JP3979845B2 - 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途 - Google Patents

表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途に関する。さらに詳しくは、耐プラズマ性に優れ、かつ非粘着性が長期間安定し、さらに液晶・半導体製造環境を汚染することのないシール材を得ることができる表面改質フッ素ゴムの製造方法、該方法により得られた表面改質フッ素ゴム、並びに該表面改質フッ素ゴムから得られた液晶・半導体製造装置用のシール材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
フッ素系熱可塑性エラストマーは、耐熱性、耐薬品性等に優れ、さらに得られる成形体(フッ素ゴム)は、該成形体から不純物の溶出、放出が少なく、清浄性(クリーン性)を有する点において優れた材料である。したがって、種々の薬品が配合されて成形される一般的なフッ素ゴムと異なり、このフッ素系熱可塑性エラストマーから得られるフッ素ゴムは、該エラストマーに加硫剤、充填材等を多用しなくても成形が可能であり、化学的に純粋なフッ素ゴムを得ることができる。このような理由により、フッ素系熱可塑性エラストマーは部材からの不純物の放出・溶出を嫌う液晶・半導体産業用途、医療用途などに好適に使用されている。
【0003】
一方、フッ素系熱可塑性エラストマーは、表面粘着力が強いため、該エラストマーから得られるフッ素ゴムをシール材として使用する場合には、相手面に強固に粘着し、装置稼働を妨げ、またメンテナンス効率を低下させるという問題点がある。たとえば、液晶・半導体製造装置に見られるシリコーンウエハの出入り口(ゲート弁)に設けられているシール材では、相手面へ粘着すると弁の開閉に支障をきたし、製品製造を著しく妨げる原因となる。また、液晶・半導体製造装置のプラズマ処理室近傍で使用されているシール材は、相手面へ粘着するとメンテナンス時間が増大し、生産効率を下げる原因となる。これらのことより、液晶・半導体製造装置では相手面に粘着することなく、かつ、液晶・半導体製造環境を汚染することがなく、かつ耐プラズマ性を有するシール材が強く望まれている。
【0004】
そのようなシール材を提供すべく、特公平5−18329号公報、特公平6−53822号公報には、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマーから得られる予備成形体に、一定量の酸素またはオゾンの雰囲気下で、一定量の電離性放射線を照射し、得られる成形体をアセトン溶剤に浸漬させて得られる成形体の製造方法が記載されている。これらの方法で得られる成形体は、非粘着性は改善されてはいるが充分とはいえず、また、耐プラズマ性は改良されているものではなかった。
【0005】
さらに、上記のような問題点を解決すべく、特開平11−172027号公報には、重合性二重結合含有モノマーと重合開始剤と有機溶媒とを含有する処理液に、ゴム基材(ベースゴム;フッ素系熱可塑性エラストマー等)を接触させた後、得られた接触処理ゴム基材を加熱することにより、該モノマーを重合させ、ゴム基材表面とその近傍を改質することを特徴とする表面改質ゴムの製造方法が記載されている。この方法により得られる表面改質ゴムは、ゴム本来が有する圧縮永久歪み等の諸特性を維持しつつ、非粘着性、耐プラズマ性等の機能をシール材に付与することができる。これにより、フッ素系熱可塑性エラストマーをベースゴムとした場合でも、上記した液晶・半導体製造環境に適したシール材を生産することができるようになった。
【0006】
しかしながら、上記公報に記載のその表面改質ゴムの製造方法は、既に架橋処理後の成形体を対象としているため、処理条件によっては、その表面改質ゴムには必ずしも充分に強固な表面処理層が形成されないことがあり、その表面改質ゴムから得られたシール材は、耐プラズマ性や、非粘着性が長期間安定しない場合があることが見出された。
【0007】
したがって、表面改質ゴムおよびシール材には、これらの点に改良する余地が残されていた。さらに、従来の表面改質ゴムの製造方法は、放射線架橋によりゴム基材を得た後、そのゴム基材に表面処理を行って表面改質ゴムを製造するため、表面処理工程を簡略化して、表面改質ゴムの生産性を向上させる点に改良の余地が残されていた。
【0008】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決しようとするものであって、耐プラズマ性に優れ、かつ非粘着性が長期間安定し、さらに液晶・半導体製造環境を汚染することのないシール材を得ることができる表面改質フッ素ゴムの製造方法、該方法により得られた表面改質フッ素ゴム、並びに該表面改質フッ素ゴムから得られた液晶・半導体製造装置用のシール材を提供することを目的としている。
【0009】
