JP3984534B2 - 導電性ペースト用の銅粉及びその製造方法 - Google Patents

導電性ペースト用の銅粉及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や積層セラミックスコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペースト用の銅粉に関する
【0002】
【従来の技術】
粉は、その取り扱いの容易性から、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックスコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料として従来から広く利用されている。
【0003】
上記導電性ペーストは、例えば、銅粉にエポキシ樹脂等の樹脂及びその硬化剤等の各種添加剤を配合して混練することにより得ることができる。このときに使用される銅粉は、銅塩を含む溶液等から還元剤により析出させる湿式還元法や、銅塩を加熱気化させて気相中で還元させる気相還元法や、溶融した銅地金を不活性ガスや水等の冷媒で急冷して粉末化するアトマイズ法等により、製造することができる。
【0004】
上述したような金属粉の製造方法のうち、アトマイズ法は、一般的に広く利用されている湿式還元法に比べて、得られる金属粉中の不純物の残留濃度を小さくすることができると共に、得られる金属粉の粒子の表面から内部に至る細孔を少なくすることができるという利点を有している。このため、アトマイズ法により製造された金属粉は、導電性ペーストの導電材料に使用した場合、ペースト硬化時のガス発生量を少なくできると共に、酸化の進行を大幅に抑制できるという利点を有しているものの、平均粒径が大きくなってしまうことから、上記導体回路形成用に利用することが難しかった。
【0005】
そこで、近年、アトマイズする際の冷媒を高圧で噴射することにより、平均粒径が小さい金属粉を製造するようにした高圧アトマイズ法が注目され始めている。この高圧アトマイズ法は、ガスアトマイズの場合には不活性ガスを最大で約3MPa、水アトマイズの場合には水を最大で約150MPaの高圧力で噴射することにより、平均粒径が数μmレベル程度の金属粉を製造することができる。
【0006】
特に、冷媒に水を利用する高圧水アトマイズ法は、冷媒に不活性ガスを利用する高圧ガスアトマイズ法に比べて、溶湯流に対する冷媒の粉砕力が大きいことから、粒径がより小さい金属粉を製造することができる利点を有している。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−156321号公報
【特許文献2】
特開平9−256005号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような高圧アトマイズ法により製造された金属粉は、その形状が不定形になりやすいため、導電性ペーストの導電材料に使用した場合、ペースト中での分散性に難点を生じてしまっている。特に、高圧水アトマイズ法は、高圧ガスアトマイズ法に比べて、冷却速度が極めて速いことから、製造される金属粉の粒径がより不定形になりやすいだけでなく、製造される金属粉中の酸素濃度が高くなりやすく、導電性能の低下を招きやすかった。
【0009】
このようなことから、本発明は、平均粒径が小さいながらも、形状のバラツキが少なくて含有酸素濃度が低い導電性ペースト用の銅粉及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定量のりん(P)を含有させると、平均粒径が小さいながらも、形状のバラツキが少なくて含有酸素濃度の低い導電性ペースト用の銅粉を得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0011】
すなわち、第一番目の発明による導電性ペースト用の銅粉は、りん(P)を10〜300ppm含有することを特徴とする。
【0012】
第二番目の発明による導電性ペースト用の銅粉は、第一番目の発明において、高圧アトマイズ法により製造されたものであることを特徴とする。
【0013】
第三番目の発明による導電性ペースト用の銅粉は、第二番目の発明において、高圧アトマイズ法が、高圧水アトマイズ法であることを特徴とする。
【0014】
また、第四番目の発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法は、第一番目の発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法であって、溶融したにりん(P)を添加した後、アトマイズ法により粉体化することを特徴とする。
【0015】
第五番目の発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法は、第四番目の発明において、高圧アトマイズ法により粉体化することを特徴とする。
