JP3986273B2 - フロアポストにおける床受け板のバリ浮き防止機構 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、フロア材を支持するフロアポストの改良、更に詳しくは、フロア材をフロアポストの床受け板に固定する際に、止着タッピンネジのスクリュースレッドの刳り抜きの余肉によるバリによるフロア材レベルの偏倚を防ぎ、要に応じて、その表面をリブ構造にすることによって優れた剛性を付与することができ、更に、使用材料も節約されてコスト削減も可能なフロアポストにおける床受け板のバリ浮き防止機構に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近の建造物の床組み工事には、スラブ上に立設してスクリューロッドを正逆回転させることによってフロア材のレベルを昇降調節可能なフロアポストが多用されている。このフロアポストは、不陸のあるスラブ上にもフロア材のレベルに合わせて容易に床組みを構築していくことができるために床組み工事の合理化に役立つからである。また、その使用材料としては、軽量で成形性に優れたプラスチックが採用されている。
【0003】
このフロアポストを構成する部材のうち、フロア材に当接して支持する床受け板は、フラットな支持面を有しており、床面からの荷重を面的に分散均一化して支持し、かつ、振動や衝撃を吸収するものである。
【0004】
ところで、これらフロア材と床受け板とを、より確実に固定するためにフロア材表面からこの床受け板に対して止着タッピンネジを打ち込み固定することがあり、この際、この床受け板が止着タッピンネジの受け具となって、支持面の表面に直接食込み螺入させて止着していた。
【0005】
従来、床受け板の支持面の表面は略一様でフラットになっており、前述のように止着タッピンネジを打ち込んだ場合、食い込んだ止着タッピンネジのスクリュースレッドが床受け板の本体を刳り抜いて、その分が押し出される余肉によって支持面の表面にバリ(burr)が生じ、このバリによってフロア材のレベルに偏倚が生ずるという現象が起こる(図15および図16参照)。
【0006】
その結果、支持すべきフロア材と床受け板とが面一な接触ではなくなって、局部的に荷重がかかってしまい、不安定な支持になって床受け板としての性能を十分に発揮できないという不都合があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のフロアポストの床受け板に上記のような不満があったことに鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、フロア材をフロアポストの床受け板に固定する際に、止着タッピンネジのスクリュースレッドの刳り抜きの余肉によるバリによるフロア材レベルの偏倚を防ぎ、要に応じて、その表面をリブ構造にすることによって優れた剛性を付与することができ、更に、使用材料も節約されてコスト削減も可能なフロアポストにおける床受け板のバリ浮き防止機構を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者が上記課題を解決するために採用した手段を添付図面を参照して説明すれば次のとおりである。
【0009】
(削除)
【0010】
(削除)
【0011】
(削除)
【0012】
(削除)
【0013】
即ち、本発明は、スクリューロッドを正逆回転させることによってフロア材Fのレベルを昇降調節可能なフロアポストPであって、当該フロアポストPの上端には前記フロア材Fを支持固定する合成樹脂製の床受け板1を備え、かつ、この床受け板1における支持面にはグリッドパネル12が配設され、フロアポストPを設置した状態で、フロア材F上から床受け板1に向けて止着タッピンネジ2を螺入貫通せしめるとき、この止着タッピンネジ2のスクリュースレッド21が前記グリッドパネル12のリブ間に食込み挟持して螺入されることによって、バリを前記リブ間の空隙に逃した状態で床受け板1とフロア材Fとを略均圧に密着固定できるようにするという技術的手段を採用した。
【0014】
また、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、床受け板1のグリッドパネル12のリブを直交する格子状に形成するという技術的手段を採用した。
【0015】
更にまた、本発明は、上記課題を解決するために、必要に応じて上記手段に加え、床受け板1のグリッドパネル12のリブを亀甲状に形成するという技術的手段を採用した。
【0016】
(削除)
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を具体的に図示した図面に基いて更に詳細に説明すると次のとおりである。
【0018】
『第1実施形態』