またさらに、本発明は、表面改質工程の短縮化により生産性が向上した表面改質フッ素ゴムの製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】
本発明に係る表面改質フッ素ゴムの製造方法は、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーから得られた予備成形体を、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンとアルコール系溶剤とを含む処理液に接触させ、次いで、得られた接触処理予備成形体に放射線を照射して、予備成形体表面の前記フッ素系熱可塑性エラストマーの架橋反応と、前記メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンによる予備成形体の表面処理とを同時に行うことを特徴としている。
【0011】
前記放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーが、ヨウ素原子含有フッ素系熱可塑性エラストマーであることが好ましい。
前記放射線照射が、1〜50Mradの電離性放射線の照射であることが好ましい。
前記処理液は、アルコール系溶剤100重量部に対し、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを0.1〜50重量部の量で溶解されてなることが好ましい。
【0012】
本発明に係る表面改質フッ素ゴムは、上記表面改質フッ素ゴムの製造方法により得られることを特徴としている。
また、前記表面改質フッ素ゴムは、液晶・半導体製造装置用シール材に用いられることを特徴としている。
【0013】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途について具体的に説明する。
〔表面改質フッ素ゴムの製造方法〕
本発明に係る表面改質フッ素ゴムの製造方法は、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーから得られた予備成形体を、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンとアルコール系溶剤とを含む処理液に接触させ、次いで、得られた接触処理予備成形体に放射線を照射して、予備成形体表面の前記フッ素系熱可塑性エラストマーの架橋反応と、前記メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンによる予備成形体の表面処理とを同時に行うことを特徴としている。
【0014】
まず、上記予備成形体について説明する。
<予備成形体>
上記予備成形体は、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーから得られる。具体的には、そのフッ素系熱可塑性エラストマーを金型に入れ、300℃以下、好ましくは120〜270℃で、1〜30分間、好ましくは10〜25分間プレス成型を行うことにより得られる。本発明においては、上記温度と時間とは、いずれの組み合わせあってもよい。このようにして予備成形体を得ることにより、この予備成形体は架橋サイトの密度が高く、そのため、後述の放射線照射による架橋反応、および表面処理(放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーのヨウ素架橋サイトとメタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンとの結合、および該シロキサン同士の結合)により、強固な表面処理層が形成される。それにより、耐プラズマ性、および長期安定した非粘着性を有するシール材が得られる。
【0015】
本発明で用いられる予備成形体の形状としては、例えば、シート状、板状、棒状、リング状、各種の複雑なブロック形状等その用途に応じて任意の形状が挙げられ、特に限定されない。
放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマー
本発明に用いられる放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーは、上記のように予備成形体を得るために用いられる。
【0016】
そのような放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーは、エラストマー性ポリマー鎖セグメントと非エラストマー性ポリマー鎖セグメントとを含み、かつこれらのセグメントのうち少なくとも一方が含フッ素ポリマー鎖セグメントであるものであって、室温付近の温度では、エラストマー性ポリマー鎖セグメントが何らかの形でその塑性変形が阻止されているためゴム弾性を示すが、温度が上昇して非エラストマー性ポリマー鎖セグメントより形成される硬質ブロックが軟らかくなると塑性変形を示すものをいう。
【0017】
