JP2021095952A - 動力伝達装置の潤滑構造 - Google Patents

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Toshio Hiyoshi
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Abstract

【課題】オイルポンプを用いることなく低損失で遊星ギヤ減速機の潤滑を行うことができる動力伝達装置の潤滑構造を提供する。【解決手段】ケース4内に大小異径の第1ピニオンギヤ22と第2ピニオンギヤ27を同軸上に一体的に配置するとともに、第1ピニオンギヤ22がケース4の内周に固設されたリングギヤ28に噛合する遊星ギヤ減速機20を備える動力伝達装置の潤滑構造を、ケース4の上部内周に沿って貯留タンク50を配置し、第1ピニオンギヤ22を回転可能に支持するキャリア24とこれに対向するケース4の縦壁6との間に攪拌室Sを形成し、キャリア24の外周部に複数の攪拌翼29を形成し、攪拌室Sに開口する吸入口30を縦壁6の下部に形成し、キャリア24と共に回転する攪拌翼29によって攪拌室S内で掻き揚げられるオイルを貯留タンク50へと導くオイル導入構造を縦壁6の上部に設けて構成する。【選択図】図2

Description

本発明は、動力伝達装置の潤滑構造に関し、より詳細には、動力伝達装置が備える遊星ギヤ減速機を潤滑する潤滑構造に関する。
例えば、電動モータを駆動源とする車両においては、電動モータの回転を減速して左右の車軸に伝達する遊星ギヤ減速機を備える動力伝達装置が設けられている。このような動力伝達装置においては、各摺動部や軸受などに潤滑用のオイルが供給されるが、このオイルを供給するためのオイルポンプを設けると、このオイルポンプを駆動するための動力分だけ駆動輪に伝達される動力に損失が生じるという問題が発生する。
そこで、オイルポンプを使用することなく各部の潤滑を行うために、ケース内の底部に貯留されているオイルをギヤによって攪拌する構成が考えられる。例えば、特許文献1には、大小異径の第1ピニオンギヤと第2ピニオンギヤを同軸上に一体的に配置して成るステップドピニオン型の遊星ギヤ減速機において、大径側の第1ピニオンギヤ側にキャリア固定の掻き揚げリングを取り付け、この掻き揚げリングによって掻き揚げられたオイルを貯留タンクへと移動させて動的な油浴レベルを下げることによって、電動モータのロータの引き摺り抵抗を小さく抑える提案がなされている。
特開2005−008143号公報
しかしながら、ステップドピニオン型の遊星ギヤ減速機には、第1ピニオンギヤがケースの内周に固設されたリングギヤに噛合するタイプのものがあり、このようなタイプのステップトピニオン型遊星ギヤ減速機においては、各部の潤滑のために第1ピニオンギヤによってオイルを攪拌したり、特許文献1において提案された構造を採用することができない。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、第1ピニオンギヤがケースの内周に固設されたリングギヤに噛合するタイプの遊星ギヤ減速機であっても、オイルポンプを用いることなく低損失でオイルによる各部の潤滑を行うことができる動力伝達装置の潤滑構造を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明は、ケース(4)内に大小異径の第1ピニオンギヤ(22)と第2ピニオンギヤ(27)を同軸上に一体的に配置するとともに、前記第1ピニオンギヤ(22)が前記ケース(4)の内周に固設されたリングギヤ(28)に噛合する遊星ギヤ減速機(20)を備える動力伝達装置の潤滑構造であって、前記ケース(4)の上部内周に沿って貯留タンク(50)を配置し、前記第1ピニオンギヤ(22)を回転可能に支持するキャリア(24)とこれに対向する前記ケース(4)の縦壁(6)との間に攪拌室(S)を形成し、前記キャリア(24)の前記攪拌室(S)に臨む軸方向端面の外周部に複数の攪拌翼(29)を形成し、前記攪拌室(S)に開口する吸入口(30)を前記縦壁(6)の下部に形成し、前記キャリア(24)と共に回転する前記攪拌翼(29)によって前記攪拌室(S)内で掻き揚げられるオイルを前記貯留タンク(50)へと導くオイル導入構造を前記縦壁(6)の上部に設けて構成したことを特徴とする。