【0016】
第六番目の発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法は、第番目の発明において、高圧アトマイズ法が、高圧水アトマイズ法であることを特徴とする。
【0017】
第七番目の発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法は、第四番目から第六番目の発明のいずれかにおいて、アトマイズした後、還元処理することを特徴とする。
【0018】
第八番目の発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法は、第七番目の発明において、前記還元処理が、150〜300℃の温度で還元することを特徴とする。
【0019】
さらに、第九番目の発明による導電性ペーストは、第一番目から第三番目の発明のいずれかの導電性ペースト用の銅粉を含有することを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明による導電性ペースト用の銅粉及びその製造方法の実施の形態を説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0021】
本発明に係る導電性ペースト用の銅粉は、りん(P)を10〜300ppm含有するものである。
【0023】
なお、りんの含有量が10ppm未満であると、本発明の目的を達成することができず、りんの含有量が300ppmを超えると、導電性を損なってしまうと共に、導電性ペーストの導電材料等に使用した場合、焼成の際の収縮が大きくなるおそれがあるため、適用することができない。他方、りんの含有量が10〜100ppmであると好ましく、20〜50ppmであるとより好ましい。この範囲であれば、平均粒径を小さくしながらも、形状のバラツキを少なくして含有酸素濃度を低くすることができ、導電性ペーストの導電材料等に使用した場合の安定性を損なうことがまったくない。なお、本発明に係る金属粉に含まれているりん(P)は、金属相中に一部合金成分として含有されているものと推測される。
【0024】
また、上記金属粉は、高圧アトマイズ法により製造されたものであると好ましい。ここでいう高圧アトマイズ法とは、ガスアトマイズ法においては、1.5〜3MPa程度のガス圧力でアトマイズする方法であり、水アトマイズ法においては、50〜150MPa程度の水圧力でアトマイズする方法である。このような高圧アトマイズ法によれば、平均粒径が数μmレベル程度の金属粉を製造することが容易にできる。ここで、高圧アトマイズ法が、高圧水アトマイズ法であると、溶湯流に対する粉砕力がより大きく、粒径がより小さい金属粉を製造することができるので好ましい。
【0025】
また、上記金属粉は、その形状が、粒状をなしていると好ましく、特に、球状をなしているとさらに好ましい。ここで、粒状とは、アスペクト比(平均長径を平均短径で除した値)が1〜1.25程度で揃っている形状をいい、アスペクト比が1〜1.1程度で揃っている形状を特に球状という。なお、形状が揃っていない状態は、不定形状という。このような粒状をなす金属粉は、相互のからみが少なくなり、導電性ペーストの導電材料等に使用した場合、ペースト中での分散性が向上するので、非常に好ましい。
【0026】
また、上記金属粉は、例えばレーザ回折散乱式粒度分布測定装置等により測定可能な、平均粒径D50及び標準偏差値SDとから求められる変動係数(SD/D50)が0.2〜0.6であると、粒度分布のバラツキが少なく、導電性ペーストの導電材料等に使用した場合のペースト中での分散性を向上させることができるので、非常に好ましい。
【0027】
なお、上記金属粉は、個数平均粒径を0.5〜5μmにすることにより、微細な前記導体回路形成用の導電性ペーストの導電材料等に好適なものとなる。
【0028】
さらに、上記金属粉は、含有酸素濃度を500〜2500ppmとすることにより、導電性を確実に確保することができ、導電性ペーストの導電材料等に好適なものとなる。
【0029】
他方、本発明に係る導電性ペースト用の銅粉の製造方法は、上述した本発明に係る導電性ペースト用の銅粉の製造方法であって、溶融したにりん(P)を添加した後、アトマイズ法により粉体化するものである。
【0030】
このような導電性ペースト用の銅粉の製造方法によれば、平均粒径が小さいながらも、形状のバラツキが少なくて含有酸素濃度の低い銅粉を製造することができる。この理由は定かではないが、溶融したにりん(P)を添加することにより、溶湯中の脱酸素を有効に行うことができると同時に、アトマイズ時の溶湯の表面張力を小さくすることができるからではないかと推測される。
【0031】
また、上記製造方法においては、先に説明した理由から、高圧アトマイズ法により粉体化することが好ましく、さらに、高圧水アトマイズ法であるとより好ましい。
【0032】