このような放射線架橋性の熱可塑性フッ素エラストマーのうちでは、エラストマー性ポリマー鎖セグメント(i)と非エラストマー性ポリマー鎖セグメント(ii)との比率は、重量比((i)/(ii))で40〜95/60〜5、好ましくは70〜90/30〜10(但し、(i)+(ii)=100重量部とする)であることが望ましい。
【0018】
この放射線架橋性の熱可塑性フッ素エラストマーの具体的構造は、上記のエラストマー性ポリマー鎖セグメント(i)と非エラストマー性ポリマー鎖セグメント(ii)とからなる連鎖と、この連鎖の一端に存在するヨウ素原子と、該連鎖の他端に存在するアイオダイド化合物から少なくとも1個のヨウ素原子を除いた残基とからなっている。このようにフッ素系熱可塑性エラストマーは、その分子鎖末端にヨウ素架橋サイトを有しているため、放射線照射によってヨウ素が容易に脱離して分子鎖中にラジカルを形成させ、このラジカルが架橋点となる。
【0019】
上記エラストマー性ポリマー鎖セグメント(i)は、
(1):フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレンまたはペンタフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン(モル比40〜90/5〜50/0〜35)の共重合体、あるいは
(2):パーフルオロアルキルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン(モル比15〜75/0〜85/0〜85)の共重合体であって、分子量は、30,000(3万)〜1,200,000(120万)である。
【0020】
また上記非エラストマー性ポリマー鎖セグメント(ii)は、
(3):フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン(モル比0〜100/0〜100)の共重合体、あるいは
(4):エチレン/テトラフルオロエチレン/[ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3-トリフルオロプロピレン-1、2-トリフルオロメチル-3,3,3−トリフルオロプロピレン-1またはパーフルオロアルキルビニルエーテル](モル比40〜60/60〜40/0〜30)の共重合体であって、分子量は3,000〜400,000(40万)である。このような熱可塑性フッ素ゴムのうちでは、上記(1)のエラストマー性ポリマー鎖セグメントと、(4)の非エラストマー性ポリマー鎖セグメントとからなるものが好ましく用いられる。
【0021】
このような放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ダイエルT−530、T−630(いずれも、ダイキン工業(株)製)等が挙げられる。
上記放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーは、通常の熱可塑性エラストマーと同様、加熱により溶融流動することから金型による加熱加圧成形などにより成形することができる。この成形体でも、用途によっては使用することができるが、該成形体は、機械的強度、圧縮永久歪みが悪いためシール材等の用途には使用できない。そのため、シール材等の用途に用いる場合には、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーを加熱加圧成形後、さらに放射線を照射し、ヨウ素架橋サイトによる3次元架橋を生成させた成形体として使用するのが一般的である。しかしながら、そのような成形体は、長期間安定した非粘着性および耐プラズマ性を有するものではなく、液晶・半導体製造装置用シール材として用いることができるものではない。
【0022】
<接触処理>
本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方法は、次に、上記予備成形体を、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンがアルコール系溶剤に溶解している処理液に接触させて処理するものである。
このような予備成形体の接触処理は、通常、常温下で、予備成形体を1〜60分間、好ましくは1〜30分間、表面処理液に浸漬して処理することが望ましい。上記条件で接触処理させることにより、後述する放射線処理によって強固な表面処理層を形成することができる。
【0023】
また、上記接触処理は、予備成形体に表面処理液を噴霧して行うこともできる。具体的には、作業性、生産性、さらに安全性の観点から、噴霧機構を有し、減圧可能なチャンバー内で行うことが望ましい。噴霧処理後、減圧することで、予備成形体から溶剤の揮発除去を促進し、生産効率を高めることができる。
以下に、処理液について説明する。
【0024】
処理液
