JP2003201354A - 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途 - Google Patents

表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途

Info

Publication number
JP2003201354A
JP2003201354A JP2001400892A JP2001400892A JP2003201354A JP 2003201354 A JP2003201354 A JP 2003201354A JP 2001400892 A JP2001400892 A JP 2001400892A JP 2001400892 A JP2001400892 A JP 2001400892A JP 2003201354 A JP2003201354 A JP 2003201354A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
modified
radiation
fluororubber
preform
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001400892A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3979845B2 (ja
Inventor
Masamichi Noguchi
口 勝 通 野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
Original Assignee
Nippon Valqua Industries Ltd
Nihon Valqua Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Valqua Industries Ltd, Nihon Valqua Kogyo KK filed Critical Nippon Valqua Industries Ltd
Priority to JP2001400892A priority Critical patent/JP3979845B2/ja
Priority to AU2002367428A priority patent/AU2002367428A1/en
Priority to PCT/JP2002/013658 priority patent/WO2003057766A1/ja
Publication of JP2003201354A publication Critical patent/JP2003201354A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3979845B2 publication Critical patent/JP3979845B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J7/00Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances
    • C08J7/04Coating
    • C08J7/0427Coating with only one layer of a composition containing a polymer binder
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J7/00Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances
    • C08J7/04Coating
    • C08J7/043Improving the adhesiveness of the coatings per se, e.g. forming primers
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J7/00Chemical treatment or coating of shaped articles made of macromolecular substances
    • C08J7/04Coating
    • C08J7/046Forming abrasion-resistant coatings; Forming surface-hardening coatings
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2327/00Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen; Derivatives of such polymers
    • C08J2327/02Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen; Derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment
    • C08J2327/12Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by a halogen; Derivatives of such polymers not modified by chemical after-treatment containing fluorine atoms
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2483/00Characterised by the use of macromolecular compounds obtained by reactions forming in the main chain of the macromolecule a linkage containing silicon with or without sulfur, nitrogen, oxygen, or carbon only; Derivatives of such polymers

