JP3552540B2 - 収納式椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動観覧席に好適に使用される収納式椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時、多目的ホール等に設置するための移動観覧席が種々開発されている。この種の移動観覧席は使用時には、各段床を雛壇上に展開してその上に設置した椅子を使用可能な状態にし、収納時には、各段床を相互に重合する収納位置まで退避させてコンパクトに収納できるようにしたものである。
【0003】
そのため、このような移動観覧席の段床上に設置される椅子は、段床展開時には、使用可能な起立位置となり、段床収納時には床面上に倒伏した倒伏位置となるように、起倒動作可能に構成されている。
このような椅子においては、倒伏状態で可及的にその厚みを小さくする必要がある一方、起立状態では、できるだけ安定感、重厚感を与えるものとすることが好ましい。
【0004】
従来、この点を考慮して、支持部材と、この支持部材に下端部を前後方向に回動可能に枢支されるとともに座を支持してなる前リンク要素と、前リンク要素の後方に配設され背を支持するとともに前記支持部材にその下端部を前後方向に回動可能に枢支された後リンク要素と、前リンク要素及び後リンク要素の上端部にそれぞれ枢着ざれた肘部材とを具備させ、これら、支持部材、前リンク要素、後リンク要素及び肘部材が略平行四辺形となるような4節リンク機構(平行リンク機構)を形成した構成の収納式椅子が考えられている。このものは、倒伏位置では、前リンク要素と後リンク要素とが可及的に近接または接触するようにしてその厚みを小さくでき、起立位置では、前リンク要素と後リンク要素とが離間して安定感、重厚感を与えられるように工夫されたものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなものでは、使用位置において、背の後傾角度を確保するために、後リンク要素を後傾させる必要があり、その結果、前リンク要素も後傾することとなる。しかして特に専用の劇場用椅子等のように重厚な雰囲気を有する椅子が要求される場合等には、これら前リンク要素及び後リンク要素がともに後傾するようなものでは、見た目の安定感とグレード感に欠ける傾向がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、このような課題に着目してなされたものであって、倒伏位置では可及的に厚みを小さくでき、しかも起立位置では使用者により大きな安定感、重厚感を与えることのできる収納式椅子を提供することを主たる目的とし、前記支持部材に枢支された後リンク要素の下端部枢支点が、起立位置から倒伏位置にいたる動作中に、後方に向かって移動するように構成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明に係る収納式椅子は、支持部材と、この支持部材に下端部を前後方向に回動可能に枢支されるとともに座を支持してなる前リンク要素と、前リンク要素の後方に配設され背を支持するとともに前記支持部材にその下端部を前後方向に回動可能に枢支された後リンク要素と、前リンク要素及び後リンク要素の上端部にそれぞれ枢着された肘部材とを具備し、これら前リンク要素及び後リンク要素を連動させて起立位置と倒伏位置との間で起倒動作するように構成されたものであって、前記支持部材に枢支された後リンク要素の下端部枢支点が、起立位置においては前方所定位置に位置し、倒伏位置においては前記前方所定位置よりも後方に設定した後方所定位置に位置するように、支持部材の後リンク要素を枢支する枢支位置を、前記起倒動作に伴わせて移動させる移動機構を設けたことを特徴とする。
【0008】
このようなものであれば、後リンク要素の下端部が、起立動作に伴って前方に移動するため、起立位置において、後リンク要素のみを後傾させ、前リンク要素を後リンク要素の後傾角度に依存しない起立角度に設定することが可能となる。すなわち、前リンク要素の起立角度の設定自由度が増すため、前リンク要素を略鉛直に起立させるなどして、より大きな安定感、重厚感を有するように設定することが可能になる。しかして、倒伏位置においては、前後両リンク要素を互いに可及的に近接または接触するように構成できるため、倒伏位置における厚み寸法が大きくなるという欠点もない。また、後リンク要素の下端部は、倒伏位置において後方に移動するため、倒伏位置での背の前方への突出距離を短く設定でき、特に移動観覧席に適用した場合に、移動観覧席の収納奥行き寸法を小さくできるという効果も奏する。
