JP3610820B2 - 収納式椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動観覧席等に好適に使用される収納式椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
多目的ホール等に設置するための移動観覧席等の段床上に横並びに設置される椅子は、一斉に起倒動作するように構成されており、その代表的なものとして、各椅子が、背座を支持しベースユニットに起立位置と倒伏位置との間で前後に回動可能に支持された前支柱及び後支柱と、これら前支柱及び後支柱を連動させるリンク機構とを具備したものが知られている。具体的には、横並び一列に配設されたこれら椅子に亘って共通駆動軸を貫通させるとともに、共通駆動軸と各椅子の前後支柱を、前記リンク機構の駆動のための入力軸(基軸と称する)を介して連結し、この共通駆動軸を、モータ等により正逆回転させることにより前支柱と後支柱とを一斉に起倒動作させている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなものでは、例えば起立位置にあるいずれかの椅子を倒そうとしたり持ち上げたりすることで、前後支柱が傾動すると、その動きが基軸を介して共通駆動軸に伝達され、他の椅子が全て傾動するといった不具合が生じる。具体的に椅子を倒そうとしたり持ち上げたりする力は、着座時に体重が背に作用したり、後席の人が前の椅子の背を支えにして立ち上がったり、座席間を移動時に、背を支えにしたり、あるいは背の裏面にテーブルが付いているものでは、このテーブルにものを載せたり肘をついたりした際等、比較的頻繁に生じうる。このような場合に椅子の傾動は、実際にはモータの電磁ブレーキである程度抑制できるが、各椅子のがたつき程度の動きを完全に抑制することは極めて難しいうえ、このがたつきが共通駆動軸を介して伝達され他の椅子全てをがたつかせることとなるため、椅子としての安定感やグレード感に欠けることになる。
【0004】
一方、共通駆動軸をロックするなどして全く動かないようにすれば、一の椅子のがたつきが他の椅子に伝達されるのは防止できるが、共通駆動軸と各椅子の前後支柱とを連結する駆動系のあそび(例えばギヤのバックラッシ等)による各椅子単独でのがたつきは防止できない。そこで、各椅子のがたつきを小さくするために、部品や組立を精度よく管理すると、コストの大幅な増大を招来するという不具合が発生する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題を極めて簡単な構造で解決すべく図ったものであって、起立位置において、基軸と前リンク機構、及び基軸と後リンク機構によってそれぞれトグル構造を形成し、前支柱または後支柱のいずれに回動力を与えてもその回動力が基軸に伝達されないように構成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明に係る収納式椅子は、ベースユニットと、背座を支持し、前記ベースユニットに起立位置と倒伏位置との間で前後に回動可能に支持された前支柱及び後支柱と、前記ベースユニットに回動可能に支持された基軸と、複数の前リンク要素を枢結してなり、この基軸の回動を前記前支柱の回動動作に変換する前リンク機構と、複数の後リンク要素を枢結してなり、この基軸の回動を前記後支柱の回動動作に変換する後リンク機構とを具備するものであって、起立位置において、前記基軸と前記前リンク機構、及び前記基軸と前記後リンク機構によってそれぞれトグル構造を形成し、前支柱または後支柱のいずれに回動力を与えてもその回動力が基軸に伝達されないように構成したことを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、起立位置にある椅子を持ち上げようとしたり倒そうとしたりして椅子側から倒れ力を作用させても、前後各リンク機構と基軸によってトグル構造が形成されてその倒れ力は基軸に伝達されないため、その椅子が傾動することを防止でき、結果的に当該椅子に連動する他の椅子があったとしてもこれら他の椅子が傾動することを防止できるようになる。しかも、かかる作用を専用の部材等を使用することなく、既存の前後各リンク要素の配設位置を工夫することで奏させることができ、その実現が極めて容易でコスト的にも有利となる。加えて、起立位置においては、トグル構造の形成によって、がたも生じにくくなっているため、駆動系の遊びに起因する椅子のがたつきも有効に防止でき、例えば椅子の起倒のための駆動軸と前記基軸とをバックラッシの多い低級なギヤ列で連結するといったことが可能になる。