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Treatments Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Sealing Material Composition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方法
は、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーから
得られた予備成形体を、メタクリル基含有不飽和オルガ
ノシロキサンとアルコール系溶剤とを含む処理液に接触
させ、次いで、得られた接触処理予備成形体に放射線を
照射して、予備成形体表面の前記フッ素系熱可塑性エラ
ストマーの架橋反応と、前記メタクリル基含有不飽和オ
ルガノシロキサンによる予備成形体の表面処理とを同時
に行うことを特徴としている。 【効果】本発明によれば、表面改質工程の短縮化により
表面改質フッ素ゴムの生産性を向上させることができる
表面改質フッ素ゴムの製造方法、さらに強固で安定した
表面処理層を有する該方法により得られた表面改質フッ
素ゴム、またさらに非粘着性および耐プラズマ性の長期
安定性に優れ、かつ液晶・半導体製造環境を汚染しない
表面改質フッ素ゴムからなる液晶・半導体製造装置用の
シール材を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は表面改質フッ素ゴムの製造
方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途に関
する。さらに詳しくは、耐プラズマ性に優れ、かつ非粘
着性が長期間安定し、さらに液晶・半導体製造環境を汚
染することのないシール材を得ることができる表面改質
フッ素ゴムの製造方法、該方法により得られた表面改質
フッ素ゴム、並びに該表面改質フッ素ゴムから得られた
液晶・半導体製造装置用のシール材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】フッ素系熱可塑性エラストマー
は、耐熱性、耐薬品性等に優れ、さらに得られる成形体
(フッ素ゴム)は、該成形体から不純物の溶出、放出が
少なく、清浄性(クリーン性)を有する点において優れた
材料である。したがって、種々の薬品が配合されて成形
される一般的なフッ素ゴムと異なり、このフッ素系熱可
塑性エラストマーから得られるフッ素ゴムは、該エラス
トマーに加硫剤、充填材等を多用しなくても成形が可能
であり、化学的に純粋なフッ素ゴムを得ることができ
る。このような理由により、フッ素系熱可塑性エラスト
マーは部材からの不純物の放出・溶出を嫌う液晶・半導
体産業用途、医療用途などに好適に使用されている。
【0003】一方、フッ素系熱可塑性エラストマーは、
表面粘着力が強いため、該エラストマーから得られるフ
ッ素ゴムをシール材として使用する場合には、相手面に
強固に粘着し、装置稼働を妨げ、またメンテナンス効率
を低下させるという問題点がある。たとえば、液晶・半
導体製造装置に見られるシリコーンウエハの出入り口
(ゲート弁)に設けられているシール材では、相手面へ
粘着すると弁の開閉に支障をきたし、製品製造を著しく
妨げる原因となる。また、液晶・半導体製造装置のプラ
ズマ処理室近傍で使用されているシール材は、相手面へ
粘着するとメンテナンス時間が増大し、生産効率を下げ
る原因となる。これらのことより、液晶・半導体製造装
置では相手面に粘着することなく、かつ、液晶・半導体
製造環境を汚染することがなく、かつ耐プラズマ性を有
するシール材が強く望まれている。
【0004】そのようなシール材を提供すべく、特公平
5−18329号公報、特公平6−53822号公報に
は、フッ素ゴム系熱可塑性エラストマーから得られる予
備成形体に、一定量の酸素またはオゾンの雰囲気下で、
一定量の電離性放射線を照射し、得られる成形体をアセ
トン溶剤に浸漬させて得られる成形体の製造方法が記載
されている。これらの方法で得られる成形体は、非粘着
性は改善されてはいるが充分とはいえず、また、耐プラ
ズマ性は改良されているものではなかった。
【0005】さらに、上記のような問題点を解決すべ
く、特開平11−172027号公報には、重合性二重
結合含有モノマーと重合開始剤と有機溶媒とを含有する
処理液に、ゴム基材(ベースゴム;フッ素系熱可塑性エ
ラストマー等)を接触させた後、得られた接触処理ゴム
基材を加熱することにより、該モノマーを重合させ、ゴ
ム基材表面とその近傍を改質することを特徴とする表面
改質ゴムの製造方法が記載されている。この方法により
得られる表面改質ゴムは、ゴム本来が有する圧縮永久歪
み等の諸特性を維持しつつ、非粘着性、耐プラズマ性等
の機能をシール材に付与することができる。これによ
り、フッ素系熱可塑性エラストマーをベースゴムとした
場合でも、上記した液晶・半導体製造環境に適したシー
ル材を生産することができるようになった。
【0006】しかしながら、上記公報に記載のその表面
改質ゴムの製造方法は、既に架橋処理後の成形体を対象
としているため、処理条件によっては、その表面改質ゴ
ムには必ずしも充分に強固な表面処理層が形成されない
ことがあり、その表面改質ゴムから得られたシール材
は、耐プラズマ性や、非粘着性が長期間安定しない場合
があることが見出された。
【0007】したがって、表面改質ゴムおよびシール材
には、これらの点に改良する余地が残されていた。さら
に、従来の表面改質ゴムの製造方法は、放射線架橋によ
りゴム基材を得た後、そのゴム基材に表面処理を行って
表面改質ゴムを製造するため、表面処理工程を簡略化し
て、表面改質ゴムの生産性を向上させる点に改良の余地
が残されていた。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に伴う
問題点を解決しようとするものであって、耐プラズマ性
に優れ、かつ非粘着性が長期間安定し、さらに液晶・半
導体製造環境を汚染することのないシール材を得ること
ができる表面改質フッ素ゴムの製造方法、該方法により
得られた表面改質フッ素ゴム、並びに該表面改質フッ素
ゴムから得られた液晶・半導体製造装置用のシール材を
提供することを目的としている。
【0009】またさらに、本発明は、表面改質工程の短
縮化により生産性が向上した表面改質フッ素ゴムの製造
方法を提供することを目的としている。
【0010】
【発明の概要】本発明に係る表面改質フッ素ゴムの製造
方法は、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマー
から得られた予備成形体を、メタクリル基含有不飽和オ
ルガノシロキサンとアルコール系溶剤とを含む処理液に