上記のように、本発明に用いられる処理液は、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンがアルコール系溶剤に溶解している。この処理液は、アルコール系溶剤100重量部に対して、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは2〜15重量部の量で溶解していることが望ましい。このように、上記処理液が、アルコール系溶剤と、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンとを上記範囲で含有していることにより、強固な表面処理層を有する表面改質フッ素ゴムを得ることができる。
【0025】
また、上記処理液は、実質上、有機化酸化物等の重合開始剤を含有しない。そのため、上記処理液を用いて製造される本発明の表面改質フッ素ゴムは、不純物が少なく、液晶・半導体製造装置用のシール材に用いた場合にも、シール材から不純物が放出されず、液晶・半導体製造環境を汚染することがない。
本発明に用いられる処理液には、必要に応じて、メチルハイドロジェンシリコーンオイルを添加することができる。それにより、得られるシール材の非粘着性を向上させることができる。
【0026】
メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサン
本発明に用いられるメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシロキサン、メチルフェニルシロキサン等のような、低摩擦、非粘着性を付与するオルガノシロキサン骨格を有し、かつメタクリレート基[CH2=C(CH3)−C(=O)−]を少なくとも一個以上有する化合物が用いられる。
【0027】
このようなメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンとしては、数平均分子量Mnが100〜10万、好ましくは250〜2万5千のものが用いられる。
このようなメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンとして、具体的には、例えば、下記のようなものが挙げられる。なお、下記式中、Me:メチル基、n:繰り返し単位個数、を示す。これらのうちでは、付番(1)、(3)に示すように、両末端メタクリレート基のものが好ましい。
(1)両末端サイラプレーンシリーズ(チッソ(株)製):
【0028】
【化1】
Figure 0003979845
【0029】
(Me:メチル基)
[分子量Mn1000:FM-7711]
(2)片末端サイラプレーンシリーズ(チッソ(株)製):
【0030】
【化2】
Figure 0003979845
【0031】
(Me:メチル基、n:繰り返し単位数を示す。)
[分子量Mn1000;粘度10mm2/s(cSt);比重0.96:FM-0711]
(3)両末端反応性変性シリコーンオイル(信越化学工業(株)製):
【0032】
【化3】
Figure 0003979845
【0033】
(R:単結合又は2価の基、Me:メチル基、n:繰り返し単位数)
[分子量Mn3200;粘度58mm2/s(cSt);比重0.98:X-22-164B]
[分子量Mn3200;粘度94mm2/s(cSt);比重0.98:X-22-164C]
(4)反応性シロキサンオリゴマー(東芝シリコーン(株)製):
【0034】
【化4】
Figure 0003979845
【0035】
(Me:メチル基)
[分子量274.5;比重0.905:TSL9705、片末端官能型ダイマーシリーズ]など。
これらのうちでは、上記「両末端サイラプレーンシリーズ FM-7711」、「両末端反応性変性シリコーンオイルX-22-164B、X-22-164C」等の両末端変性タイプのものが好ましい。
【0036】
このようなメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンは、1種または2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、メタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンの一部または全部を、アクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンで代用することも可能であるが、上記のようにメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンを用いることが本発明では望ましい。
【0037】
このようなメタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンを予備成形体表面、およびその近傍で重合させて表面処理層を形成することにより、オルガノシロキサンの有する特性である、非粘着性、低摩擦性、耐プラズマ性の機能をシール材に付与することができる。
アルコール系溶剤
