JP4956260B2 - 水抜き管の埋設方法 - Google Patents

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Description

本発明は、トンネルの構築領域の地山などの地盤を掘削して水抜き管を埋設する水抜き管の埋設方法に関するものである。
山岳トンネルを構築する際、地山中における水圧や湧水を減少するために、地山の水抜きを行う、いわゆる水抜き工法が知られている。この水抜き工法は、有孔鋼管を地山に埋設することによって水抜きを行うものである(たとえば、特許文献1)。この水抜き工法では、水抜き管を地山に埋設するにあたり、ロッドの先端に設けられた削孔ビットに水抜き管として有孔鋼管を取り付け、このロッドに対して削岩機によって回転掘削力を付与することにより、削孔ビットに回転掘削力を伝達し、削孔ビットで地山を掘進する。その後、ロッドを除去して、有孔鋼管を地山に埋設した状態として、地山中における排水を促進するようにしている。
特許第3198087号公報
しかし、上記特許文献1に開示された水抜き工法においては、地盤に埋設する水抜き管として有孔鋼管が用いられている。このため、地盤における水抜きを行う際、地盤内の細粒分や砂分が流出して地盤内に空洞を生じさせたり、有孔鋼管における孔が細粒分や砂分によって目詰まりして水抜き効果が低減したりするという問題があった。また、地山からの土圧や地山の変形などにより、埋設した水抜き管が折れ曲がり、湧水の排出路が遮断されるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、地盤内の細粒分や砂分の流出による地盤内の空洞の発生や、水抜き管の目詰まり、さらには水抜き管の折れ曲がりによる水抜き効果の低減を防止することができる水抜き管の埋設方法を提供することにある。
上記課題を解決した本発明に係る水抜き管の埋設方法は、ロッドの先端に設けられた削孔ビットに対して、ロッドを介して回転掘削力を付与することによって地盤を掘進し、削孔ビットに、ロッドを内部に収容する水抜き管を接続して、削孔ビットの掘進に伴って水抜き管を地山に埋設するにあたり、水抜き管とロッドとの間にガイド管を配設して、地盤の掘進を行い、水抜き管として、フレキシブル筒状織物を用いることを特徴とする。
本発明に係る水抜き管の埋設方法においては、水抜き管として、フレキシブル筒状織物を用いている。フレキシブル筒状織物は網目が細かいため、細粒分や砂分が流出しにくい。このため、地山内の細粒分や砂分の流出による地山内の空洞の発生を防止することができる。また、フレキシブル筒状織物は全周面で集水する構造であることから、目詰まりがし難く、しかも透水係数を高くすることができる。したがって、目詰まりによる水抜き効果の低減を防止することができる。また、水抜き管としてフレキシブル筒状織物を用いることにより、地山から土圧がかかったり、地山が変形したりした場合でも、地山の変形に追従等して水抜き管が変形するので、水抜き管の折れ曲がりによる湧水の排水路の遮断を防止することができ、水抜き効果の低減を防止することができる。
ここで、水抜き管とロッドとの間にガイド管を配設して、地盤の掘進を行う態様とすることができる。
本発明に係る水抜き管の埋設方法で用いられるフレキシブル筒状織物は可とう性を有するため、地盤の掘進中にロッドを回転させる際に、その回転力が伝達してしまい、水抜き管が捩れてしまい、掘進の際の直進性が失われることが懸念される。この点、本発明では、水抜き管とロッドとの間にガイド管を配設している。このガイド管によって、ロッドの回転が水抜き管に伝達することを防止することができる。したがって、水抜き管の捩れを防止することができ、もって掘進時の直進性を担保することができる。
ここで、ロッドとガイド管との間に、地山の掘削によって生じたスライムを流通させるスライム流通スペースが形成されている態様とすることができる。