接触させ、次いで、得られた接触処理予備成形体に放射
線を照射して、予備成形体表面の前記フッ素系熱可塑性
エラストマーの架橋反応と、前記メタクリル基含有不飽
和オルガノシロキサンによる予備成形体の表面処理とを
同時に行うことを特徴としている。
【0011】前記放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラ
ストマーが、ヨウ素原子含有フッ素系熱可塑性エラスト
マーであることが好ましい。前記放射線照射が、1〜5
0Mradの電離性放射線の照射であることが好ましい。前
記処理液は、アルコール系溶剤100重量部に対し、メ
タクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを0.1〜5
0重量部の量で溶解されてなることが好ましい。
【0012】本発明に係る表面改質フッ素ゴムは、上記
表面改質フッ素ゴムの製造方法により得られることを特
徴としている。また、前記表面改質フッ素ゴムは、液晶
・半導体製造装置用シール材に用いられることを特徴と
している。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る表面改質フッ
素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよび
その用途について具体的に説明する。〔表面改質フッ素ゴムの製造方法〕 本発明に係る表面改
質フッ素ゴムの製造方法は、放射線架橋性のフッ素系熱
可塑性エラストマーから得られた予備成形体を、メタク
リル基含有不飽和オルガノシロキサンとアルコール系溶
剤とを含む処理液に接触させ、次いで、得られた接触処
理予備成形体に放射線を照射して、予備成形体表面の前
記フッ素系熱可塑性エラストマーの架橋反応と、前記メ
タクリル基含有不飽和オルガノシロキサンによる予備成
形体の表面処理とを同時に行うことを特徴としている。
【0014】まず、上記予備成形体について説明する。<予備成形体> 上記予備成形体は、放射線架橋性のフッ
素系熱可塑性エラストマーから得られる。具体的には、
そのフッ素系熱可塑性エラストマーを金型に入れ、30
0℃以下、好ましくは120〜270℃で、1〜30分
間、好ましくは10〜25分間プレス成型を行うことに
より得られる。本発明においては、上記温度と時間と
は、いずれの組み合わせあってもよい。このようにして
予備成形体を得ることにより、この予備成形体は架橋サ
イトの密度が高く、そのため、後述の放射線照射による
架橋反応、および表面処理(放射線架橋性のフッ素系熱
可塑性エラストマーのヨウ素架橋サイトとメタクリル基
含有不飽和オルガノシロキサンとの結合、および該シロ
キサン同士の結合)により、強固な表面処理層が形成さ
れる。それにより、耐プラズマ性、および長期安定した
非粘着性を有するシール材が得られる。
【0015】本発明で用いられる予備成形体の形状とし
ては、例えば、シート状、板状、棒状、リング状、各種
の複雑なブロック形状等その用途に応じて任意の形状が
挙げられ、特に限定されない。放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマー 本発明に用いられる放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エ
ラストマーは、上記のように予備成形体を得るために用
いられる。
【0016】そのような放射線架橋性のフッ素系熱可塑
性エラストマーは、エラストマー性ポリマー鎖セグメン
トと非エラストマー性ポリマー鎖セグメントとを含み、
かつこれらのセグメントのうち少なくとも一方が含フッ
素ポリマー鎖セグメントであるものであって、室温付近
の温度では、エラストマー性ポリマー鎖セグメントが何
らかの形でその塑性変形が阻止されているためゴム弾性
を示すが、温度が上昇して非エラストマー性ポリマー鎖
セグメントより形成される硬質ブロックが軟らかくなる
と塑性変形を示すものをいう。
【0017】このような放射線架橋性の熱可塑性フッ素
エラストマーのうちでは、エラストマー性ポリマー鎖セ
グメント(i)と非エラストマー性ポリマー鎖セグメント
(ii)との比率は、重量比((i)/(ii))で40〜95/
60〜5、好ましくは70〜90/30〜10(但し、
(i)+(ii)=100重量部とする)であることが望まし
い。
【0018】この放射線架橋性の熱可塑性フッ素エラス
トマーの具体的構造は、上記のエラストマー性ポリマー
鎖セグメント(i)と非エラストマー性ポリマー鎖セグメ
ント(ii)とからなる連鎖と、この連鎖の一端に存在する
ヨウ素原子と、該連鎖の他端に存在するアイオダイド化
合物から少なくとも1個のヨウ素原子を除いた残基とか
らなっている。このようにフッ素系熱可塑性エラストマ
ーは、その分子鎖末端にヨウ素架橋サイトを有している
ため、放射線照射によってヨウ素が容易に脱離して分子
鎖中にラジカルを形成させ、このラジカルが架橋点とな
る。
【0019】上記エラストマー性ポリマー鎖セグメント
(i)は、(1):フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプ
ロピレンまたはペンタフルオロプロピレン/テトラフル
オロエチレン(モル比40〜90/5〜50/0〜3
5)の共重合体、あるいは(2):パーフルオロアルキ
ルビニルエーテル/テトラフルオロエチレン/フッ化ビ
ニリデン(モル比15〜75/0〜85/0〜85)の
共重合体であって、分子量は、30,000(3万)〜
1,200,000(120万)である。
【0020】また上記非エラストマー性ポリマー鎖セグ
メント(ii)は、(3):フッ化ビニリデン/テトラフル
オロエチレン(モル比0〜100/0〜100)の共重
合体、あるいは(4):エチレン/テトラフルオロエチ
レン/[ヘキサフルオロプロピレン、3,3,3-トリ
フルオロプロピレン-1、2-トリフルオロメチル-3,
3,3−トリフルオロプロピレン-1またはパーフルオ
ロアルキルビニルエーテル](モル比40〜60/60
〜40/0〜30)の共重合体であって、分子量は3,
000〜400,000(40万)である。このような
熱可塑性フッ素ゴムのうちでは、上記(1)のエラスト
マー性ポリマー鎖セグメントと、(4)の非エラストマ
ー性ポリマー鎖セグメントとからなるものが好ましく用
いられる。
【0021】このような放射線架橋性のフッ素系熱可塑
性エラストマーとしては、例えば、ダイエルT−53
0、T−630(いずれも、ダイキン工業(株)製)等が
挙げられる。上記放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラ
ストマーは、通常の熱可塑性エラストマーと同様、加熱
により溶融流動することから金型による加熱加圧成形な