本発明に用いられるアルコール系溶剤は、上記処理液に含有され、上記メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを溶解している。そのようなアルコール系溶剤としては、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを溶解し、かつ、予備成形体(放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマー)を適度に膨潤させるアルコール系溶剤が用いられる。
【0038】
そのようなアルコール系溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n-ヘキサノールなどが挙げられ、特に好ましくはエタノール、n-ブタノール、イソプロパノールが挙げられる。本発明のアルコール系溶剤としては、これらから選ばれる1種または2種以上用いることができる。
【0039】
本発明においては、予備成形体の架橋処理と表面処理とを同時に行うので、予備成形体にアセトン、MEK(メチルエチルケトン)等のカルボニル系溶剤(極性の強い溶媒)を使用すると予備成形体が溶解するため好ましくない。一方、上記アルコール系溶剤は、オルガノシロキサン系モノマーを溶解するが、予備成形体を溶解することはなく、適度に膨潤させるため、本発明の溶剤として望ましい。
【0040】
また、本発明では、予備成形体の表面処理時間を短縮するために、上記アルコール系溶剤(100重量%)に、さらに上記カルボニル系溶剤を一定の比率(10〜30重量%)で加えた混合溶剤を使用することもできる。
さらに、予備成形体の表面処理時間を調整等するために、上記アルコール系溶剤に、予備成形体を膨潤させない溶剤を加えた混合溶剤を使用することもできる。そのような添加溶剤としては、その後に行う放射線照射までに予備成形体から容易に除去される低沸点の溶剤が好ましく、具体的には、ヘキサン、ヘプタン等が挙げられる。
<放射線の照射>
本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方法は、上記接触処理後の予備成形体に放射線を照射して、前記予備成形体表面の架橋反応と、前記メタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサンによる表面処理とを同時に行うものである。上記放射線の照射は、電離放射線を照射することにより行い、そのような放射線としてはγ線、β線、X線、電子線、陽子線などが挙げられ、フッ素系熱可塑性エラストマーを架橋させることができるものであれば特に限定されない。一般的にはCoをターゲットとしたγ線を用いることが好ましい。
【0041】
このような放射線の照射は、特公平5−18329号公報、または特公平6−53822号公報に記載の放射線架橋方法に準じて行う。
具体的には、酸素またはオゾンが1.5容量%以下とした雰囲気下で放射線の照射を行う。雰囲気中に、酸素またはオゾンが1.5容量%を越えて存在すると、放射線照射後に得られる成形体は、表面がベトベトした粘着性を帯び、機械的特性にも劣ったものとなり、本発明が目的とするシール材には適していない。また雰囲気中の残部ガスは、ヘリウム、アルゴン、キセノン、窒素などの不活性ガスあるいは、アセチレン、エチレン、メタン、エタンなどの炭化水素であることが好ましい。本発明は、減圧下中でも実施することができ、この場合にも酸素またはオゾンが1.5容量%以下であることが好ましい。
【0042】
そのような雰囲気下とするためには、例えばナイロン素材を組み合わせてなる袋などの酸素が透過しにくい素材からなる袋中に予備成形品を密封した状態で放射線を予備成形体に照射することが好ましい。
この予備成形体に対する放射線の照射量は1〜50Mrad、好ましくは2〜15Mradであることが望ましい。この照射量が1Mrad未満であると、放射線照射による成形体の機械的強度および圧縮永久歪への影響が認められるため好ましくなく、一方50Mradを越えるとフッ素ゴム系熱可塑性エラストマーの崩壊反応が進行し、分子間結合が一部切断されて、得られる成形体の機械的強度が低下するため好ましくない。
【0043】
このように、表面処理された予備成形体に、放射線を照射することにより、予備成形体のベースポリマーである放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーの末端部分のヨウ素が、部分脱離して、その末端部分がラジカルになり、そのフッ素系熱可塑性エラストマー同士が反応して架橋(3次元架橋)され、また同時に、表面処理剤(メタクリレート基含有不飽和オルガノシロキサン)と、そのラジカルとが反応して、表面処理剤と、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーとが結合すると共に、処理剤内部にも、ラジカル反応が誘発され、表面処理剤同士が反応して結合すると考えられる。このような反応により、強固な表面処理層が形成された表面改質フッ素ゴムが得られる。
【0044】
