JP2005219045A - 溶液の液質制御方法および装置 - Google Patents

溶液の液質制御方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶液中に存在するイオンの濃度や存在比率を電気的に制御し、液質を比較的簡単な装置で高精度に制御できる溶液の液質制御装置を提供する。
【解決手段】液質制御対象とする溶液中に存在して直流電圧が印加される電極6,7と、上記電極6,7に印加する電位差を制御する制御回路8とを備え、上記制御回路8で電極に印加する電位差を連続的に制御することにより、溶液中のイオンの電極6,7への吸着および電極6,7に吸着されたイオンの溶液中への放出を制御する。溶液中のイオンを減少させたいときには、電極6,7に電圧を印加して溶液中のイオンを電極に吸着させ、反対に溶液中のイオンを増加させたいときには、電極6,7への電圧の印加を解除して電極6,7に吸着されたイオンを溶液中に放出させることにより、溶液中のイオン濃度や存在比率を目標値に制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、溶液中に存在するイオン等の帯電物質の濃度や存在比率等の液質を、電気的な制御のみにより溶液に対する直接的な制御を実現することにより、溶液の液質を比較的簡単な装置で高精度に制御できる溶液の液質制御方法および装置に関するものである。
従来から、さまざまな産業分野において各種の特性を有する溶液が用いられている。このような溶液は、pH,電気抵抗,濃度,密度,粘度,色,味覚等の各種の液質を、用途に応じて最も適切な特性となるように調整して使用される。このような液質の制御は、主としてイオン濃度を制御することにより行うことが可能であり、特にpH,電気抵抗等は主としてイオン濃度を制御することにより行われる。
上記のようなイオン濃度の制御方法として、例えば下記の特許文献1に示すように、制御対象の溶液のイオン濃度を検知して、そのイオン濃度が目標のレベルとなるように所定の薬品を補充することにより行うものが開示されている。
また、下記の特許文献2に示すように、溶液を電気分解しながらイオン透過性膜を透過させることにより、酸性水とアルカリ性水に分離してpHセンサが設けられた塩水タンクに導入し、上記pHセンサの検出信号に基づいて酸性水とアルカリ性水の導入量を調節することにより塩水のpHを所望の値に制御するものが開示されている。
さらに、下記の特許文献3に示すように、カソードの面積をアノードの面積よりも大きくすることにより、電気化学的手法により被処理水中の窒素化合物を分解除去するものが開示されている。
さらに、下記の特許文献4および5に示すように、溶液中に存在させた2枚の電極に直流電流を印加して溶液中のイオンを除去・回収するものが開示されている。
特開2001−103855号公報 特開平7−299457号公報 特開2002−248474号公報 特開平6−325983号公報 特表平11−505463号公報
しかしながら、上記特許文献1のような方法では、制御対象とする溶液のタンク以外に、補充用の薬品タンクおよびその薬品を補充するためのポンプおよび配管が、必要とする薬品の種類の数だけ必要となり、設備が大掛かりなものとなってしまう。また、上記特許文献2の方法でも、導入する酸性水とアルカリ性水をタンクに貯めておくのではなく電気分解で生成するに過ぎず、制御対象とする溶液のタンク(塩水タンク)以外に電気分解装置や配管が必要になり、設備が大掛かりなものとなってしまう。このため、上記いずれの方法でも、設備が複雑かつ大掛かりで、設備コストやメンテナンスコストがかかるという問題がある。しかも、上記特許文献2の方法では、イオン透過性膜を必要とすることから、その交換や再生等のメンテナンスが必要となり、設備維持のために多大なコストがかかっているのが実情である。
また、特許文献1および特許文献2のいずれの方法でも、イオン濃度やpHが目標レベルとなるように調整用の液体を補充するものに過ぎず、制御対象の溶液自体を直接制御するのではない。このような調整用液体を補充する場合、調整用液体の特性ばらつきが制御精度に影響したり、補充過剰による調整精度のばらつきが生じやすかったりするという問題もあった。また、イオン濃度やpHを微調整しようとすると、少量の調整用液体を投入して制御することになるのであるが、少量の調整用液体の投入がタンク内で十分に混ざり、イオン濃度やpHの検出値に反映してから、再度少量の調整用液体を投入することを繰り返す必要があることから、微調整作業には時間と手間がかかるという問題があった。
さらに、上記特許文献3に示す方法は、カソードの面積をアノードの面積よりも大きくすることにより、カソードで生じる還元反応を促進させて窒素化合物を分解・除去するものに過ぎず、溶液の液質が任意の目標値になるようにコントロールし、制御できるものではない。また、上記特許文献4および5に示す方法も、単に溶液中のイオン性物質を除去するだけのものに過ぎず、溶液の液質が任意の目標値になるようにコントロールし、制御できるものではない。
本発明は、上記のような事情に鑑みなされたもので、溶液中に存在するイオン等の帯電物質の濃度や存在比率等の液質を、電気的な制御のみにより溶液に対する直接的な制御を実現することにより、溶液の液質を比較的簡単な装置で高精度に制御できる溶液の液質制御方法および装置の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の溶液の液質制御方法は、液質制御対象とする溶液中に直流電圧が印加される電極を存在させ、上記両電極間の電位差および/または電流値を制御することにより、溶液中の帯電物質の電極への吸着および電極に吸着された帯電物質の溶液中への放出を可逆的に行って溶液の液質を目標値に制御することを要旨とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の溶液の液質制御装置は、液質制御対象とする溶液を貯留する貯留槽と、上記溶液中に存在して直流電圧が印加される電極と、上記両電極間に印加する電位差および/または電流値を制御する制御手段とを備え、上記制御手段で両電極に印加する電位差および/または電流値を制御することにより、溶液中の帯電物質の電極への吸着および電極に吸着された帯電物質の溶液中への放出を可逆的に行って溶液の液質を目標値に制御することを要旨とする。
すなわち、本発明の溶液の液質制御方法および装置は、液質制御対象とする溶液中に存在させた電極に印加する電位差および/または電流値を制御することにより、溶液中の帯電物質の電極への吸着および電極に吸着された帯電物質の溶液中への放出を可逆的に制御する。このため、制御対象とする溶液中の帯電物質を減少させたいときには、電極に電圧を印加するよう制御して溶液中の帯電物質を電極に吸着させ、反対に溶液中の帯電物質を増加させたいときには、電極への電圧の印加を解除等するよう制御して電極に吸着された帯電物質を溶液中に放出させればよい。例えば、溶液中の陽極にプラス電圧を印加すると溶液中のマイナス帯電物質が吸着され、陰極にマイナス電圧を印加すると、プラス帯電物質が吸着され、溶液中のマイナス帯電物質やプラス帯電物質が減少する。また、上記吸着時に印加された直流電圧を解除して陽極と陰極を短絡させるか、あるいは逆接続することにより、陽極に吸着されたマイナス帯電物質は溶液中に放出され、陰極に吸着されたプラス帯電物質は溶液中に放出される。このように、上記溶液中に存在させた電極への帯電物質の吸着と放出の双方を制御することにより、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率を制御し、溶液の液質を制御することができるのである。しかも、上記溶液中に存在させた電極への帯電物質の吸着と放出の双方を可逆的に制御することにより、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率を目標値に制御し、溶液の液質を目標の特性に制御することができる。