【0008】
構成の簡単な後リンク機構の実施の態様としては、後リンク機構が、基軸に止着され回動端部に第1枢結点を有してなる第1後リンク要素と、ベースユニットに設定した第1固定枢結点周りを、後支柱の回動に伴って回動する後回動点と、各端部を前記第1枢結点及び後回動点にそれぞれ枢結された第2後リンク要素とを具備し、起立位置において、第1枢結点及び後回動点とを結ぶ第1の仮想直線上に基軸を位置させるとともに、この第1の仮想直線を第1固定枢結点と後回動点とを結ぶ第2の仮想直線に対して直交させてトグル構造を形成しているものを挙げることができる。
【0009】
同様に、構成の簡単な前リンク機構の実施の態様としては、前リンク機構が、基軸に止着され回動端部に第2枢結点を有してなる第1前リンク要素と、ベースユニットに設定した第2固定枢結点周りを前支柱の回動に伴って回動する前回動点と、各端を前記第2枢結点及び前記前回動点にそれぞれ枢結された第2前リンク要素とを具備し、起立位置において、第2枢結点及び前回動点とを結ぶ第3の仮想直線上に基軸を位置させるとともに、この第3の仮想直線を第2固定枢結点と前回動点とを結ぶ第4の仮想直線に対して直交させてトグル構造を形成しているものを挙げることができる。
【0010】
起立位置を、専用の位置決め部材等を用いることなく、確実に設定するためには、起立位置において、第2枢結点と前回動点とを基軸を中心に互いに逆側に位置させるとともに、第2前リンク要素を基軸に当接させているものが好ましい。
椅子としての安定感や重厚感を増大させ、なおかつ倒伏位置でのコンパクト化を可能とするなどの種々の効果を得るには、後支柱の下端部が、起立位置においては前方所定位置に位置し、倒伏位置においては前記前方所定位置よりも後方に設定した後方所定位置に位置するように、ベースユニットによる後支柱の前記支持位置を、前記起倒動作に伴わせて移動させる移動機構を設けたものが好適である。
【0011】
かかる移動機構と後リンク機構との部材の共通化を図るには、後リンク機構が、第1固定枢結点に枢支され、この枢支位置から偏位した位置に後回動点を設定してなる移動用アームを具備するものであって、この移動用アームに、後支柱の下端部を枢結することによって、該移動用アームを移動機構の構成要素として共用しているものが好ましい。
【0012】
本発明の作用効果が顕著に奏される実施の態様としては、観覧席等において左右に並設した複数の収納式椅子を一斉に起倒動作させるための共通駆動軸に、ギヤ列を介して基軸を連結しているものが挙げられる。
前後支柱に、座の両側方から支持する脚のイメージを与え、使用者に安定感等をより強く印象づけるには、前支柱が対をなし、座の両側方にそれぞれ配設されているとともに、後支柱が対をなし、背の両側方に一体的にそれぞれ配設されているものが望ましい。
【0013】
後支柱の下端部が前方所定位置と後方所定位置との間で移動するスペースを確保すべく設けられた開口部を、特別他の機構を必要とせず、設計的な工夫のみで、起立位置において自動的に閉塞するには、該開口部を閉塞するための蓋体を移動用アームに設けておくことが好ましい。
起立位置での安定感、重厚感等を使用者により強く与え得る好適な実施態様としては、起立位置において、前支柱が略鉛直状態で起立し、後支柱がその下端部を前支柱の下端部と側面視略接するような状態で後傾姿勢となるように設定しているものが挙げられる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1〜図8を参照して説明する。
この実施例は、本発明に係る収納式椅子Cを段床式の移動観覧席1に適用したものである。この移動観覧席1は、図1、図2に示すように、複数の段床2を具備し、それら段床2を、雛段状に展開される展開状態(図1参照)と相互に重合する収納状態(図2参照)との間で伸縮動作させ得るように構成したものである。各段床2を支持する走行フレームの構造や、これら各走行フレームを進退させる駆動機構等は従来のものと同様であるため説明を省略する。
