JP3997997B2 - 電動式駆動装置 - Google Patents

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    • F16HGEARING
    • F16H1/00Toothed gearings for conveying rotary motion
    • F16H1/28Toothed gearings for conveying rotary motion with gears having orbital motion

Description

本発明は、車両に搭載される電動式駆動装置に関する。
モータ及び減速機を備え、ハイブリッド車両や4WD車両に搭載される電動式駆動装置が知られている。そのような電動式駆動装置の一例として、左右の車輪に車軸を介して連結された差動装置と、その差動装置を介して車軸に動力を伝達する電動モータとを備える電動式駆動装置が特許文献1に記載されている。この電動式駆動装置では、電動モータの出力軸を中空に形成し、その内部に車軸を貫通させて電動モータを車軸と同一軸線上に配置することにより、装置の小型化を図っている。
車輪を駆動するための電動式駆動装置は車軸近傍に配置する必要があるが、エンジンや車両のリアまわりには構造上スペースに十分な余裕がなく、電動式駆動装置の配置や設計自由度に制約が生じることが多い。例えばエンジンのまわりには、エンジンマウント、吸気及び排気マニホールド、ステアリングシャフトなどが配置されるため、電動式駆動装置を極力小型化することが望まれる。しかし、そのような制約により、電動式駆動装置を構成する減速機の減速比を十分に大きくとることが難しくなるという問題がある。
減速機付きモータにおいて減速機をプラネタリギヤとし、モータと同軸に配置するものが特許文献2に記載されている。また、減速機付きインホイールモータにおいて減速機をプラネタリギヤとし、モータと同軸に配置したものが特許文献3及び4に記載されている。また、プラネタリギヤを利用した減速機付きモータにおける潤滑手法の例が特許文献5及び6に記載されている。
特開平11−240347号公報 特開2003−127680号公報 特開2001−32888号公報 特公平6−26932号公報 特開2001−173762号公報 特開2000−46157号公報
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、小型で、十分な減速比を得ることが可能な電動式駆動装置を提供することを課題とする。
本発明の1つの観点では、電動機式駆動装置は、エンジンの両側に設けられ、各々独立に作動する電動機と、前記電動機の回転を車輪に伝達する減速機と、整流リングと、を備え、前記減速機は、前記電動機の回転軸及び前記車輪と同軸に配置され、前記減速機はステップドピニオン式プラネタリギヤを備え、前記減速機は、前記電動機の回転軸に連結されたサンギヤと、前記サンギヤと噛み合うステップドピニオンギヤと、前記ステップドピニオンギヤと噛み合い、かつ、前記減速機に固定されたリングギヤと、前記ステップドピニオンギヤを回転可能に保持し、かつ、前記車輪に連結されたキャリア部と、を備え、前記整流リングは前記ステップドピニオンギヤの外周を覆っている
上記の電動式駆動装置は、例えばFR車両の前輪側においてエンジンの両側に設けられる独立の電動機を備える。即ち、各々の電動機は左右の車輪に対応する。また、電動機の回転を各車輪に伝達する減速機が設けられる。ここで、減速機は電動機の回転軸及び車輪と同軸に配置されるので、狭いスペースにも搭載することができる。また、減速機はステップドピニオン式プラネタリギヤにより構成されるので、小型化することが可能であり、スペース上の制約の多いエンジン近傍に取り付けるのに適する。好適には、前記電動機は、前記エンジンのエンジンマウントより車両の前方側に配置される。
上記の減速機の構成により、減速機を構成する一対のプラネタリギヤの両方のリングギヤを省略することができるので、減速機の小型化、軽量化が可能となる。さらに、整流リングは、好ましくは前記キャリア部に固定される。リングギヤが省略された構造では、プラネタリキャリアの回転などにより生じる潤滑油の主たる流れを、それと逆回転のピニオンギヤの自転が妨げることになるが、整流リングを設けることにより、ピニオンギヤの自転により生じる潤滑油の乱流を整流リング内に閉じこめ、潤滑油の主たる流れに影響を与えないようにすることができる。
上記の電動式駆動装置の他の一態様では、前記減速機は、前記電動機の回転軸に連結された第1のサンギヤと、前記サンギヤと噛み合うステップドピニオンギヤと、前記ステップドピニオンギヤを回転可能に保持し、かつ、前記減速機に固定されたキャリア部と、前記ステップドピニオンギヤと噛み合い、かつ、前記車両の車輪に連結された第2のサンギヤと、を備えることができる。この構成により、減速機を構成する一対のプラネタリギヤの両方のリングギヤを省略することができるので、減速機の小型化、軽量化が可能となる。
上記の電動式駆動装置の他の一態様は、前記減速機に取り付けられた潤滑油のタンクを備え、前記整流リングはその外周に潤滑油を前記タンクへ掻き揚げるための掻き揚げ部材を備えることができる。この掻き揚げ部材は、前記整流リングの外周上に設けることができ、また、前記整流リングの前記電動機側の側面上に設けることもできる。減速機を構成するプラネタリギヤの外周にリングギヤが存在しない場合は、潤滑油をタンクへ掻き揚げる能力が低下するので、整流リングに掻き揚げ部材を設けることにより、掻き揚げリングとしても作用させる。これにより、潤滑油を効果的にタンクへ掻き揚げることができ。電動機内のロータの引きずり抵抗を下げることができる。