このようにして得られた本願発明の表面改質フッ素ゴムによれば、以下の効果がもたらされる。
(1)特開平11−172027号公報に記載の方法は、表面が既に架橋された成形体表面を処理する方法であるため、その表面処理は、成形体にわずかに残る架橋サイト、および架橋剤(有機過酸化物)を利用するものである。一方、本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方法は、表面が未架橋である予備成形体の表面を処理する方法であるため、その表面処理に寄与し得る架橋サイトの密度が高く、表面近傍の架橋サイトが有効にメタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンと直接結合する。したがって、本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方法によれば、より強固な表面処理層をフッ素ゴム基材表面に形成することができ、さらに、得られた表面改質フッ素ゴムから得られるシール材は、耐プラズマ性に優れ、かつ長期間安定した非粘着性を有する。
(2)特開平11−172027号公報に記載の表面処理方法は、上記(1)のように、成形体にわずかに残る架橋サイトを利用するものであるため、安定な表面処理層を形成するためには、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを、架橋剤(有機過酸化物)を介して架橋(パーオキサイド架橋)させる必要がある。しかしながら、そのようにして製造された表面改質フッ素ゴムを液晶・半導体製造装置のシール材に用いた場合、架橋に関与せずに処理層等に残留した有機過酸化物が、そのシール材から放出され、液晶・半導体製造プロセスに悪影響を及ぼすことが懸念される。そのため、上記架橋(パーオキサイド架橋)処理後に、二次加硫を行うことにより、残留成分を除去する工程が必要がある。一方、有機過酸化物を使用しない本発明ではそのような工程が必要でなく、生産性よく、不純物の少ないシール材を得ることができる。
【0045】
〔表面改質フッ素ゴムの用途〕
上記のようにして得られた表面改質フッ素ゴムは、種々の用途に用いることができ、特定の用途に限られるものではないが、好ましくは液晶・半導体製造装置用のシール材として、さらに好ましくは半導体製造装置用のシール材として用いることが望ましい。
【0046】
そのような液晶製造装置用シール材としては、具体的には、スパッタリング装置用のシール材;CVD装置(プラズマCVD、レーザーCVD等)用のシール材;エッチング装置(ドライエッチング装置、ウェットエッチング装置等)用のシール材;剥離装置用のシール材;酸化・拡散・イオン注入装置用のシール材;蒸着装置(真空蒸着装置、蒸着重合装置等)用のシール材;洗浄装置(ドライ洗浄方式のもの、ウェット洗浄方式のもの)用のシール材;各種検査装置(マスク検査装置、パターン検査装置等)用のシール材;露光装置(プロキシミティ方式のもの、ステッパー方式のもの)用のシール材;アニール装置(ランプアニール装置、エキシマレーザーアニール装置等)用のシール材;各種搬送装置群;液晶注入装置用のシール材;等が挙げられる。
【0047】
また、半導体製造装置用シール材等としては、具体的には、コーターアンドデベロッパー、エッチング装置(プラズマエッチング装置等)、プラズマアッシング(ashing)装置、レジスト剥離装置、洗浄・乾燥装置等のシール材;酸化・拡散炉、ランプアニール装置等の炉体のシール材;メタルCVD装置、プラズマCVD装置、LP−CVD装置等のCVD装置、およびスパッタリング装置等のシール材;各種搬送装置(ウエハ搬送機器の搬送用オーリング(O-ring)または搬送ベルト等);各種レジスト搬送装置(レジスト搬送容器のキャップシール材等);各種検査装置群;等に好ましく用いられる。
【0048】
これらのうち、プラズマエッチング装置、プラズマアッシング装置、プラズマCVD装置およびこれら装置の付属機器であるウエハ搬送機器等の耐プラズマ性が要求される装置類(これらをまとめて「プラズマ処理装置」とも言う)に特に好ましく用いられる。
本発明のシール材は、その表面に、強固な表面処理層が形成され、長期安定した非粘着性がシール材に付与される。また、有機過酸化物等のラジカル重合開始剤を使用しないため、該架橋剤が使用時にシール材から放出され、半導体処理プロセスに悪影響を及ぼすことがない。
このようなシール材を、液晶・半導体製造装置用のシール材として用いた場合、該シール材はこれらの装置に対して非粘着性などを発揮し、これら装置に極めて固着しにくいため、装置のメンテナンスが容易となり、液晶や半導体などの生産効率を向上させることができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、表面改質工程の短縮化により表面改質フッ素ゴムの生産性を向上させることができる表面改質フッ素ゴムの製造方法、さらに強固で安定した表面処理層を有する該方法により得られた表面改質フッ素ゴム、またさらに非粘着性および耐プラズマ性の長期安定性に優れ、かつ液晶・半導体製造環境を汚染しない表面改質フッ素ゴムからなる液晶・半導体製造装置用のシール材を提供することができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0051】
