JP3989740B2 - 移動観覧席 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、椅子を起立位置と倒伏位置との間で移動可能に構成した移動観覧席に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、椅子を起倒可能に構成した移動観覧席においては、図1に示すように段床a2上に左右方向に沿って横並びに配設され、上方に開口したベースユニットa3に椅子ユニットa4を支持させ、前記ベースユニットa3に椅子起倒機構a5を収容してこの椅子起倒機構a5により椅子ユニットa4を移動させ、ベースユニットa3の開口部aSを、移動可能な蓋体a6とベースユニットa3に固定したカバー体a7とで覆う構成が知られている。この蓋体a6及びカバー体a7は、観覧席としての使用時にベースユニットa3内部を着席者から見えないようにして見栄えをよくする役割を有する。
【0003】
この蓋体a6としては、従来椅子ユニットa4の座を支持する前支柱a41に設けられている構成のものが知られている。この構成においては、椅子ユニットa4を起立位置にして使用する際にはこの蓋体a6が前記開口部aSを被覆し、前記椅子ユニットa4を図1の二点鎖線に示すような倒伏位置にして収納する際にはこの蓋体a6が上方に移動して椅子起倒機構a5の運動を妨げないように退避する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような構成では、椅子ユニットa4を図1の二点鎖線に示すような倒伏位置にして収納する際にこの蓋体a6が上方に突出する。
【0005】
一方、段床a2間の段差を小さくして、同じ総高さで段数を増やし、より多くの席数を確保することが考えられている。しかし、前述したような収納時に前記蓋体a6が上方に突出する構成では、単純に段差を縮小しても収納の際に段床a2が前記蓋体a6に当たって収納が不可能になる。
【0006】
この不具合を単純に解消するには、前記蓋体a6を小さくすればよい。しかし、この蓋体a6を小さくした分だけカバー体a7を大きくし、起立位置においてこの蓋体a6とこのカバー体a7との間に隙間ができないようにするとカバー体a7が椅子起倒機構a5の運動を妨げてしまう。また、前記蓋体a6を小さくする一方でカバー体a7の大きさを椅子起倒機構a5の運動を妨げない範囲に抑えると、起立位置においてこのカバー体a7と前記蓋体a6との間に大きな隙間ができ、前記開口部aSが露出して見栄えが悪くなる。
【0007】
そこで本発明は以上に述べた問題を解決し、蓋体をベースユニットに設けて段床間の段差を小さくすることを可能にすべく構成したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明に係る移動観覧席は、上方に開口するベースユニットと、前記ベースユニットに起立位置と倒伏位置との間で移動可能に支持された椅子ユニットと、動力を受け取り前記椅子ユニットを移動させる椅子起倒機構と、前記ベースユニットに設けられ、その開口部を被覆する蓋体とを具備するとともに、前記椅子ユニットが、前記ベースユニットに前後方向に回転可能に下端部を支持された前支柱、及びこの前支柱の後方に配設され前記ベースユニットに前後方向に回転可能に下端部を支持された後支柱を有し、前記椅子起倒機構が前記ベースユニットに横架され、前記椅子ユニットを起立位置と倒伏位置との間で移動させる動力を受け取る基軸と、一端を前記基軸に固定した第1リンクメンバと、一端を前記椅子ユニットに回転可能に連結した第2リンクメンバと、前記第1リンクメンバ及び前記第2リンクメンバの他端を回転可能に連結する連結部材とを具備するものであって、前記蓋体を、前記ベースユニットに回転可能に連結しているとともに、この蓋体の後端がベースユニットの後端に略達し、前記椅子ユニットが起立位置にある際にこの蓋体の前端が前記前支柱の後端縁近傍に達し、前記椅子起倒機構の運動を妨げないようにすべく起倒動作の際にこの蓋体の上面を形成する上板の下面が椅子起倒機構のリンクメンバに当たった状態で椅子起倒機構のリンクメンバに押されて上方に退避するようにしていることを特徴とする。
【0009】