【0009】
前リンク要素、後リンク要素に、座の両側方から支持する脚のイメージを与え、使用者に安定感等をより強く印象づけるには、前リンク要素を、対をなすものとし、座の両側方にそれぞれ配設するとともに、後リンク要素を、対をなすものとし、背の両側方に一体的にそれぞれ配設しているものが好ましい。
後リンク要素の下端部は、移動機構等を隠したり安全性等を確保したりするために、特に起立位置において外観できないように覆っておくことが好ましいが、その一方で、この下端部の前後移動のスペースを確保すべく開口部を設けておく必要がある。この相反する点を両方満たすには、後リンク要素の下端部が前方所定位置と後方所定位置との間で移動するスペースを確保すべく設けられた開口部を、起立位置において自動的に閉塞する蓋体を具備しているものが好適である。
【0010】
具体的な移動機構の実施態様としては、移動機構が、支持部材に前後方向に回動可能に枢支され、回動端部を後リンク要素の下端部に枢結してなる移動用アームと、この移動用アームの回動端部を、前記起倒動作に連動させて前方所定位置と後方所定位置との間で回動させる連動手段とを具備しているものが挙げられる。この場合に、前記蓋体を移動用アームに設けておけば、特別他の機構を必要とせず、設計的な工夫のみで、蓋体によって、前記開口部を起立位置において自動的に閉塞させることができる。
【0011】
移動機構の他の具体的な実施態様としては、移動機構が、支持部材に設けられ後リンク要素の下端部を前方所定位置と後方所定位置との間でスライド移動可能に支持する案内手段と、後リンク要素の下端部を、前記起倒動作に連動させて前方所定位置と後方所定位置との間で進退させる連動手段とを具備しているものが挙げられる。
【0012】
倒伏位置での厚みをより小さくするとともに、起立位置での各リンク要素の太さを安定感、重厚感等を十分与え得るようなものとするには、前リンク要素と後リンク要素のいずれか一方が、他方に向かって開口する断面コの字形のものであり、この開口から他方を内部に嵌入させ前リンク要素と後リンク要素とを重合させ得るように構成されているものが好ましい。同様な目的のものとしては、後リンク要素が、別体をなす一対の面板部材から少なくとも構成されており、各面板部材が、隣接する背と背の側方にそれぞれ配設されているとともに、これら面板部材間に前リンク要素を嵌入させ得るように構成されているものも挙げられる。
【0013】
起立位置での安定感、重厚感等を使用者により強く与え得る好適な実施態様としては、起立位置において、前リンク要素が略鉛直状態で起立し、後リンク要素がその下端部を前リンク要素の下端部と側面視略接するような状態で後傾姿勢となるように設定しているものが挙げられる。
【0014】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を、図1〜図8を参照して説明する。
この実施例は、本発明に係る収納式椅子Cを段床式の移動観覧席1に適用した場合のものである。この移動観覧席1は、図1、図2に示すように、複数の段床2を具備し、それら段床2を、雛段状に展開される使用位置(図1参照)と相互に重合する収納位置(図2参照)との間で伸縮動作させ得るように構成したもので、各段床2を支持する走行フレームの構造や、これら各走行フレームを進退させる駆動機構等は従来のものと同様であるため説明を省略する。
【0015】
収納式椅子Cは、図3、図4、図5に示すように、段床2上に起倒動作可能に配設されたもので、具体的には、前記段床2上に固定した支持部材3と、前後方向に回動可能なように下端部をこの支持部材3に枢支された前リンク要素5と、この前リンク要素5の後方に配設され前記支持部材3に前後方向に回動可能なように下端部を枢支された後リンク要素6と、前リンク要素5及び後リンク要素6の各上端部にそれぞれ枢着された肘部材7と、前リンク要素5に枢支された座8と、後リンク要素6に一体的に固設された背板9aを主体として構成される背9とを具備してなる。
【0016】