フレキシブル筒状織物は、ろ過機能が高いことから、地盤の掘進によって生じたスライムがフレキシブル筒状織物内に接触ながら流通すると、排水中にスライムが脱水されて、管内に滞留して管内を閉塞させてしまうことが懸念される。この点、本発明に係る水抜き管の埋設方法では、ロッドとガイド管との間に形成されたスライム流通スペースが形成されている。このスライム流通スペースにスライムを流通させることにより、フレキシブル筒状織物とスライムとの接触を避けることができ、スライムが脱水することによる水抜き管の目詰まりを防止することができる。
また、フレキシブル筒状織物が、フレキシブル筒状織物の軸方向に沿って配置されるタテ糸と、フレキシブル筒状織物の周方向に沿って配置されるヨコ糸とを交互に織り込んで形成されている態様とすることができる。
このように、フレキシブル筒状織物として、軸方向に沿って配置されるタテ糸と、フレキシブル筒状織物の周方向に沿って配置されるヨコ糸とを交互に織り込んだものを用いることにより、網目を細かくしながらも全周面で集水する構造を好適に構成することができる。
さらに、タテ糸に対して、ヨコ糸がスパイラル状に織り込まれており、ヨコ糸として、硬鋼線および合成繊維糸が用いられている。
このように、ヨコ糸として硬鋼線が用いられていることにより、地山の土圧に対して扁平につぶれないだけの剛性を確保することができる。また、硬鋼線に合わせて合成繊維糸を用いることにより、上記の剛性を確保しながら、水抜き管自体の軽量化を図ることができる。
そして、地盤が、トンネル掘削領域の周囲における地山である態様とすることができる。このように、地盤としては、トンネル掘削領域の周囲における地山が好適な排水対象となる。
本発明に係る水抜き管の埋設方法によれば、地盤内の細粒分や砂分の流出による地盤内の空洞の発生や、水抜き管の目詰まりによる水抜き効果の低減を防止することができる。
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各実施形態において、同一の機能を有する部分については同一の符号を付し、重複する説明は省略することがある。まず、本発明の第一の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態に係る水抜き管を埋設する装置の側面図、図2は水抜き管を設けたトンネル周辺の模式的斜視図、図3は水抜き管を埋設するシステム全体の側断面図、図4は水抜き管の中央部の側断面図である。また、図5は図3のV−V線断面図、図6は図4のVI−VI線断面図、図7は、水抜き管であるジャケット管における管本体の模式的斜視図、図8(a)はジャケット管の平面図、(b)はジャケット管の側断面図である。
である。
図1に示すように、水抜き工法などを行うにあたり、水抜き管を埋設する際に用いられる装置は、ジャケット管1を備えている。ジャケット管1は、図2に示すように、トンネル構築領域Xの周囲における所定の位置にある程度、たとえば30〜50m程度の間隔をおいて複数本埋設される。トンネル構築領域Xにトンネルを掘削する際に、このジャケット管1を複数埋設することにより、切羽の水圧や湧水の減少を図っている。
また、図3および図4に示すように、ジャケット管1の内部にはロッド2が配設されており、ロッド2の先端には本発明の削孔ビットであるロストビット3が取り付けられている。また、ロストビット3とジャケット管1との間には、ケーシングトップ5が介在されており、ロストビット3とロッド2との間にはシャンクデバイス4が介在されている。さらに、ジャケット管1とロッド2との間には、本発明のガイド管であるガイドチューブ6が配設されている。このように、水抜き管を埋設する装置は、ジャケット管1と、ガイドチューブ6と、ロッド2とのいわば三重管構造をなしている。
ロッド2の後端部は、アダプタ部材7を介して削岩機8に回転可能に接続されている。また、ガイドチューブ6は、アダプタ部材7の先端位置に配置されており、削岩機8からの推進力を伝達可能とされている。削岩機8は、ロッド2を介してロストビット3に対して回転掘削力を付与している。なお、ここでの回転掘削力とは、回転力のほか、推進力や打撃力などを含んだ掘削力を意味するものである。
