JP4428633B2 - 被処理水のウィルス失活方法 - Google Patents

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本発明は半導体製造分野、電力分野、医薬品製造分野、食品製造分野、その他の分野等で用いられる被処理水中のウィルスを失活させる方法に関する。
被処理水を殺菌する方法あるいは被処理水を処理する装置を殺菌する方法としては、これまでに加熱による殺菌方法、薬品による殺菌方法、濾過や吸着により処理する方法、紫外線等の電磁放射線照射による殺菌方法、電気の通電による殺菌方法等が知られている。
被処理水処理装置を加熱により殺菌する方法としては、例えば約60℃以上の高温の水を装置内に通すことにより殺菌を行う方法がある。この方法は殺菌効果を維持するためには、頻繁に装置の加熱を実施する必要があるが、その間は装置を停止するため、非連続的な装置の運転を余儀なくされるという問題がある。また、加熱による装置の部材の劣化が起こり、長期間の運転による装置の寿命が短縮するという問題がある。
被処理水処理装置を薬品により殺菌する方法としては、次亜塩素酸、酸やアルカリ、オゾン等の酸化剤を添加した液を装置内に通すことにより殺菌を行う方法がある。この方法では、処理液中に残留塩素が発生することがある。また装置や環境への負荷が大きく、ハロ酢酸等の有害副生成物の発生等が欠点として指摘されている。
被処理水を濾過や吸着により処理する方法としては、限外濾過膜や逆浸透膜により被処理水中の細菌などを分離除去する方法あるいはイオン交換体により細菌などを吸着除去する方法がある。しかし、濾過や吸着により処理する方法は単に微生物等を分離除去する方法であり、微生物はなお存在しており、死滅させるには別途の殺菌方法を実施する必要がある。また、濾過膜やイオン交換体は定期的に薬品による再生や交換作業を行う必要がある。
一方、電気を利用した被処理水処理装置の殺菌方法として、例えば、特開2002−126744号公報には、電解質を含む水溶液を電気再生式脱イオン純水器に通液するとともに、通液した電解質を含む水溶液に通電する電気再生式脱イオン純水器の殺菌法が開示されている。また、電気を利用した被処理水の殺菌方法も知られている。電気を利用して装置や被処理水を殺菌する方法は、通液装置の運転を停止して加熱殺菌する必要がなく、特別な薬品を添加する必要がなく、殺菌のための多大な運転コストやエネルギーを必要としない。また、濾過や吸着のための分離除去装置等と比較して、装置サイズは非常に小さく、設置スペースも取らない利点がある。しかも、濾過や吸着のような微生物の分離除去ではなく、完全な殺菌が可能である。
特開2002−126744号公報(請求項1)
しかしながら、特開2002−126744号公報の電気再生式脱イオン純水器の殺菌法は、装置の殺菌方法であって被処理水の殺菌方法ではなく、殺菌された処理水を連続して得られるものではない。また、従来、被処理水を通電により処理する方法は、生菌に対するものであり、ウィルスを失活させる方法ではない。大腸菌に代表される微生物の大きさは一般的に0.2μm以上であるが、ウィルスは大きさが一般的に0.01μm以上であり、微生物と比較すると小さく、また生物と物質の中間的存在と言われている。ウィルスは人体や生物に害を及ぼす点では微生物と同様であり、溶液や水等から除去あるいは失活させる必要がある。そこで、特に医薬品製造、食品製造分野においては、被処理水中のウィルスを連続的且つ効果的に失活させる簡易な方法が望まれていた。
すなわち、本発明の目的は、被処理水中のウィルスを連続的且つ効果的に失活させる簡易な方法を提供することにある。
かかる実情において、本発明らは鋭意検討を行った結果、一対の陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜によって区切られ且つその両膜間にイオン交換体が充填された処理室を有する装置において、電圧を印加させながら、被処理水を該処理室に流入し、処理する方法において、特定式で表される運転条件で運転すれば、簡易な方法で被処理水中のウィルスを連続的且つ効果的に失活させることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明(1)は、一対の陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜によって区切られ且つその両膜間にイオン交換体が充填された処理室を有する装置において、電圧を印加させながら、被処理水を該処理室に流入し、処理する方法であって、次式(1);
(電流[C/sec]×3,600[sec]÷9.65×10[C/eq]÷(処理室に流入する流量[L/h]÷処理室数[枚]))/( 被処理水中のイオン負荷[eq/L])≧1.4 (1)