どにより成形することができる。この成形体でも、用途
によっては使用することができるが、該成形体は、機械
的強度、圧縮永久歪みが悪いためシール材等の用途には
使用できない。そのため、シール材等の用途に用いる場
合には、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマー
を加熱加圧成形後、さらに放射線を照射し、ヨウ素架橋
サイトによる3次元架橋を生成させた成形体として使用
するのが一般的である。しかしながら、そのような成形
体は、長期間安定した非粘着性および耐プラズマ性を有
するものではなく、液晶・半導体製造装置用シール材と
して用いることができるものではない。
【0022】<接触処理>本発明の表面改質フッ素ゴム
の製造方法は、次に、上記予備成形体を、メタクリル基
含有不飽和オルガノシロキサンがアルコール系溶剤に溶
解している処理液に接触させて処理するものである。こ
のような予備成形体の接触処理は、通常、常温下で、予
備成形体を1〜60分間、好ましくは1〜30分間、表
面処理液に浸漬して処理することが望ましい。上記条件
で接触処理させることにより、後述する放射線処理によ
って強固な表面処理層を形成することができる。
【0023】また、上記接触処理は、予備成形体に表面
処理液を噴霧して行うこともできる。具体的には、作業
性、生産性、さらに安全性の観点から、噴霧機構を有
し、減圧可能なチャンバー内で行うことが望ましい。噴
霧処理後、減圧することで、予備成形体から溶剤の揮発
除去を促進し、生産効率を高めることができる。以下
に、処理液について説明する。
【0024】処理液 上記のように、本発明に用いられる処理液は、メタクリ
ル基含有不飽和オルガノシロキサンがアルコール系溶剤
に溶解している。この処理液は、アルコール系溶剤10
0重量部に対して、メタクリル基含有不飽和オルガノシ
ロキサンを、通常0.1〜50重量部、好ましくは1〜
25重量部、さらに好ましくは2〜15重量部の量で溶
解していることが望ましい。このように、上記処理液
が、アルコール系溶剤と、メタクリル基含有不飽和オル
ガノシロキサンとを上記範囲で含有していることによ
り、強固な表面処理層を有する表面改質フッ素ゴムを得
ることができる。
【0025】また、上記処理液は、実質上、有機化酸化
物等の重合開始剤を含有しない。そのため、上記処理液
を用いて製造される本発明の表面改質フッ素ゴムは、不
純物が少なく、液晶・半導体製造装置用のシール材に用
いた場合にも、シール材から不純物が放出されず、液晶
・半導体製造環境を汚染することがない。本発明に用い
られる処理液には、必要に応じて、メチルハイドロジェ
ンシリコーンオイルを添加することができる。それによ
り、得られるシール材の非粘着性を向上させることがで
きる。
【0026】メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサ
本発明に用いられるメタクリレート基含有不飽和オルガ
ノシロキサンとしては、例えば、ジメチルシロキサン、
メチルフェニルシロキサン等のような、低摩擦、非粘着
性を付与するオルガノシロキサン骨格を有し、かつメタ
クリレート基[CH2=C(CH3)−C(=O)−]を
少なくとも一個以上有する化合物が用いられる。
【0027】このようなメタクリレート基含有不飽和オ
ルガノシロキサンとしては、数平均分子量Mnが100
〜10万、好ましくは250〜2万5千のものが用いら
れる。このようなメタクリレート基含有不飽和オルガノ
シロキサンとして、具体的には、例えば、下記のような
ものが挙げられる。なお、下記式中、Me:メチル基、
n:繰り返し単位個数、を示す。これらのうちでは、付
番(1)、(3)に示すように、両末端メタクリレート
基のものが好ましい。 (1)両末端サイラプレーンシリーズ(チッソ(株)
製):
【0028】
【化1】
【0029】(Me:メチル基) [分子量Mn1000:FM-7711] (2)片末端サイラプレーンシリーズ(チッソ(株)
製):
【0030】
【化2】
【0031】(Me:メチル基、n:繰り返し単位数を
示す。) [分子量Mn1000;粘度10mm2/s(cSt);比重0.96:FM
-0711] (3)両末端反応性変性シリコーンオイル(信越化学工
業(株)製):
【0032】
【化3】
【0033】(R:単結合又は2価の基、Me:メチル
基、n:繰り返し単位数) [分子量Mn3200;粘度58mm2/s(cSt);比重0.98:X-
22-164B] [分子量Mn3200;粘度94mm2/s(cSt);比重0.98:X-
22-164C] (4)反応性シロキサンオリゴマー(東芝シリコーン
(株)製):
【0034】
【化4】
【0035】(Me:メチル基)[分子量274.5;比重
0.905:TSL9705、片末端官能型ダイマーシリーズ]な
ど。これらのうちでは、上記「両末端サイラプレーンシ
リーズ FM-7711」、「両末端反応性変性シリコーンオ
イルX-22-164B、X-22-164C」等の両末端変性タイプのも
のが好ましい。
【0036】このようなメタクリレート基含有不飽和オ
ルガノシロキサンは、1種または2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。なお、メタクリレート基含有不飽和オ
ルガノシロキサンの一部または全部を、アクリレート基
含有不飽和オルガノシロキサンで代用することも可能で
あるが、上記のようにメタクリレート基含有不飽和オル
ガノシロキサンを用いることが本発明では望ましい。
【0037】このようなメタクリレート基含有不飽和オ
ルガノシロキサンを予備成形体表面、およびその近傍で
重合させて表面処理層を形成することにより、オルガノ
シロキサンの有する特性である、非粘着性、低摩擦性、
耐プラズマ性の機能をシール材に付与することができ
る。アルコール系溶剤 本発明に用いられるアルコール系溶剤は、上記処理液に
含有され、上記メタクリル基含有不飽和オルガノシロキ
サンを溶解している。そのようなアルコール系溶剤とし
ては、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサンを溶
解し、かつ、予備成形体(放射線架橋性のフッ素系熱可
塑性エラストマー)を適度に膨潤させるアルコール系溶
剤が用いられる。
【0038】そのようなアルコール系溶剤としては、具
体的には、メタノール、エタノール、n-プロパノール、
イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、第
二ブタノール、第三ブタノール、n-ヘキサノールなどが
挙げられ、特に好ましくはエタノール、n-ブタノール、
イソプロパノールが挙げられる。本発明のアルコール系
溶剤としては、これらから選ばれる1種または2種以上
