロベンゼンをナフタレンに変更
した以外は合成例3と同様にして結晶転移を行った。得
られた混晶体の収量は0.95gであった。得られたフ
タロシアニンの混晶体のX線回折スペクトルを図2に示
す。図2より、この混晶体は、ブラッグ角(2θ±0.
2°)が9.0°、14.2°、17.9°、23.9
°、27.2°にノイズとは異なる強いピークを有して
いることがわかる。
【0054】合成例5 合成例2で得たアモルファス体1.0g、N,N−ジメ
チルホルムアミド20mlをフラスコに入れ、100℃
で加熱撹拌した。1時間後、撹拌を停止し、室温まで放
冷した。溶媒を除去し、乾燥してフタロシアニンの混晶
体0.95gを得た。得られたフタロシアニンの混晶体
のX線回折スペクトルを図3に示す。図3より、この混
晶体は、ブラッグ角(2θ±0.2°)が7.5°、1
0.2°、12.6°、16.3°、22.5°、2
4.2°、25.3°、28.6°にノイズとは異なる
強いピークを有していることがわかる。
【0055】合成例6 N,N−ジメチルホルムアミドをN−メチル−2−ピロ
リドンに変更した以外は、合成例5と同様にして結晶転
移を行った。得られた混晶体の収量は0.95gであっ
た。得られたフタロシアニンの混晶体のX線回折スペク
トルを図4に示す。図4より、この混晶体は、ブラッグ
角(2θ±0.2°)が9.3°、10.5°、13.
1°、15.0°、15.6°、16.0°、20.7
°、23.2°、26.2°、27.0°にノイズとは
異なる強いピークを有していることがわかる。
【0056】実施例1 合成例3で得たフタロシアニンの混晶体1重量部、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(積水化学製;CN、塩
化ビニル含量約90重量%)1重量部をメチルエチルケ
トン100重量部に混合し、レッドデビル社製のペイン
トコンディショナー装置により直径1mmのガラスビー
ズと共に1時間分散した。得られた分散液を、アプリケ
ーターにてアルミ蒸着ポリエステル上に塗布して乾燥
し、膜厚約0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0057】次に、(3)で示されるスチルベン化合物
100重量部、ポリカーボネート樹脂(三菱ガス化学
製;Z−400)100重量部、DL−α−トコフェロ
ール(理研ビタミン製;E1000)1重量部を、ジク
ロロメタン2000重量部に溶解させて、この溶液をア
プリケーターにて前記電荷発生層上に塗布して乾燥し、
乾燥膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
【0058】
【化3】
【0059】このように作製した電子写真感光体を、室
温暗所で一昼夜保管した後、静電記録試験装置(川口電
機製作所製;EPA−8200)を用いて、感光体を−
5.0kVの帯電圧で帯電した後、2luxのタングス
テン光を照射して、感光体の半減露光量E1/2を測定し
た。結果を表1に与える。
【0060】次に、前記電子写真感光体をアルミニウム
製のドラム素管に貼り付け、ドラム感光体評価装置(ジ
ェンテック製;シンシア90)を用いて、プロセス速度
190mm/秒、帯電電圧−7.0kV、露光光波長7
80nm、露光光強度2μW/cm2の条件で、帯電、
露光、除電の10000回の繰り返しを行い、その前後
で、感光体の帯電電位及び残留電位を測定した。これら
の結果を表1に示す。
【0061】実施例2 合成例3で得たフタロシアニンの混晶体を合成例4で得
たフタロシアニンの混晶体に変更した以外は、実施例1
と同様に感光体を作製し、実施例1と同様の測定を行っ
た。結果を表1に示す。
【0062】実施例3 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(積水化学製;C
N、塩化ビニル含量約90重量%)を塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合樹脂(積水化学製;C−5、塩化ビニル含
量約75重量%)に変更した以外は、実施例1と同様に
感光体を作製し、実施例1と同様の測定を行った。結果
を表1に示す。
【0063】実施例4 合成例3で得たフタロシアニンの混晶体を合成例4で得
たフタロシアニンの混晶体に変更し、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合樹脂(積水化学製;CN、塩化ビニル含量
約90重量%)を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂
(積水化学製;C−5、塩化ビニル含量約75重量%)
に変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製し、
実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に示す。
【0064】比較例1 合成例3で得たフタロシアニンの混晶体を、特開昭64
−17066号公報に記載のY形チタニルオキシフタロ
シアニンに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を
作製し、実施例1と同様の測定を行った。結果を表1に
示す。
【0065】比較例2〜3 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(積水化学製;C
N、塩化ビニル含量約90重量%)をそれぞれエポキシ
樹脂(新日本理化製;BPO−20E)、フェノキシ樹
脂(ユニオンカーバイト製;PKHJ)に変更した以外
は、実施例1と同様に感光体を作製し、実施例1と同様
の測定を行った。結果を表1に示す。
【0066】
【表1】