【0015】
段床2上には、図3に示すように、左右方向に沿って複数の収納式椅子Cがそれぞれ起倒動作可能に横並びに配設されている。具体的に各収納式椅子Cは、図4等に示すように、前記段床2上に設置したベースユニット3と、このベースユニット3に前後方向に回動可能なように下端部を枢支された前支柱5と、この前支柱5の後方に配設され前記ベースユニット3に前後方向に回動可能なように下端部を枢支された後支柱6と、前支柱5及び後支柱6の各上端部に各端部をそれぞれ枢着された肘部材7と、隣合う前支柱5間に枢支された座8と、隣合う後支柱6間に一体的に固設された背板9aを主体として構成される背9と、前記ベースユニットに回動可能に支持された基軸KJと、この基軸KJの回動を前支柱5の回動動作に変換する前リンク機構101と、この基軸KJの回動を後支柱6の回動動作に変換する後リンク機構102と、横並び一列の収納式椅子Cに亘って貫通する共通駆動軸Nと、この共通駆動軸Nの回動を基軸KJに減速伝達するギヤ列G(図3、図5に示す)と、を具備してなる。
【0016】
詳述すれば、ベースユニット3は、段床2上に起立させた対をなす面板部材31からなるもので、これら面板部材31間で、前支柱5や後支柱6等を支持している。また、隣合うベースユニット3間には図示しない化粧カバーが配設され、ベースユニット3及びその内部を視認できないように覆っている。
前支柱5は、その下端部から左右に一体的に支軸15aを突出してなる厚肉平板状のもので、前後方向に回動可能なように支軸15aがベースユニット3の前縁近傍に設定した第2固定枢結点X2において枢支されている。
【0017】
後支柱6は、背板9aの両側縁部に取付けられた板金部材であり、前支柱5の後方内側に配設され、その下端部が前記ベースユニット3に、後述する移動用アーム12を介して間接的に枢支されている。
肘部材7は、下方及び後方に開口した中空体状のもので、前支柱5及び後支柱6の各上端部に帽嵌させてある。そして、この肘部材7の中間部が前支柱5に軸15bを介して枢着され、後端部が後支柱6に軸15cを介して枢着されている。
【0018】
座8は、隣合う前支柱5の内側面間にライジング可能に配設されたもので、その基端近傍部を前支柱5の内側面に枢支されている。そして、この座8は、略水平な着座位置から斜めに傾斜したライジング位置(図4の想像線で示す)まで自動的に回動し得るように図示しないスプリングにより付勢されている。また、ライジング位置にある座8をさらに上方に持ち上げると、座8は背9に近接する位置にまで回動し得るようになっている。
【0019】
背9は、前記背板9aの前面側の適宜位置にクッション材9bを取着することによって構成されている。
前リンク機構101は、基軸KJに止着されラジアル方向に延出する第1前リンク要素たるクランクアーム16と、このクランクアーム16の回動端部に設定した第2枢結点Y2及び前支柱5の支軸15aから偏位させた部位に設定した前回動点Z2に各端部をそれぞれ枢結された第2前リンク要素17とを具備する。クランクアーム16は対をなす板状部材から構成されており、第2前リンク要素17はクランクアーム16を挟み込むように配設されたやはり対をなす板状部材から構成されている。
【0020】
後リンク機構102は、ベースユニット3に設定した第1固定枢結点X1において支軸15fを介して前後に回動可能に支持された移動用アーム12と、基軸KJに止着され第1後リンク要素としての役割も果たす前記クランクアーム16と、このクランクアーム16の回動端部に設定した第1枢結点Y1及び移動用アーム12の一方の回動端部に設定した後回動点Z1に各端部をそれぞれ枢結した第2後リンク要素18とを具備する。移動用アーム12は、中央板部11の両側縁からそれぞれ側板部12cを立設してなる断面コの字形のもので、後支柱6の下端部を、起立位置においては図4に示す前方所定位置に位置し、倒伏位置においては前記前方所定位置よりも後方に設定した図8に示す後方所定位置に位置するように移動させる移動機構の構成要素でもある。第2後リンク要素18は、板状部材で、クランクアーム16を構成する一対の板状部材に挟み込まれるように配設されている。
