JP3991757B2 - 乾燥洗濯機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は一般家庭において使用する乾燥洗濯機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の乾燥洗濯機は図8に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図8に示すように、筐体51は、内部に複数のサスペンション52によって弾性的に吊り下げた外槽53を設け、脱水時の振動をサスペンション52によって吸収する構成としている。外槽53の内部には、洗濯物および乾燥対象物(以下、衣類という)を収容する内槽54を中空で2重構造とした洗濯・脱水軸55を中心に回転可能に配設し、内槽54の内底部に衣類を攪拌する回転翼56を回転自在に配設している。また、内槽54の内部周壁には小孔(図示せず)を多数設けるとともに、上方には流体バランサ57を設けている。
【0004】
モータ(駆動手段)58は、外槽53の底部に取り付け、洗濯または脱水時に回転力の伝達を洗濯・脱水軸55に切り換えるクラッチ59と洗濯・脱水軸55を介して、内槽54または回転翼56に連結している。回転翼56は外周部に外周方向に高くなる傾斜面を有する略W型の形状をし、攪拌用突出リブを形成して、乾燥行程においては、衣類を回転翼56の回転による遠心力で傾斜面に沿って上方へと舞い上がりやすくするともに、略W型の内壁に設けた小孔(図示せず)より、衣類を通った温風が抜けるようにしている。
【0005】
乾燥用送風機60は、ヒータ61により加熱された温風を伸縮自在の上部蛇腹状ホース62を通して温風噴出口63より内槽54内に送風するもので、筐体51の略上方に設けており、乾燥用送風機60とヒータ61とで温風送風手段を構成している。循環路64は、湿った温風の除湿を行うもので、一端を外槽53の排水経路口65に接続した下部蛇腹状ホース66に接続し、他端を乾燥用送風機60に接続している。
【0006】
排水弁67は、外槽53の底部に固定し、下部蛇腹状ホース66と循環路64からの排水を排水路68を通して排水弁67に導き、排水ホース69から機外へ排水するように構成している。外槽カバー70は外槽53の上面を気密的に覆うもので、この外槽カバー70に中蓋71を開閉自在に設け、衣類の出し入れを行うようにしている。
【0007】
上記構成において動作を説明する。洗濯行程では、中蓋71を開けて、内槽54内に衣類と水または湯および洗剤を投入し、運転を開始すると給水弁(図示せず)を開いて所定の水位まで給水した後、モータ58を駆動する。このとき、伝達機構部のクラッチ59を洗濯側に設定して、モータ58の動力を洗濯軸を介して回転翼56に伝達し、回転翼56が回転することで、衣類が回転翼6の攪拌用突出リブに引っかかり、中心部へ引き込まれる。内槽54の中心下層部の衣類は、引き込まれた衣類により、内槽54の上層部へ押し上げられる。このようにして内槽54内の衣類を撹拌して、衣類同士、または内槽54、回転翼56との接触による摩擦により洗濯する。
【0008】
脱水行程では、洗濯終了後、排水弁69を開いて内槽54内の水を排水した後、伝達機構部のクラッチ59を脱水側に切り換えて、モータ58の動力を脱水軸を介し内槽54に伝達して回転させ、衣類に遠心力を与えることにより、水分を衣類から分離することで行う。
【0009】
乾燥行程は、排水弁67を開くとともに、モータ58を駆動して回転翼56を回転させ、衣類に遠心力を与えることにより、衣類を外へはね飛ばすようにする。すると回転翼56の傾斜面で衣類を上方へはね上げようとする力が働き(遠心力の分力)、衣類が攪拌される。この攪拌を繰り返しながら乾燥用送風機60による送風とヒータ61による発熱により、上部蛇腹状ホース62を通して内槽54の上方より内槽54内へ温風を送り込む。この温風は、衣類の水分を奪った後、内槽54から外槽53の内側へ出た後、下部蛇腹状ホース66を通過して、循環路64へ至る。
【0010】
衣類の水分を奪って湿気を含んだ温風が、外槽53の内壁や循環路64内を通過しているとき、その内部では、水分の結露が起こり、湿った温風は除湿されて乾燥用送風機60へ戻る。この循環路64で温風を循環させることにより、内槽54内の衣類を乾燥させることができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構成において、洗濯は回転翼により衣類を撹拌して、衣類同士及び内槽、回転翼との摩擦により行っている。しかしながら、ひどい汚れは、十分に落としきれない場合があった。
【0012】