このように、制御対象とする溶液中に電極を存在させ、その電極に印加する電位差および/または電流値を制御することにより、制御対象とする溶液中に存在する帯電物質の濃度や存在比率等の液質を、電気的な制御のみにより、溶液に対する直接的な制御を行うことができる。したがって、従来のように、調整用液を蓄えるタンクや調整用液をつくるための電気分解装置、それにともなう複雑な配管等を必要とせず、装置が大幅に簡素化小型化し、設備コストやメンテナンスコストの大幅な節減が可能となった。また、従来のようなイオン交換膜を必要としないことから、イオン交換膜のメンテナンスも不要となる。しかも、従来のように、調整用液体を補充するのではなく、制御対象の溶液自体を直接制御することから、調整用液体の特性ばらつきが制御精度に影響したり、補充過剰による調整精度のばらつきが生じたりするという問題も完全に解消する。しかも、液質の微調整を行う場合でも、電極に印加する電位のレベルを微調整して電極への帯電物質の吸着と放出を微調整することにより、容易に液質の微調整を行うことができ、従来の調整溶液を補充する方法に比べて、極めて短時間で高精度の液質制御を実現することができるのである。以上のように、本発明によれば、溶液の液質を比較的簡単な装置で高精度に制御することができるようになる。
本発明の溶液の液質制御方法において、上記両電極間の電位差および/または電流値を、両電極間に流れる電流値と通電時間を積算した電流積算値に基づいて制御することにより、上記電極への帯電物質の吸着量および放出量を制御する場合、および、本発明の溶液の液質制御装置において、両電極間に流れる電流値と通電時間を積算した電流積算値を算出する電流積算手段を備え、上記制御手段は、上記両電極間の電位差および/または電流値を、上記算出された電流積算値に基づいて制御することにより、上記電極への帯電物質の吸着量および放出量を制御する場合には、
電流積算値という計測が容易な数値に基づいて吸着量および放出量を制御できることから、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率の制御が行いやすい。
本発明の溶液の液質制御方法において、上記帯電物質の吸着および放出を、実質的に溶液の電気分解を生じない電位差で行なうよう制御する場合、および、本発明の溶液の液質制御装置において、上記電極は、溶液と通電する導電体からなり、上記制御手段は、上記帯電物質の吸着および放出が、実質的に溶液の電気分解を生じない範囲で行なわれるよう、上記電極に印加する電位を制御する場合には、
溶液を電気分解させてしまうと、それだけで帯電物質の濃度等の液質が変化するが、帯電物質の吸着および放出を実質的に溶液の電気分解を生じない範囲で行なうことにより、帯電物質の吸着および放出によってのみ液質の制御を行い、電極に印加する電位の制御だけを液質に反映させて他の要因を排除し、常に正確な液質制御を実現し、液質制御の精度を確保できる。
本発明の溶液の液質制御装置において、上記貯留槽には、液質制御対象とする溶液を導入する導入路と、液質が制御された溶液を排出する排出路とを備え、目標液質の溶液を連続的に生成するように構成されている場合には、
制御対象の溶液を貯留槽に導入しながら、貯留槽において電極への帯電物質の吸着と放出を制御して液質の制御を行い、液質が制御された溶液は連続的に排出路から排出される。このように、連続的に溶液を流しながら溶液の液質制御を行えることから、極めて良好な処理効率での運転が可能である。
本発明の溶液の液質制御装置において、上記排出路もしくはその近傍において溶液中の帯電物質を検知する帯電物質検知手段を備え、上記制御手段は、帯電物質検知手段による溶液中の帯電物質の検知結果に応じて電極に印加する電位差および/または電流値を制御する場合には、
帯電物質検知手段による帯電物質の検知結果に応じて電極に印加する電位差および/または電流値を制御することにより、連続的に流れる溶液を常に目標の液質となるように制御することが可能となる。このように、目標とする液質への制御を連続的に行い、目標液質の溶液を連続的に生成することができるようになる。
本発明の溶液の液質制御装置において、上記導入路または排出路には、導入もしくは排出される溶液の流量を調節する流量調節弁が設けられ、上記制御手段は、帯電物質検知手段による溶液中の帯電物質の検知結果に応じて上記流量調節弁を制御する場合には、
連続的に溶液を流しながら帯電物質の吸着と放出を制御するときに、帯電物質検知手段による帯電物質の検知結果に応じて流量を適切に制御することにより、流量が制御精度に与える影響をなくし、常に目標液質の溶液を連続的に生成することができるようになる。
本発明の溶液の液質制御方法において、プラス帯電物質およびマイナス帯電物質の吸着と放出を可逆的に行う場合、および、本発明の溶液の液質制御装置において、上記制御手段は、プラス帯電物質およびマイナス帯電物質の吸着と放出を可逆的に行うよう制御する場合には、
上記溶液中に存在させた電極への帯電物質の吸着と放出の双方を可逆的に制御することにより、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率を目標値に制御し、溶液の液質を目標の特性に制御することができる。
本発明の溶液の液質制御方法において、上記両電極は静電吸着能力が異なる電極が組になっており、上記溶液に元々存在したプラス帯電物質とマイナス帯電物質のいずれかを選択的に多く吸着する場合、および、本発明の溶液の液質制御装置において、上記両電極は、静電吸着能力が異なる電極が組になっており、液質制御対象とする溶液に元々存在した帯電物質のいずれかを選択的に多く吸着しうるように構成されている場合には、
溶液中に元々存在していた帯電物質の静電吸着能力が大きな側の電極への吸着量を増大させ、結果として制御対象とする溶液中に元々存在していたプラス帯電物質とマイナス帯電物質の存在比率すなわち濃度バランスを制御することが可能となる。例えば、陽極の静電吸着能力が陰極よりも大きくなるように設定すると、溶液中に元々存在していたマイナス帯電物質の吸着量がプラス帯電物質よりも多くなる。その結果、(溶液中に新たなマイナス帯電物質が生成したとしても)元々存在していたプラス帯電物質の存在比率が、元々存在していたマイナス帯電物質よりも高い状態に制御することが可能となる。反対に、陰極の静電吸着能力が陽極よりも大きくなるように設定すると、溶液中に元々存在していたプラス帯電物質の吸着量がマイナス帯電物質よりも多くなる。その結果、(溶液中に新たなプラス帯電物質が生成したとしても)元々存在していたマイナス帯電物質の存在比率が、元々存在していたプラス帯電物質よりも高い状態に制御することが可能となる。このように、溶液中に元々存在していたプラス帯電物質とマイナス帯電物質の濃度バランスを制御できるようになる。