によって規定される条件で運転するウィルス失活方法を提供するものである。
また、本発明(2)は、前記装置は、複数の処理室を有し、処理室間に通液室を有する前記被処理水のウィルス失活方法を提供するものである。
また、本発明(3)は、前記処理室内の圧力Pと通液室内の圧力Pの差ΔP(P−P)が0.01MPa以上である前記被処理水のウィルス失活方法を提供するものである。
また、本発明(4)は、前記処理室内における被処理水の滞留時間が9〜100秒である前記被処理水のウィルス失活方法を提供するものである。
また、本発明(5)は、被処理水の導電率が500μS/cm以下である前記被処理水のウィルス失活方法を提供するものである。
また、本発明(6)は、前記イオン交換体がイオン交換樹脂であり且つアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混床である前記被処理水のウィルス失活方法を提供するものである。
本発明によれば、被処理水中の不純物イオンをイオン交換して通液室に移動させる電流(上記(1)式の左辺で計算される値が1.0の場合)に対して、1.4倍以上の電流を流すため、水の解離現象により発生し且つ過剰分のHイオン又はOHイオンが処理室のカチオン交換体又はアニオン交換体表面に局在化し、イオン交換体表面において強酸性層又は強塩基性層が形成され、この強酸性層又は強塩基性層にウィルスが接触することにより、ウィルスの表層構造が破壊するか、あるいはウィルスの蛋白が変質するため、被処理水中のウィルスを連続的且つ効果的に失活させることができる。また、処理室内の圧力Pと通液室内の圧力Pの差ΔP(P−P)が0.01MPa以上であれば、通液室から処理室へイオン交換膜のピンホールを経て通過してくるウィルスの混入を防止することができる。更に、被処理水の導電率が500μS/cm以下であれば、処理室に印加した電流が液中ではなく、イオン交換体内を流れるため、前述のようなウィルス失活効果が発現する。また、ウィルスが失活された処理水は脱イオン水でもあり、医薬品製造用純水や食品製造用純水として好適に使用できる。
本発明のウィルス失活方法において用いる被処理水としては、特に制限されず、例えば、医薬品製造プロセス、食品製造プロセス等の各種製造プロセスに供給する水、人や家畜が飲用する水、飼料に用いる水、風呂やシャワーで利用する水などが挙げられる。また、各種製造プロセスに供給する水としては、例えば逆浸透膜処理水等が挙げられる。
被処理水中のウィルスの量としては、特に制限されず、例えば10〜10PFU/mlである。PFU(plaque formation unit)は形成プラーク数を示す。被処理水中のウィルスを定量する方法としては、公知の方法を適用することができ、例えば被処理水を滅菌用生理食塩水で適当な段階まで希釈し、各希釈段階の希釈液を寒天培地等に滴下してウィルスを培養し、形成プラーク数を算出する方法が挙げられる。
本発明のウィルス失活方法において用いる装置としては、例えば図1に示すように、一対の陽極11と陰極12の間にカチオン交換膜13とアニオン交換膜14によって区切られ且つその両膜間にカチオン交換樹脂16aとアニオン交換樹脂16bの混合樹脂16が充填された処理室15と、アニオン交換膜13と陽極11間およびカチオン交換膜13と陰極12間に通液室17をそれぞれ有する装置10が挙げられる。電圧を印加した状態において、被処理水18が装置10の処理室15に流入し、処理室15から流出した水が処理水19となる。また、通液室内に供給される水としては、特に制限されず、被処理水の一部を使用するものであっても、別途の供給水であってもよい。
また、装置10は、複数の処理室を有し、処理室間に通液室を有するものであってもよい。具体的には、陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜を交互に配し、両膜の間に処理室と通液室を交互に形成した装置、及び一側のカチオン交換膜、他側のアニオン交換膜及び当該カチオン交換膜と当該アニオン交換膜の間に位置する中間イオン交換膜で区画される2つの小処理室にイオン交換体を充填して処理室を構成し、前記カチオン交換膜、アニオン交換膜を介して処理室の両側に通液室を設け、これらの処理室及び通液室を陽極と陰極の間に配置して形成される装置が挙げられる。処理室が、中間イオン交換膜で区画される2つの小処理室を有する装置の場合、被処理水は、一方の小処理室(第1小処理室)に流入し、第1小処理室の流出水が他方の小処理室(第2小処理室)に流入し、第2小処理室の流出水が処理水となる。