このようなものであれば、椅子ユニットに蓋体を設けた従来の構造と比較して、倒伏位置において蓋体が上方に大きく突出する不具合を解消することと、起立位置においてベースユニットの開口部が露出し見栄えが悪くなることを防ぐことの両立が、簡単な構造で実現できるようになる。従って、移動観覧席の段床間の段差を小さくして同じ総高さで段数を増やしてより多くの席数を確保することや、補助ステップを省略し、機構を単純化することができるようになる。
【0010】
また、前記椅子起倒機構に一端を前記基軸に固定し他端にリンク連結点を有する第1リンクメンバと、一端を支柱に、他端を前記リンク連結点にそれぞれ回転可能に連結した第2リンクメンバとを具備し、起倒動作の際に起倒動作の際にこの蓋体が椅子起倒機構のリンクメンバに押されて上方に退避するようにしているので、蓋体を移動させるための特別な機構が必要でなくなり、より簡単な機構で前記蓋体を移動可能にすることができる。
【0011】
さらに、前記蓋体を、前記ベースユニットに回転可能に連結しているので、前記蓋体をスライドさせる構成と異なり、蓋体を退避させるスペースや蓋体の移動方向を規制する手段を設ける必要がない。
【0012】
前記第1リンクメンバが起倒動作の際に蓋体に当たって移動方向に案内するカム面を具備するものであれば、前記椅子起倒機構及び前記蓋体が円滑に移動するようにできる。
【0013】
前記蓋体の移動範囲を制限できるようにするには、前記蓋体に長孔を設けるとともに、前記ベースユニットに前記長孔を貫通するピンを設ければよい。このようにすれば、前記長孔の端に前記ピンが当たることによって前記蓋体がそれ以上移動できないようになるからである。
【0014】
前記ベースユニットが、前後方向に回転可能に下端部を支持された前支柱と、この前支柱の後方に配設され前記ベースユニットに前後方向に回転可能に下端部を支持された後支柱とを具備する実施態様に対応するには、前記蓋体に切り欠きを設けているとともに、前記椅子ユニットの後支柱を支持すべく前記ベースユニットに設けられる後支柱受をこの切り欠きから突出させている構成を採用すればよい
【0015】
移動観覧席の座席の収納又は設定の手間を省くには、共通駆動軸と前記基軸とをギア列を挟んで接続し、起立位置と倒伏位置との間で移動させる動力を前記共通駆動軸から供給するようにすればよい。この移動観覧席の個々の椅子に備えた前期基軸を前記共通駆動軸に接続することにより前記共通駆動軸に接続したすべての椅子の起倒動作を一度に行うことができるからである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係る移動観覧席1は、図2〜図9に示すように、複数の段床2と、この段床2上に左右方向に沿って横並びに配設され、上方に開口するベースユニット3と、このベースユニット3に起立位置と倒伏位置との間で移動可能に支持された椅子ユニット4と、動力を受け取り前記椅子ユニット4を移動させる椅子起倒機構5と、横並び一列の収納式椅子2に亘って貫通し、動力を伝達する共通駆動軸Nと、この共通駆動軸Nの回動を前記椅子起倒機構5に減速伝達するギヤ列Gと、前記ベースユニット3に設けられ、その開口部Sを被覆する蓋体6を具備する。そしてそれら段床2を、雛段状に展開される展開状態(図2参照)と相互に重合する収納状態(図3参照)との間で伸縮動作させ得るように構成したものである。各段床2を支持する走行フレームの構造や、これら各走行フレームを進退させる駆動機構等は従来のものと同様であるため説明を省略する。
【0018】
詳述すれば、ベースユニット3は、図4〜図7に示すように段床2上に起立させた対をなす面板部材31と、この面板部材31の上端略中央部に固定した後支柱受32とからなるものである。そして、これら面板部材31間で、後述する椅子ユニット4の前支柱41等を支持しているとともに、後支柱受32は後述する椅子ユニット4の後支柱42を支持している。さらに、このベースユニット3に上方に向けて開口した開口部Sが存在する。起立位置において、この開口部Sの前端は椅子ユニット4の後端縁に達し、後端は前記面板部材の後端縁間を結んだ線上まで達している。
【0019】
