JP3990642B2 - 天蓋開閉装置付コンテナ - Google Patents
天蓋開閉装置付コンテナ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、天蓋開閉装置を備えたコンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンテナの上部に設けられた両開きの天蓋を電動開閉する従来の天蓋開閉装置においては、各天蓋に接続されたアームがモータによって駆動されることにより、天蓋の開閉が行われる(例えば、特許文献1参照。)。天蓋を閉じるときは、左右一対のアームが左右対称に回動して「ハ」の字状になり、その回動先端同士が互いに当接することをもって天蓋の全閉とする。また、左右一対のアームが左右対称に外側へ開いてコンテナ上部のストッパに当接することをもって、天蓋の全開とする。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−177795号公報(第2〜3頁、図5〜7)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の天蓋開閉装置では、全閉状態から誤ってアームをさらに閉方向に動作させるようにモータを駆動すると、アームや、その周辺に設けられている部材が、過負荷により変形や損傷を生じることがある。また、全開状態から誤ってアームをさらに開方向に動作させたときも同様である。さらに、予期せぬ障害物により、アームが強制的に回動停止させられたときも、過負荷により変形や損傷が生じることがある。
【0005】
上記のような従来の問題点に鑑み、本発明は、過負荷を未然に防止する天蓋開閉装置付コンテナを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の天蓋開閉装置付コンテナは、上部に開口を有するコンテナ本体部と、前記開口に対して開閉可能であり、開動作の途中の所定位置で自重により前記コンテナ本体部の外側へずり落ちようとするとともに閉動作の途中の前記所定位置で自重により閉鎖方向へ倒れ込もうとするように設けられた天蓋と、駆動装置の駆動力に基づいて前記天蓋を開閉動作させる開閉装置と、前記天蓋が前記所定位置に達したことを検知する近接スイッチと、前記近接スイッチの出力信号に基づいて前記駆動装置を高出力から低出力に切り替えて前記開閉装置を動作させるとともに、全閉、全開又は開閉動作が途中で妨げられることによって前記開閉装置に所定の負荷がかかるまでは動作方向の記憶を解除状態に維持し、所定の負荷がかかったときその動作方向を記憶し、かつ、動作を停止させ、動作停止後の再動作時に直前の動作方向と同一方向への開閉動作を禁止する制御装置とを備えたものである。
上記のように構成された天蓋開閉装置付コンテナにおいては、動作停止後の再動作時に直前の動作方向への開閉動作を禁止するので、天蓋の全閉後に誤って閉操作をしても閉動作は行われず、開動作のみが可能である。同様に、全開後に誤って開操作をしても開動作は行われず、閉動作のみが可能である。また、開閉途中に障害物等で開閉動作が停止した場合、同じ方向へ動作を再開することはできず、逆戻りのみが可能である。こうして、過負荷に陥る方向への動作が禁止されるので、過負荷を未然に防止することができる。しかも、天蓋の全閉、全開、又は障害物等による開閉動作停止があるまで、記憶は解除状態であるので、開閉途中において操作者が任意に開閉を停止させた場合には、直前の動作方向に拘束されることなく、開・閉のいずれをも再開することができる。従って、途中停止すると逆戻りするしかない、という不便な操作にはならず、利便性が損なわれない。
【0007】
また、上記天蓋開閉装置付コンテナにおいて、駆動装置は電動のモータであり、制御装置はモータの電流が所定値に達したとき所定の負荷がかかった状態と判断するようにしてもよい。
この場合、所定の負荷がかかった状態を簡易に検出することができる。
【0008】
また、上記天蓋開閉装置付コンテナにおいて、駆動装置への配線をコンテナ本体部の支柱内に収容することが好ましい。
この場合、別途電線保護カバー等を設ける必要がないので、簡素かつ安価である。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1,2,3及び4はそれぞれ、本発明の一実施形態による天蓋開閉装置付コンテナの平面図、側面図、正面図及び背面図である。但し、正面図及び背面図は、天蓋開閉装置を中心に示している。
