JP3994418B2 - イオン濃度調整方法およびイオン濃度調整装置 - Google Patents

イオン濃度調整方法およびイオン濃度調整装置 Download PDF

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Description

本発明は、イオン濃度調整方法およびイオン濃度調整装置に関する。
従来から、水溶液中のイオンを除去する方法として、イオン交換樹脂を用いた方法や、通液型コンデンサを用いた方法が提案されてきた。
通液型コンデンサ(Flow-Through Capacitor)を用いる場合、イオンを電極に吸着させることによってイオンが除去される。通液型コンデンサを用いた装置は、たとえば、米国特許第5192432号明細書、米国特許第5196115号明細書、特開平5−258992号公報、米国特許第5415768号明細書、米国特許第5620597号明細書、米国特許第5748437号明細書、特開平6−325983号公報、特開2000−91169号公報に記載されている。
上記通液型コンデンサでは、電極が配置されたコンデンサ内に、処理される液体が導入口から連続的に供給され、処理後の液体が排出口から連続的に排出される。そのため、処理される液体のイオン濃度は、導入口に近いほど高く、排出口に近いほど低い。また、電極へのイオン吸着は、導入口側から生じるため、電極のイオン吸着能力は、導入口側から徐々に低下していく。そのため、通液型コンデンサでイオンを除去する場合、電極の能力を充分に発揮させることが難しい場合があった。
このような状況において、本発明は、溶液(液体)のイオン濃度を効率よく調整できるイオン濃度調整方法およびイオン濃度調整装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、イオン濃度を調整するための本発明の方法は、(i)容器内において、水素イオンおよび水酸化物イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液に、イオンを吸着できる第1の導電性物質を含む第1のイオン吸着電極と、イオンを吸着できる第2の導電性物質を含む第2のイオン吸着電極とを浸漬させた状態で、前記第1のイオン吸着電極がアノードとなるように、前記第1のイオン吸着電極と前記第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加することによって、前記溶液中の陰イオンを前記第1のイオン吸着電極に吸着させ、前記溶液中の陽イオンを前記第2のイオン吸着電極に吸着させる工程を含む。前記(i)の工程において、前記溶液はバッチ方式で処理される。前記電圧は、前記溶液による電圧降下がないと仮定した場合に前記溶液の溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧である。
また、本発明のイオン濃度調整装置は、電圧を印加するための電源と、液体を導入および排出できる容器と、前記容器内に配置可能な第1および第2のイオン吸着電極とを含む。前記第1のイオン吸着電極は、イオンを吸着できる第1の導電性物質を含み、前記第2のイオン吸着電極は、イオンを吸着できる第2の導電性物質を含む。この装置では、(i)前記容器内において、水素イオンおよび水酸化物イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液に、前記第1および第2のイオン吸着電極を浸漬させた状態で、前記第1のイオン吸着電極がアノードとなるように、前記第1のイオン吸着電極と前記第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加することによって、前記溶液中の陰イオンを前記第1のイオン吸着電極に吸着させ、前記溶液中の陽イオンを前記第2のイオン吸着電極に吸着させる工程が行われる。前記(i)の工程において、前記溶液はバッチ方式で処理される。前記電圧は、前記溶液による電圧降下がないと仮定した場合に前記溶液の溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧である。
また、本発明では、対極を用いることによって、処理される溶液および液体のpHを調整することが可能である。また、本発明では、対極を用いることによって、電極におけるイオンの吸着量を調整でき、イオン除去率の低下を防止できる。
本発明によれば、液体のイオン濃度やpHを、小型の装置で効率よく調整できる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。また、図面を用いた説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。また、以下の説明で用いる図面は、模式的な図である。
[イオン濃度調整方法(液質調整方法)]
以下、イオン濃度を調整するための本発明の方法について説明する。この方法では、容器内に、水素イオン(H+)および水酸化物イオン(OH-)以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液が配置される。以下、この溶液を、「溶液(A)」という場合がある。溶液(A)の溶媒は、水および/または有機溶媒である。すなわち、溶液(A)は、水溶液または非水溶液(イオンを含む非水溶媒)である。水溶液の溶媒は、水であるか、または、水と有機溶媒との混合溶媒である。非水溶液の溶媒は有機溶媒である。有機溶媒としては、たとえば、エタノールなどのアルコールや、アセトンなどのケトンや、電解液に用いられる、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートおよびジメチルカーボネートが挙げられる。エタノールなどのアルコールは、工業や医療など、多分野に用いられる。アセトンなどのケトンは、研究器具の洗浄や除光液などに用いられる。
容器内に配置された溶液(A)に、イオンを吸着できる第1の導電性物質を含む第1のイオン吸着電極と、イオンを吸着できる第2の導電性物質を含む第2のイオン吸着電極とを浸漬させる。この状態で、第1のイオン吸着電極がアノードとなるように(すなわち、第2のイオン吸着電極がカソードとなるように)、第1のイオン吸着電極と第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加する。この電圧印加によって、溶液(A)中の陰イオンを第1のイオン吸着電極に吸着させ、溶液(A)中の陽イオンを第2のイオン吸着電極に吸着させる。
印加する電圧は、溶液(A)による電圧降下がないと仮定した場合に溶液(A)の溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧である。以下、溶液(A)による電圧降下がないと仮定した場合に溶液(A)の溶媒が電気分解する電圧を、「溶媒の分解電圧」という場合がある。たとえば、溶液(A)が水溶液である場合には、印加する電圧は、2ボルトよりも高い電圧である。上記の「溶媒の分解電圧」よりも高い電圧を印加した場合でも、溶液(A)の抵抗による電圧降下が充分に大きければ、溶媒が電気分解されることはない。
水溶液による電圧降下が少ない場合、2ボルトの電圧を印加すれば水の電気分解が生じる。本発明の方法では、2ボルトよりも高い電圧を印加することによって、水溶液中の陰イオンを第1のイオン吸着電極の第1の導電性物質に吸着させ、水溶液中の陽イオンを第2のイオン吸着電極の第2の導電性物質に吸着させることができる。なお、水の電気分解による影響が問題とならない限り、印加される電圧は3ボルトより高くてもよいし、5ボルトより高くてもよいし、10ボルトより高くてもよい。水の電気分解を発生させない限りは、印加電圧が高いほど、イオン除去速度が速くなる。印加する電圧は、たとえば500ボルト以下であり、通常は200ボルト以下である。
溶液(A)が非水溶液である場合、印加する電圧は、溶液(A)による電圧降下がないと仮定した場合に、溶液(A)の有機溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧である。ただし、印加される電圧は、溶媒の電気分解の実際の発生が少ない電圧以下であり、たとえば、実際に溶媒が分解することがない電圧以下であることが好ましい。溶液(A)の抵抗が大きい場合には、溶液(A)の抵抗による電圧降下が大きくなるため、溶液(A)の抵抗がないと仮定した場合の溶媒の分解電圧よりもずっと高い電圧が印加される。
本発明の方法は、イオン濃度が低い溶液(たとえば伝導度が10mS/cm未満の溶液)からイオンを除去する方法として適している。本発明の方法では、電極間の間隔を広くし、その間に多くの溶液を入れ、2ボルトよりも高い電圧を印加することによって、すみやかに溶液中のイオンを除去することが可能である。
上記のイオン吸着工程(工程(i))において、溶液(A)はバッチ方式で処理される。なお、工程(i)以外の工程における処理では、液体がバッチ方式で処理されてもよいし、通液方式で連続的に処理されてもよい。
