JP3991382B2 - 車両用ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術】
本発明は、ディーゼル機関の排気中に含まれる微粒子成分(パティキュレ−ト)を捕集し、再生する排気ガス浄化装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置では、エンジン運転中に常時、フィルタ内のパティキュレ−ト捕集量を計測しておき、それが一定の値に達した場合にオペレータに再生時期の到来を報知し、フィルタ再生を要求している。
フィルタはコージェライトのようなセラミックを素材として形成されているので、パティキュレ−ト燃焼による高温や急激な温度上昇に弱く、フィルタの溶損やクラックなどの可能性が生じた。といって、パティキュレ−ト燃焼温度を好適なレベルより低下させると、フィルタ各部へのパティキュレ−トの延焼が充分に行われず、燃え残りが生じてしまう。このような燃え残りは、次回再生におけるフィルタ特定部位におけるパティキュレ−ト堆積量の増大を招くために、次回再生時におけるフィルタの溶損やクラックなどの可能性が増大する。これらの問題から、排気ガス浄化装置のセラミックフィルタの再生では、極めて非常に狭い範囲に最高燃焼温度を維持する必要があり、このような最高燃焼温度がフィルタに捕集されているパティキュレ−トの量すなわちパティキュレ−ト捕集量に最も強く依存することが判明している。また、パティキュレ−ト捕集量が多いと燃焼時の発熱量が多いので、フィルタの温度上昇速度が高くなり過ぎてクラックが生じる可能性が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、再生時期が到来してオペレータにそれを報知しても、業務遂行に忙しいとか慣れていないなどの様々な理由によりそれが無視され、車両の運転が続行されてしまう場合がある。更には、排気ガス浄化装置のコントローラからの再生時期到来信号によりそれを運転者に報知する報知手段が故障して、報知がなされない場合も考えられる。
【0004】
すると、上述したように、フィルタに累積されるパティキュレ−ト捕集量が過剰となり、後にフィルタ再生を行うと、フィルタの最高温度や温度上昇速度が異常に増大してセラミックを素材とするフィルタに溶損やクラックが生じるおそれが生じた。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、再生時期の到来後におけるエンジン運転によるフィルタのパティキュレ−ト過捕集を防止し、それによりフィルタの破損を防止可能な排気ガス浄化装置を提供することをその解決すべき課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の車両用ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置は、ディ−ゼルエンジンの排気経路に配設されたパティキュレ−ト捕集用のフィルタと、前記フィルタのパティキュレ−ト捕集量を推定するパティキュレ−ト捕集量推定手段と、前記フィルタの加熱により前記フィルタに捕集されたパティキュレ−トを燃焼させる電熱手段と、前記パティキュレ−ト捕集量が所定値に達した場合に再生の必要性を報知する再生要求手段と、前記報知に応じてフィルタ再生指令信号が入力された場合に前記フィルタの再生を前記エンジンの停止時に実行するフィルタ再生手段とを備えるディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置において、前記パティキュレ−ト捕集量の過剰量に関連するパラメータを検出する過剰捕集量検出手段と、検出した前記パラメータに基づいて前記過剰量が所定の基準値を超えると判定する場合に前記エンジンの運転を規制するエンジン運転規制手段とを備え、前記エンジン運転規制手段は、前記エンジンの許容最高回転数を所定レベル以下に段階的に規制するものであることをその特徴としている。
つまり、本発明では、パティキュレ−ト捕集量が所定値に達した場合に再生の必要性を報知するとともに更に加えて、捕集されたパティキュレートの過剰量が所定の基準値を超える場合にエンジンの運転を段階的に規制する機能を有している。
したがって、本構成によれば、パティキュレ−ト捕集量がフィルタ再生にとって支障が生じる前に、運転者にとって最もわかりやすいエンジン運転状態の異常によってフィルタ再生時期到来を報知するとともに、このエンジン運転規制によりフィルタへのパティキュレ−トの過剰蓄積を抑止して、その再生時の異常温度上昇を抑止することもできるという相乗効果を奏することができる。
