JP3986657B2 - 高濃度アルコール清酒及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は特定の成分組成を有する高濃度アルコール清酒に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、清酒は15v/v%程度のアルコール度数で飲用されることが多く、当該アルコール度数の製品が市場に供給されている。
また、飲用に供せられる酒類のうち、アルコール度数が23v/v%以上のもののほとんどは、蒸留酒であるが、近年、嗜好の多様化により、醸造酒でもアルコール度数の高い酒類が求められている。
高濃度アルコール清酒を製造する方法として、半透膜を利用する濃厚アルコール飲料の製造方法(特公昭57−38233号公報)、酒類の凍結、融解し、各種アルコール濃度の酒類を得る方法(特公昭61−48910号公報)、氷結濃度清酒(日本醸造協会誌、第76巻、第2号、第115〜118頁、1981年)が開示されているが、これらはいずれも含有するアルコール分、エキス分、アミノ酸度、酸度等のバランスが悪く、その結果として香味のバランスが良くないという問題点を有する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、多様化する嗜好に対応した、香味のバランスがよい高濃度アルコール清酒であり、更には、お湯で割った際にもボディ感があり香味のバランスがよい高品質な高濃度アルコール清酒及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すると、本発明は、麹糖化醪及びアルコールを醪の上槽の3日前迄に添加し、上槽してなるアルコール度数が23〜40v/v%の高濃度アルコール清酒であって、該高濃度アルコール清酒をお湯でアルコール度数15v/v%まで希釈したお湯割り後のエキス分が(0.224A−0.857)〜(0.355A+0.171)w/v%、アミノ酸度が(0.0686A−0.429)〜(0.0895A+0.257)ml〔上記Aは高濃度アルコール清酒のアルコール度数(v/v%)を示す〕の成分組成を有する高濃度アルコール清酒に関する。
【0005】
本発明者らは、前記従来技術の問題点を解決するため鋭意検討を重ねた結果、アルコール度数23v/v%以上の高濃度アルコール清酒において、エキス分、アミノ酸度を特定の濃度とすることで香味のバランスのよい高品質の清酒となること、また、当該高濃度アルコール清酒をお湯で15v/v%程度のアルコール度数に割った際にもボディ感があり香味のバランスがよいこと、及び、清酒製造工程の醪の上槽の3日前迄に麹糖化醪及びアルコールを添加し、上槽することにより、この高濃度アルコール清酒を製造することが可能であることを見出し本発明を完成した。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
通常、清酒の製造は原料処理、仕込、糖化・発酵、上槽及び精製工程よりなり、仕込工程では初添、仲添、留添の三段仕込みで行われており、アルコール度数19v/v%程度の原酒が得られる。主として味のバランスを調整するために、四段仕込み及びアルコール添加が行われる場合もあるが、この場合においてもアルコール度数は約22v/v%に高まる程度である。
【0007】
本発明の高濃度アルコール清酒におけるアルコール度数は、23〜40v/v%濃度である。
本発明では、高濃度アルコールの状態で飲用しても、お湯で割ってアルコール度数15v/v%程度、且つ、燗酒と同等の50℃前後として飲用した際にも、ボディ感があり香味のバランスがよい高濃度アルコール清酒を得ることを目的としている。お湯で割って、例えば50℃とするためには、常温(20℃)の高濃度アルコール清酒60部に対し、例えば95℃のお湯を40部加えればよく、且つ、お湯割り後のアルコール度数を15v/v%程度とするためには、高濃度アルコール清酒のアルコール度数は25v/v%程度が必要となる。
また、お湯で割って、例えば、ぬる燗程度(45℃)とするためには、常温(20℃)の高濃度アルコール清酒65部に対し、例えば92℃のお湯を35部加えれば良く、かつお湯割り後のアルコール度数を15v/v%程度にするためには、高濃度アルコール清酒のアルコール度数は23v/v%程度が必要になる。