図1及び図2において、当該コンテナ1のコンテナ本体部2は、前後左右に設けられた4本の支柱3間で箱形に形成され、上部に立設された枠状の衝立部2a(図2〜4参照。)内に、開口A1を有している。コンテナ本体部2の後方にはダンプ排出用の煽戸4(図2にのみ図示。)が設けられ、また、上部の開口A1を塞ぐ両開きの天蓋5が設けられている。閉鎖された状態の2枚の天蓋5は、コンテナ1の屋根を形成するようにやや傾斜した状態となっている(図3,図4参照。)。
【0010】
次に、上記天蓋5の開閉装置6について説明する。図1(図2〜図4も参照。)において、天蓋5を直接開閉駆動しているのは前後各一対のアーム7である。各アーム7の基端部には軸8又は8Aが固定されており、これらの軸8,8Aは、コンテナ本体部2上に取り付けられたブラケット10により、回転自在に支持されている。各アーム7は軸8,8Aを中心に回動し、その回動先端側でピン22(図3,図4)を介して天蓋5と接続されている。ここで、軸8は単なる支軸であるが、軸8Aは、コンテナ本体部2に取り付けられたモータ11によって回転駆動される駆動軸である。左右のアーム7は、軸8,8Aに固定されたプーリー9に、「8」の字状に張架されたチェーン12(図3,図4)により連動する。また、前後のアーム7も、チェーン13(図3,図4)及び連結軸14(図1〜4)を介して連動する。従って、2枚の天蓋5は、モータ11の運転に基づいて前後各一対のアーム7によって同期して駆動され、開閉される。天蓋5は、左右一対のアーム7の回動先端が互いに当接することによって(図3,図4参照。)、閉動作完了、すなわち全閉となる。
【0011】
駆動軸としての上記軸8Aには、スプリングシリンダ15のピストンロッド15bが、連結部材16を介して接続されている。このスプリングシリンダ15のシリンダチューブ15aの基端部は、コンテナ本体部2に固定されたブラケット17に軸着されている。スプリングシリンダ15の内部には圧縮ばね(図示せず。)が装填されており、これにより、ピストンロッド15bはシリンダチューブ15a内に引き込まれる方向に付勢されている。ピストンロッド15bの先端は、ピン23を介し、連結部材16の一端と接続されている。この連結部材16は軸8Aに固定されており、アーム7と共に回動する。
【0012】
図3及び図4において、ガイドローラ18は、コンテナ本体部2に立設されたブラケット19により、中心軸回りに回転自在に取り付けられている。ガイドローラ18は、天蓋5に転接して、これを接線方向に案内する。ブラケット19に取り付けられたクッションゴム20は、アーム7を当接させるために設けられている。また、天蓋5の外側端部には係合ピン21が植設され、この係合ピン21は、ブラケット19に設けられた係合溝19aに係合している。
【0013】
図5は、コンテナ1の背面図である。コンテナ後方の開口A2を塞ぐ煽戸4は、コンテナ本体部2の上部に固定されたブラケット24に、ピン25(図2参照。)を介して吊設されており、このピン25を中心に回動可能である。煽戸4の下端における左右2箇所には、下方に支持部材26が突設され、一対の支持部材26間に、ロックピン27が水平に固定されている。このロックピン27にフック28を係脱させることにより、煽戸4のロック・ロック解除を行うことができる。フック28は、コンテナ本体部2の後方下部フレーム2bの左端寄りの内側に設置されているモータ29から、図示しない駆動機構を介して駆動される。走行時に煽戸4はロックされているが、ダンプ排出時には、このロックを解除して煽戸4を自由な状態とする。
【0014】
図6は、図1におけるモータ11の部分の拡大図である。図において、モータ11の出力軸11aは、接続部30を介して、軸8A(アーム7の駆動軸)と接続されている。接続部30は、出力軸11a側のフランジ30aと、軸8A側のフランジ30bとを軸方向に締結したものである。接続部30の近傍には、第1近接スイッチ31及び、第2近接スイッチ32が配置されている。モータ11は、接続部30の部分を切り欠いたカバー11bによって覆われ、このカバー11bはコンテナ本体部2に取り付けられている。モータ11及び各近接スイッチ31,32への配線用のケーブル33は、カバー11bに取り付けられたブッシング34を通って、コンテナ本体部2の右側面側(図1参照。)へ引き出されている。
【0015】