【0006】
また、本発明の車両用ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置によれば、過剰量が所定の基準値を超える場合にエンジンの許容最高回転数をアイドル回転数以上、かつ、所定レベル以下に制限するので、車両速度が一定レベル以上に増大することがない。このため、運転者に明確にフィルタ再生時期の到来を報知することができるとともに、作業中などの車両が所定のフィルタ再生位置までたどりつくことができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
過剰捕集量検出手段としては、たとえばエンジン運転中におけるフィルタの排気ガス圧損やその修正値以外に、再生時期の到来時点以後の累計エンジン運転時間などでもよい。
エンジン運転規制手段によるエンジン運転の規制は、ECU(エンジン制御装置)に指令してエンジン回転数を階段的に低下させることができる。この場合、指令を受けたECU(エンジン制御装置)はスロットルバルブを絞るなどしてエンジン回転数を低下させるが、このようなECUによるエンジン制御はよく知られている。その他、エンジン制御と排気ガス浄化装置の制御とを同じコントローラで実施してもよい
以下、本発明の好適態様を実施例を参照して説明する。
【0008】
【実施例】
本発明の排気ガス浄化装置の一実施例を図1に示すブロック図を参照して説明する。
この排気ガス浄化装置は両端密閉のフィルタ収容ケース1を有し、フィルタ収容ケース1内にはセラミックハニカムフィルタ2が収容されている。フィルタ2の上流側端面にはヒータ3が小間隔を隔てて対面配置されており、ケース1内のフィルタ2より上流側に位置するフィルタ収容ケース1のフィルタ前室には温度センサ4が配設されている。
【0009】
フィルタ収容ケース1の上流側の端壁にはディーゼルエンジン100の排気主管101と送気用枝管102とが連結されている。5は電磁弁、6はエアフローメータ、7はエアポンプであり、エアポンプ7のモータMの駆動により外気が送気用枝管102を通じてフィルタ2に送入される。
送気用枝管102から圧力ホース103が延設されており、圧力ホース103の先端には圧力センサ8が設けられている。104はフィルタであり、105はフィルタ収容ケース1の下流側の端壁から外部に排気ガスを放出する尾管であり、106は触媒である。
【0010】
温度センサ4、エアフローメータ6、圧力センサ8の信号はコントローラ9に入力され、コントローラ9は演算結果に基づいてヒータ3、電磁弁5、モータMを駆動制御している。また、車両に搭載された車速度センサは他のエンジン情報やオルタネータからの情報とともにエンジン制御装置(ECU)を兼ねるコントローラ9に出力され、コントローラ9はエンジン100に回転抑制指令を出力する。
【0011】
コントローラ9はA/Dコンバータ内蔵のマイコン(図示せず)を具備しており、各種データを処理してヒータ3、電磁弁5及びエアポンプ7用のモータMを駆動制御して再生を実行するともに、異常発生時に異常警報ランプ12を点灯する。13は再生時期の到来を報知するランプであり、14はコントローラ9にフィルタ再生動作を指令する手動スイッチであり、15は車載バッテリである。
【0012】
フィルタ2はハニカムセラミックフィルタであって、コ−ジェライトを素材として円柱形状に焼成されている。フィルタ2はその両端面を貫通する多数の通気孔を有し、隣接する通気孔の一方は上流端で封栓され、その他方は下流端で封栓されている。排気ガスは隣接する通気孔間の多孔性隔壁を透過し、パティキュレ−トだけが通気孔内に捕集される。ヒータ3はニクロム線を素材とする電熱抵抗体からなり、その一端は接地され、その他端はコントローラ9の出力ドライバをなすハイサイドのパワートランジスタ(図示せず)により断続制御される。
【0013】
以下、この装置の動作を説明する。
(パティキュレ−ト捕集動作)
ディ−ゼルエンジン100から排出された排気ガスは排気管101を通じてフィルタ収容ケース1内に導入され、排気ガス中のパティキュレ−トはフィルタ2で捕集され、浄化された排気ガスが尾管105から外部に排出される。なお、このパティキュレ−ト捕集動作時に電磁弁5への通電を遮断してそれを閉じること、ヒータ3及びエアポンプ7への通電を遮断することは当然である。
【0014】