本発明によれば、キャリアに攪拌翼を形成し、この攪拌翼の回転によってオイルを攪拌室で攪拌して掻き揚げ、掻き揚げられたオイルの遠心方向の流れをオイル導入構造によって貯留タンクへと導いて該貯留タンクに貯留し、オイルタンクに貯留されたオイルを軸受などの摺動部に供給して該摺動部の潤滑に供するようにしたため、第1ピニオンギヤがギヤケースの内周に固設されたリングギヤに噛合する遊星ギヤ減速機であっても、オイルポンプを用いることなく低損失でオイルによる各部の潤滑を行うことができる。
また、ケース内の底部に貯留されているオイルの一部が貯留タンクに溜められるため、ケース内の動的な油浴レベルを下げることができ、回転部材の引き摺り抵抗を小さく抑えルことができる。
ここで、前記オイル導入構造は、前記キャリア(24)の正転時に前記攪拌翼(29)によって前記攪拌室(S)内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れを軸方向の流れに変えて前記貯留タンク(50)へと導くスロープ(6b)を前記縦壁(6)の前記攪拌室(S)に臨む軸方向端面の上部に設けることによって構成されるものであってもよい。
上記オイル導入構造によれば、キャリアの正転時に攪拌翼によって攪拌室内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れがスロープによって軸方向の流れに変えられて貯留タンクへと導かれるため、キャリアの正転時に貯留タンクにオイルを効率よく溜めることができる。
また、前記オイル導入構造は、前記キャリア(24)の逆転時に前記攪拌翼(29)によって前記攪拌室(S)内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れをキャッチして前記貯留タンク(50)のオイル導入通路へと導くためのノズル部(50a)を前記貯留タンク(50)に形成することによって構成されるものであってもよい。
上記オイル導入構造によれば、キャリアの逆転時に攪拌翼によって攪拌室内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れが貯留タンクのノズル部によってキャッチされて該貯留タンクのオイル導入通路へと導かれるため、キャリアの逆転時に貯留タンクにオイルを効率よく溜めることができる。
さらに、前記キャリア(24)の前記攪拌室(S)に臨む軸方向端面の前記攪拌翼(29)よりも内周側に、内周部が開口するリング状のオイルガイドプレート(31)を取り付け、前記縦壁(6)の前記攪拌室(S)に臨む軸方向端面の前記オイルガイドプレート(31)よりも径方向内側の下半部に、当該縦壁(6)を略水平に横切るオイルガータ(32)を形成してもよい。
上記構成によれば、貯留タンクに流入せずに攪拌室内を落下するオイルは、オイルガータ(32)によって受けられてオイルガイドプレート(31)へ導かれ、オイルガイドプレート(31)の回転によって、遠心力によりオイルガイドプレート(31)の内周に溜められたオイルは、ピニオンシャフト(23)の中心に開けられた穴を経由して、ピニオンシャフト外周方向の穴に導かれ、ニードルベアリング(26)を潤滑することができる。
また、前記縦壁(6)の外周に、前記キャリア(24)に向かって一体に突出する円筒状のリブ(6A)を一体に突設し、該リブ(6A)の径方向内側に前記攪拌室(S)を形成するとともに、前記オイルガータ(32)を前記リブ(6A)の間に架設してもよい。
上記構成によれば、オイルガータを縦壁に形成されたリブを利用して該縦壁に容易に架設することができる。
本発明によれば、第1ピニオンギヤがケースの内周に固設されたリングギヤに噛合するタイプの遊星ギヤ減速機であっても、オイルポンプを用いることなく低損失でオイルによる各部の潤滑を行うことができるという効果が得られる。