詳述すれば、支持部材3は、段床2上に起立させた板状のもので、対をなし、その間で、前リンク要素5、後リンク要素6等を支持している。なお、図4、図5においては、わかりやすくするため、支持部材3は一方のみを表示している。前リンク要素5は、厚肉平板状のもので、面板部を回動方向と直交する方向に向けて配設され、前後方向に回動可能なようにその下端部5aが支持部材3に、その前縁近傍において支軸15aを介して枢支されている。後リンク要素6は、前リンク要素5に向かって開口する断面コの字形のもので、その下端部6aが前記支持部材3に後述する移動用アーム12を介して間接的に枢支されているとともに、その上端部6bが、背板9aと側面視略直線状をなすように、背板9aの側面に一体的に取り付けられている。肘部材7は、下方及び後方に開口した中空体状のもので、前リンク要素5及び後リンク要素6の各上端部5a、6aに帽嵌させてある。そして、この肘部材7の中間部が前リンク要素5に軸15bを介して枢着されているとともに、後端部が後リンク要素6に軸15cを介して枢着されている。
【0017】
座8は、対をなす左右の前リンク要素5の内側面間にライジング可能に配設されたもので、その基端近傍部を軸15dを介して前リンク要素5の内側面に設けた図示しない軸受部に枢支させている。なお、この座8の枢支部分は、従来のライジング式の座8と同様な構成をなしているため、詳細な説明は省略する。しかして、この座8は、図3に示すようにライジング位置まで自動的に回動し得るように図示しないスプリングにより付勢されており、上面に荷重をかけることにより着座位置まで回動するようになっている。そして、この座8を下面側から押圧すると、座8はライジング位置から、さらに、背9に接する位置にまで回動し得るようになっている。
【0018】
背9は、前記背板9aの前面側の適宜位置にクッション材9bを取着することによって構成されている。
しかして、本実施例では、支持部材3の後リンク要素6の下端部6aが、起立位置においては前方所定位置Pに位置し、倒伏位置においてはこの前方所定位置Pよりも後方に設定した後方所定位置Qに位置するように、支持部材3の後リンク要素6を枢支する枢支位置XXを、前記起倒動作に伴わせて移動させる移動機構10を設けている。この移動機構10は、中央部を支持部材3に前後方向に回動可能に枢支され、一方の回動端部12aに設定した前記枢支位置XXにおいて後リンク要素6の下端部6aを枢支してなる移動用アーム12と、この移動用アーム12の回動端部12aを、前記起倒動作に伴わせて前方所定位置Pと後方所定位置Qとの間で回動させる連動手段13とを具備している。
【0019】
詳述すると、連動手段13は、支持部材3に前後方向に回動可能なように枢支させたクランクアーム16と、このクランクアーム16及び前リンク要素5に各端部をそれぞれ枢結された第1リンクメンバ17と、このクランクアーム16及び移動用アーム12に各端部をそれぞれ枢結された第2リンクメンバ18とを具備する。
【0020】
クランクアーム16は、前リンク要素5の下端部5aと後リンク要素6の下端部6aとの間に配置され、支持部材3に枢支させた支軸15eに、一体に回動するように取り付けられたものである。この支軸15eは、段床2上に横一列に配置した複数の収納式椅子Cを一斉に起倒動作させるための共通駆動軸Nに、ギヤ列Gを介して連結されており、本実施例では、このクランクアーム16が共通駆動軸Nからの回動力を伝達されて回動を行うことにより、起倒動作が行われることになる。
【0021】
第1リンクメンバ17は側面視くの字形の板状のもので、その一端部を、前リンク要素5の、支持部材3に対する枢支位置より上端部側に偏位した位置X1に枢結し、その他端部をクランクアーム16の回動端部16aに枢結したものである。
第2リンクメンバ18は、板状のもので、その一端部を、クランクアーム16の回動端部16aに枢結し、その他端部を移動用アーム12の他方の回動端部12bに枢結したものである。
【0022】
移動用アーム12は、中央板部11の両側縁からそれぞれ側板部12cを立設してなる断面コの字形のもので、側板部12cの中央付近が支軸15fを介して支持部材3に枢支されている。そして、上述したように、一方の回動端部12aを、後リンク要素6の下端部6aに枢結し、支軸15fを挟んで略反対側に位置する他方の回動端部12bを、第2リンクメンバ18の他端部に枢結してある。また、本実施例では、この中央板部11に、後述する蓋体の役割を担わせている。
【0023】
次に、このような移動機構10を構成する各部材の位置関係について、起倒動作の動作説明を兼ねて以下に述べる。