椅子ユニット4は、図4〜図7に示すように、前記ベースユニット3に前後方向に回転可能に下端部を支持された前支柱41と、この前支柱41の後方に配設され前記ベースユニット3に前後方向に回転可能に下端部を支持された後支柱42と、前支柱41及び後支柱42の各上端部に各端部をそれぞれ回転可能に支持された肘部材43と、隣合う前支柱5間に枢支された座44と、隣合う後支柱42間に一体的に固設された背板45aを主体として構成される背45とを具備する。
【0020】
前支柱41は、その下端部から左右に一体的に前支柱支軸X1を突出してなる厚肉平板状のもので、前記前支柱支軸X1をベースユニット3の前縁近傍に取り付け、この前支柱支軸X1を中心として前後方向に回動可能なように構成している。
【0021】
後支柱42は、背板45aの両側縁部に取付けられた板金部材であり、前支柱41の後方内側に配設され、その下端部と前記ベースユニット3の前記後支柱受32の上端部とが後支柱支軸X2を介して回転可能に連結されている。そしてこの後支柱42は、この後支柱支軸X2を中心として前後方向に回動可能なように構成している。
【0022】
肘部材43は、下方及び後方に開口した中空体状のものである。そして、この肘部材43の中間部は前支柱41の上端部に前肘支軸X3を介して回転可能に連結されている。また、後端部は後支柱42の上端部に後肘支軸X4を介して回転可能に連結されている。
【0023】
座44は、隣り合う前支柱41の内側面間にライジング可能に配設されたもので、その基端近傍部を前支柱41の内側面に枢支されている。そして、この座44は、略水平な着座位置から斜めに傾斜したライジング位置(図4の二点鎖線で示す)まで自動的に回転し得るように図示しないスプリングにより付勢されている。また、ライジング位置にある座44をさらに上方に持ち上げると、座44は背45に近接する位置にまで回転し得るようになっている。
【0024】
背45は、前記背板45aの前面側の適宜位置にクッション材45bを取り付けることによって構成されている。
【0025】
椅子起倒機構5は、図5〜図7に示すように前記ベースユニット3に横架され、前記椅子ユニット4を起立位置と倒伏位置との間で移動させる動力を受け取る基軸X0と、この基軸X0に一端を固定されラジアル方向に延出する第1リンクメンバ51と、前記椅子ユニット4の前支柱支軸X1から偏位させた部位に設定した回動点Z1に一端部を回転可能に連結された第2リンクメンバ52と、前記第1リンクメンバ51と前記第2リンクメンバ52との他端部同士を回転可能に連結する連結部材たるリンクメンバ連結軸53とを備えている。さらに、第1リンクメンバ51は前記基軸X0に一端を固定されラジアル方向に延出する板状部材から構成される本体511と、本体511に固定して設けられたカム板512とを備えている。そして、前記カム板512の一端面には起倒動作の際に蓋体6に当たって移動方向に案内するカム面51aを形成してある。第2リンクメンバ52は第1リンクメンバ51と前記ベースユニット3とに挟み込まれるように配設されたやはり対をなす滑らかなクランク形状の板状部材で構成されている。この椅子起倒機構5は前記椅子ユニット4の1箇所、本実施形態では前記回動点Z1にのみ作用する。なお、前記第1リンクメンバ51は、カム板512を省略して本体511にカム面51aを形成するようにしてもよい。
【0026】
共通駆動軸Nは図6に示すように、一端にカップリング(図示略)を介して電動モータ(図示略)を連結された円柱状のもので、各ベースユニット3の下端近傍においてブッシュBSを介して枢支されている。ギヤ列Gは、共通駆動軸Nの回転を減速して前記椅子起倒機構5の基軸X0に伝達するためのもので、例えば図5に示すように各ベースユニット3の外側において枢支された複数のホイール歯とピニオン歯とを組み合わせてなる。
【0027】