本発明に係る潤滑構造を備える遊星ギヤ減速機が設けられた車両用の動力伝達装置要部の縦断面図である。 図1のA部拡大詳細図である。 遊星ギヤ減速機の斜視図である。 キャリアの正転時にオイルが掻き揚げられる様子を示すために隔壁をギヤ室側から見た斜視図である。 図4のB部拡大詳細図である。 キャリアの正転時にオイルが貯留タンクへと流入する様子と貯留タンクからオイルが各部に供給される様子を示す斜視図である。 キャリアの逆転時にオイルが掻き揚げられる様子を示すために隔壁をギヤ室側から見た斜視図である。 図7のC部における貯留タンクへのオイルの流入を示すための拡大詳細図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
[車両用動力伝達装置]
まず、本発明に係る潤滑構造を備えた遊星ギヤ減速機が設けられた車両用の動力伝達装置の構成を図1および図2に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る潤滑構造を備える遊星ギヤ減速機が設けられた車両用の動力伝達装置要部の縦断面図、図2は図1のA部拡大詳細図である。図1に示す車両用の動力伝達装置1においては、筒状のモータケース2内のモータ室S1に駆動源である電動モータ3が収容されている。そして、モータケース2の軸方向一端(図1の右端)には、筒状のギヤケース4が複数本のボルト5(図1には1本のみ図示)によって取り付けられており、このギヤケース4内のギヤ室S2には、ステップドピニオン型の遊星ギヤ減速機20が収容されている。ここで、互いに連結されて車幅方向(図1の左右方向)に配置されたモータケース2とギヤケース4の内部は、円環状の縦壁(以下、「隔壁」と称す)6によってモータ室S1とギヤ室S2とに区画されている。なお、隔壁6は、複数本のボルト7(図1には1本のみ図示)によってモータケース2に取り付けられている。
ところで、前記電動モータ3は、三相のブラシレスモータであって、モータケース2の内周面に固定されたリング状のステータ3Aと、このステータ3Aの内部に回転可能に収容されたロータ3Bを備えている。なお、ステータ3Bには三相分のコイル3Cが巻装されており、ロータ3Bには複数の不図示の永久磁石が内蔵されている。
そして、電動モータ3のロータ3Bの軸中心には、車幅方向に延びる左右2本の車軸8L,8Rのうちの一方(図1の左側)の車軸8Lが回転可能に挿通しており、この車軸8Lの外周には、電動モータ3の中空の出力軸(モータ軸)9が相対回転可能に外嵌されている。ここで、出力軸(モータ軸)9は、その軸方向両端部が軸受(ボールベアリング)10,11によってモータケース2と隔壁6にそれぞれ回転可能に支持されており、ロータ3Bの軸中心に挿通嵌着されて該ロータ3Bと共に一体に回転する。なお、左右の車軸8L,8Rの各軸方向外端部には、不図示の駆動輪がそれぞれ取り付けられている。また、左側の車軸8Lは、軸受(ボールベアリング)12によってモータケース2に回転可能に支持されている。
また、遊星ギヤ減速機20は、電動モータ3の出力軸(モータ軸)9の軸方向一端(図1及び図2の右端部)外周に一体に形成されたサンギヤ21と、該サンギヤ21に噛合する複数(通常は3つ)の第1ピニオンギヤ22と、これらの第1ピニオンギヤ22をピニオン軸23を介して回転可能に支持するキャリア24を備えている。
ここで、各ピニオン軸23には、スリーブ25が複数の軸受(ニードルベアリング)26によってそれぞれ回転可能に支持されており、各スリーブ25の軸方向一端(図1及び図2の左端)に前記第1ピニオンギヤ22が一体に形成され、或いは一体的に嵌着されている。そして、各スリーブ25の軸方向他端(図1及び図2の右端)には、第1ピニオンギヤ22よりも小径の第2ピニオンギヤ27がそれぞれ第1ピニオンギヤ22に隣接して一体に形成されている。このように、この遊星ギヤ減速機20においては、大小異径の複数(3つ)の第1ピニオンギヤ22と第2ピニオンギヤ27が同軸上に一体的に配置されている。
また、この遊星ギヤ減速機20においては、複数の第1ピニオンギヤ22は、ギヤケース4の内周に固設された大径のリングギヤ28にそれぞれ噛合している。