本発明の溶液の液質制御方法において、両電極に印加した直流電圧の極性を切り換えることにより、溶液中に元々存在していたプラス帯電物質を多く吸着するモードと、溶液中に元々存在していたマイナス帯電物質を多く吸着するモードとを切り換える場合、および、本発明の溶液の液質制御装置において、上記制御手段は、両電極に印加した直流電圧の極性を切り換えることにより、溶液中に元々存在していたプラス帯電物質を多く吸着するモードと、溶液中に元々存在していたマイナス帯電物質を多く吸着するモードとを切り換えるよう制御する場合には、
溶液中に元々存在していたプラス帯電物質を多く吸着するモードと、溶液中に元々存在していたマイナス帯電物質を多く吸着するモードとを切り換えることにより、上記溶液中に元々存在していたプラス帯電物質とマイナス帯電物質の吸着と放出を可逆的に制御し、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率を目標値に制御して、溶液の液質を目標の特性に制御することができる。
本発明の溶液の液質制御装置において、陽極の静電吸着能力が陰極よりも大きくなるよう設定された第1電極組と、陰極の静電吸着能力が陽極よりも大きくなるよう設定された第2電極組とを備えている場合には、
第1電極組と第2電極組のそれぞれで、静電吸着能力の大きな側の電極への帯電物質の吸着量を増大させ、結果として制御対象とする溶液中に元々存在していたプラス帯電物質と元々存在していたマイナス帯電物質の存在比率すなわち濃度バランスを任意の状態に制御することが可能となる。すなわち、陽極の静電吸着能力が陰極よりも大きい第1電極組では、元々存在していたマイナス帯電物質の吸着量を増やし、陰極の静電吸着能力が陽極よりも大きい第2電極組では、元々存在していたプラス帯電物質の吸着量を増やすことができる。その結果、元々溶液中に存在していたプラス帯電物質とマイナス帯電物質の濃度バランスを任意の状態に制御できるようになる。
本発明の溶液の液質制御装置において、静電吸着能力が異なる電極は、比表面積が異なる電極である場合には、
比表面積が大きな電極には、比表面積が小さい電極よりも多くの帯電物質が吸着されることから、電極の材質を適宜選定することにより、電極の静電吸着能力を適宜設定して運転することが可能となる。
本発明の溶液の液質制御方法および装置において、上記静電吸着能力が異なる電極は、実質の表面積が異なる電極である場合には、実質の表面積が大きな電極には、実質の表面積が小さい電極よりも多くの帯電物質が吸着されることから、電極を適宜選定することにより、電極の静電吸着能力を適宜設定して運転することが可能となる。
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明の溶液の液質制御装置の第1の実施の形態を示す図である。
上記液質制御装置は、液質制御対象とする溶液を貯留する貯留槽1と、上記貯留槽1に貯留された溶液中に存在して直流電圧が印加される電極6,7と、上記電極6,7に印加する電位差および/または電流値を制御する制御回路8とを備えている。
上記電極6,7は、電圧制御および電流制御が可能な直流電源4に接続されて、プラス電位が印加される陽極6と、マイナス電位が印加される陰極7とから構成されている。5は、上記電極6,7と直流電源を接続して各電極6,7に直流電圧を印加する状態と、両電極6,7間を短絡させる状態とを切り換えるスイッチである。
上記貯留槽1には、貯留槽1に溶液を導入する導入路2と、貯留槽で液質が調整された調整済みの溶液を排出する排出路3とが設けられている。上記排出路3には、貯留槽1から排出される調整済み溶液のイオン濃度を検知する帯電物質検知手段としてのイオン濃度計10が設けられている。また、上記導入路2には、貯留槽1に導入する溶液の流量を調節する流量調節弁11と、上記流量調節弁11で調節された流量で貯留槽1に導入される溶液の流量を検知する流量計9が設けられている。上記イオン濃度計10で検知されたイオン濃度および流量計で検知された流量は、制御回路8に送られる。
上記制御回路8は、上記スイッチ5の切り換え制御を行って、両電極6,7に印加する電位を制御することにより、溶液中の帯電物質であるイオンの電極6,7への吸着および電極6,7に吸着されたイオンの溶液中への放出を制御する。
すなわち、液質制御対象とする溶液中に存在させた電極6,7に印加する電位を制御することにより、溶液中のイオン等の帯電物質の電極6,7への吸着および電極6,7に吸着された帯電物質の溶液中への放出を制御する。このため、制御対象とする溶液中の帯電物質を減少させたいときには、図1(a)に示すように、スイッチ5を電極6,7に電圧を印加するよう切り換え制御して溶液中の帯電物質を電極6,7に吸着させ、反対に溶液中の帯電物質を増加させたいときには、図1(b)に示すように、スイッチ5を電極6,7を短絡させて電圧の印加を解除するよう制御して電極6,7に吸着された帯電物質を溶液中に放出させればよい。
このとき、プラス電位が印加された陽極6には溶液中のマイナスイオンが吸着され、マイナス電位が印加された陰極7にはプラスイオンが吸着され、溶液中のイオンが減少する。また、陽極6と陰極7とを短絡させて上記吸着時に印加された直流電圧を解除することにより、陽極6に吸着されたマイナスイオンは溶液中に放出され、陰極7に吸着されたプラスイオンは溶液中に放出される。このように、上記溶液中に存在させた電極6,7へのイオンや帯電粒子等の吸着と放出の双方を制御することにより、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率を目標値に制御し、溶液の液質を制御することができるのである。
なお、上記両電極6,7に印加する電圧としては、特に限定するものではないが、0.5〜5V程度に設定するのが好ましい。
ここで、図1では、貯留槽1の中に陽極6と陰極7がそれぞれ1枚ずつの例を模式的に表したいわゆるビーカーモデルを示したが、工業的には、図2に示すように、複数の集電極(両面電極)18a,18bを配設したセルとすることができる。
このセルは、2枚の末端プレート16の間に、複数(この例では12)の両面電極18a,18bが積層状態に配置され、各両面電極18a,18b同士の間および両面電極18a,18bと末端プレート16の間には枠状スペーサ23が配置されている。17は積層状の枠状スペーサ23、末端プレート16、両面電極18a,18bを固定するボルトナットである。
一方の両面電極18aは、セパレータ12の両面に陽極6が設けられた陽電極であり、他方の両面電極18bは、セパレータ12の両面に負極7が設けられた陰電極である。そして、陽電極18aと陰電極18bが交互に積層されることにより、隣り合う両面電極18a,18b間において陽極6と陰極7が対面するように配置されている。そして、上記両面電極18a,18b、枠状スペーサ23、末端プレート16により形成される内部空間が、溶液が貯留される貯留空間であり、セル全体が貯留槽として機能する。上記貯留空間は、両面電極18a,18bによって複数段(この例では13段)の空間に仕切られている。
また、一方(図では上側)の末端プレート16に導入路2(図2には示していない)に連通する導入口14が形成され、他方の末端プレート16に排出路3(図2には示していない)に連通する排出口15が形成されている。また、この例では、各セパレータ12には、内部の貯留空間に導入された溶液が格段の空間をジグザグに流れるよう、千鳥状の配置で連通口13が形成されている。