また、上記製造方法においては、アトマイズした後、還元処理すると好ましい。この還元処理により、酸化の進行しやすい金属粉の表面の酸素濃度をさらに低減することができる。ここで、上記還元処理は、作業性の観点から、ガスによる還元が好ましい。この還元処理用ガスは、特に限定されることはないが、例えば、水素ガス、アンモニアガス、ブタンガス等を挙げることができる。
【0033】
さらに、上記還元処理は、150〜300℃の温度で行うと好ましく、特に、170〜210℃の温度で行うとより好ましい。なぜなら、上記温度が150℃未満であると、還元速度が遅くなってしまい、処理効果を充分に発現することができず、上記温度が300℃を超えると、金属粉の凝集や焼結を引き起こしてしまうおそれがあり、上記温度が170〜210℃であると、酸素濃度の効率のよい低減化を図りながらも、金属粉の凝集や焼結を確実に抑制することができるからである。
【0034】
また、上記製造方法においては、粉体化した後、分級すると好ましい。この分級は、目的とする粒度が中心となるように、適切な分級装置を用いて、得られた金属粉から粗粉や微粉を分離することにより容易に実施することができる。ここで、先に説明した変動係数(SD/D50)が0.2〜0.6となるように分級することが望ましい。
【0035】
以上説明したような銅粉を含有した導電性ペーストは、当該銅粉の平均粒径が小さいながらも、当該銅粉の形状のバラツキが少なくて当該銅粉の含有酸素濃度が低いので、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックスコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペースト極めて良好に適用することができる。
【0036】
【実施例】
本発明による導電性ペースト用の銅粉及びその製造方法の効果を確認するため、以下のような実験を行った。
【0037】
[A.含有酸素濃度]
<金属粉の製造>
《実施例1:基礎条件》
銅を溶解した溶湯中に銅−りん(りん15wt%)の母合金を添加して(溶湯中へのりん添加濃度:500ppm)、充分に攪拌混合することにより、りん含有銅の溶湯を製造した(100kg)。
【0038】
続いて、図1に示すような、タンディッシュ11中に上記溶湯1を注入し(保持温度:1300℃)、タンディッシュ11の底部のノズル11a(口径:5mm)から落下させながら(流量:5kg/min.)、フルコーン型のノズル12(口径:26mm)の噴射孔12aから水3を逆円錐状の水流形状となるように上記溶湯1にジェット噴射して(水圧:100MPa、水量:350リットル/min.)アトマイズすることにより、りんを含有する銅からなる金属粉2を製造した。
【0039】
次に、分級装置(日清エンジニアリング株式会社製「ターボクラシファイヤー(商品名)TC401(型番)」)により、上記金属粉2を分級した(回転数:1700rpm、ブロア風量:20m3 /min.)。
【0040】
《実施例2:りん濃度変更(1)》
銅を溶解した溶湯中に銅−りん(りん15wt%)の母合金を添加して(溶湯中へのりん添加濃度:400ppm)、充分に攪拌混合することにより、りん含有銅の溶湯を製造した。それ以外は、上述した実施例1の場合と同様な操作を行うことにより、りんを含有する銅からなる金属粉2を製造した。
【0041】
《実施例3:りん濃度変更(2)》
銅を溶解した溶湯中に銅−りん(りん15wt%)の母合金を添加して(溶湯中へのりん添加濃度:300ppm)、充分に攪拌混合することにより、りん含有銅の溶湯を製造した。それ以外は、上述した実施例1の場合と同様な操作を行うことにより、りんを含有する銅からなる金属粉2を製造した。
【0042】
《実施例4:銅合金》
銅(80wt%)と錫(20wt%)とからなる銅合金の溶湯中に銅−りん(りん15wt%)の母合金を添加して(溶湯中へのりん添加濃度:300ppm)、充分に攪拌混合することにより、りん含有銅合金の溶湯を製造した。それ以外は、上述した実施例1の場合と同様な操作を行うことにより、りんを含有する銅合金からなる金属粉2を製造した。
【0043】
《実施例5:アトマイズ条件変更》
実施例1と同様に、りん含有銅の溶湯を製造した後、タンディッシュ11中に上記溶湯1を注入して、タンディッシュ11のノズル11aから落下させながら(但し、流量は10kg/min.)、ノズル12の噴射孔12aから水3上記溶湯1にジェット噴射して(但し、水圧は25MPa)アトマイズすることにより、りんを含有する銅からなる金属粉2を製造した。以下、実施例1と同様に操作することにより、粒度分布を整えた金属粉2を製造した。
【0044】
《実施例6:ガスアトマイズ》
実施例1と同様に、りん含有銅の溶湯を製造した後、図2に示したような、タンディッシュ21中に上記溶湯1を注入し(保持温度:1300℃)、タンディッシュ21の底部のノズル11aから落下させながら(流量:5kg/min.)、ノズル22の噴射孔22aからガス4を上記溶湯1に噴射して(ガス圧:2MPa、ガス量:11Nm3 /min.)アトマイズすることにより、りんを含有する銅からなる金属粉2を製造した。以下、実施例1と同様に操作することにより、粒度分布を整えた金属粉2を製造した。