清酒のアルコール度数を高める手段として、醪にアルコールを添加する方法が一般的に知られており、本発明においてもこのアルコール添加法を採用する。通常のアルコール度数の清酒を製造する場合、約40v/v%濃度のアルコールを添加するのが一般的である。本発明の高濃度アルコール清酒においては、より高濃度、例えば危険物の対象とならない約67v/v%の濃度で使用するのが、設備投資の見地や操作性においても好適である。通常の製造法に従って清酒を製造する場合において、酒税法に定めるアルコール使用量に則り、その上限量を67v/v%アルコールとして添加すると、アルコール度数が40v/v%程度の清酒を得ることができる。なお、危険物取り扱い設備を設ければ、更に高濃度、例えば95v/v%アルコールを使用することも可能であり、前述の67v/v%の代りに、95v/v%アルコールを添加すると、アルコール度数が45v/v%程度の清酒を得ることも可能である。本発明においては、高濃度のままでも飲用に供せられることを目的とし、また、新たな設備投資が不要であることの利点から、本発明にいう高濃度アルコール清酒のアルコール度数は、23〜40v/v%の範囲を対象とする。
【0008】
通常の四段仕込み・アルコール添加を行って高濃度アルコール清酒を製造しても、得られる清酒のエキス分やアミノ酸度が著しく不足し、高濃度の状態で飲用しても、香味のバランスが悪く、お湯で割って飲用しても香味のバランスが悪く、水っぽい味のものしか得られない。本発明者らは、四段仕込みにおいて麹糖化醪を用いる方法に着目し鋭意検討した。その結果、当該方法により、高濃度の状態で飲用しても、お湯で割って飲用しても香味のバランスが良く、ボディ感のある高品質な高濃度アルコール清酒が得られるとの知見を得た。
【0009】
〔検討例〕
以下、検討例によって更に具体的に説明する。
検討例1
アルコール度数23〜40v/v%の高濃度アルコール清酒の製造において、アルコール度数とエキス分のバランス及びアルコール度数とアミノ酸度のバランスの良好な組合せを明らかにするために、各種成分の高濃度アルコール清酒を作成し、官能検査により評価を行った。
【0010】
(各種成分の高濃度アルコール清酒の作り方)
原醪は、総米5kg、汲水歩合〔総米重量(kg)に対する汲水(リットル)の百分率(%)を意味する〕125%の蒸米三段仕込を行い、留後18日目の醪とした。なお、留後18日目の醪は上槽した後(蒸米仕込上槽液)一般分析に供した。
米麹四段糖化醪は、麹米1.0kgを常法により製麹した米麹に、汲水1.65リットルを加え、55℃、18時間の自己消化を行って調製した。
蒸米四段糖化醪は、白米1.0kgを常法により洗米、浸漬、常圧蒸しを行い、汲水1.5リットル(該四段糖化醪中の白米濃度が、上記米麹四段糖化醪の白米濃度と等しくなるように汲水量を調製した)、アミラーゼ酵素製剤スピターゼM(ナガセ生化学工業(株)製〕1.0gを添加し、55℃、18時間の糖化を行って調製した。
原醪、米麹四段糖化醪又は蒸米四段糖化醪、及び67%アルコールを、目標成分となるように適宜添加し、上槽した。
官能検査は、各種成分の高濃度アルコール清酒をお湯でアルコール度数15v/v%まで希釈した後行った。
蒸米仕込上槽液、米麹四段糖化液、蒸米四段糖化液の一般分析結果を表1に、各種成分の高濃度アルコール清酒における、アルコール度数とエキス分のバランスに関するお湯割り後の官能検査結果を表2に、アルコール度数とアミノ酸度のバランスに関するお湯割り後の官能検査結果を表3に示す。
【0011】
なお、本明細書中の一般分析値については、第四回改正国税庁所定分析法注解〔平成5年2月20日第四回改正版発行、発行所(財)日本醸造協会〕に記載の方法により、測定を行った。
【0012】
【表1】
【0013】
【表2】
【0014】
なお、アミノ酸度は、2.5ml〔0.1N NaOH ml/10ml〕に調整した。
官能検査は、10名のパネラーにより実施し、4点法(1:良〜4:悪)で行い、各区分ごとに平均値を表2に記載した。
【0015】
【表3】
【0016】
なお、エキス分は8w/v%に調整した。