通液型コンデンサを用いた従来の処理方法では、溶液が連続的に処理される。これに対し、本発明の方法では、イオン吸着工程(工程(i))において、溶液(A)がバッチ方式で処理される。なお、バッチ方式とは、容器内の液体の入れ替えを実質的に行うことなく、容器内の液体の処理を行うことを意味する。溶液(A)の処理が完了すると、通常、容器内の溶液(A)は排出され、容器内には他の液体が導入される。通常、処理が完了するまで容器内の溶液の追加や排出が行われないが、処理が完了するまで容器内の液体の入れ替えが実質的に行われなければバッチ方式の処理に該当する。すなわち、処理に影響しないほどの微量の溶液の追加や排出があったとしてもバッチ方式に該当する。たとえば、処理の間に、容器内の溶液の20体積%以下(たとえば10体積%以下や5体積%以下や1体積%以下)の溶液が追加および/または排出されたとしても、バッチ方式に該当するとみなせる。
溶液(A)は、水素イオン(H+)および水酸化物イオン(OH-)以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む。溶液(A)が水溶液である場合、溶液(A)は、水素イオンおよび水酸化物イオンに加えて、少なくとも1種のイオン(L)を含む。溶液(A)は、たとえば、水素イオン以外の少なくとも1種の陽イオン(L+)と、水酸化物イオン以外の少なくとも1種の陰イオン(L-)の両方を含む水溶液である。水素イオン以外の陽イオンに限定はなく、たとえば、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオンや、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属イオンや、鉄イオンなどの遷移金属イオンや、アンモニウムイオンであってもよい。また、水酸化物イオン以外の陰イオンに限定はなく、たとえば、酢酸イオンなどの有機イオンや、塩素イオン、硫酸イオン、硝酸イオンであってもよい。
工程(i)によって、溶液(A)中のイオン(L)の濃度を減少させることが可能である。ただし、イオン除去の初期の段階では、上述した「溶媒の分解電圧」よりも低い電圧を印加してもよい。たとえば、溶液(A)が水溶液である場合には、初期の段階において、2ボルト以下の電圧を印加してもよい。
以下、第1のイオン吸着電極を「第1の電極」と記載し、第2のイオン吸着電極を「第2の電極」と記載する場合がある。第1の電極がアノードとなるように(すなわち、第2の電極がカソードとなるように)、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加すると、第1の電極の第1の導電性物質の表面に正電荷が蓄積され、第2の電極の第2の導電性物質の表面に負電荷が蓄積される。その結果、第1の電極の第1の導電性物質に陰イオン(L-)が吸着され、第2の電極の第2の導電性物質に陽イオン(L+)が吸着される。
第1の電極と第2の電極との間に印加する電圧は、溶液(A)中のイオン(L)の濃度によって変えることが好ましい。溶液(A)の溶媒(水および/または有機溶媒)が電気分解されない範囲で電圧を印加することによって、効率よくイオンを除去できる。溶液(A)中のイオン(L)の濃度が小さいほど、溶液(A)による電圧降下が大きくなるため、高い電圧を印加しても溶媒の電気分解が生じない。そのため、イオンが除去されるにつれて、第1の電極と第2の電極との間に印加する電圧を高くしてもよい。第1の電極と第2の電極との間に流れる電流値が一定となるように両電極の間に電圧を印加する場合、溶液(A)中のイオン(L)の濃度が低下するに従って、第1の電極と第2の電極との間に印加される電圧が高くなる。このとき、第1および第2の電極で溶媒の電気分解が生じない範囲で電流値を設定することが好ましい。ただし、第1の電極および/または第2の電極でガスが発生するまで電圧印加を行い、ガス発生を電圧印加の停止または終了の基準としてもよい。
第1および第2の電極の形状に限定はなく、平板状の電極であってもよい。第1の電極と第2の電極との間の領域以外の領域に配置された溶液(A)のイオンは処理されにくい。そのため、溶液(A)のほとんどが第1の電極と第2の電極との間に配置されることが好ましい。たとえば、シート状の第1の電極を含む面と、シート状の第2の電極を含む面との間に、溶液(A)の70体積%以上が配置されることが好ましく、90体積%以上が配置されることがより好ましい。
1回のバッチ処理において第1の電極と第2の電極との間に配置される溶液(A)の量は、溶液(A)に含まれるイオン(L)の量と、電極のイオン吸着可能量との関係に基づいて決めることが好ましい。具体的には、第1の電極のイオン吸着可能量と第2の電極のイオン吸着可能量との合計が、溶液(A)に含まれるイオン(L)の量の0.3倍以上となるように、電極間に配置される溶液(A)の量を調整することが好ましい。上記合計がイオン(L)の0.3倍以上である場合、5回の処理によって、溶液(A)のイオン(L)の濃度を5分の1以下とすることができる。また、上記合計がイオン(L)の1倍以上である場合、理論的には、1回の処理でほとんどのイオンを除去できる。電極間に配置される溶液(A)の量は、電極間の距離を変えることによって変更できる。
第1および第2の導電性物質は、可逆的にイオンを吸着できる物質である。第1および第2の導電性物質には、比表面積が大きい物質を用いることができる。たとえば、第1および第2の導電性物質として、多孔性の物質を用いてもよい。より具体的には、第1および第2の導電性物質として、通液型コンデンサの電極に用いられる物質を適用してもよい。第1および第2の導電性物質の典型的な例としては、多孔性の炭素材料が挙げられる。炭素材料の中でも、活性炭は比表面積が大きいため好ましく用いられる。たとえば、第1および第2の導電性物質は、粒状活性炭を凝集させることによって形成された導電性シートであってもよい。また、第1および第2の導電性物質は、粒状活性炭と導電性カーボンとを凝集させることによって形成された導電性シートであってもよい。また、第1および第2の導電性物質は、活性炭粒子を固めて形成された活性炭ブロックであってもよい。また、第1および第2の導電性物質は、活性炭繊維クロス、すなわち、活性炭繊維を用いて形成されたクロス(cloth)であってもよい。活性炭繊維クロスとしては、たとえば、日本カイノール株式会社製のACC5092−10、ACC5092−15、ACC5092−20、ACC5092−25を用いてもよい。
第1および第2の電極(イオン吸着電極)は、電極内をイオンが通過しやすい構造であることが好ましい。そのような電極を用いることによって、溶液内におけるイオン濃度の偏りを抑制できる。たとえば、導電性物質として粒状活性炭を用いる場合、多孔性の集電体や、パンチングメタルのような貫通孔が形成された集電体に、粒状活性炭を塗布することによって電極を形成することが好ましい。また、活性炭繊維クロスを電極に用いることは特に好ましい。
溶液(A)が水溶液である場合、工程(i)ののちに、溶液(A)に浸漬された対極と、第1および第2の電極から選ばれるいずれか一方の電極との間に電圧を印加することによって、溶液(A)のpHを調整する工程(a)を含んでもよい。イオン除去の処理をした場合、溶液(A)のpHが変化する場合があるが、工程(a)によってpHを調整することが可能である。
対極(Counter Electrode)は、たとえば、第1の電極と第2の電極との間に配置される。本発明の方法では、第1の電極と第2の電極との間の距離を、通液型コンデンサに比べて大きくできるため、両者の間に対極を配置することが可能である。対極は、第1の電極と第2の電極との間のイオンの通過をできるだけ抑制しない形状であることが好ましい。対極は、多孔質の電極であってもよいし、ネット状の電極であってもよいし、複数の貫通孔が形成された平板状の電極であってもよい。これらの対極は、対極内をイオンが通過できるため好ましい。対極は、不溶性の電極であることが好ましい。対極の一例は、水の電気分解が生じやすい金属(たとえばPt)で表面が覆われた電極であり、たとえば、Pt電極や、PtでコートされたTiからなる電極である。
対極は、その実際の表面積(BET法等で測定した表面積)が、その見かけ上の表面積(外形の表面積)の10倍以下(たとえば5倍以下)であってもよい。そのような対極としては、一般的な金属電極が挙げられる。
工程(a)は、溶液(A)に対極を浸漬し、第1の電極または第2の電極と、対極との間に電圧を印加することによって行われる。溶液のpHを低くする場合、第1の電極がカソードとなり対極がアノードとなるように、第1の電極と対極との間に電圧を印加する。これによって、第1の電極では、第1の電極に吸着された陰イオンが放出されるか、第1の電極に陽イオンが吸着される。一方、対極では、水の電気分解によって水素イオンおよび酸素ガスが発生する。その結果、溶液のpHが低下する。
水溶液のpHを高くする場合、第2の電極がアノードとなり対極がカソードとなるように、第2の電極と対極との間に電圧を印加する。これによって、第2の電極では、第2の電極に吸着された陽イオンが放出されるか、第2の導電性物質に陰イオンが吸着される。一方、対極では、水の電気分解によって、水酸化物イオンおよび水素ガスが発生する。その結果、溶液のpHが上昇する。
