JP3981568B2 - 電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法 - Google Patents
電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3981568B2 JP3981568B2 JP2002046950A JP2002046950A JP3981568B2 JP 3981568 B2 JP3981568 B2 JP 3981568B2 JP 2002046950 A JP2002046950 A JP 2002046950A JP 2002046950 A JP2002046950 A JP 2002046950A JP 3981568 B2 JP3981568 B2 JP 3981568B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carbon fiber
- carbon
- layer
- electron emitter
- field electron
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01J—ELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
- H01J1/00—Details of electrodes, of magnetic control means, of screens, or of the mounting or spacing thereof, common to two or more basic types of discharge tubes or lamps
- H01J1/02—Main electrodes
- H01J1/30—Cold cathodes, e.g. field-emissive cathode
- H01J1/304—Field-emissive cathodes
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01J—ELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
- H01J2201/00—Electrodes common to discharge tubes
- H01J2201/30—Cold cathodes
- H01J2201/304—Field emission cathodes
- H01J2201/30446—Field emission cathodes characterised by the emitter material
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y10—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC
- Y10T—TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER US CLASSIFICATION
- Y10T428/00—Stock material or miscellaneous articles
- Y10T428/29—Coated or structually defined flake, particle, cell, strand, strand portion, rod, filament, macroscopic fiber or mass thereof
- Y10T428/2913—Rod, strand, filament or fiber
- Y10T428/2918—Rod, strand, filament or fiber including free carbon or carbide or therewith [not as steel]
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブ(CNT)からの電界放出(field emission)が検討され、ディスプレー用材料としての有用性に注目されている。
この電界放出を実現するためには、強電界を得る必要がある。そのためにエミッタ材料として先端を鋭く尖らせる必要がある。この点、CNTは、アスペクト比が大きく、鋭い先端をもち、化学的に安定で機械的にも強靭であって、かつ高温での安定性にも優れていて、電界放出のエミッタ材料として有用である。
従来検討されているCNTには、▲1▼ヘリウムガス中アーク放電などで製造したMWCNT(マルチウオールCNT)、▲2▼水素ガス中アーク放電などで製造したSWCNT(シングルウオールCNT)を溶媒に浸漬し、乾燥させて束状にしたもの、▲3▼気相成長法による炭素繊維などがある。
これらCNTは、多数本のCNTを、基板上にスクリーン印刷法などによって向きを揃えて固定されることによって、発光デバイスにおける、大きな面積を有する冷陰極に形成される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前二者は、工業的な大量生産に不向きで、高価となる不具合がある。
この点、気相成長法による炭素繊維は比較的安価に大量生産できる利点がある。