用いることができる。
【0039】本発明においては、予備成形体の架橋処理
と表面処理とを同時に行うので、予備成形体にアセト
ン、MEK(メチルエチルケトン)等のカルボニル系溶
剤(極性の強い溶媒)を使用すると予備成形体が溶解す
るため好ましくない。一方、上記アルコール系溶剤は、
オルガノシロキサン系モノマーを溶解するが、予備成形
体を溶解することはなく、適度に膨潤させるため、本発
明の溶剤として望ましい。
【0040】また、本発明では、予備成形体の表面処理
時間を短縮するために、上記アルコール系溶剤(100
重量%)に、さらに上記カルボニル系溶剤を一定の比率
(10〜30重量%)で加えた混合溶剤を使用すること
もできる。さらに、予備成形体の表面処理時間を調整等
するために、上記アルコール系溶剤に、予備成形体を膨
潤させない溶剤を加えた混合溶剤を使用することもでき
る。そのような添加溶剤としては、その後に行う放射線
照射までに予備成形体から容易に除去される低沸点の溶
剤が好ましく、具体的には、ヘキサン、ヘプタン等が挙
げられる。<放射線の照射> 本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方
法は、上記接触処理後の予備成形体に放射線を照射し
て、前記予備成形体表面の架橋反応と、前記メタクリレ
ート基含有不飽和オルガノシロキサンによる表面処理と
を同時に行うものである。上記放射線の照射は、電離放
射線を照射することにより行い、そのような放射線とし
てはγ線、β線、X線、電子線、陽子線などが挙げら
れ、フッ素系熱可塑性エラストマーを架橋させることが
できるものであれば特に限定されない。一般的にはCo
をターゲットとしたγ線を用いることが好ましい。
【0041】このような放射線の照射は、特公平5−1
8329号公報、または特公平6−53822号公報に
記載の放射線架橋方法に準じて行う。具体的には、酸素
またはオゾンが1.5容量%以下とした雰囲気下で放射
線の照射を行う。雰囲気中に、酸素またはオゾンが1.
5容量%を越えて存在すると、放射線照射後に得られる
成形体は、表面がベトベトした粘着性を帯び、機械的特
性にも劣ったものとなり、本発明が目的とするシール材
には適していない。また雰囲気中の残部ガスは、ヘリウ
ム、アルゴン、キセノン、窒素などの不活性ガスあるい
は、アセチレン、エチレン、メタン、エタンなどの炭化
水素であることが好ましい。本発明は、減圧下中でも実
施することができ、この場合にも酸素またはオゾンが
1.5容量%以下であることが好ましい。
【0042】そのような雰囲気下とするためには、例え
ばナイロン素材を組み合わせてなる袋などの酸素が透過
しにくい素材からなる袋中に予備成形品を密封した状態
で放射線を予備成形体に照射することが好ましい。この
予備成形体に対する放射線の照射量は1〜50Mrad、好
ましくは2〜15Mradであることが望ましい。この照射
量が1Mrad未満であると、放射線照射による成形体の機
械的強度および圧縮永久歪への影響が認められるため好
ましくなく、一方50Mradを越えるとフッ素ゴム系熱可
塑性エラストマーの崩壊反応が進行し、分子間結合が一
部切断されて、得られる成形体の機械的強度が低下する
ため好ましくない。
【0043】このように、表面処理された予備成形体
に、放射線を照射することにより、予備成形体のベース
ポリマーである放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラス
トマーの末端部分のヨウ素が、部分脱離して、その末端
部分がラジカルになり、そのフッ素系熱可塑性エラスト
マー同士が反応して架橋(3次元架橋)され、また同時
に、表面処理剤(メタクリレート基含有不飽和オルガノ
シロキサン)と、そのラジカルとが反応して、表面処理
剤と、放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラストマーと
が結合すると共に、処理剤内部にも、ラジカル反応が誘
発され、表面処理剤同士が反応して結合すると考えられ
る。このような反応により、強固な表面処理層が形成さ
れた表面改質フッ素ゴムが得られる。
【0044】このようにして得られた本願発明の表面改
質フッ素ゴムによれば、以下の効果がもたらされる。 (1)特開平11−172027号公報に記載の方法
は、表面が既に架橋された成形体表面を処理する方法で
あるため、その表面処理は、成形体にわずかに残る架橋
サイト、および架橋剤(有機過酸化物)を利用するもの
である。一方、本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方法
は、表面が未架橋である予備成形体の表面を処理する方
法であるため、その表面処理に寄与し得る架橋サイトの
密度が高く、表面近傍の架橋サイトが有効にメタクリル
基含有不飽和オルガノシロキサンと直接結合する。した
がって、本発明の表面改質フッ素ゴムの製造方法によれ
ば、より強固な表面処理層をフッ素ゴム基材表面に形成
することができ、さらに、得られた表面改質フッ素ゴム
から得られるシール材は、耐プラズマ性に優れ、かつ長
期間安定した非粘着性を有する。 (2)特開平11−172027号公報に記載の表面処
理方法は、上記(1)のように、成形体にわずかに残る
架橋サイトを利用するものであるため、安定な表面処理
層を形成するためには、メタクリル基含有不飽和オルガ
ノシロキサンを、架橋剤(有機過酸化物)を介して架橋
(パーオキサイド架橋)させる必要がある。しかしなが
ら、そのようにして製造された表面改質フッ素ゴムを液
晶・半導体製造装置のシール材に用いた場合、架橋に関
与せずに処理層等に残留した有機過酸化物が、そのシー
ル材から放出され、液晶・半導体製造プロセスに悪影響
を及ぼすことが懸念される。そのため、上記架橋(パー
オキサイド架橋)処理後に、二次加硫を行うことによ
り、残留成分を除去する工程が必要がある。一方、有機
過酸化物を使用しない本発明ではそのような工程が必要
でなく、生産性よく、不純物の少ないシール材を得るこ
とができる。
【0045】〔表面改質フッ素ゴムの用途〕上記のよう
にして得られた表面改質フッ素ゴムは、種々の用途に用
いることができ、特定の用途に限られるものではない
が、好ましくは液晶・半導体製造装置用のシール材とし
て、さらに好ましくは半導体製造装置用のシール材とし
て用いることが望ましい。
【0046】そのような液晶製造装置用シール材として
は、具体的には、スパッタリング装置用のシール材;C
VD装置(プラズマCVD、レーザーCVD等)用のシ
ール材;エッチング装置(ドライエッチング装置、ウェ
ットエッチング装置等)用のシール材;剥離装置用のシ
ール材;酸化・拡散・イオン注入装置用のシール材;蒸
着装置(真空蒸着装置、蒸着重合装置等)用のシール