本発明の第1実施形態を図1から図3に基いて説明する。図中、符号1で指示するものは床受け板であり、この床受け板1は合成樹脂(本実施形態では、PP:ポリプロピレンを採用する)製の板状部材である。そして、この床受け板1が上端に配設されているフロアポストPは、スクリューロッドP1と雌ネジ筒台P2とから成り、螺合して正逆回転させることによってフロア材Fを昇降調節可能に構成されている。
【0019】
また、符号2で指示するものは止着タッピンネジであり、この止着タッピンネジ2の胴部および先端部にはスクリュースレッド21を有しており、即ち、先端部分が鋭利に成形されているので、メス孔なしでも食込み螺入させることができるものである。
【0020】
しかして、本実施形態においては、まず、公知の工法に従い、フロアポストPをスラブや束石の上に立設し、フロア材Fのレベルに合わせて昇降調節自在に支持して設置する。そして、このフロア材Fが位置ズレしないようにより確実に固定するためにフロア材F上から床受け板1に向けて止着タッピンネジ2を螺入貫通せしめる。
【0021】
然る後、この止着タッピンネジ2のスクリュースレッド21が床受け板1の支持面を刳り抜くことにより余肉により表面にバリBが発生する。この際、床受け板1における支持面にはフロア材Fとの間にバリ逃げ空隙を作出する浮し突起11が形成されており、本実施形態では、床受け板1の表面の周辺を沿って囲って、かつ、中央付近で斜めに交わるクロス状の突条に形成されている。
【0022】
そして、フロア材Fを当該床受け板1にネジ止めした際に生ずるバリBを前記浮し突起11間の空隙内に逃すことによって、バリBが表面に突出した場合でも床材Fにまで達することがなく、床受け板1の支持面をフロア材Fに密接させることができ、偏倚なく略均圧に密着固定できるのである。
【0023】
『第2実施形態』
次に、本発明の第2実施形態を図4に基いて説明する。本実施形態では、床受け板1表面の突起11を分散形成されたイボ状隆起に形成したところが第1実施形態と異なる点である。
【0024】
本実施形態においては、止着タッピンネジ2のスクリュースレッド21が浮し突起11間に螺入されることにより、当該床受け板1にネジ止めした際に生ずるバリを空隙内に逃すことができ、第1実施形態と同様の作用が得られるのである。
【0025】
『第3実施形態』
次に、本発明の第3実施形態を図5から図12に基いて説明する。本実施形態では、床受け板1におけるフロア材Fの支持面にグリッドパネル12が配設されており、このグリッドパネル12には浮し突起11としてのリブが直交した格子状に形成されている。
【0026】
本実施形態においては、止着タッピンネジ2のスクリュースレッド21を前記グリッドパネル12の浮し突起11としてのリブ間に食込み挟持して螺入する。なお、図8に示すようにスクリュースレッド21がリブ間に確実に挟持されることから、止着タッピンネジ2を安定的な直立状態に螺入することができる。
【0027】
また、止着タッピンネジ2の螺入による床受け板1の刳り抜き余肉の体積が小さくなることから、バリBの発生そのものを減少させることができる。仮にバリBが発生したとしても食込み分がリブ間に若干発生するだけであるので、バリBが表面への突出することを防ぐことができ、グリッドパネル12の支持面をフロア材Fに密接させることができるので、床受け板1とフロア材Fとを略均圧に密着固定できるのである。
【0028】
本実施形態では、床受け板1のグリッドパネル12の浮し突起11としてのリブを直交する格子状に形成しているが、図10に示すように亀甲状に形成することも可能であるし、図示しない多角形状や楕円形状になっていても良い。
【0029】
また、実施変形例として、床受け板1のリブは、図11に示すように貫通するように形成することも可能であるし、図12に示すように上面および下面を格子状に形成することも可能であって、構造的に剛性を大きくしつつも、使用材料を減少させることができるので、製造コストダウンをすることができる。
【0030】
『第4実施形態』
次に、本発明の第4実施形態を図13および図14に基いて説明する。本実施形態では、床受け板1の支持面において、所要厚さの樹脂製のスポンジ質のものやゴム製のものを緩衝シート3として両面テープや接着剤を使用して床受け板1に被覆貼着したところに特徴がある。
【0031】
そして、第1〜第3実施形態と同様に、フロアポストPを設置した状態で、フロア材F上から床受け板1に向けて止着タッピンネジ2を螺入貫通せしめる。すると、本実施形態の場合、この止着タッピンネジ2のスクリュースレッド21が床受け板1の支持面を刳り抜くことにより余肉により表面にバリBが発生する。
【0032】
しかし、この際に発生したバリBは、緩衝シート3に食い込みはするが、フロア材Fにまで到達することはない。そして、バリBが食い込んだ部分は大きく圧縮される一方、それ以外の部分は小さく圧縮することによって、フロア材F側の緩衝シート3はフロア材Fに全面的な接触を保つことができ、床受け板1は支持面全体でフロア材Fの荷重を受けることから、略均等圧で密着固定することができるのである(図14参照)。