そして、導入口14から導入された溶液は、陽極6と陰極7に挟まれる複数の空間を通りながら電極6,7へのイオン等の吸着と放出を受けて液質が制御され、調整済みの溶液が排出口15から排出されるのである。
このように、制御対象とする溶液中に電極6,7を存在させ、その電極に印加する電位差および/または電流値を制御することにより、制御対象とする溶液中に存在する帯電物質の濃度や存在比率等の液質を、電気的な制御のみにより、溶液に対する直接的な制御を行うことができる。したがって、従来のように、調整用液を蓄えるタンクや調整用液をつくるための電気分解装置、それにともなう複雑な配管等を必要とせず、装置が大幅に簡素化小型化し、設備コストやメンテナンスコストの大幅な節減が可能となった。また、従来のようなイオン交換膜を必要としないことから、イオン交換膜のメンテナンスも不要となる。
しかも、従来のように、調整用液体を補充するのではなく、制御対象の溶液自体を直接制御することから、調整用液体の特性ばらつきが制御精度に影響したり、補充過剰による調整精度のばらつきが生じたりするという問題も完全に解消する。しかも、液質の微調整を行う場合でも、電極に印加する電位差や電流値を微調整して電極への帯電物質の吸着量や放出量ならびに吸着速度や放出速度を微調整することにより、容易に液質の微調整を行うことができ、従来の調整溶液を補充する方法に比べて、極めて短時間で高精度の液質制御を実現することができるのである。以上のように、本発明によれば、溶液の液質を比較的簡単な装置で高精度に制御することができるようになる。
なお、以上の説明では、電極6,7に吸着したイオン等を溶液内に放出させるときに両電極6,7を短絡させるようにしたが、これに限定するものではなく、単にスイッチを切って電極6,7への直流電圧の印加を解除したり、あるいは、陽極6にマイナス電圧を印加するとともに陰極7にプラス電圧を印加して逆極性にする接続を行ったりしてもよい。
また、上述した説明では、陽極6と陰極7に直流電圧を印加させた状態と短絡した状態を切り換え、両電極6、7間の電位差を制御してイオン等の吸着および放出を制御する例を示したが、両電極6、7間の通電のオンオフだけでなく、電位差を増減させるようにコントロールしたり、両電極6,7間に流れる電流値を増減させるようにコントロールしたりしてイオン等の吸着および放出を制御することもできる。また、上記電位差と電流値の双方を増減させるようにコントロールしてイオン等の吸着および放出を制御することも可能である。
そして、両電極6,7への直流電圧の印加と短絡を交互に行ったり、交互に極性を逆にしたり、あるいは、電位差や電流値を連続的にコントロールすることにより、プラスイオンおよびマイナスイオンの吸着と放出を可逆的に行うように制御することができる。このようにすることにより、上記溶液中に存在させた電極6,7へのイオン等の帯電物質の吸着と放出の双方を可逆的に制御し、溶液中のイオン等の濃度や存在比率を目標値に制御し、溶液の液質を目標の特性に制御することができる。
また、上記制御回路8は、イオン濃度検出手段としてのイオン濃度計10による溶液中の帯電物質の検知結果に応じて電極6,7に印加する電位差および/または電流値を制御するようになっている。すなわち、例えば、イオン濃度計10において調整済溶液のイオン濃度等が目標値よりも高くなったときに、スイッチ5を電極6,7に電圧を印加するよう切り換えて溶液中の帯電物質を電極6,7に吸着させ、反対にイオン濃度計10における調整済溶液のイオン濃度等が目標値よりも低くなったときには、スイッチ5を電極6,7を短絡させるよう切り換えて電極6,7に吸着された帯電物質を溶液中に放出させればよい。なお、イオン濃度検出手段としては、イオン濃度に対応する物理量を検出するものであれば、イオン濃度計10に限らず、各種のものを適用することができる。
そして、制御対象の溶液を導入路2から貯留槽1に導入しながら、貯留槽1において電極6,7への帯電物質の吸着と放出を制御して液質の制御を行い、液質が制御された調整済溶液は連続的に排出路3から排出される。このように、連続的に溶液を流しながら溶液の液質制御を行えることから、極めて良好な処理効率での運転が可能である。また、イオン濃度計10によるイオン等の検知結果に応じて電極6,7に印加する電位差および/または電流値を制御することにより、連続的に流れる溶液を常に目標の液質となるように制御することが可能となる。このように、目標とする液質への制御を連続的に行い、目標液質の溶液を連続的に生成することができるようになる。
また、上記制御回路8は、イオン濃度計10による溶液中のイオン濃度等の帯電物質の検知結果に応じて上記流量調節弁11を制御する。すなわち、連続的に溶液を流しながらイオンの吸着と放出を制御するときに、流量が大きすぎると、電極6,7へのイオンの吸着や放出による溶液の液質変化が十分に反映しない状態で溶液が排出路3から排出されてしまい、反対に流量が小さすぎると処理効率が低下する。したがって、連続的に溶液を流しながら帯電物質の吸着と放出を制御するときに、イオン濃度計10によるイオン濃度の検知結果に応じて流量を適切に制御することにより、流量が制御精度に与える影響をなくし、常に目標液質の溶液を連続的に生成することができるようになる。
また、上記制御回路8は、上記直流電源4の電圧の制御を行って、両電極6,7に印加する電位差を制御することにより、溶液中の帯電物質であるイオンの電極6,7への吸着および電極6,7に吸着されたイオンの溶液中への放出を制御する。すなわち、制御対象とする溶液中の帯電物質をより減少させたいときには、直流電源4の電圧を上昇させてより多くのイオン等を電極6,7に吸着させることができる。また、直流電源4の電圧を高くすることにより、電極6,7へのイオン等の吸着速度が早くなり、逆電圧をかけたときの電極6,7からの放出速度も速くなり、より鋭敏な液質制御を行うことができる。同様に、両電極6,7に印加する電流値を制御することにより、溶液中の帯電物質であるイオンの電極6,7への吸着量や吸着速度および電極6,7に吸着されたイオンの溶液中への放出量や放出速度を制御することができる。
さらに、上記制御回路8は、イオン濃度計10において調整済溶液のイオン濃度等が目標値よりも高くなったときに、スイッチ5を電極6,7に電圧を印加するよう切り換えて溶液中の帯電物質を電極6,7に吸着させるのであるが、この場合において、あらかじめ設定された所定時間が経過しても目標値に達しないときには、流量調節弁11を流量が小さくなるように制御することができる。このような場合に流量を小さくすることにより、溶液が貯留槽1内に滞留する時間が長くなり、より多くのイオン等を電極6,7に吸着させて液質を目標値まで制御することができるようになる。反対に、目標値に達するまでの時間が、あらかじめ設定された所定時間以下であるときには、流量調節弁11を流量が大きくなるように制御する。このような場合に流量を大きくすることにより、溶液が貯留槽1内に滞留する時間が短くなり、短時間で液質を目標値まで制御することができて処理効率を向上させることができるようになる。