【0045】
《実施例7:ガスアトマイズ条件変更》
実施例1と同様に、りん含有銅の溶湯を製造した後、実施例6と同様に、タンディッシュ21中に上記溶湯1を注入し、タンディッシュ21の底部のノズル11aから落下させながら、ノズル22の噴射孔22aからガス4を上記溶湯1に噴射して(但し、ガス圧は0.8MPa、ガス量は2Nm3 /min.)アトマイズすることにより、りんを含有する銅からなる金属粉2を製造した。以下、実施例1と同様に操作することにより、粒度分布を整えた金属粉2を製造した。
【0046】
《実施例8:基礎条件物の還元処理》
実施例1で得られた金属粉2を水素ガス雰囲気下で還元処理した(温度:200℃、処理時間:0.5h)。
【0047】
《実施例9:りん濃度変更物(1)の還元処理》
実施例2で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0048】
《実施例10:りん濃度変更物(2)の還元処理》
実施例3で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0049】
《実施例11:銅合金物の還元処理》
実施例4で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0050】
《実施例12:アトマイズ条件変更物の還元処理》
実施例5で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0051】
《実施例13:ガスアトマイズ物の還元処理》
実施例6で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0052】
《実施例14:ガスアトマイズ条件変更物の還元処理》
実施例7で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0053】
《比較例1:基礎条件》
銅−りんの母合金を添加することなく、銅を溶解した溶湯を用い、それ以外は実施例1の場合と同様に操作することにより、金属粉2を製造した。
【0054】
《比較例2:アトマイズ条件変更》
銅−りんの母合金を添加することなく、銅を溶解した溶湯を用い、それ以外は実施例5の場合と同様に操作することにより、金属粉2を製造した。
【0055】
《比較例3:ガスアトマイズ》
銅−りんの母合金を添加することなく、銅を溶解した溶湯を用い、それ以外は実施例6の場合と同様に操作することにより、金属粉2を製造した。
【0056】
《比較例4:ガスアトマイズ条件変更》
銅−りんの母合金を添加することなく、銅を溶解した溶湯を用い、それ以外は実施例7の場合と同様に操作することにより、金属粉2を製造した。
【0057】
《比較例5:基礎条件物の還元処理》
比較例1で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0058】
《比較例6:アトマイズ条件変更物の還元処理》
比較例2で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0059】
《比較例7:ガスアトマイズ物の還元処理》
比較例3で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0060】
《比較例8:ガスアトマイズ条件変更物の還元処理》
比較例4で得られた金属粉2を実施例8の場合と同様にして還元処理した。
【0061】
<試験方法>
《りん濃度》
実施例1〜14及び比較例1〜8で得られた金属粉(10g)を硝酸で溶解し、鉄塩溶液(硝酸・過酸化水素性Fe濃度:5mg/ml溶解液)及びイットリウム塩溶液(硝酸性Y濃度:5mg/ml溶解液)を加えた後(各4ml)、pH10となるようにアンモニアを加え、析出した沈殿物を濾過分取して塩酸に溶解し、定容(20ml)した溶液をICP−AESにより分析した。
【0062】
《酸素濃度》
実施例1〜14及び比較例1〜8で得られた金属粉中の酸素濃度を酸素・窒素分析装置(堀場製作所株式会社製「EMGA−520(型番)」)により分析した。
【0063】
<試験結果>
上述したようにして行った試験結果を下記の表1に示す。
【0064】
【表1】
Figure 0003984534
【0065】
表1からわかるように、本発明に基づく実施例の金属粉は、比較例の金属粉に比べて、含有酸素濃度が大幅に低減されることが確認できた。また、還元処理した方が還元処理しない場合よりも含有酸素濃度が大幅に低減されることが確認できた。
【0066】
[B.変動係数(SD/D50)]