一般的に気相成長法による炭素繊維は、炭素六角網層が、繊維の軸線を中心に同心状に成長したものであり、炭素六角網層は閉じている。電子の放出を得ようとすれば、通常は両端を複雑な処理で開口する必要がある。この繊維両端の開口端のみが電子の放出端になるので、多くの放出端を得るのは困難である。多くの放出端を得ようとすれば、繊維径を大きくしたり、開口部を増やさねばならず、極めて困難な工程が必要とされる。
【0004】
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、多くの炭素網端を露出させることができ、より多くの放出電流を得ることのできる電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法を提供するにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る電界電子エミッタ用炭素繊維は、底の無いカップ形状をなす炭素網層が多数積層し、炭素網面のずれた乱層構造をなして熱処理によっても黒鉛化しない、気相成長法による炭素繊維であって、炭素網層の端面が露出し、該露出端が電子の放出端であることを特徴とする。
各炭素網層の環状の端面Pが炭素繊維の外表面に露出し、この露出端が全て電子の放出端として機能するから、低電圧での電子放出を得ることができる。
【0006】
また、前記炭素繊維が節の無い中空状をなすことを特徴とする。
さらに、中空部の内表面側の炭素網層の端面も露出していることを特徴とする。
また、前記底の無いカップ形状の炭素網層が数個〜数百個積層した炭素繊維であることを特徴とする。
また、前記炭素網層の露出端面が不揃いで、原子の大きさレベルでの微細な凹凸を呈していることを特徴とする。
これにより、より電界が炭素網層の露出端面に集中しやすく、低電圧での電子放出を得ることができる。
また、本発明に係る電界電子エミッタの製造方法では、上記電界電子エミッタ用炭素繊維を分散媒中に分散させ、スプレーにより電極上に吹き付けて堆積させ、乾燥させて炭素繊維層を形成することを特徴とする。
この場合、電極上にあらかじめ金属バッファ層を形成し、この金属バッファ層上に炭素繊維層を形成するようにすると密着性よく炭素繊維層を形成できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
本発明に用いる気相成長法による炭素繊維は、底の無いカップ形状をなす炭素網層が多数積層した構造をなす(以下ヘリンボン構造の炭素繊維という)。
以下に製造方法の一例を説明する。
反応器は公知の縦型反応器を用いた。
原料にベンゼンを用い、ほぼ20℃の蒸気圧となる分圧で、水素気流により反応器に、流量0.3l/hでチャンバーに送り込んだ。触媒はフェロセンを用い、185℃で気化させ、ほぼ3×10-7mol/sの濃度でチャンバーに送り込んだ。反応温度は約1100℃、反応時間が約20分で、直径が平均約100nmのヘリンボン構造の炭素繊維が得られた。原料の流量、反応温度を調節する(反応器の大きさによって変更される)ことで、底の無いカップ形状をなす炭素網層が多数積層され、数十nm〜数十μmの範囲に亙って節(ブリッジ)の無い中空の炭素繊維が得られる。
【0008】
図1は、上記気相成長法によって製造したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図、図2はその拡大図、図3はその模式図である。
図から明らかなように、傾斜した炭素網層10を覆って、アモルファス状の余剰炭素が堆積した堆積層12が形成されていることがわかる。このような堆積層12の形成は、気相成長法による宿命的なものであって、避けることができない。
堆積層12の厚さは数nm程度であり、表面は不活性である。14は中心孔である。
【0009】
このような堆積層12が形成されている炭素繊維を、400℃以上、好ましくは500℃以上、一層好ましくは520℃以上530℃以下の温度で、大気中で1〜数時間加熱することにより、堆積層12が酸化されて熱分解し、除去されて炭素網層の端面(六員環端)が一部露出する。
あるいは、超臨界水により炭素繊維を洗浄することによっても堆積層12を除去でき、炭素網層の端面を露出させることができる。
あるいはまた上記炭素繊維を塩酸または硫酸中に浸漬し、スターラーで撹拌しつつ80℃程度に加熱しても堆積層12を除去できる。
【0010】
図4は、上記のように約530℃の温度で、大気中1時間熱処理したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図、図5はその拡大図、図6はさらにその拡大図、図7はその模式図である。
図5〜図7から明らかなように、上記のように熱処理を行うことによって、堆積層12の一部が除去され、炭素網層10の端面(炭素六員環端)が露出していることがわかる。なお、残留している堆積層12もほとんど分解されていて、単に付着している程度のものと考えられる。熱処理を数時間行い、また超臨界水での洗浄を併用すれば、堆積層12を100%除去することも可能である。
また、図4に明らかなように、炭素繊維10は、底の無いカップ形状をなす炭素網面が多数積層しており、少なくとも数十nm〜数十μmの範囲で中空状をなしている。
中心線に対する炭素網層の傾斜角は25°〜35°位である。
【0011】