ところで、ギヤケース4内のギヤ室S2にはディファレンシャル装置(差動装置)40が収容されている。このディファレンシャル装置40は、その左右が軸受(ボールベアリング)13,14によってギヤケース4に回転可能に支持されたディファレンシャルケース41を備えている。なお、ディファレンシャル装置40の構成は公知であるため、その詳細な説明は省略するが、左右の車軸8L,8Rは、ディファレンシャルケース41の内部で互いに噛合する不図示のピニオンギヤとサイドギヤを介して互いに連結されている。
そして、ディファレンシャルケース41には、大径のリングギヤ42が形成されており、このリングギヤ42には、ピニオン軸23によってキャリア24に回転可能に支持された複数(3つ)の第2ピニオンギヤ27がそれぞれ噛合している。ここで、キャリア24は、その左右が軸受(ボールベアリング)15,16によって隔壁6とディファレンシャルケース41にそれぞれ回転可能に支持されている。
以上のように構成された動力伝達装置1において、不図示のバッテリから電動モータ3のステータ3Aに巻装されたコイル3Cに通電されて該電動モータ3が起動されると、コイル3Cに流れる電流の電磁誘導作用によってロータ3Bが出力軸(ロータ軸)9と共に所定の速度で回転する。すると、この出力軸(モータ軸)9の回転は、サンギヤ21から複数の第1ピニオンギヤ22へと伝達され、各第1ピニオンギヤ22と各第2ピニオンギヤ27が各ピニオン軸23を中心としてそれぞれ自転しながら公転する。
上述のように第1ピニオンギヤ22と第2ピニオンギヤ27が公転すると、キャリア24が減速された状態で回転するとともに、第2ピニオンギヤ27の自転によってディファレンシャル装置40のディファレンシャルケース41が減速状態で回転し、電動モータ3の動力がディファレンシャル装置40によって左右の車軸8L,8Rに分配されて伝達される。すると、左右の車軸8L,8Rとこれらの車軸8L,8Rの軸方向外端部にそれぞれ取り付けられた不図示の駆動輪が回転駆動されて車両が走行する。
ここで、車両が直進走行する場合には、左右の駆動輪が路面から受ける抵抗が等しいため、電動モータ3の動力がディファレンシャル装置40によって均等に分配されて左右の車軸8L,8Rへと伝達される。このため、左右の駆動輪が同速度で回転して車両が直進走行する。
これに対して、車両が旋回するコーナリング時においては、左右の駆動輪が路面から受ける抵抗に差(左右の駆動輪の移動距離に差)が発生するため、ディファレンシャル装置40によって一方(コーナーの外側)の駆動輪が他方(コーナーの内側)の駆動輪よりも速く回転するよう動力が配分されて車両のコーナリングがスムーズに行われる。
[動力伝達装置の潤滑構造]
次に、以上説明した動力伝達装置1の潤滑構造を、図3〜図8を参照しながら以下に説明する。
図3は遊星ギヤ減速機の斜視図、図4はキャリアの正転時にオイルが掻き揚げられる様子を示すために隔壁をギヤ室側から見た斜視図、図5は図4のB部拡大詳細図、図6はキャリアの正転時にオイルが貯留タンクへと流入する様子と貯留タンクからオイルが各部に供給される様子を示す斜視図、図7はキャリアの逆転時にオイルが掻き揚げられる様子を示すために隔壁をギヤ室側から見た斜視図、図8は図7のC部における貯留タンクへのオイルの流入を示すための拡大詳細図である。
図1に示す動力伝達装置1においては、図2に詳細に示すように、キャリア24とこれに対向する隔壁6との間には、環状空間である攪拌室Sが形成されている。具体的には、隔壁6のギヤ室S2に臨む軸方向端面(図1及び図2の右端面)の外周付近には、キャリア24側(図1及び図2の右側)に向かって水平に突出する円筒状のリブ6Aが一体に突設されており、このリブ6Aの径方向内側に前記攪拌室Sが形成されている。
そして、キャリア24の攪拌室Sに臨む軸方向端面(図1及び図2の左端面)の外周部には、複数の攪拌翼29が同一円周状に配列されて形成されている。また、隔壁6の下部には、図1、図2及び図4に示すように、攪拌室Sとモータ室S1とを連通させる横方向(図1および図2の紙面垂直方向)に長い長円状の吸入口30が形成されている。