また、上記制御回路8は、イオン濃度計10において調整済溶液のイオン濃度等が目標値よりも高くなったときに、スイッチ5を電極6,7に電圧を印加するよう切り換えて溶液中の帯電物質を電極6,7に吸着させるのであるが、この場合において、あらかじめ設定された所定時間が経過しても目標値に達しないときには、直流電源4の電圧を高くするように制御することもできる。このような場合に電圧を高くすることにより、より多くのイオン等を電極6,7に吸着させて液質を目標値まで制御することができるようになる。反対に、目標値に達するまでの時間が、あらかじめ設定された所定時間以下であるときには、直流電源4の電圧を低くするように制御する。このような場合に電圧を低くすることにより、電力消費を少なくし、エネルギー効率を向上させることができるようになる。
また、図1や図2に示した装置を2槽併設し、一方の吸着能力が低下したら他方の装置による吸着を行うよう、2槽の装置を切り換え制御するようにしてもよい。
また、上記制御回路8は、上記帯電物質の吸着および放出が、実質的に溶液の電気分解を生じない範囲で行なわれるよう、上記電極6,7に印加する電位差を制御する。具体的には、溶液の種類に応じて適宜設定されるが、溶媒が水である場合には、2V以下が好ましく、より好適なのは1.5V以下である。溶液を電気分解させてしまうと、それだけで帯電物質の濃度等の液質が変化するが、帯電物質の吸着および放出を実質的に溶液の電気分解を生じない範囲で行なうことにより、帯電物質の吸着および放出によってのみ液質の制御を行い、電極6,7に印加する電位の制御だけを液質に反映させて他の要因を排除し、常に正確な液質制御を実現し、液質制御の精度を確保できる。このような電圧範囲で制御するのは、特に、上記電極6,7が、金属やカーボン等の溶液と通電する導電体からなる場合に有効である。また、溶液の電気分解が生じた場合、電極の消耗が加速されてメンテナンスコストがかかったり、スラッジの除去設備が必要になったりするという不都合も生じるからである。
上記電極6,7としては、ステンレス,チタン,ニッケル,銅,白金,金等各種の金属材料や、カーボン等の導電材料を用いることができる。上記電極6,7は、板状とするのが好ましく、厚みは、特に限定するものではないが、0.1〜5mm程度が好ましく、より好ましいのは0.5〜2mm程度である。陽極6と陰極7の間隔は、特に限定するものではないが、0.1〜5mm程度が好ましく、より好ましいのは0.5〜2mm程度である。なお、陽極6と陰極7の間隔は、溶液が通過してイオンの吸着や放出を妨げなければ、0.1mm以下とすることを妨げるものではない。
上記電極6,7として金属を用いる場合、金属板にめっきや表面改質を施したものを用いることができる。例えば、ステンレス板の表層部に、フッ化処理の後低温浸炭処理を施すことにより、クロム炭化物が実質的に析出していない炭素の拡散浸透層を形成したものを用いることができる。また、チタン板に白金をめっきしたものを用いることもできる。これらは極めて耐食性に優れることから、好適に用いられる。
また、上記電極6,7として、金属粉末の焼結体,板状活性炭,活性炭不織布,炭化ケイ素等の導電性セラミックス,カーボンエアロゲル(BET比表面積を500〜2500m/gに調整した孔径2〜50nmのメソポア主体のカーボンシート)等の多孔質体を用いることができる。このような多孔質体を電極6,7として用いることにより、電極6,7の表面積を大幅に大きくし、イオン等の吸着量を著しく増大させることができる。
上記陽極6と陰極7は、同じ種類のものを使用することもできるし、制御対象とする溶液の種類や制御しようとする物性に応じて異なる種類のものを組み合わせて使用することもできる。
図2の装置において、両電極6,7間に流れる電流値と通電時間を積算した電流積算値を算出する電流積算手段(図示せず)を備え、上記制御手段8は、上記両電極6,7間の電位差および/または電流値を、上記算出された電流積算値に基づいて制御することにより、上記電極6,7への帯電物質の吸着量および放出量を制御するようにすることができる。
このようにすることにより、電流積算値という計測が容易な数値に基づいて吸着量および放出量を制御できることから、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率の制御が行いやすい。
それ以外は、上記第1実施形態と同様であり同様の部分には同じ符号を付している。この実施例でも上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
図3は、本発明の第2の実施の形態の液質制御装置を示す。
この例は、上記電極6a,7bは、陽極6aと陰極7bが組になっており、上記陽極6aと陰極7bの比表面積が異なるものを組み合わせ、両電極6a,7bの静電吸着能力が異なる電極6a,7bを組としたものである。その結果、比表面積の大きな側の電極(この例では陽極6aである)へのイオン等の帯電物質の吸着量が選択的に増大し、結果として制御対象とする溶液中に元々存在していたプラスイオンとマイナスイオンの存在比率すなわち濃度バランスを制御することが可能となる。
すなわち、図示したものは、陽極6aとして比表面積の大きな多孔質電極を使用し、陰極7bとして比表面積の小さい板状電極を使用している。このように、陽極6aの比表面積を陰極7bよりも大きくなるように設定すると、マイナスイオンの吸着量をプラスイオンよりも増やすことができる。その結果、溶液中に元々存在していたマイナスイオン等の陽極6aへの吸着量が増大し、結果として制御対象とする溶液中に元々存在していたプラスイオンとマイナスイオンの存在比率すなわち濃度バランスを制御することが可能となる。
例えば、制御対象となる溶液がNaCl水溶液である場合、プラスイオンとしてNa、マイナスイオンとしてClが等しく存在する。この状態で、陽極6aにClの方を多く吸着すると、溶液全体として電気的な中性を保つために陰極7b側で水が電極反応を起こし、残ったNaに対応するOHが生成する。その結果、溶液全体としてはNaとOHが存在することとなり、アルカリ性の水酸化ナトリウム水溶液が生成することとなると考えられる。
反対に、陰極7bに多孔質電極を用い、陽極6aに平板状電極を用いて、陰極7bの比表面積を陽極6aよりも大きくなるように設定すると、プラスイオンの吸着量をマイナスイオンよりも増やすことができる。その結果、溶液中に元々存在していたプラスイオン等の陰極7bへの吸着量が増大し、結果として制御対象とする溶液中に元々存在していたプラスイオンとマイナスイオンの存在比率すなわち濃度バランスを制御することが可能となる。
例えば、上述した例のように、制御対象となる溶液がNaCl水溶液である場合、プラスイオンとしてNa、マイナスイオンとしてClが等しく存在する。この状態で、陰極7bにNaの方を多く吸着すると、溶液全体として電気的な中性を保つために陽極6a側で水が電極反応を起こし、Hが生成する。その結果、溶液全体としてはHとClが存在することとなり、酸性の塩化水素水溶液が生成することとなると考えられる。
このように、陽極6aの静電吸着能力が陰極7bよりも大きくなるように設定すると、溶液中に元々存在していたマイナスイオンの吸着量がプラスイオンよりも多くなる。その結果、溶液中に新たなマイナスイオンが生成したとしても、元々存在していたプラスイオンの存在比率が、元々存在していたマイナスイオンよりも高い状態に制御することが可能となる。反対に、陰極7bの静電吸着能力が陽極6aよりも大きくなるように設定すると、溶液中に元々存在していたプラスイオンの吸着量がマイナスイオンよりも多くなる。その結果、溶液中に新たなプラスイオンが生成したとしても、元々存在していたマイナスイオンの存在比率が、元々存在していたプラスイオンよりも高い状態に制御することが可能となる。このように、溶液中に元々存在していたプラスイオンとマイナスイオンの濃度バランスを制御し、液質を制御できるようになる。