本発明の他の観点では、電動式駆動装置は、エンジンの両側に設けられ、各々独立に作動する電動機と、前記電動機の回転を車輪に伝達する減速機と、を備え、前記減速機は、前記電動機の回転軸及び前記車輪と同軸に配置され、前記減速機はステップドピニオン式プラネタリギヤを備え、前記電動機の回転軸は、潤滑油の油路として機能する中空構造を有し、前記電動機の回転軸は、回転の遠心力により内部の潤滑油を噴出するための切欠きを備え、前記減速機は前記切欠きから噴出した潤滑油を保持し、前記ステップドピニオンギヤへ送るための潤滑油保持部を備え、前記潤滑油保持部は、前記キャリア部と、前記キャリア用のベアリングに設けられた板状部材と、前記キャリア部に設けられた膜構造とにより構成される。
上記の電動式駆動装置は、例えばFR車両の前輪側においてエンジンの両側に設けられる独立の電動機を備える。即ち、各々の電動機は左右の車輪に対応する。また、電動機の回転を各車輪に伝達する減速機が設けられる。ここで、減速機は電動機の回転軸及び車輪と同軸に配置されるので、狭いスペースにも搭載することができる。また、減速機はステップドピニオン式プラネタリギヤにより構成されるので、小型化することが可能であり、スペース上の制約の多いエンジン近傍に取り付けるのに適する。
また、上記の電動式駆動装置では、前記電動機の回転軸は、潤滑油の油路として機能する中空構造を有する。前記電動機の回転軸は、回転の遠心力により内部の潤滑油を噴出するための切欠きを備えることができる。電動機の回転軸内から噴出した潤滑油を、潤滑油保持部を通じてステップドピニオンギヤへ供給する。潤滑油保持部は、前記キャリア用のベアリングに設けられた板状部及び前記キャリア部に設けられた膜構造により、潤滑油の移動方向をステップドピニオンの方向に制限する。
さらに、電動式駆動装置には、前記減速機に取り付けられた潤滑油のタンクと、前記タンク内の潤滑油を前記電動機の回転軸内部へ案内する油路と、を備えることができる。これにより、電動機及び減速機内において、潤滑油をタンクから電動機の回転軸内へ案内する。電動機の回転軸は高速回転するので、その遠心力を利用して潤滑油を電動機及び減速機内の各部へ供給して潤滑を行うこと
ができる。
上記の電動式駆動装置の他の一態様では、前記キャリア部は、前記潤滑油保持部内における前記ステップドピニオンギヤへの潤滑油の入口部分にテーパー部を有することができる。ステップドピニオンギヤへの潤滑油の入口部分にテーパー部を形成し、潤滑油が入りやすくする。これにより、ステップドピニオンギヤへ潤滑油を効率よく供給することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[車両の基本構成]
まず、本実施形態に係る車両100の基本構成について説明する。なお、本実施例に係る車両100は、4WD(四輪駆動)仕様のFR車両(エンジン前置き後輪駆動方式)に本発明を適用したものである。但し、本発明の適用はこれに限られるものではなく、一般的なFR車両やFF車両(エンジン前置き前輪駆動方式)にも適用可能である。また、本車両は既知の4WD仕様のFR車両を前提とするため、4WDについての説明は省略する。
図1に、本発明に係る駆動ユニット8を備える車両100の構成を示す。図1は車両100の平面図を示す。車両100は、図1に示すように、主として、エンジン1と、トルクコンバータ2と、トランスミッション3と、プロペラシャフト4と、ディファレンシャルギヤ5と、ドライブシャフト6、9と、後輪7と、前輪10と、駆動ユニット8と、エンジンマウント11と、補機類12とを備える。
エンジン1は、燃焼室内の混合気を爆発させて、動力を発生する内燃機関である。燃焼室内での混合気の燃焼によるピストンの往復運動は、コンロッド(図示略)を介してクランクシャフト(図示略)の回転運動に変換される。クランクシャフトは、トルクコンバータ2、トランスミッション3、プロペラシャフト4、ディファレンシャルギヤ5、及びドライブシャフト6を介して後輪7に動力を伝達する。
トルクコンバータ2は、エンジン1とトランスミッション3との間に設けられる。トルクコンバータ2は、油などの作動流体を利用することにより、エンジン1から出力される回転トルクを断続的にトランスミッション3へ伝達するクラッチとしての機能と、その回転トルクを増大させてトランスミッション3へ伝達する機能とを有する。
トランスミッション3は、トルクコンバータ2とプロペラシャフト4との間に設けられ、前進4段(第1速〜第4速)、後進1段の各変速段に対応する複数のギヤ(プラネタリーギヤ)などを有する。トランスミッション3は、ECUからの指令信号に基づき、図示しない油圧制御装置を作動させることにより、低速段から高速段への変速操作(シフトアップ)、或いは高速段から低速段への変速操作(シフトダウン)を行う。
プロペラシャフト4は、トランスミッション3とディファレンシャルギヤ5との間に設けられ、エンジン1から得られる駆動力を後輪7側へ伝達する推進軸である。
ディファレンシャルギヤ5は、複数の傘歯歯車を組み合わせたものから構成され、車両旋廻時に内側の車輪と外側の車輪との回転速度を調整するギヤである。具体的には、車両100が直線道路を走行するときは、ディファレンシャルギヤ5は、左右の前輪を同一の速度で回転させる。一方、車両100が旋回運動をするときは左右の前輪の回転速度差が生じるため、ディファレンシャルギヤ5はそれらの回転速度を調整して、スムーズな旋回運動を可能とする。