また、図1〜図3に示すように、キャリア24の攪拌室Sに臨む軸方向端面(図1及び図2の左端面)の攪拌翼29よりも内周側には、内周部が開口するリング状のオイルガイドプレート31が取り付けられている。そして、図1、図2および図4に示すように、隔壁6の攪拌室Sに臨む軸方向端面(図1及び図2の右端面)のオイルガイドプレート31よりも内周側(図1及び図2においては上側)の下半部には、隔壁6を横方向(図1および図2の紙面垂直方向)に略水平に横切るオイルガータ32が形成されている。このオイルガータ32は、L字状に屈曲する横断面を有する部材であって、これのキャリア24側の端縁(図2の右端縁)とキャリア24の端面とで形成される隙間は、オイルガイドプレート31の開口部の上方に位置している。ここで、図4に示すように、隔壁6の外周部に一体に突設された円筒状のリブ6Aにおいては、その下半部の相対向する両側(図4の左右両側)に凹部6aがそれぞれ形成されており、これらの凹部6aにオイルガータ32の両端が固定支持されることによって、該オイルガータ32が前述のように隔壁6の下半部を横方向(図1および図2の紙面垂直方向)に略水平に横切るようにリブ6Aに架設されている。このように、オイルガータ32は、隔壁6の外周部に一体に突設されたリブ6Aを利用して該隔壁6に容易に架設することができる。
ところで、図1に示す動力伝達装置1においては、ギヤケース4内のギヤ室S2内には、図6に示すように、軸方向(車幅方向)に長い偏平な貯留タンク50がギヤケース4の上部内周に沿って配置されており、後述のようにキャリア24と共に回転する攪拌翼29によって掻き揚げられたオイルは、貯留タンク50へと導かれて該貯留タンク50に溜められ、貯留タンク50に溜められたオイルが各部に供給されて各部の潤滑に供される。なお、モータケース2内のモータ室S1の底部には、潤滑のためのオイルが貯留されている。
ここで、隔壁6の上部には、キャリア24と共に回転する攪拌翼29によって攪拌室S内で掻き揚げられるオイルを貯留タンク50へと導くオイル導入構造が設けられている。このオイル導入構造としては、キャリア24が正転するときと逆転するときにオイルをそれぞれ貯留タンク50へと導くための2種類のものがある。
すなわち、キャリア24の正転時にオイルを貯留タンク50へと導くためのオイル導入構造は、図4および図5に示すように、隔壁6の攪拌室Sに臨む軸方向端面(図4の手前側の面)の上部にスロープ6bを形成することによって構成されている。ここで、スロープ6bは、後述のように、キャリア24の正転時に攪拌翼29によって攪拌室S内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れを軸方向の流れに変えて該オイルを貯留タンク50へと導く機能を果たすものである。
これに対して、キャリア24の逆転時にオイルを貯留タンク50へと導くためのオイル導入構造は、図8に示すように、キャリア24の逆転時に攪拌翼29によって攪拌室S内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れをキャッチして貯留タンク50のオイル導入通路へと導くためのノズル部50aを貯留タンク50に形成することによって構成されている。
次に、以上のように構成された潤滑構造の作用について説明する。
電動モータ3の駆動力によって車両が前進走行する場合において遊星ギヤ減速機20のキャリア24が正転すると、このキャリア24と共に攪拌翼29が攪拌室S内で正転する。このように攪拌室S内で攪拌翼29が正転すると攪拌室S内が負圧となるため、この負圧に引かれてモータ室S1の底部に貯留されているオイルが隔壁6の下部に開口する吸入口30から攪拌室S内へと流入する。