材;洗浄装置(ドライ洗浄方式のもの、ウェット洗浄方
式のもの)用のシール材;各種検査装置(マスク検査装
置、パターン検査装置等)用のシール材;露光装置(プ
ロキシミティ方式のもの、ステッパー方式のもの)用の
シール材;アニール装置(ランプアニール装置、エキシ
マレーザーアニール装置等)用のシール材;各種搬送装
置群;液晶注入装置用のシール材;等が挙げられる。
【0047】また、半導体製造装置用シール材等として
は、具体的には、コーターアンドデベロッパー、エッチ
ング装置(プラズマエッチング装置等)、プラズマアッ
シング(ashing)装置、レジスト剥離装置、洗浄・乾燥装
置等のシール材;酸化・拡散炉、ランプアニール装置等
の炉体のシール材;メタルCVD装置、プラズマCVD
装置、LP−CVD装置等のCVD装置、およびスパッ
タリング装置等のシール材;各種搬送装置(ウエハ搬送
機器の搬送用オーリング(O-ring)または搬送ベルト
等);各種レジスト搬送装置(レジスト搬送容器のキャ
ップシール材等);各種検査装置群;等に好ましく用い
られる。
【0048】これらのうち、プラズマエッチング装置、
プラズマアッシング装置、プラズマCVD装置およびこ
れら装置の付属機器であるウエハ搬送機器等の耐プラズ
マ性が要求される装置類(これらをまとめて「プラズマ
処理装置」とも言う)に特に好ましく用いられる。本発
明のシール材は、その表面に、強固な表面処理層が形成
され、長期安定した非粘着性がシール材に付与される。
また、有機過酸化物等のラジカル重合開始剤を使用しな
いため、該架橋剤が使用時にシール材から放出され、半
導体処理プロセスに悪影響を及ぼすことがない。このよ
うなシール材を、液晶・半導体製造装置用のシール材と
して用いた場合、該シール材はこれらの装置に対して非
粘着性などを発揮し、これら装置に極めて固着しにくい
ため、装置のメンテナンスが容易となり、液晶や半導体
などの生産効率を向上させることができる。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、表面改質工程の短縮化
により表面改質フッ素ゴムの生産性を向上させることが
できる表面改質フッ素ゴムの製造方法、さらに強固で安
定した表面処理層を有する該方法により得られた表面改
質フッ素ゴム、またさらに非粘着性および耐プラズマ性
の長期安定性に優れ、かつ液晶・半導体製造環境を汚染
しない表面改質フッ素ゴムからなる液晶・半導体製造装
置用のシール材を提供することができる。
【0050】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。
【0051】
【製造例1】予備成形体の成形 フッ素系熱可塑性エラストマーとして、ダイエルT−5
30(ダイキン工業社製)を用い、これを金型に充填し
て、220℃×10分間プレス成型を行い、シート状
(150mm×190mm×2mm(厚))の予備成形体を得
た。
【0052】
【実施例1】製造例1で得られた予備成形体100重量
部を、n-ブタノール100重量部に対し、メタクリル基
含有不飽和オルガノシロキサンとして両末端反応性変性
シリコーンオイル(X22−164B(信越化学工業
(株)製))10重量部を溶解混合して得られた表面処
理液に、10分間浸漬処理した後、予備成形体を取り出
し、さらに室温で2時間放置し、予備成形体に表面処理
液を含浸させた。表面処理液が含浸した予備成形体を、
処理環境の酸素を1.5容量%以下とするため、厚さ1
5ミクロンのナイロン袋に入れ、この袋を真空引きした
後に、袋中にアルゴンを充填し、ついで、袋中のアルゴ
ンをほぼ全量機械的に押し出した。つぎに、この袋中に
再度アルゴンを充填した後、再度袋中のアルゴンの約8
0%程度を機械的に押し出した。次にこの袋中に再度ア
ルゴンを充填し、ヒートシール法により袋体を密封し
た。
【0053】このようにしてアルゴンが満たされた袋中
に密封された表面処理液が含浸した予備成形体に、10
Mradの放射線を照射して、表面改質フッ素ゴムを得た。
【0054】
【実施例2】実施例1の表面処理液に、非粘着性向上剤
としてメチルハイドロジェンシリコーンオイル(SH1
107(東レダウコーニングシリコーン社製))10重
量部をさらに添加した以外は、実施例1と同様にして、
表面改質フッ素ゴムを得た。
【0055】
【比較例1】製造例1で得られた予備成形体100重量
部を、処理環境の酸素を1.5容量%以下とするため、
厚さ15ミクロンのナイロン袋に入れ、この袋を真空引
きした後に、袋中にアルゴンを充填し、ついで、袋中の
アルゴンをほぼ全量機械的に押し出した。つぎに、この
袋中に再度アルゴンを充填した後、再度袋中のアルゴン
の約80%程度を機械的に押し出した。次にこの袋中に
再度アルゴンを充填し、ヒートシール法により袋体を密
封した。
【0056】このようにしてアルゴンが満たされた袋中
に密封された予備成形体に、10Mradの放射線を照射し
て、放射線架橋処理されたフッ素ゴムを得た。
【0057】
【比較例2】比較例1の放射線架橋処理されたフッ素ゴ
ムを、アセトン100重量部に、メタクリル基含有不飽
和オルガノシロキサンとして両末端反応性変性シリコー
ンオイル(商品名;X22−164B(信越化学工業
(株)製))10重量部、およびラジカル重合開始剤と
してジクミルパーオキサイド1.5重量部を溶解混合し
て得られた表面処理液に、10分間浸漬処理した後、予
備成形体を取り出し、さらに室温で2時間放置し、真空
ポンプにて減圧(1.0×102Pa)した電気炉中で1
70℃、16時間加熱処理を行った。加熱後の試料の表
面をメタノールで洗浄し、表面処理されたフッ素ゴムを
得た。
【0058】
【比較例3】比較例2の表面処理液に、非粘着性向上剤
としてメチルハイドロジェンシリコーンオイル10重量
部をさらに添加した以外は、比較例2と同様にして、表
面処理されたフッ素ゴムを得た。次に、試験例1〜3に
より、本発明の表面改質フッ素ゴムが、非粘着性および
耐プラズマ性の長期安定性に優れることを例証する。
【0059】試験例1<非粘着性の測定> 図1に示すように、SUS304で作成されたφ5mm×
50mmの円柱状プローブを、室温下で、荷重500gf/
cm2で、上記実施例1〜2、比較例1〜3で得られた試
験片に10分間圧着させた後、600mm/minの速度で
引き剥がすときの力を測定した。結果を表1に示す。
【0060】試験例2<非粘着耐久性の測定> 実施例1〜2、比較例1〜3で得られた試験片を、上記
と同様の操作を50回繰り返した後、50回目に引き剥
がすのに要する力を測定した。結果を表1に示す。試験例3<耐プラズマ性> 低温プラズマ照射装置(Plasma Deposition Model PD-
2;SAMCO社製)において、実施例1〜2、比較例
1〜3で得られた試験片を、酸素ガス(全流量200ml
