JP3989760B2 - 地山の水抜き工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、未固結地山において水抜孔を打設する地山の水抜き工法とそれに使用される水抜き用鞘管に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、未固結地山において水抜孔を打設する際には、例えば、図5(a)に示すような、側面に図示しない複数の水抜き用小孔が設けられた先導管51,中継管52,端末管53などの複数の鞘管を、管継手54b,55a,55b等により連結して長尺状とした水抜き用鞘管50内に、図5(b)に示すような、先端部に削孔用ビット61を備え、中空孔62を有する最先端ロッド63に、同様の中空孔62を有する複数の連結ロッド64を、スリーブ65a,65bで連結して成る削孔ロッド60を挿入し、図6に示すように、ガイドセル71上に設置された油圧ドリルジャンボ等の削孔機72により上記削孔用ビット61を回転させて地山1を削孔して削孔穴2を形成した後、上記削孔ロッド60を上記水抜き用鞘管50から引き抜いて回収し、上記削孔穴2内に残された上記水抜き用鞘管50により地山の水抜きを行うようにしている(例えば、特開2000−80879号公報、特開2000−80881号公報など)。
また、上記例では、先導管51の先端部に管継手55a及びリング56とにより、削孔穴2の径を拡張するための拡径ビット57を取付け、この拡径ビット57と上記削孔用ビット61により削孔を行うようにしているが、最先端ロッド63の先端のみに削孔用ビット61を取付けて削孔を行うものも多く採用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の方法では、削孔穴2と水抜き用鞘管50との隙間が大きく、湧水が水抜き用鞘管50の外側をまわる場合があり、また、地山が砂質土の場合には、流砂現象を生じ、これが湧水とともに水抜き用鞘管50の外側から流出したり、水抜き用鞘管50内に侵入したりするため、地山の空洞化や地盤沈下への影響が懸念されるといった問題点があった。
そこで、削孔後、削孔ロッド60と水抜き用鞘管50とをともに引き抜いて回収し、先端部に複数の小孔を有する水抜きパイプを削孔穴2内に挿入し、この水抜きパイプの外周面と削孔壁面との間に止水剤を注入する方法(例えば、特開平5−187185号公報)も提案されているが、水抜き用鞘管50の引き抜き作業に手間と時間がかかるだけでなく、水抜きパイプ内への流砂の侵入を有効に防ぐことは困難であった。
【0004】
本発明は、従来の問題点に鑑みてなされたもので、水抜き用鞘管を引き抜くことなく、流砂現象の発生を防止することのできる地山の水抜き工法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の地山の水抜き工法は、先端部に削孔用ビットを備えた削孔ロッドを、側面に複数の水抜き用小孔が設けられた複数本の鞘管を連結して成る水抜き用鞘管内に挿入し、上記削孔用ビットを回転させて地山を削孔した後、上記削孔ロッドを上記鞘管から引き抜いて回収し、地山の水を上記水抜き用鞘管から排水する地山の水抜き工法において、削孔ロッドの回収後に、上記水抜き用鞘管の内部に多孔質フィルタとその内部に挿入された繊維フィルタとから構成された濾過部材を挿入して、上記水抜き用鞘管内への土砂の流出を防止するようにしたことを特徴とするもので、これにより、水抜き用鞘管内へ流砂の侵入を有効に防ぐことができるので、水抜き用鞘管を引き抜くことなく、流砂現象の発生を防止することが可能となる。
【0006】
請求項2に記載の地山の水抜き工法は、上記水抜き用鞘管の先端部に砂止めゴムを設けたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に記載の地山の水抜き工法は、上記水抜き用鞘管の外周側に、流砂防止用のストッパー部材を取付けたことを特徴とするもので、これにより、削孔と水抜き用鞘管との隙間から砂の流出を防止でき、流砂現象の発生を防止することが可能となる。
