JP3988254B2 - 車間距離制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、先行車との車間距離を自車速に応じた所定距離に維持しながら追従制御することができる車間距離制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車間距離制御装置としては、レーダ装置等によって計測された先行車との車間距離を現在の走行車速に応じて一定に保つように車両のスロットル開度やギヤのシフトポジションを制御しながら追従制御するアダプティブクルーズコントロールシステム(以下ACCと呼ぶ)が実用化されており、高速道路での長距離運転時に、運転の快適性や利便性、運転負荷の軽減に寄与することができるという利点を有している。
【0003】
追従制御モード時の車間距離は、一般に、現在の自車速に応じて決定されており、例えば車間時間が2秒程度になるように設定される。すなわち、例えば時速100km/hでの追従制御モードでは車間時間は27.7m/s×2秒=約55mとなる。ACC電子制御ユニットは時速100km/hのとき、先行車との車間距離が55mを維持できるようにスロットル開度及び必要に応じてギヤのシフト位置を制御することで、車速を維持しながら所定の車間を確保するように動作する。
【0004】
この場合、運転者は、予めACCシステムのメインスイッチをON状態に設定して高速道路を走行する。そして、任意の車速に達した時に操作スイッチをON操作して、このとき先行車が存在していなければセットしたときの車速で定速走行制御モードに移行する。一方、この状態で自車よりも遅い先行車に接近した場合には、前記の車間時間を満足するような車間距離となるように減速制御が行われ、設定車速より遅い車速での追従制御が行われる。この結果、交通量の少ない道路上では円滑な制御が行われていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車間距離制御装置にあっては、混雑した交通量の多い環境の中では、例えば、ACC電子制御ユニットを任意の車速でセットしても、直ちに遅い車に接近して急減速モードに入ってしまい乗り心地が悪くなるといった問題があった。
【0006】
また、自車と先行車との相対速度が大きく、自動減速制御による減速では間に合わない場合には、フットブレーキ操作を余儀なくされるため、このブレーキ操作によってACC電子制御ユニットの動作が解除されてしまう。この結果、再度、スイッチ操作による速度設定のやり直しが必要になり、運転者に煩わしさを感じさせるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、車両が先行車に追従して安定した手動運転がなされている場合にも、自動的に追従制御モードを開始することができる車間距離制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、自車速を計測する自車速計測手段と、自車と先行車との車間距離を計測する車間距離計測手段と、前記車間距離の一定時間中の計測値の最大値と最小値との差である変動量が所定の安定範囲内にあるか否かを判断する車間状態判断手段と、前記自車速の一定時間中の計測値の最大値と最小値との差である変動量が所定の安定範囲内にあるか否かを判断する自車速状態判断手段と、前記車間距離の変動量が所定の安定範囲内にある場合に、前記自車速の変動量が所定の安定範囲内にあるときには、先行車に追従する追従制御モードを開始すると判断する追従制御開始判断手段と、前記追従制御開始判断手段が追従制御モードを開始すると判断した場合、この追従制御モードの開始前の車速および車間距離に基づいて、先行車に追従するように自動的に自車速の制御を開始する車速制御手段と、を備えたことを要旨とする車間距離制御装置である。
【0009】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、少なくともブレーキ操作、方向指示操作、操舵角操作を車両の運転状態として検出する運転状態検出手段を備え、前記追従制御開始判断手段は、車両の運転状態が安定している場合に、先行車に追従する追従制御モードを開始すると判断することを要旨とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、上記課題を解決するため、前記追従制御開始判断手段は、自動的に追従制御モードに移行したことを報知する報知手段を有することを要旨とする。
【0011】
請求項4記載の発明は、上記課題を解決するため、自動的に追従制御モードに移行することを指示する操作スイッチを備え、前記追従制御開始判断手段は、この操作スイッチが能動状態にあるときには、自動的に追従制御モードに移行可能であることを要旨とする。