【0021】
また、本実施例では、この中央板部11に、蓋体の役割を担わせている。具体的には、起立位置において、この中央板部11が、ベースユニット3の上面と面一な状態となり、ベースユニット3を構成する面板部材31間に形成される開口部を閉塞するように設定してある。さらに、この移動用アーム12の他方の回動端部12aには、ボルトBを螺着してなるストッパが設けられており、このボルトBの先端を前支柱5の後端面に当接させることにより起立位置を規制する役割を担わせている。
【0022】
共通駆動軸Nは図3に示すように、一端にカップリングCP1を介して電動モータを連結された円柱状のもので、各ベースユニット3の下端近傍においてブッシュBSを介して枢支されている。
ギヤ列Gは、共通駆動軸Nの回転を減速して各ベースユニット3に設けた基軸KJに伝達するためのもので、例えば図3、図5に示すように各ベースユニット3の外側において枢支された複数のホイール歯とピニオン歯とを組み合わせてなる。
【0023】
次に、このような収納式椅子の起倒動作を以下に説明する。
起立位置においては、図4に示すように、前支柱5は略鉛直に起立し、後支柱6は、その前端縁部分を、前支柱5の後端縁部分に、側面視重合させるような状態で後傾起立姿勢となるように設定されている。この状態では、後支柱6の下端部は、前方所定位置に位置しており、また、クランクアーム16は後下方に向かって延びる姿勢となるように設定されている。一方、第2後リンク要素18は、その他端部を後方に位置させた姿勢となっており、この第2後リンク要素18の他端部に連結されている移動用アーム12は、その後回動点Z1を第1固定枢結点X1より前方であって下方に位置させ、他方の回動端部12aを第1固定枢結点X1より前方であって上方に位置させた姿勢となっている。そしてこの状態では、移動用アーム12の中央板部11は、前述したようにベースユニット3の面板部材31間に形成される開口部を閉塞するように設定されている。
【0024】
係る起立位置から倒伏位置へ向かって収納式椅子Cを傾動させるには、共通駆動軸Nを回動させることにより行なう。共通駆動軸Nの回動は各ベースユニット3に配設されたギヤ列Gを介して基軸KJに伝達され、各ベースユニット3の基軸KJの回動が、前リンク機構101及び後リンク機構102を介して、前支柱5及び後支柱6の傾動にそれぞれ変換される。
【0025】
まず前支柱5の動作について詳述すると、基軸KJに一体的に設けたクランクアーム16が、基軸KJの回動に伴ってその回動端部を基軸KJの上方を通過させるように前方に向かって回動する。この結果、図7に示すように、クランクアーム16に第2前リンク要素17を介して連結されている前支柱5は、クランクアーム16の前方への回動により、前回動点Z2が前方に回動付勢され支軸15aを中心にして前方に傾動する。
【0026】
次に後支柱6の動作について詳述すると、後支柱6の上端部は、肘部材7を介して前支柱5の上端部に連結されているため、図7に示すように、後支柱6は前支柱5の前方への傾動と連動して、前方へ傾動する。一方、クランクアーム16の前方への回動に伴って、このクランクアーム16に第2後リンク要素18を介して連結されている移動用アーム12の後回動点Z1が前方へ向かって回動する。その結果、移動用アーム12の他方の回動端部12aは後方に向かって回動し、これとともに後支柱6の下端部も後方に向かって回動する。このように、後支柱6は、その上端部を前方に、またその下端部を後方に移動させつつ前方に傾動する。また、蓋体、すなわち移動用アーム12の中央板部11は起立するように回動する。
【0027】
そして、倒伏位置においては、図8に示すように、後支柱6及び前支柱5は、側面視互いに部分的に重合した状態でそれぞれ略水平な姿勢となる。この状態では後支柱6の下端部は、後方所定位置に位置する。また、倒伏位置において、座8は、背9と段床2とに挟み込まれる様な姿勢となる。
倒伏位置から起立位置への移動は、これと逆の動作で行われるため説明は省略する。
【0028】