本発明の方法では、工程(i)ののちに、以下のイオン放出工程(ii)を行ってもよい。工程(ii)では、まず、容器内の溶液(A)を、他の液体(以下、液体(B)という場合がある)に変える。次に、第1の電極がカソードとなるように(すなわち、第2の電極がアノードとなるように)第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する。この電圧印加によって、第1の電極に吸着された陰イオンと第2の電極に吸着された陽イオンとを、液体(B)中に放出させる。工程(ii)で印加される電圧に限定はなく、たとえば、液体(B)の溶媒の電気分解が実際に起こらない電圧である。
液体(B)は、水性液体(Aqueous Liquid)であってもよいし、非水液体(Nonaqueous Liquid)であってもよい。水性液体は、水または水溶液である。非水液体は、有機溶媒または非水溶液(イオンを含む非水溶媒)である。溶液(A)が水溶液である場合には、通常、液体(B)には水性液体が用いられる。また、溶液(A)が非水溶液である場合には、通常、液体(B)には非水液体が用いられる。
液体(B)は、溶液(A)とは異なる液体であるが、溶液(A)の一部を含んでもよい。通常、工程(i)を経た溶液(A)を容器内から排出したのち、他の液体(B)を容器内に導入することによって、容器内の溶液が入れ替えられる。工程(ii)によれば、液体(B)のイオン(L)の濃度を高めることができる。
なお、工程(ii)以外の方法でも、吸着されたイオンを液体(B)中に放出させることが可能である。たとえば、電圧を印加することなく、第1の電極と第2の電極とを短絡させることによって、電極に吸着されている陰イオンおよび陽イオンを放出させてもよい。また、液体(B)が水性液体である場合には、液体(B)に対極を入れ、第1の電極と対極との間に、第1の電極がカソードとなるように電圧を印加することによって、第1の電極に吸着されている陰イオンを液体(B)中に放出させてもよい。また、液体(B)に対極を入れ、第2の電極と対極との間に、第2の電極がアノードとなるように電圧を印加することによって、第2の電極に吸着されている陽イオンを液体(B)中に放出させてもよい。
液体(B)が水性液体である場合、工程(ii)ののちに、液体(B)に浸漬された対極と、第1および第2の電極から選ばれるいずれか一方の電極との間に電圧を印加することによって、液体(B)のpHを調整する工程(a’)を含んでもよい。この工程(a’)は、上述した工程(a)と同様である。
液体(B)が水性液体である場合、工程(ii)ののちに、液体(B)に浸漬された対極と、第1および第2の電極から選ばれる少なくとも1つの電極との間に電圧を印加することによって、第1の電極に吸着されている陰イオンの電荷量と、第2の電極に吸着されている陽イオンの電荷量との比を制御する工程(b)を含んでもよい。第1および第2の電極と対極との間に電圧を印加する場合には、第1の電極と第2の電極とを短絡させた状態で電圧を印加すればよい。
本発明の方法では、初期の状態において、第1の電極と第2の電極との間の電圧と、第1および/または第2の電極と基準電極との間の電圧との関係を、測定によって予め求めておいてもよい。処理を繰り返すうちに上記関係が、予め求めておいた関係からずれた場合には、第1の電極に吸着されている陰イオンの電荷量と、第2の電極に吸着されている陽イオンの電荷量とのバランスが崩れていると判断できる。
この場合、第1および第2の電極間の電圧、および、第1および第2の電極から選ばれる少なくとも1つの電極と基準電極との電位差に基づいて、第1の電極に吸着されている陰イオンの電荷量と、第2の電極に吸着されている陽イオンの電荷量との比を算出する。そして、その算出結果に基づいて上記電荷量のバランスを制御する。基準電極には、一般的な基準電極、たとえば、水素電極を用いることができる。
本発明の方法では、イオン放出工程(工程(ii))を経た液体(B)を他の溶液に替え、再びイオン吸着工程(工程(i))を行ってもよい。このように、本発明の方法では、工程(i)と工程(ii)とを複数回繰り返してもよい。容器内の溶液を入れ替えながらイオン吸着工程とイオン放出工程とを繰り返すことによって、イオン(L)の濃度が高い溶液と、イオン(L)の濃度が低い溶液とを得ることができる。すなわち、本発明の方法は、液体のイオン濃度を高める方法、および/または、液体のイオン濃度を減少させる方法として利用できる。
イオン吸着工程とイオン放出工程とを行った場合、特に、イオン吸着工程とイオン放出工程とを交互に繰り返した場合、第1の電極に吸着されている陰イオンの電荷量と、第2の電極に吸着されている陽イオンの電荷量とのバランスが崩れることがある。このような場合には、第1および第2の電極のいずれか一方の電極と、対極との間に電圧を印加することによって、一方の電極に吸着されているイオンを放出させ、電荷量のバランスを制御できる。
溶液(A)が水溶液である場合、本発明の方法は、複数回のうちの少なくとも1回の工程(i)において、第1の電極から酸素ガスが発生し、且つ第2の電極から水素ガスが発生するまで、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加する工程を含んでもよい。この構成によれば、処理を繰り返すことによって生じる、電荷量のバランスの崩れを修正できる。
本発明の方法は、複数回のうちの少なくとも1回の工程(ii)ののちに、第1の電極と第2の電極とを短絡した状態で、第1の電極に吸着されている陰イオンと第2の電極に吸着されている陽イオンとが放出されるように、それらの電極と対極との間に電圧を印加する工程を含んでもよい。この方法によれば、処理を繰り返すことによって生じる吸着イオン量のバランスの崩れを修正できる。
本発明の方法では、初期の状態において、すなわち、1回目の処理を行う段階において、第1の電極において酸素ガスが発生するまでに第1の電極に吸着される陰イオンの電荷量が、第2の電極において水素ガスが発生するまでに第2の電極に吸着される陽イオンの電荷量とほぼ同じであることが好ましい。具体的には、酸素ガスが発生するまでに第1の電極に吸着される陰イオンの電荷量が、水素ガスが発生するまでに第2の電極に吸着される陽イオンの電荷量の0.9倍〜1.1倍の範囲にあることが好ましい。
本発明の方法では、第1の導電性物質に吸着可能な陰イオンの電荷量を、第2の導電性物質に吸着可能な陽イオンの電荷量の1.1倍〜2倍の範囲としてもよい。この構成によれば、バランスよく第1の電極と第2の電極とにイオンを吸着させることができる。たとえば、第1の導電性物質と第2の導電性物質とが同じ比表面積の物質である場合(両者のイオン吸着容量が同じである場合)には、第1の電極に含まれる第1の導電性物質の重量を、第2の電極に含まれる第2の導電性物質の重量の1.1倍〜2倍の範囲(好ましくは、1.2倍〜1.5倍の範囲)にすればよい。なお、導電性物質に吸着可能なイオンの電荷量は、実施例7で示すように、高濃度のイオン溶液中において、水の分解電圧内の電位域で、飽和状態になるまでイオンを吸着させたときに吸着されるイオン量を測定することによって求めることができる。具体的には、サイクリックボルタンメトリーにおいて、電極内の高抵抗の部分でも充分にイオンの吸着が生じるように電圧上昇速度を遅くして、吸着イオン量を測定する方法を適用できる。
第1および第2の導電性物質の比表面積は、900m2/g以上であってもよい。比表面積の上限に特に限定はないが、たとえば2500m2/g以下であってもよい。比表面積がより小さい導電性物質を用いることも可能であり、たとえば、比表面積が300m2/g以上の導電性物質を用いることも可能である。なお、この明細書において、「比表面積」とは、窒素ガスを用いたBET法で測定された値である。
上述したように、第1および第2の導電性物質は、活性炭を含んでもよい。また、第1の電極は、第1の導電性物質に接する第1の配線を含んでもよく、第2の電極は、第2の導電性物質に接する第2の配線を含んでもよい。
第1および第2の導電性物質が活性炭を含む場合、導電性物質の抵抗が比較的大きいため、導電性物質の抵抗によって溶液に印加される電圧が不均一となる場合がある。そのような場合には、配線を用いて導電性物質による電圧降下の影響を抑制することが好ましい。配線は、導電性物質による電圧降下が、溶液による電圧降下よりも低くなるように形成することが好ましい。
第1および第2の導電性物質が活性炭を含み、第1および第2の電極が配線を含む場合、第1の配線の表面には、活性炭よりも酸素過電圧が小さい金属が存在することが好ましく、第2の配線の表面には、活性炭よりも水素過電圧が小さい金属が存在することが好ましい。本発明の方法では、水を電気分解して電極の初期化を行うなどする場合があるが、その場合でも、上記配線を用いることによって配線の表面でガス発生が生じるため、活性炭の表面で水素ガスや酸素ガスが発生することを抑制できる。また、配線は、液体の処理の際に溶解しにくいものであることが好ましい。活性炭よりも水素過電圧および酸素過電圧が小さい金属、すなわち、活性炭よりもガス発生が生じやすい金属としては、たとえば白金(Pt)が挙げられる。