ジャケット管1は、管本体11を備えている。この管本体11における先端部には先端口金12が取り付けられ、後端部には後端口金13が取り付けられている。先端口金12の内側面には、雌ネジ部が形成されており、後端口金13の外側面には雄ネジ部が形成されている。先端口金12の雌ネジ部に後端口金13の雄ネジ部をねじ込むことにより、ジャケット管1同士が連結可能とされている。
これらの雄ネジ部と雌ネジ部とは、互いに入れ違えて配置した態様とすることもできる。また、口金12,13と管本体11との接続を強固にするために、接着剤を併用したり、各ネジ部をタケノコ状にしたりすることもできる。さらに、ジャケット管1におけるもっとも削岩機8側に配設された管本体11の後端口金13には、保護キャップ18がねじ込まれている。この保護キャップ18により、後端口金13のネジ山の損傷を防止している。
管本体11は、直径が75mmの可とう性を有するフレキシブル筒状織物からなり、図7および図8に示すように、タテ糸14とヨコ糸15a,15bによって形成されている。タテ糸14はポリエステル繊維の紡績糸7090dtexからなり、ヨコ糸15a,15bはそれぞれ亜鉛めっき硬鋼線60Cφ1.6mm、ポリエステル樹脂からなる剛直なモノフィラメント糸φ1.6mmからなる。このフレキシブル筒状織物では、複数本のタテ糸14と、2種類のヨコ糸15a,15bが用いられている。この複数のタテ糸14に対して、ヨコ糸15a,15bがスパイラル(螺旋)状に織り込まれている。また、タテ糸の本数は144本、ヨコ糸の打ち込み(長さ方向への込み具合)は4.0本/cmである。
さらに説明すると、ヨコ糸15a,15bは、いずれもスパイラル状をなしており、それぞれ交互に挿入された状態で配置されている。この2本のヨコ糸15a,15bに対して、タテ糸14aがヨコ糸15a,15bが形成するスパイラルの軸方向に沿って配置されている。このとき、タテ糸14は、ヨコ糸15a,15bが形成するスパイラルの半径方向に振幅を有する波状をなしており、隣り合うタテ糸14とは、ヨコ糸15a,15bのうちのいずれか1本分の位相差を持って配置されている。
このフレキシブル筒状織物は網目が細かいため、細粒分や砂分が流出しにくく、全周面で集水する構造であるため、有孔管に比べて目詰まりしにくい。しかしながら、透水係数は10−1〜10−3cm/sec程度と大きく、集水能力が高い水抜き管である。また、一方のヨコ糸15aとして硬鋼線を用いることにより、ジャケット管1を削孔に挿入した後、地山の土圧に対して扁平につぶれないだけの剛性を確保することができる。また、他方のヨコ糸15bとしてモノフィラメント糸を用いることにより、ジャケット管1の全体としての軽量化を図ることができる。
ジャケット管1は、ロッド2によって回転させられるロストビット3の掘進によって地山に埋設されるが、タテ糸14に対してヨコ糸15a,15bがスパイラルに挿入される方向(スパイラル状の回転進行方向)は、削孔時におけるロッド2の回転方向とされている。スパイラル状をなすヨコ糸15a,15bの回転進行方向をロッド2の回転方向とすることにより、ロッド2の回転力がジャケット管1に影響を与えたとしても、ロッド2の回転によってヨコ糸15a,15bがタテ糸14に対して締め付けられる方向に対する回転が付与されることになる。したがって、タテ糸14に対するヨコ糸15a,15bの緩みを防止することができる。この結果、ジャケット管1の軸方向の剛性が損なわれることによるジャケット管1の蛇行を防止することができる。
ロッド2は、図4および図5に示すように、ガイドチューブ6よりも小径であり、ジャケット管1の軸方向に沿って配設されている。ロッド2は、その軸方向中央部におけるロッド中央部21と、ロッド先端部22と、ロッド後端部23とによって形成されている。また、ロッド2の軸方向に直交する断面中央位置には、流水通路24が形成されている。流水通路24は、ロッド後端部23からロッド中央部21を経てロッド先端部22までを貫いて形成されている。