しかして本実施例では、図6に拡大して示すように、起立位置において、前リンク機構101及び後リンク機構102にそれぞれ死点を形成し、前支柱5または後支柱6のいずれに回動力を与えてもその回動力が基軸KJに伝達されないように構成している。
具体的には、後リンク機構102においては、起立位置の状態で、第1枢結点Y1及び後回動点Z1とを結ぶ第1の仮想直線L1上に基軸KJの中心を位置させるとともに、この第1の仮想直線L1を第1固定枢結点X1と後回動点Z1とを結ぶ第2の仮想直線L11に対して直交させて死点を形成している。すなわち、この状態で後支柱6を前方へ押したり持ち上げたりして回動させようとした場合に、その回動力は後回動点Z1においてその接線方向、つまり第1の仮想直線L1と同一の方向の力として現出し、クランクアーム16と第2後リンク要素18には圧縮または引張力のみしか与えない。このように、クランクアーム16にはモーメントは作用せず、後支柱6に加えられた回動力は基軸KJに伝達されないトグル構造が構成されるため、後支柱6側から力を加えてこの椅子Cを倒伏させることはできない。
【0029】
一方、前リンク機構101においては、起立位置の状態で、第2枢結点Y2及び前回動点Z2とを結ぶ第3の仮想直線L2上に基軸KJの中心を位置させるとともに、この第3の仮想直線L2を第2固定枢結点X2と前回動点Z2とを結ぶ第4の仮想直線L21に対して直交させて死点を形成している。すなわち、この状態で前支柱5を回動させようとした場合に、その回動力は前回動点Z2においてその接線方向、つまり第3の仮想直線L2と同一の方向の力として現出し、クランクアーム16と第2前リンク要素17には圧縮または引張力のみしか与えない。このように、クランクアーム16にはモーメントは作用せず、前支柱5に加えられた回動力は基軸KJに伝達されないトグル構造が構成されるため、前支柱5側から力を加えてこの椅子Cを倒伏させることはできない。
【0030】
このように、本実施例によれば、起立位置にある椅子Cを持ち上げようとしたり倒そうとしたりして椅子C側から倒れ力を作用させても、前後各リンク機構101、102と基軸KJによって死点、すなわちトグル構造が形成されているため、その倒れ力は基軸KJに伝達されず、その椅子Cががたついたり傾動したりことを防止できる。そして、当該椅子Cに基軸KJ及び共通駆動軸Nを介して連結されている他の椅子Cの傾動やがたつきをも防止できる。しかも、かかる作用を専用の部材等を使用することなく、前後各リンク要素16、17、18の配設位置を工夫することで奏させているので、その実現が極めて容易でコスト的にも有利となる。加えて、起立位置においては、トグル構造の形成により同時にがたも生じにくくなっているため、駆動系の遊びに起因する各椅子Cのがたつきをも有効に防止でき、共通駆動軸Nと基軸KJとをバックラッシの多い低級なギヤ列Gで連結するといった従来できなかった特有の構造を実現することが可能になる。
【0031】
さらに、この起立位置においては、第2枢結点Y2と前回動点Z2とを基軸KJを中心に相対するように位置させるとともに、第2前リンク要素17の中間部に設けた切り欠き17aを基軸KJに外嵌させて当接するように構成してあるため、第2前リンク要素17が基軸KJに当接することでそれ以上の回動が規制され、起立位置となる位置を、専用の位置決め部材を用いることなく、確実に設定することができる。
【0032】
さらに本実施例特有の効果について言及すると、起立位置において、前支柱5が略鉛直状態で起立し、後支柱6が前支柱5と側面視一部重合するような状態で後傾姿勢となるため、より大きな安定感、重厚感を使用者に与えることが可能になる点が挙げられる。しかして、倒伏位置において、前後両支柱5、6は互いに可及的に近接または接触するため、倒伏位置における厚み寸法が大きくなるという欠点もない。そのうえ、後支柱6の下端部が、起立動作に伴って前方に移動するため、倒伏位置での背9の前方への突出距離を短く設定でき、移動観覧席の収納奥行き寸法を小さくできるという効果も奏する。
【0033】
また、前支柱5が、座の8の両側方にそれぞれ配設されており、後支柱6も背9の両側方に一体的にそれぞれ配設してあるため、前後支柱5、6に、座8の両側方から支持する脚のイメージを与え、使用者に安定感等をより強く印象づけることができる。