そして、攪拌室S内へと流入したオイルは、攪拌室S内でキャリア24と共に正転する攪拌翼29によって攪拌されて掻き揚げられ、掻き揚げられたオイルは、図4に矢印にて示すように、隔壁6の攪拌室Sに臨む端面に沿って遠心方向に流れるが、このオイルの遠心方向の流れは、図5に矢印にて示すように、隔壁6の端面の上部に形成されたスロープ6bによって軸方向の流れに変えられる。このため、スロープ6bによって流れ方向が軸方向へと変えられたオイルは、図6に矢印にて示すように、貯留タンク50へと導かれて該貯留タンク50に溜められる。
ところで、貯留タンク50へと流入しないオイルは、自重によって攪拌室S内を落下するが、この落下するオイルは、オイルガータ32によって受けられる。そして、オイルガータ32によって受けられたオイルは、該オイルガータ32からオイルガイドプレート31へと落下し、オイルガイドプレート31の回転によって、遠心力によりオイルガイドプレート31の内周に溜められたオイルは、ピニオンシャフト23の中心に開けられた穴を経由して、ピニオンシャフト外周方向の穴に導かれ、ニードルベアリング26に送られる。このため、ニードルベアリング26を効率よく潤滑することができる。
他方、電動モータ3の駆動力によって車両が後進走行する場合において遊星ギヤ減速機20のキャリア24が逆転すると、このキャリア24と共に攪拌翼29が攪拌室S内で逆転する。このように攪拌室S内で攪拌翼29が逆転すると攪拌室S内が負圧となるため、この負圧に引かれてモータ室S1の底部に貯留されているオイルが隔壁6の下部に開口する吸入口30から攪拌室S内へと流入する。
そして、攪拌室S内へと流入したオイルは、攪拌室S内でキャリア24と共に逆転する攪拌翼29によって攪拌されて掻き揚げられ、掻き揚げられたオイルは、図7に矢印にて示すように、隔壁6の攪拌室Sに臨む端面に沿って正転時とは逆の遠心方向に流れるが、このオイルの遠心方向の流れは、図8に矢印にて示すように、貯留タンク50に形成されたノズル部50aによってキャッチされて貯留タンク50のオイル導入通路へと導かれるため、オイルが貯留タンク50に蓄えられる。
そして、キャリア24の逆転時においても、貯留タンク50へと流入しないオイルは、自重によって攪拌室S内を落下するが、この落下するオイルは、オイルガータ32によって受けられる。そして、オイルガータ32によって受けられたオイルは、該オイルガータ32からオイルガイドプレート31へと落下し、オイルガイドプレート31の回転によって、遠心力によりオイルガイドプレート31の内周に溜められたオイルは、ピニオンシャフト23の中心に開けられた穴を経由して、ピニオンシャフト外周方向の穴に導かれ、ニードルベアリング26に送られる。このため、キャリア24の逆転時においても、ニードルベアリング26を効率よく潤滑することができる。
以上のように、キャリア24の正転時と逆転時の何れの場合であっても、貯留タンク50にオイルが貯留されるが、この貯留タンク50に溜められたオイルは、図6に矢印にて示すように、貯留タンク50から図1に示す動力伝達装置1の摺動部、例えば、軸受10〜16などに供給されてこれらの軸受10〜16の潤滑に供される。
以上のように、本実施の形態に係る潤滑構造によれば、第1ピニオンギヤ22がギヤケース4の内周に固設されたリングギヤ28に噛合するタイプ(ステップドピニオン型)の遊星ギヤ減速機20であっても、キャリア24に攪拌翼29を形成し、この攪拌翼29の回転によってオイルを攪拌室Sで攪拌して掻き揚げ、掻き揚げられた攪拌オイルの遠心方向の流れをオイル導入構造によって貯留タンク50へと導いて該貯留タンク50に貯留し、貯留タンク50に貯留されたオイルを軸受10〜16などの摺動部に供給して該摺動部の潤滑に供するようにしたため、以下のような特有の効果が得られる。
すなわち、第1ピニオンギヤ22がギヤケース4の内周に固設されたリングギヤ28に噛合するタイプ(ステップドピニオン型)の遊星ギヤ減速機20であっても、オイルポンプを用いることなく低損失でオイルによる各部の潤滑を行うことができる。
また、貯留タンク50へと流入しないで攪拌室S内を落下するオイルは、オイルガータ32によって受けられてオイルガイドプレート31へ導かれ、オイルガイドプレート31の回転によって、遠心力によりオイルガイドプレート31の内周に溜められたオイルは、ピニオンシャフト23の中心に開けられた穴を経由して、ピニオンシャフト外周方向の穴に導かれ、ニードルベアリング26に送られる。このため、ニードルベアリング26を効率よく潤滑することができる。