起立位置においては、図6に示すように、前リンク要素5が略鉛直に起立し、後リンク要素6は、その下端部6aにおける前面を、前リンク要素5の下端部5aにおける後面と側面視、略接するような状態で後傾起立姿勢となるように設定されている。そして、その下端部6aは、前方所定位置Pに位置している。なお、本実施例ではこの前方所定位置P、及び後述する後方所定位置Qの設定は、共通駆動軸Nの回転角度の制御により間接的に行っている。この状態では、クランクアーム16は略水平に後方に向かって延びる姿勢となるように、言い換えれば、クランクアーム16が、最も後方に位置する状態となるように設定されている。一方、第2リンクメンバ18は、クランクアーム16と略直線状をなし後方に向かって延びる姿勢となっており、この第2リンクメンバ18の他端部に連結されている移動用アーム12の他方の回動端部12bは、支軸15fの後方に位置し、逆に一方の回動端部12aは支軸15fの前方に位置する状態となっている。そしてこの状態では、移動用アーム12の中央板部11が、支持部材3の上面と面一な状態となり、支持部材3間に形成される開口部K(図4に示す)を閉塞する蓋体の役割を果たすように設定されている。
【0024】
この起立位置から倒伏位置へ向かって傾動させるには、共通駆動軸Nを回動させ、この回動をギヤ列Gを介してクランクアーム16に伝達することにより行う。この場合、クランクアーム16は、その回動端部16aが支軸15eの上方を通過して前方に向かって回動するように設定してある。しかして、図7に示すように、クランクアーム16に第1リンクメンバ17を介して連結されている前リンク要素5は、クランクアーム16の前方への回動により、枢支点X1が前方に回動付勢されるため、支軸15aを中心にして前方に傾動する。
【0025】
後リンク要素6の動作に着目すると、図7に示すように、後リンク要素6の上端部6bは、肘部材7を介して前リンク要素5の上端部5bに連結されているため、前リンク要素5の前方への傾動と連動して、前方へ傾動する。一方、クランクアーム16の前方への回動に伴って、このクランクアーム16に第2リンクメンバ18を介して連結されている移動用アーム12の他方の回動端部12bが前方へ向かって回動させられる。その結果、反対側に位置する移動用アーム12の一方の回動端部12aは後方に向かって回動し、これとともに後リンク要素6の下端部6aも後方に向かって回動する。このように、後リンク要素6は、その上端部6aを前方に、またその下端部6bを後方に移動させつつ前方に傾動する。なお、蓋体、すなわち移動用アーム12の中央板部11は、移動する後リンク要素6の下端部6aに干渉しない様に後方に向かって回動することになる。
【0026】
そして、倒伏位置においては、図8に示すように、後リンク要素6、前リンク要素5は、部分的に重合した状態、すなわち、後リンク要素6の開口に前リンク要素5が一部嵌入した状態でそれぞれ水平な姿勢となる。この状態では後リンク要素6の下端部6aは、後方設定位置Qに位置している。なお、図6から図8に示す作動説明図において座8の図示は省略してあるが、倒伏位置において、座8は、背9と段床2とに挟み込まれる様な姿勢となっている。
【0027】
倒伏位置から起立位置への移動は、これと逆の動作で行われるため説明は省略する。
したがって、このように構成したものによれば、起立位置において、前リンク要素5が略鉛直状態で起立し、後リンク要素6がその下端部6aを前リンク要素5の下端部5aと側面視略接するような状態で後傾姿勢となるため、前後リンク要素5、6がどちらも後傾する従来のものと比べ、より大きな安定感、重厚感を使用者に与えることが可能になる。しかして、倒伏位置において、前後両リンク要素5、6は互いに可及的に近接または接触するため、倒伏位置における厚み寸法が大きくなるという欠点もない。特に、本実施例では、後リンク要素6が、前リンク要素5に向かって開口する断面コの字形のものであり、この開口から前リンク要素5を内部に嵌入させ前リンク要素5と後リンク要素6とを重合させるように構成しているため、倒伏位置での厚みをより小さくできるとともに、起立位置での前後リンク要素5、6の外観を安定感、重厚感等を十分与え得るようなものとすることができる。
【0028】
そのうえ、後リンク要素6の下端部6aが、起立動作に伴って前方に移動するため、倒伏位置での背9の前方への突出距離を短く設定でき、移動観覧席の収納奥行き寸法を小さくできるという効果も奏する。
また、前リンク要素5が、座の8の両側方にそれぞれ配設されており、後リンク要素6も背9の両側方に一体的にそれぞれ配設してあるため、前後リンク要素5、6に、座8の両側方から支持する脚のイメージを与え、使用者に安定感等をより強く印象づけることができる。