カチオン交換膜とアニオン交換膜間に充填されるイオン交換体としては、特に制限されないが、イオン交換体がイオン交換樹脂であり且つアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混床であることが、被処理水が処理室内を通過する間、イオン交換樹脂表面のpHによる影響を受ける回数が多くなり、ウィルス失活効果が向上する点で好ましい。アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混床は、処理室内に少なくとも一部に形成されていればよい。また、処理室が中間イオン交換膜で区画される2つの小処理室を有する装置の場合、1つの小脱塩室の一部又は全部がアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混床であることが好ましい。
本発明の被処理水のウィルス失活方法は、前記装置において、電圧を印加させ前記(1)式の条件下、被処理水を該処理室に流入し処理する。(1)式の「電流[C/sec]×3,600[sec]÷9.65×10[C/eq]」は、電流を流すことで発生するH濃度、OH濃度を示すものであり、(1)式の「(処理室に流入する流量[L/h]÷処理室数[枚])」/(被処理水中のイオン負荷[eq/L])」は、1つの処理室当りの被処理水に含まれるイオン負荷である。9.65×10はファラデー定数である。従って、(1)式は被処理水中の不純物イオンをイオン交換して通液室に移動させる電流の1.4倍以上の電流を流すことを意味するものである。(1)式の好ましい値は2〜50、特に好ましくは5〜30である。(1)式の値が1.4未満であれば、ウィルスの失活効果は認められるものの、完全に失活したものではない点で好ましくない。被処理水中のイオン負荷は、カチオン負荷の総和、又はアニオン負荷の総和のいずれか一方について上記条件を満たしていればよく、また、カチオン負荷及びアニオン負荷の全イオン負荷の総和について上記条件を満たすものであってもよい。
本発明において、被処理水中の塩類としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン及びマグネシウムイオン等のカチオン、並びにHPO 2−、SO 2−、HSO 2−、SO 2−、NO 及びCl等のアニオンが挙げられる。被処理水のイオン負荷量は、特に制限されないが、通常0.1〜1000μeq/lであり、公知の方法により求めることができる。
本発明において、ウィルス失活の作用については、必ずしも明確ではないが、次のように推察される。すなわち、ウィルスは極めて小さい物質であるため、被処理水中、微粒子の如く存在し、静電的にイオン交換体に弱く吸着されつつ流下する。そこで電位が与えられると、不純物イオンの除去に消費される以上の過剰分のHイオン又はOHイオンがカチオン交換体又はアニオン交換体表面に局在化し、イオン交換体表面において強酸性層又は強塩基性層が形成され、この強酸性層又は強塩基性層にウィルスが接触することにより、ウィルスの表層構造が破壊するか、あるいはウィルスの蛋白が変質するため、被処理水中のウィルスを連続的且つ効果的に失活させることができる。
本発明のウィルス失活方法で用いる前記装置は、処理室内の圧力Pと通液室内の圧力Pの差ΔP(P−P)が0.01MPa以上、特に0.05〜0.1MPaであることが好ましい。処理室内の圧力Pが通液室内の圧力Pより小さい場合、0.01〜0.1μm程度のウィルスが、イオン交換膜の直径1μm以下のピンホールを通過して処理室内に流入してしまう。また、当該ΔPが、0<ΔP<0.01MPaにおいても、ウィルス失活効果のない通液室から処理室へイオン交換膜を経てウィルスが流入する可能性があるため、ΔPは0.01MPa以上であることが好ましい。なお、処理室内に供給される被処理水及び通液室内に供給される水の供給圧力の調整は、ポンプの駆動圧、あるいは圧力調整弁など公知の方法で調整される。
また、本発明のウィルス失活方法においては、処理室内における被処理水の滞留時間が9〜100秒、好ましくは20〜80秒であることが、ウィルス失活効果が顕著に表れる点で好ましい。被処理水の滞留時間が9秒未満では十分なウィルス失活が得られず、また100秒を超えると、実装置に適用した場合、装置の規模が大きくなり、工業的に非効率な運転コストを余儀なくされ実用的ではなくなるため好ましくない。また、被処理水の導電率は500μS/cm以下、特に10〜500μS/cmであることが好ましい。被処理水の導電率が500μS/cm以下であれば、処理室に電流を印加すると水中ではなく導電率の高いイオン交換体内を流れるため、イオン交換樹脂表面の帯電状態の変化に伴い樹脂表層でpHが急激に変化し、ウィルス失活効果が発現する。また、処理室から流出する処理水の導電率としては、特に制限されないが、通常1.0μS/cm以下、好ましくは0.5μS/cm以下である。
