JP3989997B2 - 放射線増感剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は放射線増感剤として有用なニトロイミダゾール誘導体の製造法及び製造中間体に関する。
【0002】
【従来の技術】
癌の治療において、低酸素性細胞の存在は放射線や化学療法剤に極めて強い抵抗性を有しており、癌再発の原因であるとも言われ、治療の大きな障害となっている。この低酸素性細胞の有力な処置法として、2−ニトロイミダゾール誘導体を用いた放射線増感治療が開発され、有望な放射線増感剤としてミソニダゾールが開発されたが臨床試験においてその神経毒性の為に開発中止となった。その後、ミソニダゾールの神経毒性を低減した化合物が種々開発されている。
【0003】
これらのうち次の式(5)で表される2−ニトロイミダゾール誘導体は、腫瘍内にある低酸素性細胞の放射線感受性を高める作用、すなわち優れた放射線増感作用を有し、且つ代謝速度が速く安全性が高いため、有望な低酸素性細胞増感剤として注射剤形での臨床試験が行われている。
【0004】
【化6】
【0005】
この2−ニトロイミダゾール誘導体(5)の製法としては以下の反応式(1)に示す方法が知られている。
【0006】
【化7】
【0007】
この方法は、原料化合物であるエリトリトールの4個の水酸基のうち、1級水酸基2個、2級水酸基1個の計3個の水酸基を選択的にアシル化する工程を経ており、1級水酸基と2級水酸基の反応性に差異を出すためには、低温での反応が必要であるが、原料化合物の溶解性が悪く、大量の溶媒を必要とする点で生産コスト及びその処理作業に問題があった。また、この工程の生成物は、テトラアシル化物、トリアシル化物、ジアシル化物、モノアシル化物及び未反応物の混合物として得られ、目的とするトリアシル化物だけを得るにはカラムクロマトグラフィー等による精製が必要であり、それに起因して収率が低下してしまい、工業的な製造法としては適当とは言えなかった。
【0008】
この問題を解決する手段として反応式(2)に示す方法が開発された。
【0009】
【化8】
【0010】
しかし反応式(2)に示される方法は出発物質である(11)や、中間体である(13)は油状物質であり、減圧蒸留やカラムクロマトグラフィーによる精製を必要とする為、これが収率低下と作業効率低下を招いていた。また、この方法では(11)から(13)を誘導する反応において化合物(13)と吸着特性が近似しており、カラムクロマトグラフィーによる除去が困難な2−ニトロイミダゾールが2個縮合した化合物(14)を生成する。このものは結晶性が悪く、精製が困難である。さらに、この製造段階で取り除けなかった化合物(14)は次の製造工程で脱アシル化されると化合物(15)を生じ、このものは水溶性に乏しい為、製造過程で除去しないと剤形化した場合に不溶物となり不都合を生じてしまう危険性があった。この化合物は化合物(5)とは親和性が高いため再結晶では取り除き難く、製造工程でカラムクロマトグラフィーを繰り返し精製しなければならないという製造工程の煩雑さと生産コストの面での欠点を有していた。
【0011】
【化9】
【0012】
【化10】
【0013】
すなわち、純度が高い化合物(5)を効率良く生産しうる製造方法が求められていた。
【0014】
一方、1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールは文献未記載の新規化合物である。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこの様な状況下で為されたものであり、純度の高い化合物(5)を効率良く生産する手段を提供することを課題とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この様な状況に鑑みて、鋭意検討を重ねた結果、以下に示される製造方法によれば工業的に有利に高純度の2−ニトロイミダゾール誘導体(5)を製造できることを見出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランと2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールとを触媒存在下縮合し、1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールを製造中間体とする事を特徴とする、前述した式(5)で表される化合物を得る製造方法を提供するものである。
【0017】
更に本発明はこの製造過程において重要な中間体である1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールを提供するものである。
【0018】
【化11】
4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソラン
【0019】
【化12】
2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾール
【0020】
【化13】
1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾール
【0021】
以下、発明の実施の形態を中心に本発明について詳細に説明する。
【0022】
【発明の実施の形態】
1.本発明の製造方法は、4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランと2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールとを触媒存在下縮合し、得られた1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールを製造中間体とすることを特徴とする、化合物(5)の製造方法である。
【0023】
ここで4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランは既知化合物であり、その製造法は既に知られている。4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランは製造法が特に簡便であり、この化合物及びこの化合物から導かれる1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールは特に結晶性が良い。
【0024】
4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランは、例えば、メゾエリスリトールにベンゾイルクロライドを作用させ、1、4位をアシル化し、次いで未反応の2個の水酸基をジメトキシメタンなどを用い、通常知られている方法で縮合させてジオキソラン環を構築することにより製造することができる。
【0025】
4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランは結晶性が良く、再結晶で精製する事が可能であり、この製造段階で反応物を高純度に作業性、生産効率良く精製できる。
【0026】
2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールは2−ニトロイミダゾールと例えばN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミドやヘキサメチルジシラザン等のシリル化剤を通常の方法に従って作用させて製造することができる。得られた2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールは単離・精製することなく、イン・シチュで4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランと反応させることができるが、単離・精製してもかまわない。