本発明の方法では、第1および第2の配線の表面に白金が存在してもよい。配線の一例は、白金でコートされた配線であり、たとえば、チタンや、電解コンデンサで用いられる弁金属(バルブメタル:たとえば、アルミニウム、タンタル、ニオブなど)を白金でコートすることによって得られる配線を用いることができる。特に好ましい一例は、白金でコートされたチタン配線である。
本発明の方法では、工程(i)において、第1の電極と第2の電極との間の抵抗値に基づいて、第1の電極と第2の電極との間に印加する電圧を制御してもよい。溶液の抵抗(または溶液による電圧降下)は、溶液中のイオン濃度によって変化する。このため、溶液の抵抗(または溶液による電圧降下)に基づいて印加する電圧を変化させたり、電圧の印加を停止したりすることによって、効率よく処理を行える。
本発明の方法では、工程(i)において、第1の電極と第2の電極との間を流れた電流値に基づいて、第1の電極と第2の電極との間に印加する電圧を制御してもよい。電極間を流れた電流値に基づいて、イオン吸着電極に吸着されたイオンの電荷量を推定することが可能である。このため、電極間を流れた電気量から電極に吸着されたイオンの電荷量を推測し、その推測値に基づいて印加する電圧を変化させたり、電圧の印加を停止したりすることによって、効率よく処理を行える。
本発明の方法では、工程(i)において、複数の第1の電極と複数の第2の電極とが用いられてもよい。複数の電極を用いることによって、イオン濃度調整能力を高めることができる。なお、第1の電極と第2の電極のいずれか一方が単数であり、他方が複数であってもよい。また、対極を用いる工程では、複数の対極を用いてもよい。
本発明の方法では、工程(i)において、第1の電極と第2の電極との間に流れる電流値が徐々に減少するように電圧を印加してもよい。ここで、「徐々に減少する」とは、連続的に減少すること、および段階的に減少することの両方を含む。
さらに別の観点では、本発明は、上記方法を用いて水溶液の滅菌を行う方法に関する。すなわち、上記工程(i)によって、水溶液の電位を、酸素発生電位またはそれ以上の電位とする。この時に電極上に生じる活性基の酸素は、充分に菌を酸化する能力があり、水溶液の滅菌を行うことが可能である。
[イオン濃度調整装置(液質調整装置)]
本発明のイオン濃度調整装置は、上記本発明のイオン濃度調整方法を実施するための装置である。そのため、上記イオン濃度調整方法の説明において述べた事項については、重複する説明を省略する場合がある。
本発明のイオン濃度調整装置は、電圧を印加するための電源と、液体を導入および排出できる容器と、その容器内に配置可能な第1および第2の電極(イオン吸着電極)とを含む。第1の電極は、イオンを吸着できる第1の導電性物質を含み、第2の電極は、イオンを吸着できる第2の導電性物質を含む。この装置では、上記のイオン吸着工程(工程(i))が行われる。工程(i)において、溶液(A)はバッチ方式で処理される。工程(i)において印加される電圧は、溶液(A)による電圧降下がないと仮定した場合に溶液(A)の溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧である。
本発明のイオン濃度調整装置は、上記本発明のイオン濃度調整方法を実行する。具体的には、この装置では、上記工程(i)が行われる。また、この装置では、工程(i)に加えて、他の工程、たとえば上述した他の工程が行われてもよい。
本発明の装置は、容器内に配置可能な対極をさらに含んでもよい。この対極は、酸素ガスおよび/または水素ガスを発生させるための電極であるため、不溶性電極であることが好ましい。対極を含む装置では、上述した、第1および/または第2の電極と対極との間で電圧を印加する工程が行われてもよい。たとえば、工程(ii)や、工程(a)や、工程(a’)が行われてもよい。
電源は、第1の電極と第2の電極との間、および、第1および第2の電極から選ばれる少なくとも1つの電極と対極との間に電圧を印加するための電源である。電源は、通常、直流電源であるが、本発明の効果が得られる限り、パルス電源や交流電源であってもよい。電源は、イオン濃度の調整を行うために、タイマーや、クーロンメーターや、pHメーターと組み合わせて用いてもよい。たとえば、定電流電源とタイマーとを組み合わせて用いてもよいし、定電流電源または定電圧電源とクーロンメーターおよび/またはpHメーターとを組み合わせて用いてもよい。
本発明のイオン濃度調整装置によれば、本発明のイオン濃度調整方法を容易に実施できる。イオン吸着電極、導電性物質、および対極などについては、上述したため、重複する説明を省略する。
容器に特に限定はなく、処理される液体を保持できる容器であればよい。たとえば、処理される液体が水溶液である場合、塩の水溶液、酸性水溶液およびアルカリ性水溶液を保持できる容器であればよい。この容器は、容器内の液体の入れ替えを容易にするための機構を備えることが好ましい。たとえば、この容器は、容器内に液体を流入させるための流入口と、容器内の液体を排出するための排出口とを備えることが好ましい。流入口と排出口とを備える容器を用いることによって、液体の連続的な処理が可能である。また、流入口および排出口のそれぞれにバルブを設けることによって、液体のバッチ処理が容易になる。
また、本発明の装置は、液体の導入や排出を行うためのポンプを備えてもよい。
また、公知のpH調整装置やイオン濃度調整装置と同様に、本発明の装置は、各工程を実施するための制御装置を備えることが好ましい。そのような制御装置には、演算処理部とメモリ部とを含む公知の制御装置と実質的に同様の制御装置を適用できる。メモリ部には、各工程を実行するためのプログラムや、イオン濃度(または液体の伝導度)の目標値などが記録される。この制御装置は、イオン濃度の目標値(および、必要に応じて各センサからの入力値)等に基づき、電極に印加する電圧を制御してもよい。
本発明の方法および装置では、バッチ処理される液体の量に特に限定はない。その量は、一例では、第1または第2の導電性物質のみかけの表面積(輪郭のサイズから求められる表面積)1cm2あたり、0.1ミリリットル〜10ミリリットルの範囲であってもよい。
[実施形態1]
以下、本発明のイオン濃度調整方法および装置の一例について、図面を参照しながら説明する。以下では、溶液(A)が水溶液であり、液体(B)が水である例について説明するが、溶液(A)および/または液体(B)が非水液体である場合でも、同様の方法および装置を適用できる。
実施形態1のイオン濃度調整方法で用いられるイオン濃度調整装置100の主要部を、図1Aに模式的に示す。イオン濃度調整装置100は、容器10と、容器10内に配置された第1の電極(第1のイオン吸着電極)11と第2の電極(第2のイオン吸着電極)12とを備える。容器10には、液体を導入するための導入口10aと、液体を排出するための排出口10bとが接続されている。導入口10aおよび排出口10bには、それぞれ、弁10cが設けられている。
本発明のイオン濃度調整方法では、図1Aに示すように、容器10内において、第1の電極11と第2の電極12とを水溶液13に浸漬し、両電極間に電圧を印加する。このとき、第1の電極11がアノードとなり第2の電極12がカソードとなるように、両電極間に電圧を印加する。印加する電圧は、2ボルトよりも高い電圧である。
以下では、水溶液13が塩化ナトリウム水溶液であり、イオンを吸着する導電性物質が、活性炭繊維クロスである場合について説明する。しかし、他の塩が溶解された水溶液を用いた場合や、他のイオン吸着物質を用いた場合でも、同様に処理が行われる。
第1の電極11と第2の電極12との間に印加される電圧は、一定であってもよいし、処理の進行に応じて変化させてもよい。たとえば、第1の電極11と第2の電極12との間に流れる電流が一定となるように電圧を印加してもよい。この場合、電圧の上昇は電極間のIRドロップの変化と相関を有するため、電圧の上昇から、電極に吸着されたイオンの電荷量を推測できる。電圧の上昇は、通電する電流を変化させながら電圧を計測し、電極間の電位差からIRドロップによる電圧を差し引くことによって、より正確に求めることができる。
電圧の印加によって、第1の電極11の活性炭繊維クロス(図示は省略する)に塩素イオンが吸着され、第2の電極12の活性炭繊維クロス(図示は省略する)にナトリウムイオンが吸着される。その結果、水溶液13の塩化ナトリウム濃度が減少する。
容器10内の水溶液13はバッチ方式で処理される。すなわち、処理が終わるまで、水溶液13は容器10内から移動されない。この方法によれば、通液型コンデンサを用いた従来の処理に比べて、効率よくイオンを除去することが可能である。その理由を以下に説明する。
通液型コンデンサを用いた従来の処理の様子を図2に示す。通液型コンデンサ20内には、イオンを吸着するための第1および第2の電極21および22が配置されている。コンデンサ20内には導入口23から水溶液24が連続的に導入され、処理される。処理された水溶液24は、排出口25から連続的に排出される。イオン除去処理が行われているコンデンサ20内を通過することによって水溶液24内のイオンが除去されるため、導入口23付近におけるイオン濃度は、排出口25付近におけるイオン濃度よりも高い。