請求項4に記載の地山の水抜き工法は、上記各鞘管を、最先端の鞘管である先導管を除いて、合成樹脂から構成したものである。
請求項5に記載の地山の水抜き工法は、上記ストッパー部材をゴムリングから構成したものである。
請求項6に記載の地山の水抜き工法は、上記ゴムリングを各鞘管の連結部に装着したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき説明する。
図1(a)は、本発明の一実施の形態を示す図で、10は図示しない削孔ロッドにより地山1を削孔して削孔穴2を形成し、削孔ロッドを回収した後に、上記削孔穴2に残された水抜き用鞘管であり、57は拡径ビットある。この水抜き用鞘管10は、円筒状の先導管11に複数の中継管12と端末管13を連結して成り、上記鞘管(先導管11,中継管12,端末管13)の各側面には図示しない複数の水抜き用小孔が設けられている。なお、上記水抜き用鞘管10においては、その後行われるトンネルの掘削作業を容易にするため、最先端の鞘管である先導管11のみを鋼管から構成し、中継管12及び端末管13とを、塩化ビニルなどの合成樹脂から構成した。
本例では、図1(b)に示すように、上記先導管11と中継管12、中継管12と中継管12、中継管12と端末管13との境界部の外周面に、削孔穴2の開口部側に突出する鍔部14aを有するゴムリング14を取付けてある。これにより、鞘管の接合部を湧水から保護するとともに、削孔穴2と水抜き用鞘管10との隙間からの砂の流出を防止することが可能となる。
更に、本例では、削孔ロッドの回収後に、上記水抜き用鞘管10の内部に濾過部材15を挿入するようにしている。この濾過部材15は、図1(c)に示すように、多孔質フィルタである円筒状のポリエチレンフィルタ15aと、この円筒の内部に挿入された中空状の繊維フィルタ15bとから構成された複合フィルタで、これにより、上記水抜き用鞘管10内への土砂の流出を防止することが可能となる。
【0009】
なお、濾過部材15の後端部に、目詰まり確認用のフィルタ16を設けることにより、濾過部材15の状態を監視するようにすれば、濾過部材15を適正に交換することができる。また、濾過部材15の先端部にも、目詰まり確認用のフィルタ16を設ければ、流砂の発生状況を把握することが可能となる。
上記濾過部材15は、流砂の心配のない地山1では特に挿入する必要はないが、湧水量は少ないが流砂発生が考えられる場合には、例えば、水抜き用鞘管10の全長が15mであれば、8m〜12m程度挿入すれば、水抜き用鞘管10への土砂の流出を十分に防止することが可能である。
なお、上記濾過部材15は、手押しにてある程度の深さまで挿入した後は、削孔に使用した油圧ドリルジャンボ等を用いて水抜き用鞘管10内に押し込むようにする。
【0010】
また、湧水量が多く、湧水後時間が経過すると流砂発生が考えられる場合には、図2(a)に示すように、上記濾過部材15を4m〜8m程度と浅く挿入することが好ましい。あるいは、図2(b)に示すように、上記濾過部材15に代えて、多孔質フィルタである円筒状のポリエチレンフィルタの円筒の内部に、粗い織の不織布を挿入した複合フィルタ17を浅く挿入したり、濾過部材15あるいは複合フィルタ17の先端部に砂止めゴム18を取付けるようにすれば、水抜き用鞘管10への砂の侵入を確実に防止することができる。
また、湧水量が少なく流砂が多い場合には、図3(a)に示すように、上記濾過部材15を4m〜8m程度と浅く挿入するとともに、濾過部材15の先端部に砂止めゴム18を取付け、更に、上記濾過部材15として、繊維フィルタ15bのみを用いるようにすることが好ましい。
また、流砂がかなり多い場合には、図4(a)に示すように、ポリエチレンフィルタ15aを4m〜8m程度挿入し、繊維フィルタ15bは上記ポリエチレンフィルタ15aよりも短めのものを挿入するか、あるいは、図4(b)に示すように、繊維フィルタ15bのみとすることが好ましい。このとき、濾過部材15の先端部にはコーン状の砂止めゴム18Aあるいは、コーン状の蓋部材19を取付けることにより、湧水を効率的に出口側に送って排除することができる。