さらに、電動モータ3の駆動時においては、モータ室S1内の底部に貯留されているオイルの一部が貯留タンク50に溜められるため、モータ室S1内の動的な油浴レベルを下げることができ、電動モータ3のロータ3Bの引き摺り抵抗を小さく抑えて動力伝達効率を高めることができる。
なお、以上は電動モータを駆動源とする車両(電気自動車)の動力伝達装置に備えられた遊星ギヤ減速機の潤滑構造に対して本発明を適用した形態について説明したが、本発明は、電気自動車以外の他の任意の車両の動力伝達装置に備えられた遊星ギヤ減速機、車両用の動力伝達装置以外の任意の装置に備えられた遊星ギヤ減速機に対しても同様に適用可能である。
その他、本発明は、以上説明した実施の形態に適用が限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内で種々の変形が可能である。
1 動力伝達装置
2 モータケース
3 電動モータ
4 ギヤケース
6 隔壁(縦壁)
6A 隔壁のリブ
6b スロープ(オイル導入構造)
20 遊星ギヤ減速機
22 第1ピニオンギヤ
24 キャリア
27 第2ピニオンギヤ
28 リングギヤ
29 攪拌翼
30 吸入口
31 オイルガイドプレート
32 オイルガータ
50 貯留タンク
50a 貯留タンクのノズル部
S 攪拌室
S1 モータ室
S2 ギヤ室

Claims (5)

  1. ケース内に大小異径の第1ピニオンギヤと第2ピニオンギヤを同軸上に一体的に配置するとともに、前記第1ピニオンギヤが前記ケースの内周に固設されたリングギヤに噛合する遊星ギヤ減速機を備える動力伝達装置の潤滑構造であって、
    前記ケースの上部内周に沿って貯留タンクを配置し、
    前記第1ピニオンギヤを回転可能に支持するキャリアとこれに対向する前記ケースの縦壁との間に攪拌室を形成し、
    前記キャリアの前記攪拌室に臨む軸方向端面の外周部に複数の攪拌翼を形成し、
    前記攪拌室に開口する吸入口を前記縦壁の下部に形成し、
    前記キャリアと共に回転する前記攪拌翼によって前記攪拌室内で掻き揚げられるオイルを前記貯留タンクへと導くオイル導入構造を前記縦壁の上部に設けて構成されることを特徴とする動力伝達装置の潤滑構造。
  2. 前記オイル導入構造は、前記キャリアの正転時に前記攪拌翼によって前記攪拌室内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れを軸方向の流れに変えて前記貯留タンクへと導くスロープを前記縦壁の前記攪拌室に臨む軸方向端面の上部に設けることによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置の潤滑構造。
  3. 前記オイル導入構造は、前記キャリアの逆転時に前記攪拌翼によって前記攪拌室内で掻き揚げられるオイルの遠心方向の流れをキャッチして前記貯留タンクのオイル導入通路へと導くためのノズル部を前記貯留タンクに形成することによって構成されることを特徴とする請求項1に記載の動力伝達装置の潤滑構造。
  4. 前記キャリアの前記攪拌室に臨む軸方向端面の前記攪拌翼よりも内周側に、内周部が開口するリング状のオイルガイドプレートを取り付け、
    前記縦壁の前記攪拌室に臨む軸方向端面の前記オイルガイドプレートよりも径方向内側の下半部に、当該縦壁を略水平に横切るオイルガータを形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の動力伝達装置の潤滑構造。
  5. 前記縦壁の外周に、前記キャリアに向かって一体に突出する円筒状のリブを一体に突設し、該リブの径方向内側に前記攪拌室を形成するとともに、
    前記オイルガータを前記リブの間に架設したことを特徴とする請求項4に記載の動力伝達装置の潤滑構造。
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