官能検査は、4点法(1:良〜4:悪)で行い、パネラー10名の平均値で示した。
【0017】
本発明の高濃度アルコール清酒においては、香味のバランスの良いエキス分の範囲を官能検査平均値が2.0を超えない範囲と定め、表2に示す官能検査結果より、アルコール度数A(v/v%)の関数として近似的に表した。すなわち、エキス分が(0.224A−0.857)〜(0.355A+0.171)w/v%の範囲である。また、表3に示す官能検査結果より、香味のバランスの良いアミノ酸度の範囲(官能検査平均値が2.0を超えない範囲)を、同様に表すと、アミノ酸度が(0.0686A−0.429)〜(0.0895A+0.257)mlの範囲となる。
【0018】
アルコール度数とエキス分の香味のバランスの良い範囲を図1に示す。横軸はアルコール度数(v/v%)、縦軸はエキス分(w/v%)、図中の数値はお湯割り後の官能検査の平均値、上側の直線(エキス分=0.355A+0.171)はバランスの良い範囲の上限を、下側の直線(エキス分=0.224A−0.857)はバランスの良い範囲の下限を表す。
【0019】
アルコール度数とアミノ酸度の香味のバランスの良い範囲を図2に示す。横軸はアルコール度数(v/v%)、縦軸はアミノ酸度(ml)、図中の数値はお湯割り後の官能検査の平均値、上側の直線(アミノ酸度=0.0895A+0.257)はバランスの良い範囲の上限を、下側の直線(アミノ酸度=0.0686A−0.429)はバランスの良い範囲の下限を表す。
【0020】
本発明に用いるアルコールはエチルアルコールのことをいう。エチルアルコールは特に限定はないが、飲用に供されるものであればよく、例えば醸造用アルコールが挙げられる。
【0021】
本発明に用いる麹は酒税法でいうところの麹であればよく、原料、麹菌、糖化方法は限定されない。
原料としては、米〔粳米(ジャポニカ型、インディカ型)、糯米(ジャポニカ型、インディカ型)〕、麦、蕎麦、アワ、ヒエ、トウモロコシ等の穀類、サツマイモ、ジャガイモ等の芋類が挙げられる。原料は未精白のまま、又は精白して用いてもよい。
麹菌としてはアスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae) 、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii) 、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii) 、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、リゾプス属菌株(Rhizopus sp.) 、ムコール属菌株(Mucor sp.)、紅麹菌(Monascus sp.) 等が挙げられる。
麹の糖化方法としては、麹自身の液化力、糖化力による自己消化法でもよいし、アミラーゼ酵素製剤、プロテアーゼ酵素製剤を併用してもよい。また、糖化原料の一部に未処理穀物、蒸煮穀物、α化穀物、焙炒穀物を利用することも可能であるが、その使用量が多いと、得られる高濃度アルコール清酒のアミノ酸度が不足する原因となるので、麹に対し3割以下とするのが好適である。
【0022】
本発明における麹糖化液及びアルコールを添加する時期は、上槽の3日前迄がよく、1日前に添加するのがより好ましい。また、添加は1回で行ってもよく数回に分けてもよい。上槽より4日以上前に添加すると麹糖化液の成分を酵母が代謝し、香味のバランスがくずれる原因となる。
添加する麹を含めた麹歩合に制限はないが、好ましくは30〜40%の範囲である。アルコール添加歩合も酒税法の範囲であればよく、好ましくは300〜500(リットル/t白米)である。
【0023】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0024】
実施例1
蒸米醪は上槽1日前に、米麹による米麹四段糖化醪及び67v/v%アルコール、若しくは蒸米とアミラーゼ酵素製剤による蒸米四段糖化醪及び67v/v%アルコールを添加した後上槽した。得られた高濃度アルコール清酒について比較検討を行った。
米麹四段糖化醪は、精米歩合75w/w%の粳白米150gを用いて常法により製麹した米麹に汲水248mlを加え、55℃で18時間自己消化させて調製した。