また、図6や図7に明確なように、炭素網層10の端面が露出している外表面および内表面の部位が、端面が不揃いで、nm(ナノメーター)、すなわち原子の大きさレベルでの微細な凹凸16を呈していることがわかる。図2に示すように、堆積層12の除去前は明確でないが、上記の熱処理により堆積層12を除去することによって、凹凸16が現れた。
露出している炭素網層10の端面は、他の原子と結びつきやすく、きわめて活性度の高いものである。これは大気中での熱処理により、堆積層12が除去されつつ、露出する炭素網層の端面に、フェノール性水酸基、カルボキシル基、キノン型カルボニル基、ラクトン基などの含酸素官能基が増大し、これら含酸素官能基が親水性、各種物質に対する親和性が高いからと考えられる。
また中空構造をなすこと、および凹凸16によるアンカー効果は大きい。
【0012】
図8は、ヘリンボン構造の炭素繊維(サンプルNO.24PS)を、大気中で、1時間、それぞれ500℃、520℃、530℃、540℃で熱処理した後の、炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
上記熱処理を行うことによって、堆積層12が除去されることは図5〜図7で示したが、図8のラマンスペクトルから明らかなように、Dピーク(1360cm-1)およびGピーク(1580cm-1)が存在することから、このものは炭素繊維であるとともに、黒鉛化構造でない炭素繊維であることが示される。
【0013】
すなわち、上記ヘリンボン構造の炭素繊維は、炭素網面のずれた(グラインド)乱層構造(Turbostratic Structure)を有していると考えられる。
この乱層構造炭素繊維では、各炭素六角網面が平行な積層構造は有しているが各六角網面が平面方向にずれた、あるいは回転した積層構造となっていて、結晶学的規則性は有しない。
【0014】
図9は、上記熱処理を行って炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
また図10は、上記炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維に3000℃の熱処理(通常の黒鉛化処理)を行った後の炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
図10に示すように、炭素網層の端面を露出させた炭素繊維に黒鉛化処理を行っても、Dピークが消失しないことがわかる。これは、黒鉛化処理を行っても黒鉛化していないことを示す。
図示しないが、X線回折を行っても、112面の回折線が出てこないことからも、上記炭素繊維は黒鉛化していないことが判明した。
【0015】
黒鉛化処理を行っても黒鉛化しないということは、黒鉛化しやすい堆積層12が除去されているからと考えられる。また、残ったヘリンボン構造の部位が黒鉛化しないということが明らかとなった。
高温雰囲気下でも黒鉛化しないことは、熱的に安定であることを意味する。
【0016】
図11は、上記のように、炭素網層の端面を露出させた炭素繊維の模式図である。
図のように、各炭素網層の環状の端面Pが炭素繊維の外表面に露出し、この露出端が全て電子の放出端として機能するから、低電圧での電子放出を得ることができる。
しかも、炭素網層の露出端面が不揃いで、原子の大きさレベルでの微細な凹凸を呈していることから、より電界が炭素網層の露出端面に集中しやすく、低電圧での電子放出を得ることができる。
【0017】
上記のようにして得られた炭素繊維を、耐熱性樹脂等の基材に混入し、多数向きを揃えて基板上にスクリーン印刷法等により塗布することにより、発光デバイスの冷陰極に形成することができる(図示せず)。
【0018】
なお、上記炭素繊維を分断して、炭素網層が数個〜数百個積層されたものを電界電子エミッタ炭素繊維として用いてもよい。
上記炭素繊維を分断するには、水あるいは溶媒を適宜量加えて、乳鉢を用いて乳棒により緩やかにすりつぶすことによって行える。
すなわち、上記炭素繊維(堆積層12が形成されたもの、堆積層12が一部あるいは全部除去されたもの、いずれでもよい)を乳鉢に入れ、乳棒により機械的に緩やかに炭素繊維をすりつぶすのである。
乳鉢での処理時間を経験的に制御することによって、単位炭素網層が数個〜数百個積層した炭素繊維体を得ることができる。
【0019】
その際、環状の炭素網層は比較的強度が高く、各炭素網層間は弱いファンデアワールス力によって結合しているにすぎないので、環状炭素網層はつぶれることはなく、特に弱い結合部分の炭素網層間で分離されることとなる。
なお、上記炭素繊維を液体窒素中で乳鉢によりすりつぶすようにすると好適である。液体窒素が蒸発する際、空気中の水分が吸収され、氷となるので、氷とともに炭素繊維を乳棒によりすりつぶすことによって、機械的ストレスを軽減し、上記の単位繊維層間での分離が行える。
【0020】
図12は、堆積層12が付いたままの炭素繊維を分断した状態の炭素繊維体を示す説明図である。堆積層12が付いていても、両端の炭素網層10の環状端面P、Qは、分離により露出する。
なお、中間の炭素網層10の外周に付着している堆積層12も、乳棒による機械的ストレスにより剥離し、該炭素網層の端面も露出することがある。
【0021】
図13は、上記あらかじめ熱処理して炭素網層10の端面を露出させた炭素繊維を分断した炭素繊維体の説明図である。
この場合には、両端の環状端面ばかりでなく、中間の炭素網層10の端面も露出していて、一層活性度の高いものとなる。
【0022】