加えてベースユニット3の上端開口部を、起立位置において自動的に閉塞する蓋体11を設けているため、この蓋体11によって、移動機構10等を隠し外観を好ましいものにできるとともに、ここに手や足を入れられない様にして安全性等を向上させることが可能になる。
【0034】
なお、本発明は上述した実施例に限られず種々の変形が可能である。例えば共通駆動軸と基軸との連結はギヤ列に限定されないし、前後リンク機構はその配設位置等種々の変形が可能である。さらに、本収納式椅子を移動用観覧席以外にも適用可能であるのは言うまでもない。
その他、本発明は、図示例に限られずその趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【0035】
【発明の効果】
以上に詳述した本発明によれば、起立位置にある椅子を持ち上げようとしたり倒そうとしたりして椅子側から倒れ力を作用させても、前後各リンク機構と基軸によってトグル構造が形成されてその倒れ力は基軸に伝達されないため、その椅子が傾動することを防止できる。そして、例えば複数の椅子を一斉に起倒動作させる場合であっても、当該椅子に連動する他の椅子が傾動することを防止できるようになる。しかも、かかる作用を専用の部材等を使用することなく、既存の前後各リンク要素の配設位置を工夫することで奏させることができ、その実現が極めて容易でコスト的にも有利となる。加えて、起立位置においては、トグル構造の形成によって、がたも生じにくくなっているため、駆動系の遊びに起因する椅子のがたつきも有効に防止でき、例えば椅子の起倒のための駆動軸と前記基軸とをバックラッシの多い低級なギヤ列で連結するといったことが可能になる。
【0036】
後リンク機構が、基軸に止着され回動端部に第1枢結点を有してなる第1後リンク要素と、ベースユニットに設定した第1固定枢結点周りを、後支柱の回動に伴って回動する後回動点と、各端部を前記第1枢結点及び後回動点にそれぞれ枢結された第2後リンク要素とを具備し、起立位置において、第1枢結点及び後回動点とを結ぶ第1の仮想直線上に基軸を位置させるとともに、この第1の仮想直線を第1固定枢結点と後回動点とを結ぶ第2の仮想直線に対して直交させてトグル構造を形成しているものであれば、後リンク機構を構成する後リンク要素の数を可及的に減少させ、簡単な構成で本発明を実現することができる。
【0037】
同様に、前リンク機構が、基軸に止着され回動端部に第2枢結点を有してなる第1前リンク要素と、ベースユニットに設定した第2固定枢結点周りを前支柱の回動に伴って回動する前回動点と、各端を前記第2枢結点及び前記前回動点にそれぞれ枢結された第2前リンク要素とを具備し、起立位置において、第2枢結点及び前回動点とを結ぶ第3の仮想直線上に基軸を位置させるとともに、この第3の仮想直線を第2固定枢結点と前回動点とを結ぶ第4の仮想直線に対して直交させてトグル構造を形成しているものであれば、前リンク機構を構成する前リンク要素の数を可及的に減少させ、簡単な構成で本発明を実現することができる。
【0038】
起立位置において、第2枢結点と前回動点とを基軸を中心に互いに逆側に位置させるとともに、第2前リンク要素を基軸に当接させているものであれば、起立位置を、専用の位置決め部材等を用いることなく、簡単かつ確実に設定することができる。
後支柱の下端部が、起立位置においては前方所定位置に位置し、倒伏位置においては前記前方所定位置よりも後方に設定した後方所定位置に位置するように、ベースユニットによる後支柱の前記支持位置を、前記起倒動作に伴わせて移動させる移動機構を設けたものであれば、後支柱のみを後傾させ、前支柱を略鉛直に起立させるなどして、より大きな安定感、重厚感を有するように設定することが可能になる。さらに、倒伏位置においては、前後両支柱を互いに可及的に近接または接触するように構成できるうえ、後リンク要素の下端部が後方に移動するため、倒伏位置での背の前方への突出距離を短く設定でき、倒伏位置での大きなコンパクト化が可能となる。
【0039】
後リンク機構が、第1固定枢結点に枢支され、この枢支位置から偏位した位置に後回動点を設定してなる移動用アームを具備するものであって、この移動用アームに、後支柱の下端部を枢結することによって、該移動用アームを移動機構の構成要素として共用しているものであれば、移動機構と後リンク機構との部材の共通化を図ることができ、部材の削減に寄与し得る。