【0027】
4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランと2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールを反応させるときに用いる触媒としては酸触媒が好ましく、ルイス酸が特に好ましい。ルイス酸としては例えば3フッ化ホウ素、3フッ化ホウ素エーテラート、無水塩化亜鉛、無水塩化アルミニウム、無水塩化スズ、無水塩化鉄、無水塩化チタン、トリメチルシリルトリフレート、シルバートリフレート等が挙げられ、3フッ化ホウ素エーテラートが好ましい。添加する触媒量は触媒量から2倍等量程度が好ましい。
【0028】
4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランと2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールの使用割合は任意に定めることができるが、通常は後者に対し前者を等モルないし小過剰用いるのがよい。反応溶媒としては種々のものが使用できるが、例えばアセトニトリル、塩化メチレン、ベンゼン、トルエン等が使用される。反応は−30〜50℃で行い得るが、通常は氷冷下ないし室温で行うのが好ましい。反応時間は反応試薬、温度、反応溶媒、触媒等によって異なり、反応が平衡に達するまで行うのが好ましく、通常は30分〜6時間が好ましい。
【0029】
4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランと2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールを上述した方法で作用させると次の1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールが得られる。1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールは一般的な方法、例えば溶媒抽出等により単離する事ができる。
【0030】
【化14】
1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾール
【0031】
得られた1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールを製造中間体として次いで脱シリル化、脱アシル化すれば化合物(5)が得られる。
【0032】
1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾール以外に、(2−ニトロイミダゾリル)メチル基を2個以上有するものが副生成物として得られる。この副生成物は純度の指標として用いることができる。また、この副生成物に起因する物質も以後の反応の生成物、及び最終品である化合物(5)の純度の指標に用いることができる。従って、この副生成物は重要な化合物である。
【0033】
得られた1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールは結晶性が良く、再結晶で容易に精製する事が可能である。この為、4,5−ビス(ベンゾイルオキシメチル)−1,3−ジオキソランと2−ニトロ−1−トリメチルシリルイミダゾールを縮合した段階及び/又は縮合物を脱シリル化した段階で再結晶で精製し、化合物(5)を製造する事を本発明は特徴とする。精製はどちらか一方でも両方でも良いが両段階で行うのが好ましい。この様に精製することにより高純度の化合物(5)が容易に得られる。
【0034】
ここで脱シリル化や脱アシル化は通常の方法に従って行えばよい。例えば、脱シリル化はアルコール中で酸を作用すれば良く、脱アシル化はアルコール中で塩基と作用させればよい。
【0035】
脱アシル化の終了後、式(5)に表される化合物は常法によって反応液から分離精製される。例えば反応液を濃縮後、残留物に溶媒を加えて結晶を析出させれば高純度の化合物(5)が得られる。
【0036】
2.本発明の化合物は、1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールである。
【0037】
【化15】
1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾール
【0038】
ここでトリメチルシリル基は、メチル基を3個有するシリル基である。
【0039】
1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールの他には、2,3−ビス(2−ニトロイミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,4−ブタンジオール−1,4−ジベンゾエート等が生成する。
【0040】
本発明化合物である1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールは、高純度の化合物(5)を製造する重要な中間体である。
【0041】
また、2,3−ビス(2−ニトロイミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,4−ブタンジオール−1,4−ジベンゾエート等の(2−ニトロイミダゾリル)メチル基を2個以上有するものは1−(1−(ベンゾイルオキシメチル)−3−ベンゾイルオキシ−2−トリメチルシリルオキシ)プロピルオキシメチル−2−ニトロイミダゾールの純度の指標として用いることができる。さらには、(2−ニトロイミダゾリル)メチル基を2個以上有する物質は、最終品である化合物(5)の純度の指標として用いることができる。これは前述の如くこれらの脱保護体の量が最終製剤の品質に大きく関わるためである。
【0042】
【実施例】
【0043】
【実施例1】
2−トリメチルシリルオキシ−3−(2−ニトロ−イミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,4−ブタンジオール−1,4−ジベンゾエートの製造:
メゾエリスリトール75.0gをピリジン700mlに分散し、攪拌しながら塩化ベンゾイル172.8gを氷冷下徐々に滴下した。2昼夜反応させた後溶媒を減圧留去した。酢酸エチルで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去し、結晶化させ、1,2,3,4−ブタントリオール−1,4−ジベンゾエートを108.09g(収率53.2%)得た。このもの23.71g、ジメトキシエタン30mlの懸濁溶液に室温下5酸化燐を少量ずつ添加した。5酸化燐の添加とともに原料は溶解した。薄層クロマトグラフィーで原料が消失するまで5酸化燐の添加を続けた。次いで酢酸エチルを加えて抽出し、このものを水で数回洗浄し、さらに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え中和水洗した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥後、エバポレーターで溶媒を減圧濃縮した。残渣にエタノールを加えて結晶化させ、2,3−ジメトキシメトキシ−1,4−ブタンジオール−1,4−ジベンゾエートを26.88g(収率89.5%)得た。このもの26.49gをベンゼン100mlに溶解し3フッ化ホウ素エーテラート約20mlを1度に加え室温下攪拌した。反応終了後酢酸エチルで抽出し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去した。残渣にエタノール100mlを加え結晶化させ4,5−ジベンゾイルオキシメチル−1,3−ジオキソランを22.06g(収率92.4%)得た。
【0044】
m.p.