工業的には、上記炭素繊維をボールミリングによってグラインディング処理するとよい。
以下にボールミリングによって炭素繊維の長さ調整をした実施例を説明する。
ボールミルはアサヒ理化製作所製のものを用いた。
使用ボールは直径5mmのアルミナ製である。上記炭素繊維を1g、アルミナボール200g、蒸留水50ccをセル中に入れ、350rpmの回転速度で処理をし、1、3、5,10、24の各時間経過毎にサンプリングした。
【0023】
図14は、レーザー粒度分布計を用いた計測した、各時間経過毎の炭素繊維の長さ分布を示す。
図14から明らかなように、ミリング時間が経過するにつれて、線長が短くなっていく。特に10時間経過後は、10μm以下に急激に線長が下がる。24時間経過後は、1μm前後に別のピークが発生しており、より細かい線長になっているのが明らかである。1μm前後にピークが現れたのは、長さと直径がほとんど等しくなり、直径分をダブルカウントした結果と考えられる。
【0024】
図15は、上記のようにして、底のないカップ形状をなす炭素網装置が数十個積層した状態に長さ調整された、非常に興味のある炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図である。節の無い中空状をなしている。また中空部の外表面および内表面側の炭素網層の端面が露出している。この炭素繊維は、長さおよび直径が約60nmで、肉厚の薄い、空洞部の大きなチューブ状をなしている。ボールミリングの条件により種々の長さのものに調整が可能となる。
このように、底の無いカップ形状をなす炭素網層が抜け出すようにして、分離され、炭素網層の形状が壊されていないことがわかる。
この点、通常の、同心状をなすカーボンナノチューブをグラインディングすると、チューブが割れ、外表面に軸方向に亀裂が生じたり、ささくれ立ちが生じ、また、いわゆる芯が抜けたような状態が生じたりして、長さ調整が困難であった。
【0025】
上記のように露出した炭素網層10の端面は、他の原子と結びつきやすく、きわめて活性度の高いものである。これは、前記したように、大気中での熱処理により、堆積層12が除去されつつ、露出する炭素網層の端面に、フェノール性水酸基、カルボキシル基、キノン型カルボニル基、ラクトン基などの含酸素官能基が増大し、これら含酸素官能基が親水性、各種物質に対する親和性が高いからと考えられる。
また中空構造をなすこと、および凹凸16によるアンカー効果は大きい。
【0026】
図15に示す炭素繊維は、底の無いカップ形状をなす炭素網層が数十〜数百個積層し、そのチューブ状をなす繊維の表裏の炭素網層の端面(エッジ)が全て電子放出端として機能するから、低電圧での電子放出を得ることができる。
【0027】
図16は、上記図15に示す、長さ調整された炭素繊維を用いてエミッタを製造する製造方法を示す説明図である。
すなわち、上記の炭素繊維をエタノール中で超音波をかけて分散させ、エアブラシ(スプレー)20を用いて、約100℃に加熱したステンレス鋼製の円柱形(直径5mm、高さ5mm)の陰極台21の表面に吹き付け、堆積させ、乾燥してエミッタを作成した。なお、あらかじめ陰極台21の表面にニッケル、あるいは金層などのバッファ層(図示せず)を蒸着、スパッタリングなどによって形成しておくと、炭素繊維の密着度が向上する。
【0028】
図17は、図18は上記のようにして形成したエミッタを用いて電界放出させた際の放電開始電圧を示す。図17はバッファ層上に炭素繊維層を形成したもの、図18は、ステンレス鋼上に直接炭素繊維層を形成したものを示す。前者の放電開始電圧は485V、後者にあっては510Vであった。
また、図19、20は従来のカーボンナノチューブ(同心状炭素繊維)を陰極材料に用いた場合の放電開始電圧を示す。図19はバッファ層上に炭素繊維層を形成した場合、図20はステンレス鋼上に直接炭素繊維層を形成した場合を示す。前者の放電開始電圧は580V、後者にあっては680Vであった。
上記から明らかなように、本実施の形態の炭素繊維を電極材料に用いた場合の方が、低い電圧で放電を開始した。従来のものに比し、低い電圧で放電を開始するから消費電力を低減でき、また電極の損傷を軽減でき、寿命特性がよくなる。
また、同じ電圧の場合ではより大きな放出電流を得ることができる。
【0029】
また本実施の形態の炭素繊維は、上記のように低電圧での電子放出性に優れるから、電力消費を低減でき、蛍光灯の電極材料等として好適に用いることができる。
また、本実施の形態の炭素繊維は、エアコンなどに内蔵される空気清浄器におけるマイナスイオン放出電極材料としても好適に使用することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明に係る電界電子エミッタ用炭素繊維によれば、各炭素網層の環状の端面が炭素繊維の外表面に露出し、この露出端が全て電子の放出端として機能するから、低電圧での電子放出を得ることができる。
しかも、炭素網層の露出端面が不揃いで、原子の大きさレベルでの微細な凹凸を呈していることから、より電界が炭素網層の露出端面に集中しやすく、低電圧での電子放出を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】気相成長法によって製造したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】図2の模式図である。