図3の装置において、両電極6a,7bに印加した直流電圧の極性を切り換えることにより、溶液中に元々存在していたプラスイオンを多く吸着するモードと、溶液中に元々存在していたマイナスイオンを多く吸着するモードとを切り換えるよう制御することもできる。このように、溶液中に元々存在していたプラスイオンを多く吸着するモードと、溶液中に元々存在していたマイナスイオンを多く吸着するモードとを切り換えることにより、上記溶液中に元々存在していたプラスイオンとマイナスイオンの吸着と放出を可逆的に制御し、溶液中の帯電物質の濃度や存在比率を目標値に制御して、溶液の液質を目標の特性に制御することができる。
また、この例において、すなわち、上記陽極6aと陰極7bの実質の表面積が異なるものを組み合わせ、両電極6a,7bの静電吸着能力が異なる電極6a,7bを組としたものとすることもできる。その結果、実質の表面積の大きな側の電極(この例では陽極6aである)へのイオン等の帯電物質の吸着量が選択的に増大し、結果として制御対象とする溶液中に元々存在していたプラスイオンとマイナスイオンの存在比率すなわち濃度バランスを制御することが可能となる。このように、上記静電吸着能力が異なる電極は、実質の表面積が異なる電極とすることにより、実質の表面積が大きな電極には、実質の表面積が小さい電極よりも多くの帯電物質が吸着されることから、電極を適宜選定することにより、電極の静電吸着能力を適宜設定して運転することが可能となる。
ここで、比表面積とは、電極を構成する物質1gあたりの真の表面積の総和をいう。ここでは、BET比表面積のことをいい、単位はm/gである。これに対し、見かけの面積とは、板形状の電極の場合の最大投影面積をいう。表面の面積と裏面の面積の合算は、してもしなくてもよいが、ここでは表裏の合算をしない最大投影面積を扱うことにする。そして、実質の表面積とは、上記比表面積とから算出した表面積の総和をいい、下記の関係式が成り立つ。
T=S×V×G
T:実質の表面積(m) S:比表面積(m/g)
V:電極の体積(m) G:電極の比重(g/m
したがって、上記陽極6aと陰極7bの実質の表面積が異なる電極6a,7bの組み合わせとは、(1)見かけの面積が同じで陽極6aと陰極7bに比表面積が異なる材料を用いた場合、(2)陽極6aと陰極7bに比表面積が同じ材料を用いて見かけの面積が異なる場合、(3)陽極6aと陰極7bに比表面積が異なる材料を用いてさらに見かけの面積も異なる場合、等があげられる。すなわち、静電吸着能力が異なるとは、これらいずれの場合も含む趣旨である。
それ以外は、上記各実施形態と同様であり同様の部分には同じ符号を付している。この実施例でも上記各実施形態と同様の作用効果を奏する。
図4は、本発明の第3実施形態の液質制御装置を示す。
この例は、陰極7aよりも陽極6aの比表面積が大きくなるよう設定された第1電極組21aを備えた第1ユニット22aと、陽極6bよりも陰極7bの比表面積が大きくなるよう設定された第2電極組21bを備えた第2ユニット22bとが連結されて構成されている。
上記第1ユニット22aでは、陽極6aとして多孔質電極を使用し、陰極7aとして平板状電極を使用することにより、陰極7aよりも陽極6aの比表面積が大きくなるよう設定されている。一方、上記第2ユニット22bでは、陽極6bとして平板状電極を使用し、陰極7bとして多孔質電極を使用することにより、陽極6bよりも陰極7bの表面積が大きくなるよう設定されている。
そして、第1ユニット22aの排出路3が、第2ユニット22bの導入路2に接続され、第1ユニット22aを通過した溶液が、第2ユニット22bを通過し、2段階で液質制御を行うようになっている。
このようにすることにより、第1ユニット22aでは、陽極6の比表面積を陰極7よりも大きくなるように設定し、マイナスイオンの吸着量をプラスイオンよりも増やすことができる結果、溶液に元々存在したプラスイオンの存在比率の高い状態に制御することが可能となる。一方、第2ユニット22bでは、陰極7の比表面積を陽極6よりも大きくなるように設定し、プラスイオンの吸着量をマイナスイオンよりも増やすことができる結果、溶液に元々存在したマイナスイオンの存在比率の高い状態に制御することが可能となるのである。
このように、第1電極21aを有する第1ユニット22aと第2電極21bを有する第2ユニット22bのそれぞれで、比表面積の大きな側の電極への帯電物質の吸着量を増大させ、結果として制御対象とする溶液中に元々存在したプラスイオンとマイナスイオンの存在比率すなわち濃度バランスを任意の状態に制御して液質を制御することが可能となるのである。
上記各実施例では、帯電物質が主としてイオンである場合を例にあげて説明したが、これに限定するものではなく、陽極6や陰極7に吸引されうる各種の帯電粒子を制御対象物質とすることができる。例えば、パイロジェンのようなゼータ電位を有する帯電性物質や、帯電した顔料,染料,高分子等を挙げることができる。
それ以外は、上記第1〜第3実施例と同様であり同様の部分には同じ符号を付している。この実施例でも上記第1〜第3実施例と同様の作用効果を奏する。
上記図2に示した装置により、溶液としてKOH水溶液を使用して液質の制御を行った。この場合のイオン濃度を変化させて所定の目標値に制御することによって、下記の表1に示すように、KOH水溶液の比重,電気抵抗,pH,粘度,沸点,凝固点等の各種の物性を制御することができる。
Figure 2005219045
上記図2に示した装置により液質の制御を行った。最初は電極6,7に1.2Vで電圧を印加し、50ml/minの流量で溶液を流し、所定時間経過後に電圧の印加を解除し、経過時間に伴う電気伝導率とpHを計測した。溶液としてNaOH水溶液を使用した結果を図5に示し、溶液としてHCl水溶液を使用した結果を図6に示す。なお、装置出口の電気伝導率を実線で示し、pHを黒丸でプロットした。
図5および図6に示すように、電圧の印加と解除により、電気伝導率やpHの特性が変動しており、所定の目標値に制御することが可能であることがわかる。
化粧品の中間原料であるコラーゲン溶液(コラーゲン1.4%)を対象とし、図1に示す装置において通水を行わない状態で試験を行った。コラーゲン溶液は素肌と同じ弱酸性に調整するのが好ましいが、コラーゲンを溶かすためにクエン酸が添加されるために酸性になっている。これを弱酸性になるよう制御した。
つぎの電極をコラーゲン溶液50mlに浸漬して1.2Vの直流電圧を印加した。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積27cm;1枚
陰極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積27cm;1枚
その結果、下記に示すように、化粧品として好ましい弱酸性のpH範囲(pH5.5)に調整することができた。
電圧印加時間 pH
0分 4.0
15分 4.6
45分 5.5
この例において、処理中に溶液のpHが目標値よりもアルカリ側になった場合には、両電極間をショート等させることにより、目標値である弱酸性の溶液を得ることができる。
化粧品の中間原料であるコラーゲン溶液(コラーゲン1.4%)を対象とし、図3に示す装置において通水を行わない状態で試験を行った。コラーゲン溶液は素肌と同じ弱酸性に調整するのが好ましいが、コラーゲンを溶かすためにクエン酸が添加されるために酸性になっている。これを弱酸性になるよう制御した。