本発明の被処理水のウィルス失活方法によれば、簡易な方法により被処理水中のウィルスを連続的且つ効果的に失活させることができる。また、本発明のウィルス失活方法により得られた処理水は、脱イオン水であるため、食品製造用水、医薬品製造用水、又は食品製造、医薬品製造などの製造プロセス用水としてそのまま使用できる。具体的には、原水を限外濾過膜で処理し、該処理水を活性炭に通水して濾過し、該濾過水を安全フィルターに通し、該フィルター濾過水を逆浸透膜で処理し、透過水を被処理水として、前記運転条件にて運転し、ウィルスを失活させると共に脱イオン水を得る方法が例示として挙げられる。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
下記装置仕様及び条件において、図1に準ずる構成の装置を使用し、処理室及び通液室にそれぞれ通水して2時間運転を行った。処理水は15分、30分、60分、90分及び120分後に採取して処理水中に含まれるウィルス数を計測した。イオン負荷量をカチオン負荷総量で見た結果を図2(A)に示し、アニオン負荷総量で見た結果を図2(B)に示した。
・ 被処理水;純水に10CFU/ml大腸菌E.coilJCM1649及び10PFU/mlウィルスF RNA pharge Qβを含有させ、並びにナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、塩化物イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、硫酸イオンの各イオンをカチオン負荷総量及びアニオン負荷総量で500μeq/lで添加したもの(被処理水A)
・ 被処理水の水質;50μS/cm、
・ 装置の処理室;幅200mm、高さ300mm、厚み8mm
・ 処理室数;12枚
・ イオン交換膜;カチオン交換膜(ネオセフ゜タC66-10F)、アニオン交換膜(ネオセフ゜タAHA)(共にトクヤマ社製)
・ イオン交換樹脂;カチオン交換樹脂(IR120B)とアニオン交換樹脂(IRA402BL)の混床(体積比1:1)(共にロームアンドアース社製)
・ 被処理水の通液速度(流量);1.0m/時
・ 処理室内の圧力Pと通液室内の圧力Pの差ΔP;0.02MPa
・ 処理室での被処理水の滞留時間;50秒
・ 電流;前記(1)式でカチオン負荷の総和又はアニオン負荷の総和のいずれか一方を基準として1.5となる電流値(1.68A)
(ウィルス検定方法)
試料水又は採取水を滅菌用生理食塩水で適当な段階まで希釈し、各希釈段階の希釈液を培養して、ウィルスの形成プラーク数を測定する。ウィルスの失活効果は、被処理水中のウィルスに対する処理水中のウィルスの割合(%)を算出し、生存率として評価した。
前記(1)式における1.5に代えて、2.0(実施例2)となるように電流(2.24A)を印加した以外は、実施例1と同様の方法で行った。イオン負荷量をカチオン負荷総量で見た結果を図2(A)に示し、アニオン負荷総量で見た結果をそれぞれ図2(B)に示した。
前記(1)式における1.5に代えて、3.0(実施例3)となるように電流(3.36A)を印加した以外は、実施例1と同様の方法で行った。イオン負荷量をカチオン負荷総量で見た結果を図2(A)に示し、アニオン負荷総量で見た結果をそれぞれ図2(B)に示した。
比較例1及び2
前記(1)式における1.5に代えて、0.5(比較例1)又は1.0(比較例2)となるように電流(それぞれ0.56A、1.12A))を印加した以外は、実施例1と同様の方法で行った。イオン負荷量をカチオン負荷総量で見た結果を図2(A)に示し、アニオン負荷総量で見た結果をそれぞれ図2(B)に示した。
実施例4〜6
被処理水の水質が、ウィルス失活効果に及ぼす影響を検討した。すなわち、電流値を1.0Aに固定し、カチオン濃度とアニオン濃度を変化させ、(1)式の値がカチオン負荷あるいはアニオン負荷について0.5(比較例3)、1.0(比較例4)、1.5(実施例4)、2.0(実施例5)及び3.0(実施例6)となるように水質を変化させた以外は、実施例3と同様の方法で行った。被処理水の水質と(1)式の値の各条件を表1に示した。イオン負荷量をカチオン負荷総量で見た結果を図3(A)に示し、アニオン負荷総量で見た結果をそれぞれ図3(B)に示した。
Figure 0004428633
図2及び図3から明らかなように、(1)式の値で1.5以上となる運転条件の場合、被処理水からウィルスをほぼ完全に失活させることができた。また、(1)式のイオン負荷はカチオン負荷であっても、アニオン負荷であっても同じ結果を示した。
実施例7〜9、比較例5〜8
処理室内の圧力Pと通液室内の圧力Pの差ΔP(P−P)の影響を見るために、差ΔPを図4に示す値とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。なお、装置に用いたイオン交換膜は予め0.1μm程度のピンホール1個が形成されたものを使用した。なお、差圧ΔPは処理室内の圧力Pを0.2MPaに固定し、通液室内の圧力Pを変化させることで行った。その結果を図4中に■記号で示す。また、参考までに、同条件における処理水中の大腸菌の生存率を図4中、○記号で示した。