【図4】約530℃の温度で、大気中1時間熱処理したヘリンボン構造の炭素繊維の透過型電子顕微鏡写真の複写図である。
【図5】図4の拡大図である。
【図6】図5のさらなる拡大図である。
【図7】図6の模式図である。
【図8】ヘリンボン構造の炭素繊維(サンプルNO.24PS)を、大気中で、1時間、それぞれ500℃、520℃、530℃、540℃で熱処理した後の、炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
【図9】上記熱処理を行って炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
【図10】上記炭素網層の端面を露出させた、サンプルNO.19PSと、サンプルNO.24PSの炭素繊維に3000℃の熱処理を行った後の炭素繊維のラマンスペクトルを示す。
【図11】炭素網層の端面を露出させた炭素繊維の模式図である。
【図12】堆積層が付いたままの炭素繊維を分断した状態の炭素繊維体を示す説明図である。
【図13】あらかじめ熱処理して炭素網層の端面を露出させた炭素繊維を分断した炭素繊維体の説明図である。
【図14】ボールミリングでグラインディングした際の、経過時間毎の炭素繊維長の分布を示すグラフである。
【図15】底の無いカップ形状をなす炭素網層が数十個積層された炭素繊維体に分離された状態を示す透過型電子顕微鏡写真の複写図である。
【図16】スプレー法によりエミッタを製造する説明図である。
【図17】本実施の形態の炭素繊維を用いて作成したエミッタの電界放出の放電開始電圧特性を示すグラフである。
【図18】本実施の形態の炭素繊維を用いて作成したエミッタの電界放出の放電開始電圧特性を示すグラフである。
【図19】従来のカーボンナノチューブを用いて作成したエミッタの電界放出の放電開始電圧特性を示すグラフである。
【図20】従来のカーボンナノチューブを用いて作成したエミッタの電界放出の放電開始電圧特性を示すグラフである。
【符号の説明】
10 炭素網層
12 堆積層
14 中心孔
16 凹凸
20 スプレー
21 陰極台
Claims (7)
- 底の無いカップ形状をなす炭素網層が多数積層し、炭素網面のずれた乱層構造をなして熱処理によっても黒鉛化しない、気相成長法による炭素繊維であって、炭素網層の端面が露出し、該露出端が電子の放出端であることを特徴とする電界電子エミッタ用炭素繊維。
- 前記炭素繊維が節の無い中空状をなすことを特徴とする請求項1記載の電界電子エミッタ用炭素繊維。
- 中空部の内表面側の炭素網層の端面も露出していることを特徴とする請求項2記載の電界電子エミッタ用炭素繊維。
- 前記底の無いカップ形状の炭素網層が数個〜数百個積層した炭素繊維であることを特徴とする請求項1、2、または3記載の電界電子エミッタ用炭素繊維。
- 前記炭素網層の露出端面が不揃いで、原子の大きさレベルでの微細な凹凸を呈していることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の電界電子エミッタ用炭素繊維。
- 請求項1、2、3、4または5記載の電界電子エミッタ用炭素繊維を分散媒中に分散させ、スプレーにより電極上に吹き付けて堆積させ、乾燥させて炭素繊維層を形成することを特徴とする電界電子エミッタの製造方法。
- 電極上にあらかじめ金属バッファ層を形成し、この金属バッファ層上に炭素繊維層を形成することを特徴とする請求項6記載の電界電子エミッタの製造方法。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002046950A JP3981568B2 (ja) | 2001-03-21 | 2002-02-22 | 電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法 |
US10/098,396 US7018602B2 (en) | 2001-03-21 | 2002-03-18 | Carbon fiber for field electron emitter and method for manufacturing field electron emitter |
CNB02107500XA CN1314066C (zh) | 2001-03-21 | 2002-03-21 | 电场电子发射体用碳素纤维及电场电子发射体的制造方法 |
EP02006396A EP1244129A3 (en) | 2001-03-21 | 2002-03-21 | Carbon fiber for field electron emitter and method for manufacturing field electron emitter |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001081748 | 2001-03-21 | ||
JP2001-81748 | 2001-03-21 | ||
JP2001260428 | 2001-08-29 | ||
JP2001-260428 | 2001-08-29 | ||
JP2002046950A JP3981568B2 (ja) | 2001-03-21 | 2002-02-22 | 電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003147645A JP2003147645A (ja) | 2003-05-21 |