【0029】
特に本実施例では、支持部材3の上面間を、起立位置において自動的に閉塞する蓋体11を設けているため、この蓋体11によって、移動機構10等を隠し外観を好ましいものにできるとともに、ここに手や足を入れられない様にして安全性等を向上させることが可能になる。
なお、本発明は上述した実施例に限られず種々の変形が可能である。例えば本発明の一変形例を図9から図11に示す。この変形例では、移動機構10は、支持部材3に前後方向に伸びるように設けられ、後リンク要素6の下端部6aから側方に突出させた図示しない突出部材を係合させて後リンク要素6の下端部6aを前方所定位置Pと後方所定位置Qとの間でスライド移動可能に支持する案内手段である長孔14と、後リンク要素6の下端部6aを、起倒動作に連動させて進退駆動する連動手段13Aとを具備している。なお、本変形例において、前記実施例に対応する部材には同一の符号を付している。
【0030】
長孔14は、その前端または後端に前記突出部材を当接させることにより、後リンク要素6の下端部6aの移動範囲を前方所定位置Pと後方所定位置Qと間に規制するものである。
この連動手段13Aは、前記実施例と同様に第1リンクメンバ17と、クランクアーム16とを具備している。しかして、クランクアーム16を支持する支軸15eからこのクランクアーム16とは別の角度で延出した第2のクランクアーム16Aと、この第2のクランクアーム16Aの回動端部及び後リンク要素6の下端部6aとに各端部を枢結された第3リンクメンバ18Aとを具備する点で前記実施例とは構成が異なり、枢支位置XXは第3リンクメンバ18Aの一端部に設定されている。
【0031】
次に、このような移動機構10を構成する各部材の位置関係について、起倒動作の動作説明を兼ねて以下に述べる。
起立位置においては、図9に示すように、前記実施例同様、前リンク要素5は略鉛直に起立し、後リンク要素6は、後傾姿勢を保って起立している。この状態では、クランクアーム16aは略水平に後方に向かって延びる姿勢となるように、言い換えれば、クランクアーム16の回動端部16aが、最も後方に位置する状態となるように設定されている。一方、第2のクランクアーム16Aは前方斜め下に向かって延びる姿勢に設定されている。しかして、後リンク要素6の下端部6aは前方所定位置Pに位置している。
【0032】
この起立位置から倒伏位置への動作は、図10に示すように、共通駆動軸Nの回動が図示しないギヤ列等を介して支軸15eに伝達され、クランクアーム16及び第2のクランクアーム16Aを、回動させることにより行われる。この場合に、クランクアーム16は支軸15eの上方を通過して前方に向かって回動し、第2のクランクアーム16Aは支軸15eの下方を通過して後方に向かって回動する。この結果、第1リンクメンバを介してクランクアーム16に連結されている前リンク要素5は、前記実施例同様、支軸15aを中心にして前方に傾動する。一方、後リンク要素6は、その上端部6bが、肘部材7を介して前リンク要素5の上端部5bに連結されているため、前リンク要素5同様その上端部6aを前方移動させるように傾動する。同時に第2のクランクアーム16Aが、その回動端部を支軸15eの下方を通過して後方に向かうように回動するため、この第2のクランクアーム16Aに第3リンクメンバ18Aを介して連結されている後リンク要素6の下端部6aは、長孔14に沿って後方へ移動することになる。
【0033】
そして、倒伏位置においては、前記実施例同様、後リンク要素6、前リンク要素5は、部分的に重合した状態でそれぞれ水平な姿勢となる。この状態では後リンク要素6の下端部6aが後方設定位置Qに位置している。
倒伏位置から起立位置への移動は、これと逆の動作で行われるため説明は省略する。しかして、このように構成した変形例でも前記実施例と同様な作用効果を得ることができる。
【0034】
図12には他の変形例を示す。この変形例は、前記実施例の後リンク要素を変形させたもので、後リンク要素6が、別体をなす一対の面板部材6Aから構成されている。各面板部材6Aは、面板部6A1と取付部6A2とを一体化した薄板状のもので、隣接する背板9aと背板9aとの側方に面板部6A1同士を対向させるように取り付けられている。そして、これら面板部材6Aの面板部6A1間に前リンク要素5を嵌入させ得るように構成されている。
【0035】