(フィルタ再生時期判定動作)
次に、コントローラ9により実行されるこのフィルタ2の再生時期判定動作を図2のフローチャートに従って説明する。
イグニッションスイチ(図示せず)がオンされると、バッテリ15からコントローラ9に電源電圧が供給され、これらは初期リセットされて動作を開始する。同時に図示しないスタータがエンジンを起動する。
【0015】
次に、圧力センサ8から圧力Pを読み込み、温度センサ4から温度Tを読み込む(S100)。次に、エンジン運転中かどうかを調べ(S102)、エンジン運転中でなければステップ102へリターンし、運転中であればS104へ進む。次のS104では、圧力Pが所定のしきい値圧力PL1を超えるかどうかを判定し(S106)、超えればランプ13を点灯して再生時期の到来を表示し(S108)、以下であればステップ102に戻る。圧力Pはフィルタに補集されたパティキュレ−ト量に正の相関を持つので、これにより再生時期の判別が可能となる。なお、排気ガス温度やエンジン回転数などにより圧力Pを補正して更に詳細にパティキュレ−ト捕集量を推定することもできるのはもちろんである。
【0016】
次のステップ110では、圧力Pが所定のしきい値圧力PL1より多少高いしきい値圧力PL2を超えるかどうかを判定し、超えればパティキュレ−ト捕集量が過剰であるものと判定して、エンジン回転数を所定回転数(ここでは1700回転)以上とならないようにエンジン制御し(S112)、以下であればステップ102に戻る。
【0017】
次のステップ114では、圧力Pがしきい値圧力PL2より多少高いしきい値圧力PL3を超えるかどうかを判定し、超えればパティキュレ−ト捕集量が更に過剰であるものと判定して、エンジン回転数を更に低い所定回転数(ここでは1200回転)以上とならないようにエンジン制御してステップ102に戻り、以下であればそのままステップ102に戻る。
【0018】
このようにすれば、フィルタ再生時期報知後におけるエンジンの更なる運転に対して運転者にわかりやすい方法で警告を与えるとともに、この警告送出動作によりパティキュレ−ト捕集量の過剰蓄積の抑制も行うことができる。
次に、フィルタを再生するためのフィルタ再生ルーチンを簡単に説明する。
オペレータがランプ13を見てフィルタ再生が必要なことを確認し、エンジン停止期間中にフィルタ再生のためにスイッチ14をオンすれば、コントローラ9は、所定の通電パターンでヒータ3及びモータMへの給電を実行して、予熱サブルーチン、燃焼サブルーチン、冷却サブルーチンを順次実行してフィルタ2を再生し、ルーチンを終了する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の排気ガス浄化装置の一実施例を示すブロック図である。
【図2】その再生時期到来を判定するとともに再生が実行されない場合にそれを強く警告するためのフローチャートである。
【符号の説明】
2はフィルタ、3はヒータ(電熱手段)、4は温度センサ、5は電磁弁、6はエアフローメータ(流量検出手段)、7はエアポンプ(給気手段)、8は圧力センサ(圧力検出手段)、9はコントローラ(パティキュレ−ト捕集量推定手段、再生要求手段、フィルタ再生手段、過剰捕集量検出手段、エンジン運転規制手段)
Claims (1)
- ディ−ゼルエンジンの排気経路に配設されたパティキュレ−ト捕集用のフィルタと、前記フィルタのパティキュレ−ト捕集量を推定するパティキュレ−ト捕集量推定手段と、前記フィルタの加熱により前記フィルタに捕集されたパティキュレ−トを燃焼させる電熱手段と、前記パティキュレ−ト捕集量が所定値に達した場合に再生の必要性を報知する再生要求手段と、前記報知に応じてフィルタ再生指令信号が入力された場合に前記フィルタの再生を前記エンジンの停止時に実行するフィルタ再生手段とを備えるディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置において、
前記パティキュレ−ト捕集量の過剰量に関連するパラメータを検出する過剰捕集量検出手段と、
検出した前記パラメータに基づいて前記過剰量が所定の基準値を超えると判定する場合に前記エンジンの運転を規制するエンジン運転規制手段と、
を備え、
前記エンジン運転規制手段は、前記エンジンの許容最高回転数を所定レベル以下に段階的に規制するものであることを特徴とする車両用ディーゼルエンジンの排気ガス浄化装置。
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