(大腸菌生存率測定方法)
試料水又は採取水を滅菌用生理食塩水で適当な段階まで希釈し、各希釈段階の希釈液0.1mlを普通寒天培地平板に塗抹し、37℃、24時間後の集落を係数し、生菌数を求める。殺菌効果の評価は被処理水中の生菌数に対する処理水中の生菌数の割合(%)を算出し、生存率として評価した。
図4から明らかなように、ΔPが0.01MPa以上の場合、ウィルス失活効果が認められたのに対して、ΔPが0.01MPa未満の場合、ウィルス失活効果は低下し始め、ΔPが0MPa以下において、ウィルス失活効果は認められなかった。これにより、ΔPが0.01MPa未満の場合、ウィルス失活効果のない通液室から処理室へイオン交換膜を経てウィルスが流出してくることが判った。ウィルスはその大きさが0.01〜0.1μmであり、イオン交換膜の直径0.1μmのピンホールを通過してしまう。このため、処理室内の圧力Pが通液室内の圧力Pより低い場合、通液室からウィルスが処理室に混入し、失活されなかったウィルスが処理水中に検出されたものと推察される。一方、大腸菌はΔPの−0.1〜+0.1MPaの範囲において殺菌効果が認められた。これは大腸菌の大きさが1μmであり、ΔPが0MPa以下においてもピンホールを通過できなかったものと思われる。
実施例10〜13、比較例9
処理室での被処理水の滞留時間50秒に代えて、5秒(比較例9)、9秒(実施例10)、10秒(実施例11)、100秒(実施例12)、1000秒(実施例13)とした以外は、実施例1記載の方法で行った。結果を図5に示す。図5から明らかなように、処理室での被処理水の滞留時間が9秒以上において、ウィルス失活効果が認められた。
実施例14〜16
被処理液の水質100μS/cmに代えて、5μS/cm(実施例14)、10μS/cm(実施例15)、500μS/cm(実施例16)、1000μS/cm(比較例10)、2500μS/cm(比較例11)及び5000μS/cm(比較例12)とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果を図6に示す。図6より、処理室への供給水の導電率が500μS/cm以下である場合にウィルス失活効果が認められた。
本発明のウィルス失活方法において用いる例示の装置の簡略図である。 被処理水の水質を一定とし、(1)式の値が0.5〜3の範囲における電流を印加してウィルス失活効果を見た図である。 電流値を一定とし、(1)式の値が0.5〜3の範囲となる被処理水を供給し電流を印加してウィルス失活効果を見た図である。 処理室内の圧力と通液室内の圧力の差圧ΔPとウィルス失活効果の関係を見た図である。 処理室における被処理水の滞留時間とウィルス失活効果の関係を見た図である。 被処理水の導電率とウィルス失活効果の関係を見た図である。

Claims (6)

  1. 一対の陽極と陰極の間にカチオン交換膜とアニオン交換膜によって区切られ且つその両膜間にイオン交換体が充填された処理室を有する装置において、電圧を印加させながら、被処理水を該処理室に流入し、処理する方法であって、次式(1);
    (電流[C/sec]×3,600[sec]÷9.65×10[C/eq]÷(処理室に流入する流量[L/h]÷処理室数[枚]))/(被処理水中のイオン負荷[eq/L])≧1.4 (1)
    によって規定される条件で運転することを特徴とするウィルス失活方法。
  2. 前記装置は、複数の処理室を有し、処理室間に通液室を有することを特徴とする請求項1記載の被処理水のウィルス失活方法。
  3. 前記処理室内の圧力Pと通液室内の圧力Pの差ΔP(P−P)が0.01MPa以上であることを特徴とする請求項2記載の被処理水のウィルス失活方法。
  4. 前記処理室内における被処理水の滞留時間が9〜100秒であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の被処理水のウィルス失活方法。
  5. 被処理水の導電率が500μS/cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の被処理水のウィルス失活方法。
  6. 前記イオン交換体がイオン交換樹脂であり且つアニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂の混床であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の被処理水のウィルス失活方法。


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