図7は、図6の各近接スイッチ31,32の部分をさらに拡大した図である。図において、接続部30の外周上の所定部から径方向に支持部材35が突設されており、この支持部材35に取り付けられた他の支持部材36に、磁性体のドグ37が取り付けられている。また、モータ11のカバー11bに固定された支持部材38に他の支持部材39が取り付けられ、この支持部材39にセンサ部40が取り付けられている。このセンサ部40とドグ37とによって、第1近接スイッチ31が構成されている。第1近接スイッチ31は、天蓋5が閉鎖(全閉)されたときの軸8Aの回動角位置により、出力信号がオンとなるように位置調整されている。
【0016】
一方、接続部30の外周にはリング41が取り付けられ、その外周上の所定位置に設けた支持部42に磁性体のドグ43が取り付けられている。また、モータ11のカバー11bに、センサ部44が取り付けられている。このセンサ部44とドグ43とによって、第2近接スイッチ32が構成されている。第2近接スイッチ32は、天蓋5が開閉されて所定位置に達したときの軸8Aの回動角位置により、出力信号がオンとなるように位置調整される。上記所定位置とは、アーム7の開閉動作途中において、その位置を境として天蓋5の自重がモータ11の重荷になる状態から加勢する状態に転じる遷移点である。
【0017】
図8〜10は、コンテナ1における配線経路を示すための図面であり、図8はコンテナ1全体の右側面図、図9は正面図、図10は図9の一部を背面側から見た部分拡大図である。図8において、煽戸4のロック用のモータ29に接続するためのケーブル45は、コンテナ本体部2の前後方向へのフレーム2cの内側に沿って敷設されている。このケーブル45は、図9に示すようにコンテナ1の前面側のフレーム2dの内側(裏側)を経てコンセントボックス46に接続されている。
【0018】
一方、天蓋5の開閉用に使用されるモータ11のケーブル33は、コンテナ1の前方右側の、チャンネル部材である支柱3の内部を通して下方に下ろされ、支柱3から出たところでコンセントボックス46に接続されている。図10に示すように、支柱3への入り口には保護管47が取り付けられており、ケーブル33をこの保護管47に通すことにより、開口部分のエッジ3a等によって損傷を受けることを防止している。また、支柱3と保護管47との間、及び、保護管47とケーブル33との間は、雨水の浸入を防止するシールが施されている。支柱3の下方の出口3bの外側には、ケーブル33を支持するクリップ48が設けられている。上記コンセントボックス46は、車両に搭載される制御装置やバッテリー(図示せず。)と接続される。
【0019】
上記のようにしてケーブル33の垂直立ち上がり部分を支柱3内に配置したことにより、当該部分の損傷を確実に防止することができる。このような構成は、別途電線保護カバー等を設ける必要がないので、簡素かつ安価である。
なお、天蓋開閉を電動モータではなく油圧駆動装置で行う場合には、油圧ホースを支柱3に通すことにより、同様に、油圧ホースの損傷を防止して簡素かつ安価な構成とすることができる。
【0020】
図11は、開閉装置6(図1)の駆動源であるモータ11の制御回路構成を示すブロック図である。図において、CPU及びメモリーを内蔵した制御装置101には、入力として、メインスイッチ102、スタートボタン103、トグルスイッチ104、並びに、前述の第1近接スイッチ31及び第2近接スイッチ32が接続されている。メインスイッチ102は、モータ11の制御以外の他の制御とも併用される共通のスイッチである。スタートボタン103は、モータ11の制御専用のスイッチである。トグルスイッチ104は天蓋5を開閉操作するためのものであり、「開」、「閉」、「停止」の3位置を有する。また、制御装置101には、出力として、閉鎖ランプ105及び前述のモータ11が接続される。上記メインスイッチ102、スタートボタン103、トグルスイッチ104及び閉鎖ランプ105は、例えば運転席内の操作ボックスに設けられる。
【0021】
次に、天蓋5の開閉動作について説明する。まず、開閉時にアーム7及び天蓋5がどのように動作するかについて説明する。
図3においては、左右一対のアーム7の回動先端は互いに当接し、天蓋5が閉じた状態である。この状態では、天蓋5が、コンテナ本体部2の衝立部2aにパッキン(図示せず。)を介して載せられており、開口A1(図1)は閉鎖されている。このように天蓋5が閉鎖位置にあるときは、ピストンロッド15bの中心軸のほぼ延長線上に軸8Aが存在しており、ピストンロッド15bを引き込もうとするスプリングシリンダ15の付勢力は、軸8Aを回転させるトルクを生じさせない。従って、当該アーム7と連動する他のアーム(左のアーム7及び後方の一対のアーム7)もトルクを生じることはなく、天蓋5は、自重で安定している。