第1の電極21と第2の電極22との間に電圧を印加すると、水溶液24の抵抗によって電圧降下が生じる。この電圧降下は、水溶液24のイオン濃度が低いほど大きくなるため、排出口25に近いほど水溶液24による電圧降下は大きくなる。そのため、水溶液24の水が電気分解されない電圧(たとえば2V以下)を印加しても、排出口25付近ではその一部しかイオン除去に利用されず、その付近でのイオンの除去能力が低下する。一方、排出口25付近の水溶液24はイオンが除去されて伝導度が低下しているため、その部分の水溶液24に充分な電圧を印加するためには、水溶液24による電圧降下を考慮して、電圧を印加する必要がある。そのような電圧を印加した場合、導入口23近辺の水溶液24には、高い電圧が印加されてしまう。その結果、導入口23付近では水の電気分解が生じる。このため、通液型コンデンサを用いた従来の方法では、電極間に印加される電圧は、実質的に水の電気分解が生じない電圧(2V以下:過電圧を考慮)であった。その結果、従来の方法では、電極全体を一様に活用したイオン除去ができなかった。
これに対して、本発明の方法では、容器10内の水溶液13による電圧降下は、電極のどの部分でもほぼ一定である。そのため、水溶液13による電圧降下を考慮して電圧を印加することによって、イオンの除去に適した電圧を水溶液13全体に印加することが可能となる。その結果、電極の導電性物質の全体を活用してイオンを効率よく除去することが可能となる。図1Aの装置100において、水溶液13に印加される電圧の状態を、図3に模式的に示す。第1の電極11と第2の電極12との間に印加される電圧Vが2ボルトを超えても、電圧Vから電圧降下IRを差し引いた[ΔE++ΔE-]が水の分解電圧以下であれば、水溶液13の電気分解を抑制できる。
水溶液13中の塩化ナトリウムの濃度を減少させる処理が終了したのち、水溶液13を容器10から排出し、その代わりに、水を容器10に入れる。詳細は不明であるが、図1Bに示すように、第1の電極11の活性炭繊維クロス11aに吸着されている陰イオンは、活性炭繊維クロス11aの表面に存在する正電荷にクーロン力で引きつけられていると推測される。同様に、第2の電極12の活性炭繊維クロスに吸着されている陽イオンは、活性炭繊維クロスの表面に存在する負電荷にクーロン力で引きつけられていると推測される。そのため、吸着されたイオンは、活性炭繊維クロスの表面電荷が存在する限り、比較的安定に、そのクロスに吸着されていると考えられる。
次に、第1の電極11がカソードとなり第2の電極12がアノードとなるように、第1の電極11と第2の電極12との間に電圧を印加する。この電圧印加によって、第1の電極11の導電性物質に吸着されている陰イオン、および、第2の電極12の導電性物質に吸着されている陽イオンが、水中に放出される。その結果、図4に示すように、容器10内の水が塩化ナトリウム水溶液41となる。
イオン放出工程が終了すると、容器10内の塩化ナトリウム水溶液を排出して、イオンが除去されていない新たな水溶液13を容器10に導入する。そして、図1Aで説明した処理を行って水溶液13の塩化ナトリウムを除去する。次に、塩化ナトリウム水溶液41を再度、容器10内に導入し、電極に吸着されたナトリウムイオンと塩素イオンとを放出する。このような処理を繰り返すことによって、塩化ナトリウムが除去された多量の水溶液と、塩化ナトリウム濃度が高い塩化ナトリウム水溶液とが得られる。なお、イオン濃度が高い水溶液とイオン濃度が低い水溶液のいずれか一方の水溶液が不要である場合には、処理が終了するごとにその水溶液を廃棄してもよい。また、イオン除去処理が行われた水溶液に対して、繰り返しイオン除去処理を行ってもよい。
同じ水溶液(A)または同じ水性液体(B)に対して同じ処理を繰り返す場合、本発明の装置は、それらの液体を一時的に容器10から移しておくための他の容器を1つ以上備えてもよい。また、その場合、本発明の装置は、一方の容器から他方の容器へ液体を移すためのポンプを備えてもよい。
上記本発明の方法によれば、通液型コンデンサを用いる場合と比較して、イオン濃度を効率よく調整できる。特開2000−91169号公報には、比表面積が2200m2/gの活性炭400gを用いた通液型コンデンサによって、濃度が0.01モル/リットルのNaCl水溶液を流速0.1リットル/分で約5分間(約0.5リットル)処理し、NaCl濃度を0.002モル/リットル未満にできたことが開示されている。これに対して、本発明の方法では、比表面積が約2000m2/gの活性炭0.34gを用い、濃度が0.01モル/リットルのNaCl水溶液30ミリリットルを15分間処理することによって、濃度を0.0018モル/リットルに低減できた(実施例参照)。このことから、通液型コンデンサを用いる従来の方法と比較して、本発明の方法によれば、活性炭の単位重量あたりのイオン除去量が70倍以上(400/(0.34×0.5/0.03)≧70)となった。
また、水溶液の処理に要する時間を特開2000−91169号公報の装置と同一にするには、活性炭繊維クロスの量を3倍とすればよい。この場合、使用される活性炭の量は17g(0.34×(0.5/0.03)×15/5)であり、特開2000−91169号公報の装置の23分の1程度の量である。
また、本発明の方法は、簡単な装置で実施することができ、硬水の軟水化や、純水の作製、塩素ガスの除去(液体中に溶解している塩素ガスをイオン化して除去)などといった処理を簡単かつ安価に行うことができる。そのため、本発明の方法を実施するための装置は、家庭用の装置として好適である。本発明の方法および装置によれば、イオン濃度を減少させながら、アルカリイオン水や酸性水を作製することも可能である。なお、カソードの電位は、水が電気分解される電位に近い電位であるため、塩素ガスを塩素イオンに分解することが可能である。
水溶液中のイオンを吸着する原理は、電気2重層コンデンサと同じである。ここで、第1の電極と第2の電極とが同じである場合、すなわち、第1の導電性物質と第2の導電性物質とが、同じ材質で同じ量である場合を仮定する。この場合、アノードである第1の電極において酸素ガスが発生するまでに第1の電極に吸着される陰イオンの電荷量は、カソードである第2の電極において水素ガスが発生するまでに第2の電極に吸着される陽イオンの電荷量よりも少ない(実施例7参照)。そのため、第1の電極の第1の導電性物質と、第2の電極の第2の導電性物質とが、同じ材質で同じ量である場合には、第1の電極(アノード)の電位が、先に水の分解電位に達する。一方の電極のみにおけるガス発生を抑制するために、第1の電極側で酸素ガスが発生するまでに第1の電極に蓄積される電荷量と、第2の電極側で水素ガスが発生するまでに第2の電極に蓄積される電荷量とを同じにしておくことが好ましい。
発明者らが実験した結果、活性炭のみの電極で測定した場合、[第1の電極の活性炭の重量]:[第2の電極の活性炭の重量]=1.1:1〜2:1の範囲であることが好ましいことが分かった。
水溶液中のイオンを除去する場合において、第1の電極と第2の電極との間に流れる電流が一定となるように電圧を印加することによって、処理速度を高めることが可能である。このような定電流法で電圧を印加する場合、設定する電流密度が高すぎると、電極間に印加される電圧が高くなりすぎて水が電気分解され、ガスが発生する場合がある。ガスが発生した場合には、電圧印加を、一定時間停止してから再開してもよい。電圧印加の停止によって活性炭に吸着されているイオンが移動してイオンの偏りが解消され、電圧印加の再開時に電極間に印加される電圧が低下する。
第1の電極と第2の電極との間に、2Vより高く5V以下の電圧を印加した場合、水溶液中のイオンを除去する速度はそれほど速くないが、ガス発生を抑制して電流の利用効率を高めることができる。
導電性物質に吸着されたイオンを放出させる場合、第1の電極と第2の電極とを短絡させてもよいし、第1の電極がカソードとなり第2の電極がアノードとなるように、第1の電極と第2の電極との間に電圧を印加してもよい。また、液体(B)が水性液体である場合、液体(B)中において、第1または第2の電極と対極との間に電圧を印加することによって、イオンを放出させてもよい。
イオン吸着工程やイオン放出工程を行った場合、不純物の電解や、水溶液のpH調整によって、第1の電極に吸着された陰イオンの電荷量と第2の電極に吸着された陽イオンの電荷量との間に差が生じる場合がある。そのような場合には、対極を用いてその差を解消することが好ましい。
たとえば、水溶液中の溶存酸素がカソード(第2の電極)の電子を消費して水酸化物イオンになった場合、アノード(第1の電極)では、消費された電子の電荷量だけ余分に陰イオンが吸着される。その結果、第1の電極に吸着されている陰イオンの電荷量は、第2の電極に吸着されている陽イオンの電荷量よりも多くなる。
このような状態でイオン放出工程を行うと、第2の電極の陽イオンがすべて放出されても、第1の電極には陰イオンが吸着されている。イオン放出のための電圧印加をさらに続け、第1の電極に吸着されている陰イオンを放出させた場合、第2の電極の表面にはプラス電荷が蓄積されて陰イオンが吸着する。そのため、第1の電極と第2の電極の両方に、陰イオンが吸着された状態が生じる。このような状態でイオン吸着工程を開始した場合、第2の電極の陰イオンがすべて放出されるまでは、第2の電極から陰イオンが放出されるとともに第1の電極に陰イオンが吸着される状態が続き、イオン濃度の変化はない。このように、第1の電極に吸着されている陰イオンの電荷量と、第2の電極に吸着されている陽イオンの電荷量との均衡がくずれると、効率が低下する。