JP3981568B2 true JP3981568B2 (ja) | 2007-09-26 |
Family
ID=27346315
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002046950A Expired - Lifetime JP3981568B2 (ja) | 2001-03-21 | 2002-02-22 | 電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法 |
Country Status (4)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7018602B2 (ja) |
EP (1) | EP1244129A3 (ja) |
JP (1) | JP3981568B2 (ja) |
CN (1) | CN1314066C (ja) |
Families Citing this family (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4014832B2 (ja) * | 2001-03-21 | 2007-11-28 | 守信 遠藤 | フッ素化炭素繊維、これを用いた電池用活物質および固体潤滑材 |
US6740403B2 (en) * | 2001-04-02 | 2004-05-25 | Toyo Tanso Co., Ltd. | Graphitic polyhederal crystals in the form of nanotubes, whiskers and nanorods, methods for their production and uses thereof |
JP4129209B2 (ja) * | 2003-07-04 | 2008-08-06 | 株式会社Gsiクレオス | カーボンナノ材料 |
EA008282B1 (ru) * | 2003-07-11 | 2007-04-27 | Тетранова Лтд. | Холодные катоды из углеродных материалов |
JP4324078B2 (ja) * | 2003-12-18 | 2009-09-02 | キヤノン株式会社 | 炭素を含むファイバー、炭素を含むファイバーを用いた基板、電子放出素子、該電子放出素子を用いた電子源、該電子源を用いた表示パネル、及び、該表示パネルを用いた情報表示再生装置、並びに、それらの製造方法 |
US20090155589A1 (en) * | 2004-05-27 | 2009-06-18 | Hiroyuki Aikyou | Fibrous fine carbon particles and method for producing the same |
JP4061411B2 (ja) * | 2005-01-25 | 2008-03-19 | 国立大学法人信州大学 | 電界放出電極およびその製造方法 |
JP2006261108A (ja) * | 2005-02-17 | 2006-09-28 | Sonac Kk | 冷陰極電子源、その製造方法ならびに表示装置 |
KR100777113B1 (ko) * | 2006-12-07 | 2007-11-19 | 한국전자통신연구원 | 미세패터닝이 가능한 고 신뢰성의 cnt 에미터 제조 방법 |
CN108878233B (zh) * | 2018-06-19 | 2019-06-07 | 大连理工大学 | 一种用于电子束发射的碳纤维阴极的制备方法 |
Family Cites Families (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4855091A (en) * | 1985-04-15 | 1989-08-08 | The Dow Chemical Company | Method for the preparation of carbon filaments |
JPH01119340A (ja) * | 1987-11-04 | 1989-05-11 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 極細炭素繊維を担体とする触媒 |
DE68929502T2 (de) * | 1988-01-28 | 2004-09-23 | Hyperion Catalysis International, Inc., Lexington | Kohlenstofffibrillen |
JPH02259120A (ja) * | 1989-03-29 | 1990-10-19 | Asahi Chem Ind Co Ltd | 表面付着物が存在しない炭素繊維 |
JP2595903B2 (ja) * | 1994-07-05 | 1997-04-02 | 日本電気株式会社 | 液相におけるカーボン・ナノチューブの精製・開口方法および官能基の導入方法 |