【0022】
図12及び図13は、天蓋5及びアーム7の動作を示すための図である(但し、図3より簡略化し、説明上不要な部分の図示は省略している。)。
図3においてモータ11により軸8Aごと右側のアーム7を時計回り方向に回動させると、左側のアーム7も同期して起立方向に回動し始める(後方もアーム7も同様。)。アーム7が起立方向に回動すると、図12に示すように、天蓋5が持ち上げられ、ガイドローラ18上をスライドする。また、アーム7及び軸8Aの回動に伴って連結部材16も回動し、その結果、ピストンロッド15bが圧縮ばねに抗して若干引き出される。従って、アーム7には閉方向への駆動力も付与されるが、この駆動力は、モータ11によってアーム7に付与される開方向への駆動力に比べて小さいものである。
【0023】
図12の状態からさらにアーム7が回動すると、図13に示すようにアーム7は外側へ倒伏してクッションゴム20に当接し、天蓋5がほぼ垂直に垂れ下がる。なお、天蓋5の外側面の端部には、コンテナ本体部2と当接した場合の緩衝用に、クッションゴム49が設けられている。こうして、天蓋5は完全に開き、開口が全開状態となる。その後、モータ11を停止させる。この状態では、ピストンロッド15bが圧縮ばねに抗して大きく引き出され、連結部材16を介してアーム7には閉方向への駆動力が付与される。この駆動力は、図12の状態より大きくなっているが、天蓋5の自重が優り、図示の状態で安定している。
【0024】
天蓋5の閉動作は、上記と逆の動作によって行われる。図13の状態から閉動作を開始する時、シリンダピストン15による閉方向への駆動力によって、モータ11にかかる負荷が若干軽減される。なお、図示を省略したロック装置により、天蓋5を閉じた状態でアーム7をロックすることができる。
【0025】
次に、制御装置101の処理から見たアーム7等の動作について説明する。
図14及び図15は、上記制御装置101において実行される制御のフローチャートである。当該フローチャートは、紙面の都合で図14及び図15に分かれているが、図14の「X」及び「Y」からそれぞれ図15の「X」及び「Y」に続く1つのフローチャートである。
【0026】
上記フローチャートの処理が開始されると、まず、図14のステップS1において、制御装置101は、メインスイッチ102がオンになるのを待つ。メインスイッチ102がオンになると制御装置101はステップS2に進み、スタートボタン103がオンになるのを待ち、オンになるとステップS3に進む。ステップS3において制御装置101は、トグルスイッチ104が「停止」位置である場合には、ステップS3からステップS18へ進み、さらにステップS3に戻る処理を繰り返して待機する。そして、トグルスイッチ104が「開」位置に操作された場合は、ステップS4に進み、「閉」位置に操作された場合は、ステップS19に進む。
【0027】
トグルスイッチ104が「開」位置に操作され、ステップS4に進んだ場合、制御装置101は、直前の記憶が「開」であるか否かを判定し、「開」でなければ記憶をリセットして(ステップS5)、モータ11を高出力(高トルク)モードで駆動する(ステップS6)。一方、記憶が「開」であれば、ステップS4からステップS3に戻り、モータ11の駆動は行わない。すなわち、直前に開操作が行われていたことを記憶している場合に、改めて開操作をしても、これを受け付けない。
【0028】
直前に閉操作されたことにより天蓋5が全閉状態である場合には、直前の記憶は「閉」である。従って、トグルスイッチ104が「開」に操作された場合は、ステップS4からステップS5,S6が実行され、モータ11が高出力で駆動されることにより、アーム7が図3の状態から起立方向に回動し始める。これに伴って第1近接スイッチ31(図7)の出力信号がオフとなり、これを受けて制御装置101は閉鎖ランプ105を消灯させる(ステップS7)。
続いて制御装置101は、モータ11に供給する電流が所定値IH max(高出力モードの最大値:27A)に達しているか否かを判断する(図15のステップS8)。正常な動作であれば、開動作開始後すぐに電流が所定値IH maxに達することはなく(但し、開動作開始直後にはモータ11への突入電流があるため、約0.5秒間これを無視する。)、この判断結果はノーであり、制御装置101は次のステップS9に進む。なお、電流が所定値IH maxに達するのは、障害物等により開動作が途中で妨げられた場合である(詳細後述)。