【0040】
観覧席等において左右に並設した複数の収納式椅子を一斉に起倒動作させるための共通駆動軸に、ギヤ列を介して基軸を連結しているものであれば、本発明の作用効果が顕著に奏される。
前支柱が対をなし、座の両側方にそれぞれ配設されているとともに、後支柱が対をなし、背の両側方に一体的にそれぞれ配設されているものであれば、前後支柱に、座の両側方から支持する脚のイメージを与え、使用者に安定感等をより強く印象づけることができる。
【0041】
後支柱の下端部が前方所定位置と後方所定位置との間で移動するスペースを確保すべく設けられた開口部を、特別他の機構を必要とせず、設計的な工夫のみで、起立位置において自動的に閉塞するには、該開口部を閉塞するための蓋体を移動用アームに設けておくことが好ましい。
起立位置において、前支柱が略鉛直状態で起立し、後支柱がその下端部を前支柱の下端部と側面視略接する状態で後傾姿勢となるように設定しているものであれば、起立位置での安定感、重厚感等を使用者により強く与え得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における移動観覧席の展開状態を示す概略側面図。
【図2】同実施例における移動観覧席の収納状態を示す概略側面図。
【図3】同実施例における収納式椅子が並んだ状態を示す部分正面図。
【図4】同実施例における収納式椅子の起立位置での内部構造を示す概略側面図。
【図5】同実施例における収納式椅子の倒伏位置での内部構造を示す部分斜視図。
【図6】同実施例における収納式椅子の起立位置での内部構造を示す拡大部分側面図。
【図7】同実施例の作用説明図。
【図8】同実施例の作用説明図。
【符号の説明】
C…収納式椅子
3…ベースユニット
5…前支柱
6…後支柱
8…座
9…背
10…移動機構
11…蓋体
12…移動用アーム
16…第1後リンク要素(クランクアーム)
16…第1前リンク要素(クランクアーム)
17…第2前リンク要素
18…第2後リンク要素
101…前リンク機構
102…後リンク機構
KJ…基軸
X1…第1固定枢結点
X2…第2固定枢結点
Y1…第1枢結点
Y2…第2枢結点
Z1…後回動点
Z2…前回動点
L1…第1の仮想直線
L11…第2の仮想直線
L2…第3の仮想直線
L21…第4の仮想直線
N…共通駆動軸
G…ギヤ列
Claims (10)
- ベースユニットと、背座を支持し、前記ベースユニットに起立位置と倒伏位置との間で前後に回動可能に支持された前支柱及び後支柱と、前記ベースユニットに回動可能に支持された基軸と、複数の前リンク要素を枢結してなり、この基軸の回動を前記前支柱の回動動作に変換する前リンク機構と、複数の後リンク要素を枢結してなり、この基軸の回動を前記後支柱の回動動作に変換する後リンク機構とを具備するものであって、
起立位置において、前記基軸と前記前リンク機構、及び前記基軸と前記後リンク機構によってそれぞれトグル構造を形成し、前支柱または後支柱のいずれに回動力を与えてもその回動力が前記基軸に伝達されないように構成したことを特徴とする収納式椅子。 - 後リンク機構が、基軸に止着され回動端部に第1枢結点を有してなる第1後リンク要素と、ベースユニットに設定した第1固定枢結点周りを、後支柱の回動に伴って回動する後回動点と、各端部を前記第1枢結点及び後回動点にそれぞれ枢結された第2後リンク要素とを具備するものであり、起立位置において、第1枢結点及び後回動点とを結ぶ第1の仮想直線上に基軸を位置させるとともに、この第1の仮想直線を第1固定枢結点と後回動点とを結ぶ第2の仮想直線に対して直交させてトグル構造を形成していることを特徴とする請求項1記載の収納式椅子。
- 前リンク機構が、基軸に止着され回動端部に第2枢結点を有してなる第1前リンク要素と、ベースユニットに設定した第2固定枢結点周りを前支柱の回動に伴って回動する前回動点と、各端を前記第2枢結点及び前記前回動点にそれぞれ枢結された第2前リンク要素とを具備するものであり、起立位置において、第2枢結点及び前回動点とを結ぶ第3の仮想直線上に基軸を位置させるとともに、この第3の仮想直線を第2固定枢結点と前回動点とを結ぶ第4の仮想直線に対して直交させてトグル構造を形成していることを特徴とする請求項1または2記載の収納式椅子。