ドライブシャフト6は、左右後輪7と回転自在に連結される車軸である。ドライブシャフト6は、エンジン1からの駆動力によって回転し、後輪7へ動力を伝達する。
駆動ユニット8は、例えば電気エネルギーを機械エネルギーに変換する永久磁石型同期式モータなどを備え、左右の前輪を駆動させる位置に夫々設けられる。
ドライブシャフト9は左右独立にそれぞれ左右前輪10と回転自在に連結される車軸である。ドライブシャフト9は、それぞれ左右の駆動ユニット8の出力軸であり、各駆動ユニット8から独立に駆動力を与えられる。即ち、左右前輪10の駆動は左右の駆動ユニット8により独立に行われる。このように左右輪の駆動ユニットを独立(非連結)とすることにより、駆動ユニット全体の小型化が可能となり、特にスペース制約の大きいFR車両の前輪側への搭載が容易になる。
エンジンマウント11は、車体とエンジン1とを連結する部材であり、エンジンルーム内に設けられる。補機類12としては、例えば、エアコンのコンプレッサー等が挙げられる。
[第1実施例]
次に、第1実施例にかかる駆動ユニット8の構造について、図2を参照して説明する。
(ギヤトレーンの第1例)
図2(a)は、駆動ユニット8の内部構造を模式的に示す。駆動ユニット8は、モータ部20と、減速部40とを備え、出力軸であるドライブシャフト9に連結されている。
モータ部20は、ステータ21と、ロータ22と、ロータシャフト23とを備える。ステータ21は、コイル線を軟鋼等に巻回したものであり、外部からの電力供給を受けて磁界を刻々と変化させる。ロータ22は、ステータ21の磁界の変化に伴って回転する。ロータ22の回転はロータシャフト23により取り出され、減速部40へ伝達される。
減速部40は、第1のプラネタリギヤ41と第2のプラネタリギヤ42が組み合わされたギヤトレーンにより構成される。図2(b)に、ギヤトレーンの第1例の構成を模式的に示す。図示のように、減速部40のギヤトレーンは、第1のプラネタリギヤ41及び第2のプラネタリギヤ42の組み合わせにより構成される。基本的には、第1のプラネタリギヤ41は、サンギヤ41S、サンギヤの周辺を自転しながら公転するピニオンギヤ、その外周で回転するリングギヤ41R、ピニオンギヤを回転可能に保持するプラネタリキャリア41Cから構成される。同様に、第2のプラネタリギヤ42は、サンギヤを42S、ピニオンギヤ、プラネタリキャリアを42C及びリングギヤを42Rを備える。
本実施例のギヤトレーンでは、まずモータ部20からの出力はロータシャフト23を介して第1のプラネタリギヤ41のサンギヤ41Sに与えられる。第1のプラネタリギヤ41のプラネタリキャリア41Cは第2のプラネタリギヤ42のプラネタリキャリア42Cに連結され、第2のプラネタリギヤ42のリングギヤ42Rは例えば減速部40のケーシングなどに固定される。第2のプラネタリギヤ42のプラネタリキャリア42Cはドライブシャフト9に連結されており、ドライブシャフト9から減速後の出力が取り出される。
図2(b)からわかるように、このギアトレーンでは、第1プラネタリギア41のリングギヤ41R及び第2プラネタリギヤ42のサンギア42Sは回転に寄与していないため省略することができる(破線で示している)。これにより、減速部40の軽量化、小型化が可能となる。
こうして構成されたのが、図2(a)の減速部40内部のギヤトレーンである。なお、図2(a)及び以下の説明においては、相互に連結された第1及び第2プラネタリギヤ41及び42のプラネタリキャリア41C及び42Cを、「連結キャリア部44」と呼ぶことにする。プラネタリキャリア41Cと42Cの連結部にはステップドピニオン(Stepped Pinion)ギヤ45が使用される。「ステップドピニオンギヤ」とは、径が異なる2つのピニオンギアを同軸上に一体成形してなるピニオンギアである。ステップドピニオンギヤ45の外形例を図3(a)に示し、その構造を図3(b)に模式的に示す。本実施例では、図3(a)及び(b)に模式的に示すように、ステップドピニオンギヤ45は、第1プラネタリギヤ41側のピニオンギヤ部41pと第2プラネタリギヤ42p部を一体成形してなる。第1プラネタリギヤ41側のピニオンギヤ41p部の径の方が、第2プラネタリギヤ42側のピニオンギヤ部42pの径よりも大きい。図2(a)及び(b)に示すように、ステップドピニオンギヤ45の第1プラネタリギヤ41側のピニオンギヤ部41pは第1プラネタリギヤ41のサンギヤ41Sと噛み合う。また、ステップドピニオンギヤ45の第2プラネタリギヤ42側のピニオンギヤ部42pは、第2プラネタリギヤ42のリングギヤ42Rと噛み合う。
以上の構成により、モータ部20の回転はロータシャフト23を介して第1プラネタリギヤ42のサンギヤ41Sへ伝達される。サンギヤ41Sの回転はステップドピニオンギヤ45に伝達される。第2プラネタリギヤ42のリングギヤ42Rは固定されており、ステップドピニオンギヤ45の回転は、ステップドピニオンギヤ45と一体化された連結キャリア部44の回転としてドライブシャフト9へ伝達され、出力される。
(ギヤトレーンの第2例)