【0011】
なお、上記実施の形態では、削孔穴2と水抜き用鞘管10との隙間からの砂の流出を防止するためのストッパー部材としてゴムリング14を用いたが、これに限るものではなく、樹脂製のフランジ等を取付けてもよい。また、ストッパー部材の位置や個数についても、全ての接合部に設ける必要はなく、地山の性質等により、適宜決定すればよい。
また、上記濾過部材15あるいは複合フィルタ17の選定は、地山1の性質等により決定されるもので、実際に当該地山1の土壌を採取してその粒度分布や透水性を確認したり、地山1の流砂状態を調査したりして決定する。
また、地山1の性質等により、上記濾過部材15あるいは複合フィルタ17を適宜交換することにより、水抜きボーリングの寿命を長くすることができる。
【0012】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、水抜き用鞘管内に挿入した削孔ロッドの削孔用ビットを回転させて地山を削孔した後、上記削孔ロッドを上記鞘管から引き抜いて回収し、地山の水を上記水抜き用鞘管から排水する際に、上記水抜き用鞘管の外周側に、流砂防止用のストッパー部材を取付けるとともに、削孔ロッドの回収後に、上記水抜き用鞘管の内部に多孔質フィルタとその内部に挿入された繊維フィルタとから構成された濾過部材を挿入して、上記水抜き用鞘管内への土砂の流出を防止するようにしたので、これにより、削孔と水抜き用鞘管との隙間から砂の流出を防止することができるとともに、水抜き用鞘管内へ流砂の侵入を有効に防ぐことができるので、流砂現象の発生を確実に防止することができ、地山の水抜きを効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態を示す図である。
【図2】 本発明による水抜孔の打設方法の他の例を示す図である。
【図3】 本発明による水抜孔の打設方法の他の例を示す図である。
【図4】 本発明による水抜孔の打設方法の他の例を示す図である。
【図5】 従来の水抜き用鞘管と削孔ロッドの構成を示す図である。
【図6】 従来の水抜孔の打設方法を示す図である。
【符号の説明】
1 地山、2 削孔穴、10 水抜き用鞘管、11 先導管、12 中継管、13 端末管、14 ゴムリング、14a ゴムリングの鍔部、15 濾過部材、15a ポリエチレンフィルタ、15b 繊維フィルタ、16 目詰まり確認用のフィルタ、17 複合フィルタ、18 砂止めゴム、18A コーン状の砂止めゴム、19 コーン状の蓋部材。
Claims (6)
- 先端部に削孔用ビットを備えた削孔ロッドを、側面に複数の水抜き用小孔が設けられた複数本の鞘管を連結して成る水抜き用鞘管内に挿入し、上記削孔用ビットを回転させて地山を削孔した後、上記削孔ロッドを上記鞘管から引き抜いて回収し、地山の水を上記水抜き用鞘管から排水する地山の水抜き工法において、削孔ロッドの回収後に、上記水抜き用鞘管の内部に多孔質フィルタとその内部に挿入された繊維フィルタとから構成された濾過部材を挿入して、上記水抜き用鞘管内への土砂の流出を防止するようにしたことを特徴とする地山の水抜き工法。
- 上記水抜き用鞘管の先端部に砂止めゴムを設けたことを特徴とする請求項1に記載の地山の水抜き工法。
- 上記水抜き用鞘管の外周側に、流砂防止用のストッパー部材を取付けたことを特徴とする請求項1に記載の地山の水抜き工法。
- 上記各鞘管を、最先端の鞘管である先導管を除いて、合成樹脂から構成したことを特徴とする請求項1に記載の地山の水抜き工法。
- 上記ストッパー部材をゴムリングから構成したことを特徴とする請求項3に記載の地山の水抜き工法。
- 上記ゴムリングを各鞘管の連結部に装着したことを特徴とする請求項5に記載の地山の水抜き工法。
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