- 起立位置において、第2枢結点と前回動点とを基軸を中心に互いに逆側に位置させるとともに、第2前リンク要素を基軸に当接させていることを特徴とする請求項3記載の収納式椅子。
- 後支柱の下端部が、起立位置においては前方所定位置に位置し、倒伏位置においては前記前方所定位置よりも後方に設定した後方所定位置に位置するように、ベースユニットによる後支柱の前記支持位置を、前記起倒動作に伴わせて移動させる移動機構を設けたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の収納式椅子。
- 後リンク機構が、第1固定枢結点に枢支され、この枢支位置から偏位した位置に後回動点を設定してなる移動用アームを具備するものであって、この移動用アームに、後支柱の下端部を枢結することによって、該移動用アームを移動機構の構成要素として共用していることを特徴とする請求項5記載の収納式椅子。
- 観覧席等において左右に並設した複数の収納式椅子を一斉に起倒動作させるための共通駆動軸に、ギヤ列を介して基軸を連結していることを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の収納式椅子。
- 前支柱が対をなし、座の両側方にそれぞれ配設されているとともに、後支柱が対をなし、背の両側方に一体的にそれぞれ配設されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6または7記載の収納式椅子。
- 後支柱の下端部が前方所定位置と後方所定位置との間で移動するスペースを確保すべく設けられた開口部を、起立位置において自動的に閉塞する蓋体を具備し、この蓋体が移動用アームに設けられている請求項6記載の収納式椅子。
- 起立位置において、前支柱が略鉛直状態で起立し、後支柱がその下端部を前支柱の下端部と側面視略接する状態で後傾姿勢となるように設定している請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9記載の収納式椅子。
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JP09371999A JP3610820B2 (ja) | 1999-03-31 | 1999-03-31 | 収納式椅子 |
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JP09371999A JP3610820B2 (ja) | 1999-03-31 | 1999-03-31 | 収納式椅子 |
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ID=14090234
Family Applications (1)
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JP09371999A Expired - Lifetime JP3610820B2 (ja) | 1999-03-31 | 1999-03-31 | 収納式椅子 |
Country Status (1)
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Families Citing this family (1)
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-
1999
- 1999-03-31 JP JP09371999A patent/JP3610820B2/ja not_active Expired - Lifetime
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JP2000279259A (ja) | 2000-10-10 |
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