蒸米四段糖化醪は、精米歩合75w/w%の粳白米150gを用いて常法により蒸米を作製し、汲水225ml、アミラーゼ酵素製剤スピターゼM〔ナガセ生化学工業(株)製〕215mgを添加した後、55℃で18時間酵素消化させて調製した。
原醪は、総米1.0kg、汲水歩合〔総米重量(kg)に対する汲水(リットル)の百分率(%)を意味する〕125%の蒸米三段仕込による小仕込を行った。酵母は日本醸造協会701号の固形酵母(1×1010個/醪g)を使用した。発酵は留後5日目より、最高品温が15℃となるようにし、留後13日目より、降温した。
留後18日目の原醪に、四段糖化醪及び67v/v%アルコールを添加し、翌日上槽を行った。米麹四段糖化醪添加区分の仕込配合を表4に、蒸米四段糖化醪添加区分の仕込配合を表5に示す。
【0025】
【表4】
【0026】
【表5】
【0027】
得られた高濃度アルコール清酒について、一般分析結果を表6に、官能検査結果を表7に、お湯でアルコール度数15v/v%まで希釈したお湯割り後の官能検査結果を表8に示す。
【0028】
【表6】
【0029】
【表7】
【0030】
【表8】
【0031】
官能検査は、3点法(1:良〜3:悪)で行い、パネラー10名の平均値で示した。
【0032】
表6、表7、表8より、米麹四段糖化醪及び67v/v%アルコールを添加することで、清酒中にエキス分だけでなく、酸、アミノ酸も増加させることができた。その結果、高濃度アルコール清酒では、香味のバランスがよい、アルコールの濃さを感じさせない、良好な酒質の清酒が得られた。更に、お湯割り後では、従来より用いられている蒸米四段糖化醪を添加したときの、うすい、水っぽい、香味のバランスが悪いという欠点が解消され、香味のバランスがよい、味がしっかりしている、及びボディ感のある高濃度アルコール清酒を得ることができた。
【0033】
実施例2
米麹四段糖化醪は、精米歩合75w/w%の粳白米215gを用いて常法により製麹した米麹に汲水355ml、プロテアーゼ酵素製剤D−150〔ナガセ生化学工業(株)製〕215mgを加え、55℃で18時間自己消化させて調製した。
蒸米四段糖化醪は、精白歩合75w/w%の粳白米215gを用いて常法により蒸米を作製し、汲水323ml、アミラーゼ酵素製剤スピターゼM〔ナガセ生化学工業(株)製〕215mgを添加した後、55℃で18時間酵素消化させて調製した。
原醪は、300℃、60秒間の焙炒処理を行った焙炒米を汲水歩合〔総米重量(kg)に対する汲水(リットル)の百分率(%)を意味する〕160%でアミラーゼ酵素製剤タカラチームA〔ナガセ生化学工業(株)製〕により、液化処理を行った焙炒液化液を掛米に用いた総米1.0kgの焙炒液化三段仕込を行った。
酵母はK−701の固形酵母(1×1010個/醪g)を使用した。発酵は留後5日目より、最高品温が15℃となるようにし、留後13日目より、降温した。
留後18日目の原醪に、四段糖化醪及び67v/v%アルコールの添加をし、発酵させた後、翌日上槽を行った。米麹四段糖化醪添加区分の仕込配合を表9に、蒸米四段糖化醪添加区分の仕込配合を表10に示す。
【0034】
【表9】
【0035】
【表10】
【0036】
得られた高濃度アルコール清酒について、一般分析結果を表11に、官能検査結果を表12に、お湯でアルコール度数15v/v%まで希釈したお湯割り後の官能検査結果を表13に示す。
【0037】
【表11】
【0038】
【表12】
【0039】
官能検査は、3点法(1:良〜3:悪)で行い、パネラー10名の平均値で示した。
【0040】
【表13】
【0041】
表11、表12、表13より、清酒製造における焙炒液化醪の上槽前に、プロテアーゼ酵素製剤を添加した米麹四段糖化醪及び67v/v%アルコールを添加することで、焙炒液化清酒中にエキス分だけでなく、酸、アミノ酸も増加させることができた。特に、焙炒液化清酒は本来アミノ酸が少ないため、米麹四段糖化醪のアミノ酸による呈味の改善は顕著であった。その結果、得られた高濃度アルコール清酒では、米麹四段糖化醪由来のアミノ酸と、糖分のバランスが極めて良好であり、総合的に高品質であった。更に、お湯割り後でも、従来より用いられている蒸米四段糖化醪を添加したときの、うすい、水っぽい、香味のバランスが悪いという欠点が解消され、香味にバランスがよい、ボディ感のある酒質となった。