そのため、そのようなイオンの不均衡が生じた場合には、電極に吸着されているイオンをすべて放出する操作(以下、「電極の初期化」という場合がある)を行うことが好ましい。
たとえば、第1の電極に吸着されている陰イオンが過剰である場合、第1の電極と第2の電極とを短絡させた状態で、これら2つの電極がカソードとなり対極がアノードとなるように、電圧を印加する。この電圧印加によって、電極に吸着されている過剰な陰イオンを放出でき、どちらの電極にもイオンが吸着されていない状態とすることができる。また、第2の電極に吸着されている陽イオンが過剰である場合、第1の電極と第2の電極とを短絡させた状態で、これら2つの電極がアノードとなり対極がカソードとなるように、電圧を印加すればよい。このように、電極の初期化を行うことによって、効率の低下を抑制できる。
対極を備えるイオン濃度調整装置の一例を図5に示す。図5のイオン濃度調整装置200は、容器50、第1の電極51、第2の電極52、対極53および電源54を備える。容器50には、液体を導入するための導入口50aと、液体を排出するための排出口50bとが接続されている。第1の電極51および第2の電極52は、イオン吸着電極である。図5に示すように、これらの電極は、通常、処理する液体55に浸漬される。しかし、処理に必要のない電極は、容器50から取り出してもよい。
図5では、電源54が、第1の電極51および第2の電極52に接続されている場合を示しているが、装置200は、電源54をいずれの電極にも接続できるように構成される。そのため、装置200は、スイッチ56および57を備える。電源およびスイッチは、制御装置(図示せず)によって制御される。なお、本発明の装置は、第1の電極と第2の電極とを短絡させるための配線およびスイッチをさらに備えてもよい。
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。なお、特に説明がない限り、以下の実施例で用いた活性炭繊維クロスは、日本カイノール株式会社製の活性炭繊維クロス(品番:ACC5092−25、目付け100〜130g/m2、厚さ約0.5mm、ヨード吸着量1850〜2100mg/g)である。この活性炭繊維クロスの比表面積は、約2000m2/g以上である。
[実施例1]
実施例1では、本発明に基づき、水道水のイオンを除去した一例について説明する。
図6Aに示すように、約3cm×5cmの活性炭繊維クロス61に、集電体62を取り付けて電極(イオン吸着電極)60を作製した。集電体62は、チタンに白金をコートすることによって作製した。また、図6Bに示す形状を有する、アクリル樹脂からなるスペーサ63を用意した。
次に、2つの電極60を、内容積が60mlの容器内の両サイドに配置した。このとき、図6Cに示すように、2つの電極60の間にスペーサ63を配置した。2つの電極間の距離は、約17mmであった。次に、容器内に、伝導度が150μS/cmの水道水40mlを入れた。
次に、2つの電極60の間に、60mAの電流を1分、3分、および5分間流し、伝導度およびpHの変化を測定した。電流を1〜5分間流すことによって、水道水中のイオンが電極に吸着され、水道水の伝導度は、140μS/cm(1分)、120μS/cm(3分)、105μS/cm(5分)と低下した。一方、電流を1〜5分間流してもpHはほとんど変化しなかった。
次に、内容積が45mlの容器に、2つの電極60と1つのセパレータとを、上記と同様に配置した。そして、伝導度が150μS/cmの水道水28mlを容器内に入れ、電極間に10mAの電流を流し、水道水の伝導度の変化を測定した。このとき、2つの電極間の距離は、約13mmであった。伝導度の低下は、水道水中のイオン濃度の減少によるものである。また、処理後の水道水のpHも測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0003994418
表1に示すように、電流を流すと、初期の段階ではpHは変化しないでイオンが除去されていった。しかし、イオンの除去量が多くなるにつれて、pHが大きく低下して水が酸性になった。そして、さらに電流を流し続けると、伝導度が大きく低下し、pHは約7に戻った。
この実施例では、アノードのイオン吸着容量(イオン吸着可能量)と、カソードのイオン吸着容量とが同じである。そのため、電流を流し続けるとアノードの電位が、先に、酸素ガスが発生する電位に到達する。その結果、アノードで酸素ガスが発生して水中の水素イオン濃度が上昇し、水のpHが低下する。さらに電流を流し続けるとpHが上昇するのは、アノードでの酸素ガス発生に加えてカソードでの水素ガス発生が生じるためであると考えられる。
[実施例2]
実施例1と同様のイオン吸着電極を3枚用意し、内容積が45mlの容器内の両サイドと中央とに平行に配置した。また、電極と電極との間には、実施例1と同様のスペーサを配置した。2つの電極間の距離は、約6mmであった。この容器に、水道水29mlを入れた。次に、以下の実験を行った。
実験1では、両サイドの2枚の電極がアノードとなるように且つ中央の1枚の電極がカソードとなるように電圧を5分間印加して水道水中のイオンを除去した。電圧は、アノード−カソード間に流れる電流が20mAとなるように印加した。
次に、実験2では、実験1でイオンを吸着した電極からイオンを放出させた。このとき、両サイドの2枚の電極がカソードとなるように且つ中央の1枚の電極がアノードとなるように、電圧を5分間印加した。電圧は、アノード−カソード間に流れる電流が20mAとなるように印加した。
実験3では、電流を流す時間を変えたことを除き、実験1と同じ実験を行った。また、実験4〜6では、電極間に流す電流および通電時間を変えたことを除き、実験1と同じ実験を行った。
実験1〜6の処理における水道水の伝導度の変化、および処理後の水道水のpHを表2に示す。また、実験1および4における印加電圧の変化も表2に示す。
Figure 0003994418
実施例2では、実施例1とは異なり、アノードのイオン吸着容量を、カソードのイオン吸着容量の2倍としている。その結果、処理によるpHの変動がほとんど見られなかった。
実験1では、イオンの除去によって水道水の伝導度が低下し、実験2ではイオンの放出によって水道水の伝導度が初期とほぼ同じ値となった。
電流値が高い実験4では、印加電圧が最終的に60ボルトという高い電圧になったが、ガスの発生は少なかった。同様に、実験5および6でも、ガスの発生は少なかった。
電流値が高い実験4〜6では、イオン除去の効率、すなわち、電気量に対するイオン除去量が低下した。これは、活性炭繊維クロスの抵抗の影響が大きくなり、イオン吸着量が電極内で不均一になるためであると考えられる。このような効率の低下を抑制するために、電極間に流す電流を徐々に低下させたり、電圧の印加を一定時間停止したりすることが有効である。
[実施例3]
実施例3では、図7に示すように、活性炭繊維クロス61(サイズ:3cm×5cm)の表面に接するように配線71を配置して電極70を作製した。配線には、チタンのワイヤの表面を白金でコートしたものを用いた。また、ポリエチレンからなるセパレータを用意した。
図6の電極60の代わりに図7の電極70を用いること、および、スペーサの代わりにセパレータを用いることを除き、実施例2の装置と同様の装置を構成した。そして、その装置の容器(内容積:45ml)に30mlの水道水、または30mlのNaCl水溶液(伝導度:588μS/cm)を入れ、イオン除去の実験を行った。
アノード−カソード間の電流値および通電時間を変えて実験7〜11を行った。また、アノード/セパレータ/カソード/セパレータ/アノードという電極群を2つ容器内に配置し、イオン除去の実験12を行った。イオン除去工程による液体の伝導度変化と、最終のpH値とを表3に示す。
Figure 0003994418
電極に配線を形成したことによって、イオン除去の効率が高くなった。また、実施例3では、アノードのイオン吸着容量がカソードのイオン吸着容量の2倍であるため、電流を流し続けると、アノードでの酸素ガス発生の前にカソードでの水素ガス発生が生じる。カソードでの水素ガス発生に伴って水酸化物イオンが液体中に放出されるため、処理に伴って液体のpHが上昇した。しかし、電流を流し続けると、pHは低下して液体はほぼ中性となった。pHが中性となるのは、電流を流し続けると、カソードでの水素ガス発生に加えてアノードでの酸素ガス発生が生じるためであると考えられる。
実施例3の処理によるpHの変化は、実施例1の処理によるpHの変化とは逆の方向に生じている。したがって、アノードのイオン吸着容量とカソードのイオン吸着容量との最適な比は、実施例1の比と実施例3の比との間に存在していると考えられる。また、実施例1および実施例3の結果は、水の分解反応を利用して電極の電位を制御できることを示している。そのため、アノードのイオン吸着容量とカソードのイオン吸着容量との比を最適に近い値にしておくと、陽イオンおよび陰イオンの吸着量のバランスがずれた場合でも、アノードおよび/またはカソードで水を分解することによって、バランスのずれを解消できる。