/min)を用い、プラズマで3時間照射した。該試料の
照射前後の重量減少率(%)を次式より求め、耐プラズ
マ性を測定した。結果を表1に示す。
【0061】式;プラズマ照射前後の重量減少率(%)
=〔(プラズマ照射前の重量−プラズマ照射後の重量)
/プラズマ照射前の重量〕×100
【0062】
【表1】
【0063】
【比較例4】2元ポリオール加硫系のフッ素ゴムである
ダイエルG783(ダイキン工業社製)100重量部、
MTカーボン20重量部、酸化マグネシウム5重量部、
水酸化カルシウム7重量部を配合し、その配合物をオー
プンロールを用いて既知の方法にて170℃×20分間
プレス成型を行った後、230℃24時間二次加硫を行
って、150mm×190mm×2mm(厚)のシート状に成
形した。得られたフッ素ゴムを、上記比較例2と同様の
方法で表面処理し、表面処理されたフッ素ゴムを得た。
【0064】また次に、試験例4、5により、本発明の
表面改質フッ素ゴムは、不純物の含有量が低減されてい
ることを例証する。試験例4<TOC(Total Organic Carbon)量の測定> 浸漬試験用容器の前処理 ;浸漬試験用容器(PTFE
製容器)を50%フッ酸溶液で充たし、25℃温度下
で、そのまま3日間放置し、その後とも洗いする。試料の前処理 ;実施例1、比較例4で得られた試料
を、予めHNO3で洗浄した後、さらに純水で洗浄す
る。
【0065】上記前処理した試料(シート状成形体)か
ら20mm×20mmのサンプルを採取した。次に、上記前
処理した浸漬試験用容器に、50%フッ酸溶液を50ml
入れ、その溶液中に該サンプルを浸漬し、25℃温度下
で1月間放置した。1月間放置後、その50%フッ酸溶
液を回収し、TOC(Total Organic Carbon)分析装置
(島津製作所製TOC5000型)で、その溶液中に溶
出した全有機物量を測定した。結果を表2に示す。
【0066】試験例5<溶出金属量の測定> 上記前処理した試料(シート状成形体)から20mm×2
0mmのサンプルを採取した。次に、上記前処理した浸漬
試験用容器に、50%フッ酸溶液を50ml入れ、その溶
液中に該サンプルを浸漬し、25℃温度下で3月間放置
した。3月間放置後、その50%フッ酸溶液を回収し、
IPC−MS(横河アナリティカルシステム社、HP−
4500)で、その溶液中に溶出した全金属量(対象金
属;Na、K、Mg、Ca、Al、Fe、Cu、Pb、
Ni、Mn、Zn、Zr、Ba、Cr、Ti)を測定し
た。結果を表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】上記試験例4,5の結果から、本発明の表
面改質フッ素ゴム(実施例1)は、汎用フッ素ゴム(比
較例4)に比べ、不純物の含有量が大幅に低減されてお
り、この表面改質フッ素ゴムを液晶・半導体製造装置用
のシール材に用いた場合には、液晶・半導体製造環境を
汚染することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例で行われる非粘着性測定方法概
略図である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラスト
    マーから得られた予備成形体を、メタクリル基含有不飽
    和オルガノシロキサンとアルコール系溶剤とを含む処理
    液に接触させ、次いで、得られた接触処理予備成形体に
    放射線を照射して、予備成形体表面の前記フッ素系熱可
    塑性エラストマーの架橋反応と、前記メタクリル基含有
    不飽和オルガノシロキサンによる予備成形体の表面処理
    とを同時に行うことを特徴とする表面改質フッ素ゴムの
    製造方法。
  2. 【請求項2】前記放射線架橋性のフッ素系熱可塑性エラ
    ストマーが、ヨウ素原子含有フッ素系熱可塑性エラスト
    マーであることを特徴とする請求項1に記載の表面改質
    フッ素ゴムの製造方法。
  3. 【請求項3】前記放射線照射が、1〜50Mradの電離性
    放射線を照射して行うものであることを特徴とする請求
    項1または2に記載の表面改質フッ素ゴムの製造方法。
  4. 【請求項4】前記処理液が、アルコール系溶剤100重
    量部に対し、メタクリル基含有不飽和オルガノシロキサ
    ンを0.1〜50重量部の量で溶解されてなることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表面改質フッ
    素ゴムの製造方法。
  5. 【請求項5】上記請求項1〜4のいずれかに記載の方法
    により得られることを特徴とする表面改質フッ素ゴム。
  6. 【請求項6】前記表面改質フッ素ゴムが、液晶・半導体
    製造装置用シール材に用いられることを特徴とする請求
    項5に記載の表面改質フッ素ゴム。
JP2001400892A 2001-12-28 2001-12-28 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途 Expired - Lifetime JP3979845B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001400892A JP3979845B2 (ja) 2001-12-28 2001-12-28 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途
AU2002367428A AU2002367428A1 (en) 2001-12-28 2002-12-26 Process for producing surface-modified fluororubber, surface-modified fluororubber obtained, and use thereof
PCT/JP2002/013658 WO2003057766A1 (en) 2001-12-28 2002-12-26 Process for producing surface-modified fluororubber, surface-modified fluororubber obtained, and use thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001400892A JP3979845B2 (ja) 2001-12-28 2001-12-28 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003201354A true JP2003201354A (ja) 2003-07-18
JP3979845B2 JP3979845B2 (ja) 2007-09-19