【0067】比較例1では感度は悪くないが、実施例1
〜4に比べて帯電電位が低く、かつ残留電位が高めであ
り、さらに繰り返し特性が非常に悪い。また、比較例2
及び比較例3では帯電性、繰り返し特性は良好である
が、実施例1〜4に比べてフタロシアニンの混晶体から
作製した分散液の分散性が非常に悪く、電荷発生層の塗
布面も悪くなり、さらに感度が悪い。それに対して、実
施例1〜4では、感度及び帯電電位が高く、残留電位が
低く、さらに繰り返し特性も良好である。その中でも塩
化ビニル含量80%重量以上の塩化ビニル共重合樹脂を
用いた実施例1及び実施例2では、特に電荷発生層の塗
布面が良好で、さらに感度及び繰り返し特性が優れてい
る。
【0068】実施例5 合成例5で得たフタロシアニンの混晶体1重量部、ブチ
ラール樹脂(積水化学製;BM−S、ブチラール化度7
0mol%以上)1重量部を酢酸エチル100重量部に
混合し、レッドデビル社製のペイントコンディショナー
装置により直径1mmのガラスビーズと共に1時間分散
した。得られた分散液を、アプリケーターにてアルミ蒸
着ポリエステル上に塗布して乾燥し、膜厚約0.4μm
の電荷発生層を形成した。
【0069】次に、(3)で示されるスチルベン化合物
100重量部、ポリカーボネート樹脂(帝人化成製;パ
ンライトK−1300)100重量部、2,6−ジ−t
ert−ブチル−p−クレゾール1重量部を、ジクロロ
メタン2000重量部に溶解させて、この溶液をアプリ
ケーターにて前記電荷発生層上に塗布して乾燥し、乾燥
膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。
【0070】このようにして作製した電子写真感光体
を、室温暗所で一昼夜保管した後、実施例1と同様の測
定条件で半減露光量及び繰り返し特性の測定を行った。
結果を表2に示す。
【0071】実施例6 ブチラール樹脂(積水化学製;BM−S、ブチラール化
度70mol%以上)をブチラール樹脂(積水化学製;
BM−1、ブチラール化度約65mol%)に変更した
以外は、実施例5と同様に感光体を作製し、実施例1と
同様の測定を行った。結果を表2に示す。
【0072】比較例4 合成例5で得たフタロシアニンの混晶体を、特開昭61
−217050号公報に記載のα形チタニルオキシフタ
ロシアニンに変更した以外は、実施例5と同様に感光体
を作製し、実施例1と同様の測定を行った。結果を表2
に示す。
【0073】比較例5 ブチラール樹脂(積水化学製;BM−S、ブチラール化
度70mol%以上)をケトン樹脂(荒川化学工業製;
K−90)に変更した以外は、実施例5と同様に感光体
を作製し、実施例1と同様の測定を行った。結果を表2
に示す。
【0074】
【表2】
【0075】比較例4では感度は悪くないが、実施例5
及び実施例6に比べて帯電電位が低めで、かつ残留電位
が高めであり、さらに繰り返し特性が非常に悪い。ま
た、比較例5では帯電性、繰り返し特性は悪くないが、
実施例5及び実施例6に比べてフタロシアニンの混晶体
から作製した分散液の分散性が非常に悪く、電荷発生層
の塗布面も悪くなり、さらに感度が悪い。それに対し
て、実施例5及び実施例6では、感度及び帯電電位が高
く、残留電位が低く、さらに繰り返し特性も良好であ
る。その中でもブチラール化度70mol%以上のブチ
ラール系樹脂を用いた実施例5では、特に電荷発生層の
塗布面が良好で、さらに感度及び繰り返し特性が優れて
いる。
【0076】実施例7 アルコール可溶性ナイロン(東レ製;CM−8000)
5重量部をメタノール100重量部に溶解させ、酸化チ
タン(ルチル型、堺化学製;R−310)5重量部を混
合し、レッドデビル社製のペイントコンディショナー装
置により直径1mmのジルコニアビーズと共に5時間分
散した。こうして得た酸化チタン分散液を、アプリケー
ターにて金属アルミニウム薄板(JIS規格 #105
0)上に塗布して乾燥し、膜厚0.5μmの下引き層を
形成した。
【0077】次に、合成例6で得たフタロシアニンの混
晶体100重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂
(ユニオンカーバイト製;VYHH、塩化ビニル含量8
6重量%)20重量部、ブチラール樹脂(電気化学製;
#3000K、ブチラール化度70mol%以上)80
重量部をテトラヒドロフラン10000重量部に混合
し、レッドデビル社製のペイントコンディショナー装置
により直径1mmのガラスビーズと共に1時間分散し
た。得られた分散液を、アプリケーターにて前記下引き
層上に塗布して乾燥し、膜厚約0.3μmの電荷発生層
を形成した。
【0078】次に、(4)で示されるヒドラゾン化合物
10重量部、ポリアリレート樹脂(ユニチカ製;U−ポ
リマー)10重量部を、ジクロロメタン200重量部に
溶解させて、この溶液をアプリケーターにて前記電荷発
生層上に塗布して乾燥し、乾燥膜厚25μmの電荷輸送
層を形成した。
【0079】
【化4】
【0080】このようにして作製した電子写真感光体
を、室温暗所で一昼夜保管した後、実施例1と同様の測
定条件で半減露光量及び繰り返し特性の測定を行った。
結果を表3に示す。
【0081】実施例8〜11 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂をそれぞれ30重量
部、50重量部、85重量部、95重量部として、ブチ
ラール樹脂をそれぞれ70重量部、50重量部、30重
量部、5重量部とした以外は、実施例7と同様に感光体
を作製し、実施例1と同様の測定を行った。結果を表3
に示す。
【0082】比較例6〜8 合成例6で得たフタロシアニンの混晶体をそれぞれ特開
昭62−67094号公報に記載のβ形チタニルオキシ
フタロシアニン、(5)で示される化合物、(6)で示