また、活性炭繊維クロスの量を2倍にした実験12では、同じ電気量を流しても水の電気分解が生じず、pHは変化しなかった。
なお、配線を備える実施例3の電極を用いてアノードで酸素ガスを発生させた場合、まず、配線の表面から酸素ガスが発生した。アノードの電位をさらに上昇させると、活性炭繊維クロスの表面からも酸素ガスが発生した。このことから、白金は、活性炭よりも酸素過電圧が小さいと考えられる。同様に、白金は、活性炭よりも水素過電圧が小さいと考えられる。
[比較例]
まず、実施例3で説明した、配線を備える電極を6個用意した。また、実施例1で説明したスペーサと実施例3で用いたセパレータとをそれぞれ3枚用意した。これらの電極、スペーサおよびセパレータを、アノード/セパレータ/スペーサ/カソード/カソード/スペーサ/セパレータ/アノード/アノード/セパレータ/スペーサ/カソードという配置となるように容器(内容積45ml)に配置した。隣接するアノード−カソード間の距離は、約4mmであった。
次に、この容器に、濃度が約0.0084モル/リットルのNaCl水溶液を約30ml入れ、イオン除去の実験を行った。電極間に印加する電圧は1Vに固定した。
実験では、電極間を流れる電流値が1オーダー下がるごとに電圧印加をやめて、アノード−カソード間の電圧(レストポテンシャル)と、水溶液の伝導度およびpHとを測定した。また、最後に130分間の処理を行って、レストポテンシャル、伝導度およびpHを測定した。測定結果を表4に示す。
Figure 0003994418
表4に示すように、処理の開始と共に水溶液のpHが上昇した。また、処理に伴って伝導度が減少しており、印加電圧が1ボルトであってもイオンが除去されることが分かる。しかし、レストポテンシャルは、電極にイオンが吸着されるに従って高くなる。すなわち、電極間に印加される電圧が1ボルトであっても、電極間の水溶液に印加される電圧(電界)は、1ボルトからレストポテンシャルを引いた値となる。たとえば、処理を16分間行ったときのレストポテンシャルは0.8ボルトであり、水溶液に印加される電圧は0.2ボルトである。そのため、電極がイオンを吸引する能力が低下し、イオン除去の効率が低下する。このように、水の分解電圧以下の電圧を電極間に印加しても、効率よく処理を行うことができない。
[実施例4]
上記比較例と同じ装置を用い、電極間に定電流法で電圧を印加してイオン除去の実験を行った。具体的には、アノード−カソード間に流れる電流が200mAとなるように電圧を印加した。実施例4では、伝導度が800μS/cmのNaCl水溶液を処理した。
実験13では、水溶液の伝導度が約100μS/cmになるまで電圧を印加し続けた。実験14では、電圧の上昇速度をモニタし、電圧の上昇速度が少し遅くなった時点で電圧の印加を停止した。実験15では、実験14の電圧印加停止後、水溶液の伝導度が約100μS/cmになるまで再び電圧を印加した。実験13〜15において、電圧の変化、水溶液の伝導度の変化、水溶液のpHを測定した。測定結果を表5に示す。
Figure 0003994418
実験13の印加電圧の推移を図8に示す。電圧は、2.5V(初期)から67ボルトまで上昇したのち、60ボルト(最終)となった。図8の横軸は、1目盛りが32秒である。電圧印加開始から、約200秒で電圧の上昇が小さくなり始めた。これは、水の分解反応が生じだしためであると考えられる。
そこで、実験14では、電圧印加開始から210秒(3.5分)で電圧印加を停止した。伝導度から概算すると、この時点で、ナトリウムイオンおよび塩素イオンの約65%が除去されていた。
電圧印加を停止して測定を行うのに要した約10分間の間に、活性炭繊維クロスに吸着されているイオンが移動し、イオンの分布が均一化する。その結果、電極の電位が低くなって、低い印加電圧でも200mAの電流が流れるようになる。実験14の測定終了後、実験15の電圧印加を開始すると、印加電圧は4.4Vに低下していた。実験15では、電圧印加開始から約1.7分で印加電圧が83Vに上昇して電圧上昇が小さくなり始めた。1.7分間の電圧印加によって、伝導度は約100μS/cmに低下した。実験14および15のトータルの電圧印加時間は5.2分間であり、実験13の電圧印加時間(9.5分間)よりも短いが、同じ程度までイオンを除去することができた。このように、水の電気分解が起こらない条件で処理を行うことによって、高い電流でも効率よくイオンを除去できる。
[実施例5]
実施例5の実験では、実施例3で説明した電極70およびセパレータを用いた。1つの電極70に含まれる活性炭は、約0.17gであった。
2つの電極を内容積45mlの容器の両サイドに配置し、2つの電極の間にセパレータを配置した。この容器に、濃度が0.01モル/リットルのNaCl水溶液(伝導度:1117μS/cm、pH:6.32)を30ml入れ、イオン除去の実験を行った。
実験16では、電流値が200mAになるように電圧を印加した。5分間の電圧印加後、測定を行い、測定後の水溶液を実験17でさらに処理した。実験17では、電流値が100mAとなるように電圧を印加した。
実験18では、電流値が65mAになるように電圧を印加した。15分間の電圧印加後、測定を行い、測定後の水溶液を実験19でさらに処理した。実験19では、電流値が35mAとなるように電圧を印加した。測定結果を表6に示す。
Figure 0003994418
実施例5では、イオン濃度が高く伝導度が水道水の5倍以上である水溶液を処理した。実験16では、実験18の約3倍の電流値で処理を行ったが、イオン吸着能力に余力がある状態での処理であるため、実験16による伝導度の変化は、実験18による伝導度の変化と比べて、大きな遜色はなかった。また、実験16に引き続いて低い電流値で実験17を行うことによって、実験19と同様に、水道水のレベルになるまでイオンを除去することができた。実験16〜19に示されるように、初期の電流値を高くし、イオンが除去されるに従って電流値を下げることによって、同じ電気量で、短時間にイオンを除去できた。
[実施例6]
まず、比較例と同じ装置を2つ用意した。この装置の容器(内容積45ml)に、伝導度が170μS/cmの水道水を約30ml入れ、イオン除去の実験を行った。まず、電流および通電時間を3段階に変化させて処理を行い、伝導度を、約15μS/cmまで低減させた。処理の際の印加電圧の変化、処理による伝導度の変化、および処理後のpHを表7に示す。
Figure 0003994418
次に、処理後の水を新たな装置に移し、再度イオン除去の処理を行った。この処理による伝導度の変化と、処理後のpHとを表8に示す。
Figure 0003994418
実施例6では、水道水の伝導度を純水の伝導度にまで低下させることができた。
[実施例7]
実施例7では、活性炭繊維クロスとして、日本カイノール株式会社製の活性炭繊維クロスACC5092−25(上述)と、ACC5092−10(目付け200g/m2、厚さ約0.6mm、比表面積2000m2/g)の2種類を用いて電極を作製した。活性炭繊維クロスの表面には、集電体として、白金ワイヤ(配線)を配置した。
上記2種類の電極を用い、サイクリックボルタンメトリーを行った。その結果から、アノードおよびカソードのそれぞれについて、レストポテンシャル(RP)から水の電気分解が生じる電位に到達するまでの電気量を求めた。また、その電気量から、電極に吸着されるイオンの量を見積もった。評価結果を表9に示す。なお、表9の電気量および吸着イオン量は、活性炭繊維クロス1cm2あたりの数値である。なお、この水溶液の電位窓(potential window:水が電気分解しない領域)は、Pt電極−Pt電極の場合には1.49ボルトであり、活性炭電極−活性炭電極の場合には1.95ボルトであった。
Figure 0003994418
表9に示すように、イオンが吸着されていない状態から水の電気分解が起こるまでの電気量は、アノードとカソードとで異なっていた。活性炭繊維クロスがACC5092−25である場合、その電気量は、[アノード]:[カソード]=1:1.35であった。活性炭繊維クロスがACC5092−10である場合、その電気量は、[アノード]:[カソード]=1:1.30であった。
表9の結果から、イオン吸着物質に活性炭繊維クロスを用い且つ集電体の表面にPtが存在する場合、アノードの活性炭の量を、カソードの活性炭の量の1.35倍程度にすることが好ましいことが分かった。このような構成とすることによって、アノードとカソードとがほぼ同じ量のイオンを吸着したときに両方の電極がガス発生電位に到達する。
なお、アノードのイオン吸着容量とカソードのイオン吸着容量との比は、イオン吸着物質および集電体の材料によって変化するが、通常、アノードの容量を大きくすることが好ましい。
[実施例8]
まず、比較例と同じ装置を用意した。この装置の容器に、伝導度が167μS/cmの水道水を入れ、5分間電圧を印加して水道水中のイオンを電極に吸着させた。電圧は、電極間に20mAの電流が流れるように印加した。5分間の電圧印加ののち、容器内の水道水を入れ替え、再度同じ操作をして水道水中のイオンを電極に吸着させた。このようなイオン吸着工程を、同じ電極で続けて5回行い、電極にイオンを蓄積させた。