蓋体6は、図6に示すように下方に開口したチャネル状の板金材料により構成され、上面を形成する上板61と、側面を形成する側板62とを備えている。そして、図7に示すようにその後端部をベースユニット3の面板部材31の後端部に位置する水平な蓋体回転中心軸X5に回転可能に連結している。さらに、この蓋体6の前端は前記前支柱41の後端縁近傍に達している。また、この蓋体6の後端は前記面板部材31の後端縁間を結んだ線上に略達している。さらに、図6に示すように、この蓋体6の前部の左右両端部に切り欠き6aを設けていて、この蓋体6は全体として平面視凸形状をなしている。この切り欠き6aからは、前記後支柱受32が突出している。また、側板62には、上下方向に延びる長孔621を設け、この長孔621を貫通するように前記面板部材31にピン622を設けていて、図7に示すように起立位置において上板61の高さ位置が面板部材31の上端縁と略一致する状態を保つようにしている。そして、この蓋体6は、起立位置において前記開口部Sを略完全に覆うようにしてある。
【0028】
前記ベースユニット3、前記前支柱41、前記肘部材43、及び前記後支柱42は、4辺リンク機構を構成している。そして、前記ベースユニット3は上述したように段床2に固定されていて、前記前支柱41、前記肘部材43、及び前記後支柱42が連動するようにしてある。
【0029】
以下に前記椅子ユニット4の起倒動作について述べる。
【0030】
この椅子ユニット4を図7の実線に示す起立位置から図8の状態を経て図7の二点鎖線及び図9に示す倒伏位置まで移動させるには、まず共通回転軸Nを回転させる。すると、ギア列Gを通して動力が基軸X0に伝わり、この基軸X0が回転する。すると、この基軸X0に固定された第1リンクメンバ51も回転し、第1リンクメンバ51の他端部に設けた連結部材53から動力が伝わって第2リンクメンバ52は前方に移動する。そして、第2リンクメンバ52により前支柱41の回動点Z1が前方に移動してこの前支柱41が前記前支柱支軸X1を中心に回転して前方に倒れる。このとき、前記前支柱41の上端部に前記前肘支軸X3を介して回転可能に連結した肘部材43は前記前支柱41の回転を受けて前下方に移動する。さらに、上端部を前記後肘支軸X4を介してこの肘部材43に、下端部を前記後支柱支軸X2を介して前記後支柱受32にそれぞれ回転可能に連結した前記後支柱42は、前記後支柱支軸X2を中心に回転して前方に倒れる。逆に、この椅子ユニット4を前記倒伏位置から前記起立位置まで移動させるには、前記共通駆動軸Nを逆方向に回転させる。すると、前記椅子起倒機構5が先ほどの倒伏動作と逆方向に働き、前記前支柱41の前記回動点Z1が後上方に移動してこの前支柱41が起立する。そして前記4辺リンク機構により肘部材43が後上方に移動するとともに後支柱42が起立して、この椅子ユニット4が前記起立位置まで移動する。
【0031】
しかして、前記椅子ユニット4が前記起立位置と前記倒伏位置との間を移動する際に、前記蓋体6は前記椅子起倒機構5の運動を妨げないように移動する。すなわち本実施形態では、この倒伏動作の過程において、図8に示すように第2リンクメンバ52の縁部が蓋体6に当たる。このとき蓋体6は蓋体回転中心軸X5を中心に回転し、第2リンクメンバ52に押されて上方に退避し、前記椅子起倒機構5の運動を妨げないようにする。さらに移動すると蓋体6の先端部が前記第2リンクメンバ52の縁部に当たった状態から、この蓋体6の先端部が第1リンクメンバ51のカム面51aに当たった状態に滑らかに移る。そして、蓋体6が前記カム面51aに当たっている状態を保ちながら図9に示す倒伏位置まで移動する。逆に、椅子ユニット4を倒伏位置から起立位置まで移動させると、蓋体6はまず第1リンクメンバ51のカム面51aに当たったまま、蓋体回転中心軸X5を中心として上方に回転移動する。それからある程度移動すると蓋体6の先端部が第1リンクメンバ51のカム面51aに当たった状態からこの蓋体6の先端部が第2リンクメンバ52の縁部に当たった状態に滑らかに移る。そしてさらに移動すると、蓋体6は起立位置と同じ位置に達し、前記第1リンクメンバ51及び前記第2リンクメンバ52は蓋体6に当たらなくなるが、蓋体6の長孔621の上端は前記ピン622に当たっていてこれ以上下方に移動しないようにしてあるので、前記第1リンクメンバ51及び前記第2リンクメンバ52がさらに移動しても蓋体6は起立位置と同じ位置を保つ。
【0032】