【0012】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、自車速、自車と先行車との車間距離を一定時間計測しておき、車間距離の一定時間中の計測値の最大値と最小値との差である変動量が所定の安定範囲内にあるか否かを判断するとともに、自車速の一定時間中の計測値の最大値と最小値との差である変動量が所定の安定範囲内にあるか否かを判断する。ここで、車間距離の変動量が所定の安定範囲内にある場合に、自車速の変動量が所定の安定範囲内にあるときには、先行車に追従する追従制御モードを開始すると判断し、この追従制御モードの開始前の車速および車間距離に基づいて、先行車に追従するように自動的に自車速の制御を開始することで、車両が先行車に追従して手動運転されている場合に、車間距離の変動量と自車速の変動量とがそれぞれ所定の安定範囲内にあるときに、自動的に追従制御モードを開始することができる。
【0013】
また、請求項2記載の本発明によれば、請求項1記載の効果に加え、少なくともブレーキ操作、方向指示操作、操舵角操作を車両の運転状態として検出しておき、車両の運転状態が安定している場合に、先行車に追従する追従制御モードを開始すると判断することで、車両の運転状態が安定している場合にも、自動的に追従制御モードを開始することができる。
【0014】
また、請求項3記載の本発明によれば、自動的に追従制御モードに移行したことを報知することで、運転者に現在追従制御モードであることの認識を促すことができる。
【0015】
また、請求項4記載の本発明によれば、自動的に追従制御モードに移行することを指示する操作スイッチを備えておき、この操作スイッチが能動状態にあるときには、自動的に追従制御モードに移行可能であるので、車両の運転を意図的に追従制御モードに移行することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る車間距離制御装置のシステム構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、車間距離制御装置は、先行車と自車との車間距離、方向及び相対速度を計測するレーザ方式や電波方式のレーダ装置1と、ACCシステム全体を制御するACC−ECU(電子制御ユニット)2と、スロットル開度を制御して車両の走行車速を調節するスロットルアクチュエー夕3と、先行車と自車との相対速度が大きいときなどのスロットルを閉じるだけでは減速効果が不十分なときにより大きく減速するためのギヤシフトダウンを制御するAT−ECU4と、自車の走行車速を検出する車速センサ5と、ACC−ECU2の作動状態として自車の走行状態や設定車速等を運転者に報知する表示器6と、先行車に接近するときの相対速度が大きく運転者にフットブレーキによる減速操作を促すように報知する警報ブザー7と、ACC−ECU2のメイン電源をON−OFF操作するためのメインスイッチ8と、フットブレーキ操作が行われたときにACC−ECU2の動作を解除するためのブレーキスイッチ10と、例えば自動的に追従制御モードを開始したこと表す音声信号を合成して運転者に報知する音声合成出力装置11と、車線変更の直前に点滅されるターンシグナルの操作を検出するウインカスイッチ12と、ステアリングの操舵角度を検出する操舵角センサ13と、自動による定速走行制御モード及び追従制御モードを解除して中止する解除スイッチ14とから構成されている。
【0018】
なお、レーダ装置1は、レーザ光を用いる場合は、水平方向に12度程度の範囲内でレーダビームを掃引して測距対象物の角度情報をも得られるスキャン方式が使用されている。また、電波方式を用いる場合は、自動車用レーダとして一般に60GHz〜77GHz程度のミリ波帯が使用されており、測距対象物までの角度情報をモノパルス方式等により得ている。
【0019】
また、表示器6は、文字や図形等を表示する専用の液晶ディスプレイをメータパネル上に設けたり、ナビゲーション装置の表示やオーディオ機器の操作表示や、エアコンの操作表示等を行なうマルチディスプレイを表示器として兼用してもよい。
【0020】
次に、図2は車間距離制御装置のACC−ECU2の内部構成を示すブロック図である。ACC−ECU2は、CPU、ROM、RAM、タイマ等によりハードウェアが構成されており、このROMに記憶されている制御プログラムに基づいて各機能ブロックが構成されている。
レーダ装置1から出力された測距対象物の測距データが先行車認識処理部21に入力されと、先行車認識処理部21は、測距対象物の測距データの中から自車線上の先行車に関する距離データを抽出して車間状態判断部22へ出力する。車間状態判断部22は、自車線上の先行車に関する距離データが所定範囲内にあるか否かを判断する。自車状態判断部23は、車速センサ5等の自車の各種センサ信号を入力して現在の自車の運転状態を判断する。
【0021】