Family

ID=19189693

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001400892A Expired - Lifetime JP3979845B2 (ja) 2001-12-28 2001-12-28 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP3979845B2 (ja)
AU (1) AU2002367428A1 (ja)
WO (1) WO2003057766A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006036884A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Nippon Valqua Ind Ltd シール材、その製造方法および処理剤

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6830808B2 (en) * 2002-09-27 2004-12-14 Dupont Dow Elastomers, Llc Perfluoroelastomer articles having improved surface properties
CN103443195B (zh) 2011-02-04 2017-10-10 3M创新有限公司 含有氧化锆纳米粒子的无定形全氟聚合物

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59227437A (ja) * 1983-06-09 1984-12-20 Sumitomo Electric Ind Ltd 熱回復性物品
JPS61266439A (ja) * 1985-05-21 1986-11-26 Nippon Valqua Ind Ltd フツ素ゴム系熱可塑性エラストマ−をベ−スとする成形体の製造方法
JPH07103258B2 (ja) * 1988-03-18 1995-11-08 エヌオーケー株式会社 加硫ゴム成形品の表面処理方法
JPH01289855A (ja) * 1988-05-17 1989-11-21 Furukawa Electric Co Ltd:The 耐塩素水性軟質パッキン
DE69735938T2 (de) * 1997-01-10 2007-01-25 Nippon Valqua Industries, Ltd. Oberflächenmodifiziertes fluorokautschukdichtungsmaterial
JP2002371146A (ja) * 2001-06-15 2002-12-26 Nippon Valqua Ind Ltd 表面改質ゴムの製造方法およびシール材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006036884A (ja) * 2004-07-26 2006-02-09 Nippon Valqua Ind Ltd シール材、その製造方法および処理剤

Also Published As

Publication number Publication date
AU2002367428A1 (en) 2003-07-24
JP3979845B2 (ja) 2007-09-19
WO2003057766A1 (en) 2003-07-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100525065B1 (ko) 표면개질고무의제조방법,표면개질고무및실링재
KR101965095B1 (ko) 밀착층 형성 조성물, 경화물 패턴의 제조 방법, 광학 부품의 제조 방법, 회로 기판의 제조 방법, 임프린트용 몰드의 제조 방법, 및 디바이스 부품
CN1299387A (zh) 硅氧烷水凝胶接触镜片的等离子体表面处理
TW200940572A (en) Curable composition, fluorine-containing cured product, optical material using the cured product, and light-emitting device
TWI254065B (en) Filler for crosslinkable elastomer and crosslinkable elastomer containing same
US20210269568A1 (en) Molded article and production method therefor
JP2007077286A (ja) 含フッ素系エラストマーの表面改質方法及び該方法で表面改質された含フッ素系エラストマー、並びに、該表面改質された含フッ素系エラストマーを用いたシール材及びシール
JP2003201354A (ja) 表面改質フッ素ゴムの製造方法、得られた表面改質フッ素ゴムおよびその用途
JP4749673B2 (ja) 金属非固着性パーフルオロエラストマー成形体及びその製造方法
JP3564606B2 (ja) シール材
JP4030637B2 (ja) 表面改質ゴムの製造方法、表面改質ゴムおよびシール材
JP2007002150A (ja) エラストマー成形体並びにこれを使用したゴム材料及びoリング
TW200531989A (en) Perfluoroelastomer molded article and method for producing the same
JP4177984B2 (ja) 封止材
JP2002348394A (ja) 表面改質含フッ素系エラストマーの製造方法、表面改質含フッ素系エラストマーおよびその用途
JP2002363320A (ja) 含フッ素系エラストマーの表面改質方法、表面改質含フッ素系エラストマーおよびその用途
JP2000034380A (ja) 架橋性エラストマー組成物、該組成物から製造されるシール材およびそれに用いるフィラー
JP3838634B2 (ja) フッ素ゴムシール材の処理法
JP3838633B2 (ja) フッ素ゴムシール材の処理法
JPH04309532A (ja) テフロン治具の表面処理方法
JP2006036884A (ja) シール材、その製造方法および処理剤
JPH02127442A (ja) フツ化オレフイン重合体成形物の表面処理法
JP2002363447A (ja) 非粘着性エラストマー成形体の製造方法、得られた非粘着性エラストマー成形体並びにその用途
JP2007314662A (ja) エラストマー成形体並びにこれを使用したゴム材料及びoリング
JP2002371146A (ja) 表面改質ゴムの製造方法およびシール材

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041116

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060913

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070206

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070315

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070417

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070612

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070626

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3979845

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100706

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110706

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120706

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130706

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term