【0033】
本発明は概ね上記のように構成されるが、本発明は図示の実施形態に限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内において種々の変更が可能であって、例えば、床受け板1の形状は四角形に限らず、多角形や円形などでも良い。また、床受け板1の浮し突起11の形状および突条の形状も様々に変更ができる。
【0034】
また、床受け板1のグリッドパネル12のリブ形状は、直交する格子状や亀甲状に限らず、止着タッピンネジ2のスクリュースレッド21が確実に食込み挟持されれば、多角形状や楕円形状に形成することができ、何れのものも本発明の技術的範囲に属する。
【0035】
【発明の効果】
以上、実施形態をもって説明したとおり、本発明においては、床受け板の支持面に浮し突起を形成して床受け板とフロア材との間に空隙を作出したことによって、バリを逃すことができてフロア材レベルの偏倚を防止することができる。
【0036】
また、床受け板の支持面にグリッドパネルを配設することによって、止着タッピンネジを螺入した際にスクリュースレッドが浮し突起としてのリブ間に挟持されることによりバリの発生を抑えることができ、安定的な直立状態に螺入することができる。
【0037】
また、緩衝シートを床受け板の支持面側に配設することによっても、発生したバリを食い込ませることによって表面に出るのを防ぐことができて同様の効果が得られる。従って、安定的にフロア材を支持することができることから、建築材料としての利用価値は頗る高いと云える。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態品のフロアポストを表わす全体斜視図である。
【図2】 本発明の第1実施形態品の使用状況を表わす全体側面図である。
【図3】 本発明の第1実施形態品の床受け板に止着タッピンネジを螺入した状態を表わす側面断面図である。
【図4】 本発明の第2実施形態品のフロアポストを表わす全体斜視図である。
【図5】 本発明の第3実施形態品のフロアポストを表わす全体斜視図である。
【図6】 本発明の第3実施形態品の使用状況を表わす全体側面図である。
【図7】 本発明の第3実施形態品の床受け板の側面断面図である。
【図8】 本発明の第3実施形態品の床受け板に止着タッピンネジを螺入した状態を表わす側面断面図である。
【図9】 本発明の第3実施形態品の格子状のグリッドパネルの上面図である。
【図10】 本発明の第3実施形態品の亀甲状のグリッドパネルの上面図である。
【図11】 本発明の第3実施形態品の格子状のグリッドパネルの変形例を表わす側面断面図である。
【図12】 本発明の第3実施形態品の格子状のグリッドパネルの変形例を表わす側面断面図である。
【図13】 本発明の第4実施形態品の使用状態を表わす側面図である。
【図14】 本発明の第4実施形態品の使用状態を表わす側面図である。
【図15】 従来のフロアポストにフロア材を固定する場合を表わす説明断面図である。
【図16】 従来のフロアポストにフロア材を固定する場合を表わす説明断面図である。
【符号の説明】
1 床受け板
11 浮し突起
12 グリッドパネル
2 止着タッピンネジ
21 スクリュースレッド
3 緩衝シート
F フロア材
P フロアポスト
P1 スクリューロッド
P2 雌ネジ筒台
B バリ
Claims (3)
- スクリューロッドを正逆回転させることによってフロア材Fのレベルを昇降調節可能なフロアポストPであって、当該フロアポストPの上端には前記フロア材Fを支持固定する合成樹脂製の床受け板1を備え、かつ、この床受け板1における支持面にはグリッドパネル12が配設され、フロアポストPを設置した状態で、フロア材F上から床受け板1に向けて止着タッピンネジ2を螺入貫通せしめるとき、この止着タッピンネジ2のスクリュースレッド21が前記グリッドパネル12のリブ間に食込み挟持して螺入されることによって、バリを前記リブ間の空隙に逃した状態で床受け板1とフロア材Fとを略均圧に密着固定できることを特徴とするフロアポストにおける床受け板のバリ浮き防止機構。
- 床受け板1のグリッドパネル12のリブが直交する格子状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のフロアポストにおける床受け板のバリ浮き防止機構。
- 床受け板1のグリッドパネル12のリブが亀甲状に形成されていることを特徴とする請求項1記載のフロアポストにおける床受け板のバリ浮き防止機構。
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