また、本変形例では、後リンク要素6の下端部6aから、図示しない突出部材を側方に突出してあり、支持部材3には、この突出部材をスライド係合させ得るように、この突出部材の回動軌跡に沿って、部分円弧状のスリットSLを、支軸15fの前後に対称的に一対設けてある。この突出部材としては、例えば移動用アーム12の回動端部12aと後リンク要素6の下端部6aとを枢結するピン等にその役割を担わせてもよい。しかして、起立位置において突出部材は前側のスリットSLの下端部に当接し、下端部6aのそれ以上の回動が規制されるとともに、倒伏位置において突出部材は後側のスリットSLの下端部に当接し、下端部6aのそれ以上の回動が規制されるようにしている。すなわち、これら各スリットSLの下端部が後リンク要素6の下端部6aのそれぞれ前方所定位置P、後方所定位置Qを決定し、その移動をこれらの範囲内に規制する役割を果たすように構成してある。そして、この構成によれば、突出部材に代えて隣接する各後リンク要素6の下端部6a同士を連結する連結部材を左右に貫通させ、各後リンク要素6をより確実に同期動作させることも可能になる。なお、本変形例において、前記実施例に対応する部材には同一の符号を付している。
【0036】
また、前リンク要素の上端部を起立位置において前方へ位置させ、前リンク要素が前傾姿勢となるように設定してもよい。このようなものでも、使用者に安定感やグレード感を与え得るものとなる。
その他、本発明は、図示例に限られずその趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、移動用観覧席以外にも適用可能であり、また連動手段等は、リンク機構に限られたものではない。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、支持部材に枢支された後リンク要素の下端部枢支点が、起立動作に伴って前方に移動するため、起立位置において、後リンク要素のみを後傾させ、前リンク要素を後リンク要素の後傾角度に依存しない起立角度に設定することが可能となる。すなわち、前リンク要素の起立角度の設定自由度が増すため、前リンク要素を略鉛直に起立させるなどして、より大きな安定感、重厚感を有するように設定することが可能になる。しかして、倒伏位置においては、前後両リンク要素を互いに可及的に近接または接触するように構成できるため、倒伏位置における厚み寸法が大きくなるという欠点が生じることもない。また、前記支持部材に枢支された後リンク要素の下端部枢支点は、倒伏位置において後方に移動するため、倒伏位置での背の前方への突出距離を短く設定でき、特に移動観覧席に適用した場合に、移動観覧席の収納奥行き寸法を小さくできるという効果も奏する。
【0038】
前リンク要素を、対をなすものとし、座の両側方にそれぞれ配設するとともに、後リンク要素を、対をなすものとし、背の両側方に一体的にそれぞれ配設しているものであれば、前リンク要素、後リンク要素に、座の両側方から支持する脚のイメージを与えることができ、使用者に安定感等をより強く印象づけることができる。
【0039】
後リンク要素の下端部は、移動機構等を隠したり安全性等を確保したりするために、特に起立位置において外観できないように覆っておくことが好ましいが、その一方で、この下端部の前後移動のスペースを確保すべく開口部を設けておく必要がある。しかして、この開口部を起立位置において自動的に閉塞する蓋体を具備しているものであれば、前記下端部の移動を可能にしつつ、外観上の良好性、安全性を確保することができる。
【0040】
また、移動機構が、支持部材に前後方向に回動可能に枢支され、回動端部を後リンク要素の下端部に枢結してなる移動用アームと、この移動用アームの回動端部を、前記起倒動作に連動させて前方所定位置と後方所定位置との間で回動させる連動手段とを具備しているものであれば、簡単な構成で本発明の実現が可能となる。この場合に、前記蓋体を移動用アームに設けておけば、特別他の機構を必要とせず、設計的な工夫のみで、蓋体によって、前記開口部を起立位置において自動的に閉塞させることができる。
【0041】
前リンク要素と後リンク要素のいずれか一方が、他方に向かって開口する断面コの字形のものであり、この開口から他方を内部に嵌入させ前リンク要素と後リンク要素とを重合させ得るように構成されているものであれば、倒伏位置での厚みをより小さくできるだけでなく、起立位置での各リンク要素の外観を安定感、重厚感等を十分与え得るようなものとすることができる。同様な効果を奏するものとしては、後リンク要素が、別体をなす一対の面板部材から少なくとも構成されており、各面板部材が、隣接する背と背の側方にそれぞれ配設されているとともに、これら面板部材間に前リンク要素を嵌入させ得るように構成されているものも挙げられる。