なお、本実施形態において、第1リンクメンバ51を本体511のみで構成し、前記カム面51aを省略した状態では、倒伏位置においては蓋体6は第1リンクメンバ51と第2リンクメンバ52とのいずれにも当たっていないので起立位置と同じ位置にあり、椅子ユニット4及び椅子起倒機構5が起立位置に向かって移動する際にもある時点までこの位置を保つ。そしてある時点でいきなり第1リンクメンバ51が蓋体6に当たってこの蓋体6を後方に押すような形になる。一方、この蓋体6は蓋体回転中心軸X5に固定されていて、後方への移動は禁止されている。従って、前記カム面51aを省略すると蓋体6が椅子起倒機構5の運動を妨げてしまう。第1リンクメンバ51に前記カム面51aを形成しておくことにより、上述したように倒伏位置から起立位置への移動の際に蓋体6が前記カム面51aに当たったまま第1リンクメンバ51に押されて移動するようになり、蓋体6が椅子起倒機構5の運動を妨げないようになる。
【0033】
以上に詳述したように、ベースユニット3に蓋体6を設けたので、倒伏位置において、図1に示すような従来の構成に比べて蓋体6の突出を抑えることができるとともに、起立位置において開口部Sの露出を覆う機能も維持することができる。従って、段床2間の段差は、後支柱受32に当たらない範囲で小さくできる。そして、前記後支柱受32は前記後支柱支軸X2が前記面板部材31の上端より上になる範囲で小さくできるので、段床2間の段差もそれに応じてさらに小さくできる。このようにして段床2間の段差を小さくできるので、例えば同じ総高さで段数を増やしてより多くの席数を確保するようにできる。または、通路部分に段差を緩和する目的で設けられる補助ステップを省略し、製造の容易化を図ることもできる。
【0034】
また、前記蓋体6が前記第1リンクメンバ51及び前記第2リンクメンバ52に当たって移動するようにしているので、特別な機構を追加することなく前記蓋体6が前記第1リンクメンバ51及び前記第2リンクメンバ52を退避し、より簡単な機構により前記蓋体6が前記椅子起倒機構5の運動を妨げないように移動するようにできる。
【0035】
加えて、前記蓋体6を、前記ベースユニット3に回転可能に連結しているので、スライドさせて退避する構造と異なり蓋体6を退避させるスペースや蓋体6の移動方向を規制する手段を設ける必要がない。
【0036】
また、前記蓋体6に長孔621を設けるとともに、ベースユニット3にこの長孔621を貫通するようにピン622を設けているので、このピン622が前記長孔621の端に当たることにより前記蓋体6の移動範囲を規制することができる。
【0037】
そして、前記蓋体6の前部の左右両端に切り欠き6aを設けていることから、ベースユニット3に後支柱受32を前記切り欠き6aから突出させて設けることができる。
【0038】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0039】
例えば、蓋体を第1リンクメンバ及び/又は第2リンクメンバに当たって移動するようにする代わりに、例えば椅子ユニットの起倒運動に連動して蓋体を回転又はスライドさせる機構をベースユニットに設けてもよい。
【0040】
また、第1リンクメンバにカム面を形成する代わりに、第1リンクメンバが蓋体に当たらないように構成し、カム面を省略できるようにしてもよい。
【0041】
さらに、蓋体をベースユニットに回転可能に連結する代わりに、ベースユニットに蓋体の移動方向を規制する機構を別に設ける等して、蓋体が椅子起倒機構のリンクメンバ等に押されることによりスライドするようにして退避するようにしてもよい。その場合、開口部を覆う蓋体としての機能を確保するために、蓋体にバネ等を設けて、蓋体の前端部が起立位置において常に椅子ユニットの後縁端近傍に位置するようにするとよい。
【0042】
そして、蓋体に長孔を設け、ベースユニットにこの長孔に貫通するピンを設ける代わりに、例えば椅子ユニットが起立位置にある状態において蓋体の下面を当てて蓋体の移動範囲の下端を制限するようなストッパを設けるようにしてもよい。
【0043】
加えて、上述した実施形態のように前支柱に座を取り付け、後支柱に背を取り付けるようにする代わりに、前記前支柱に相当する1つの支柱に座と背とを取り付けるような態様であれば、上述した実施形態における後支柱受は省略できるので蓋体に切り欠きを設ける必要はない。
【0044】
【発明の効果】