本発明は上記課題を解決するもので、衣類及び水の温度を上げることにより、汚れ落ちやすくするとともに、回転翼により効果的に機械力を加え、洗浄性能を向上することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために、筐体と、前記筐体に弾性的に吊り下げた外槽と、前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に支持した回転翼と、前記内槽又は回転翼を駆動するモータと、前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段で検知した電流値で布量を検知する布量検知手段と、前記モータの駆動を制御する制御部と、前記内槽内に温風を送風する温風送風手段とを備え、洗濯工程では、前記布量検知手段により検知した布量に合わせて前記内槽内に給水するとともに、給水を行いながら前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値の増加により衣類の含水量を判別して給水を停止し、前記温風送風手段から供給される温風により衣類及び水を昇温し前記回転翼を回転させて洗浄を行うようにしたものである。
【0014】
これにより、洗濯開始時に衣類及び水を加熱し温度を上げ、洗浄性能を向上することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、筐体と、前記筐体に弾性的に吊り下げた外槽と、前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に支持した回転翼と、前記内槽又は回転翼を駆動するモータと、前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段で検知した電流値で布量を検知する布量検知手段と、前記モータの駆動を制御する制御部と、前記内槽内に温風を送風する温風送風手段とを備え、洗濯工程では、前記布量検知手段により検知した布量に合わせて前記内槽内に給水するとともに、給水を行いながら前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値の増加により衣類の含水量を判別して給水を停止し、前記温風送風手段から供給される温風により衣類及び水を昇温し前記回転翼を回転させて洗浄を行うようにしたものであり、内槽内の衣類及び水の温度を上昇させて洗浄性能を向上することができる。また、衣類及び水の昇温時間が長くなることを防ぎ、短時間で昇温して、駆動手段により回転翼を回転することにより衣類を攪拌し洗濯することで洗浄性能を向上することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明は、上記請求項1に記載の発明において、昇温して洗浄を行った後、所定水位まで給水を行い、さらにモータにより回転翼を回転することにより衣類を攪拌することで洗浄性能を向上することができる。
【0017】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0018】
(実施例1)
図1〜図3に示すように、筐体1は、内部に複数のサスペンション2によって弾性的に吊り下げた外槽3を設け、洗濯・脱水時の振動をサスペンション2によって吸収する構成としている。また、外槽3の内部には、衣類を収容する内槽4を中空で2重構造とした洗濯・脱水軸5を中心に回転可能に配設し、内槽4の内底部に衣類を攪拌する回転翼6を回転自在に配設している。また、内槽4の内部周壁には小孔(図示せず)を多数設けるとともに、上方には流体バランサ7を設けている。
【0019】
モータ(駆動手段)8は、外槽3の底部に取り付け、洗濯時に回転力の伝達を洗濯・脱水軸5に切り換えるクラッチ9と洗濯・脱水軸5を介して、内槽4または回転翼6に連結している。回転翼6は外周部に外周方向に高くなる傾斜面を有する略W型の形状をし、攪拌用突出リブを形成して、洗濯開始時の加熱行程においては、衣類を回転翼6の回転による遠心力で傾斜面に沿って上方へと舞い上がりやすくしている。そして、加熱手段により衣類及び水の温度を上昇させている。
【0020】
10は送風機、11はヒータであり、送風機10はヒータ11により加熱された温風を伸縮自在の上部蛇腹状ホース12を通して内槽4内に送風するもので、送風機10とヒータ11とで温風送風手段10aを構成している。循環路14は、一端を外槽3の排水経路口15に接続した下部蛇腹状ホース16に接続し、他端を送風機10に接続している。
【0021】
22は内槽4内に水を供給するための給水経路であり、23は給水弁である。排水弁17は、外槽3の底部に固定し、下部蛇腹状ホース16と循環路14からの排水を排水路18を通して排水弁17に導き、排水ホース19から機外へ排水するように構成している。外槽カバー20は外槽3の上面を気密的に覆うもので、この外槽カバー20に中蓋21を開閉自在に設け、衣類の出し入れを行うようにしている。