74〜75℃
1H−NMR(CDCl3,ppm)
4.65〜4.43(m,4H,[−CH2O−CO−C6H5]×2),5.29及び4.96(s,2H,−OCH2O−),7.49〜7.40(dt,2H,[m−H−C6H4−CO−]×2),7.59〜7.57(t,2H,[p−H−C6H4−CO−]×2),8.06〜8.04(d,2H,[o−H−C6H4−CO−]×2)
【0045】
一方、2−ニトロイミダゾール11.3gにN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド20mlを加え数分間攪拌し、さらにN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド10mlを加え数分間攪拌した。過剰のN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミドを減圧留去した。4,5−ジベンゾイルオキシメチル−1,3−ジオキソラン34.2gを加え、次いでベンゼン20mlを加えて室温下攪拌しながら無水塩化スズを徐々に滴下した。赤黒色透明になるまで無水塩化スズを加えた。合計約30gを要した。一晩攪拌したところ反応液は固化していた。酢酸エチルを加え溶解し、水洗した。次いで飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、さらに水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去した。得られた残渣を<粗生成物・実1>とする。<粗生成物・実1>に酢酸エチル500mlを加えて加熱溶解し、濾過後室温放置し再結晶を行った。結晶を濾取、乾燥し目的化合物を44.87g(収率85.0%)得た。得られた結晶を<精製品・実1>とする。<精製品・実1>の物理恒数を次に示す。<粗生成物・実1>及び<精製品・実1>のHPLC分析結果を表1に示す。
【0046】
m.p.
140〜141℃
1H−NMR(CDCl3,ppm)
0.00(s,9H,(CH3)3−Si),3.94〜3.90(m,1H,>CH−O−Si),4.06〜4.00(m,1H,>CH−OCH2),4.34〜4.16(m,3H,−CH2OBz、−CH2OBz),4.58〜4.53(dd,1H,−CH2OBz),5.83(s,2H,−OCH2−N),6.87(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン),7.14(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン),7.84〜7.27(m,10H,[−CO−C6H5]×2)
【0047】
【表1】
【0048】
【実施例2】
3−(2−ニトロ−イミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,2,4−ブタントリオール−1,4−ジベンゾエートの製造:
<粗生成物・実1> 1gをエタノール200ml、水50mlの混液に溶解し、さらに酢酸1mlを加え約40℃で1時間攪拌した。溶媒を減圧留去し、さらに水についてはエタノールを2〜3度加えて共沸混合物として除去した。残渣として粉末状結晶が得られた。この粉末状結晶を<粗生成物・実2>とする。この粉末状結晶を熱エタノールに溶解し再結晶を行った。結晶を濾取、乾燥し精製品を0.86g(収率:定量的)得た。精製後の結晶を<精製品・実2>とする。<精製品・実2>の物理恒数を次に示す。<粗生成物・実2>及び<精製品・実2>のHPLC分析結果を表2に示す。
【0049】
m.p.