次に、減速部40内に設けられるギヤトレーンの他の例について説明する。図4に2つのプラネタリギヤを使用したギヤトレーンの他の例の構造を模式的に示す。このギヤトレーンも、第1のプラネタリギヤ41と第2のプラネタリギヤ42の組み合わせにより構成されている。図2に示す例と同様に、ステップドピニオンギヤ45を使用し、ステップドピニオンギヤ45を回転可能に保持する連結キャリア部44を固定としている。モータ部20からの出力は第1プラネタリギヤ41のサンギヤ41Sに与えられる。連結キャリア部44は固定されており、サンギヤ41Sの回転はステップドピニオンギヤ45を介して第2プラネタリギヤ42のサンギヤ42Sに伝達され、サンギヤ42Sに連結されたドライブシャフト9から減速後の回転が出力される。本例では、連結キャリア部44を固定とし、第2プラネタリギヤ42のサンギヤ42Sを出力として使用しているので、第1及び第2プラネタリギヤ41及び42の両方のリングギヤが省略できる。これにより、ギヤトレーン自体のサイズを小型化し、軽量化することが可能となる。特に、本例では、図2に示したギヤトレーンの第1例と比較すると、第1及び第2プラネタリギヤともにリングギヤが省略できるので、減速部40の外形をより小型化することが可能となる。よって、例えばステアリングシャフトなどの配置スペースが要求されるFR車両の前輪側に搭載する場合に特に適している。
以上説明したように、本発明の駆動ユニットは、モータ部20と減速部40とを同軸に配置しているので、ドライブシャフト、アクスルシャフトが通るためにスペースに比較的余裕のある車軸上に配置することが可能となる。また、重量の重いモータ部を車両の中心側に配置し、減速部を車輪側に配置することにより、車両に対する駆動装置の取付部を小型化することが可能となる。さらに、ステップドピニオン式プラネタリギヤを利用したギヤトレーンを使用することにより、減速部全体を小型化、軽量化しつつ、所望の高減速比を得ることが可能となる。なお、上記のギヤトレーンの第1例及び第2例では減速比8程度を実現することができる。
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について図5を参照して説明する。第2実施例は、上述の第1実施例におけるギヤトレーンの第1例を使用する駆動ユニット8において、減速部40内における潤滑油の流れを制御する手法に関する。
一般的に、プラネタリギヤを用いる変速装置においてリングギアが回転する構造を採用する場合は、最も径の大きいリングギヤにより潤滑油の循環流が構成される。即ち、リングギヤの外周に設けられた多数の歯が変速装置内に溜まった潤滑油を下方から上方へ掻き揚げる役割を果たし、変速装置内に潤滑油を循環させる効果が得られる。
この点、上述のギアトレーンの第1例においては、第1プラネタリギヤ41側のリングギヤ41Rが省略されているため、第1プラネタリギヤ41側では上述のようなリングギヤによる潤滑油の循環効果が得られず、減速部40内の潤滑油の主たる流れは基本的に連結キャリア部44の回転により形成される。但し、ステップドピニオンギヤ45の第1プラネタリギヤ41側のピニオンギヤ部41pは、サンギヤ41Sの外周をサンギヤ41Sと逆方向に自転しつつ公転する。このため、ピニオンギヤ部41pの自転が、キャリア連結部44の回転により形成される潤滑油の主たる流れを掻き乱すこととなり(以下、これを、「潤滑油の乱流」と呼ぶ。)、潤滑油の撹拌抵抗が増大するという問題が生じうる。
以上の観点より、第2実施例においては、ステップドピニオンギヤ45の回転により生じる潤滑油の乱流の影響が減速部40内の潤滑油の主たる流れに与える影響を除去するために、整流リングを設ける。
図5(a)に、整流リング50を備える駆動ユニット8の内部構造を模式的に示し、図5(b)に整流リング50の形状の一例を示す。整流リング50は、その内部に、第1プラネタリギヤ41のサンギヤ41S及びピニオンギヤ部41pを収容するように配置される。よって、整流リング50の内周面51が潤滑油の乱流を整流リング50外へ逃がさないようにする整流面として機能する。また、整流リング50の側面52(図5(b)の左側の面)は図5(a)に示すように、整流リング50を連結キャリア部44に固定するための固定面として使用される。
図5(a)に示されるように、整流リング50は、第1プラネタリギヤ41のサンギヤ41S及びピニオンギヤ部41pの外周を覆うように、連結キャリア部44に対して固定され、連結キャリア部44の回転に伴って回転する。従って、ステップドピニオンギヤ45のピニオンギヤ部41pは整流リング50内でサンギヤ41Sの外周を自転しつつ公転することとなり、ピニオンギヤ部41pにより生じる潤滑油の乱流は整流リング50内に留められ、整流リング50の外側に生じる潤滑油の主たる流れに影響を及ぼすことを防止できる。これにより、減速部40内部の潤滑を円滑化することが可能となる。
[第3実施例]
次に本発明の第3実施例について説明する。本実施例は、第1実施例におけるギヤトレーンの第1例を採用した駆動ユニット8における潤滑油の循環のための構造に関する。本発明の駆動ユニット8のようにモータ部20と減速部40とを同軸状に配置した構成において、モータ部20及び減速部40内に潤滑油が循環する場合、潤滑油のレベルがモータのモータギャップより高くなると、モータの引きずり抵抗が大きくなってしまうという問題がある。