【製造例1】
予備成形体の成形
フッ素系熱可塑性エラストマーとして、ダイエルT−530(ダイキン工業社製)を用い、これを金型に充填して、220℃×10分間プレス成型を行い、シート状(150mm×190mm×2mm(厚))の予備成形体を得た。
【0052】
【実施例1】
製造例1で得られた予備成形体100重量部を、n-ブタノール100重量部に対し、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンとして両末端反応性変性シリコーンオイル(X22−164B(信越化学工業(株)製))10重量部を溶解混合して得られた表面処理液に、10分間浸漬処理した後、予備成形体を取り出し、さらに室温で2時間放置し、予備成形体に表面処理液を含浸させた。表面処理液が含浸した予備成形体を、処理環境の酸素を1.5容量%以下とするため、厚さ15ミクロンのナイロン袋に入れ、この袋を真空引きした後に、袋中にアルゴンを充填し、ついで、袋中のアルゴンをほぼ全量機械的に押し出した。つぎに、この袋中に再度アルゴンを充填した後、再度袋中のアルゴンの約80%程度を機械的に押し出した。次にこの袋中に再度アルゴンを充填し、ヒートシール法により袋体を密封した。
【0053】
このようにしてアルゴンが満たされた袋中に密封された表面処理液が含浸した予備成形体に、10Mradの放射線を照射して、表面改質フッ素ゴムを得た。
【0054】
【実施例2】
実施例1の表面処理液に、非粘着性向上剤としてメチルハイドロジェンシリコーンオイル(SH1107(東レダウコーニングシリコーン社製))10重量部をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、表面改質フッ素ゴムを得た。
【0055】
【比較例1】
製造例1で得られた予備成形体100重量部を、処理環境の酸素を1.5容量%以下とするため、厚さ15ミクロンのナイロン袋に入れ、この袋を真空引きした後に、袋中にアルゴンを充填し、ついで、袋中のアルゴンをほぼ全量機械的に押し出した。つぎに、この袋中に再度アルゴンを充填した後、再度袋中のアルゴンの約80%程度を機械的に押し出した。次にこの袋中に再度アルゴンを充填し、ヒートシール法により袋体を密封した。
【0056】
このようにしてアルゴンが満たされた袋中に密封された予備成形体に、10Mradの放射線を照射して、放射線架橋処理されたフッ素ゴムを得た。
【0057】
【比較例2】
比較例1の放射線架橋処理されたフッ素ゴムを、アセトン100重量部に、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンとして両末端反応性変性シリコーンオイル(商品名;X22−164B(信越化学工業(株)製))10重量部、およびラジカル重合開始剤としてジクミルパーオキサイド1.5重量部を溶解混合して得られた表面処理液に、10分間浸漬処理した後、予備成形体を取り出し、さらに室温で2時間放置し、真空ポンプにて減圧(1.0×102Pa)した電気炉中で170℃、16時間加熱処理を行った。加熱後の試料の表面をメタノールで洗浄し、表面処理されたフッ素ゴムを得た。
【0058】
【比較例3】
比較例2の表面処理液に、非粘着性向上剤としてメチルハイドロジェンシリコーンオイル10重量部をさらに添加した以外は、比較例2と同様にして、表面処理されたフッ素ゴムを得た。
次に、試験例1〜3により、本発明の表面改質フッ素ゴムが、非粘着性および耐プラズマ性の長期安定性に優れることを例証する。
【0059】
試験例1<非粘着性の測定>
図1に示すように、SUS304で作成されたφ5mm×50mmの円柱状プローブを、室温下で、荷重500gf/cm2で、上記実施例1〜2、比較例1〜3で得られた試験片に10分間圧着させた後、600mm/minの速度で引き剥がすときの力を測定した。結果を表1に示す。
【0060】
試験例2<非粘着耐久性の測定>
実施例1〜2、比較例1〜3で得られた試験片を、上記と同様の操作を50回繰り返した後、50回目に引き剥がすのに要する力を測定した。結果を表1に示す。
試験例3<耐プラズマ性>
低温プラズマ照射装置(Plasma Deposition Model PD-2;SAMCO社製)において、実施例1〜2、比較例1〜3で得られた試験片を、酸素ガス(全流量200ml/min)を用い、プラズマで3時間照射した。該試料の照射前後の重量減少率(%)を次式より求め、耐プラズマ性を測定した。結果を表1に示す。
【0061】
式;プラズマ照射前後の重量減少率(%)=〔(プラズマ照射前の重量−プラズマ照射後の重量)/プラズマ照射前の重量〕×100