【0029】
一方、アーム7は、図3の状態から起立方向への回動初期に天蓋5を持ち上げるため、モータ11には高出力が求められる。ところが、アーム7が図12の状態に達すると、これ以降、天蓋5は自重により外側へ自然にずり落ちようとするため、モータ11には高出力が必要でなくなる。第2近接スイッチ32は、この図12のアーム7の位置を検出するために設けられており、アーム7が図12の位置に達すると、一時的に出力信号がオフからオンに転じる。
【0030】
そこで、制御装置101は、第2近接スイッチ32の出力信号がオンになるのを待ち(ステップS9→S10→S8)、オンになると、モータ11を低出力(低トルク)の駆動に切り替える(ステップS11)。また、第2近接スイッチ32のオン待ちを行っている間、制御装置101は、トグルスイッチ104が「停止」位置に操作されるか否か(ステップS10)、及び、電流が所定値IH maxに達していないか(ステップS8)を常時監視している。ここでは、「停止」の操作はされず、また、電流は所定値IH maxではないものとして説明する。
【0031】
続いて制御装置101は、モータ11に供給する電流が所定値IL max(低出力モードの最大値:17A)になるのを待つ(ステップS12)。また、電流が所定値IL maxとなるのを待っている間、制御装置101は、トグルスイッチ104が「停止」位置に操作されるか否かを常時監視している(ステップS13)。ここでは、「停止」の操作はされないものとして説明する。
上記所定値IL maxは、図13に示すように、アーム7がクッションゴム20に当接してモータ11の回転が強制的に止められたときに発生する。従って、アーム7及び天蓋5が全開の状態となり、アーム7がクッションゴム20に当接すると、制御装置101は記憶を「開」にセットして(ステップS14)モータ11を停止させる(ステップS15)。また、制御装置101は、第1近接スイッチ31の出力信号がオンであるか否かの判定を行うが(ステップS16)、ここでは、出力信号がオフであるので、ステップS17には進まず、処理を終える。なお、上記所定値IL maxの発生は、低出力モードで起こるため、このときのモータ11のトルクも比較的小さい。従って、強制停止による衝撃を緩和し、損傷を防止することができる。
【0032】
また、上記ステップS8及びS12において、所定値IH max又はIL maxは、開動作中の開閉装置6(主としてアーム7)や天蓋5が不測の障害物等によってそれ以上開動作できなくなった場合にも、モータ11の回転が強制的に止められることにより発生する。この場合も同様に、制御装置101は記憶を「開」にセットして(ステップS14)モータ11を停止させる(ステップS15)。
【0033】
次に、上記ステップS3及びS18において、トグルスイッチ104が「閉」位置に操作され、ステップS19に進んだ場合、制御装置101は、直前の記憶が「閉」であるか否かを判定し、「閉」でなければ記憶をリセットして(ステップS20)、モータ11を高出力(高トルク)モードで駆動する(ステップS21)。一方、記憶が「閉」であれば、ステップS19からステップS3に戻り、モータ11の駆動は行わない。すなわち、直前に閉操作が行われていたことを記憶している場合に、改めて閉操作をしても、これを受け付けない。
【0034】
直前に開操作されたことにより天蓋5が全開状態である場合には、直前の記憶は「開」である。従って、トグルスイッチ104が「閉」に操作された場合は、ステップS19からステップS20,S21が実行され、モータ11が高出力で駆動されることにより、アーム7が図13の状態から起立方向に回動し始める。続いて制御装置101は、モータ11に供給する電流が所定値IH maxに達している否かを判断する(図15のステップS22)。正常な動作であれば、閉動作開始後すぐに電流が所定値IH maxに達することはなく(但し、閉動作開始直後にはモータ11への突入電流があるため、約0.5秒間これを無視する。)、この判断結果はノーであり、制御装置101は次のステップS23に進む。電流が所定値IH maxに達するのは、障害物等により閉動作が途中で妨げられた場合である。
【0035】