具体的に、図6に示すようにモータ部20と減速部40とを同軸状に設けた駆動ユニット8において、モータ部20が作動していないときの潤滑油のレベル(以下、「静的な油浴レベル」と呼ぶ。)L2は、モータ部20が作動している間の潤滑油のレベル(以下、「動的な油浴レベル」と呼ぶ。)L1よりも高くなる。静的な油浴レベルL2の状態では、ステータ21とロータ22との間隙G(以下、「モータギャップ」と呼ぶ。)が静的な油浴レベルL2より低く、ロータ22が潤滑油中に部分的に浸かることになる。このため、ロータ22の回転時における引きずり抵抗(ロータ22が潤滑油に抗して回転する際の抵抗)が大きくなり、モータの作動効率が下がるなどの問題がある。
このため、モータ作動中に何らかの手法により減速部40の上部などに設けたオイルタンクへ潤滑油を移動させて動的な油浴レベルを低下させることが要求される。
この点、本発明の駆動ユニット8は、前述のように第1プラネタリギヤ41側にリングギヤを備えず、ピニオンギヤ部41pが最外周に存在するため、潤滑油を上部のオイルタンクへ移動させることが難しい。この点を図7を参照して詳しく説明する。例えば減速部のギヤトレーンにおいてヘリカルギヤ210が存在する場合、図7(a)に模式的に示すように、ヘリカルギヤ210の回転により潤滑油が減速機の上部に設けられたオイルタンク212に掻き揚げられやすくなる。これに対し、図7(b)に模式的に示すように、前述のギヤトレーンの第1例の如く最外周にリングギヤが無く、代わりにピニオンギヤ214が存在する場合には、潤滑油を十分に上方へ掻き揚げることができず、むしろピニオンギヤ214がサンギヤと逆回転するために、潤滑油の主たる流れを弱めることになる。
そこで、本実施例では、潤滑油の掻き揚げリング55を連結キャリア部44に固定し、潤滑油を減速部40の上部に設けたオイルタンク60へ導くこととした。具体的には、図6に示すように、連結キャリア部44に対して第2実施例と同様に整流リング50を設け、その整流リング50の外周に複数の羽根型の掻き揚げ部材54を設けた。即ち、第2実施例における整流リング50に複数の掻き揚げ部材54を設けたものを掻き揚げリング55として使用する。これにより、連結キャリア部44の回転に従って掻き揚げリング55が回転し、その掻き揚げ部材54により潤滑油を減速部40の上部に設けられたオイルタンク60へ移動させ、ロータ22の引きずり抵抗を低下させる。
図8に掻き揚げリング55の例を示す。図8(a)は整流リング50の側面に円周状に掻き揚げ部材54を設けた掻き揚げリング55aを示し、図6に図示したものに対応する。一方、図8(b)は他の例として、整流リング50の外周面上に円周状に複数の掻き揚げ部材54を設けた掻き揚げリング55bを示す。
なお、掻き揚げリング55としていずれの構造を採用するかは、駆動ユニット8を構成するモータ部20と減速部40のサイズなどを考慮して決定される。例えば、図6に示す例では、掻き揚げリング55を構成する整流リング50の径がモータ部20の径と同等であるので、図8(a)に示す掻き揚げリング55aを使用すればよい。一方、整流リング50の径に対してモータ部20の径が大きい場合には、相対的にロータ22の位置が下がり、静的な油浴レベルL2自体が低下することになる。その場合には、図8(b)に示すように、整流リング50の外周に掻き揚げ用部材54が設けられた掻き揚げリング55bを使用し、より下方から潤滑油を掻き揚げるようにすることが好ましい。
以上説明したように、本実施例では、モータ部20及び減速部40の上部にオイルタンク60を設けるとともに、ギヤトレーンの連結キャリア部44に掻き揚げリング55を固定する。連結キャリア部44の回転に伴って掻き揚げ用部材54が減速部40底部の潤滑油を掻き揚げてオイルタンク60へ移動させることにより、動的な油浴レベルL2を低下させてロータ22の引きずり抵抗を低下させることができる。また、第2実施例における整流リング50に複数の掻き揚げ用部材54を設けて掻き揚げリング55を構成することにより、第2実施例のようにピニオンギヤ部41pにより生じる潤滑油の乱流の影響を除去するという効果も併せて得ることができる。
[第4実施例]
次に、本発明の第4実施例について説明する。第4実施例は、駆動ユニット8内における潤滑油の循環方法に関する。なお、本実施例においては、減速部40内のギヤトレーンは第1実施例において述べた第1例であっても、第2例であってもよい。
本発明のように、モータ部と減速部を備える駆動ユニットにおいては、モータ部のロータシャフト用ベアリングや、プラネタリギヤを用いた減速部のピニオンへの潤滑油の供給が難しい。このため、専用のオイルポンプを使用する方法も知られているが、駆動装置全体が大型化してしまう、コストが増加するなどの問題がある。
本実施例では、専用のオイルポンプを設けることなく、ロータシャフトの回転による遠心力を利用して潤滑油をモータ部内及び減速部内の各部へ供給する方法を採る。
図10に、本実施例による潤滑方法を採用する駆動ユニット8の構成を模式的に示す。モータ部20及び減速部40の基本的構成は第1乃至第3実施例と同様である。図示のように、駆動ユニット8内には、モータ部20と減速部40の上部にまたがってオイルタンク60が設けられている。また、オイルタンク60の端部には穴61が設けられ、当該穴61を上下方向に貫通するように油路62が設けられる。油路62はロータシャフト23の高さからオイルタンク60の高さまで垂直方向に延びている。また、ロータシャフト23は中空に構成され、内部を潤滑油が通過可能となっている。
ロータシャフト23の周辺には、ロータシャフト23用ベアリング70、71が設けられている。また、減速部40内には、プラネタリキャリア用ベアリング72が設けられている。これらのベアリングは潤滑の対象となる。