【0022】
上記構成において動作を説明する。洗濯行程では、中蓋21を開けて、内槽4内に衣類と洗剤を投入する。そして運転を開始すると、回転翼6が数回回転し、その時のモータ8に流れる電流値で布量を判別する。そして布量にあわせ、給水弁23を開放して布量と同等量(あるいは2、3倍程度)の水を内槽4内に給水経路22を通して給水する。このとき、伝達機構部のクラッチ9を洗濯側に切り換えることで、内槽4は固定されている。
【0023】
そして、モータ8を駆動しその動力を洗濯軸を介して回転翼6に伝達し、回転翼6を回転することで、衣類を回転翼6の攪拌用突出リブに引っかけ攪拌する。また同時に、送風機10とヒータ11により、内槽4内に温風を送風することで、衣類及び水を暖める。このため衣類に付着した汚れは、図2に示すように通常の水道水を使用しているときに比べ衣類及び水の温度が高いため落ちやすくなる。また、回転翼6の回転により衣類に機械力を加えることで衣類の汚れを落とすことができる。(ここまでの動作を以下昇温洗浄という。)
そして、図3に示すように給水弁を開いて所定水位まで給水した後、モータ8を駆動して回転翼6または内槽4を回転させ、衣類より浮き上がった汚れを洗い流す。このとき所定水位まで給水を行いつつ回転翼6または内槽4を回転させることで、機械力をより多く衣類に伝えることができ洗浄性能を向上することができる。
【0024】
なお、上記実施例1では、衣類及び水を昇温させる温風送風手段10aは、乾燥用送風機で兼ねたものであり、簡略化と小型化が図れ、安価で合理的な構成を実現したものであるが、衣類及び水を昇温させる温風送風手段を乾燥用送風機とは別に付加してもよい。また、脱水行程及び乾燥行程については、従来例と同じであるので説明を省略する。
【0025】
(実施例2)
図4に示すように、昇温洗浄を行った後、脱水行程を行うようにしたものである。他の構成及び昇温洗浄を行うまでは実施例1と同じであり、説明を省略する。
【0026】
これにより、昇温洗浄の際に浮いた汚れを水を媒体として衣類から引きはがすことができる。そして、図3に示すように、給水弁を開いて所定水位まで給水した後、モータ8を駆動し、回転翼6または内槽4を回転させ、衣類より浮き上がった汚れ(特に固形汚れ)を洗い流すことで、洗浄性能を向上することができる。
【0027】
(実施例3)
図1に示すように、洗濯行程では、中蓋21を開けて、内槽4内に衣類と洗剤を投入する。そして運転を開始すると、回転翼6が数回回転し、その時のモータ8に流れる電流値で布量を判別する。そして布量にあわせ、給水弁23を開放して内槽4内に給水経路22を通して水を給水する。また、給水を行いながら、回転翼6を回転し、その時のモータ8に流れる電流値の増加により衣類の含水量を判別して給水を中断するようにしたものである。他の構成については実施例1と同じであり、説明を省略する。
【0028】
これにより、所定以上の給水により衣類及び水の昇温時間が長くなることを防ぐことができる。そして、モータ8を駆動しその動力を洗濯軸を介して回転翼6に伝達し、回転翼6を回転することにより衣類を攪拌し洗濯することで洗浄性能を向上することができる。
【0029】
(実施例4)
図5に示すように、洗濯行程において、布量にあわせ水を給水する際、給水の進行に合わせ、一回の回転翼駆動のためのモータへの出力時間tを、tからt1(t<t1)へと徐々に長くしたものである。他の構成については実施例1と同じであり、説明を省略する。
【0030】
これにより、給水により衣類が含水し重くなっても、回転翼6により十分に衣類を攪拌することができ、衣類に万遍なく水を含ませ、更に温風により衣類及び水を昇温するとともに、駆動手段により回転翼を回転することにより衣類を攪拌し洗濯することで洗浄性能を向上することができる。
【0031】
(実施例5)
図6に示すように、洗濯行程において、布量にあわせて駆動手段であるモータ8への出力値の最大値を抑えるようにしたものである。他の構成及び基本動作については実施例1と同じであり、説明を省略する。
【0032】
これにより、回転翼6の回転数を抑えることができ、布量に適した攪拌を行う。つまり、布量が少ない場合は、回転翼6にかかる負荷が軽くなる。すると、モータ8への出力の最大値を布量が多い(定格容量)ときと同じであると、負荷が軽い分回転翼6の回転数は上がる。そこで、布量にあわせモータ8への出力値を抑えることで回転翼6の最大回転数を抑えることができ、回転翼6により衣類に過剰な力が加わるのを防ぐことができ、衣類の傷みを抑えることができる。
【0033】
(実施例6)
図7に示すように、回転数検知手段25を設け、布量にあわせて回転翼6の回転数の最大値を抑えるようにしたものである。他の構成及び基本動作については実施例1と同じであり、説明を省略する。