US5780101A (en) * | 1995-02-17 | 1998-07-14 | Arizona Board Of Regents On Behalf Of The University Of Arizona | Method for producing encapsulated nanoparticles and carbon nanotubes using catalytic disproportionation of carbon monoxide |
US5872422A (en) * | 1995-12-20 | 1999-02-16 | Advanced Technology Materials, Inc. | Carbon fiber-based field emission devices |
US5726524A (en) * | 1996-05-31 | 1998-03-10 | Minnesota Mining And Manufacturing Company | Field emission device having nanostructured emitters |
US6087765A (en) * | 1997-12-03 | 2000-07-11 | Motorola, Inc. | Electron emissive film |
US6630772B1 (en) * | 1998-09-21 | 2003-10-07 | Agere Systems Inc. | Device comprising carbon nanotube field emitter structure and process for forming device |
JP2000123711A (ja) * | 1998-10-12 | 2000-04-28 | Toshiba Corp | 電界放出型冷陰極及びその製造方法 |
JP3890791B2 (ja) * | 1998-11-20 | 2007-03-07 | 昭和電工株式会社 | 両端の鋭角な炭素質繊維及びその製造方法 |
JP4131306B2 (ja) * | 1998-12-10 | 2008-08-13 | 昭和電工株式会社 | 電子放出素材 |
US20020017854A1 (en) | 1999-03-08 | 2002-02-14 | Paul Von Allmen | Electron emissive surface and method of use |
US6506355B1 (en) * | 1999-11-22 | 2003-01-14 | Applied Sciences, Inc. | Production of high surface energy, high surface area vapor grown carbon fiber |
JP3953276B2 (ja) | 2000-02-04 | 2007-08-08 | 株式会社アルバック | グラファイトナノファイバー、電子放出源及びその作製方法、該電子放出源を有する表示素子、並びにリチウムイオン二次電池 |
CN1465086A (zh) | 2000-05-26 | 2003-12-31 | 纳幕尔杜邦公司 | 催化生成的碳纤维场致发射体和由此制得的场致发射体阴极 |
JP3639809B2 (ja) | 2000-09-01 | 2005-04-20 | キヤノン株式会社 | 電子放出素子,電子放出装置,発光装置及び画像表示装置 |
DE60044913D1 (de) | 2000-10-06 | 2010-10-14 | Mat & Electrochem Res Corp | Doppelwandige kohlenstoffnanoröhren und verfahren zur herstellung, sowie anwendungen |
JP3981565B2 (ja) * | 2001-03-21 | 2007-09-26 | 守信 遠藤 | 触媒金属を担持した気相成長法による炭素繊維 |
JP3981567B2 (ja) * | 2001-03-21 | 2007-09-26 | 守信 遠藤 | 炭素繊維の長さ調整方法 |
WO2002095097A1 (en) * | 2001-05-21 | 2002-11-28 | Trustees Of Boston College, The | Varied morphology carbon nanotubes and methods for their manufacture |
-
2002
- 2002-02-22 JP JP2002046950A patent/JP3981568B2/ja not_active Expired - Lifetime
- 2002-03-18 US US10/098,396 patent/US7018602B2/en not_active Expired - Fee Related
- 2002-03-21 CN CNB02107500XA patent/CN1314066C/zh not_active Expired - Fee Related
- 2002-03-21 EP EP02006396A patent/EP1244129A3/en not_active Withdrawn
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1244129A3 (en) | 2004-12-29 |
US7018602B2 (en) | 2006-03-28 |