次に、潤滑油の循環経路について説明する。オイルタンク60内に溜まった潤滑油は、重力により穴61から油路62を通って中空のロータシャフト23内へ移動する。ロータシャフト23には、ベアリング70に対応する位置に切欠き80が設けられており、また、ベアリング71及び72の近傍にも切欠き81が設けられている。油路62を通って中空のロータシャフト23内に至った潤滑油は、ロータシャフトの高速回転により生じる遠心力によって、切欠き80及び81から外部へ噴出する。切欠き80から噴出した潤滑油がロータシャフト用ベアリング70を潤滑する。また、切欠き81から噴出した潤滑油は破線矢印に従って減速部40のステップドピニオンギヤ45方向へ導かれる。こうして、ロータシャフト用ベアリング71、プラネタリキャリア用ベアリング72及びステップドピニオン45の潤滑が行われる。切欠き81から噴出した潤滑油はステップドピニオン45などの潤滑に利用された後、減速部40の底部に溜まり、それを掻き揚げリング55がオイルタンク60へ供給する。こうして、モータ部及び減速部内の潤滑が行われる。
以上のように、本実施例によれば、駆動ユニット8の内の潤滑油を掻き揚げリング55により上部のオイルタンク60に集め、そこから重力を利用して中空のロータシャフト23内へ導く。そして、最も高速で回転するロータシャフト23の遠心力を利用し、ロータシャフト23に設けられた切欠きから潤滑油を必要な部分に噴出することにより潤滑を行う。よって、モータ部動作時のロータシャフトの回転による遠心力を利用して潤滑油を必要な部位に供給するので、専用のオイルポンプなどが不要となり、低コストで効果的に潤滑を行うことができる。
[第5実施例]
次に、本発明の第5実施例について説明する。第5実施例は第4実施例における潤滑油の循環構造を利用する場合において、ピニオンギヤに効果的に潤滑油を供給するための構造に関する。
図9に中空ロータシャフト23の減速部40側の端部からステップドピニオンギヤ45部分の断面図を示す。図示のように、ステップドピニオンギヤ45の中心部分をピニオンシャフト48が貫いている。ピニオンシャフト48は中空構造を有し、内部の油路48aを潤滑油が流動可能になっている。ステップドピニオンギヤ45は連結キャリア部44により回転可能に保持されている。なお、ステップドピニオンギヤ45の第1ピニオンギヤ部41pを覆うように掻き揚げリング55が設けられており、掻き揚げリング55の側面には掻き揚げ部材54が設けられている。
中空のロータシャフト23内を図中右方向へ移動した潤滑油は、ロータシャフト23の回転による遠心力により切欠き81から図中上方の潤滑油保持部94へ送られる。潤滑油保持部94は、主に減速部40のケーシング49の内壁49aと、プラネタリキャリア用ベアリング72と、連結キャリア部44と、ステップドピニオンギヤ45のピニオンギヤ部41pの端面45aとにより形成される。潤滑油は、この潤滑油保持部94を破線矢印90に沿って図中上方へ移動し、連結キャリア部44に設けられた導入油路91を通ってピニオンシャフト48内部の油路48aへ移動する。そして、ピニオンシャフト48に設けられた切欠き48bを介してピニオンシャフト48とステップドピニオンギヤ45のピニオンシャフト用貫通穴との間隙93に入り込み、ピニオンシャフト48の回転時の潤滑を行う。
潤滑油保持部94において、連結キャリア部44にはステップドピニオンギヤ45の端面45aと略平行に膜構造92が形成されている。なお、膜構造92は連結キャリア部44の周方向に連続的に形成される。膜構造92は連結キャリア部44と同一の金属材料などにより、連結キャリア部44と一体成形することができる。この膜構造92は、破線矢印90に沿って潤滑油保持部94内に入り込んだ潤滑油を上方の導入油路91の方向へ案内し、潤滑油保持部94内に入り込んだ潤滑油がステップドピニオンギヤ45の端面45a側へ流れ出ることを抑制する。これにより、潤滑油保持部94内に入り込んだ潤滑油の大部分をステップドピニオンギヤ45の潤滑に利用することが可能となる。
また、プラネタリキャリア用ベアリング72は、図中左側の端面にZ板72aを備える。Z板72aは、ベアリング72内部に供給された潤滑油が図中の左方向へ流れ出ることを防止し、潤滑油保持部94内に入り込んだ潤滑油を効率的に導入油路91へ案内する。即ち、潤滑油保持部94は、図中左側への潤滑油の流れをベアリング72のZ板72aにより抑制し、図中右側への潤滑油の流れを膜構造92により抑制することにより、ロータシャフト23から噴出された潤滑油が上方の導入油路91方向へ導かれるように構成されている。
さらに、本実施例では、導入油路91の入口近傍における連結キャリア部44の形状を導入油路91の入口に向かってテーパー状とすることで、潤滑油がより円滑に導入油路91へ案内されるように構成する。この部分の形状を図11に模式的に示す。図11(a)及び(b)は導入油路91への入口近傍領域99における連結キャリア部44の形状例をそれぞれ示す。図11(a)及び(b)はいずれも図10中の切断面X−Xにおける断面に対応するものである。
図11(a)は連結キャリア部44の導入油路91への入口近傍領域99を曲線的な輪郭を有するように形成した例を示し、図11(b)は直線的な輪郭を有するように形成した例を示す。いずれの場合も、ロータシャフト23の内部から潤滑油保持部94へ導入された潤滑油は、ロータシャフト23の遠心力により矢印の方向に移動し、テーパー状に形成された入口近傍領域99を通じて円滑に導入油路91へ導入され、ピニオンシャフト48内の油路48aへと供給される。