本発明は、以上に詳述したように、ベースユニットに蓋体を設け、前記蓋体が前記椅子起倒機構の運動を妨げないように移動可能にしているので、椅子ユニットに蓋体を設けた従来の構造における倒伏位置において蓋体が上方に大きく突出する不具合の解消を簡単な構造で実現できる。従って、移動観覧席の段床間の段差を小さくして同じ総高さでより多くの席数を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の移動観覧席のベースユニット内部の構造を示す側断面図。
【図2】本発明の一実施形態における移動観覧席の展開状態を示す全体側面図。
【図3】同実施形態における移動観覧席の収納状態を示す全体側面図。
【図4】同実施形態における椅子ユニットが起立位置にある状態を示す概略側面図。
【図5】同実施形態における椅子ユニットが起立位置にある状態でのベースユニット付近を示す概略側面図。
【図6】同実施形態における椅子ユニットが倒伏位置にある状態でのベースユニット付近の拡大斜視図。
【図7】同実施形態における椅子ユニットが起立位置にある状態でのベースユニット内部を示す側断面図。
【図8】同実施形態における作用説明図。
【図9】同実施形態における作用説明図。
【符号の説明】
1…移動観覧席
3…ベースユニット
4…椅子ユニット
5…椅子起倒機構
X0…基軸
51…第1リンクメンバ
51a…カム面
52…第2リンクメンバ
53…連結部材
6…蓋体
6a…切り欠き
N…共通駆動軸
G…ギア列
S…開口部

Claims (5)

  1. 上方に開口するベースユニットと、前記ベースユニットに起立位置と倒伏位置との間で移動可能に支持され、前記ベースユニットに前後方向に回転可能に下端部を支持された前支柱、及びこの前支柱の後方に配設され前記ベースユニットに前後方向に回転可能に下端部を支持された後支柱を有する椅子ユニットと、動力を受け取り前記椅子ユニットを移動させる椅子起倒機構と、前記ベースユニットに設けられ、その開口部を被覆する蓋体とを具備するとともに、
    前記椅子起倒機構が前記ベースユニットに横架され、前記椅子ユニットを起立位置と倒伏位置との間で移動させる動力を受け取る基軸と、一端を前記基軸に固定した第1リンクメンバと、一端を前記椅子ユニットに回転可能に連結した第2リンクメンバと、前記第1リンクメンバ及び前記第2リンクメンバの他端を回転可能に連結する連結部材とを具備するものであって、
    前記蓋体を、前記ベースユニットに回転可能に連結しているとともに、この蓋体の後端がベースユニットの後端に略達し、前記椅子ユニットが起立位置にある際にこの蓋体の前端が前記前支柱の後端縁近傍に達し、前記椅子起倒機構の運動を妨げないようにすべく起倒動作の際にこの蓋体の上面を形成する上板の下面が椅子起倒機構のリンクメンバに当たった状態で椅子起倒機構のリンクメンバに押されて上方に退避するようにしていることを特徴とする移動観覧席。
  2. 前記第1リンクメンバに、起倒動作の際に蓋体に当たって移動方向に案内するカム面を形成していることを特徴とする請求項1記載の移動観覧席。
  3. 前記蓋体に長孔を設けるとともに、前記ベースユニットに前記長孔を貫通するピンを設けていることを特徴とする請求項1又は2記載の移動観覧席。
  4. 前記ベースユニットが、前後方向に回転可能に下端部を支持された前支柱と、この前支柱の後方に配設され前記ベースユニットに前後方向に回転可能に下端部を支持された後支柱とを具備するものであって、前記蓋体に切り欠きを設けているとともに、前記椅子ユニットの後支柱を支持すべく前記ベースユニットに設けられる後支柱受をこの切り欠きから突出させていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の移動観覧席。
  5. 前記椅子起倒機構に起立位置と倒伏位置との間で移動する動力を与える共通駆動軸と、前記基軸と前記共通駆動軸とを接続するギア列とをさらに具備していることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の移動観覧席。
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