また、ロッド中央部21は軸方向に対して直交する断面の形状が略正六角形をなしており、ロッド先端部22およびロッド後端部23は、それぞれ軸方向に対して直交する断面の形状がロッド中央部21よりも小さい略円形状をなしている。なお、本実施形態では、ロッドの断面は略正六角形をなしているが、略円形の形態などとすることもできる。ロッド先端部22およびロッド後端部23は互いに同径とされており、カップリング25を介して接続可能とされている。カップリング25の内側断面形状は、ロッド先端部22およびロッド後端部23の断面外形状と同形状の断面内形状と略同一とされている。先行するロッド2におけるロッド後端部23と後続するロッド2におけるロッド先端部22とをカップリング25にねじ込むことにより、ロッド2同士がその軸方向に沿って接続される。
最先に位置するロッド2の先端には、ロストビット3が取り付けられている。ロストビット3は、図3に示すように、ヘッド部31を備えており、ヘッド部31の先端にカッタ32が取り付けられている。ヘッド部31は、先端が大径で後端が小径の回転体形状をなしている。ロストビット3は、ロッド2から伝達される回転掘削力により、地山を掘削しながら前進する。また、ロストビット3の後端部には、内側断面形状が円形のシャンクデバイス接続部33が形成されており、シャンクデバイス接続部33の先端部には、係止孔34が形成されている。さらに、ロストビット3には、土砂を掘削した際に、その土砂と混合してスライムを生成する水を供給する噴水口35が形成されている。さらに、ロストビット3は、側方が切り欠かれており、生成したスライムをケーシングトップ5側へ移送するための移送流路36が形成されている。
ロストビット3のヘッド部31とロッド2との間には、シャンクデバイス4が設けられている。シャンクデバイス4の後端部には、ロッド接続部41が形成されている。ロッド接続部41の内側断面形状は、ロッド2におけるロッド先端部22の断面外形状とほぼ同形状とされており、ロッド2のロッド先端部22がシャンクデバイス4に嵌め込まれている。なお、本実施形態では、削孔ビットとしてロストビット3を用いているが、リングロストビットと回収インナービットを合わせた削孔ビットなど、適宜の削孔ビットを用いることができる。
また、シャンクデバイス4の先端には、ロストビット接続軸42が設けられている。ロストビット接続軸42の外側断面形状は、ロストビット3に形成されたシャンクデバイス接続部33の内側断面形状とほぼ同形状をなしている。シャンクデバイス4におけるロッド接続部41は、ケーシングトップ後行管52の内径よりわずかに小さい外径を有し、接続軸42との間に、前方に縮径するテーパ状の伝達面を形成する。ケーシングトップ5における先行管51の後端部は、前方が縮径するテーパ状の受け面を形成し、シャンクデバイス4の伝達面とゲーシングトップ5の受け面とを当接させて削岩機8の打撃と推進をケーシングトップ5に伝達する態様としている。
また、シャンクデバイス4の先端部には、軸方向に対して交差する方向に突出する嵌合突起43が設けられており、ロストビット3における係止孔34に挿入されている。嵌合突起43が係止孔34に挿入されていることにより、ロッド2の回転をロストビット3に対して確実に伝達することができる。
さらに、シャンクデバイス4には、シャンクデバイス4の軸方向に沿った流水通路44が形成されている。流水通路44の後端は、ロッド2に形成されている流水通路24と連通する。また、流水通路44の途中位置には噴水口45が形成されている。さらに、シャンクデバイス4の側方は切り欠かれており、スライムをガイドチューブ6側へ移送するための移送流路46が形成されている。なお、噴水口45を形成しない態様とすることもできる。