【0062】
【表1】
Figure 0003979845
【0063】
【比較例4】
2元ポリオール加硫系のフッ素ゴムであるダイエルG783(ダイキン工業社製)100重量部、MTカーボン20重量部、酸化マグネシウム5重量部、水酸化カルシウム7重量部を配合し、その配合物をオープンロールを用いて既知の方法にて170℃×20分間プレス成型を行った後、230℃24時間二次加硫を行って、150mm×190mm×2mm(厚)のシート状に成形した。得られたフッ素ゴムを、上記比較例2と同様の方法で表面処理し、表面処理されたフッ素ゴムを得た。
【0064】
また次に、試験例4、5により、本発明の表面改質フッ素ゴムは、不純物の含有量が低減されていることを例証する。
試験例4<TOC( Total Organic Carbon )量の測定>
▲1▼浸漬試験用容器の前処理;浸漬試験用容器(PTFE製容器)を50%フッ酸溶液で充たし、25℃温度下で、そのまま3日間放置し、その後とも洗いする。
▲2▼試料の前処理;実施例1、比較例4で得られた試料を、予めHNO3で洗浄した後、さらに純水で洗浄する。
【0065】
上記前処理した試料(シート状成形体)から20mm×20mmのサンプルを採取した。次に、上記前処理した浸漬試験用容器に、50%フッ酸溶液を50ml入れ、その溶液中に該サンプルを浸漬し、25℃温度下で1月間放置した。1月間放置後、その50%フッ酸溶液を回収し、TOC(Total Organic Carbon)分析装置(島津製作所製TOC5000型)で、その溶液中に溶出した全有機物量を測定した。結果を表2に示す。
【0066】
試験例5<溶出金属量の測定>
上記前処理した試料(シート状成形体)から20mm×20mmのサンプルを採取した。次に、上記前処理した浸漬試験用容器に、50%フッ酸溶液を50ml入れ、その溶液中に該サンプルを浸漬し、25℃温度下で3月間放置した。3月間放置後、その50%フッ酸溶液を回収し、IPC−MS(横河アナリティカルシステム社、HP−4500)で、その溶液中に溶出した全金属量(対象金属;Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Cu、Pb、Ni、Mn、Zn、Zr、Ba、Cr、Ti)を測定した。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
Figure 0003979845
【0068】
上記試験例4,5の結果から、本発明の表面改質フッ素ゴム(実施例1)は、汎用フッ素ゴム(比較例4)に比べ、不純物の含有量が大幅に低減されており、この表面改質フッ素ゴムを液晶・半導体製造装置用のシール材に用いた場合には、液晶・半導体製造環境を汚染することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例で行われる非粘着性測定方法概略図である。

Claims (6)

  1. 放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーから得られた予備成形体を、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンとアルコール系溶剤とを含み、かつ重合開始剤を含まない処理液に接触させ、次いで、得られた接触処理予備成形体に放射線を照射して、予備成形体表面の前記フッ素系熱可塑性エラストマーの架橋反応と、前記メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンによる予備成形体の表面処理とを同時に行うことを特徴とする表面改質フッ素ゴムの製造方法。
  2. 前記放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーが、ヨウ素原子含有フッ素系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の表面改質フッ素ゴムの製造方法。
  3. 前記放射線照射が、1〜50Mradの電離性放射線を照射して行うものであることを特徴とする請求項1または2に記載の表面改質フッ素ゴムの製造方法。
  4. 前記処理液が、アルコール系溶剤100重量部に対し、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを0.1〜50重量部の量で溶解されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質フッ素ゴムの製造方法。
  5. 上記請求項1〜4のいずれかに記載の方法により得られることを特徴とする表面改質フッ素ゴム。
  6. 前記表面改質フッ素ゴムが、液晶・半導体製造装置用シール材に用いられることを特徴とする請求項5に記載の表面改質フッ素ゴム。
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