以上のように、本実施例では、連結キャリア部44に膜構造92を設けるとともにプラネタリキャリア用ベアリング72にZ板72aを設けてロータシャフト23から潤滑油保持部94内へ入り込んだ潤滑油を無駄なく導入油路91方向へ案内している。また、潤滑油保持部94の導入油路91への入口近傍領域99をテーパー状に形成することで、潤滑油が導入油路91内へ円滑に導入されるようにしている。こうして、遠心力により潤滑油保持部94へ導入された潤滑油を効果的にステップドピニオンギヤ45の潤滑に利用できるようにしている。
以上説明したように、上記実施例の電動式駆動装置は、モータ部と減速部とを同軸に、かつ、ほぼ車軸上に配置するので、ドライブシャフト、アクスルシャフトが通るためにスペースに比較的余裕のある車軸上に配置することが可能となる。また、重量の重いモータ部を車両の中心側に配置し、減速部を車輪側に配置することにより、車両に対する駆動装置の取付部を小型化することが可能となる。さらに、ステップドピニオン式プラネタリギヤを利用したギヤトレーンを使用することにより、減速部全体を小型化、軽量化しつつ、所望の高減速比を得ることが可能となる。
なお、上述した第1乃至第5実施例による電動式駆動装置は、図1に示す車両100の例ではFR車両の前輪側に設けているが、逆にFF車両の後輪側に設けることも可能である。
[第6実施例]
次に、本発明の第6実施例について説明する。上記の第1乃至第5実施例は本発明の電動式駆動装置を図1に示す駆動ユニットに適用した例であったが、第6実施例は本発明の電動式駆動装置をインホイールタイプの駆動ユニットとして構成した例である。
図12(a)に第6実施例に係る駆動ユニット108の概略構成を示す。図示のように、駆動ユニット108はホイール内部に組み込まれる。上述の実施例と同様に、駆動ユニット108は主としてモータ部110と減速部112を備える。ここで、モータ部110及び減速部112は基本的に第1乃至第5実施例に係るモータ部20及び減速部40と同様の構成とすることができる。図12(a)においては、図2(a)と同様に、ギヤトレーンの第1例を採用した減速部112の構成を図示している。
図12(a)に示すように、モータ部110はホイール130のリム131内に収容されている。リム131には、ハブベアリング126を介して、駆動ユニット108の出力軸109が結合している。モータ部110の外周には、ブレーキユニット120が設けられている。ブレーキユニット120は、モータ部110のケースに結合された一対のブレーキパット121間に、ホイール130のリム131に結合したディスク111が配置されて構成される。
駆動ユニット108は、懸架装置により図示しないボディに懸架されている。減速部112のケースには、図示しないボディに固定されたアッパーアーム114と、図示しないサブフレームに固定されたロアアーム116とが結合している
以上の構成において、モータ部110内のロータシャフト123の回転は減速部112のサンギヤ141Sに伝達され、さらにステップドピニオンギヤ145を介して連結キャリア部144に伝達される。連結キャリヤ部144の回転は出力軸109に伝達され、ハブベアリング126を介してホイール130のリム131に伝達される。こうして、モータ部110内のロータ122の回転により、ホイール130の回転が得られる。
図12(a)に示すインホイールタイプの駆動ユニット108では、減速部112より大きいモータ部110をホイール130の内部に収容する構造であるため、駆動ユニット108のホイール130外部に位置する部分を小さくすることができる。駆動ユニット108は懸架装置によりボディに懸架されるため、ホイール130外部に位置する部分を小さくすることにより、懸架装置のショックアブゾーバを駆動ユニット108に近接して設けることができ、ショックアブゾーバを小型化できるなどの利点がある。
図12(b)は、インホイールタイプの駆動ユニットの他の例を示す。この駆動ユニット128は、図12(a)の駆動ユニット108とは逆に、ホイール130の内部に減速部112を設け、その外側にモータ部110を設けて構成される。ホイール130、ブレーキユニット120及び懸架装置によるボディへの懸架構造などは図12(a)の例と基本的に同様である。
モータ部110のロータ122の回転は、減速部112のギヤトレーンのサンギヤ141S、ステップドピニオンギヤ145、連結キャリヤ部144、出力軸109と伝達される。出力軸109の回転は、ハブベアリング126を介してホイール130のリム131に伝達される。こうして、ロータ122の回転により、ホイール130の回転が得られる。
図12(b)に示すインホイールタイプの駆動ユニット128では、ブレーキユニット120がモータ部110ではなく、減速部112の外周近傍に設けられる。よって、ブレーキユニット120が発生する熱がモータ部110へ伝わりにくいという利点がある。
さらに、本実施例に係るインホイールタイプの駆動ユニットでは、第2及び第3実施例と同様に、整流リング及び潤滑油の掻き揚げリングを設けることができる。図13は、図12(a)に示したインホイールタイプの駆動ユニット108に対して、整流リング150及び掻き揚げ部材154を設けた例を示す。図示のように、減速部112内の連結キャリア部144に整流リング150を設けるとともに、整流リング150に潤滑油の掻き揚げ部材154を設けて掻き揚げリングとしての機能を持たせている。掻き揚げ部材154は、連結キャリア部144の回転に伴って、潤滑油をオイルタンク160へ掻き揚げる。これにより、モータ部110及び減速部112内の潤滑を円滑に行うことができる。