シャンクデバイス4の周囲には、ケーシングトップ5が設けられている。ケーシングトップ5は、先行管51と後行管52とを備えており、先行管51と後行管52とは溶接固定されている。なお、先行管51と後行管52とはネジ接続された態様とすることもできる。また、ケーシングトップ5の外径は、ロストビット3におけるヘッド部31の先端の外径よりもわずかに小さくされている。ケーシングトップ5の外径をロストビット3におけるヘッド部31の先端の外径よりも小さくすることにより、ケーシングトップ5およびケーシングトップ5に牽引されるジャケット管1の地山に対する挿入をスムーズにすることができる。また、ケーシングトップ5の先端にロストビット3におけるヘッド部31の後端が挿入されている。
また、ロストビット3およびシャンクデバイス4は、ケーシングトップ5に対して相対的に回転可能とされている。このため、ロッド2が回転することにより、ロッド2の回転力がシャンクデバイス4に伝達される。シャンクデバイス4に伝達された回転力はロストビット3のヘッド部31に伝達され、ヘッド部31がケーシングトップ5に対して相対的に回転する。ここで、削岩機8からの回転掘削力は、ロッド2およびシャンクデバイス4を介してロストビット3に伝達するが、ケーシングトップ5には伝達しない設計構造とされている。
ケーシングトップ5における後行管52の後端部外側面には、ジャケット管接続部53が形成されている。ジャケット管接続部53の外側面には、ジャケット管1における後端口金13の外側面に形成された雄ネジ部と同様の雄ネジ部が形成されている。このジャケット管接続部53における雄ネジ部にジャケット管1の先端口金12の雌ネジ部をねじ込むことにより、ケーシングトップ5における後行管52に対してジャケット管1が接続される。ケーシングトップ5にジャケット管1が取り付けられることにより、ケーシングトップ5に牽引されてジャケット管1が前進する。
また、ケーシングトップ5の後行管52とロッド2との間には、スライムを移送するための移送流路56が形成されている。この移送流路56は、ケーシングトップ5の先行管51とシャンクデバイス4との間に形成された移送流路46と連通している。
ガイドチューブ6は、剛性を有する鋼管であり、その外径がケーシングトップ5における後行管52の内径とほぼ同径であり、内径がロッド2よりも大径とされており、ジャケット管1の内側でジャケット管1とロッド2との間に配置されている。なお、ガイドチューブとしては塩ビ管などを用いることもできる。ガイドチューブ6は、互いの略同径のリード管60とチューブ本体61を備えている。チューブ本体61の先端部には先端継手部62が形成され、リード管60の後端部およびチューブ本体61の後端部には、それぞれ後端継手部63が形成されている。また、先端継手部62の内側面には雌ネジ部が形成されており、先行するガイドチューブ6の後端継手部63に後続するガイドチューブ6の先端継手部62をねじ込むことにより、ガイドチューブ6同士がその軸方向に沿って接続される。
ガイドチューブ6は、もっともケーシングトップ5側にリード管60が配置されており、リード管60の後端継手部に63にチューブ本体61の先端継手部62がねじ込まれて、チューブ本体61がリード管60に接続される。このチューブ本体61の後端継手部63に後行するチューブ本体61の先端継手部62が接続される。こうして長尺のガイドチューブ6が形成される。さらに、ガイドチューブ6におけるもっとも削岩機8側の後端継手部63には、保護キャップ69がねじ込まれている。この保護キャップ68により、後端継手部63のネジ山の損傷を防止している。
また、ガイドチューブ6とロッド2との間には、スライムを移送するための移送流路65が形成されている。この移送流路65は、ケーシングトップ5の後行管52とロッド2との間に形成された移送流路56と連通している。ガイドチューブ6の外径は、ケーシングトップ5における後行管52の内径とほぼ同径に近い径とされ、クリアランスを1mm程度とされている。さらに、ガイドチューブ6におけるリード管60とケーシングトップ5の後行管52との間には、図示しないOリングが介在されている。このため、ジャケット管1とガイドチューブ6との間にスライムが流入することを防止することができる。