つぎの電極をコラーゲン溶液100mlに浸漬して1.2Vの直流電圧を印加した。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積84cm;1枚
陰極 等方性黒鉛板;みかけ面積84cm;1枚
その結果、下記に示すように、化粧品として好ましい弱酸性のpH範囲(pH5.5)に調整することができた。
電圧印加時間 pH
0分 3.9
16分 4.7
44分 5.5
この例において、処理前のpHが目標値よりアルカリ側にある場合には、陽極に等方性黒鉛板、陰極に活性炭シートを使用することで、目的とする弱酸性溶液を得られる。また、陽極に活性炭シートを使用して陰極に等方性黒鉛板を使用する場合と、陽極に等方性黒鉛板を使用して陰極に活性炭シートを使用する場合、いずれの場合でも、処理中に溶液のpHが目標値よりもアルカリ側になった場合には、両電極間の極性を切り替えることにより、目標値の弱アルカリ溶液を得ることができる。
細胞を培養する際に用いる医療用培地(培養液)は、培養しようとする細胞の活動に最適なpHに調整されているが、細胞の活動によって発生する乳酸等の影響により、pHが変動し、最適な細胞の活動pH範囲から外れてしまう。このため、長期の培養を行う場合には細胞を培地から分離して新たな培地に移し変える必要があるため、その労力と培地の使用量の削減を目的としてpHの制御を行った。
図3に示す装置において通水を行わない状態で試験を行った。市販の培地(イントロゲン社;RPMI1640)に予め酢酸を添加して酸性に調整した溶液を準備して試験に供した。
つぎの電極を培地500mlに浸漬して1.2Vの直流電圧を印加した。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積84cm;6枚
陰極 等方性黒鉛板;みかけ面積84cm;6枚
その結果、下記に示すように、培地として好ましい弱アルカリのpH範囲(pH7.2)に調整することができた。
電圧印加時間 pH
0分 6.8
5分 7.1
15分 7.2
この例において、処理前のpHが目標値よりアルカリ側にある場合には、陽極に等方性黒鉛板、陰極に活性炭シートを使用することで、目的とする弱アルカリ溶液を得られる。また、陽極に活性炭シートを使用して陰極に等方性黒鉛板を使用する場合と、陽極に等方性黒鉛板を使用して陰極に活性炭シートを使用する場合、いずれの場合でも、処理中に溶液のpHが目標値よりもアルカリ側になった場合には、両電極間の極性を切り替えることにより、目標値の弱アルカリ溶液を得ることができる。
水耕栽培溶液は、栽培環境に適正なpHが弱酸性であり、それを目標値としてpHの制御を行った。
図2に示す装置において通水した状態で試験を行った。ベース溶液として、水耕栽培用液として、市販の溶液を水に溶解し、pHを6.3に調整した(大塚化学社製大塚ハウス1号を1500ppm、同社大塚ハウス2号を1000ppm)。このベース溶液に塩酸を添加してpH3.6に調整したものを試験に供した。
500ml容量のセル内につぎの電極を積層し、溶液を50ml/分の流量で通水しながら1.2Vの直流電圧を印加した。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
陰極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
その結果、下記に示すように、栽培環境として好ましい弱酸性のpH範囲(pH6.3)に調整することができた。
経過時間
入口pH 0分 3.6
出口pH 2分 5.4
5分 5.9
10分 6.2
30分 6.3
この例において、処理中に溶液のpHが目標値よりもアルカリ側になった場合には、両電極間をショート等させることにより、目標値である弱酸性の溶液を得ることができる。
水耕栽培溶液は、栽培環境に適正なpHが弱酸性であり、それを目標値としてpHの制御を行った。
図2に示す装置において通水した状態で試験を行った。ベース溶液として、水耕栽培用液として、市販の溶液を水に溶解し、pHを6.3に調整した(大塚化学社製大塚ハウス1号を1500ppm、同社大塚ハウス2号を1000ppm)。
このベース溶液に水酸化ナトリウムを添加してpH10.3に調整したものを試験に供した。
500ml容量のセル内につぎの電極を積層し、溶液を50ml/分の流量で通水しながら1.2Vの直流電圧を印加した。
陽極 等方性黒鉛板;みかけ面積135cm;6枚
陰極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
その結果、下記に示すように、栽培環境として好ましい弱酸性のpH範囲(pH6.3)に調整することができた。
入口pH 10.3
出口pH 6.3
この例において、処理中に溶液のpHが目標値よりも酸側になった場合には、両電極間の極性を切り替えることにより、目標値の弱酸性溶液を得ることができる。
また、上記ベース溶液に塩酸を添加してpH3.6に調整したものを試験に供した。
500ml容量のセル内につぎの電極を積層し、溶液を50ml/分の流量で通水しながら1.2Vの直流電圧を印加した。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
陰極 等方性黒鉛板;みかけ面積135cm;6枚
その結果、下記に示すように、栽培環境として好ましい弱酸性のpH範囲(pH6.3)に調整することができた。
入口pH 3.6
出口pH 6.3
この例において、処理中に溶液のpHが目標値よりもアルカリ側になった場合には、両電極間の極性を切り替えることにより、目標値の弱酸性溶液を得ることができる。
電圧をパラメータとしてpHの制御を行った。1000ppmのNaCl溶液をHClまたはNaOHを添加することによりそれぞれpH3、pH10に調整した溶液を準備して試験に供した。
図2に示す装置により、500ml容量のセル内につぎの電極を積層し、溶液を25ml/分の流量で通水しながら0.8〜2Vの範囲で電圧を変化させながら直流電圧を印加した。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;12枚
陰極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;12枚
図7に、上記試験の結果、入口pH3の原水をpH調整したものと、入口pH10の原水をpH調整したものと、それぞれの出口pHをプロットした図を示す。図からわかるように印加電圧を変化させることで出口pHが変化し、電圧を調節することによりpHを目標値に制御することができることがわかる。
この例において、pHが目標値を超えた場合には、両電極間をショート等させることにより、目標値の溶液を得ることができる。
電圧をパラメータとしてpHの制御を行った。1000ppmのNaCl溶液(pH7)を準備して試験に供した。
図2に示す装置により、500ml容量のセル内に電極を積層し、溶液を25ml/分の流量で通水しながら0.5〜2Vの範囲で電圧を変化させながら直流電圧を印加した。
pH7の原水を、下記の電極でpH制御を行った。その結果を図8に示す。
陰極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