【0034】
これにより、布量に適した攪拌を行うことができる。つまり、布量が少ない場合は、回転翼6にかかる負荷が軽くなる。すると、モータ8への出力が、布量が多いときと同じであると、負荷が軽い分回転翼6の回転数は上がる。そこで、回転数検知手段25により回転数を検知して、布量にあわせ回転翼6の最大回転数を抑えることで、回転翼6により衣類に過剰な力が加わるのを防ぐことができ、衣類の傷みを抑えることができる。
【0035】
(実施例7)
この実施例は、駆動手段であるモータ8への出力を徐々に増加させていく際、電流検知手段24によりモータ8へ流れる電流を検知し、一定以上の電流が流れないようにしたものである。
【0036】
これは、衣類の状態により回転翼6にかかる負荷は変動するため、負荷が大きい場合には回転翼6を回転させようとモータ8へ流れる電流は多くなる。この電流を電流検知手段24により検知し、一定以上の電流が流れないようにする。つまり、モータ8のトルクを所定値以上にならないようにすることができ、回転翼6により衣類に過剰な力が加わるのを防ぐことができ、衣類の傷みを抑えることができる。
【0037】
(実施例8)
この実施例は、布量に合わせ給水した後、回転角が360°以下となるようにして回転翼6を回転するようにしたものであり、衣類を攪拌することで衣類の絡み、傷みを抑えることができる。
【0038】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、筐体と、前記筐体に弾性的に吊り下げた外槽と、前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に支持した回転翼と、前記内槽又は回転翼を駆動するモータと、前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段で検知した電流値で布量を検知する布量検知手段と、前記モータの駆動を制御する制御部と、前記内槽内に温風を送風する温風送風手段とを備え、洗濯工程では、前記布量検知手段により検知した布量に合わせて前記内槽内に給水するとともに、給水を行いながら前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値の増加により衣類の含水量を判別して給水を停止し、前記温風送風手段から供給される温風により衣類及び水を昇温し前記回転翼を回転させて洗浄を行うようにしたから、洗濯開始時に衣類及び水の温度を上げることができ、汚れを落ちやすくすることができるとともに、衣類及び水の昇温時間が長くなることを防ぎ、短時間で昇温させることができる。
【0039】
また、請求項2に記載の発明によれば、昇温して洗浄を行った後、所定水位まで給水を行い、さらにモータにより回転翼を回転することにより衣類を攪拌するようにしたから、洗浄性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の乾燥洗濯機の断面図
【図2】 同乾燥洗濯機の洗浄性能図
【図3】 同乾燥洗濯機の所定水位まで給水した状態の断面図
【図4】 本発明の実施例2の乾燥洗濯機の脱水行程中の断面図
【図5】 本発明の実施例4のモータへの出力と時間の関係図
【図6】 本発明の実施例5のモータへの出力値と時間の関係図
【図7】 本発明の実施例6の回転翼の回転数と時間の関係図
【図8】 従来の乾燥洗濯機の断面図
【符号の説明】
1 筐体
3 外槽
4 内槽
8 モータ(駆動手段)
10 送風機
10a 温風送風手段
11 ヒータ
Claims (2)
- 筐体と、前記筐体に弾性的に吊り下げた外槽と、前記外槽内に回転自在に支持した内槽と、前記内槽の内底部に回転自在に支持した回転翼と、前記内槽又は回転翼を駆動するモータと、前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値を検知する電流検知手段と、前記電流検知手段で検知した電流値で布量を検知する布量検知手段と、前記モータの駆動を制御する制御部と、前記内槽内に温風を送風する温風送風手段とを備え、洗濯工程では、前記布量検知手段により検知した布量に合わせて前記内槽内に給水するとともに、給水を行いながら前記回転翼を回転させ前記モータに流れる電流値の増加により衣類の含水量を判別して給水を停止し、前記温風送風手段から供給される温風により衣類及び水を昇温し前記回転翼を回転させて洗浄を行うようにした乾燥洗濯機。
- 昇温して洗浄を行った後、所定水位まで給水を行い、さらにモータにより回転翼を回転することにより衣類を攪拌するようにした請求項1記載の乾燥洗濯機。
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