前述した実施例3,10及び比較例1で得られた金属粉(0.2g)をメタノール(100ml)中に入れて超音波を照射して(3分間)分散させた後、粒度分布測定装置(日機装株式会社製「マイクロトラック(商品名)FRA(型番)」)により、平均粒径D50及び標準偏差値SD並びに変動係数(SD/D50)をそれぞれ求めた。その結果を下記の表2に示す。
【0067】
【表2】
Figure 0003984534
【0068】
表2からわかるように、本発明に基づく実施例3,10の金属粉は、比較例1の金属粉に比べて、変動係数(SD/D50)が小さくなることが確認できた。また、実施例10の結果から、還元処理を行っても、凝集を抑制できることが確認できた。
【0069】
[C.アスペクト比]
前述した実施例3及び比較例1で得られた金属粉のSEM写真(500倍及び2000倍)をそれぞれ撮影し、当該写真(倍率が2000倍のもの)中の粒子を任意に選択して粒径をそれぞれ測定し(400個)、平均長径及び平均短径を求めることにより、アスペクト比をそれぞれ算出した。その結果を下記の表3に示す。また、このときの実施例3の金属粉のSEM写真を図3に示し、比較例1の金属粉のSEM写真を図4に示す(図中、(a)が500倍、(b)が2000倍である。)
【0070】
【表3】
Figure 0003984534
【0071】
表3からわかるように、本発明に基づく実施例3の金属粉は、比較例の金属粉に比べて、アスペクト比が小さく(1に非常に近い値)なっていることが確認できた。また、図3,4のSEM写真からも明らかなように、本発明に基づく実施例3の金属粉は、比較例1の金属粉に比べて、形状や粒径のバラツキが少なくなっていることが確認できた。その結果、本発明によれば、従来に比べて、分級後の歩留を向上させることができた(表1参照)。
【0072】
【発明の効果】
本発明の導電性ペースト用の銅粉によれば、平均粒径を小さくしながらも、形状のバラツキを少なくして含有酸素濃度を低くすることができるので、スクリーン印刷アディティブ法による導体回路形成用や、積層セラミックスコンデンサの外部電極用等の各種電気的接点部材用の導電性ペーストの導電材料極めて良好に適用することができる。
【0073】
また、本発明の導電性ペースト用の銅粉の製造方法によれば、上記銅粉を効率よく安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法の実施に使用する水アトマイズ装置の一例の概略構成図である。
【図2】 本発明による導電性ペースト用の銅粉の製造方法の実施に使用するガスアトマイズ装置の一例の概略構成図である。
【図3】実施例3の金属粉のSEM写真であり、(a)が500倍、(b)が2000倍である。
【図4】比較例1の金属粉のSEM写真であり、(a)が500倍、(b)が2000倍である。
【符号の説明】
1 溶湯
2 金属粉
3 水
4 ガス
11,21 タンディッシュ
11a,21a ノズル
12,22 ノズル
12a,22a 噴射孔

Claims (9)

  1. りん(P)を10〜300ppm含有する
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉
  2. 請求項1において、
    高圧アトマイズ法により製造されたものである
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉
  3. 請求項2において、
    高圧アトマイズ法が、高圧水アトマイズ法である
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉
  4. 請求項1の導電性ペースト用の銅粉の製造方法であって、
    溶融したにりん(P)を添加した後、アトマイズ法により粉体化する
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉の製造方法。
  5. 請求項4において、
    高圧アトマイズ法により粉体化する
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉の製造方法。
  6. 請求項5において、
    高圧アトマイズ法が、高圧水アトマイズ法である
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉の製造方法。
  7. 請求項4から請求項6のいずれかにおいて、
    アトマイズした後、還元処理する
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉の製造方法。
  8. 請求項7において、
    前記還元処理が、150〜300℃の温度で還元する
    ことを特徴とする導電性ペースト用の銅粉の製造方法。
  9. 請求項1から請求項3のいずれかの導電性ペースト用の銅粉を含有する
    ことを特徴とする導電性ペースト。
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