140〜141℃
1H−NMR(CDCl3,ppm)
3.10,3.08(d,1H,−OH),4.17〜4.06(m,2H,−CH(OH)−及び−CH(OCH2−N<)−),4.47〜4.40(dd,1H,−CH2−O−Bz),4.78〜4.73(dd,1H,−CH2−O−Bz),4.60〜4.51(m,2H,−CH2−O−Bz),6.04,6.00,5.96,5.92(q,2H,−OCH2−N<),7.07(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン),7.29(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン),8.01〜7.43(m,10H,[−CO−C6H5]×2)
【0050】
【表2】
【0051】
【実施例3】
3−(2−ニトロ−イミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,2,4−ブタントリオール−1,4−ジベンゾエートの製造・その2:
<精製品・実1>を原料に用いて実施例2と同様の操作で粗生成物及び精製後の結晶を得た。それぞれ<粗生成物・実3>、<精製品・実3>とする。<粗生成物・実3>及び<精製品・実3>のHPLC分析結果を表3に示す。
【0052】
【表3】
【0053】
【実施例4】
3−(2−ニトロ−イミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,2,4−ブタントリオールの製造:
実施例1〜3で得られた3−(2−ニトロ−イミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,2,4−ブタントリオール−1,4−ジベンゾエート、すなわち<粗生成物・実2>、<精製品・実2>、<粗生成物・実3>及び<精製品・実3>のそれぞれ4.5gをメタノール100mlに溶解し、28%ナトリウムメトキシド水溶液0.2mlを加え室温下1時間攪拌した。酢酸0.1mlを加えて中和し溶媒を減圧留去した。得られた残渣にエタノール15mlを加えて加熱溶解し、濾過後室温放置し再結晶を行った。結晶を濾取、乾燥し精製品を2.0g(収率79.6%)得た。精製後の結晶をそれぞれ順に<最終品1>、<最終品2>、<最終品3>及び<最終品4>とする。<最終品1>の物理恒数を次に示す。<最終品1>、<最終品2>、<最終品3>及び<最終品4>のHPLC分析結果を表4に示す。又、参考例として従来の製造法及びその最終物の分析結果も表4に示す。
【0054】
m.p.
135℃
1H−NMR(DMSO−d6,ppm)
3.15〜3.64(m,6H,−CH2−、−CH<),4.43(t,1H,CH2OH),4.64(t,1H,CH2OH),4.75(d,1H,−CH(OH)−),7.19(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン),7.81(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン)
【0055】
【表4】
【0056】
【比較例1】
3−(2−ニトロ−イミダゾール−1−イル−メチルオキシ)−1,2,4−ブタントリオールの製造(その2):
1,2,3,4−ブタントリオール−1,4−ジベンゾエートの代わりに1,2,3,4−ブタンテトラオール−1,4−ジアセテートを原料に用いて、参考例1と同様の操作で製造し、生成物が油状物であったのでシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ベンゼン−酢酸エチル系)で精製して、4,5−ビス(アセトキシメチル)−1,3−ジオキソランを油状物として得た。一方、2−ニトロイミダゾール5.6gにN,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド11.1gを加え室温下攪拌反応させた。TLC上で2−ニトロイミダゾールが完全に消失したことを確認した後に、前記した4,5−ビス(アセトキシメチル)−1,3−ジオキソラン21.8gをベンゼン20mlに溶かした溶液を加えた。次いで無水四塩化チタン20gを徐々に滴下した。滴下終了後3時間攪拌反応させた。反応終了後酢酸エチル300mlで抽出し、水20mlで洗浄後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和した。無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒をエバポレーターで減圧留去し、黄色油状残渣を得た。この残渣にメタノール100ml、水100ml、トリエチルアミン10mlを加え、室温下攪拌反応させ脱アシル化した。反応終了後エタノール20mlを3回加えながらエバポレーターで溶媒を減圧留去した。得られた残渣にエタノール100mlを加えて加熱溶解し熱時濾過した。エバポレーターにて溶媒量が30ml程度になるまで濃縮し、室温にて放置して再結晶を行った。結晶を濾取、乾燥し、目的物を7.0g(収率56.3%)得た。一度目の結晶を<最終品5−1>とする。<最終品5−1>の物理恒数を次に示す。<最終品5−1>をエタノールから再結晶をして<最終品5−2>なる結晶を得た。次いで<最終品5−2>をメタノールから再結晶して<最終品5−3>なる結晶を得た。更に、<最終品5−3>を水から再結晶して<最終品5−4>なる結晶を得た。そして<最終品5−4>をエタノールから再結晶して<最終品5−5>なる結晶を得た。最後に<最終品5−5>をエタノールから再結晶して<最終品5−6>なる結晶を得た。<最終品5−1>〜<最終品5−6>のHPLC分析結果を表5に示す。
【0057】
m.p.
135℃
1H−NMR(DMSO−d6,ppm)
3.15〜3.64(m,6H,−CH2−、−CH<),4.43(t,1H,CH2OH),4.64(t,1H,CH2OH),4.75(d,1H,−CH(OH)−),7.19(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン),7.81(s,1H,2−ニトロイミダゾリル環プロトン)
【0058】
【表5】
【0059】
実施例及び比較例のHPLC操作条件は全て以下の通りである。
カラム;東ソー TSK gel ODS−80TM、4.6×250mm
移動相;メタノール・5mMリン酸塩緩衝液pH6.0(2:7)
温度;40℃
検出;UV320nm
注入;10μL
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、放射線増感剤として有用な2−ニトロイミダゾール誘導体の新規な製造法を提供することができる。また、本製造法が経由する新規化合物を提供することができる。
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