【0042】
起立位置において、前リンク要素が略鉛直状態で起立し、後リンク要素がその下端部を前リンク要素の下端部と側面視略接するような状態で後傾姿勢となるように設定しているものであれば、椅子の起立位置での安定感、重厚感等を使用者により強く与え得る好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す概略側面図。
【図2】同実施例における収納状態を示す概略側面図。
【図3】同実施例における収納式椅子を拡大して示す側断面図。
【図4】同実施例における移動機構を主として示す分解斜視図。
【図5】同実施例における移動機構を主として示す部分斜視図。
【図6】同実施例の作用説明図。
【図7】同実施例の作用説明図。
【図8】同実施例の作用説明図。
【図9】本発明の変形例における収納式椅子を拡大して示す側断面図。
【図10】同変形例の作用説明図。
【図11】同変形例の作用説明図。
【図12】本発明における他の変形例を示す部分斜視図。
【符号の説明】
C…収納式椅子
3…支持部材
5…前リンク要素
5a…前リンク要素の下端部
5b…前リンク要素の上端部
6…後リンク要素
6a…後リンク要素の下端部
6b…後リンク要素の上端部
6A…面板部材
7…肘部材
8…座
9…背
10…移動機構
11…蓋体
12…移動用アーム
12a…移動用アームの回動端部
13、13A…連動手段
14…案内手段
P…前方所定位置
Q…後方所定位置
K…開口部
XX…枢支位置
Claims (9)
- 支持部材と、座を支持するとともに前後方向に回動可能なように前記支持部材に下端部を枢支された前リンク要素と、前リンク要素の後方に配設され背を支持するとともに前後方向に回動可能なように前記支持部材に下端部を枢支された後リンク要素と、前リンク要素及び後リンク要素の上端部にそれぞれ枢着された肘部材とを具備し、これら前リンク要素及び後リンク要素を連動させて起立位置と倒伏位置との間で起倒動作するように構成されたものであって、
前記支持部材に枢支された後リンク要素の下端部枢支点が、起立位置においては前方所定位置に位置し、倒伏位置においては前記前方所定位置よりも後方に設定した後方所定位置に位置するように、支持部材の後リンク要素を枢支する枢支位置を前記起倒動作に伴わせて移動させる移動機構を設けたことを特徴とする収納式椅子。 - 前リンク要素が対をなし、座の両側方にそれぞれ配設されているとともに、後リンク要素が対をなし、背の両側方に一体的にそれぞれ配設されている請求項1記載の収納式椅子。
- 後リンク要素の下端部が前方所定位置と後方所定位置との間で移動するスペースを確保すべく設けられた開口部を、起立位置において自動的に閉塞する蓋体を具備している請求項1または2記載の収納式椅子。
- 移動機構が、支持部材に前後方向に回動可能に枢支され、回動端部を後リンク要素の下端部に枢結してなる移動用アームと、この移動用アームを前記起倒動作に連動して回動させる連動手段とを具備している請求項1、2または3記載の収納式椅子。
- 蓋体が移動用アームに設けられている請求項4記載の収納式椅子。
- 移動機構が、支持部材に設けられ後リンク要素の下端部を前方所定位置と後方所定位置との間でスライド移動可能に支持する案内手段と、後リンク要素の下端部を前記起倒動作に連動して進退させる連動手段とを具備している請求項1、2または3記載の収納式椅子。
- 前リンク要素と後リンク要素のいずれか一方が、他方に向かって開口する断面コの字形のものであり、この開口から他方を内部に嵌入させ前リンク要素と後リンク要素とを重合させ得るように構成されている請求項1、2、3、4、5または6記載の収納式椅子。
- 後リンク要素が、別体をなす一対の面板部材から少なくとも構成されており、各面板部材が、隣接する背と背の側方にそれぞれ配設されているとともに、これら面板部材間に前リンク要素を嵌入させ得るように構成されている請求項1、2、3、4、5、6または7記載の収納式椅子。
- 起立位置において、前リンク要素が略鉛直状態で起立し、後リンク要素がその下端部を前リンク要素の下端部と側面視略接する状態で後傾姿勢となるように設定している請求項1、2、3、4、5、6、7または8記載の収納式椅子。
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