追従制御開始判断部24は、車間状態判断部22からの判断結果、自車状態判断部23からの判断結果、ブレーキスイッチ10からのブレーキ操作、ウインカスイッチ12からの指示方向、操舵角センサ13からの操舵角、車速センサ5からの車速信号に基づいて、先行車に追随して走行する追従制御モードを開始するか否かを判断する。車速制御部25は、追従制御開始判断部24からの判断結果に基づいて、スロットルアクチュエータ3やAT−ECU4によってATのシフトポジションを制御して実際に車速を制御する。
【0022】
警報判断部26は、運転者にブレーキ操作を促す必要がある場合には、警報表示と警報ブザー音を用いて運転者に減速操作の必要性を報知する。なお、運転者にブレーキ操作を促す状況は、例えば、先行車が急減速したときなどスロットルを閉め、シフトダウンだけでは減速が不足している場合である。
【0023】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、車間距離制御装置の動作を説明する。
ここで、車両に備えられたキー・シリンダにイグニッション・キーが挿入され、アクセサリ位置までON操作された場合には、ACC−ECU2に電源が投入されて起動開始する。
【0024】
まず、ステップS10では、ACC−ECU2は、メインスイッチ8がONされたか否かを判断する。メインスイッチ8がOFF状態のときにはステップS10の処理を繰り返しWAIT状態となる。
【0025】
一方、メインスイッチ8がON操作されたときには、ステップS20では、追従制御モードがスタンバイ状態となり、レーダ装置1から出力される前方物体との距離データ、角度データ等の測距データがACC−ECUに入力される。なお、電波式レーダの場合は、相対速度データも直接計測されて出力される。これらのレーダ装置1からの測距データは、先行車認識処理部21に入力される。また、ステップS30では、車速センサ5からの自車の走行車速信号は、自車状態判断部23に入力され、現在の走行車速が計測される。
【0026】
ステップS40では、先行車認識処理部21は、前方測距対象物までの距離データや角度データと、自車速および操舵角データ等の車両状態に基づいて、前方に検出される測距対象物の中から自車レーンの前方で最も近い距離を走行する車両を追従先行車として認識し、その車両を縦続的にトラッキングする。そして、トラッキングされている先行車の距離データは、車間状態判断部22に送られ、ステップS50では、先行車のトラッキングを開始して一定時間(例えば、5秒程度)経過したか否かを判断する。この一定時間が経過するまでステップS50の処理を繰り返す。なお、ステップS50で用いられた一定時間は、過去5秒間としたが、本発明はこのような場合にのみ限定するものではない。
【0027】
ステップS60では、その経過時間内における先行車との車間距離の変動量を計算する。また、ステップS70では、自車状態判断部23は、同じ経過時間内に入力された車速信号に基づいて自車速の変動量を計算する。
【0028】
次に、ステップS80では、車間状態判断部22は、計算された車間距離の変動量が予め定められた所定値以下か否かを判断する。車間距離の変動量が所定値より大きい場合にはステップS10に戻る。一方、車間距離の変動量が所定値以下の安定範囲内にある場合には、ステップS90に進み、自車状態判断部23は、計算した自車速の変動量が予め定められた所定値以下か否かを判断する。車速変動が所定値より大きい場合にはステップS10に戻る。
【0029】
なお、本実施の形態においては、自動的に追従制御モードを開始するときの判断条件として、車間距離の変動量と車速の変動量とがそれぞれ安定範囲内にあるかどうかを判断して説明しているが、本発明はこのような場合にのみ限定するものではなく、相対速度の変動量や操舵角の変動量にも予め安定範囲を決めておき、判断条件として利用するようにしてもよい。
【0030】
車速変動が所定値以下の安定範囲内にある場合には、先行車に対して車間距離が安定し、かつ車速も安定しているので、運転者が現在の先行車に対して追従走行する意志があることと判断して追従制御開始判断部24が先行車への追従モードに入る準備を開始する。すなわち、ステップS100では、追従時の車速上限値を過去に車速変動を計測した期間の平均車速に設定する。次に、ステップS110では、追従時の目標車間距離を過去に距離変動を計測した期間中の平均車間距離に設定する。なお、本実施の形態においては、自動的に設定される上限車速と車間距離について、過去所定時間内の平均値に設定したが、本発明はこのような場合にのみ限定するものではなく、過去所定時間内における最大車速と最短車間に設定するような他の設定方法も考えられる。
【0031】