陽極 等方性黒鉛板;みかけ面積135cm;6枚
pH7の原水を、下記の電極でpH制御を行った。その結果を図9に示す。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
陰極 等方性黒鉛板;みかけ面積135cm;6枚
図8は、入口pH7の原水をpH調整したもの出口pHをプロットした図である。また、図9は、入口pH7の原水をpH調整したもの出口pHをプロットした図である。図からわかるように印加電圧を変化させることで出口pHが変化し、電圧を調節することによりpHを目標値に制御することができることがわかる。
このように、電圧を制御することによりpHを制御して目標値の溶液を得ることができることがわかる。
流量をパラメータとしてpHの制御を行った。1000ppmのNaCl溶液(pH7)を準備して試験に供した。
図2に示す装置により、500ml容量のセル内に電極を積層し、溶液を25ml/分の流量で通水しながら1.2Vの範囲で電圧を変化させながら直流電圧を印加した。
下記の電極でpH制御を行った。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
陰極 等方性黒鉛板;みかけ面積135cm;6枚
その結果、下記に示すように、流量が小さいほどpHの制御幅が大きくなる結果が得られた。
流量ml/分 出口pH
25 10.5
50 10.0
100 9.5
180 9.0
350 8.5
下記の電極でpH制御を行った。
陰極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
陽極 等方性黒鉛板;みかけ面積135cm;6枚
その結果、下記に示すように、流量が小さいほどpHの制御幅が大きくなる結果が得られた。
流量ml/分 出口pH
25 3.2
50 4.0
100 5.5
180 6.4
350 6.7
これらの結果からわかるように、流量を変化させることで出口pHが変化し、流量を調節することによりpHを目標値に制御できることがわかる。
このように、流量を制御することによりpHを制御して目標値の溶液を得ることができることがわかる。
流量をパラメータとしてpHの制御を行った。セル出口のpHの変化量はセルに流入した溶液中、吸着されたイオンの当量の和に比例し、吸着されるイオン量はセルの電極に流れた電流値に比例する。したがって、電極に流れる電流量をコントロールすることによってセル出口のpHを制御することが可能である。
1000ppmのNaCl溶液(pH7)を準備して試験に供し、図2に示す装置を使用し、下記の電極でpH制御を行った。
陽極 活性炭シート;比表面積500m/g・みかけ面積135cm;6枚
陰極 等方性黒鉛板;みかけ面積135cm;6枚
図10は、上記試験の結果であり、電流値を一定にコントロールすることにより、出口pHを一定の値に制御できることがわかる。
この例において、pHが目標値からずれた場合には、電流値をコントロールしたり、両電極間の極性を切り換えることにより、目標値の溶液を得ることができる。
本発明は、例えば下記の表2に示すように、ゴミの分別、微小重量制御、塩分濃度の調整、浸透圧の微調整、味覚成分の微調整、溶液の電気抵抗の微調整、殺菌力の調整、インクの色調や鮮明度の調整、水耕栽培の培養水の調整、食品製造工程における乳酸や酵母の活性度の調整等が行えるほか、屈折率、水頭圧、色、密度、濃度の調整等、各種の技術分野に適用が可能である。
Figure 2005219045
本発明の第1実施形態の液質制御装置の概略構成を示す図である。 上記液質制御装置の詳細を示す図である。 本発明の第2実施形態の液質制御装置の概略構成を示す図である。 本発明の第3実施形態の液質制御装置の概略構成を示す図である。 本発明の実施例2の計測結果を示す図である。 本発明の実施例2の計測結果を示す図である。 本発明の実施例8の計測結果を示す図である。 本発明の実施例9の計測結果を示す図である。 本発明の実施例9の計測結果を示す図である。 本発明の実施例11の計測結果を示す図である。
符号の説明
1 貯留槽
2 導入路
3 排出路
4 直流電源
5 スイッチ
6 電極(陽極)
6a 電極(陽極)
6b 電極(陽極)
7 電極(陰極)
7a 電極(陰極)
7b 電極(陰極)
8 制御回路
9 流量計
10 イオン濃度計
11 流量調節弁
12 セパレータ
13 連通口
14 導入口
15 排出口
16 末端プレート
17 ボルトナット
18a 両面電極(陽電極)
18b 両面電極(陰電極)
21a 第1電極組
21b 第2電極組
22a 第1ユニット
22b 第2ユニット
23 枠状スペーサ

Claims (9)

  1. 液質制御対象とする溶液中に直流電圧が印加される電極を存在させ、上記両電極間の電位差および/または電流値を制御することにより、溶液中の帯電物質の電極への吸着および電極に吸着された帯電物質の溶液中への放出を可逆的に行って溶液の液質を目標値に制御することを特徴とする溶液の液質制御方法。
  2. 上記両電極間の電位差および/または電流値を、両電極間に流れる電流値と通電時間を積算した電流積算値に基づいて制御することにより、上記電極への帯電物質の吸着量および放出量を制御する請求項1記載の液質制御方法。
  3. 上記帯電物質の吸着および放出を、実質的に溶液の電気分解を生じない電位差で行なうよう制御する請求項1または2記載の溶液の液質制御方法。
  4. 液質制御対象とする溶液を貯留する貯留槽と、上記溶液中に存在して直流電圧が印加される電極と、上記両電極間に印加する電位差および/または電流値を制御する制御手段とを備え、上記制御手段で両電極に印加する電位差および/または電流値を制御することにより、溶液中の帯電物質の電極への吸着および電極に吸着された帯電物質の溶液中への放出を可逆的に行って溶液の液質を目標値に制御することを特徴とする溶液の液質制御装置。
  5. 両電極間に流れる電流値と通電時間を積算した電流積算値を算出する電流積算手段を備え、上記制御手段は、上記両電極間の電位差および/または電流値を、上記算出された電流積算値に基づいて制御することにより、上記電極への帯電物質の吸着量および放出量を制御する請求項4記載の液質制御装置。
  6. 上記貯留槽には、液質制御対象とする溶液を導入する導入路と、液質が制御された溶液を排出する排出路とを備え、目標液質の溶液を連続的に生成するように構成されている請求項4または5記載の溶液の液質制御装置。
  7. 上記排出路もしくはその近傍において溶液中の帯電物質を検知する帯電物質検知手段を備え、上記制御手段は、帯電物質検知手段による溶液中の帯電物質の検知結果に応じて電極に印加する電位差および/または電流値を制御する請求項6記載の溶液の液質制御装置。
  8. 上記導入路または排出路には、導入もしくは排出される溶液の流量を調節する流量調節弁が設けられ、上記制御手段は、帯電物質検知手段による溶液中の帯電物質の検知結果に応じて上記流量調節弁を制御する請求項6または7記載の溶液の液質制御装置。
  9. 上記電極は、溶液と通電する導電体からなり、上記制御手段は、上記帯電物質の吸着および放出が、実質的に溶液の電気分解を生じない範囲で行なわれるよう、上記電極に印加する電位を制御する請求項4〜8のいずれか一項に記載の溶液の液質制御装置。
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