次に、容器内に新しい水道水31mlを入れた。そして、2つの電極をショートさせることによって、電極に吸着されているイオンを水道水中に放出させた。このイオン放出工程によって、水道水中のイオン濃度を上昇させた。
各工程における印加電圧の変化、ならびに、処理後の水溶液の伝導度およびpHを表10に示す。
Figure 0003994418
表10に示すように、イオン放出工程によって、水溶液中の塩濃度を高めることができた。
[実施例9]
実施例9では、非水電解液中のイオンを除去した一例について説明する。
まず、塩化ビニル樹脂製の容器(内容積:27.6ml)に、18.5mlの非水電解液を入れた。非水電解液の溶媒には、プロピレンカーボネートを用いた。溶質には、四フッ化ホウ酸トリエチルメチルアンモニウム(TEMA・BF4)を用いた。溶液の初期濃度は、0.0294モル/リットルであった。
次に、非水電解液中に、1枚のアノード電極と、1枚のカソード電極とを浸漬した。2つの電極は同じ電極であり、図7に示した電極を用いた。2つの電極の間隔は、4mmとした。
次に、非水電解液の伝導度を測定しながら、2つの電極間に2.4ボルトの定電圧を280分間印加した。その結果、非水電解液の伝導度は、750μS/cm(初期)から164μS/cm(最終)に変化した。この変化は、非水電解液中の陽イオン(TEMA)および陰イオン(BF4 -)が除去されたためであると考えられる。
電極間を流れる電流値と通電時間との関係を図9に示す。図9に示すように、通電時間の経過につれてイオンが除去されて液抵抗が上がっていくため、電流値が下がっていく。
[実施例10]
実施例10では、非水電解液中のイオンを除去した他の一例について説明する。実施例10は、非水電解液の初期濃度と、通電方法とを変えたことを除き、実施例9と同様の実験を行った。
実施例10では、非水電解液の初期濃度を、0.0036モル/リットルとした。そして、20mAの定電流を7分間流した。その結果、溶液の伝導度は、137.5μS/cm(初期)から42.9μS/cm(最終)に変化した。
[実施例11]
実施例11では、非水電解液中のイオンを除去した他の一例について説明する。実施例11は、非水電解液の初期濃度と、通電方法とを変えたことを除き、実施例9と同様の実験を行った。
実施例11では、非水電解液の初期濃度を、0.0044モル/リットルとした。そして、10mAの定電流を27分間流した。その結果、溶液の伝導度は、140.3μS/cm(初期)から8.0μS/cm(最終)に変化した。
なお、実施例9〜11において、通電時間の途中で伝導度が飽和している可能性もある。そのため、最終の伝導度に到達するまでに要する通電時間は、実施例の通電時間よりも短い可能性がある。
本発明は、液体のイオン濃度調整方法およびイオン濃度調整装置に適用できる。また、本発明は、液体のイオン濃度およびpHの調整方法および調整装置に適用できる。
図1Aは、本発明のイオン濃度調整方法の工程の一例を模式的に示す図である。図1Bは、予想されるイオンの吸着状態を模式的に示す図である。 図2は、通液型コンデンサを用いた従来のイオン除去方法を模式的に示す図である。 図3は、本発明のイオン濃度調整方法における電圧降下の一例を模式的に示す図である。 図4は、本発明のイオン濃度調整方法の工程の他の一例を模式的に示す図である。 図5は、本発明のイオン濃度調整装置の一例を模式的に示す図である。 図6A〜図6Cは、実施例で用いた電極群の構成を模式的に示す図である。 図7は、実施例で用いた電極の構成を模式的に示す図である。 図8は、実施例のイオン吸着工程における印加電圧の変化を示すグラフである。 図9は、実施例のイオン吸着工程における、通電時間と電流との関係を示すグラフである。

Claims (19)

  1. イオン濃度を調整する方法であって、
    (i)容器内において、水素イオンおよび水酸化物イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液に、イオンを吸着できる第1の導電性物質を含む第1のイオン吸着電極と、イオンを吸着できる第2の導電性物質を含む第2のイオン吸着電極とを浸漬させた状態で、前記第1のイオン吸着電極がアノードとなるように、前記第1のイオン吸着電極と前記第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加することによって、前記溶液中の陰イオンを前記第1のイオン吸着電極に吸着させ、前記溶液中の陽イオンを前記第2のイオン吸着電極に吸着させる工程を含み、
    前記(i)の工程において前記溶液がバッチ方式で処理され、
    前記電圧が、前記溶液による電圧降下がないと仮定した場合に前記溶液の溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧であるイオン濃度調整方法。
  2. 前記(i)の工程ののちに、
    (ii)前記容器内の前記溶液を他の液体に変え、前記第1のイオン吸着電極がカソードとなるように前記第1のイオン吸着電極と前記第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加することによって、前記第1のイオン吸着電極に吸着された前記陰イオンと前記第2のイオン吸着電極に吸着された前記陽イオンとを、前記液体中に放出させる工程を含む請求項1に記載のイオン濃度調整方法。
  3. 前記溶液が水溶液であり、
    前記電圧が2ボルトよりも高い請求項1に記載のイオン濃度調整方法。
  4. 前記溶液が非水溶液である請求項1に記載のイオン濃度調整方法。
  5. 前記(i)の工程と前記(ii)の工程とを複数回繰り返す請求項2に記載のイオン濃度調整方法。
  6. 前記第1および第2の導電性物質の比表面積が、900m2/g以上である請求項1に記載のイオン濃度調整方法。
  7. 前記第1および第2の導電性物質が、活性炭を含む請求項1に記載のイオン濃度調整方法。
  8. 前記第1のイオン吸着電極は、前記第1の導電性物質に接する第1の配線を含み、
    前記第2のイオン吸着電極は、前記第2の導電性物質に接する第2の配線を含む請求項1に記載のイオン濃度調整方法。
  9. 前記第1の配線の表面には、活性炭よりも酸素過電圧が小さい金属が存在し、
    前記第2の配線の表面には、活性炭よりも水素過電圧が小さい金属が存在する請求項8に記載のイオン濃度調整方法。
  10. 電圧を印加するための電源と、液体を導入および排出できる容器と、前記容器内に配置可能な第1および第2のイオン吸着電極とを含むイオン濃度調整装置であって、
    前記第1のイオン吸着電極は、イオンを吸着できる第1の導電性物質を含み、
    前記第2のイオン吸着電極は、イオンを吸着できる第2の導電性物質を含み、
    (i)前記容器内において、水素イオンおよび水酸化物イオン以外の少なくとも1種のイオン(L)を含む溶液に、前記第1および第2のイオン吸着電極を浸漬させた状態で、前記第1のイオン吸着電極がアノードとなるように、前記第1のイオン吸着電極と前記第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加することによって、前記溶液中の陰イオンを前記第1のイオン吸着電極に吸着させ、前記溶液中の陽イオンを前記第2のイオン吸着電極に吸着させる工程が行われ、
    前記(i)の工程において前記溶液がバッチ方式で処理され、
    前記電圧が、前記溶液による電圧降下がないと仮定した場合に前記溶液の溶媒が電気分解する電圧よりも高い電圧であるイオン濃度調整装置。
  11. 前記容器内に配置可能な対極をさらに含む請求項10に記載のイオン濃度調整装置。
  12. 前記(i)の工程ののちに、
    (ii)前記容器内の前記溶液を他の液体に変え、前記第1のイオン吸着電極がカソードとなるように前記第1のイオン吸着電極と前記第2のイオン吸着電極との間に電圧を印加することによって、前記第1のイオン吸着電極に吸着された前記陰イオンと前記第2のイオン吸着電極に吸着された前記陽イオンとを前記液体中に放出させる工程が行われる請求項10に記載のイオン濃度調整装置。
  13. 前記溶液が水溶液であり、
    前記電圧が2ボルトよりも高い請求項10に記載のイオン濃度調整装置。
  14. 前記溶液が非水溶液である請求項10に記載のイオン濃度調整装置。
  15. 前記第1および第2の導電性物質の比表面積が、900m2/g以上である請求項10に記載のイオン濃度調整装置。
  16. 前記第1および第2の導電性物質が、活性炭を含む請求項10に記載のイオン濃度調整装置。
  17. 前記第1のイオン吸着電極は、前記第1の導電性物質に接する第1の配線を含み、
    前記第2のイオン吸着電極は、前記第2の導電性物質に接する第2の配線を含む請求項10に記載のイオン濃度調整装置。
  18. 前記第1の配線の表面には、活性炭よりも酸素過電圧が小さい金属が存在し、
    前記第2の配線の表面には、活性炭よりも水素過電圧が小さい金属が存在する請求項17に記載のイオン濃度調整装置。
  19. 前記第1および第2の配線の表面に白金が存在する請求項17に記載のイオン濃度調整装置。
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