一方、回動初期のアーム7は、垂下した天蓋5を持ち上げるため、モータ11には高出力が求められる。ところが、アーム7が図12の状態に達すると、これ以降、天蓋5は自重により閉鎖方向へ倒れ込もうとするため、モータ11には高出力が必要でなくなる。第2近接スイッチ32は、この閉動作においても開動作時と同様に、アーム7が図12の位置に達すると、一時的に出力信号がオフからオンに転じる。
【0036】
そこで、制御装置101は、第2近接スイッチ32の出力信号がオンになるのを待ち(ステップS23→S24→S22)、オンになると、モータ11を低出力の駆動に切り替える(ステップS25)。また、第2近接スイッチ32のオン待ちを行っている間、制御装置101は、トグルスイッチ104が「停止」位置に操作されるか否か(ステップS24)、及び、電流が所定値IH maxに達していないか(ステップS22)を常時監視している。ここでは、「停止」の操作はされず、また、電流は所定値IH maxでないものとして説明する。
【0037】
続いて制御装置101は、モータ11に供給する電流が所定値IL maxになるのを待つ(ステップS26)。また、電流が所定値IL maxとなるのを待っている間、制御装置101は、トグルスイッチ104が「停止」位置に操作されるか否かを常時監視している(ステップS27)。ここでは、「停止」の操作はされないものとして説明する。
上記所定値IL maxは、図3に示すように、左右のアーム7の先端同士が当接してモータ11の回転が強制的に止められたときに発生する。従って、アーム7及び天蓋5が全閉の状態となり、アーム7の先端同士が当接すると、制御装置101は記憶を「閉」にセットして(ステップS28)モータ11を停止させる(ステップS15)。また、制御装置101は、第1近接スイッチ31の出力信号がオンであるか否かの判定を行う(ステップS16)。第1近接スイッチ31の出力信号は、全閉によりオンとなっているので、制御装置101は閉鎖ランプ105を点灯させ(ステップS17)、処理を終える。閉鎖ランプ105の点灯を運転席でドライバーが確認することにより、天蓋5の全閉確認が容易になるので、天蓋5を全閉せずに発車するという好ましくない事態を抑止することができる。
【0038】
また、上記ステップS22及びS26において、所定値IH max又はIL maxは、閉動作中の開閉装置6(主としてアーム7)や天蓋5が不測の障害物等によってそれ以上閉動作できなくなった場合にも、モータ11の回転が強制的に止められることにより発生する。この場合も同様に、制御装置101は記憶を「閉」にセットして(ステップS28)モータ11を停止させる(ステップS15)。
【0039】
また、上記ステップS10,S24において、第2近接スイッチ32がオンになる前にトグルスイッチ104が「停止」に操作された場合には、ステップS10,S24から処理がステップS15にジャンプし、「開」又は「閉」の記憶はなされない。すなわち、記憶はリセットされたままとなる。従って、停止後に開閉を再開した場合、直前の開閉方向に関わらず、どちらの方向にも動作可能である。
同様に、上記ステップS13,S27において、電流値が所定値IL maxになる前にトグルスイッチ104が「停止」に操作された場合には、ステップS13,S27から処理がステップS15にジャンプし、「開」又は「閉」の記憶はなされない。すなわち、記憶はリセットされたままとなる。従って、停止後に開閉を再開した場合、直前の開閉方向に関わらず、どちらの方向にも動作可能である。
【0040】
以上のように、制御装置101は、開閉装置6の動作方向(開又は閉)を記憶し、動作停止後の再動作時に直前の動作方向への開閉動作を禁止する。従って、天蓋5の全閉後に誤って閉操作をしても閉動作は行われず、開動作のみが可能である。同様に、全開後に誤って開操作をしても開動作は行われず、閉動作のみが可能である。また、開閉途中に障害物等で開閉動作が停止した場合、同じ方向へ動作を再開することはできず、逆戻りのみが可能である。こうして、過負荷に陥る方向への動作が禁止されるので、開閉装置6における過負荷を未然に防止することができる。その結果、長寿命な天蓋開閉装置を提供することができる。
【0041】
また、制御装置101における記憶は、天蓋の全閉、全開、又は障害物等による開閉動作停止があるまで、解除(リセット)状態であるので、開閉途中において操作者が任意に開閉を停止させた場合には、直前の動作方向に関係なく、開・閉のいずれをも再開することができる。従って、途中停止すると逆戻りするしかない、という不便な操作にはならず、利便性が損なわれない。