また、ガイドチューブ6の先端部は、シャンクデバイス4に対して、50cm程度離間した位置に配置される。さらに、ケーシングトップ5の後行管52と、リード管60のラップ長は50cm程度とされている。ラップ長を50cm程度設けることにより、ケーシングトップ5に対するガイドチューブ6の抜けを防止している。このラップ長は、長くすることにより、ガイドチューブ6がケーシングトップ5から抜けにくくなるが、その一方でケーシングトップ5の重量が嵩み、施工性等が低下する。これらの点を考慮して、ケーシングトップ5の後行管52と、リード管60のラップ長は、適宜の長さに設定することができる。
アダプタ部材7は、フロントアダプタ70およびロッドアダプタ75を有しており、フロントアダプタ70は、ロッドアダプタ75よりもロストビット3側に配置されている。フロントアダプタ70における先端部には、ガイドチューブ6の後端部に取り付けられた保護キャップ68が挿入される挿入孔71が形成されている。この挿入孔71に保護キャップ68が挿入されることにより、削岩機8からの推進力をガイドチューブ6に伝達するとともに、ガイドチューブ6の後端部の上下左右方向における揺れを防止している。
さらに、フロントアダプタ70には、その軸方向に沿ってロッド2を貫通させる貫通孔72が形成されている。ロッド2は、貫通孔72を貫通してフロントアダプタ70よりも削岩機8側に配置されたロッドアダプタ75まで到達している。また、フロントアダプタ70には、スライムを排出するためのスライム排出孔73が形成されている。
ロッドアダプタ75は、ロッド接続軸76を備えている。ロッド接続軸76はフロントアダプタ70に形成された貫通孔72に貫通しており、フロントアダプタ70に対して相対的に回転可能とされている。
ロッド接続軸76は、外断面形状がロッド2におけるロッド後端部23の外断面形状とほぼ同形状の棒状をなしている。ロッド2におけるロッド後端部23とロッドアダプタ75のロッド接続軸76とは、カップリング77によって接続されており、ロッド2の後端部23とロッドアダプタ75のロッド接続軸76とをそれぞれ前後方向からカップリング77にねじ込むことにより、ロッド2とロッドアダプタ75とがその軸方向に沿って接続される。ロッドアダプタ75の後端部には、削岩機8における出力軸81が嵌め込まれる削岩機接続部78が設けられている。削岩機接続部78は、ロッド接続軸76の後端部に形成されており、削岩機接続部78に付与された回転掘削力がロッド接続軸76を介してロッド2に伝達される。また、フロントアダプタ70とロッドアダプタ75の接続部には、緩衝リング79が介在されている。
削岩機8は、出力軸81を備えており、出力軸81は、削岩機接続部78に接続されている。削岩機8では、ロッドアダプタ75におけるロッド接続軸76に接続されたロッド2を回転させるとともに、ロッド2を前後方向に移動させて推進力や打撃力(掘削力)を付与している。なお、ガイドチューブ6には回転力を付与せず、推進力を付与する設計構造とされている。
削岩機8から付与された回転掘削力は、ロッド2を介してロストビット3に伝達される。ロストビット3は、付与された回転掘削力により地山を掘削するとともに前進する。また、ロッド2における流水通路24には、図示しない給水装置から水が供給される。
続いて、本実施形態に係る水抜き工法の手順について、図9を参照して具体的に説明する。
本実施形態に係る水抜き工法では、まず、図9(a)に示すように、削岩機8によってロッド2を介してロストビット3を回転させ、ロストビット3の回転掘削力によって地山Tの掘削を始める。このとき、ロストビット3の後端部には、ケーシングトップ5を介してジャケット管1が取り付けられており、ロストビット3の地山T内への進入により、ジャケット管1も地山T内に進入する。
続けてロストビット3による掘進を継続する。その後、ジャケット管1のほぼ全体が地山T内に進入したら、図9(b)に示すように、ジャケット管1の後端部に後続のジャケット管1を接続する。それから、削岩機8を駆動して、ロストビット3による掘進をさらに継続する。