【0042】
実施例3
米麹四段糖化醪は、精米歩合75w/w%の粳白米215g及び種麹にクエン酸高生産麹菌アスペルギルス オリーゼKI−49(FERM P−16123)を用い、常法により製麹したクエン酸高含有米麹に汲水355ml、アミラーゼ酵素製剤スピターゼM〔ナガセ生化学工業(株)製〕215mg、プロテアーゼ酵素製剤D−150〔ナガセ生化学工業(株)製〕215mgを加え、55℃で18時間自己消化させ調製した。
蒸米四段糖化醪は、精米歩合75w/w%の粳白米215gを用い常法により蒸米を作製し、汲水323ml、アミラーゼ酵素製剤スピターゼM〔ナガセ生化学工業(株)製〕215mgを添加した後、55℃で18時間酵素消化させ調製した。
原醪は、300℃、60秒間の焙炒処理を行った焙炒米を汲水歩合〔総米重量(kg)に対する汲水(リットル)の百分率(%)を意味する〕160%でアミラーゼ酵素製剤タカラチームA〔ナガセ生化学工業(株)製〕により、液化処理を行った焙炒液化液を掛米に用いた総米1.0kgの焙炒液化三段仕込を行って調製した。
酵母はK−701の固形酵母(1×1010個/醪g)を使用した。発酵は留後5日目より、最高品温が15℃となるようにし、留後13日目より、降温した。
留後18日目の原醪に、四段糖化醪及び67v/v%アルコールを添加し、翌日上槽を行った。米麹四段糖化醪添加区分の仕込配合を表14に、蒸米四段糖化醪添加区分の仕込配合を表15に示す。
【0043】
【表14】
【0044】
【表15】
【0045】
得られた高濃度アルコール清酒について、一般分析結果を表16に、官能検査結果を表17に、お湯でアルコール度数15v/v%まで希釈したお湯割り後の官能検査結果を表18に示す。
【0046】
【表16】
【0047】
【表17】
【0048】
【表18】
【0049】
官能検査は、3点法(1:良〜3:悪)で行い、パネラー10名の平均値で示した。
【0050】
表16、表17、表18より、米麹にクエン酸高生産麹を用いた米麹四段糖化醪及び67v/v%アルコールを添加することで、焙炒液化清酒中にエキス分、アミノ酸と共にクエン酸が増強された。その結果、米麹四段糖化醪由来のアミノ酸と、糖分及びクエン酸の酸味のバランスが極めて良好であり、特徴のある高品質な高濃度アルコール清酒が得られた。更に、お湯割り後でも、従来より用いられている蒸米四段糖化醪を添加したときの、うすい、水っぽいという欠点が解消され、香味のバランスがよく、ボディ感があることに加え、爽快感が増し、切れのある高濃度アルコール清酒を得ることができた。
【0051】
【発明の効果】
本発明により、エキス分とアミノ酸度の成分値が、それぞれ特定の数値範囲に含まれる高濃度アルコール清酒を得ることができる。本発明の高濃度アルコール清酒は、アルコールの濃さを感じさせず、ボディ感があり、味に調和があり、且つ香味のバランスがよい、従来にない高品質の高濃度アルコール清酒である。更にこの清酒は、お湯で飲用に際しての適温(50℃前後)に割った場合にも、従来の清酒と同様に水っぽさを感じず、ボディ感があり、味に調和があり、且つ香味のバランスがよいので新規な飲用方法も提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルコール度数とエキス分の香味のバランスの良い範囲を示す図である。
【図2】アルコール度数とアミノ酸度の香味のバランスの良い範囲を示す図である。
Claims (1)
- 麹糖化醪及びアルコールを醪の上槽の3日前迄に添加し、上槽してなるアルコール度数が23〜40v/v%の高濃度アルコール清酒であって、該高濃度アルコール清酒をお湯でアルコール度数15v/v%まで希釈したお湯割り後のエキス分が(0.224A−0.857)〜(0.355A+0.171)w/v%、アミノ酸度が(0.0686A−0.429)〜(0.0895A+0.257)ml〔上記Aは高濃度アルコール清酒のアルコール度数(v/v%)を示す〕の成分組成を有する高濃度アルコール清酒。
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