ここで、設定車間距離は運転者の任意の距離に設定されることになるが、先行車が急減速した場合等においても異常接近や衝突を起こさない距離を確保しておく必要がある。このため、設定した車間距離にはこれ以上短い値にはできないという下限値を設ておくこととする。ステップS120では、先に設定された目標車間距離がこの下限値以上か否かを判断する。先に設定された目標車間距離がこの下限値未満の場合にはステップS10に戻り、処理を繰り返す。なお、この下限値は車両の制御特性等により異なってくるが、一般的に用いられている車間時間として、例えば1.8秒程度が設定されるものとする。すなわち、時速100kmのときの最低車間距離は約50mとなる。
【0032】
次に、目標車間距離が下限値以上に確保されているときは、追従制御開始判断部24は入力されているブレーキスイッチ信号とウインカ操作信号及びステアリング操舵角に基づいて、順次に、ステップS130では、ブレーキ操作が行われていないOFF状態か否かを判断する。そして、ステップS140では、車線変更に伴うウインカ操作が行なわれていないOFF状態か否かを判断する。さらに、ステップS150では、操舵角が安定か否かを判断する。あるいは、急カーブ内を走行中か否かを判断する。
【0033】
ここで、ステップS130〜S150に示す全ての判断において、安定状態にあることが判断された場合には、ステップS160に進み、運転者に対してこれからアダプティブクルーズコントロールを開始することを報知する。すなわち、自動で追従制御モードに移行することを音声合成出力装置11と表示器6から報知する。この結果、メータパネル上の表示器6には図4に示すような表示内容の一例が表示される。このとき、インジケータを点灯して、自動で追従走行状態に移行したことが文字表示される。また、そのときの車間距離と上限車速とが数値で示される。
【0034】
次に、ステップS170では、車速制御部25は、車両のスロットルアクチュエータ3とAT−ECU4を介してシフトポジションを適度にコントロールすることで、先行車との車間距離を車速に応じて一定に保って定速走行する追従制御モードを実行する。この結果、追従制御モードでは、スロットル開度及び必要に応じてギヤのシフト位置が制御され、車速を維持しながら先行車との車間距離を一定に維持できるようになる。なお、追従制御モードおよび定速走行制御モードについては公知の技術であるので、この詳しい説明を省略する。
【0035】
追従制御中では、先行車は常にレーダ装置1によって監視されており、ステップS180では、先行車が車線変更して自車線から外れた場合、先行車が加速して自車から離れていく場合、自車が車線変更した場合等、先行車が自車の前方から離脱したか否かを判断する。先行車が自車の前方から離脱した場合にはステップS190に進み、車速制御部25は、先行車が離脱したときの車速で定速走行制御モードに移行する。
【0036】
一方、先行車が自車の前方から離脱していない場合にはステップS200に進み、先行車が継続して存在するので、自車状態判断部23は、追従中にブレーキがON操作されたか否かを判断する。追従中にブレーキがON操作された場合にはステップS10に戻り、処理を繰り返す。一方、追従中にブレーキがON操作されていない場合には、解除スイッチ14がON操作されたか否かを判断する。解除スイッチ14がON操作された場合にはステップS10に戻り、処理を繰り返す。一方、解除スイッチ14がON操作されていない場合にはステップS170に戻り、追従制御モードを継続する。
【0037】
次に、図5〜図6に示す走行状態を参照して、図3に示すフローチャートを説明する。なお、図5は、手動によるアクセル操作で先行車に追従しているときの5秒間の車間距離の変化と、自車速の変化の一例を100ms単位で示したものである。また、図6は、その変動を数値で示したもので、5秒間の平均車間距離は、43.7m、距離の変動幅はピークtoピークで、0.9m、自車速の平均は76.8km/h、車速の変動幅はピークtoピークで0.5km/hである。
【0038】
まず、自動的に追従制御モードを開始するときの判断条件として、仮にステップS80で用いられる車間距離の変動量の安定範囲を±1m、ステップS90で用いられる車速の変動量の安定範囲を±1km/h、ステップS120で用いられる設定車間距離の下限値を車間時間で1.8秒とする。
【0039】
図6において、計測された車間距離の変動量0.9mは、安定範囲1m以内に収まっており、車速の変動量の0.5km/hも安定範囲1km/h以内に収まっている。この場合、追従条件として車速上限は自車速の平均である76.8km/hに設定され、目標車間距離は計測期間における平均車間距離である43.7mに設定される。
【0040】
車速76.8km/hのときの車間時間1.8秒は、距離に直すと38.4mであり、設定された目標車間距離43.7mはこの下限値38.4mより大きいので、基本的には追従制御モードに移行する条件が成立する。
この後、ブレーキ操作やウインカ操作、大きな操舵が行われていない場合、ステップS130〜S150を「YES」で通過し、自動的に追従制御モードが開始される。
【0041】