ロストビット3による掘進を継続している間、削岩機8からはロッド2に対して回転力が付与されており、ロッド2は高速で回転している。ここで、ジャケット管1とロッド2との間には、ガイドチューブ6が介在されており、ガイドチューブ6は剛性を有している、このため、ジャケット管1が可とう性を有しているものの、ガイドチューブ6の剛性により、ジャケット管1の直進性を良好に確保することができる。その一方で、ジャケット管1が可とう性を有していることから、多少の曲がりが生じた場合でも、ジャケット管1を良好に地山Tに挿入することができる。
また、ロッド2はジャケット管1内に設けられており、ジャケット管1における管本体11はフレキシブル筒状織物によって形成されていることから、ロッド2の回転によってジャケット管1が捩れてしまうことが懸念される。この点、ロッド2とジャケット管1との間にはガイドチューブ6が介在されている。ガイドチューブ6は、アダプタ部材7を介して削岩機8に接続されており、その回転が防止されることから、ロッド2の回転力がジャケット管1に伝達されることを防止している。このため、ジャケット管1の捩れを防止することができる。
さらに、ロストビット3による掘進を行う際には、ロッド2における流水通路24に給水装置から水が供給される。流水通路24に供給された水は、ロッド2における流水通路24およびロストビット3における噴水口35から噴水される。ロストビット3の先端部では、カッタ32によって地山Tの掘削が行われ、この掘削に伴って土砂が排出される。この土砂が噴水口35から噴水される水と混合されスライムとなる。
スライムは、移送流路36を通じてガイドチューブ6の後端部から排出される。ここで、ガイドチューブ6の外径がケーシングトップ5における後行管52の内径とほぼ同径とされ、ガイドチューブ6とジャケット管1との間には、ほとんど隙間がなくされていることにより、ガイドチューブ6とロッド2との間に移送流路65が形成され、ガイドチューブ6とジャケット管1との間にスライムが流入することを防止している。このため、ジャケット管1内におけるスライムの目詰まりを防止するとともに、スライムによるジャケット管1内の閉塞を防止することができる。
こうしてロストビット3による掘進を継続し、後続するジャケット管1のほぼ全体が地山に侵入したら、図9(c)に示すようにさらに後続するジャケット管1を接続して掘進を継続する。その後、所定の長さ分のジャケット管1が地山Tに進入したら、ジャケット管1からロッド2およびガイドチューブ6を引き抜く。ガイドチューブ6を引き抜く際には、シャンクデバイス4を介してガイドチューブ6にも推進力が伝達するので、ガイドチューブ6を容易に引き抜くことができる。
それから、図9(d)に示すように、削岩機8を取り除いて、ジャケット管1の埋設を完了する。なお、ロストビット3およびケーシングトップ5は、ジャケット管1とともにそのまま地山Tに埋め残す。そして、ジャケット管1が埋設された後は、トンネルを構築する際の水抜き管として用いられる。
このようにして埋設されたジャケット管1は、管本体11がフレキシブル筒状織物で形成されている。このため、水抜き管として用いられる際に、細粒分や砂分が流出しにくい。また、全周面で集水する構造であるため、有孔管に比べて目詰まりしにくい。しかしながら、透水係数は10−1〜10−3cm/sec程度と大きい。このため、高い集水能力を発揮することができる。したがって、目詰まりによる水抜き効果の低減を防止することができ、水抜き管として好適に用いることができる。
また、フレキシブル筒状織物のヨコ糸として硬鋼線およびモノフィラメント糸の2種類のヨコ糸を用いることにより、ジャケット管1を削孔に挿入した後、地山の土圧に対して扁平につぶれないだけの剛性を確保するとともにジャケット管1の全体としての軽量化を図ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記実施形態では、ロストビット3を埋め残す態様としているが、他の態様の削孔ビットを用いる場合、削孔ビットやケーシングトップの一方または両方をも取り除く態様とすることができる。また、上記実施形態におけるジャケット管のタテ糸やヨコ糸のピッチ、径、材質などを自由に設計することにより、地山の状況に応じたジャケット管を形成することができる。