される化合物に変更した以外は、実施例7と同様に感光
体を作製し、実施例1と同様の測定を行った。結果を表
3に示す。
【0083】
【化5】
【0084】
【化6】
【0085】
【表3】
【0086】比較例6〜8では、実施例7〜11に比べ
て感度及び帯電電位が低く、さらに繰り返し特性が非常
に悪い。それに対して、実施例7〜11では、感度及び
帯電電位が高く、残留電位が低く、さらに繰り返し特性
も良好である。その中でも塩化ビニル系樹脂100重量
部に対してブチラール系樹脂が10〜300重量部であ
る実施例8〜10では、感度、帯電性、繰り返し特性が
特に優れており、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し
てブチラール系樹脂が25〜200重量部である実施例
9が最も特性良好である。
【0087】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれ
ば、良好な塗工面を有し、電子写真プロセスにより画像
形成を行う際に、帯電電位及び感度が高く、残留電位が
低く、かつ繰り返し安定性が優れた電子写真感光体を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例3で得たフタロシアニンの混晶体のX線
回折スペクトル。
【図2】合成例4で得たフタロシアニンの混晶体のX線
回折スペクトル。
【図3】合成例5で得たフタロシアニンの混晶体のX線
回折スペクトル。
【図4】合成例6で得たフタロシアニンの混晶体のX線
回折スペクトル。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 5/06 382 G03G 5/06 382 384 384 388 388 5/05 101 5/05 101

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に感光層を有する電子写
    真感光体において、該感光層がフタロシアニン類と少な
    くとも1種のフタロシアニン以外の有機系電荷発生物質
    からなるフタロシアニンの混晶体を含有し、さらに塩化
    ビニル系樹脂、ブチラール系樹脂から選ばれる少なくと
    も1種の樹脂を含有することを特徴とする電子写真感光
    体。
  2. 【請求項2】 前記フタロシアニン類が、無金属フタロ
    シアニン、チタニルオキシフタロシアニン、バナジルオ
    キシフタロシアニン、銅フタロシアニン、ハロゲン化ア
    ルミニウムフタロシアニン、ハロゲン化ガリウムフタロ
    シアニン、ハロゲン化インジウムフタロシアニン、ジハ
    ロゲン化ゲルマニウムフタロシアニン、ヒドロキシアル
    ミニウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシ
    アニン、ヒドロキシインジウムフタロシアニン、ジヒド
    ロキシゲルマニウムフタロシアニンから選ばれる少なく
    とも1種のフタロシアニンであることを特徴とする請求
    項1記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記有機系電荷発生物質が、トリフェニ
    ルメタン系染料、ザンセン系染料、アクリジン系染料、
    チアジン系染料、ピリリウム系染料、アズレニウム系染
    料、チイリウム系染料、シアニン系染料、スクエアリウ
    ム系染料、ピロロピロール系染料、多環キノン系顔料、
    ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、アントラキノン系顔
    料、ジオキサジン系顔料、アゾ顔料から選ばれる少なく
    とも1種の電荷発生物質であることを特徴とする請求項
    1記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記フタロシアニンの混晶体のCuKα
    1.541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ
    ±0.2°)が27.2°に最大ピークを示すことを特
    徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記フタロシアニンの混晶体のCuKα
    1.541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ
    ±0.2°)が7.5°に最大ピークを示すことを特徴
    とする請求項1記載の電子写真感光体。
  6. 【請求項6】 前記フタロシアニンの混晶体のCuKα
    1.541オンク゛ストロームのX線に対するブラッグ角(2θ
    ±0.2°)が26.2°に最大ピークを示すことを特
    徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
JP10170419A 1998-06-18 1998-06-18 電子写真感光体 Pending JP2000010312A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014209222A (ja) * 2013-03-27 2014-11-06 三菱化学株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置
JP2015187631A (ja) * 2014-03-26 2015-10-29 三菱化学株式会社 電子写真感光体、電子写真感光体カートリッジ、及び画像形成装置

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