ステップS170で、車速制御部25が追従制御モードに移行した後は、上限車速が76.8km/hでそのときの車間距離が43.7mになるようにスロットル開度とシフトポジションが制御される。先行車が減速した場合は車間時間1.8秒となるように目標車間距離も調節される。
ここで、車速76km/hで追従制御中に先行車が前方から離脱した場合には、ステップS190に進み、そのまま車速76km/hでの定速走行制御モードに移行する。
【0042】
このように、自車速、自車と先行車との車間距離をレーダ装置1を用いて計測しておき、車間距離の変動量が所定の安定範囲内にあるかを判断するとともに、自車速の変動量が所定の安定範囲内にあるか否かを判断する。ここで、追従制御開始判断部24は、車間距離の変動量が所定の安定範囲内にある場合に、自車速の変動量が所定の安定範囲内にあるときには、先行車に追従する追従制御モードを開始すると判断し、車速制御部25は、この追従制御モードの開始前の車速および車間距離に基づいて、先行車に追従するように自動的に自車速の制御を開始することで、車両が先行車に追従して安定した手動運転がなされている場合にも、車間距離の変動量と自車速の変動量とがそれぞれ所定の安定範囲内にあるときには、自動的に追従制御モードを開始することができる。
【0043】
この結果、従来のようにフットブレーキ操作に伴って追従制御モードが解除されてしまった場合でも、再度、スイッチ操作による速度設定のやり直しを必要とせず、運転者に煩わしさを感じさせることなく、追従制御モードに復帰することができる。
【0044】
また、従来のように、混雑した交通量の多い環境の中で、任意の車速にセットした場合に、直ちに遅い車に接近して急減速モードに入ることなく、車両が先行車に追従して手動運転されている場合には、追従制御モードに復帰することができ、車両の乗り心地の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車間距離制御装置のシステム構成を示す図である。
【図2】車間距離制御装置のACC−ECU2の内部構成を示すブロック図である。
【図3】車間距離制御装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】メータパネル上の表示器6に表示される内容の一例を示す図である。
【図5】手動によるアクセル操作で先行車に追従しているときの5秒間の車間距離の変化と、自車速の変化の一例を100ms単位で示したものである。
【図6】先行車に追従中での5秒間の車間距離変動及び車速変動を示す表である。
【符号の説明】
1 レーダー装置
2 ACC−ECU
3 スロットルアクチュエータ
4 AT−ECU
5 車速センサ
6 表示器
7 警報ブザー
8 ACCメインスイッチ
10 ブレーキスイッチ
11 音声合成出力装置
12 ウインカスイッチ
13 操舵角センサ
14 解除スイッチ
21 先行車認識処理部
22 車間状態判断部
23 自車状態判断部
24 追従制御開始判断部
25 車速制御部
26 警報判断部
Claims (4)
- 自車速を計測する自車速計測手段と、
自車と先行車との車間距離を計測する車間距離計測手段と、
前記車間距離の一定時間中の計測値の最大値と最小値との差である変動量が所定の安定範囲内にあるか否かを判断する車間状態判断手段と、
前記自車速の一定時間中の計測値の最大値と最小値との差である変動量が所定の安定範囲内にあるか否かを判断する自車速状態判断手段と、
前記車間距離の変動量が所定の安定範囲内にある場合に、前記自車速の変動量が所定の安定範囲内にあるときには、先行車に追従する追従制御モードを開始すると判断する追従制御開始判断手段と、
前記追従制御開始判断手段が追従制御モードを開始すると判断した場合、この追従制御モードの開始前の車速および車間距離に基づいて、先行車に追従するように自動的に自車速の制御を開始する車速制御手段と、を備えたことを特徴とする車間距離制御装置。 - 少なくともブレーキ操作、方向指示操作、操舵角操作を車両の運転状態として検出する運転状態検出手段を備え、
前記追従制御開始判断手段は、
車両の運転状態が安定している場合に、先行車に追従する追従制御モードを開始すると判断することを特徴とする請求項1記載の車間距離制御装置。 - 前記追従制御開始判断手段は、
自動的に追従制御モードに移行したことを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1記載の車間距離制御装置。 - 自動的に追従制御モードに移行することを指示する操作スイッチを備え、
前記追従制御開始判断手段は、
この操作スイッチが能動状態にあるときには、自動的に追従制御モードに移行可能であることを特徴とする請求項1記載の車間距離制御装置。
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