また、上記実施形態では、トンネル構築領域Xの周囲に水抜き管を埋設する水抜き工法を例に説明したが、水抜き管の埋設位置は、トンネル構築領域Xの周囲に限られず、たとえば、法面であったり、地表面であったりする態様とすることもできる。
本発明に係る水抜き管を埋設する装置の側面図である。 水抜き管を設けたトンネル周辺の模式的斜視図である。 水抜き管を埋設するシステム全体の側断面図である。 水抜き管の中央部の側断面図である。 図3のV−V線断面図である。 図4のVI−VI線断面図である。 ジャケット管における管本体の模式的斜視図である。 (a)はジャケット管の平面図、(b)はジャケット管の側断面図である。 本発明に係る水抜き工法の施工工程を示す工程図である。
符号の説明
1…ジャケット管
11…管本体
12…先端口金
13…後端口金
14…タテ糸
15a,15b…ヨコ糸
18…保護キャップ
2…ロッド
21…ロッド中央部
22…ロッド先端部
23…ロッド後端部
24…流水通路
25…カップリング
3…ロストビット
31…ヘッド部
32…カッタ
33…シャンクデバイス接続部
34…係止孔
35…噴水口
36…移送流路
4…シャンクデバイス
41…ロッド接続部
42…ロストビット接続軸
43…嵌合突起
44…流水通路
45…噴水口
46…移送流路
5…ケーシングトップ
51…先行管
52…後行管
53…ジャケット管接続部
54…リード管
55…ガイドチューブ接続部
56…移送流路
6…ガイドチューブ
61…チューブ本体
62…先端継手部
63…後端継手部
65…移送流路
68…保護キャップ
7…アダプタ部材
70…フロントアダプタ
71…挿入孔
72…貫通孔
73…スライム排出孔
75…ロッドアダプタ
76…ロッド接続軸
77…カップリング
78…削岩機接続部
79…緩衝リング
8…削岩機
81…出力軸
T…地山
X…トンネル構築領域

Claims (5)

  1. ロッドの先端に設けられた削孔ビットに対して、前記ロッドを介して回転掘削力を付与することによって地盤を掘進し、
    前記削孔ビットに、前記ロッドを内部に収容する水抜き管を接続して、前記削孔ビットの掘進に伴って前記水抜き管を前記地山に埋設するにあたり、
    前記水抜き管と前記ロッドとの間にガイド管を配設して、前記地盤の掘進を行い、
    前記水抜き管として、フレキシブル筒状織物を用いることを特徴とする水抜き管の埋設方法。
  2. 前記ロッドと前記ガイド管との間に、前記地盤の掘削によって生じたスライムを流通させるスライム流通スペースが形成されている請求項1に記載の水抜き管の埋設方法。
  3. ロッドの先端に設けられた削孔ビットに対して、前記ロッドを介して回転掘削力を付与することによって地盤を掘進し、
    前記削孔ビットに、前記ロッドを内部に収容する水抜き管を接続して、前記削孔ビットの掘進に伴って前記水抜き管を前記地山に埋設するにあたり、
    前記水抜き管として、フレキシブル筒状織物を用い、
    前記フレキシブル筒状織物が、前記フレキシブル筒状織物の軸方向に沿って配置されるタテ糸と、前記フレキシブル筒状織物の周方向に沿って配置されるヨコ糸とを交互に織り込んで形成されていることを特徴とする水抜き管の埋設方法。
  4. 前記タテ糸に対して、前記ヨコ糸がスパイラル状に織り込まれており、
    前記ヨコ糸として、硬鋼線および合成繊維糸が用いられている請求項3に記載の水抜き管の埋設方法。
  5. 前記地盤が、トンネル掘削領域の周囲における地山である請求項1〜請求項4のうちのずれか1項に記載の水抜き管の埋設方法。
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