本発明による電動式駆動装置を搭載する車両の構成を示す図である。 駆動ユニットの減速部を構成するギヤトレーンの第1例を示す図である。 ステップドピニオンギヤの構成を示す図である。 駆動ユニットの減速部を構成するギヤトレーンの第2例を示す図である。 第2実施例にかかる駆動ユニットの構成及び整流リングの例を示す図である。 第3実施例にかかる駆動ユニットの構成を示す図である。 減速部を構成するギヤによる潤滑油の掻き揚げ状態を説明する図である。 掻き揚げリングの例を示す図である。 第4実施例にかかる駆動ユニットの構成を示す図である。 第5実施例にかかる駆動ユニットのピニオンギヤ近傍の構造を示す断面図である。 図10に示す潤滑油保持部の構造を模式的に示す図である。 第6実施例にかかるインホイールタイプの駆動ユニットの構成を示す図である。 整流リング及び潤滑油の掻き揚げ部材を設けたインホイールタイプの駆動ユニットの構成例を示す図である。
符号の説明
1 エンジン
8 駆動ユニット
20 モータ部
21 ステータ
22 ロータ
23 モータシャフト
40 減速部
44 連結キャリア部
45 ステップドピニオンギヤ
47 ドライブシャフト
50 整流リング
55 掻き揚げリング
60 オイルタンク
94 潤滑油保持部

Claims (12)

  1. エンジンの両側に設けられ、各々独立に作動する電動機と、
    前記電動機の回転を車輪に伝達する減速機と、
    整流リングと、を備え、
    前記減速機は、前記電動機の回転軸及び前記車輪と同軸に配置され、
    前記減速機はステップドピニオン式プラネタリギヤを備え、
    前記減速機は、
    前記電動機の回転軸に連結されたサンギヤと、
    前記サンギヤと噛み合うステップドピニオンギヤと、
    前記ステップドピニオンギヤと噛み合い、かつ、前記減速機に固定されたリングギヤと、
    前記ステップドピニオンギヤを回転可能に保持し、かつ、前記車輪に連結されたキャリア部と、を備え、
    前記整流リングは前記ステップドピニオンギヤの外周を覆っていることを特徴とする電動式駆動装置。
  2. 前記電動機は、前記エンジンのエンジンマウントより車両の前方側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電動式駆動装置。
  3. 前記減速機は、
    前記電動機の回転軸に連結された第1のサンギヤと、
    前記サンギヤと噛み合うステップドピニオンギヤと、
    前記ステップドピニオンギヤを回転可能に保持し、かつ、前記減速機に固定されたキャリア部と、
    前記ステップドピニオンギヤと噛み合い、かつ、前記車両の車輪に連結された第2のサンギヤと、を備えることを特徴とする請求項1に記載の電動式駆動装置。
  4. 前記整流リングは前記キャリア部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電動式駆動装置。
  5. 前記減速機に取り付けられた潤滑油のタンクを備え、
    前記整流リングはその外周に潤滑油を前記タンクへ掻き揚げるための掻き揚げ部材を備えることを特徴とする請求項1又は4に記載の電動式駆動装置。
  6. 前記掻き揚げ部材は、前記整流リングの外周上に設けられることを特徴とする請求項5に記載の電動式駆動装置。
  7. 前記掻き揚げ部材は、前記整流リングの前記電動機側の側面上に設けられることを特徴とする請求項5に記載の電動式駆動装置。
  8. 前記電動機の回転軸は、潤滑油の油路として機能する中空構造を有することを特徴とする請求項1に記載の電動式駆動装置。
  9. 前記電動機の回転軸は、回転の遠心力により内部の潤滑油を噴出するための切欠きを備えることを特徴とする請求項8に記載の電動式駆動装置。
  10. 前記減速機に取り付けられた潤滑油のタンクと、前記タンク内の潤滑油を前記電動機の回転軸内部へ案内する油路と、を備えることを特徴とする請求項8又は9に記載の電動式駆動装置。
  11. エンジンの両側に設けられ、各々独立に作動する電動機と、
    前記電動機の回転を車輪に伝達する減速機と、を備え、
    前記減速機は、前記電動機の回転軸及び前記車輪と同軸に配置され、
    前記減速機はステップドピニオン式プラネタリギヤを備え、
    前記電動機の回転軸は、潤滑油の油路として機能する中空構造を有し、
    前記電動機の回転軸は、回転の遠心力により内部の潤滑油を噴出するための切欠きを備え、
    前記減速機は前記切欠きから噴出した潤滑油を保持し、前記ステップドピニオンギヤへ送るための潤滑油保持部を備え、
    前記潤滑油保持部は、前記キャリア部と、前記キャリア用のベアリングに設けられた板状部材と、前記キャリア部に設けられた膜構造とにより構成されることを特徴とする電動式駆動装置。
  12. 前記キャリア部は、前記潤滑油保持部内における前記ステップドピニオンギヤへの潤滑油の入口部分にテーパー部を有することを特徴とする請求項11に記載の電動式駆動装置。
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