CN1314066C (zh) | 2007-05-02 |
EP1244129A2 (en) | 2002-09-25 |
JP2003147645A (ja) | 2003-05-21 |
US20020136682A1 (en) | 2002-09-26 |
CN1388553A (zh) | 2003-01-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3939943B2 (ja) | 気相成長法による炭素繊維からなるフィルター材 | |
JP3740295B2 (ja) | カーボンナノチューブデバイス、その製造方法及び電子放出素子 | |
JP3981567B2 (ja) | 炭素繊維の長さ調整方法 | |
JP3363759B2 (ja) | カーボンナノチューブデバイスおよびその製造方法 | |
US6654229B2 (en) | Electrode material for electric double layer capacitor and electric double layer capacitor using the same | |
JP3442039B2 (ja) | パターン形成されたカーボンナノチューブ薄膜の作製方法 | |
KR100615103B1 (ko) | 나노튜브, 상기 나노튜브를 구비한 전계 방출 음극과 음극선관 및 이들을 형성하기 위한 방법 | |
Lan et al. | Physics and applications of aligned carbon nanotubes | |
JP5363260B2 (ja) | カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法 | |
US20090068461A1 (en) | Carbon nanotubes on carbon nanofiber substrate | |
US20100221173A1 (en) | Method for preparing single walled carbon nanotubes from a metal layer | |
JP3981568B2 (ja) | 電界電子エミッタ用炭素繊維および電界電子エミッタの製造方法 | |
JPH10203810A (ja) | カーボンナノチューブの製法 | |
JP3837392B2 (ja) | カーボンナノチューブの製造方法、カーボンナノチューブデバイスおよび電気二重層キャパシタ | |
WO2001092150A1 (fr) | Procede de fixation de nanotubes de carbone | |
EP1243678B1 (en) | Carbon fiber having catalytic metal supported thereon | |
JP2006527459A5 (ja) | ||
JP3930335B2 (ja) | 気相成長法による炭素繊維、電池用電極材および炭素繊維の製造方法 | |
JP2004292227A (ja) | カーボンナノチューブの製造方法、およびそれを用いた冷陰極型画像表示装置とその製造方法 | |
TWI309055B (en) | Method for making emission source having carbon nanotube | |
JP3958330B2 (ja) | カーボンナノチューブデバイスおよびその製造方法 | |
Wong et al. | Field emitter using multiwalled carbon nanotubes grown on the silicon tip region by microwave plasma-enhanced chemical vapor deposition | |
Guerrero | Development of new probes based on carbon nanocones for near-field microscopies | |
JP2004241300A (ja) | 電界電子放出体及びその製造方法 | |
JP4439527B2 (ja) | 気相成長法による炭素繊維 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050215 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20061212 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070109 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20070403 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070426 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20070612 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20070702 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706 Year of fee payment: 3 |