【0042】
なお上記実施形態では、モータ11の電流を監視することにより、開閉装置6に所定の負荷(すなわち、全閉、全開、又は障害物)がかかったことを簡易に検出することができる。但し、検出方法はこれに限られるものではなく、例えば、アーム7やその周辺部分にかかる負荷をトルク検出器やストレインゲージ等により検出し、その出力信号に基づいて上記所定の負荷がかかったものと判断するように構成してもよい。
また、上記実施形態の天蓋はスライド両開き式であるが、これに限らず、各種方式の天蓋(例えば回動式、片開き式)に対しても同様の開閉制御を行うことができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように構成された本発明によれば、動作停止後の再動作時に直前の動作方向への開閉動作を禁止するので、天蓋の全閉後に誤って閉操作をしても閉動作は行われず、開動作のみが可能である。同様に、全開後に誤って開操作をしても開動作は行われず、閉動作のみが可能である。また、開閉途中に障害物等で開閉動作が停止した場合、同じ方向へ動作を再開することはできず、逆戻りのみが可能である。こうして、過負荷に陥る方向への動作が禁止されるので、過負荷を未然に防止することができる。その結果、当該天蓋開閉装置を長寿命なものとすることができる。しかも、制御装置における記憶は、天蓋の全閉、全開、又は障害物等による開閉動作停止があるまで解除状態であるので、開閉途中において操作者が任意に開閉を停止させた場合には、直前の動作方向に関係なく、開・閉のいずれをも再開することができる。従って、途中停止すると逆戻りするしかない、という不便な操作にはならず、利便性が損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による天蓋開閉装置付コンテナの平面図である。
【図2】上記コンテナの側面図である。
【図3】上記コンテナにおける天蓋開閉装置の正面図である。
【図4】上記コンテナにおける天蓋開閉装置の背面図である。
【図5】上記コンテナの背面図である。
【図6】図1におけるモータの部分の拡大図である。
【図7】図6の近接スイッチの部分をさらに拡大した図である。
【図8】コンテナにおける配線経路を示すための図面であり、コンテナの右側面図である。
【図9】コンテナにおける配線経路を示すための図面であり、コンテナの正面図である。
【図10】図9の一部を背面側から見た部分拡大図である。
【図11】開閉装置の駆動源であるモータの制御回路構成を示すブロック図である。
【図12】天蓋及びアームの動作を示すための図であり、天蓋の開閉途中の状態を示す。
【図13】天蓋及びアームの動作を示すための図であり、天蓋の全開状態を示す。
【図14】図11の制御装置によって実行される制御のフローチャート(1/2)である。
【図15】図11の制御装置によって実行される制御のフローチャート(2/2)である。
【符号の説明】
2 コンテナ本体部
3 支柱
5 天蓋
6 開閉装置
11 モータ
33 配線
101 制御装置
A1 開口
Claims (3)
- 上部に開口を有するコンテナ本体部と、
前記開口に対して開閉可能であり、開動作の途中の所定位置で自重により前記コンテナ本体部の外側へずり落ちようとするとともに閉動作の途中の前記所定位置で自重により閉鎖方向へ倒れ込もうとするように設けられた天蓋と、
駆動装置の駆動力に基づいて前記天蓋を開閉動作させる開閉装置と、
前記天蓋が前記所定位置に達したことを検知する近接スイッチと、
前記近接スイッチの出力信号に基づいて前記駆動装置を高出力から低出力に切り替えて前記開閉装置を動作させるとともに、全閉、全開又は開閉動作が途中で妨げられることによって前記開閉装置に所定の負荷がかかるまでは動作方向の記憶を解除状態に維持し、所定の負荷がかかったときその動作方向を記憶し、かつ、動作を停止させ、動作停止後の再動作時に直前の動作方向と同一方向への開閉動作を禁止する制御装置と
を備えたことを特徴とする天蓋開閉装置付コンテナ。 - 前記駆動装置は電動のモータであり、前記制御装置は当該モータの電流が所定値に達したとき前記所定の負荷がかかった状態と判断する請求項1記載の天蓋開閉装置付コンテナ。
- 前記駆動装置への配線を前記コンテナ本体部の支柱内に収容した請求項1記載の天蓋開閉装置付コンテナ。
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